蕪木千歳

クレーン

蕪木 千歳> 
( 例えば、校舎から聞こえてくる学生達のざわめきとか。例えば、ゴミ捨て場の扉を開けたときの、むあんとしあカビ臭さとか。例えば、この校舎の階段を昇る感触とか。そういうの、全部いつかは刹那の想い出。懐かしくなる大切なものになるらしい。らしい、なんて触れ方なのはまだ学生で、ちっともかんともそんな実感が湧きようにないからで。例えば、掃除を終えて戻ってきた人気の失せた教室と、差し込む夕日と、それに照らされる少年と。そんな一時の情景ですら──────『 ななかまどはちろくくん……だっけ、 』ほんの一時前までは賑わっていた、空気の落ちた教室の中で。自分の席に掛けていた鞄の中身を確かめながら、1つ私はそう呟いた。『 あーゃ、えっとね、よく放課後残ってるなぁって、思って、ですね? 私もね、普段は図書室とかに寄ったりしてて……それで、居残り同士、なんか接点あるなー!……とか、思っちゃったりーしちゃったりーして………、今なら、誰もいないから、声がかけられるなぁって、思っちゃって……。 』声をかけてから、ちょっぴり後悔。同級生 声のかけ方 自然に そんな検索ワードを脳内カタカタかけちゃって。検索結果は勿論0。元気な陽キャ。彼への印象はこれだった。声が大きくて、人懐っこくて、何処でも馴染めちゃいそうな。そんな人だからつい魔が差した。同じクラスになってから、気になっていたことを遂に話題にしてしまった。また声掛けれなかったと後悔するのとどちらがましかと聞かれたら…いい勝負をしているかもしれない。頬にじんわり熱が籠って、繕った笑みが不自然である自覚があった。椅子の背凭れに指を引っ掛けて、ついついしゃがみこんでしまって。ごめんね………と弱々しく、心の中で呟いた。)   (5/8 23:20:24)


七竈 八六> 
「……、……………………………………」(────────嗚呼、〝 暇 〟だな、なんて。ヒーローとしては100点満点、男子高校生としちゃ低迷仕切った点数を付けざるを得ない、ありふれたことを考えていた所だったんだ。周りの奴等はバスが丁度いい時間に出てるから先帰っちゃってさ。自分の地域は1時間遅れてやってくるの。)(〝 しまった、家にイヤホン忘れた 〟。)(それを思い出したのはついさっき。スマホでろくに音楽も聞けなくて、蛇口を捻って閉め忘れたかのように、無音で動画を垂れ流す。今日という日はバイトも無けりゃあ友達と遊ぶ予定もない。ただ机に突っ伏して、口元を学ランの袖に埋めながら一直線上に伸びた時間を過ごす、いつもが鮮やかだらこそ 時たま訪れる退屈な灰色の放課後。)『 ななかまどはちろくくん……だっけ、 』「……………、……………」(………今日だって、例の〝 時たまやってくる灰色〟と、変わらない筈だった。)「……………………ンァ?」( 微睡みかけた空気を、直射日光と風を柔らかく抱きしめたクリーム色のカーテンと共に弛ませながら、貴方の声が雫を落としたように波紋を広げると、誰が予想していたか。その証拠に彼の間の抜けた返答は、1拍置いてそちらへと届くと同時に、垂れ流していた無音の動画から、そろりと視線をあげる彼。その先にゃ、西日に照らされ柔らかな髪が、やや茶色に映る至って平凡な女子生徒の姿だった。)『あーゃ、えっとね、よく放課後残ってるなぁって、思って、ですね? 私もね、普段は図書室とかに寄ったりしてて……それで、居残り同士、なんか接点あるなー!……とか、思っちゃったりーしちゃったりーして………、今なら、誰もいないから、声がかけられるなぁって、思っちゃって……。』(女子生徒は口にした。)(視線を左へ右へ、そろりそろり。最初こそ、滲んでいた好奇心は徐々に萎れていき、終いにゃ『話しかけたことさえ申し訳がない』と言わんばかりに、目前の女子生徒はほんのりと羞恥心に苛まれ視線を下げる。一見するとその姿は確かに『不自然極まりなかった』かもしれない。だからだろうか。)「………………………えェーーーッッとォ…………………」「…………………確か、えーーーー……………………………」 (なんせ彼は、そちらが話終わる少し前からじぃ、と見つめては悩ましげに目を細めて眉を潜めていたんだから。貴方と彼は同じクラスとは言え、『同じ温度』はそこには無い。趣味だって、絡む人間だって、ベッタリとペンキを塗りたくったような、シャッターへの人工的な落書きと、木漏れ日のような普遍的な女子生徒じゃ『住む世界』が違う。)「……………………か、…………かぁーー…………」(……………………でも。)「……………かぶらぎ、さん?」(彼は女子生徒の名前を呼んだ。)(女子生徒から『貴方』に変わった瞬間だ。貴方が彼の名を呼んだように。)  「………ッッ!!!!思い出したッ!れ!!蕪木さんッしょ?!?!?!!!名前あってっと思うんだけど、……………」「────────うぅわッッ…!!つうかすッッ……………げえ珍しいじゃんねッ????!!!!話しかけてくれて〝超嬉しい 〟ンだけど俺。名前も覚えててくれてるしさァーーーッッ………」( その言葉通りの表情だった。1つはおそらく『名前が当たっているという確信』、2つは持ち前の『人懐っこさ』 。3つ目は、『暇な時間が終わりを迎えてくれそうなこと』エトセトラ。理由は様々だ。何はともあれ。『話しかけてくれてよかった』よ。彼は動画をとめ、雑に机に引っ掛けられたリュックサックの中を漁るように手を入れながら、貴方に問いかける。)「………いやぁ、つか、それがさァーーーー………今日俺バイトもなくてさァーーー………友達も帰っちゃったしバスが来るまで超ォ~~~~暇なのよォーーーー……蕪木さんもそういう感じ?」   (5/9 00:03:13)


蕪木 千歳> 
ッッッ!? あッ!?うんそうっ!蕪木で、す、蕪木 千歳……名前はそりゃなんかそのー、変わった名字してるし、よく呼ばれてるから覚えやすくって……へへ、( わっ、覚えてもらえてた!良かったぁ……なんて淡く溢れた喜びは、ジェット飛行機のような突風、貴方の言葉の勢いに流されてぴゃっと引っ張られた背筋が伸びた。背凭れを掴む指の先が、力が籠ってちょっぴり白む。そうでもなければ引っ張られ伸びるのは背筋だけじゃなく、後ろにころりん、脚まで伸びちゃいそうだった。轟音に心臓がドキドキ鳴って、見上げた世界は変わらない。それにそっと息を吐いて。身体を吹き抜けてった言葉にくしゃりと表情が綻んだ。はちろくくん、数字の8と6の男の子。名字にだって7がついていて、6、7、8。そんな覚えやすさの理由は内緒。『 七竈くん、バイトしてるんだ。私もね、うん、そんな感じ。寮に住むほどじゃ無いんだけど、家がちょっとだけ遠くてね、だからバス通。……バスの本数、もうちょっとだけ増えたら良いのにねぇ。それか、あとちょっとだけ遅くに、とか。お掃除してからだと、足も遅いから間に合わないこと結構多くて。 』突風が過ぎてから、膝が痛まないように優しく立ち上がって、横目で貴方の横顔を見た。金色の髪は染めたのだろうか。夕日を受けて反射して、高校生らしい、或いは高校生らしからぬ装飾品がキラリと覗いた。顔立ちはあどけなく、まだ不良っぽく見えないのはだからだろうか。真正面から見詰めるほどの勇気はなくって、貴方が顔を上げたなら、私もぱっと目を背けて。漁る意味もない鞄を弄った。)   (5/9 00:38:19)


七竈 八六> 
いぃぃぃぃぃぃぃよッッッしゃあ~~~~ッッ!!!当たったァーーーーッ!!!!!!!!!………………………ってェ、喜びたいとこなんだけどォ……………あのさ、マジごめん。そういや蕪木さんの下の名前ってェ………………なんだっけ??」(苗字が当たった、ソレを喜んでいたのも束の間。貴方の『苗字ならよく呼ばれる』の発言に、〝そういえば 〟とふ、と思い出す。先生だとか、他の誰かから貴方の苗字は聞いたことがあるが肝心の下の名前を彼は覚えちゃ居ないらしい。ここで詮索せずに流して〝皆と同じく苗字で〟呼べばいいのに、彼は事もあろうかわざわざ覚えていないことを正直に告げて、デリカシーもなく聞く始末。) ( 下の名前も知らない、遠過ぎずとも近くもない〝 ただのクラスメイト〟との以外な接点は、ありふれたものからだった。例えばほら、〝 本数がやたら少ないバス〟だとか。) 「 うわぁーーー………めぇーーーーッッちゃ分かるわソレ。マジで勘弁して欲しいよなァーー……………しかも今日に限って家にイヤホン忘れちまってマジで暇でさ……………」(彼は心の底から共感するように、椅子に深くもたれ掛かりながら言葉を返す。田舎と言うには栄えちゃいるけれど、ソレを差し引いたって。でも、悪いことばっかじゃあない。彼は貴方の言葉を落とす寸前に拾ったのならば、目を瞬かせて驚いたように言葉を続けるだろう。)「………え???つか掃除?」「うわすっげぇーーーーーマジで?!?!うぅわ朝から『偉い』かよォーーーーッ………!!!!俺ならぜってえそんなことしねえ、………………しなさ過ぎて、多分そろそろ〝 兄貴 〟に怒られる……………………」 ( …正直、整理整頓はあまり得意な方ではない。汚部屋でも気にしない!…という訳でもないが、男子相応と言うべきか。靴下は裏返し、旅行に行けば絶対使わない木刀を買ってきて案の定放置していたり。だからこそ、『朝から掃除』 なんてのは、こちらからしちゃ考えられない事なんだもの。 彼は先程から漁った鞄から空いた長方形の箱を取り出すことだろう。。…まだ、1つ袋が残っている。) 「………………『偉い』ついでに特別賞っつうわけで。」「……………食べる??ポッキー。今日の昼、購買で買っちったァ~~♡」( 小さな小袋を開けたのならば、1本取り出し口に咥えることだろう。そしてもう一本、貴方がつまみやすいようにがさりと箱を揺らし傾けるのさ。顔を上げた彼は、そこでようやく、声を掛けられて以降、2度目。顔を見やった。)「………………………」「……………………、」「………………あはァ、これ??」(貴方が鞄へと視線を落とす前、最後の視線は耳辺り。貴方がなぜ視線を合わせないのかにはきっと気づいちゃいないくせに、こういうところばかりやたらと目敏い。)「……………………似合うだろォ~~……………………蕪木さんすッッ……げえ真面目そうだからさァーー………こういうの付けなさそ。」(髪を耳にかけて、見せつけるようにしながら笑っていた。派手な金髪、耳たぶのピアス。何も荒らされてない貴方とは正反対。 )   (5/9 01:10:49)


蕪木 千歳> 
あぁ、えっとね、ちとせだよ。1000歳って書いて千歳、千歳飴の千歳、だね、 ( 当たってたくらいで大喜びしたり、かと思ったら、ニアピン賞だったことを素直に告白したり。高校生らしい感受性?小学生か、なんて子供っぽい?夏の日のような瑞々しさは変わらない。覚えられてなかったことに怒ったり、凹んだりすることもなくって、ただ正直者な君にちょっぴり笑ってしまった。『 わ、最悪だぁ…。イヤホン有るのと無いのとじゃだいぶ変わるよね、心強さというか……。「………え???つか掃除?」……………んぇ、ん、うん、お掃除。 』「うわすっげぇーーーーーマジで?!?!うぅわ朝から『偉い』かよォーーーーッ………!!!!俺ならぜってえそんなことしねえ、………………しなさ過ぎて、多分そろそろ〝 兄貴 〟に怒られる……………………」『 え、ぇ、えぇー…へへ、そう、かなぁ。そうかなぁ、そんなに褒められると照れちゃうっていうか、だってほら、入ったときに汚れてたり、散らかってたりって気にならない……?空気も綺麗になって、美味しい気がするし…………おに、……んん"っ、ごめん、なんでもない。 』ころころ、ころころ話題が動く。走ったときと同じで、ほんの少しだけ息が切れてしまうけれど、身体がポカポカする気がした。こそばゆい。そんな言葉が似合う感覚に、にへらと頬の力が抜けて、何も考えずにお兄さん居るんだ、と言いかけて止めた。…バイトしてるの知ったときも、復唱しちゃったし。人の個人情報を知る度に復唱する女子、どうなんだろう。気にしすぎ?はちろくくんならそんなに気にしなさそうー…だけど、なんか、なんかどうなのって感じがする。ちょっとでも不自然じゃありませんように。それだけ願って、ぷるぷる首を左右に振った。『 う…………気付かれましたか。真面目っていうか……気になるけど、痛そう。ピアっサーだっけ、で、ばちんって、…するんー…でしょ?いっぱい冷やしたら大丈夫って聞くけど……、…ん、私からもこれどーぞ。ニアピン賞、お名前のやつの。 』ピアスに興味のある女子生徒。そんな称号を手にいれて、ほっとした。たははと頬まで引っ掻いて見せて、ほんの一瞬目線を合わせて、今度は本当に鞄の中に探し物。真面目かな、なんて、ほんのり唇の先が尖った。変わる勇気がないだけだったり、そうなるきっかけが分からなかったり、真面目な子なんてきっとそれだけ。鞄の中に意味もなく立ち寄ったゲームセンター、その景品のリンゴ味の飴玉を見付けて。鞄事移動、斜め前の席に一礼して、先の方にだけ腰掛ける。ころんと転がる丸々太った飴玉と、すらっと伸びた細みのポッキーの交換こ。『 えと、……いただきます、有難う。 』チョコレートはちょっぴりビターで、さっくり脆い。想像通りの変わらない味は、高校生っぽいな、そんな感想を抱かせて、部活動の掛け声が、遠くから響いたような気がした。)   (5/9 01:56:42)

浸 ばぐる> 
(時間は昼。コード専門高等学校三階の奥のさらに奥。誰かが通る事すら稀な人目のつかない静かな階段に彼女__浸ばぐるという名前の付けられた『機械』は座っていた。)「昨日の結果は残念だったね、もっと良い攻略法を考えなきゃ、だな。」(しかし一人ではなく。とっても『クール』でほんの少しウザったい『相棒』と喋っていたのだ。話題は最近出たゲームのRTAについて。…しかし、周りから見ればそれは一人で話しているようにしか見えないだろう。…そこに誰か居ればの話だが。)(と、)「…お。」(ふわり。黒髪をなびかせ、こちらに向かう影が一人。__彼女は。)「やっほ。(ここに人が来るなんて珍しい、な。)…ちとせちゃん、だったっけな。あ、もし名前間違えてたらごめんね。」(彼女は階段から立ち上がり近づく。ピカリ、と光る電子の瞳で君に尋ねるだろう。)「な。…もし。なにか用事が終わった後とか、暇でうろついてるだけならさ。ちょっとお話しない?私、ちょうど暇なんだ。」(何を考えているかも傍から見てよくわからない彼女は。未知数的に、予測不可能的に貴方に語りかける。)   (5/9 19:27:35)


蕪木 千歳> 
( もういいよー!なんて伝えようのない、暇なお昼のかくれんぼ。お弁当も食べ終えて、お腹はいっぱい。大人しく駄弁るだけでも良いのに、活発なのは何故だろう。裏表で隠れる側に決まってしまった私はひっそり、隠れる場所を探していた。見付かりにくくって、でもあんまり待ち惚けも嫌だから、とっとと見付かってしまえるような、そんな場所探し。『 ぁぇ、え………っとばぐる、ちゃん?だっけ、………うん、私、千歳であってるよ。 』くん、と後ろ髪を引かれてじゃれついた猫。ビー玉みたい、きゅるりと光る目。スカートの端をひゅるりと撫でた。『 ……じゃあさ、私、友達とかくれんぼ中なんだ。もし見付かっちゃったら、私のこと匿ってよ。後ろに隠れるから、千歳ちゃんは此処には居ないよ~って、守ってほしいなぁ………なんて。それまでは見付かっちゃわないように、ひそひそお話、……ど、どうかな、 』指先同士をふにり、時折離れたりを繰り返しながら合わせっこして、小さく小さく首を傾げた。貴方からすれば、あんまり美味しくはないお話。でもちょっぴりは、楽しいんじゃないだろうか。隠れ場所には視覚にもなる踊り場を。誘うように目線を向けた。)   (5/9 20:01:29)


浸 ばぐる> 
「よかった。名前覚えるのは得意なんだ、だって私、機械なんだから。高性能ヘッド〜!なんてな。」(人間味の無い喋り方にちょっとしたロボットジョークも混ぜて。)なるほど、かくれんぼ中、なのか。(お友達の事はいいの?…とは敢えて聞かずに。)えーっと、(私にこの子を隠す事ができるかはわからないけど。…きっとこの小さな『広間』が隠してくれるだろう。)いいぞ。私と一緒に話そ〜〜。」(と、その前に。こそり、と未だ五月蝿い『相棒』に話しかけて。)「…くーるくん、ちょこっとだけ、静かにしててね。万が一の為に、な。」「…と。じゃあ…何の話が良いかな。私は生憎__、ゲームの話しかできないや。…でも。(私、は。)みんなのお話聞くのすきだよ。(それは私にとっての未知。)たとえばほら、それは私の知らない動植物だったり、君の好きな『フィクション』だったり。あとは…あ。これじゃあ全部君任せになっちゃうな。ごめん、だ。…もし、迷惑じゃなかったら。君の知りたいこと、好きな事、教えてほしいな。…あと、こうしておいたら次君と話すとき、もっと楽しくお話できるだろうし、ね。(もし、もしよければ、お友達になりたいから。)」(かくん、と不自然に首を傾ければ、静かな踊り場にほんの少し、小さく響くほどの声でこそり、君に問う。)   (5/9 20:45:18)


蕪木 千歳> 
へへへ、やった。心強い味方が出来ちゃった。( いよっしゃ、ちいちゃくガッツポーズして、跳ねた心音みたいにぽこんと階段を半分だけ登った。踊り場の隅っこは見逃された埃がひっそり息を潜めていて、少しだけ汚い。人が歩く以上何処だってそうだけど、不思議なことに階段はまだ増しに思えて、ハンカチで有るか無いかのホコリを払えばちょっとしたベンチ。先にすとんと腰を下ろして、此方おいでよ、と、空いてる隣をぺちぺち叩いた。『 知りたいこと、好きなこと、かぁ……。 』貴女に倣って、こそこそ囁いた小さな声が中くらい高さをした天井に当たって弾ける。知りたいこと、好きなこと。また話してくれる予定があることに、細やかな喜びを感じられる。『 いーんだよ、私任せでも。大船に乗った気持ちで………なぁんて言えるほど、話題に富んでるわけではないんだけど………。んー………………………ん~……………そだ、ネコちゃんとか好きだよ。最近はネコちゃんの農場ゲームとかやってるんだ、スマホのやつ。 』とんと拳で胸元を叩いて、形すら出来てなかった泥船は、出港前にぷくぷく沈む。沈んだ残滓が僅かに浮かんで、その一欠片、平凡な話題が無事に口を突いて出た。ひらめきにはっと背を伸ばして、漁るパーカーのポケットの中にはスマートフォン。昼休み終了15分前を差すロック画面を突破して、タップしたアプリの中では猫が島を開拓していた。それを貴女に見せるみたいに傾けて、へへ、と笑みには照れ混じり。『 これね、可愛いんだ。私のオススメ。、…………結局私も、ゲームのお話してるね? 』   (5/9 21:20:39)


浸 ばぐる> 
「わ。(かざされたスマートフォンにはなんともかわいらしい光景が写っていた。無駄に飾らない、でもとっても暖かな雰囲気の彼女らしいな、なんて思ったり。)このゲーム、は。(いつもなら何処の誰かもしらない名前を隠した人__所謂匿名、そんな人たちがガチャガチャ魔改造したグラフィックのプレイ動画しか見てなかったけれど…このままもやっぱり良い、な。)「…猫、いや、動物って素敵だな。私にはないあったかさを持ってるから。それに…私達には予測もできない行動でいつだって飽きさせないからな。」(更には。人の心、人外の心だって癒やしてくれる。)「猫ちゃんはかわい〜から、な。…何故かわたしが近づくと逃げちゃうんだけどね、画面の中なら逃げちゃわないから安心だな。はぁ…(そんな事を言いながら『リアル』に避けられる現実に少しだけ虚しくなったり。)「…えへへ。ゲームって、素敵なんだ。ずっとやってたら体に悪いよ、なんて言われてるけどさ、(…機械の私には一切害がないことは置いといて。)こんな空想に浸るのも素敵だと思うんだ、丁度そのネコちゃんたちみたいに。…でも、なんだか私達も半分くらい空想だと思わない?」(この世界がプログラムで出来ている事。既存物の姿を取った『カミサマ』の存在。それに__)「私達がヒーローだってこと。(…皆が皆戦うとは限らないけど。)…それってなんだかワクワクしない?あ、…ロマンを感じる、って意味でね。」   (5/9 21:54:29)


蕪木 千歳> 
ネコの島2。…2って付いてるけどね、1とか無印版とかさ、そういう前作があったのをだぁれも知らないんだ。ネコちゃんにちなんで2なんじゃないかって説もあるんだけど……どーなんだろうねぇ。( 牧場を思わせる柔和なBGMが、小さな音量で端末から流れる。伸ばした指先が画面をなぞれば、にゃ~~んっ♪ そんな掛け声と共に猫達が出来た作物を収穫していた。空になった畑に種を撒けば、仕事を終えた猫達は島々に散っていく。思い思いに日向ぼっこをして過ごす姿、その気儘さは現実の猫とも大差がない。空想の中でだけ、貴女の出会える猫の姿。『 ………ばぐるちゃん、 』『 ど、どーーーんっ!! 』 『 ッわぶ、かた………ほんとに機械なんだ…。ぁ、えっとね、えーー……………〝 しんまいひーろー、くれーん、見 参………っ! 〟』『 な、なんちゃって………へへ…、 』その翼は真っ黒で、クレーン_白鳥とは程遠い。飛べない翼、両の腕をがばっと広げて、墜落?突進?貴女の身体に抱き付いた。ゴンッと鈍い音がした気がして、ぶつけた額がじんわり熱い。突拍子のない行動。考えてなかったふやふやな台詞。誤魔化すように笑ってみたって、そのくらいじゃ流されない。なんだか恥ずかしくなってきて、身体だけがずるずる流され、抱き付く力を失った。『 予想できなくて、暖かい、でしょ? 』『 ………いやあの、私はネコちゃんじゃないけど、ロマンを感じて貰えるくらい格好いいヒーローでもないーけどぉ…………現実の方に浸ってみるのだって、結構、…ど、どうでしょう、 』   (5/9 22:29:27)

浸 ばぐる> 
「2、か〜、前作が無いのって謎ゲーあるあるだよね。そういうのだったらほかにも『to be continued(続く)』って書いてあるのに続きがないゲームもあったり…っあ、(ちょっぴりこれは失礼だったかも。)ごほん。でもなんだかそういうの良いよね〜。脱力感というかさ。割とこんなでも許されると思うんだよね。硬派なゲームも楽しいけどさ。」(と言いつつディスコード発現装置兼愛用の携帯ゲーム機をちら、と見る。…中には一年は前に発売されたゲーム『ラストソード』が入っている。なんともいえないグラフィックのゲームだが一部にマニアが居るらしい。う〜んと、これは硬派じゃないけど…)(と。)『………ばぐるちゃん。』「…お?」(突然彼女に話しかけられる。)「…どうしたんだ。ちとせちゃ__」(そう言う間もなく。)(__彼女が『飛んで』きた。)「ゎ、あゎおっ!?」(突然のことにいつもは閉じない瞳をキュッ、と瞑る。ドターン!いや、ガシャーン!と金属の地面にぶつかる音__鉄の身体が当たる音がした。)「ふ、ふざけるミ!いや、ちが、だ、だいじょうぶ、か?ぁ、あの、ぶつけた所痛くない…?いや痛いか…」(恐怖感?それとも驚き?それとも。浸ばぐる、その機械は未知数を愛している癖に__割と突然の事には人間臭く驚く用だった。)「…びっくり、した。えへ…現実、ね。(少し危険で、でも。ファンタジックな。)…ここは。皆が思ってるより素敵な世界だと思うよ。…ちとせちゃん、話してくれてありがと、ね。(彼女は__ツヤリとした黒い髪の彼女は確かに。あたたかくて軽やかな『白鳥』だった。)(と、そのすぐ後、すこ〜しばつが悪そうに。)「え〜と。……ところで…話もだ〜いぶ変わっちゃうんだけど。授業の時間、そろそろやばい、かも。(差し出すゲーム機には授業5分前の時間が示されていた。次の授業は移動教室…教科書を取りに行かなくては間に合わない。)…きっとお友達も探してるんじゃ、ないかな。ほら、一緒に行こ〜。今なら間に合うよ。」(そう言って彼女の手を傷つけないように。そっと握って言うだろう。)   (5/9 23:11:34)


蕪木 千歳> 
…………どういたしまして?……ふ、ふふっ、ばぐるちゃん、結構普通にびっくりするんだね ( ずるずる滑って、べたんっっと墜落してしまうことこそないけれど、気分的にはそんな感じ。だから、お礼の言葉は案外すんなり胸に着地して、不思議と此方の方が、救われてしまったような気がした。乱れた前髪を指で梳きながら、じんわり滲むのは思い出し笑い。要領を得ない、抑揚の少ないロボットだって、案外普通のクラスメイトなんだなって実感した瞬間。投げ出して少し下を滑った端末を拾ったのと、貴女に声をかけられたのは同時のことで、見比べたって表示されている時間は変わらない。『 ひぇっ!?ぜ、全然気付かなかった…………誰か一人くらい、連絡してくれたっていーのに……ん、行こっ! 』今度は此方が思い出し笑いされちゃう番?そのくらい肩を跳ねさせ驚いて、メガネのフレームが僅かに傾ぐ。端末はパーカーのポケットに戻って、かくれんぼ、私達の大勝利だね、なんて、はにかみながらピースして。賑やかな足音が踊り場に響いた。/〆)   (5/9 23:31:29)

小室 耕助> 
(水の落ちる音がぽつりぽつり。それに混じってプシュー、ガタンと扉の開閉音が耳に飛び込んでくる。それから楽しそうに水溜りを踏む子供の笑い、雨にうんざりしたような男性のうめき声、傘がバサッと広がる音。色々な音が聞こえてくる……顔をあげてもそこには何もない。ただ、ここには放棄された廃バスと寂れたバス停があるだけだ。私は再び視線を下げる。水溜りには廃バスと似ているバスが乗客を降ろし、また開閉音を鳴らして扉を閉ざしていた。私はこの光景をずっと見つめている。またそう時間を経たずして、バス停に残された時刻表通りに水溜りの中のバスは戻ってくるだろう。それが同じ日の光景なのかは、自分にはわからないが) 「……やあ、こんにちは。君も雨宿りついでに水溜りの中のバスを見ていかないか?」(バス停の椅子に腰掛ける。随分と使われてないだろうその場所は腐った木の匂いを発しぎしっという音を鳴らすものの、椅子と雨を弾く屋根はまだまだ現役だと教えてくれる。次のバスを待っていると、そこにおとなしそうな少女が歩いてくるのを見つけた。私はそちらに軽く頭を下げ、にこやかに空いているスペースに掌を向けた。私はただこの時間は良いものだと思い誘っているだけ、一緒に腰掛けるも断るも無視するも好きにして構わない。ただ聞こえるだろう、遠くからバスが走ってくる音が)   (5/13 19:47:05)


蕪木 千歳> 
( 午前中に降っていた雨は昼前に止み、放課後にまた降りだしていた。傘を持ってきていないことを嘆くクラスメイトの声を聞きながら、天気予報を見た母から持っていくように言われていた私はばっちり傘を持ってきていて、それが誇らしくも、何故だか寂しくもあった。持ってきてるから一緒に帰る?…なんて、言えるわけもなく、しとしと降りの雨を塞ぐ傘の中は広い。なんとなく落ち着かなくて普段より早く教室を出たものの、乗るバスの予定時刻にはまだ余裕があって、じっとりと横入りした雨と湿気が無意味に服を湿らしていく。こんなことなら、いつも通りの時間に出るべきだったと、天候と同じ曇天模様な気分になった。水の弾かれる姿が見える、お気に入りのビニル傘を、傘と何もない所の境界線をガラス越しにぼんやりと眺めながらくるりと回す。ブロロロロ────────。不意に耳に届いた、古いバスが排気を吐き出す唸り声にはっとして振り返る。けれど、振り返った先、バスは居なかった。本当に少しだけ歩いた先の廃れたバス停。そこに居た知らない男の先輩の隣に座ってしまったのは。普段なら怖くて断るのに、今日ばかりは惹かれたのは、そんなバスがきっかけだった。『 ……先輩?は、詳しいんですか?…水溜まりの中のバス停に。……私さっき、音がしたなって思ったのに何もないから、びっくりしちゃいました。 』畳んだ傘から滴った水滴が、廃バス停のコンクリートを初めて濡らす。小さく会釈した後、近くも遠くもない距離感で浅く椅子に腰を下ろして、そんな風に声をかけた。えへ、と少しだけ照れたようにはにかんで、湿気でぺたつく頬をかく。猫背気味に貴方の顔を覗き込んだ。)   (5/13 20:13:34)


小室 耕助> 
「詳しい……と言えるほどでもないよ。調べたら一定の区域内で色々目撃されているカミサマみたいだけど」(隣に座った君に少し目線を移し、その疑問に答える。人類とカミサマがある程度共存するようになって、そう時間も立たないうちにこの現象についての情報が飛び交ったらしい。調べればある程度当時の噂話を拾えるだろう。どうやらこの現象に危険性は一切ないらしく、こうして放置されているようだ。おかげで私達はこの音を聞く事ができるし、当時の光景に思いを馳せる事が出来る)「付近の廃バスが走っていた頃の光景なんだって言われているらしい。当時の停車する時間に音はやってきて……今みたいにバス停で停車する。顔を上げれば見えないのに、水溜りに目を向ければ見える」(水溜りに波紋が広がって、その中にまだ走り回っているバスの姿が映し出される。自分達の前、ちょうどバス停のある場所に止まった。雨音に混ざって扉の開閉音が響く、それを聞きながら付近で雨ざらしになっている廃バスを見つめた。実際はどうなのかわからない、でも今の光景はなんとなく心を落ち着かせてくれる。少なくとも私はこれが好きだ。君はどうだろう?面白いと思ってくれているかな?私の顔を覗き込む君に、問いかけるように首をかしげて見せる)   (5/13 20:43:02)


蕪木 千歳> 
へぇ…………、…カミサマって、こういうのもあるんですね。( 危ないものばかりな印象があったのは、きっとテレビで報道されがちなカミサマはヒーローと戦っているものであったからな様に思う。だからこそ、無害、ただ昔をおもんばかるようなカミサマの正体に、驚きでぱちりと瞳を瞬かせた。雨宿りの屋根の先の水溜まりには次のバスが映り込み、足元だけが映された乗客が乗っていく。静けさの満ちた雨の中、発車するバスの音はよく響いて、顔を上げても、発車したバスの後ろ姿は現実にはない。『 ……行っちゃった。 』『 ノスタルジーって、えと、いうんでしたっけ、不思議なカミサマで、昔あのバスに乗ってた人が見たら喜びそうだなって、思います。 』膝の上で掌がきゅうと丸まった。首を傾げる姿に心臓がどぎまぎして、じんわりと肌を濡らしたのは汗と湿気のどちらだろう。
たどたどしい言葉使いで紡がれた言葉は定型文、或いは無理矢理書いた読書感想文のようで、とはいえ他に言いようがなくて心臓の痛みが強まった気がした。クラスメイトよりも縁遠くて、他人というには些か近い。先輩というのはそういった存在で、けれども目上の人で、だからこそ問い掛けが痛かった。気分を害したらどうしたものかと。無邪気な子の方が人に好かれやすいというのは、よく知っている。と、と椅子から足を踏み出して、雨で濡れた地面の縁にたった。へらりと笑ってしたのは、夢のような小さな提案。『 …あのバスに私達って乗れちゃったり、しないんですかね。や、水溜まりの中にあるやつですけど、……水溜まりの中に入って、そのまま乗ったり、とか、出来ないかなーって思っちゃって。 』   (5/13 21:12:10)


小室 耕助> 
「そうかもね。私ならどう思うかわからないけど、当時の記憶や記録のようなものが残っているというのは案外嬉しいのかもしれない」(君の返答は、なんとなく違和感を感じる。それは緊張、不安、迷い……ひょっとして問いかけられるのは苦手な子だったのだろうか?この手の話に正解というものは存在しないのだから、もう少し肩の力を抜いてくれて構わないのだが。しかし、下手に"無理しなくて大丈夫だよ"と言っても逆効果になる事もある。無理に落ち着かせようとするよりは、気づかない様子を見せてあげる事で安心させられるかもしれない。私は君の様子に気づいてないふりをして、返答を返すことにした)
「……どうだろうね、試したという話は聞いた事ないな。もしかしたら水溜りに足を踏み込めば乗れるかもしれない」(私は乗れる可能性は0ではないと考えている。あくまで一方的に、当時の状況が映し出されるのみだと話を聞いた事はあるが……年月を経てカミサマの性質がもし変化していたら?私は君の話に頷いてみせて、水溜りの方にゆっくりと歩いてみせる。結論としては、何もおこらなかった。やはり映し出す特製のようだ。私は口元を緩めて、ダメだったよと肩をすくめた)   (5/13 21:30:41)


蕪木 千歳> 
( 不快にさせることはなく、とはいえテンポが良いとは言えない会話に水面が揺らぐ。そう感じるのは気持ちの問題もままあって、傍目に見ればゆったりとした会話のようでもあるかもしれない。けれど、ほっとすると共に気を使わせてしまうのが申し訳なくもあった。風変わりなバスさえなければ、こんなことにはならなかった。だからちょっとだけ恨めしい。バスだけで見れば、寂れた雰囲気が好みであるのもまた憎らしかった。『 まあ、試して本当に行けちゃったら、ちょっぴり危ないですもんね……、…………へ、え、…せ、せんぱい? 』試したことがない、そんな報告は残念でもあり、行ける可能性の残した夢のある話。とはいっても、帰り方は分からない、バスの行き先も分からない。となると度胸試しでもしない限り、そんな馬鹿なことをする人は居ないのだろう。………そう、それは馬鹿なこと。廃れたバス停から貴方が出ていくものだから、私は些か狼狽する。戸惑いから手は上に上がるけれど、服を掴んで引き留めるようなことは出来はしない。水面に足を踏み入れて、────にゅるん。…………そんな風に吸い込まれてしまうことはなく、先輩は変わらず其処に居た。『 ──────。 』唖然、呆然、焦燥感と微かな、怒り?提案しておきながら。『 …濡れちゃいますよ、バス停から出たら。それに、…それに、ほ、本当に乗れちゃったら、どうするつもりだったんですか。…………………あぶないこと、しないでください。 』ぱしゃんと水面が跳ねて、靴下に張り付いたような気がした。小さな雨粒がパーカーに着地し吸われていく。黒と反対の白いパーカーの先を震える指先で摘まんで、バス停の方へと弱く引っ張る。胃の奥が重たい。笑い話で済ませれば良いのに、本気で怖いと感じていた。自分が入り込めてしまえたら、そんな空想は夢見たくせに。)   (5/13 22:12:12)


小室 耕助> 
「あ、ああすまない!いや、本当に乗れたら貴重な情報を得られると、思ったんだが……本当に申し訳ない、その……」(この時の私はきっと、いつになく動揺していた。可能性を考えながらもこんなことをしたのは、乗れたとしてもその情報を君が持ち帰ってくれると、考えていたからだ。危険性が僅かにでもあると知れたら大きい前進であり、無事ならばそれはそれで笑い話の一つにでもなるだろうと。私は服の裾を摘まれて引っ張られるまで、君の気持ちを頭の中に入れてなかったことを知った。それはそうだ、自らの提案或いは軽口で本当に消えてしまったら心臓に悪いじゃないか。自分の興味を優先したことを、頭の中で後悔しながら慌ててバス停に戻る。その背中で、バスの出発する音が鳴っていた)
「濡れてないかい?えっと、そうだな……ごめん。……もう少し雨宿りするかい?」(本当に怒らせるようなつもりではなかった、誓ってそれは本当だ。このゆったりとした時間を誰かと共有できれば、と思っていた。本当にそれだけだったとも。こういう時、どうすればいいだろうか?タオルは、鞄にあるかもしれないが自らのタオルを女性に渡すのはどうなのだろう?他で埋め合わせようにも、そういえば君の名前すら知らないのだった。私にできるのは謝ることと、もう少し聴いていくかという質問だけだった)   (5/13 22:41:32)


蕪木 千歳> 
( 自分に掛けられた言葉をまるで他人事みたいに聞きながら、胃に押し込まれた異物の放つ冷気を感じた。確かにヒーローなら、率先して動くべきだ。研究すべきだ。程度はあるが専門校に通う学生としても、それはなんら間違いない。でも、先輩がそんなことしなくて良いって、言いたくなった。『 …私も、軽率でした。ごめんなさい。眼鏡がちょっと濡れちゃいましたけど、それ以外は全然。……先輩こそ大丈夫ですか?ハンカチ使います? ………あのカミサマに、気力とか色々抜かれたりしてません? 』怒られてまごまごしているのが面白いみたいにふ、と笑って、肩の力を抜いてみせる。バスが発車する音、雨音がちょっと遠くになる。ぱっと手を離して、微かに湿ったパーカーの袖をレンズ部分に押し当てて水分を取れば、曇った世界が少しだけ見えやすくなった。ハンカチは持っているけれど、自分に使うほどでもない。ただ貴方は自分より長く外に出たものだから、要るかもしれないと少しだけ悩む。心配半分、冗談半分の問い掛けは場を和ませるためのもので、本当に抜かれていたら洒落にならない。あーぁとしゃがみこんでしまいたい気分を誤魔化して、さっきより深く椅子に座った。『 …あと1,2回だけ見たら、帰りのバス来ちゃうので帰ります。 』多少濡れても壊れない腕時計。便利だけれど今では標準機能なのだろうか。そんな時計の時間を確認して、先輩は?と問うように首を傾げた。)   (5/13 23:04:04)


小室 耕助> 
「そうか、そんなに濡れてないならほっとした。大丈夫、出ていたのは数秒くらいだろうしね。……はは、この通り元気そのものさ」(まずは君がそこまで濡れてなくて一安心。加えて、笑ったのをみてこちらは肩の力を抜いた。流石にハンカチを借りるのは申し訳ないというのもあるが、実際長く外に出ていたようで、時間で考えれば数分経つか経たないかくらいの僅かなものだった。なので問題はなく、気力を抜かれたのではないかと問われれば、その心配はいらないとにっこり笑ってみせた。流石にこれ以上揶揄うような態度を取るのも誠実さに欠けるというもの。軽口で返そうかという考えを頭の奥に引っ込ませて、君が座ったのを確認してから自分も腰掛ける)「そうか。私はーー……君さえ良ければ、帰るのを見届けてから帰路に着くよ。私はそこまで遠くもないしね」(時間で考えて残り数十分後、それを見てから帰っでも良いだろう。君を引き止めてしまった手前、ついて行かなくとも帰るところ位は見守るべきなのではと考えた。勿論一人でこの空間を味わいたいというならば、それも構わない)   (5/13 23:24:42)


蕪木 千歳> 
………それなら、良かったです。( もしこれでお互い油断していて、翌日二人して風邪を引きました、なんてことになったら。学年が違うのだから知る術なんてないだろうけれど、それを考えると滑稽で可笑しく思えた。そんなこと、滅多にありはしないだろうけれど。隣に座った順番が初めとは逆で、それがなんだか近い気がして身を縮こませて距離を取る。態々移動しては失礼だから、バレないことを願って。縮めても近い気のする距離が、なんだか落ち着かない。さっきまで怖かったバスの発車音が、今はいい気晴らしだった。『 …優しいんですね、先輩って。………………先輩が自分の傘持ってたら、ですけど、…バス停まで、お願いしても良いですか? 』送ってくれる行為は何処と無く紳士的、よりはっきりと言ってしまえば男性的で、そういうつもりはないだろうにちょっとだけ気分が浮わついた。そんな自分に呆れながら、口元に手を当て、冗談めかした笑みを作る。断るか、受け入れるか、数順の迷い。その末の結末はどっち付かず。でも流石に、バス停の先まで送ってもらうのは気が引けるし、そこまでくれば殆んど帰ったようなものだ。ただ分かれた後の帰りだけ、傘がなければ近くとも貴方はまた濡れてしまうものだから。そこだけ1つ条件だった。)   (5/13 23:41:36)


小室 耕助> 
(君が身を縮こませるのでやはり濡れていて寒いのだろうかと思考する。本人が平気だというのだから、それはきっと自分の気にしすぎなのだろうが。それでも気にしてしまうので、露骨すぎない程度に君の表情を伺って、唇の色や震えなどがないかを確認する。そこからはあまり見つめないようにそれとなく視線を背けた)「優しいとは、少し違うな。私のはただの自己満足だよ。……良いのかい?それならば、バス停まで君を送っていこう」(私が優しいというのは、素直には受け取れない。どこまでも自分勝手でしかないのだ。君をなんとなくで引き止め、そのくせ時間が遅いからと紳士ぶって君を心配しているんだから。だから、君の提案は正直予想外だ。バス停まで一緒に歩いて構わないという。嫌われてなさそうでホッとするべきか、心配するべきなのか判断に悩むが……その提案をのもう。鞄に入った折りたたみ傘を取り出しておき、いつでもいいと君に伝えよう)   (5/14 00:01:13)


蕪木 千歳> 
………私からすれば、それが優しいになってるんですよ。…有難う御座います。( そうは言っても、貴方は納得しないだろうけれど。人は人にした親切をあっさり忘れてしまうという。受けた恩は忘れないのに、だ。だから、恩を受けた私はこの事は忘れてしまうまでは覚え続けているだろうし、それまで優しかったと自分の中で証明し続けられたら良いなと淡く願う。息苦しくって落ち着かない、寒いのも熱いのも心地好くはなく、…互いの名前すら知らない。…………それくらいが、どうせちょうどいい。行きましょうか、と、ぱっと微笑んで、閉じていた傘を開いた。透明な傘越しの水溜まりに、到着したばかりのバスが移る。そんな水溜まりをえいやっと踏んづけて、移る景色を揺るがした。雨音が傘を跳ねて、直接自分の中に響く。その賑やかさは、近すぎた距離が戻ったようで。雨音に書き消されないように、声を張り上げるために吸い込んだ空気が心地好かった。)『 ……もし先輩が良かったら、ですけど、………また一緒に雨宿りしてくれたら、…その、…嬉しいです。 』   (5/14 00:15:16)

蕪木 千歳> 
( なんとなくついていない日ってあると思う。たこ焼きにたこが入ってなかったり。傘がないのに雨が降ってきたり。バスがいっぱいで座れなかったり。………急に友人が風邪を引いてしまったり。『 ………良いってそんな、………ん、気にしないで、ゆっくり休んで、ちゃんと学校来てよ。………………も~~、大丈夫だって、うん、……ん、またね、 』ギリギリまで行こうと奮闘した友人の勇姿、傘もないのに帰ろうとするから、なんて思い当たる原因にくすくすと小さくしょうがないなぁって笑って。暗くなったスマホを握り締めた。お洒落していつもより気合いを入れて整えた髪、新しい私服はどうやら全部無駄になってしまったらしい。寂しさにスカートの端っこを撫でる。けれど、しきりに謝る友人の声を鼓膜はよく覚えていたから、凹んでいられないことも分かっていた。…今日はなんとなくついていない日。それだけだ。帰ってふて寝でもしてしまおう。その位がちょうど良い。いつまでも立ち尽くしていたって、待ち合わせをしている他の人と比べてしまって虚しくなる。気にしない、…気にしない。俯きがちに踏み出した1歩 『 ……………ぁ、 』2歩と来て、靴紐がほどけていることに気が付く。嗚呼、本当に今日は付いていない。隅によって靴紐を結ぼうとしゃがみこんだ。……初めに気が付いたのは落ちた看板自体だっただろう。次いで、街中の人が気が付き悲鳴をあげる。そうして漸く、最後に私が気が付いて、人の目線に釣られて上を見て、小さな声すら出なかった。自分目掛けて看板が落ちてきているなんて、誰が一瞬で理解することが出来るだろうか。)   (5/14 21:30:34)


エレナ・ドラグノフ> 
雨の日の休日。不思議と、泡と話した日を思い出す。雨の日は、彼の顔がかすかに浮かぶようになっていた。一秒とも満たない時間だった気がする。けれど、きっとあの日見た花が咲くような笑顔は、どんな地獄にいても忘れないだろうから。また彼と会ったら何を話そうか、なんて期待を半分。私が彼と会っていない時間、あの人は大丈夫かなと心配を少々。そして、休日は学校が無い。イコールで穂坂食糧担当大臣から昼食が貰えないし、だからとハチロクを呼びつけるのだって気が引けるから、なるだけ気を散らしたいのが残り。真の食事は……アレも特殊な出自だ。差別するわけではないし、寧ろルクレルク人の古い文化にどっぷりハマった食事なのかなとか興味はある。が、わざわざ腹が減ってるのに、空腹の象徴のようなジムにも行きたくない。真夏にサウナに入るような真似なんてゴメン被るのである。で____お腹を減らして歩いている向こうに、同じ学校の女の子が見えた。自分と同じように傘を差して、きっと下ろしたばかりの洋服を大事そうに着ている。『あ___』口から漏れた言葉は、彼女がとても可愛く見えたから。また、あまり話したことが無い学校の子を見たら、少しびっくりしたから。そしてそれらを塗りつぶす極めつけは。『逃げろ馬鹿野郎______ッ!!』なんだって、古くも見えない看板が落ちてくるのだろうか。頭に血が登り、最速で思考を演算する。危機に対抗する最適解を探すために走馬灯は生まれるというが、他人のためにも働いてくれるのなら何よりだ。頭に浮かんだ選択肢は三つ。

彼女を助ける

彼女を助ける

彼女を助ける

『さ、せる、かよ_____ッ!!!』傘を投げ出して、全速力で踏み込む。サファイアを呼び出す暇はない。マスカレイド・ホールを殴り倒した時のような空間転移(ビヨンド・エア)は従って間に合わない。つまり、自力で彼女を抱えて飛び込む他ない。巻き込まれたらどうしようとか、一緒に潰されたらとかは今はいい。バッドエンドに繋がる思考は遮断(シャットアウト)しろ___。だって、当たり前じゃないか。私は少し異常に人よりは頑丈だから、少しくらい痛いのもいい。でも、新しい服を着て楽しいお出かけに出向いたその先で、女の子が死んでいいものか____!!惚けたように上を見る彼女を確と抱く。よし、間に合ったという安堵。そして、それを脳が理解するより先に、ギロチンのように落下してくる看板より先を目指して飛び出す。抱きしめたまま転がり込むような形で……身体に擦り傷をいくつも作りながら、私はしばらく声も出ないまま歩道に寝そべった。『……大丈夫か。怪我は?』   (5/14 21:56:11)


蕪木 千歳> 
( ガ シ ャ ン ッ ッ ッ !!!!─────硝子が砕け金属の割れる音を遠くで聞いた。強張っていた身体に次第に熱が戻り、ゆっくりと溶けていく。ばくばくと耳に届く心音が2つ。うぁんと耳鳴りのように歪みながら、大丈夫かと囲む人達の声が響く。『 はぇ…………………………え"ッッッ、ぁえ"っ、うそっ、えっ、ご、ごめっ、なさ……っ、けが、怪我して、わたし、わたしは大丈夫ですけど、そんな…っ 』『 ど、どうしよ、びょういん、救急車………っ!? 』熱、音、知らない香り、色彩を持った景色が目に映って、ようやく、漸く何が起きたのかを理解した。看板が落ちてきて死にかけたところを、間一髪で彼女に救われたのだ。私には怪我1つなく、雨が静かに頬を伝うばかり。慌てて飛び退き、そして直ぐ様駆け寄った。彼女にも重症は見受けられない。けれど細かな傷は多く、何より起き上がれない程に見えない傷を負っている事が、どうしよう、そんな焦りに繋がっていく。血の気の失せた顔で水飲み鳥のようにただ頷いて、そんなことよりも貴女の事の方が心配だった。こんなときは大抵お礼を言ってほしい、そんなシーンをよく見掛ける。けれど実際出会すと、そんな余裕なんてないくらいに心配で、何より罪悪感がずぐずぐと心臓を突き刺していく。怪我を治せる能力を持っていたら、そもそも、あんなところで靴紐を結ばなければ、こんなことには。無傷なのは奇跡なんかじゃない。ただ貴女が守ってくれたその証だ。)   (5/14 22:30:11)


エレナ・ドラグノフ> 
『準備運動もしないで、急に走り出すものじゃないな……。』アドレナリンが今は溢れているからいいが、きっと明日は休みがもう一日伸びるだろう。いきなり体を動かし、いきなり走り出すというのは身体に馬鹿にならない負担をかける。それは鍛えたかどうこうではない。油が切れた歯車をいきなり回したらどうなるか、という話だ。『大丈夫、私も大したことは無い。ただ、少しヒネっただけだ。』びき、と身体に入る痛みを押して、心配して申し訳なくてどうしようも無いと一目見てわかるような彼女の狼狽え方に眉を下げて困り顔を作った。1番危なかったのはお前じゃないのか?と思いはしたが、口にはせず苦笑しながら立ち上がる。『いったいなんだと言うんだ……』彼女は確か、特段変な行動はなかったはずだ。電話か何かをしていて。それから靴紐を結んで____靴紐を、結んで……。嫌に印象に残ったのはその姿だった。不思議なことなんてない動作に不思議なくらい違和感が湧く。待て。 "……身体に擦り傷をいくつも作りながら、私はしばらく声も出ないまま歩道に寝そべった。" 「歩道」に____?つまり、この現象の正体がカミサマなんだとしたら。『泣くのは後にしろ!走るぞ、少なくとも人がいない場所まで!貴様がこんな人混みにいたら』カミサマ___靴紐がほどけている____靴紐に影響を及ぼし、ほどけさせる。それを結ぶ気になると、看板が落下したり、トラックが突っ込んだりして、あらゆる方法でその相手を殺そうとする。そしてそれが産む災厄は____『次がいつ来るか分からない!!』単一であるとは限らない。轟音を上げてトラックがこちらに進路を向ける。人に囲まれている状況。つまりは最悪だ。離さないように手を掴んだ。足の痛みが走り出そうとする踏み込みを鈍らせる。切り抜けられるかは、正直な話彼女次第と言っていい_____   (5/14 22:50:18)


蕪木 千歳> 
え…………? あ、あの、( 起き上がったことにほっとしたもの束の間のこと。〝 泣くのは後にしろ!走るぞ、少なくとも人がいない場所まで!貴様がこんな人混みにいたら────── 〟私自身になにかをした覚えはなかった。だから、言われた意味がよく分からない。それを問おうとして、ぞくりと背筋に寒気が走る。トラックに目なんて無いはずなのに、何故だろう、目があった、と、此方に突っ込んでくる予感があった。それも、猛スピードで───『ッ─────は、はいっ!!!』殺される。第1に、こんな人集りに突っ込んだら?自分から突っ込んでいったら私1人が、──邪な想いは繋いでくれた手が引き留めた。ぎゅうときつく手を握りしめる。周囲には人、建物、マンホール、窓の類いは雨のせいで閉じきっている。濡れたマンホールの蓋を開けるのは、ただでさえ不可能に近いだろう。人は避けるべき存在で、あとは────『 あそこのドア、突っ込んでください………!! 』1番近くの店のドア。其処を指差し僅かな躊躇いをかなぐり捨てて手を引いた。足の速さに自信はない。運動神経だって全く良くない。それでも精一杯の力で走る。人がいない場所。私を殺すのが目的なら、店の中には突っ込むことはなく、不自然なほどぴたりとトラックは止まる筈だとそう信じて。《 シークレットガーデン 》 ワタシだけの特別な場所。其処に繋がれと普段の感覚を思い続けながら、扉に繋いだ手とは反対の掌を当てて飛び込んだ。……出来ることなら、ふかふかのベットの上とか、勢いよく飛び込んでも問題の無い場所に繋がりますように。)   (5/14 23:14:03)


エレナ・ドラグノフ> 
ぼす。と、気の抜けた音。どうやら柔らかいベッドの上だ。まさか民家、という考えは直ちに否定された。だって、入口付近にベッドを置くなんて有り得ない。そして『す、済まない!』手を引かれて闇雲に飛び込んだ為致し方ない構図だが。手を繋いだままベッドに隣り合わせらしい。これは少し____いや、女友達と一緒に手を繋いだことくらいはある、あるけど問題しかない。慌てすぎて跳ね上がりながら謝罪をして。『どうやら、無事みたいだな。』そしてあの災厄は___どんな手を使ってでも "靴紐を結んだ人" を殺害するために動く。狙われたら余程じゃないと命はない。トラックなんて、誘導弾に等しい。しかし、代わりにアレは標的を正確に狙い "すぎる" 。従って、肝を冷やすほどギリギリまで引き付けて___原理は分からないが、なんらかのディスコードだろう___飛び込んだのが不幸中の幸い。追いかけてきたからこそ、この部屋の入口。すなわち店の扉に飛び込む前に車止めにつんのめったのが今思い出された。あれだけ人もいた、きっと救急車だって来ているだろう。『ここ、は____?』思考は振り出しに。ここはどこ?と間抜けに問いかけ、彼女の方を改めて向いた。   (5/14 23:32:26)


蕪木 千歳> 
( ふかふかなベッドは身体にフィットして沈み、それでも俯せに飛び込んだものだから、鼻に食い込んだ眼鏡のパッドが痛く感じた。…痛く感じられるほどに、どうやら生きている。念のため顔を上げて見渡してみれば、本当に見慣れた部屋の中だった。見慣れた部屋の中、初めて私以外の誰かが居た。飛び起きた貴女に釣られて、そのまま微睡みかねない身体を無理矢理起こす。貴女が謝ることなんて何もない。だというのに、謝られたことが不思議で、離れた掌に温もりが残っている気がして、それが落ち着かずにベッドに深く掌をついた。誠意を示すために正座をしようとして、邪魔な靴をベッドの下に脱ぎ捨てる。そうして深く深く、床ではないが頭を下げる姿は日本の土下座。『 へ…………っ? ゃ、わ、わたしこそ、いろいろ、…………ほんとに、ごめんなさい。……………なんとか、なったみたいで、…良かった………、 』安心すると途端にじわじわと喉元にまで込み上げてくるものがあった。思い出される焦燥と心配、それを上間る安堵と罪悪感が色々な思いを覆い隠す。じんわりと目に涙が滲んで、申し訳無さも合間って、暫く顔を上げられそうにない。『 こ、こは、私のディスコード……能力で出来た、建物の中です。咄嗟に逃げ込める場所が、此処しか思い付かなくて……、えと、あの、ま、巻き込んで、しまって、ほんとに、ほんとにごめんなさい………っ 』   (5/14 23:50:51)


エレナ・ドラグノフ> 
『ば、馬鹿……!謝る時はそんな風に謝るな。私も貴様も危険な思いはした。でもそれは、貴様のせいで起きたことなんかじゃないだろう。』土下座なんてするなよと慌てて制止する。だって、こんな目に遭ったのはカミサマによるものだから、彼女も被害者のはずだ。地震に一緒に巻き込まれて、ごめんなさいと言われても仕方がないように。だから、こんなふうに謝られたらびっくりくらいはする。責任感が強いにしても___『意地を張るところ、責任を持つ場所が違うんだよ。ピンチから助かったんなら、泣きながらでもやらなきゃならないことは助けてくれた人に謝ることなんかじゃなくて、助けてくれた人に感謝することで。そこに責任を持つべきなんじゃないのか。』なんだか、自分に感謝しろと言っているようでバツが悪くなって、頬をかいた。女の子が今にも死にそうだったんだ。いや、男の子だって変わりはないのだけれど。目の前で人が死にそうなんだから、助けに行くのなんて当たり前で____いや、当たり前に、しなくちゃダメなんだ。と、今触るべきじゃない、苦い記憶には蓋をする『私も、貴様に助けられた。とりあえずは生き延びられたんだ、辛気臭く泣くのはよそう。』『で、ここは確か貴様の部屋なんだったな。救急箱だとか……消毒とかはないか。ほら、緊急だっだからと言って、あんな風に飛び込んでばかりだっただろう。怪我とかがあったら、ダメだ。それと、着替えがあるならその靴、念の為に変えた方がいい。』   (5/15 00:05:55)


蕪木 千歳> 
で、でも………でも……………っ! ( 助けてもらわなかったら死んでいた。咄嗟に逃げ込むことが出来なかったら、貴女まで一緒に死んでいた。貴女以外の怪我人だって出た筈だ。それは、知らなかったふりが出来ない。ごもっともな言葉に耳を傾けながら、それでも罪悪感は抜けきらないのだからどうしようもなく、咄嗟に切り替えることなんて出来なかった。恐る恐る、袖で強く涙を拭って身体を起こす。しゃくりを上げてしまわないように、ゆっくりと深呼吸をした。『 救急箱…………此所にはないので…えと、ちょっと、取ってきます。私は怪我してないですけどっ、その、擦り傷とか、消毒した方が良いって思う、ので、寝て、待っててください。………靴、ですか…………? 』握った掌がシーツを乱す。慌ててベッドから降りれば、ふかふかのカーペットは土踏まずにまで吸い付いた。多少強引にでも肩を押して貴女を寝かそうとすれば、指摘に首を傾げながらも靴は履き直さずに、音は立てずに部屋を出た。────────『 …あの、失礼します。 』普段からごろごろしている部屋、だというのに、人がいるだけで緊張を覚えるのは何故だろう。ノックをして、救急箱片手に入った部屋は、普段と違う部屋にも見える。100均で売っているような透明なプラスチックの箱の中には、消毒液や絆創膏、風邪薬等が覗いている。きゅうと喉が凹んで、深呼吸で整える。そうでもしないとまた泣いてしまいそうで、また泣いてしまいたくはなかった。『 ……私、蕪木 千歳っていいます、コード専門校の2年です。…ぁ、ありがとう、ござ、い、ました…………っ、それでその、……お礼に、手当てさせてもらえませんか…? 』   (5/15 00:35:12)


エレナ・ドラグノフ> 
『……大丈夫、大丈夫だから。私は、少しくらいは他の人より頑丈だからな。あのくらいどうにかなったさ。』ならなかったのは百も承知で、言わばこれは強がりなだけだ。けど、自分が助かったっていうのに今にも泣き出しそうな子に言ってやれることなんて強がりくらいじゃないか。『失礼します、ね。貴様の部屋だろう、ここは。それに、手当なんて____』アドレナリンが抜けてきて、体に走っているはずだった痛みがぶりかえす。慌てて歯を食いしばったものの、息が漏れる。よく見たら、真っ白なワイシャツをじわりと血が汚していた。なるほどよく見たら、身体中ぶつけたりすり傷まみれだ。思い出して痛むくらいなら言わないでくれたら良かったのに。とか思ったりもした。____大人しくシャツとスカートを脱ぎ、ベッドを汚さないように腰掛ける。それは言わば筋肉の塊だ。ダビデ像のように引き締まった鋼の肉体が、女性の曲線を帯びているに過ぎない。普通、筋肉は鍛えたら膨らむ。ただ、それは鍛え方にもよる。無駄を削ぎ、戦うために重くなり過ぎず、そも体脂肪など消し飛ばすくらいにまで鍛えたこと。怪力を支える体幹。そうしたものが組み合わさり、見せる筋肉ではなく言わば「使う」筋肉を構築している____『エレナ・ドラグノフと言う。学校は、私も同じ学校だ。まあ、貴様たちみたいにずっと居たわけでもない。18だが、貴様らがヒーローを任され出した後にスカウトされて転校してな。詳しくは覚えてもいないが、諸々の転入の都合で貴様とは同学年だ。』色々面倒だし、いちいち語らないことも多いが、微妙に学年がズレているので三年からしたら実は同い年の後輩だ。『少しくらい目立っていた気でいたが、まだまだ知らない相手も多いらしい。』   (5/15 01:04:07)


蕪木 千歳> 
あ、ぁっ、ほら………っ! ( 此方には怪我1つないというのに、まるで同じ怪我を受けたみたいに顔が歪んだ。慌てて救急箱の留め具を外せば重たい容器が急に開くものだから、中身をその場にぶちまけかねず、慌てて抱き止めた。手当てのためとはいっても貴女だけを脱がせることにすら、今はなんとなく罪悪感を感じる。かといっておあいこにと自分まで脱ぎ出すなどしては、何かが根本的に違う気がする。プライバシー的にも、なるべく見ないように………、そんな思考は鍛えぬかれた身体を見た途端に一瞬固まり『!!!』慌てて頬を心の中でべちんと叩いた。咄嗟に抱き抱えて動けるくらいの人だ、身体を鍛えているに決まっている。『 ぁ、ぁー…………私、忘れっぽいみたいで……す、すみません。えと、じゃあ、エレナ先輩…………エレナさん………………? 』同い年、それに気が付かないことにぎくんと背筋の骨が反る。ぱちぱちと2度瞬いて、困ったような笑みを浮かべた。細かな擦り傷から、血を流すようなものまで、怪我の種類は多種多様。そして、大した医療知識を私は持ち合わせてはいない。寧ろ傷口から覗く赤があまりにも痛そうで、自分の身体までじくじくと痛むような気分になる。罪と向き合うのは気が重いことだった。それでも、消毒液で濡らしたガーゼで細かな砂利や汚れを少しずつ落としていく。擦り傷は汚れだけ落としそのままに、血の流れる小さな怪我には絆創膏、大きな怪我にはガーゼと包帯を巻き付ける。…ヒーローとしての活動が本格的になったら、こういうことに慣れる日や、自分が手当てされるようなそんな日が、来るのだろうか。)   (5/15 01:29:20)


エレナ・ドラグノフ> 
『ややこしいし、エレナでいい。どうしても先輩なりさん付けなりしたいなら止めはしないが。』その辺りの価値観、つまり先輩後輩云々については、母も父も特に教えてはいなかった。文化圏がそも異なるため、ピンと来なかったからだろう。だから、別に年上でも年上でも大体は貴様、だし。先生くらい離れたら不文律的に何何先生、とくらいは呼ぶが、この辺りはフランクで居たい。気を遣われる方が非常にややこしい気持ちになるし、別に先輩と思うなら先輩と呼んでもいい。『嫌味で言っているわけじゃない。私だって、同じ学年に知らない人はいる。例えば貴様がチトセという名前だって、今日知ったしな。』忘れっぽいというか、別に知らないなら知らないは有り得るだろ、と思う。下手に私のこと知らないの?みたいな冗談入れなくてよかったかと反省。なんて気を散らしながら、消毒の芯に染み込むような痛みに汗が滲んだ。塵も積もれば山となる。軽傷も、痛いものは痛いのだとでも言うようにガンガンと身体がクレームを訴えてきている。『___そうだ、服は無事だったか?アレは見た感じ、随分新しいものだっただろう。』ああ、と思い出したように口にしたのは洋服のこと。確か見るからに新品、という感じだったが大丈夫だろうか。めざといと言うなら、私だって一応女の子だ。緊急事態でもなければ、最初に目に行くのはその辺であってもバチは当たらないだろう。『後……もしこのディスコードが長いこと持つなら、今日は寝かせていってくれないか。寮に帰る気力が、情けないが今本当に無い。』   (5/15 01:46:13)


蕪木 千歳> 
えれな、………ちゃん、( 呼び捨てをするほどの勇気は出ずに、ちゃんを付けて丸く濁す。呼び捨てで良いとは言われても、急にそんなフランクにはなれはしないし、命の恩人なだけ気も引けた。堂々とした貴女の態度が年上らしく感じるのも、理由の一因である気がした。丸い言い方は言い方で、胸の内側がこそばゆくて、…落ち着かない。『 、……ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけ汚れちゃったけど、洗濯すれば大丈夫です。 あの、うんっと、…有難う、御座います。そのっ、助けてくれたのもそう、だし、……服のこと、気付いてくれたの、嬉しいなって、思っちゃって………。』服に触れられて、先ず驚いた。落ちつかなさが、また別の落ちつかなさで広がって、心臓を覆い隠していく。友人が来れなくて、無駄になってしまった新しい服、でも、気付いて気にかけてくれる人が、居て、体温が上がって、頬の力が抜けていく。緩んでしまう唇を咎めるために、ちょっとだけ痛いくらいに頬を噛んで、しゃがみこんで何処かに消えてしまいたい気分になった。それでも手当てだけは続けて、最後までやり終えれば、熱を溜め息と一緒に吐き出した。服を着てもらおうとして、ふと気付く。血のついた服を着せるのは如何なものか、とはいえ、サイズの合う服はあっただろうか。お父さんの服は…………ちょっと、貸すのに抵抗感がある。『 あ、の………………、…………? 』被ってしまった言葉に、先にいうほどの意思の強さもなく。先にどうぞと発言権はあっさり譲った。けれど、「後……もしこのディスコードが長いこと持つなら、今日は寝かせていってくれな『 だ、だめっ!!!!!! 』『 ッあ、……ここ、私の家とも繋がってるので、私の家に泊まってくのじゃ、…だめ………ですか…? 』ひゅっと息を飲み干して、気付けばそれは声となって口から飛び出す。遠慮なんて、しているような暇もなかった。それでも一瞬で正気に戻って、いつの間にか握りしめていた腕を離す。それだけはどうしても、止めなきゃいけなかった。)   (5/15 02:20:33)


エレナ・ドラグノフ> 
『ならよかった。危ない目にもあって、服までダメになったら散々だしな。それに、特別礼を言われるようなこともない。よく似合ってたから気になっただけさ。』本当にそう思って口にはしているけれど、こういう時に歯が浮くようなセリフを自然に出すのは、多分ハチロクのが移ったのだろう。一々思い出して後から恥ずかしくなる予感が今頭の片隅を過ぎった。後で文句くらい言ってやろう。疑わしきは罰するでござる『あ、ああ……そうか。確かに、秘密基地みたいだし。大事な場所か何かなのだろう。私こそ、変なことを言ったな。』例えばゲイルのレッド・ドアで寝たいと言ったらどうだろう。広さや大きさ的には寝れそうだが、多分断られるに違いない。ディスコードはそんな簡単に使うものじゃない、と自分にも他人にも戒めておいて、少し怖い思いをした程度でこれだなんて___自分に呆れる限り。そして、結構な剣幕だったのにいささか以上に驚いて。『そうしてくれるなら、願ったり叶ったりだ。と言っても、楽しいお泊まりをするのはまた今度になりそうだな。正直色々あったし、傷の治りも寝れば寝るだけ早い。』服に頓着なんかほとんどないから、このままでも別に寝るくらいだけなら恥ずかしくもないし……と諸々失念したままである。今日は寝て、明日は学校を休む予定だ。大事はとるが、なんとも無かったら自宅にでもたまには帰ろうか。と頭の中はもう明日の話で。『すぐに休んで、そうだな……。良ければ、今度は私の部屋に来てくれないか?実際、部屋と言っても寮というだけなんだが。』呑気に今度は泊まりにおいで、なんて口にしながら世話になることにした。これからあれこれ、もう少し騒がしいが別の話。   (5/15 02:35:16)

彎蜿 一/わんわん> 
─(君は何を思って今日、この場所に寄ったのだろうか?まだ夕暮れと言うには早い、それでも明るいとも言えない時間帯に。)(ちょっとした日常の一部かもしれない。週間かもしれない。─ただ、いつもと違うことはただ1つ。)(黒い服を着た男がそこに立っていたということだ。)(【感知】君の気配に釣られるように、彼が振り返る。)(───ヒラリと揺れた左袖は空白を告げていた。白と黒の仮面は、彼の素顔を隠していた。)「…えっと…こんばんは…?」(こんにちは、とも、こんばんは、とも言い難いこの時間帯。─【演技】彼は少しだけ驚いたような仕草をして、君に首を傾げながらそう言った。そしてその声は、見た目に反してひどく優しいものだった。)>千歳ちゃん   (5/22 18:17:57)


蕪木 千歳> 
( 廃バス停の付近に出来た水溜まりに映ったカミサマ、雨音の帰り道。水溜まりの中に映る、バスが停車してから動き出すまでの動きは何処と無く見ていて飽きることはなく、目を閉じて音声だけを聞くのもリラックス出来て好きだった。今日は、雨は降っていないけれど。それでもなんとなく、居心地が良いような気はしたし、あの日と同じ人に会えたりしないか、なんて期待もあった。けど、『 ぁ、…………こんばんは、』今日来たのは、失敗だったかもしれない。不思議な仮面を付けた男性が、今日は先客としてそこにいた。黒い服に、仮面、片腕だけ風に任せて靡いている。寂れたノコギリを持って徘徊し出せば、ホラーゲームの出来上がり。流石に、持ってはいなかったけれど。それでも、知らない不思議な人は落ち着かなくて、然りとて、足は完全に貴方の方を向いているものだから、引き返すのもあからさますぎて。鞄の持ち手に指が踊る。沈黙がやけに息苦しかった。)   (5/22 18:29:22)


彎蜿 一/わんわん> 
「…君は…コード専門高等学校の生徒だよね?」(少しの間の沈黙。彼からすればほんの数秒のことだけれど、君からすればひどく長く感じられたかもしれない。)(そして、彼からの問いかけはほぼ確信に近いものだった。その問いかけは、確認のようなものだった。)「よく、色んな子と一緒に過ごしているよね。…間違えていたら申し訳ないけれど。学園で見かけたことがあるから。」(彼は君を知っている。お友達に囲まれて、1人になることが少ない子。自分とは真逆の黒い髪を持った、平凡な女の子。)「初めまして、僕は3年のはじめ。─君の、名前は?」(1歩、此方から近づいて。怖がるようなら、そのままの距離で、怖がらないようなら君の声が拾える距離まで。)(彼は静かに、歩みを進めることだろう。)>千歳ちゃん   (5/22 18:36:28)


蕪木 千歳> 
へ……、ぇ、あ、は、はい、そ……です、( 間違えていたら変わった人だなの笑い話、けれど、その質問はぴたりと当たっていたものだから、大きな驚きにびくりと小さく肩が跳ねた。近くにある高校だから、としても、聞かれた意味は?心臓がばくばくと激しくなって、あ、この人に警戒しているんだ、と、他人事のように自覚した。なもんだから、「初めまして、僕は3年のはじめ。─君の、名前は?」『 ……………、……………あ、あ、あー……、…………す、すみませんでした……っ! 』3年生。同じ学校。はじめ先輩。貴方の自己紹介を聞いて、どうして学校名を………とか、そんな疑問は瞬く間に溶解した。心臓を脈打たせていた分の熱量がどっと汗に変換されて、それと共に変な誤解をしてしまったのが申し訳なくて、ぶわりと顔が暑くなる。そんな勢いに押されるがまま、気付けば勢いよく頭を下げて謝罪していた。いや本当に、不審者と思ってしまったことが申し訳なくて。いやでも、そのビジュアルなら誤解してしまうものじゃない…かなぁ……。籠った熱を誤魔化すように、ちょっとだけ目を反らしながらはにかんだ。『 あの、ええっと、…2年の蕪木です。……初めて此所で見掛けたので、その、…びっくりしてしまい、まして………。 』   (5/22 18:51:18)


彎蜿 一/わんわん> 
「ふふ、ごめんね。不審者と勘違いさせちゃったかな…?こんな格好をしてるからよくあるんだ。」(【洞察】まるで君の考えていたことを見抜いたように。けれども君に罪悪感を感じさせないように、軽い雰囲気で。)「でも、この仮面は自衛を込めてるから。勘違いさせてごめんね?」(【演技】姿以外は感じの良いお兄さん。柔らかい雰囲気で少しだけ首を傾げて、謝れば、今度は君の疑問に答える。)「僕も初めて来たよ。今日は何だかバスで帰る気分になれなくて、歩いていたらたまたまって感じなんだけど。…何でだろう、雰囲気に惹かれて来たんだよね。君どうしてここに?」(─そして、その次は此方が疑問を投げかける番。)>千歳ちゃん   (5/22 19:06:18)


蕪木 千歳> 
へっ、!?そ、そんな……ことは………………自衛、ですか? ( ある、あった、とても。だからこそそんなことないですとは言えず、否定のため顔の前で振った掌は、直ぐにしゅんと萎びてしまった。随分と勘の良い、というより、思われる原因まで分かってるということは、疑われ慣れているということなのだろうか。疑われるよりも、優先される自衛。指名手配犯…………というのは単に考えすぎで、ヒーローの秘匿性の為だろう。……そう結論付いてもちょっぴり不思議で、優しそうな雰囲気に流されて首を傾げた。『 ……なんとなく落ち着きますよね、この場所。私は………その、今日は雨、降ってないんですけど、…雨が降ると、そこが水溜まりになって、バスが映るんです。それを見るのが好きで、此所に居れば、降ってなくとも聞こえる気がして。 』雰囲気に惹かれた同志。そう思うと不審者な見た目でも少しは気を許せるような気がして、それと、単純に此所を褒められたのが嬉しくって頬が緩んだ。振り返って指差したコンクリートの上は少しだけ窪んでいて、そしてからっと乾いている。ただ事実を話しているだけなのだけど、不思議ちゃんみたいな説明になってしまうのが恥ずかしい。緩く頬を掻いて、恥ずかしさをそぎおとしてしまいたかった。『 はじめ先輩も、その……良かったら、また雨の日にでも、見てみてください。 』   (5/22 19:19:45)


彎蜿 一/わんわん> 
「…うん、また雨の日に来てみるよ。」(彼は君のお話を静かに聞いていた。)(【洞察】彼は君をじっと見つめていた。君の一挙一動を見逃さないように。)(雰囲気に釣られたといえば、君は少し嬉しそうにした。そして、ここに惹かれた理由を語ってくれた。それはきっと、“カミサマ”だろうに。そんなに容易に触れてもいいものなのか?きちんと報告を随時した方が良いのではないか?そんな疑問は飲み込んで、君が侵食に飲み込まれてしまうのならば、それは、それで。)(─────ただ、過程に魅力は感じても、君がもしも完全に“カミサマ”になってしまった時、彼は興味をなくしてしまうだろうけれど。)(そして、少しだけ話を巻き戻して。)「…自衛に関しては…この仮面の下を見ると大抵の人は引いてしまうから。……知りたい?」(【演技】妖艶で、魅力的な。)(艶やかな声で君に囁かれた、四文字の言葉。君が知りたいと一言答えれば、彼は見せてくれるという確信。)(【演技】ほんの少しだけ、からかうように。)「知りたいなら何でも教えてあげる。可愛い後輩の頼みなら、ね?」>千歳ちゃん   (5/22 19:43:31)


蕪木 千歳> 
えぇ、っと……………えと、…………えぇ………………、 ( 〝知りたい?〟ひたり、と冷や汗が首筋を伝った。頸動脈の峰を辿って、穏やかな外気に混ざり合う。絶対引かないと言えるほどにヒロイックでも善人でもなかった。さりとて、好奇心が引っ込められるほどに大人でもなかった。だからといって、好奇心のままに見て、傷付けてしまうリスクを考えないほど子供でもなかった。だからただ困ってしまって、視線がさ迷う。真偽を問うように仮面に写る赤い瞳を見詰めても、生憎、心理学者でも勘が良いわけでもないし、なんとなく以上に掴めるようなものはない。『 ……………可愛い後輩なら、あんまりからかわないでください、先輩。 』ちょっこし後ろに下がってみた。そうしてさっきよりも顔を上げて息を吸い込めば、冷えた空気が身体に芯を通す気がして。熱でふやけてるよりは良いだろう。告げる口元は拗ねてしまったかのように、ほんの少しだけ尖らせて。ほんの少しだけ胃が痛い。)   (5/22 20:01:42)


彎蜿 一/わんわん> 
「…あらら、拗ねちゃった?」(ごめんね、という言葉。先程の艶やかな声色と雰囲気は何処へやら。初めましての時と同じ、そこにいるのは優しいお兄さん。)(仮面越しにではあるけれど、彼はくすくすと笑って─【洞察】─君を見た。)「お詫びにコンビニで何かお菓子でもジュースでもひとつ奢るよ。ここで出会えたのも何かの縁だし…今日は一緒に帰らない?ね、蕪木…ええっと、名前の方を聞いてもいいかな。」>千歳ちゃん   (5/22 20:10:22)


蕪木 千歳> 
先輩がからかうからですよ、( 雰囲気が和らいだのは此方に気を使ってか、それとも、…思い出すのはyes,noで答える心理テストのルート分岐。ふい、と目線を反らして、それ以上に、先輩だから、だけじゃない威圧される感覚に胆が冷える。けれどそう思うのも、何故なのか。ただ分からない、不思議な先輩なだけじゃない、視られているような感覚を覚えた。……単に、仮面の印象に引っ張られ過ぎているだけではあるのかもしれない。そう思うと、自分が今更ながらあまりに小心者で、笑えてくるような気だってするけれど。『 …………それじゃあ、お言葉に甘えます。…先輩も、名字の方を教えてくれるなら良いですよ。 』あんなことがあったばかりだから、存在の掴めない貴方の側は落ち着かなくって、遠慮して帰っちゃう手もあった。けれど時間はまだあって、何より、何もない先輩なら避けるのは申し訳ない、なんて、妙な良心。抱く申し訳なさも、いずれどうでも良くなるのに。鞄を確りと握り直して、廃バス停の影から出れば、後ろを振り返りながら小首を傾げた。)   (5/22 20:27:30)


彎蜿 一/わんわん> 
「…もしも、名字がないって言ったらどうする?」(君が名字を聞きたいと願えば、彼はそう返した。)「そうしたら、君は名前を教えてくれない?…それは、ちょっと寂しいなぁ。」(─なぁんて。彼は軽口を叩くように言っているけれど、名字があるかないか、なんて、君は本当か嘘か判断できないだろう。)「…どうする?可愛い後輩ちゃん。」(少しずつ、廃バス停から離れて、目的地に歩き出しながら。彼は君にそう問いかけた。)>千歳ちゃん   (5/22 20:36:10)


蕪木 千歳> 
それは……………、考えて、なかったです。( ぱちくり。改めてまじまじと見たところで、やっぱりその真意は分からないまま。またからかわれている。その可能性を考えない訳でもない。けれど、本当だったら?…いたって普通の家庭で育った、育ってしまった、ものだから。そういった人の心境は分かりようもない。結婚して名字をあげる、なんて無責任だろう。人懐っこい人なら兎も角。『 ……………それで傷付けてしまっていたら、その、…すみません。…………けど、 』『 教えませんよ。……先輩に名字が付くまで、…私は蕪木 後輩ちゃんです。 そーいうこと、で、……あの、お願いします。』貴方がもしも助け船を出すよりも、結論は早くに、無理矢理中から引きずり出した。そっちの方が気を使わせてしまうようで嫌だった。だから、特別扱いもしない。ちょっとだけ答えるとき、悩みすぎるのと、申し訳ないのとで眉は寄った。言い切れば困ったようにふんにゃり表情は崩れてしまって、頭を下げた。けれど現状、これが精一杯の良案だったように思う。)   (5/22 20:47:56)


彎蜿 一/わんわん> 
「えぇ、うーん、それは困っちゃうなぁ。」(【おもい】だって、折角なら名前で呼びたい。名字なんて、その人の“括り”ではなく、その人の“唯一”である、名前を。)「…じゃあ、蕪木の名字を名乗ってもいい?そうしたら、教えてくれる?」(【演技】困ったように、少しだけ、縋るように。)「…名字、あんまり好きじゃないんだよね。だから、あんまり名乗りたくないんだ。それに、その事もあってかみんなの事もなるべく名前で呼びたいんだ。」(【演技】過去になにか、悲しいことがあったことを仄めかすように。)「…後輩ちゃんの名前、知りたいなぁ」(だめ?、と。─首を傾げる彼は、今だけ小さな子供のように見えるだろうか。)>千歳ちゃん   (5/22 20:56:43)


蕪木 千歳.> 
……………………。( ずるい先輩だ。ずるい、先輩だ。なんだか此方が悪いことをしているようで、つきつきと心臓が痛んだ。最悪、後輩ちゃんで固定でも良いだろうに。此方の良心が申し訳なくなる話題を出して、………なんて、邪推?まあ、ちょっと意地を張ってしまっている所もあった。名前なんて、気にせず教えてしまえば良いだけだ。その上、それなら、と申し訳無くなってしまうような事情だってある。…ないから、教えなきゃいけないのか。ぐにゅっと眉が寄って、そうして、溜め息と共に弛緩した。『 ……もーー…………しょうがないですね、折れました、私の負けです、…………私の名字を名乗られるのは、………け、けっこんしたみたい…で、恥ずかしいので、だめですっ、もう…っ!…………………千歳です、下の名前。千歳(せんさい)って書いて、ちとせって読みます。…………コンビニの、1個追加してくださいね…? 』顔に籠る熱を、こほんっと咳をして撥ね飛ばす。空気に指先で文字を書いて、千と歳、画数の差が凄い名前の出来上がり。このくらいは良いだろうと、むぅ………とした様な目で見詰めながら我儘を口にした。)   (5/22 21:12:04)


彎蜿 一/わんわん> 
「ふ、あは、ごめん、意地悪しすぎたね。」(【演技】くすくす、くすくす。楽しそうに笑う彼は、君をからかっているだけのようにも見えた。少しの間、楽しそうに笑って、んんっ、と取り繕えば、君の名前を呼ぶのだ。)「───千歳。」(【愛情】その声色は、今までのどんなものよりも甘ったるく、重く。)(【愛情】まるでその名前を宝物のように。)(【愛情】ころり、と。幼い頃にトクベツだよ、と貰ったご褒美の飴玉を転がすように。)(───君の名前を、呼んだ。)「…ありがとう、教えてくれて。素敵な名前だね。」(─そして、君が何かを言うよりもはやく。まるでそのタイミングを見計らったように目的地であるコンビニに辿り着いただろう。)(彼は宣言通り、君にお菓子でもジュースでも、何でも買ってくれる。むしろ君が遠慮して少し安いのを買おうとすれば、こっちじゃなくていいの?、と別のものを提示するくらいに。)(─傍から見れば、学校帰りにコンビニデートしにきた先輩と後輩、のようで。)「…千歳、欲しいものは決まった?」(───けれど。)(あまりにも、彼は。)「…それが欲しいなら、ほら、カゴに入れていいよ。」(─とても、楽しそうにしていることだろう。)>千歳ちゃん   (5/22 21:30:19)


蕪木 千歳> 
………………、……………っっ~~~~~!!!?? な─────っっ ( 本能的にぼわりと身体中の体温が顔に集まって、反対に、体温の無くなった体はぐんにゃりと歪んで気味が悪かった。ぐわん、ぐわん、と、名前を呼ぶ声が木霊する。見開いた瞳に、自然と身体は前に傾いて足が進んだ。踏んだのは、地面より柔らかな萎びたマット。ぴろろん。ぴろろん。軽快な入店音と共に、冷風が頬を撫でていく。それらは、意識をはっとさせられるようだった。コンビニ。コンビニエンスストア。目的地。今更はっとするような事は何もない。ただ、目的地に着いただけなのだから。『 これと…………あと…………、 』何処に行くか一瞬迷ってから、欲しいもの探しは始まった。それは随分と楽しそうで、接する態度に、兄がいたらこんな感じだったのだろうか。なんて思いもする。妹に甘いお兄ちゃん。…同級生にモテそうだ。ちょっとだけぎくしゃく、関節の動きがほんのちょっとだけ鈍いけれど、楽しそうな貴方に引き摺られるままに、きゅうと口角を上げた。選んだのは結局の所、100円の紙パックのリンゴジュース。それから、150円くらいのシュークリーム。その2つ。色々提示されはしたけれど、コンビニの、とはいっても高価なものに手を出すのは気が引けた。それに、この2つは普通に好きであったと思うから。だからこれで良い。篭の中の2つを、不思議な感覚で眺めて。そうして小さく首を傾げた。『 ……先輩は、何か買わないんですか? 』   (5/23 19:27:21)


彎蜿 一/わんわん> 
─(君が選んだのは100円の紙パックのリンゴジュースに、150円程のシュークリーム。もう少し遠慮しなくてもいいのに、なんて思うけれど、彼は君がこれでいいと一言言えばそれ以上何かを勧めることはしなくて。)「ん?僕?…そうだなぁ、明日の朝ごはんくらい?…別に、何でもいいんだけど。」(君が選ぶのはとても、楽しそうにしていたのに。)(─自分の物を選ぶ時は、ひどくつまらなさそうに。ただ、そこにコンビニに陳列されているパンやサンドイッチをぼんやりと見ていた。)「……。…まぁ、食べなくてもいいかな。」(そうして見つめること数秒──彼からすらば、充分長い時間だと言うけれど──結局何も選ばずに、リンゴジュースとシュークリームだけが入ったカゴを持って、君が止めなければそのままレジへと向かうだろう。)>千歳ちゃん   (5/23 19:38:27)


蕪木 千歳> 
( 貴方が明日の朝御飯を選んでいる間、あ、新しいパン売ってる。そんな事を思いながら、ぼんやりと陳列棚を眺めて。そうして、そのまま何も選ばずに立ち去ろうとするものだから。『 へ……、え、え、じゃ、じゃあっ、これとか、……どう、ですか?』思わずあたふたと驚いてしまって。咄嗟の事にどうしよう、どうしようと頭の中で小さな私がわたわたしながら、見慣れた陳列の中、1つのパンを手に取り篭にいれた。選ばれたのは、5つ入りの小さなチョコクリームパン。安定の味。苦手な人はそう居ないだろうし、食べる量の調整も可能な無難な代物。『 ちゃんと、ご飯は食べないと、い、1日、元気いっぱいで動けないんですよ。 』………そんなことは、まあないけれど。でも少なからず、食べないよりは食べた方が身体にエネルギーが行き渡って、元気になるのは強ち間違いでもない…はず。大慌てな身体に、ふぅ……と吐き出した息で隙間を与えて。チョコパンが苦手じゃないか、朝御飯を他の日はちゃんと食べてるんだろうかと、そんな心配をちょっとだけ瞳に滲ませて、そっと見上げた。)   (5/23 19:54:07)


彎蜿 一/わんわん> 
─(君から提案され、カゴに入れられたそれを見つめて、ぱちり、と。仮面越しではあるけれど、彼の赤い瞳が瞬いた。)「…チョコパン?…うん、千歳が選んでくれたのなら、それにしようかな。」(そう言って君の選んだチョコパンをカゴから取り出すなんてことはせず、ただほんの少しだけ、物珍しそうにそれを一瞥してからレジへと並ぶ。)(今の時間帯、人はそう多くないけれど、数人程度の部活帰りであろう学生が並ぶそこで、彼はぽつりと呟いた。)「…朝ごはんを、食べる家で育ってこなかったから。あんまり朝食べるってことにピンとこないんだよね。時々食べることはあっても、毎日は食べないから。」(まるで、“ないしょばなし”をするように、君にだけ聴こえるように。)「────だから、千歳がいてくれて良かった。ありがとう。」>千歳ちゃん   (5/23 20:12:32)


蕪木 千歳> 
中にチョコレートクリームが入った、…パンです、美味しいですよ ( 自分で説明を始めながら、いやいや、何をわざわざ解説しているんだ、と、冷静に自分でつっこんでしまう。なにも、チョコパンって、なに?の?ではないだろうに。急に篭に入れられたものだから、驚いてしまったのだろう。それでも反射的に、物珍しそうな見方からもしかして知らないのでは、なんて思ってしまって。反射的な反応が続かなかったものだから、説明の最後はややぎこちなくなってしまった。ともあれ、断られることがなかったのが、1番ほっとしたように思う。同い年か、後輩か、先輩か。軽やかな青春を過ごす他校の生徒がレジを終えるのをぼんやりと眺めるその一方で、告げられる言葉。多分、返す言葉は少しずれている。それでも細い、記憶の糸を辿った。『 …………10時と15時におやつを食べるお家もあるんですよ。…おばあちゃん家に行くとよく、10時にクリームパンが出てきました。…………、……どういたしまして、 』   (5/23 20:41:17)


彎蜿 一/わんわん> 
「…そっか。きっと、千歳のおばあちゃんは良い人なんだろうね。」(彼は少しだけ─【演技】─羨ましそうに、その言葉を口にした。)「千歳といると、ついつい何か話しちゃいそうになるな。…あんまり、人様に聞かせられるようなものじゃないからさ、いつもは自制しているんだけど。」(千歳は聞き上手だね、と。そう言って曖昧に言葉を濁す彼は寂しそうに見えただろうか。)(彼の見た目に怯えた定員がたどたどしくレジに商品を通していく。彼はそれをなんてことの無い日常のように、何も感じていないかのように流して、お金を払う。レジ袋は2枚。)(君の選んだリンゴジュースとシュークリームを袋に入れてもらって、君に渡すのだ。)>千歳ちゃん   (5/23 21:03:29)


蕪木 千歳> 
…………そう、ですね。可愛いおばあちゃんですよ。( きっと、そうだった。また記憶の糸を辿って、ふ…っと懐かしむような、そんな笑みを私は浮かべたことだろう。『 ……私はそんなに、聞き上手でも、頼もしい人間でもないですよ。…けど、えと、力になれそうなことなら、なりたいのと…………ありがとう、ございます…? 』ぼんやりと前だけを見ていた視界を少しだけ上げて、白黒のマスクと白髪を映した。そう、かなぁ…………。言われた言葉には実感が湧かない。それは、自分なら自分に相談はしないだろうと思うが故か。仮面の下を見ることだって出来ない人間だと、そんな実績があるからか。困ったように、照れたように曖昧にはにかんでみる。前を見れば怯えを見せる店員さんの姿に、ひっそりと同意を示した。ぴろろん。ぴろろん。入ってきたときと同じ音。けれどこれは正反対な終わりの音。自分の分、ちょっぴり重い袋を受け取れば頭を下げた。『 その、有難う御座います。…ご馳走さまです……? 』   (5/23 21:19:22)


彎蜿 一/わんわん> 
「きっと、聞くことで力になれることもあるんじゃないかな。その心を忘れずにいれば良いと思う、な。僕は。」(説得とか、そういう任務が例えばあったとして。そういうものはまずは話を聞くところから始まる。だから聞き上手というのは、そういう面ではとても活躍ハズ。君に、自信は無いようだけれど。)「どういたしまして。コンビニで後輩に奢るなんて出来るとは思ってなかったから、楽しかったよ。」(彼の腕にかけられた、がさ、と揺れる白いビニール袋は君の選んだチョコパンが入っている。)「また機会があったら、──一緒に来ようね。」(たまたま廃バス停で出会った不気味で、不思議な彼と。君は“次”の約束をしてくれるだろうか?)>千歳ちゃん   (5/23 21:40:20)


蕪木 千歳> 
………ありがとうございます、先輩 ( まるで、好い人みたいなことを言う。とはいえ、確かに大切な志で、いざというとき抱いていて損することはないのだろう。忘れるまでは覚えていよう。密かにそう思い、僅かに瞼が下を向いた。外の日は随分と沈んでいて、オレンジ色の太陽が、一片だけを辛うじて残っていた。最後の足掻きか、それは随分と眩しくて。焼けつくような夕焼けだと、誰かは語るのだろう。『 ……そうですね、また、機会があれば、……その時は、また来れた記念……とでも、言うことで。………今度は、私が先輩に奢りますよ。……1個だけですけど、 』ちょっとだけ前に足を進めて、そうして、夕日を背に振り返った。きゅうと微笑んだその表情は、逆光になってあまり見えないかもしれない。けれど、私は此方なので、と、途中でお別れしてしまう後輩は、確かに次を約束しました。)   (5/23 21:55:22)

蕪木 千歳> 
……………。………、……………………、……………。…………っ………………は、はなちゃん………っ!( 見なかったことにしちゃったって良かった。周りには誰も居なかったし、中に居るその子と目があっちゃった訳でもない。トイレからの帰り道。何も見なかったことにして、バス停に行ってバスを待ってても、図書館に行ってバスが来るまでの時間を潰してたって良かった。けれど、1人で掃除をする姿を見掛けて、それが出来るほどに気が強くなんてなかったものだから。見て見ぬふりをしたら、厄介な良心のふりをした何かがその事を果敢に責め立ててくるものだから。だから、暫く迷った末に、私は小さく肩を落として、そうしてもう1度、深呼吸して背筋を伸ばした。夕日の差し込むオレンジ色の空き教室。机も、そしてそこを1人でお掃除するあの子も秋色で、秋教室、なんて風にも言えたかもしれない。ガラガラと音が響く引き戸は、存在を示すには十分だった。『 …………で、あってるー……よね…?あの、その、お名前………、お邪魔じゃなかったら、その、お掃除、…お手伝いしたいなー……とか、思っちゃって 』高い身長。真ん丸眼鏡。同じ学年、生徒数が減ってしまったものだから、つまるところ同じクラスメイト。菱沼 華。えへへ、と、少しだけ照れた風に、恥ずかしそうに微笑みながら、頬を指先で引っ掻いた。)   (5/24 22:45:21)


菱沼 華> 
「 ( ひとりきりで何かをするには、慣れすぎていた。自らが良かれと思って行う行為が内申稼ぎだとか、あるいは偽善だとかいう風に言われるのは良くあることで、けれど大多数の人々に評価されないからと言って手を抜くわけにはいかなかった。神様は常日頃の行いを見ていると言うし、それに、何より。ヒーローを目指すなら、言動のどれをとっても恥じない人間でいたいと、そう思ったから。背面黒板の下に散らばるチョークの粉を濡らした雑巾で一旦拭き取り、大きな埃や消しカスは箒で前へと掃く。少し進めては、箒を窓際の出窓に置いてまた別の濡れ雑巾を手に取り雑巾がけを。腰は痛くなるし黒板掃除をしていたらシャツをうっかり汚してしまうなんてしょっちゅうだけど、教室が汚くなるということは、それだけこの学校の人が、先生が、熱心に授業に取り組んだ証だから。何も苦に思うことなんてなかった。パサパサ、キューッ と、掃除用具たちの仕事をこなす声だけが、茜色のさす教室にはあった。そして――――)( ガラガラ、と古めかしい音が教室に生まれる。それは常日頃よく耳にしている、扉を開ける時の音だ。雑巾がけの手を止めてドアの方へ視線をやれば、見覚えのある生徒の姿。蕪木千歳さん。もちろん、クラスメイトの名前ぐらいはしっかり覚えているとも。“ その、お掃除、…お手伝いしたいなー……とか、思っちゃって “ 彼女のなんとも有難い申し出に翠玉の瞳はきらり、一際煌めいた。) 蕪木さん…、ありがとうございます!あ、それなら、…箒で埃とか掃いてもらえますか?何回も立ったり座ったりするの大変で。( 既に汚れた手で何度も触れた箒を彼女に渡すのは憚られて、掃除用具の一式詰まったロッカーからまだ毛先の折れていない箒を選び、彼女が握るだろう箇所より幾らか下の、毛先に近い部分を持って差し出した。わざとらしく空いた手で腰をトントンと叩き、ほんの少しの苦笑いを添えて。)」   (5/24 23:10:50)


蕪木 千歳> 
( あ"っもしかして、距離感近かった…? 華ちゃんと、蕪木さん。女の子は基本的に名前で呼ぶようにしている。普段から親しくお話ししている訳でもないし、彼女が名字で呼ぶのは何も不自然じゃない。どうせ、このことだって_____。けれど、それはそれ、というか。何こいつって思われてたらどうしようとか、そういうことはどうしても、思ってしまうわけで。心の中の自分がノータイムでやってしまった………と頭を抱えた。けれど今更、呼び直すことだって出来はしない。『 ………ん、りょーかいしました。ぱぱっと終わらせて、私もそっち、手伝っちゃうね。 』 心情は顔に出さずに、へにょんと微笑んで。了解しました、隊長、…なんて、一瞬敬礼をして承服した。外に出ている箒があるのに、と疑問を覚えることはあったけれど、態々触れるよりも、何も気にせずに始めてしまった方が早い。腰が痛いなら変わろうか?そんな提案が出来なかったのは、断られるのを危惧したから、指示に従った方が楽だったから、腰が疲れるのが嫌だから?…何れが正解でも、ろくなものじゃなかった。均等にぶら下がってる箒の内から、綺麗な1本を手にとって。埃と床の境界線。その1歩手前から丁寧に、けれど素早く箒掛けを始めた。変わろうか?とは聞けなかったけれど、二人でやってしまった方が早いし、疲労もちょっとだけ半分こだから。埃の群れを奥へ奥へ、端へ端へと一纏めになるように追い込みながら、掃除に関する記憶を探す。漸く見付けられたものも、確か、とついてしまいそうなほど曖昧なものしか残っていなかった。『 ……小学校の修了式の前の日とか、床をスポンジで掃除とか……ね、したよね。あれ、大変だったなぁ………。 』   (5/24 23:35:04)


菱沼 華> 
蕪木さん>「 ( ぱちぱち、と瞬きをした。“ 私もそっち、手伝っちゃうね。“ … たいていの子は楽な方を担当したがる。掃除当番のとき、箒係がジャンケンで決まるのは。箒の方が楽だからで、冬場なら冷たい水にわざわざ手を入れるのが嫌だからで、何よりも汚れた雑巾に触れることが嫌だからで。それを考慮して箒がけを頼んだというのに、彼女はさして気にした様子もなく雑巾がけの方まで手伝ってくれると、そういって微笑んだ。まこと、幸運である。ひとりきりでもいいと思っていた時間に進んで手伝いを申し出てくれたこと、嫌な顔もせずに頼みごとを引き受けてくれたこと。いちばんは、このような素敵な女性がクラスメイトとして切磋琢磨しあえる状況にあること。 『 お願いします!』 こちらも敬礼を彼女に贈ろう。) 」「 学期末や学年末のの掃除は大変でしたよね。ワックスをかけるのもちょっと手間でしたし。…黒板消しクリーナーなんかは普段から洗わないから、その日は流しも手も服も真っ白になっちゃったりして!蕪木さんはやったことある?( 彼女が箒で掃いた通りを雑巾とともになぞる。少しばかり乾燥してきた雑巾を予め用意していたバケツにいれて、箒でははらいきれなかった微細なものたちが水に浮かぶのをよそにふと目に付いた黒板消しクリーナーにまつわる話をひとつ。きっとこの教室のクリーナーも同じ状況だろう。おしろいを重ねたみたいに白くなったある時の自分がどことなく面白おかしくて、ふふ、と抑えきれない笑い声が零れる。ぎゅうと固く絞った雑巾とともに再び床に向かいながら、彼女にも尋ねてみよう。)」   (5/25 00:00:06)


蕪木 千歳> 
…………私のとこは…確か、先生が頑張ってたかも…? あんまりやった覚えはないなぁ…………。……………ぁ、…でも、クリーナーを開けたときに凄く煙たかったのは、なんとなく覚えてるかも……? あと…クリーナーが掃除中だったから、ベランダに出て、黒板消しをばふばふ…って、したのとか。( 記憶の糸は引っ張れば案外引きずり出せて、その癖変なところでぷつりと切られていた。担任の先生とか、顔とか、なんだったっけ。ベランダに出ることの楽しさとか、そのときに見た景色とか。非日常に感動した幼心は、遠い昔に色褪せてしまったか、もう忘れてしまったらしい。…けどそのわりに、チョークの粉のあの匂いは、好きでもなかったはずなのに鮮明に思い出せるのだから、不思議。楽しそうな貴方に釣られて、懐かしむような笑みを溢した。四方八方に散らばっていた埃は今や一纏め。箒を壁にかけて、1度ロッカー前に戻って、ちりとりと小箒を取りにロッカー前に戻れば、埃は此処からおさらばだ。謝りはすまい。掃除をする以上、これも定め。…ふざけたことを思いながら、敢えなく埃はゴミ箱の中に吸い込まれた。ちりとり等を戻すついでに、ロッカーに掛けられた雑巾の1つを手に取る。そうして、絞り終えた貴方と代わり番こで、バケツの中に水を浸した。『 うひゃ…………っ、……………バケツ、運ぶの重かったなぁ……。…………此方側からやっちゃうね。 』からっと乾いていた筈の雑巾が、僅かな抵抗だけを見せて水中へと飲み込まれていく。意を決して手を突っ込めば、ひやりとした水に此方まで飲み込まれそうで、ほんのちょっぴり声が出た。固く水気を絞りながら、ふと思い出したこと。呟いた言葉に大した意味はない。立ち上がり、貴方と反対側、後々合流するように、箒をかけたばかり側から雑巾がけを始めた。……確かに結構、腰に来る。)   (5/25 00:27:58)


菱沼 華> 
蕪木ちゃん>「 ( 会話のさながら、掃き掃除を終えたらしい。あまり長時間掃除に付き合わせるのも悪いだろうと雑巾がけのペースをあげる。それは小学生がよーいドンで教室を駆ける様子にも似ていることだろう。もっとも、あれは身体が小さく若いから出来る芸当で、今となっては前傾姿勢のまま雑巾を置き去りに転倒してしまいそうであるから。流石にそこまでのスピードは出せないけれど、1人で意味もなくゆっくりと進める時よりは俄然気合いが入っている…ような、気がする。) …そうだ、クリーナー、今度一緒に洗いませんか?いや、あの、…べつに無理にとは言いません。わたしは嫌いじゃないですけど、服も汚れることがありますし…。蕪木さんの都合とかも、あるので…。( きゅうー…ッと雑巾を滑らせ、教室の端へと辿り着いて。すっかり疲労気味の腰を労わるように握った拳でトントンと優しく叩きつつ一休み。そして同時に、同じく雑巾を滑らせる彼女に提案をひとつ。今度、というのは願掛けに似たものなのだろう。) 」「 ( この掃除が終わったあとに彼女を帰らせて一人でやったっていいことには違いなかった。或いは今日のところは途中まで共に帰途を辿り、次の日に暇を見つけてやってもよかった。けれど、もし彼女が嫌でないのなら。せっかく声を掛けてくれた彼女と、これっきりでまた暫く話すことがなくなってしまうのは、少し、寂しいような気がして。とどのつまり、彼女との “ 次 “ が欲しいだけだった。)( 人間というものは移り気だから。今日声をかけてくれたことが彼女の気まぐれで、この提案を断られてしまったら?否定されるのは誰だって怖いもの。沈黙を生むまいと再び床と向き合った。残されたスペースは一往復もすれば終わるだろうところまで進んでいて、これさえ終われば後は机を元の位置まで戻し、椅子を降ろすだけだ。心臓がどくどくと大袈裟に拍動しているような気がした。) 」   (5/30 23:21:19)


蕪木 千歳> 
( 雑巾をかけた場所とかけていない場所の違いは濡れているか否かで、細かな埃も拭われた分かけ終えた場所の方が幾分か綺麗。とはいえ拭きながらそんなに意識も出来なくて、はたとずれていることに気が付けばそっと軌道修正を。端まで辿り着いてから、ずれたせいで拭き忘れた場所を拭いて、と。小さい頃は多分、もっと無邪気にやっていたような、そんな気がする。或いは部屋を掃除するとき、棚を拭くときはこんなに手こずらなかったような。やっぱり規模と、体勢のせい?モップがほしい……なんてのは、現役の小中学生にも通ずる願いだろうか。『 、じゃあ次は、汚れても大丈夫な服、持ってきとくね。今度ーって、あの、…あくまでも私の偏見だよ?絶対そうだしそうだろぉーって、言ってるとかじゃなくって、その、偏見として、結構なあなあになっちゃうこととか、あるから……、授業予定確認して、この後時間あったらいつやるか決めちゃったり……………とか、 』今度、次の縁が繋がるのは、ちょっぴり予想外。でも確かに、お泊まり会とか、また雨宿りとか、コンビニとか、次への縁は結構多くて、…そういうのが俗に言う、高校の頃に出来た友達というのになるのだろうか。貴方からの提案は予想外で、だけど、一方的に馴れ馴れしくしすぎたか、なんて思っていたものだから、歩み寄られるのは嬉しかった。ふんにゃと、その思いを柔い笑みに滲ませて。それから、困らせてしまわないかとまごまごしながら提案を1つ。ずるい子だから、雑巾がけの体勢に顔を隠して、少しずつ近付く声がこそばゆい。今度って約束をして、今度が来なかったら、どうせ忘れてしまうとしても寂しいから。だから、戸惑って、なかなか本題に踏み込めずに回り道までして、あの、とか、その、とか、小さな唸り声の邪魔っぱり。『 ……ね、どう…でしょう。 』最後まで拭き終えてしまえば逃げ場はなくって、ちょっぴり照れてしまいながら、顔を上げて首を傾げた。)   (5/30 23:59:18)


菱沼 華> 
蕪木ちゃん>「 ( 終業の挨拶をしてから、一時間かそれ以上の時間が経過していた。廊下、黒板とチョークの置き場、それから、教室の床。一人で片すには途方もない労力と気力を伴う行為が今ようやっと終止符を打とうとしている。清掃の任務を全うした雑巾は先ほど水に浸したというのに既にほとんどの水分を失い、パリパリだ。裏側はきっと灰色に塗れて、手で触れていた表側の真新しそうな白色とは見事なコントラストを見せてくれることだろう。……もっとも。それほどまでに教室が汚れたまま放置されていたというのは問題だが。それはそれ。床に置いたままの雑巾を滑らせながら半分に折るようにして持ち上げ、チリの類が残されたままにならぬように細心の注意を払った。ゴミ箱の上で折った雑巾を開き、ぱたぱたと開いて閉じてを繰り返し付着物を落とす。) ( 自分よりちょっぴり遅れて。ズレを許さず、丁寧に、ていねいに作業していたらしい彼女が顔を上げる瞬間を見た。)」「( 『授業予定確認して、この後時間あったらいつやるか決めちゃったり……………とか、 』『 ……ね、どう…でしょう。 』確かに。首を傾げながら提案をする彼女に対し大きく二度か三度頷いて、肯定の意志を示した。それから黒板横のカレンダーに視線を移し、余裕のありそうな日を探して。それから、ひとつ。親睦を深めるための口実を見つけ、思わず口角が上がる。) そうだ、決めるならついでに。もし万が一急な予定が入っちゃったときのために、もしよければ、もしよければですけど!連絡先の交換、…しませんか?( クラスの時間割表とカレンダーとを目にして思いついた “ 親睦を深めるための口実 “ 。このあと予定を決めるだけの時間があるならいいけれど、もしなかったら?予め決めた予定に別な急を要する用事、…たとえばそれこそヒーローとして活動なんかが入ったときのためにも。連絡ツールは必要不可欠だ。水の入ったバケツを持ち上げ、ちゃぷちゃぷと揺れる水面にいつ零すだろうかと肝を冷やしながら 終点に到着したばかりの彼女に問うた。交換するとしても、手をキレイキレイしてからだけれど。)」   (5/31 00:30:16)


蕪木 千歳> 
( そわそわして、遠距離からプレゼントを受け取ってもらえたらと提案するような、そんな距離感はなんだか似た者同士な気がして、…気がしてから、自分はこんなに良い子ではなかったことに気が付いて、似てる、なんて風に思ってしまったことが、申し訳なくもなった。雑巾を折り畳み、黒い面を隠して。まだ綺麗な、それでいて体温が伝わって温くなった白い面を掴んで持ち上げる。『 最近結構ばたばたしてるもんね……、…………その、LINEで、良ければ 』私はよわっちいから。任務にお呼ばれすることは殆んど無い。でも、何人かの生徒はもうヒーローとして活動していて、ああ~…なんて苦笑しときながら、万が一が無いことを願った。もし貴方が死んでしまったら、返事が来ることはない連絡先は何れ程寂しいことなのだろう。下に埃が落ちてしまわないように気を付けながら立ち上がると、曲がったままで固まってしまっていた腰がよく伸びた。虚しい気分もそのまま、真っ直ぐになった腰から滑り落ちてしまえば良いのに。あまり汚してしまわないように、指1本に力を込めて引き戸を開けた。バケツを代わりに持てるほど、紳士でも、力持ちでも生憎無くて。2人気で持つのも寧ろ難しく、だからせめてものサポートを。水道場までそう遠くもない。けれど、持たせてもらえそうなら途中交代も視野にいれて。掃除は後ちょっとで終わる。雑巾とバケツを洗って、手を洗って机を直して。それは30分もかからない。これが終わったら連絡先を交換するんだ、と、そう思うとそわそわしてしまって、時間なんて尚更あっという間で。もしも、…もしも千歳ちゃんと呼んで貰えたら、それは苦しいけれど私は喜ぶだろうなと、そんな風に思えた夕刻のこと。/〆)   (5/31 00:54:32)

小室 耕助> 
(ここ最近、自分の身の回りには結構な変化が起きている。任務をこなしたのもそうだし、新たな知り合いと過ごす日も多い。任務による身の危険を多少感じたが故に、方々を巡って色々知識を習って身を守る為の武器を作って使い方を考えて……やる事をやっていると、どうしても時間というのはあっという間に過ぎ去るものだ。ここに来るのはいつぶりだろうと、記憶を遡らせる。後輩の少女と約束を交わしていた事はちゃんと覚えている。しかし結構日が空いてしまった。彼女はここに来るだろうかと、遠い遠い道の先を見つめている)「…………ん?」(視線の先に、ぼんやりと人影が見えてくる。これは彼女だろうか?さて間違えていたら恥ずかしい、それに待ち合わせをしていたわけでもないが。いや、試しに軽く手を振っておこう。いるというのがわかりやすいだろうし、人違いだったり嫌がられてしまったりしたら、その時はその時としておこう)   (5/29 23:51:31)


蕪木 千歳> 
( 貴方が誰なのか分からなくて。初めは知らない人に手を振られたのかと反射的に思ってしまった。少しの間を置いて、細く短い記憶を辿って。貴方が誰なのかの検討が付いた。だって、仮面とか、すごく良かった背が高いとか、そういう特徴がなかったんだもん。…それは私だって、同じだけど。名前は知らない先輩。黒髪。短髪。廃バス停で会って、雨音の帰り道を一緒に眺めた。今日は雨降りでないのに出会ってしまったから、雨宿りの先輩、そんなタグ付けは消さなきゃいけない。名前も知ったら、先輩は何になるんだろう。小さな会釈と共に、手を振り返して。読み掛けの本を閉じた。『 あ………と、…お疲れ様です…?……その、学校とか、 』無難にこんばんは、でも良かっただろうか。けれど同じ学校のわりに、それは随分と他人行儀である気がしてしまった。だから私は、距離の近付いた先輩にそんな言葉をかけて、自分で、なにが?なんて疑問を覚えてしまって。ちょっとだけ困ったようにはにかみながら頬を掻いた。)   (5/30 00:11:41)


小室 耕助> 
「お疲れ様、最近は熱いから結構疲れてしまうね。君も一日お疲れ様」(そういえば今日は雨は降っていない。要するに、雨宿りできるわけもないというわけだ。こうなると、勝手に待っていたのは迷惑だったかもしれない。ちょっとだけ困ったようにはにかむ様子を見ながら、そんな事を考えてしまって、こちらも同じように少し困った表情を浮かべながらも笑って返しておく)「今日はもう帰りみたいだね……暇なら少し話でもどうかな?」(良ければ話を、とも思うがどうだろうか。これは私の暇つぶし、今日雨は降っていなくて足を止める理由はない。無理強いするつもりはないけれど、良ければ付き合ってもらえたらありがたいものだ。私は内心でそう思いながら、椅子を指差していた)   (5/30 00:30:05)


蕪木 千歳> 
これから夏だって感じですよね、…その前に、梅雨がやってくるんですけど ( 梅雨入りして、雨が降ったら。貴方はまた雨宿りの先輩になるんだろうか。雨が降ったら現れる。カエルさんみたい。けど、見た目はちっともケロケロと鳴きそうには見えない。柔和な笑みは、人間らしさを感じさせた。会えるかな、そんな微かな期待、楽しみを抱かせていた貴方からのお誘いは断る理由も対してなくて。同じ様な気持ちを抱いていてくれたのなら、意味はなくとも報われるような気がした。『 ええと………それじゃあ、…お隣、失礼します。 』鞄に本を仕舞い、肩からずり落ちようとする紐を持ち直す。座ったベンチは案外確りとしていて、けれど壊れないように浅く腰掛けた。鞄を膝の上に乗せて、持ち直した意味がなかったことにはっとさせられる。『 ………ここ、なんとなく居心地が良いですよね。私も雨が降ってない日でもたまに来て、本を読んだりしてて、…雨が降ってる日がやっぱり、1番……その、好きなんですけど、 』ぼんやりと視線は上を向いて、あみだくじみたいに屋根を支える鉄骨をなぞる。錆び付いて、時折穴が空いた柱。思い付くまま言葉を並べて、変なことを言ってやしないかとどぎまぎした。先輩も、来たりしてたのだろうか。)   (5/30 00:53:43)


小室 耕助> 
「そうかい?なら嬉しいな、私もここは好きなんだ。なんとなくのんびりしたい時とか、一人の時はふらっと立ち寄ったりするよ。最近は中々来れなかったんだけどね?」(人が確かにいたという生活の後。今はあまり人も立ち寄らない場所。ここの雰囲気は中々他では味わえないないものだ。晴れた日は廃バスが遠い遠い太陽に照らされて、それはそれで郷愁を感じさせる良い光景が見られる。勿論雨の日も、心地よい雨音、カミサマの影響によって耳を通る走行音やかつての人々の声が聞こえる。ここは良い場所だと思っているよ。取り壊されたり、討伐されない事を祈っている位には)「秘密の場所、なんて大それたものではないがお気に入りの場所だ。君が気に入っているなら嬉しいよ」(もうじきくる夏と、その前にやってくるだろう梅雨を想像しながら、ぼんやりと空を見上げる。私はあまり人とそういう自分の好きなものというのを共有しない。しかし、自分の好きなものが相手にも好まれているというのは、案外悪くはない気分だった)   (5/30 01:12:33)


蕪木 千歳> 
もうちょっと奥まってたら、秘密の場所って言えたかもですね ( 秘密というにはあまりにも赤裸々で、迷いなく辿り着く通学路の途中。けれど分かりにくい場所にあったなら、それはあまりにもバス停には不向きだっただろう。それに、貴方と出会った、そんな経験だって何処にも存在しなかった。それが良いことか、悪いことかは分からないけれど。肩を竦めて笑えば、目尻に少しの皺が寄った。バスの音はしない。夏には少し早いから、セミの声もしない。梅雨にだって早いから、カエルの声も。時折吹く風がバス停を震わすのが、本当に微かなBGM。静かなのが隣の存在をよりいっそう意識させて、身体をちょっとずつ縮めれば鞄が抱く腕を反発した。『 ……ぁ、そだ、………先輩、これ食べません? 』縮まるのを断る鞄は固く、それにふと思い出したこと。いそいそと開けば鞄の中にはなんてことない私物が数点。それから、まだ開いていないイチゴ味のポッキー。『 お昼に購買で、なんとなく買っちゃって…。多分私一人じゃ、食べきるのに時間かかっちゃうので、…………ぁ、と、苦手だったら、無理にとは言わないので大丈夫です……!! 』特に好物ではなかったような気もする。無意識に目を引かれたとでも言うのだろうか。それだけで買ってしまったものだから、可愛らしいピンクの箱は1度も開けられていなかった。消費に協力して欲しい、暗にそう伝えながら、ぺりぺりと浅い繋ぎ目を引っ張っていく。最中、はっとして胸元まで上げた片手をぶんぶんと振った。)   (5/30 01:33:56)


小室 耕助> 
「それは確かにそうだねぇ、ここはきっと色んな人が知っている。ここを好きな人がどれほど居るかはわからないけれど」(ここは人が通る場所だ。この場所を知る人は数多いのだろう。しかしここを気に入っているのは、私の知る限り私自身と君くらいだ。意識しないで通り過ぎるもの、無害とはいえカミサマを不気味がるもの、こういう古臭い場所を嫌うものもいる。自分だけが利用していたここは自分だけの居場所であるとも言える。君がここを気に入って利用しているなら、君のだけの居場所か。今は二人でいるから二人の場所だろうか?そんな意味のないことが頭に浮かんでは消えた)「ん、ああ構わないよ。私は特に好き嫌いはないからね、貰えるならありがたく貰うよ」(思考を現実に戻せば、君は鞄を何やら漁っていた。それをなんとなく見つめていると、可愛らしいピンク色の箱が取り出された。未開封のそれはお菓子らしく、どうやら少し貰えるようだ。なら遠慮なく……と私が何か動きを見せる前に、私の好みを気にしてから片手をぶんぶん振っている。様子に少し笑みが漏れた、そこまで気にしなくても良いのだが……。改めて、ゆっくり掌を差し出して受け取ろうとする)   (5/30 01:58:14)


蕪木 千歳> 
たくましい……、…えと、では、……どうぞ ( 確かに言ってはあれだが、なんでも食べそう、或いは半数の人は苦手としそうな、ある意味当たり障りのないものが苦手そうな見た目をしている。それに、苦手なものがあってもそれは、食べれないことはない、くらいのもので。感心したように呟きながら、後々何を考えているんだろう、そう思ってしまうようなことを真剣に考えていた。箱の中には二袋入っていて、大抵は一袋だけ開けてシェアするものなのだろう。けれど、それは随分と難易度の高いことのように感じる。互いの食べる量とか、ペースとか、何より一袋持って帰った所で、また食べる気が起きるとも思えない。なら、半分こして一袋ずつが、きっと、ちょうどいい。渡すだけなのに先輩だからか何故か畏まってしまって、両手で渡す様はやったことはない賞状伝達のような気さえした。したわりに、ぽすん、と掌に乗っかったポッキーの袋はポップなピンク色で、中に入っているだけ重たくて、仰々しさはまったくと言っていいほどになかった。『 ……いただきます。 』人目を気にして、普段はお菓子に手は合わせないけれど手を合わせた。袋の半ばに切れ目が入っていて、それは少し力を込めただけで随分と容易に破れてしまった。中には、イチゴ風味のチョコレートを被った細長クッキー。口に含んだときの味も食感も、予想通りだった。)   (5/30 02:15:23)


小室 耕助> 
「口に入れられないほど、極端にまずいものじゃなければ私はいけるよ。たくましい、って言われたらそうなのかな……なるべく好き嫌いはしないようにしてるのさ」(食べれるなら食べたほうが良い、これは幼い頃の私が学んだ事だ。"可能な限りなんでも食べれるようになろう"。そうした結果ある程度の範疇なら食べれるようになった。味覚はちゃんとあるので流石に美味しいか美味しくないの判別はあるが、好き嫌いは特に浮かばない。嫌いなもの食べられないものがあるとしたら、それは材料というよりかは、きっと作る人の腕前によるだろう)「いただきます。……うん、あまり自分でおやつの類は買わないけど、美味しいね。そういえば君には好き嫌いはあるのかな?」(両手でそっと置かれる様子は、中々にシュールな光景だった。本人としては真面目なのだろうし、馬鹿にする気は全くないので触れないでおく事にする。一本撮り出して口に運べば、イチゴとクッキーの味がする。その味に対してなんてことない感想を漏らしてまた一本。横目に君を見つめて、君が飲み込むのを待ってから一つ聞いて見ることにした)   (5/30 02:40:50)


蕪木 千歳> 
( さくさくのクッキーは固すぎず、脆すぎずとちょうどいい。テンポ良く食べ進めれば1本を一息で口内に納めることが出来て、その分口の中の水分が失われる。1口ずつ食べるのが程好いのだと、失われた水分の代わりに知識を得た。牛乳か、せめて何かしらの飲み物があればちょうど良かった。けれど生憎のことに、水筒の中身は暑さのせいで空っぽで、牛乳なんて更に持ち合わせているわけがなかった。少しだけ喉につっかえてしまいそうになりながらも飲み込んで、そんなものだから返事まで少しつっかえた。味自体は美味しくて、一袋くらいなら食べきれるように思う。『 …………そんなには、ないです。強いて言うなら………………苦いもの、とか 』苦手なもの、そんな質問が直ぐに出てこなかったのは多分、記憶を辿る道のりが遠くになっているだけじゃない。貴方と同じで、あまり多くはなかったから。でも流石になんでもと言えるほどではなく、思い返せばこれはと言うものが幾つかあった。『 コーヒーのブラックとか、ゴーヤとか……そういうのは、あんまり。………先輩は、コーヒーのブラック、飲めますか? 』話しながら微かに眉が寄ってしまうのは、案外味を覚えているからだろうか。2本目のポッキーを一口分食べて、中和してしまうことにしよう。)   (5/30 02:57:19)


小室 耕助> 
「ブラックコーヒーは、飲めるよ。やはり甘いほうが飲みやすくはあるけどね。本当かわからないが、苦味というのは本来毒性のものが多くて、慣れてないうちは体が拒絶するという話を聞いたことがあるな」(ブラックコーヒーが飲めるから大人になったというわけではないが、そういった理由から感覚が鋭い子供の頃は特に苦味を苦手に感じる事が多いと聞いたことがある。歳を重ねるにつれ、体が慣れてきてこれは口にして良いものだと認識していくんだそうだ。情報源がネットなので真偽の程は自分の知る事ではないのだが、その話が仮に本当ならば君は生き物として正常な味覚をしている、とも言える。)「……もうこんな時間か、遅くなるのも危ないしこの辺りにしておこうか。バスまで送って良いかい?」(調べてみるかとスマホを見れば、思いの外時間が経っていた。話していると早いものだと、ゆっくり立ち上がって君に問いかけた。……これは誰に対してでもない自分語り。私は正常なもの、変わったところのないもの、予定通りの結果……普通が嫌いだ。君は普通の人だ、どこにでもいるだろう人。きっと私の知る誰よりも。だが私は君のことは気に入っている。私を引き止めようとした事、予想を外れる言動。君のような人がきっと、当たり前の顔で当たり前じゃない事をしてくれると思っている。だからこそ、健やかに長生きしてほしい。….などというのは、口に出せば気持ち悪いから言わないが。せめてバスまでは送っていこう)   (5/30 03:25:38)

エレナ・ドラグノフ> 
夕方手前までの授業は、根っからの体育会系かつスポーツを専門にした学校に通っていた私からするならば重労働である。たまに、あの八六ですら、認めたくはないが自分よりこの学校での学びには慣れているだろうと考えるから余計に悔しい。優等生も楽ではないのである。だから予定がない放課後などはいつも、みんなが見ていない場所では落ち武者のように疲弊している。楽しくないことを散々した上で、またやることがないなんてダブルパンチでしかない。『さて、と。掃除も終わり、準備も出来たな。』が、今日は真っ直ぐ寮に返った日の割にご機嫌だ。そう、夕方から行われるお泊まり会があるからである。アレコレ物騒なものは一斉退去、模様替えまではやらないが、掃除機をかけて清掃ロボットも総動員。綺麗にしきった部屋を改めて見てはやれるものだなと思いながら______ノックされるのを待った。   (5/19 01:35:27)


蕪木 千歳> 
( 今日はちょっとだけずるをした。といっても、自身のディスコードであるシークレットガーデンを使って、学校から自宅、自宅から学校と往復した。ただそれだけなのだけれど……普段はそんな事はせずに、自分の足で歩いてバス通をしている私からすれば、これはちょっとだけズルいことだった。着替えや手土産、個人的なお菓子、ボードゲームの類いを少々。膨らんだリュックサックに重心を任せると、あっちにふらり、こっちにふらりとしてしまいそうで、なんとか身体の主導権を掴んでいた。歩きながら、壁にかけられたプレートと、教わった番号をメモした手帳を見比べる。寮暮らしでない私からすれば、そこは未踏の地。余所者を圧迫死させるような、知らない場所の雰囲気に包まれた処刑場。だから、部屋番を忘れてしまえばそれが命取り。プレートにかかればた数字がメモしたものに近付くに連れて、少しずつ呼吸が楽になるような気さえした。『 えっと…………465号室……465…4,6……………ぁ、此処かな 』漸くたどり着いた砂漠のオアシスに、漸くほっと息を吐く。ノックをしようとして……改めて、手鏡で自分の身なりを確かめた。いつも通りの制服スタイル。でも心なしか、リボンが曲がっているような……よし、これでおっけー。前髪は……跳ねてないから、取り敢えずよし。最後に鏡の前でにっこり笑顔………よしっ。深呼吸をして、こんこんこん。軽いノック音が3度鳴り響いた。『 ぁ………蕪木です、エレナちゃんのお部屋であって…ますか…? 』   (5/19 01:54:50)


エレナ・ドラグノフ> 
『ああ、入ってくれ。』____上下黒のショーパンとインナー。こういうのは部屋着でやるものだろうと思ったが、それだけでは寒いからと上着に羽織るパーカーには、デフォルメされてサメのような牙が生えた戦闘機のマークがプリントされていた。普段ワイシャツにロングスカートを崩さないスタイルからしたら、こうしたカットは希少品である。『……制服、着たままできたのか。もしかして、そのままで部屋に居たりする、のか……?』部屋の内装は、強いて言ったら___センスが壊滅していた。多分職員室の余りだろうスチール製のデスクを、横にして部屋最後部に。低いガラステーブルと、向かい合うような革張りの椅子は応接用だとわかる。棚や収納にはトレーニング用品や週刊誌などそこまでおかしくはないのだが、サボテンやら観葉植物や野花などどう見ても置きすぎでまとまりがない。ついでに、何かウエスタンにでも憧れたのか、モデルガンを壁にラックを引っ掛けて飾ったかと思えば、模造刀を机の上に置いていたりする。調度品が過多なのだ。ちなみにエレナは制服でいるのが嫌いだ。簡単だが、サイズがギリギリしかないからいつはち切れたかわかったものではない。そのためコスプレに近い絵面になったことも多々ある。そのため怪訝そうな顔で『服、私の貸そうか……?』他に持ってないんじゃ?と強ばった顔で見つめた   (5/19 02:13:00)


蕪木 千歳> 
( 人間っぽい。別に貴女の事を人間じゃないと想定した訳でもないし、第一印象がこれというのは相当失礼なことのように思う。でも紛れもなく、思ってしまったことがこれだった。エレナちゃん。背が高い。筋肉が凄い。命の恩人。追記事項。顔が整っている。それから…センスの1部が凄い。 『 えあっ、や、ちゃんと部屋着もありますっ!あります、けれども、…私寮生ではないし、言ってしまえば部外者ー……なので、なるべく、正装というか、寮に入る上であんまり緩い服装は、どうかなー……って………だから、ね、大丈夫、だいじょうぶです。 』暫し呆気に取られていたのは言うまでもない。気付けば服を借りる事態になりそうで、慌ててぶんぶんと首を振った。サイズとか、多分合わないし。あとあのー…うん、……うん…。流石に持っている相手に無理に貸すようなこともないだろう。そんなことがなければ私は少しだけほっとして、まだちょっとだけ呼吸のしやすい未踏の地へと足を踏み入れた。『 あの、これ……ん、んん"………………しょ…っ。お母さんが、エレナちゃんにって。』踏み入れたは良いものの、何処に定住して良いやら分からず。靴を綺麗に揃えたりと変な時間稼ぎをするなどして、一先ずは物が詰まった鞄の中から、託されたミッションをこなすことにした。取り出されたのはクッキー缶で、土産物らしい質の良いもの。それから、期限はそれなりに長いお米券が3枚。あまり多く渡しても、とはいえ一人暮らしは大変そう、なんて悩む姿は、まだ思い出せる。後ろを着いていって、2つの土産品を手渡して、それが終わったら後は、…後は、どうしようか。革張りのソファは私が座るには何か違うような気がした。)   (6/4 16:13:28)


エレナ・ドラグノフ> 
『ならよかった。私の服を貸す自体は構わないのだが、サイズがどうしても……と悩んでいたところだ。』私の服を着せるとなると、多分私のシャツがこの子にしたらワンピースくらいになるような気がする。それは見た目的に……って想像するなバカ!『何……?なんだ、お土産まで持ってきてくれたのか。別に、貴様と会えるだけで私には十分なつもりでいたんだが……。ありがとう、慎んでいただいておく。』エレナちゃんに。 まさか手土産があるだなんて思わなかったから、これには驚いた。結構いい感じのクッキーとお米。実は食糧関係は某お節介な幼なじみが担当してくれているから問題なく供給されているのだが、しかし一人暮らしは大変だろうと慮ってくれたのには感謝しかない。いただいたものを机に放り投げるなんて馬鹿なこともないから、すぐさまにしまって……『どうした?気にしないで座ればいいのに。ふ、それとも隣が良かったか……?』なかなか席につかない彼女に、気にしないで座ればいいのにと促しながら、家主より先にくつろぐのもなんだと思っていたりするのか……?と思い体を預けるようにソファに体重をかけて深く座り。隣に来る?なんて微笑しながら口にし   (6/4 16:27:20)


蕪木 千歳> 
( どうやら合っていたらしい。お泊まり会の作法というか、そんなもの何も気にせずだらだらしろというのは尤もなのだけど、そんなこと出来るわけもなくって、ぎこちなさをただの緊張のように見せるのだって精一杯だ。背負っていた荷物を部屋の隅に置かせていただいても、対して肩が軽くなった気がしなかった。いつまでもまごまごしていても仕方なし。形になることはない溜め息を、柔く吐き出す。覚悟を決めよう。何の覚悟か分からないけど。『 ………………じゃあ、お言葉に甘えまして…? 』ちょこん。そんな音が合っていたように思う。隣…にしては無理矢理人が割り込もうと思えば割り込めそうな、そんな距離を置いての隣。思いの外ふかふかなのに驚いてしまって、背中だけはぴったりとソファにくっついている。目線を横に流してから、ちょっとだけ上を見れば整った顔が見えて。話すには向い合わせの方が向いていたのか、隣の距離感の近さの方が良かったのか、よく分からなくなった。分かることなんてもう対してないけれど、分からないことは増えていく。『 …あ、あの、あのね、ですね?お泊まり会って、何したら良いのかあんまし、分かんなくて、だから取り敢えずお菓子とかトランプとか、持ってきました。…準備万端、で、すよ、 』 緊張とか焦りとかで、変に笑顔がふやけてしまっているような、そんな気がしてならない。ぐっと拳を固めて、ばちこいっなんてしたところで、緊張が和らぐ訳もないけれど、まだましになったら良いなと希望的観測。宣言してから、態々何を告げているんだ…?と、また分からないが増えた。)   (6/4 16:55:20)


エレナ・ドラグノフ> 
『……確かに、何をするか相談していなかったな。色々準備してくれたのは偉いが、そうだな……ここは一つ、提案がある。食事と入浴を早めに済ませて。夜になったら……夜、寮を抜け出して星でも見に行こうか。』わかったわかった、と緊張しているのが丸見えの彼女を宥めるように頭に手を置く。ぽすぽすと優しく撫でていきながら、確かに、やることをこちらは色々考えていたくせに言い忘れていたなと、今更になって思い出した。『ああ、後、せっかく貴様が制服なら、私もその時は前の学校の制服で出かけてみよう。』頭を撫でるには少しばかり遠巻きな距離感。こういうのはやっぱり、自分から色々寄り添ってやるべきなのだろうかと、空いていた空白を詰めて。「そう怖がらなくていい」と、勤めて優しく言葉をかけた。こういう子を可愛がりたくなるというか、甘やかしたくなるのは昔から変わらなかった。せっかく彼女が着てきているのが制服なんだったら、自分も制服で行っても良いじゃないか、なんて思いつきをして。『……異論はないなら、夕飯は何が食べたいかリクエストしろ。お土産のお礼に、食べたいものを作ってやるから。』   (6/4 17:05:01)


蕪木 千歳> 
( 寮、抜け出す、お星様。1つの言葉を飲み込む度に、ぱちぱちと何度か瞬きをした。お星様、天体観測、プラネタリウムとか、きれいなもの。貴女は結構、ロマンチスト? そう思って部屋を眺めて、あー………うーん……………? ろまんちすと……………。『 う………っ、怖いというか、緊張、してるんです。……お星様観に行く、制服デートですね 』天然タラシなだけかもしれない。ぽふっと撫でられる度に、押しボタン宜しく頭がこくんと頷いて、髪の触り心地もふわふわになっちゃうような気がした。前の学校の制服、なんて言葉に元から此処の生徒じゃなかったことにカルチャーショックを受けながら、生憎この格好は前のものでも学校指定のものではないけれど、制服デートなんて学生らしいことに、へにゃりと目尻を下げた。『 わ………っ、料理、出来るんですね、すごい。えーと、じゃあ、……えぇと、…んー………………… 』半一人暮らしの寮生には必須スキルかもしれない。けれど、私はあんまり得意ではないものだから、しれっと作るという発想が出ることに驚いた。手料理、折角なら作りやすいものが良くて、けれどそれってなんだろう。真剣な顔で考えながら、くるくると髪を指に巻く。癖が付いちゃうから、あまり良くない。『 …………エレナちゃんが1番得意なのとか、作りやすいのとか、…どうー…でしょう、 』   (6/4 17:29:28)


エレナ・ドラグノフ> 
『……制服デート、か。いい響きだな。で、なんだ、私と一緒にいるのは緊張するのか?』一緒に居て緊張されたり、怖がられたりするのはそれこそ一部の馬鹿者を除き珍しくもない。けれど、こんな風に固まっていられたりしたら申し訳なくなってしまう。頭を撫でたまま、本当に?と子犬のような顔で何度も聞き返しているのは、どうしたらいいのか持て余してしまっているからで。『料理は確かに、それなりに自信はある。よく穂坂に……ああ、それはいい。抜けている男だが、友人に料理の出来るヤツが居てな。』穂坂に作ってもらっていたのを見て覚えた!なんて言ったら、色々寮生活なのやその他もろもろをひっくるめて非常に説明が回り道になる。だから、それなりに自信があるんだと答えておき『作りやすいもの、か。正直、自分一人という訳でもなく、貴様に食べさせる物なんだから、手間もさしては苦にならないものだが……。そういうのなら任せておけ、少し時間を貰うが、その辺は構わないな?』そろそろしょんぼりするのも終わり、と寮の奥にあるキッチンに立ち上がり、移動しては『いい子で待っているんだぞ?』   (6/4 17:48:23)


蕪木 千歳> 
ぅ"、……そりゃあ、まあ、それなりに…… ( そこを言及されると思っておらず、持久走の後のような痛みが脇腹を襲った。貴女だから、というか、多分誰にでもそうで、多分これは変わらない。変なフォローも説明もせずに、ただ痛いところを突かれて、それにちょっぴり痛がりながら渋々と頷いた。『 …じゃあ、楽しみにしてます。……流石に作ってもらうのに、早く作れーとか、横暴なこと、言えないですよ 』それ含めて凄いものだけど、それは要らない劣等感で、対して話す必要もない。だから、冗談めかして瞳を細めて、その腕前を心待ちにする。それだけで良いんだ。お手伝いした方がと思わないこともない。けれど、お世辞にも料理が上手いとは言えない己の実力。お手伝いしますと言っても、邪魔になるか、お母さんに料理を教えてもらっている娘の図……そんな風になるような気しかしない。お手伝いが手間を増やしては、それはお手伝いでもなくなってしまう。分かりましたと頷いて、良い子で待っていることが唯一出来るお手伝いらしいこと、だろう。貴女の姿が見えなくなってから、こてん、と貴女が座っていたのとは反対側に体を倒して、撫でられていた頭に手を当てる。お風呂、今のうちに借りてしまえば良かったとかなり遅くに気が付いた。)   (6/4 18:09:32)


エレナ・ドラグノフ> 
この暑くなる季節の旬というなら、アジやイワシ、トマトやキュウリ、ピーマン、なす辺りの夏野菜が候補に上がる。だが……そう、今日に関しては切り札がある。釣り上げたアジを開き、燻製にしてきたものだ。アウトドアが趣味な都合、キャンプのついでに夜釣りをしたりする機会も多かった。そこで釣った魚をそのまま寮には持ち込めないから、下処理をして塩漬けの体をとり、それを更にこそこそと馬鹿者達に見つからないように干して仕込んだ。それをそのままこんがりと炙り、燻したスモーキーな香りが立ったあたりで大根おろしや大葉を添えるだけでメインは完了。次は卵焼きにチーズを包んで巻いたもの、白だしを使うのがこの場合コツだ。汁物は、エビせんから作るビスク風の味噌汁。野菜を細かく切り、オリーブオイルと炒めてから、沸騰したお湯に味噌を解いて、トマトソースと砕いたエビせん、野菜を混ぜると何故か洋風な味わいの出来上がりだ。後は野菜が皆無はアレだから……昨日ののこりの漬物類を並べて_____『……さ、召し上がってくれお嬢様。いい子に待っていてえらかったぞ。生憎、食の太い私に合わせて作るしかなくてな……食べきれなかったりしたら遠慮なく言ってくれ。』ひとまず及第点の食卓の出来上がりだ。【芸術:家庭料理】『実は、ソファでころんと寝ているのを、度々調理の時にこっそり見ていてな。ふふ、なかなか可愛らしかったぞ。』   (6/4 18:35:22)


蕪木 千歳> 
……………そういう、とこですよ。( なにが?と聞かれれば、別に何でもないのだけれど。美味しそうな香りが鼻腔を擽って、調理の音は耳に心地好く、それなりに気が抜けたと思えばこれだ。作り終えた頃には正していた姿勢も、見られていたんじゃ対して意味もない。歯の浮くような台詞でありながら、それは至って素面で何かしら大きな意味があるような訳ではないのだろう。ヒーロー適性というものが存在するのなら、合格するだろうなと言う感じがした。両手で顔を隠して、そっと静かに息を吐き出した。『 …いただきます。 』くぅ、と小さくお腹が鳴いて、いつまで顔を隠してもいられないからそろりそろりと瞼を開く。用意された料理の種類に軽く目眩を覚えながら、それはそれとして美味しそうで、おっかなびっくり、箸を手にとって手を合わせた。何れから手をつけるべきか、数多の選択肢の前にそれは贅沢な悩み。何れから手をつけたって多分美味しいと感じられるだろうという確信があった。数秒の間に相当悩み抜いて、始めに手をつけられたのは見慣れたフォルムの卵焼き。箸で一口サイズに割れば、中からとろりとしたチーズが溢れ、外気に冷やされ少しずつ形がなされていく。絶妙なバランスで絡まりあった卵の層とチーズがほどけてしまわないように、慎重に慎重に口に運んだ。2口目は、本当に少しのお醤油を垂らして。お出汁の風味と卵の甘味が残っている内に、洋風の、…洋なのにお味噌汁な気がする、初めての汁物をふー…と冷ましてから─── 『 ………おいしい…、すごく美味しいです、エレナちゃんの料理 』暖かいものが食道を通って、胃に落ちる。消化されて、身体を構成する1部や、動くための活力になる。頬っぺたがきゅうと収縮して、緩ますためにもう1口、すーぷ…味噌汁?に口を付けた。ほあ……と思わず吐息が漏れて、お腹の中がぽかぽかした。美味しいから、きっと食べきれる。ほっとして、えへへと笑いながら改めて、有難う御座います、と頭を下げた。)   (6/4 19:11:50)


エレナ・ドラグノフ> 
『……?』にこやかな表情のまま、どういうところなんだろう?という疑問はそのまま流されていった。千歳が顔を覆っていたわけもよく分からないが、反応的に何か悪いことをしてしまったわけではないんだろうから、まずは食事からだ。『それならよかった。ヒーローたるもの、まずは何にせよ身体が資本だ。規則正しい食事と、睡眠。特に食事は……そうだな。』美味しいと言って貰えるのは、素直に嬉しかった。それに、我ながらこれは上手くできたという自負があるから自慢できる。ヒーローは食事に気を使うんだぞと言いながら、アジの身を解し、大根おろしを乗せて口に運ぶ。塩気はもうあるから、醤油はなくてオーケー。口に含むとスモーキーな風味が香ってきて、それが塩味が濃い魚肉の滋味と相まって味わい深い。大根おろしがミソで、塩が強くなりすぎないようにまとまりを与えているのがよろしい。『前に貴様を抱えたことがあったが、アレじゃ軽すぎる。もっと食事と運動をすると良いかもしれんな。』ふふ、とからかうように笑みながら、もう少し食べればいいのになんて『そうだ、風呂はどうしようか。先がいい後がいいはあるか?』   (6/4 19:27:24)


蕪木 千歳> 
う"………はぁい ( 確か元々は、ヒーロー志望じゃなかった。在学中にヒーローになる使命のようなものを下されたのだから、そうは言われても、仕方がない。ご飯を食べて、身体を鍛えて、ヒーローにならなきゃいけない。…当たり前のようにそれが出来る人は、どうにかしている。おいしい、おいしいと舌鼓をうちながら、冷めてしまう前にせっせかとご飯を摂取した。星を見に行くためにこの後歩くのは、運動に入るだろうか。走るぞ、とか言われたらなりそうなものだけど、足の早さも体力面持ち合わせていない私じゃ、良くて置いていかれる、悪くて地面がこんにちは、な気がした。『ぁー…………後でで、お願いします。美味しいご飯をいただいたので、片付けくらいは、私にやらせてください。』これで釣り合うか否か、そもそも受け取ってもらえるかという問題はある。けれど、流石に申し訳がたたないというか、洗い物なら問題なく出来る、…筈だ。むんっと固める拳、顔には細やかなやる気を添えて。そんな人を無下に出来るような人ではないのではないか、此処までの会話からそう推測した。もし、家具の配置に拘りのある人とかならあれではあるけれど…たぶん、おそらく、大丈夫)   (6/4 19:45:41)


エレナ・ドラグノフ> 
『……ああ、頼めるか。一応、お風呂に入ってからは汚れたりする心配はない。近くまではバイクで行けるから、私の後ろに乗っていてくれたらと思うんだが……車に酔うなら先に教えてくれよ。』食事を口に運び終えてぱん、と手を合わせてご馳走様をして。後片付けは、せっかくだし自分から勝って出てくれた彼女に任せることにしよう。普段のパジャマの代わりに下着と制服を用意しながら、汚れたりする心配は多分ないよと予め言っておく。言い出した手前、お風呂の後に出歩いたりするのって、やっぱり気にする人は気にするだろうから_____『じゃあ、少し待っていてくれたら助かる。なるだけは早く済ませるから、その間はテレビでも見ていていいからさ……』ふろ場にそのまま向かいながら、テレビでも見て待ってて、とそう言い含めておく。一緒に入ろう!とはまさか言えないから、一人で待たせておくのは申し訳ないし……『あ、確か冷蔵庫にオレンジが切ってあったから、デザートにでも食べててくれ』   (6/4 20:08:55)


蕪木 千歳> 
!…ん、お任せください。バス通なので、車酔いとかも大丈夫です ( 賭けに勝ったような気分とでも言おうか。片付けの権利を無事に勝ち取り、内心小さなガッツポーズ、表情はぱっと華やいだ。徒歩か走りか、なんて思っていたが、移動手段にはバイクがあるようで、免許もなく、父や母も乗っていない私には道の世界。記憶にある限りでは初体験だ。貴女の方がご飯を食べ終えるのは幾らか早く、それも含めて、後での選択をして良かったように感じた。『 はぁい、……良い子で待ってますから、ゆっくりしてきても大丈夫ですよ 』デザートまであるとはまさに至れり尽くせり。けれど最後まで食べ終える頃には腹八分目は優に越えていて、入るかどうかは怪しいところだった。お腹を少し空けて食べる時間含め、そして先の良い子で待っていた実績もあって、見送りは朗らかに、幾分か緊張は抜けた風だった。『 ご馳走さまでした。 ……さて、』落としてしまわないように、食器は少しずつ運ぶ。運んだら水に濡らして、その間に残りのも。初めに運んできたのから軽く水で流し、もこもこの洗剤を纏ったスポンジで洗っていく。体が覚えているのか、手付きはそれなりに軽やかで、貴女が戻る頃には終わっているだろう。そしたら、次はお風呂に入って、……お星様を、観に行くんだ。………デザートのオレンジは結局、満腹のお腹の中に収めることが出来なかった。)   (6/4 20:42:57)


エレナ・ドラグノフ> 
入浴。そこまでたくさん時間は取れないけれど、だからといってのんびりするような時間がないわけではない。なるだけ休んで、それから出かけるまでの英気を養おうと思う。今日は、星を観に行くんだ。天気は快晴、空気の綺麗な場所に行けばきっと遠くにだって見えてくるだろう_____『悪い、待たせた。そんなに時間をかけたつもりじゃなかったんだが……。こう、人とお泊まり会なんてしながらだと、色んな生活のスパンがどうしたらいいか分からなくなるっていうか……』一体どこの誰だろうか、そこまで時間は取れないなんて口にしたのは。結構悠長に長居してしまって、すっかり逆上せそうになっている。顔は熱く、頭がひっくり返りそうなくらい力が抜けてしまっている。 ____出てきた姿は、下着姿にタオルを肩にかけたようなままだ。用意したはずの制服を後ろ手にしたままなのは、千歳が出てきてからのお楽しみにしようという稚気が見てとれるだろう。ほのかに湿った、隆起のはっきりした身体。ダビデ像のような肢体がほのかに赤らんだそれは、美しい絵画が単純な構図を描くように、下着のままが寧ろ合致するようだった_____『入浴剤だとか、シャンプーやボディーソープは好きに使って大丈夫、バイクの用意をしてくるから少し居なくなるけど……直ぐに戻るから安心してくれ。』さあ、これからはお風呂は交代で、こちらは極秘ミッション。夜中に寮を抜け出すために、バイクを裏門にこっそり回さなくては______!   (6/4 20:58:24)


蕪木 千歳> 
わ、わ、大丈夫ですか……!?コップ借りますね、お水飲んで、あとは………取り敢えず、お水、飲んでください ( 上がってきた貴女の姿は茹で蛸だった。いや、整った身体を前にして、蛸と表するのは如何なものではある。けれど、それ以外に表現方法は思い付かず、私に出来ることもわたわたしながら冷えた水を差し出すことくらいだった。身長的に、目線が合う適切な場は言うまでもなく、さりとて下を見るわけにもいかない。そもそも同性なのだから、そんなに慌てるようなものでもないのだけれど、体育で着替えるときだって、態々人の身体を凝視することはないでしょう。つまりは、同性だからってっていう理屈は通るわけで……出来ることならそりゃあ、服は着てきて欲しかった。『 分かりました。…お風呂、お借りします 』こくこく頷いて、持ってきたリュックから着替えやバスタオル、あと、使って良いとは言われたものの持参していた小さなシャンプーやリンスの入ったポーチを取り出した。そうしてから、小さく会釈してぱたぱたと足早にお風呂場に向かうだろう。リボンを緩め、ワイシャツのボタンを外していく。見下ろした体は洗練された、とは言い難く、それがヒーローになる意志がないからだとしても、一般人の証のようなものだとしても、比較して絶対に見せられない、なんて決意を固めるのは当たり前の事だった。『 ────お風呂、お借りしました。 』それなりの時間が経った後、お風呂から出てきた彼女はそれなりに茹で上がり、そして決意通り制服は既に着た状態だった。風呂場に持ってき損ねた靴下だけは1度脱いだものを履くのに抵抗があり、唯一肌が露呈する。けれど荷物をしまう次いでに取り出せば、直ぐ様履き直した。)   (6/4 21:28:54)


エレナ・ドラグノフ> 
『……じゃあ、行こうか。いいか、無駄な会話はなし、しーっ、だ。出来るな?』膝より少し上の、黒とグレーが交差したチェックのスカートにワイシャツ、ネクタイ。ブレザーはさすがに暑苦しいので今回はなし。それにゴーグル付きのハーフキャップを被って、迷わずに外に向かう。かさこそと周りを見ながら、門限なんてとっくに終わった真っ暗な寮をスパイ映画のようにすり抜けていく。なんだか夜の学校に忍び込んだみたい____正反対というか、今から抜け出すわけだが___な、いけないことをしているような気持ちは、やはり高揚するものだった。『ヘルメットは今のうちに貸すからさ、ほら、早いところ車出さないと見つかっちゃうし……良く掴まれよ?』エンジンを掛ける。排気音が夜の闇を割く。月明かりで明るい夜空に、ヘッドライトが第二の月を照らした。学校の中で鳴ったならともかく、先程念の為裏門から回してしばらく歩いてきたのもあり、ギリギリこのあたりは敷地外だ。さあ乗ってくれと、愛車の逞しい車体(ボディ)に飛び乗りながら振り返る。さあ、我がワルキューレルーンを久しぶりにぶっ飛ばす時が来た_______   (6/4 21:47:48)


蕪木 千歳> 
は、はい……っ! ( 貴女にかしこまって言われると、まるで何かの任務のよう。神妙な顔立ちで頷けば、いえっさー、と敬礼をした。かくれんぼは得意な方。きっと皆起きているだろうに、暗く静かな廊下を抜き足、差し足────。『 ───…………………お、おぉー………。……………ん、……ん、んん…………っ、ん、おっけーです…! 』外に出れば思わずぷはぁっと息を吐き出してしまって、まるで水中から出てきたようだった。近くで見るバイクは艶めかしく、そして二人で乗れるだけの大きさがあった。中学生の頃に乗れるのは自転車で、それが高校生になればバイクになって、…大人になれば車だろうか。乗り物で分かる、歳の成長。付けなれないヘルメットは少し重く、跨がり方もイマイチ分からない。軽やかとはけして言えない、もたもたとした動作ながらもなんとか乗り込み、恐る恐る腕を回して貴女の背中にくっついた。)   (6/4 22:13:58)


エレナ・ドラグノフ> 
夜を全速力で走り抜ける。暑苦しかった身体を放熱させながら、郊外に目掛けて走る。人気がなくなり、街灯が減り、夜に一直線で向かう。標高が高くなるにつれて僅かに涼しくなり、虫やカエルの鳴き声が響き渡っていく。不思議と、私から声をかけなかった。それは、子供がとっておきの秘密をニコニコ笑いながら、言う目前のくせに黙っておくように。くだらないくらいに可愛らしい、秘密の場所への招待だった。山道をバイクで昇っていく。たまに昆虫採集かなにかだろうライトがぽつりぽつりと見えたり、消えたりするのに言いしれない絆を感じた。『上、ギリギリまでみるなよ。せっかくだから_____千歳には、一番綺麗な場所に来てから見せたい。……顔を持ち上げないで、私だけ見ていろ』そこは、地図には無い道だ。頂上に近い場所にある休憩所やら管理施設の職員が使う駐車場とそこに向かう道路。四駆でも無いのに急勾配を難なく走り切れるのは、やはりこのバイクが女二人を引き上げるには余りある馬力を持つからこそである。『_____ほら、上、もう見ていいぞ。』かけた言葉はあまりに、単純だった。けれどそれは、その絶景には飾り立てる言葉は要らなかったからだ。____暖かい風が吹いた。虫が鳴き、梟が囁く。木々が軋み、葉は寄り添いあって……いくつもの音楽が周りを支配しているはずなのに____はずなのに、空を見上げた瞬間、停止した。それは、ほんの少しだけロマンチックな誰かの思いが作り出した夢だ。白金(プラチナ)を砕いて、真っ黒な絨毯にばら撒く。そんな不合理で、馬鹿げている行為を何千何万何億と繰り返して生まれた輝きである。けれど、それはその輝きの美しさの代わりに、とても脆弱な幻想(ユメ)に過ぎない。風が吹いたら巻き上がりそうで、誰かが大きな声で叫んだら壊れそうで、何より綺麗なはずなのに、光を他に浴びたら萎んでしまうと来た。美しいものは、壊したくなるものだという。儚いからこそ美しいのではなく、美しいものを儚くしたいというのも一面だろう。なら、こんな世界一の芸術に、誰も水を差さないで。少女が二人呼吸する音以外何も存在しないというのは、とんだロマンチストが描いたものでしかないだろう。手を伸ばしたら、触れられてしまいそうで。それとも、いくら頑張っても触れられなさそうで。それでも、触れたいと手を伸ばしてしまいそうな、そんな煌めきがそこにあるのだった____   (6/4 23:24:45)


蕪木 千歳> 
( 風が鼓膜をぴたりと塞いで、何も聞こえない、音も置き去りにするスピードは生身で感じた事が記憶の中にはないもので、ちょっとでも力を抜けば吹き飛ばされてしまいそうで、抱き締める力は自然と強まった。たまに視界の端に映る街頭の数が減っていって、少しずつ、少しずつ、視界は暗くなっていく。一緒に、鼓膜を塞いでいたものも剥がれていって、風だけが鼓膜を塞いでいたわけじゃないことを知った。心臓がどくんどくんと音をたてる。その震えは、背中越しに伝わってしまっただろうか。ちらりと下を見れば、直ぐ様追い抜かれた雑草がもう見えなくなって、そんなスピード感にただ、怯えていただけかもしれない。〝 _____ほら、上、もう見ていいぞ。〟 ヘルメットをゆっくりと外した。鼓膜を塞ぐものはもうない。虫の鳴き声がぐわんと頭蓋の中に響く。ゆっくり、見上げた。視界一杯に星空を見た。『────────。』深くて暗い青色の空。真っ白な星。小さな光が身を寄せ合って、1つの集団になっている。『 …………………………。 』転んでしまわないように、ゆっくりバイクから降りた。ヘルメットを片腕に抱いたまま、天辺まで駆けて、唇を噛み締めて、そして、届かないことを知りながら手を伸ばした。『 …………えれなちゃん、 』『 …きれい、だね。 』『 すごく、………すっごく、きれい、 』背伸びして、もうちょっとだけ伸ばしてみる。でもやっぱり届かない。夕暮れの空も、花火も、珍しいお月様も貴女のことも、1番綺麗だから連れてきてくれた、今見ているお星様も、なにも、なんにも 『 …ありがとう、えれなちゃん、 』暗闇の中に、溶けた烏の濡れ羽色の髪が流れる。瞳から溢れた涙が頬を伝って、顎の先から地面に落ちる。満天の星空を見て、今日1番の笑顔を浮かべる、それだけで千歳は綺麗な星空を見たことになったのに。震えた声も、涙の跡も、星空に吸われて全部隠れてしまえば良い。)   (6/5 00:01:03)


エレナ・ドラグノフ> 
『……千歳と来たから、こんなに綺麗に見えるのかもしれないな。』千歳と来たから____ヒーローでありながら、ヒーローではなくて。普通の人の気持ちを持って、普通の人のように泣いて、綺麗なものに感動できる彼女が隣にいるから。変な話だけど、ヒーローなのにこんなふうにセンチになってもいいって。もしかして世界のどこかしらには今泣いている人がいても、君と一緒に感動している時間があっていいんだって。『アイス、持ってきたんだよ。一緒に食べようか。』保冷剤を詰めておいた、バイクの収納からアイスをふたつ取り出して、片方を彼女に手渡す。『ヒーローになるとさ、やっぱりこういう時間があっていいんだってことを忘れそうになるけど。でも、このくらいは……あってもいいよな。』本当は、こんな時間が大事だったんだろう。本当に、こんな時間のために戦おうと思った。もし、命が終わるその日に振り返ることがあるのなら、きっとこんな日を思い出すのだろう。『また、見に来よう。色んなことが終わったら……その後、見に来ようか。』だから______また来ようと約束した。これを悲しい思い出なんかじゃなく、二人の約束として生きていくために。   (6/5 00:23:15)

岡本 塔花> 
「…………?」(河原は風が心地よかった。空に黒色が混ざる、オレンジ色の太陽が沈みこの時間にしか見れない光景をこの目に見せてくれる。わざとらしく大股で、ゆっくり歩きながらその光景を脳に刻み込んでいた。この空を絵にするにはどうしたら良いか、どう表現するのがベストか、何で描くか。頭の中で様々な考えが浮かんで消えて、ふと足を止めた。そのときになってようやく、自分以外の人がいる事に気がついた。艶やかな黒髪が印象的で、かけているのは眼鏡……いや薄い色がついてるのを見るにサングラスか。薄手の黒パーカーを羽織った姿、崩れているわけでもないその顔。パーツパーツは印象に残るのだけど、失礼なことを考えるとなんの変哲もない学生に見えた)「貴女も夕焼けを見に?」(話しかける理由もない、声をかけたのはただなんとなく。無理矢理理由をつけるなら、同じ夕暮れを見に来た同士?みたいなもの?自分でもその発想はよくわからない。うん、やっぱりただなんとなく目についたからが正しいだろうな)   (6/7 00:06:56)


蕪木 千歳> 
( 例えば、本当に例えば、手の冷たい人は心が暖かいのだという。A型の人は几帳面なのだという。結局のところそれはその人次第で何型だろうと、手が暖かろうと冷たかろうと、本当にそうであるかなんて分からない。ただ、分からないなりに気になりはする。どのような人であるという判断が下されるのか。それはただ客観的な信託にすがりたいだけであるのかも知れなくて、すがったところで、肯定されたいだけで何も変わることなんてないのだろうけれど。『 へ…………っ? ぇ、あ………はい、………きれいですよね、此所の夕焼け。 』不意に鼓膜を震わせた、若い女の子の声に私はぱちりと瞬いて、夕焼け空に投げていた意識を身体の中にずしりと戻した。自分より幾らか高い身長、夕焼けに照らされていっそう色味の強まった赤茶色の髪、目線は確り此方を向いていて、勘違いで返事をしていないことに一先ず安堵した。知り合い……では、たぶん、ない。戸惑いながらも、へらりと柔和な笑みを浮かべた。話題は当たり障りなく、貴女もということはそうなのだろうと思ったから。)   (6/7 00:18:48)


岡本 塔花> 
「ふーん……そっかそっか。ひょっとして、何か考え事でもしていた?」(見ず知らずの人にこんな事を話すのも、と考えはしたがこう考えたのには理由がある。一つは彼女の返事が少し遅れていた事。それだけなら、他人に声をかけられてびっくりしただけで終わる。しかし、どちらかというとびっくりしたというよりほうけていたように見えた。二つはこんなところで黄昏ていたから。自分のように目的があるわけでもなく、同年代の子がこうして夕暮れを見てぼんやりしてるというのが珍しかったから。逆に言えばただそれだけ、反論しようと思えば簡単にできるし、崩れ落ちる考えである事は自覚していた)「もしそうなら話聞こうかー?……あはは、これじゃあおじさんのナンパみたいだけどさ」(このままはいさようならというのもつまらないし、ただ興味本位で口に出してみた。なんかこういうのネットで見たなぁなんて笑って、そちらから少し離れた位置に遠慮なく座る。悩みがあると決まったわけではないし、勿論話す義理もないわけだが。もしあって話すのなら真面目に聞くつもりではある。意思の強そうな、まっすぐな瞳が貴女を覗き込むだろう)   (6/7 00:31:01)


蕪木 千歳> 
……ゃ、そんなこと、…ないですよ。( あはは、そんな笑い方がやけに虚しかった。当てられたことに驚いて、突発的にしてしまった否定の言葉。ご明察、本当は当たっていた。鋭い瞳はそれすら見透かして居そうで、心臓ごとぶすりと射ぬかれてしまったような、そんな心地。体育座りに回された腕を少し強張らせて、それだけ体が縮こまった。ゆっくり息を吸って、固まってしまった血流を自力で回すように、緩やかに身体を揺らす。それで射ぬかれた心臓も、萎縮した身体も楽になるなんてことはなかった。『 ……………そんなこと、ないです、けど、 』何度も言われたことはあるのだろう言葉。それがタイミング悪く、抜けるだけの力がなくって刺さり続けている。揺らしても、空気を取り込んでみても。多分初対面なのに、変なの。それとも知らない相手だからこそ、話しても良いかもなんて思っちゃうのか。話した後は、知り合いになるのに。『 …………………、……夕焼けって、…きれい、ですか 』顔を歪めて、表面張力じゃ堪えきれなかった気持ちが溢れた。きれいですよね、なんて、言ったばっかりなのに。)   (6/7 00:47:12)


岡本 塔花> 
「そっか、そうだよね。ごめんごめん」(探偵でもカウンセラーでもない。人の心の動きを推理する事はできないし、それを汲み取り支えてあげる事もできない。なので言葉通りに受け取り、自分の勘違いであると考える。見ず知らずの彼女から目を逸らし、傾いて落ちていく夕焼けに目を細めた時だった。『そんなこと、ないです、けど、 』その声が耳に届いて、再び顔を向き直す。なんとなく居心地の悪そうな、しかし何かを伝えようとする素振り。何も言わずに、ただ黙って言葉を待った。自分から他人の心に踏み込んだのだ、流石に茶化すようなことは出来なかった)「……………うん、そうだね。私は綺麗だなぁって思うよ、額縁に入れて飾りたいくらい」(それは問いかけだった、その顔は歪んでいた。それに対して正直に答える。貴女が辛そうだから、といって答えを変える事はしない。少なくとも自分の瞳の中の夕暮れは、とても綺麗だ。"貴女にとっては?"という疑問を飲み込んで、次の音を待つ。何か伝えようとしている姿に耳を傾けた)   (6/7 00:59:52)


蕪木 千歳> 
……………ですよね、( 思っていたよりもその言葉はすんなりと飲み込むことが出来て、強張りが解れていくのを感じた。僅かに緩和されたレンズ越しの夕日。オレンジ色のそれはやっぱり綺麗なのだという。当然だ。誰もがそう口にして、写真を撮ったりモチーフの品を作ったりする。綺麗で、心が動かされるものだから。ただ、夕焼けも、星空も、綺麗で心動かされる筈のものであるのに。『 ……私はこれ、きれいに見えないです。 』困ったなぁ、くらいの軽さ、それでいてそんなに困ってなさそうなお気楽な笑み。口に出来たことにまず驚いて、泣いてしまわなかった自分を褒めた。そして、話してしまった自分を叱った。…レンズ越しに移る世界は何を見ても綺麗じゃなかった。なら、眼鏡を外したら。……そしたら、レンズ越しだから、世界が綺麗に見えないだけだ、そんな言い訳が出来なくなる。心が暖かいから手が冷たい。几帳面だからA型だ。それなら、世界が綺麗に見えない私は何で、綺麗に見える貴女は何になるのだろう。 『 ……ごめんなさい、こんなお話ししちゃって。…忘れて、大丈夫です。 』どうせ、そう思ったことも私は忘れるから。綺麗に見えなかった苦しさも、申し訳なさもどうせ忘れようとするから、だから、何の意味もない話。それなのに、貴女に聞かせてしまった。)   (6/7 01:19:40)


岡本 塔花> 
「そっか、別に良いんじゃないかな?……ほら、何を美しいと思うかなんて人それぞれだし。貴女がそう思うなら、そうでいいんだよ」(貴女がそう言った理由はわからない、わからないからこそ自分の考えを口に出す。有名な芸術家の作品は必ずしも老若男女に愛されるものだろうか?無名の作品に必ずしも価値はないのだろうか?そうではない。人にはそれぞれ感性がある、環境や立場でもそれは大きく異なっていくものだ。この夕焼けだってそう、私は確かに美しいと感じている。だからと言って貴女が夕焼けを美しくないと感じていても、それは何もおかしくないことだ。何も間違いではない。)「なんというか、難しい事言えないけど。綺麗じゃないと思う事はおかしくないし、そんな難しく考えなくて良いんじゃないかなー!……はは、生意気言ってごめんなさい。忘れたほうがいいなら頑張って忘れます」(貴女が綺麗だと思うものを見ればいい、ないなら探せばいい。なんて簡単に言える事じゃないけれど。少なくとも自分はそう思っているし、気にやむ事ではないとも思っている。最もまだ16の私が、世間のことなんて何も知らない私が言っても生意気なだけかもしれない。他人に言われたくないかもしれないけど、と苦笑いが浮かんだ)   (6/7 01:37:36)


蕪木 千歳> 
……ですよね、( 本当に、それだけのお話だ。綺麗に見えない事実は変わらない、努力の仕方だって分からないものだから、頑張って変わることすら出来ていない。だったら、そのままでも別にいい、しょうがないことだと飲み込んでしまうのが1番だ。ただ、そう思えなかったのは。友人達が綺麗だという景色が何も分からなかった疎外感や、綺麗だからと見せてくれた星空に何も思えなかったことへの罪悪感、それが確かにあるからで。それが切り離せるだけの気丈があれば、景色がこうも歪んでしまうようなことだってなかったからで。結論、どうしようもない。だから、忘れてしまうのが最善策だった。『 ……いやー……!…私にもいつか、綺麗に見えるものがあったら良いなぁ…………。 』立ち上がり、ぐんっと腕を上に伸ばした。それ以上でもそれ以下でもない、ただのオレンジ色の夕焼け。味のしない空気を取り込めば、それだけ喉が通る気がして、気合いを入れたような元気な声を出しやすいような、プラシーボだろうとそう思いたかった。へらりと笑う。少しでも気分が晴れたように。すっきりしたように。)   (6/9 00:21:08)


岡本 塔花> 
「見つかるよー、なんて簡単には言えないけど。応援してるよ」(見上げれば彼女は、グッと腕を伸ばして声を出していた。スッキリした、と考えてもいいんだろうかと首を捻る。少なくとも自分にはそう見えて、夕焼けに照らされたその姿は"絵"になるな、なんて思わせるものだった。勿論許可なしに人物画を書くわけにはいかないし、ただの比喩表現だけど。そちらを見上げながら真似するように上半身を伸ばして、思い切り息を吸い込めば沢山の空気が肺に入り込んできた)「げほっ、吸いすぎた……貴女はもう家に帰る?」(普段こういうことをやらないからか、むせてしまい少し恥ずかしい気持ちになる。夕暮れも見た事だし、そろそろ帰ろうかなあと立ち上がっている貴女を見上げた。帰るなら自分ももう帰宅しようかなあと、軽く腰を上げてお尻を叩きながらぼやいてみる)   (6/9 00:38:26)


蕪木 千歳> 
っ、!? だ、大丈夫ですか……!? ( 空気を吸い込んだ結果噎せてしまうのはちょっぴり分かるところがある。けれどそれはそれとして焦るもので、背中を擦って良いものかと手が空をさ迷った。飲み物と違って空気故に、噎せて苦しい目に遭う時間はごく僅かで、大丈夫そうなことにほっとする。『 そう……ですね、あんまり遅くなると、親が心配するので。……今日は有難うございました。 』途中まで一緒に帰るとか、送っていく、とか、紳士な対応は取れなかった。通学路は分からない、なんなら、名前も聞いていないものだから分からない。今更名乗るのもなんだか嫌で、いっそのこと、名無しのままでいてほしい。それはちょっぴり不便だけれど、変なタグが付くより良かった。さようなら、名も無き貴女。ゆっくりと頭を下げて、やんわりと手を振って、またねがあればそのときは、どうか互いが今日のことを忘れてますように。/〆)   (6/9 00:59:56)

菱沼 華> 
蕪木ちゃん>「 ( チャイムの音を聞いたのは幾分か前のことになる。ある生徒は鞄を手に足早に教室を去り、ある生徒は友人と談笑をしながらノートを机に広げる。窓の外。晴れているには違いないのに、雪のようで雪でない粒がちらついている以外には、…変わらない日常の光景だった。)( であれば。彼女の行いも普段と何ら変更されるものはない。教室の清掃や散らかった学級文庫の整理に確認、窓の施錠に至るまで。勉学に励むための最適な機関としてあるべき姿を実現するために彼女は今日も雑用に精を出す。)( しかし。しかしである。)( この日は先約があった。)( 街に繰り出して甘いものを食べたり、お洋服を吟味したりするわけではないけれど、彼女にとっては大切で、それはそれは心の踊るような出来事。)( 友人と、清掃をする日である。)( 厳密に言えば、清掃自体に胸を弾ませている訳ではなく。)( 蕪木 千歳という同い年の少女と約束を交わしたこと。ひいては、少女と時間を共に出来ると言う事実に頬が緩みきっていた。) 」「 もう来てますかね〜…? ( 度々すれ違う先生方に “ さようなら “ と挨拶をして、向かった先のある一室。以前少女と二人でほうきで掃いたり、ぞうきんをかけたりしたあの時の教室の入口。小さな声でそぉ〜…っと、覗くように、中の様子を伺った。)( 相手を待つのは許せても、待たせることに申し訳なさを感じるもので。もちろん、隠密行動のライセンスを持っていないから、生徒の声の遠くなったこの場所ではあまり意味のある行為とも思われないが。さて、少女はいるだろうか。)」   (6/11 21:37:24)


蕪木 千歳> 
…………………は、な………っちゃん! ( ぎゅっと、小さな肩に両手を乗せた。──遡ること少し前のこと。昨日の遊園地で僅かにイーコールを取り込み、カミサマ化していた小瓶の提出は帰って直ぐに済ませていた。けれど、それに伴いきちんとした経緯説明のレポートなどが必要なことを知ったのが昼休みのこと。慌ててレポート用紙を受け取り、書き終えた頃には昼休みは終わっていて。漸くの放課後にきちんと提出することが出来た。問題は、記憶の内には今日の放課後は約束があったことで、LINEのトーク画面を確認すればそれは容易に確信に変わった。何度見返しても日付は変わらず、なんなら今朝は確り覚えていたし、その前の日から覚えていた。だから忘れる筈もなく、まずい、遅れた、そんな意識からの逃避にすぎない。職員室を出るや否や、スタートのピストルが鳴り響き………くれぐれも転ばないように、人にぶつからないように気を付けながら、私は階段を駆け上がった、……のだった。それがどうしたことだろう、教室の前にはこそこそと中を覗こうとする貴女の背中が1つ。背後は完全に取れている。となると、やることは決まっていた。『 ………ごめんね、ちょっと遅れちゃって… 』驚かす為に背後から乗せた肩から手を退けて、私は手を合わせて頭を下げる。遅れた上に、人を驚かせようとした重罪人。貴女が怒って帰ってしまう可能性に今更気付いて、静かなお祈りタイムが始まった。)   (6/11 21:59:58)


菱沼 華> 
蕪木ちゃん>「 ( 覗いた教室には、少女の姿はなかった。恐る恐る視線を教室の隅々まで向けてみても少女の姿はなく。どうやら自分の方が先に着いたらしかった。)( そうして、)( 気付く。)( 彼女は耳が良かった。探索ライセンス:聴覚×2で以て階段の方から誰かの足音を捉えた。タン、タン、と登る落ち着いたものではない。もっと早いペースの、そう、恐らくは走っているだろう音。それは着実に音を増し、段々と近付く。)( まさか侵入者?いや、そんなことになれば先生たちが黙ってない。ああ、きっと。部活に急ぐ一年生とか、そのあたりのはず。その、はず。)( 一直線に向かう何者か。少し音が軽い。女子生徒だろうか?こんなところでヴィランと出会うなんてはずはないけれど、…) 」「____________ッッ!??( 足音が止まったその瞬間に、どくりと心臓は一際大きく跳ねた。)( 肩に乗せられた小さな手のひらに、丸めていた背がピンッと伸びた。『 …………………は、な………っちゃん!』名前を呼ぶ、少女の声。振り返ってその姿を確認しては、 “ はあぁぁ、……っ “ と、大きな安堵の溜息を漏らす。そのまま壁伝いにずるずるとしゃがみこみ、トクトクと早まった胸の辺りに手を当てた。) ああ、いや、全然大丈夫ですよ。わたしも今来たばかりなので!…ね、ほら、やりましょ。( ぱ、と顔をあげれば少女は不思議と祈りを捧げるように手を組んでおり、それを不思議に思いながらも、ぶんぶんと左右に両手を振って、とんでもない!と弁解をして見せた。それから少しだけ見えるクリーナーを指さして、どっちが早いとか遅いとか、そんな言い争いにならないようにと次を促した。) 」   (6/11 22:22:56)


蕪木 千歳> 
え、ぇ……っ!? ご、ごめんね、そんなに驚くと思わってなくて…… ( 普段は私より高い頭が、ずるずると下に下がっていく。まさかそんな、腰を抜かすほどとは思っていなかった。慌てるのに無理はなく、遅れたこと以上の申し訳無さにぺこぺこと頭を下げた。大丈夫かと心配になりながら、しゃがみこんだ貴女の助けになればと片手を伸ばす。掴んでくれたのなら、よいしょっと立ち上がるのに力を貸すことだろう。『 ん、やりましょう!…クリーナーの掃除の仕方とか、分からなかったから、ちゃんと調べてきました。 』あの日と変わらないオレンジ色の教室。日が開いた分細かな埃などはあるだろうけれど、それは今日は気にしない。ふんっと両手でガッツポーズみたいな気合いも込めて、準備万端、やる気も満単。ほんの数mの距離は直ぐに埋まって、到達したクリーナーの前。ポケットから先ず取り出されたのは、コンビニ袋だった。『 へこんでる所に力を込めて蓋を開けるみたい…だけど、開けたときに粉とか散ったら大変だなって、思って。だから、ね、この中で開けたら大丈夫…! 』コンセントから線を抜く。コンビニ袋はちょっと大きめで、広げて中に入れても腕を入れる分には問題も無さそうなサイズをしていた。秘密兵器、というほどでもないけれど、きっとあることで助かる筈。『 ただ、開けたときに腕とかは汚れちゃいそうだから、腕捲りして、どっちが開けるかはじゃんけんで、………どう、かな…? 』   (6/11 22:48:33)


菱沼 華> 
蕪木ちゃん>「 んしょ、…っ ( 差し出された手を取り、ぐ、と引いて立ち上がる。それから床に着いてしまったであろうスカートの裾を撫でるように払い小さな塵を落とした。宙を舞うそれが沈みゆく太陽の光線を受けきらりと光ってみえる現象、ええと、たしか…チンダル現象、と言っただろうか。そんな関係ないことを頭の片隅に追いやって、すぐに少女のあとを着いていく。) やり方調べてくれたんですね?いつもその場の勢いでやっちゃうから考えたこともなかったです。( ポケットから取り出されたビニール袋を一瞥し、コンセントから線を抜く少女の手つきを見ては随分手馴れてる人のようだな、と率直な感想を抱く。初めてだと聞いていたけれど、前調べもしている分心強いことこの上ない。より円滑に作業が進みそうなことは、嬉しくもあり、また少女との時間が減ってしまうという点では切なくもあり。けれど決して悪いことではない。“ えらいなあ、“ と独り言も交えつつ、袖口のボタンを外しシャツを肘の辺りまで捲りあげて、ジャンケンとの言葉にわざとらしく肩を回した。) いざ尋常に………じゃん、けん、ぽん!」   (6/11 23:09:20)


蕪木 千歳> 
大惨事になったら大変だなぁと思って…… ( それから、足手まといにもなりたくなかったし。記憶の中にクリーナーを掃除したものなんてなくって、何も分からずにまごまごしてしまうのは嫌だった。苦笑混じり、ちょっぴり褒められたことを照れた風に語りながらも、真実なんてその程度だった。経緯は何にしろ、役に立てたのならそれが1番ではあるけれど。じゃんけんに気合い十分な姿に思わずくすりと笑ってから、私も控えめに腕を巻くって 『 ぽんっ!……………あぁ~… 』初手、蕪木選手グーをチョイス。対する華ちゃん選手、パー。……勝負が決まるのは一瞬だった。敗因は気合いの量、かもしれない。がくりと肩を落とし、固められた拳が無惨に下げられた。『 …………では、僭越ながら。っ…………ふ、ん…………ぬ…………ッッ!! 』じゃんけんに負けただけだけど。粛々と、まるで神聖な儀式でも執り行うようにそっと、クリーナーを机の上に置かれた袋の中にしまう。腕捲りの妨げになるパーカーは脱ぎ、1つ隣の机の上に置いた。確りYシャツは腕捲りをして、これでok。開けられるか、どの程度粉が飛び散るかの少しの緊張。無理に押し広げないでください。破損の原因になります。そんな注意書を思い出しながら、窪みに指を嵌めて出来る限りの力を込めた。蓋は固く、少しの葛藤の末 『 っ、ぁ……………ッけほ、っ……あ、いた………! …ふぅぅ……………かたかった…………。 』ランプならまるで魔人の登場。蓋は開くやいなや、溜め込んでいた分の粉を吐き出し、袋の中を僅かに曇らせる。その余波は力を込めるために背を丸めていた分近付いた顔にもやんわりとかかり、チョーク粉特有の香りに意識が一瞬満たされる。咳き込んで吐き出しても、口内に香りの味が残っているようなそんな気がして、若干口の中が不味い。開きにくさの原因は、入り口の隙間にまで細かく充満した粉のせいのようだった。取り出した手は仄かに粉で色付いていて、固まった腕を解したくってその粉を散らさないように柔く揺らした。『 後は集じん袋っていうのを取り出して……中にあるスポンジを取り出してからチョーク粉を捨てればおっけー………の、はず、でも結構溜まってるから、袋と、スポンジも洗った方が良いかな………? 』   (6/11 23:37:32)


菱沼 華> 
蕪木ちゃん>「 ( 気合を入れた1度目のじゃんけんで、呆気なく勝敗はついた。がくりと肩を落とす少女に “ そういう時もありますよ “ … なんて風に励ましの言葉を投げながら、袋の中に手を差し込んだ少女を見守る役に徹した。)( 透視能力を持たない彼女はクリーナーの蓋部分と少女の戦いを見ることはできない。おおよそ少女の様子から察しとるのがせいぜいで、どうやらかなり苦戦しているらしかった。一点に力を込めるせいか、すこし腕が震えているような。 “ 変わろうか “ と声を掛けようとしたとき、一際大きく袋が波打って、ぶわりと少女の付近にチョークの粉が舞う。開けるのには何とか成功した、のだろうか。)( 袋を隙間から覗き込めば、それはまあ随分な粉が静電気によってか内側に張り付いていて、非常に長い期間気にも留められぬまま仕事をしていたのだと容易に理解出来た。はあ、と溜息をひとつ。道具に感謝するのは、大切なことでしょうに。)」「 それにしても、………はは、可愛いお顔に粉がついちゃってますね。( 先程開けた時の勢いで舞ったうちの一部。頬の辺りに黄色と赤の混じった粉が付着しているのを目にとめて、スカートから取り出したハンカチで優しく拭おうと手を伸ばす。髪がつやつやと美しくて印象的な分、顔にチョークの粉をつけているのがどこかアンバランスで、つい笑ってしまうのは仕方の無いことだと言い訳を用意しながら。きっと粉に塗れた手じゃ二次災害まで起きかねないからと、そのままハンカチで拭えたなら、それから、) そう、ですね。一旦全部出して、はたいて、それで〜……えっと、…洗剤で洗ってちゃんと乾かせば大丈夫なはずです。( いつもの大雑把なやり方を回想しながらこの先の段取りを組んだ。集じん袋。どれのことだろうと、片隅に疑問を追いやりながら。)」   (6/12 00:01:24)


蕪木 千歳> 
かわ…………っ、…ぁ、りがとう…?………ん、( ぴゃっと肩を竦めて、お世辞だとしても照れてしまうのは仕方無い。言われ慣れるほどに、誰かに見惚れられる程に整った顔立ちなんてしてないことは、ちゃんと自分で分かっている。けれどそれはそれだろう。ぎこちなく礼を述べ、近付くハンカチに目を瞑った。ハンカチを汚してしまう申し訳なさはあるけれど、いつまでも顔に付けていたくもなくて。つまるところ、お言葉に甘えて自らに優先順位を置いた。開いた頃には顔は綺麗になっている筈で、有難う、と今度は笑いながら口に出来た事だろう。『 ん、だよね…………よし、…………………華ちゃん、蓋を開けて、ゴミ箱持ってきてもらっても良い…? 』蓋を開けたクリーナーの中はいっそう粉で満ちていて、その中に手を入れるのはやっぱり気持ち的に憚られるものがあった。だからこそここまでの事態になっていたのだろう、なんてことは想像できて、誰かがそんな負の連鎖は止めなくてはいけない。覚悟を、決める。細く息を吐いてから、一息に袋の端を掴んで持ち上げた。粉にまみれた袋は粉の中に手を突っ込んでいるようで、ぞわりとした感覚が伝わる。それでも手を離せばまた覚悟を入れ直さなければならないのだから、嫌な根性の見せ所だ。半ばまで持ち上げてから、はたと気付いたのはこの粉を先ず捨てる場所がないことで、申し訳なさそうに眉を下げながら、救助要請は為された。無事に申請が受理されたなら、たっぷりと粉の詰まった袋、所謂集じん袋がゴミ箱の上空に鎮座する事だろう。中には四角形のスポンジも入っていて、スポンジを抜けば粉は多少減ると、そう信じたい。)   (6/12 00:28:05)

蕪木 千歳> 
………とかげ、さん。………えぇと、えー………よろしく、お願いします ( 遊園地での出会いは、まだ記憶に新しかった。だから、忘れられないその姿、大きな背丈には気のせいとは言えないほどの見覚えがあって、待ち合わせ場所の街の端、荒れ果てた外へのと続く道の入り口で、随分と萎縮しながら、私はぺっこり頭を下げた。赤いパーカーは気持ちばかりのヒーローの証。白いパーカーを着ていても、どうせ自分の血ですぐ染まるだろう。なんて、笑えない冗談。そのくらい私は、よわっちい。運動神経が良いわけじゃない。ヒーローとしての訓練を重ねる内に、平均を少し越せた気はする。生命力が高い訳じゃない。擦り傷1つ、記憶にある限りじゃ負っていないようなそんな気がする。人望にカリスマ性、見目麗しさ、そんなものがあるわけでも、ない。なのに、イーコールが振る謎の事態。それによる外のカミサマ達の変化を調査しに行くのに自分が選ばれるなんて、変だなぁとは思いはしたのだ。貴方が守ってくれるだろうから、…なんて言うと、あまりにも無責任で勝手な女の様だけど、よわっちい私に守ってくれる人を付けることで少しでも慣れさせよう、とか、或いは、一般人が居る状況下での戦い方を学ぼう、とか、そういう理由があれば納得は出来てしまったんだ。異常事態が起こったときの為にと、二人菓子まで持たされていたことだし、よわっちさは公認だ。申し訳無さにその他諸々、余計なものまで納得と共に付いて気はした。なんて要らないアンハッピーセット。『 ぃ、きましょっか……っ!…遊園地以来、ですね、 』へらりと笑って、ぐっと拳を固めて気合いを入れた。頑張るぞい、なんて、声に出しはしないけれど。パーカーの袖から、小さな腕時計がちろりと覗く。)   (6/22 23:04:35)


トカゲ> 
「(トカゲ。それは爬虫類として一般的な生物の1種であり、彼の名である。名前を呼ばれれば。ぎょろりと、たった1つの目は君を捉えた。気持ちばかりとはいえヒーローの衣装を着る君と比べ、彼はいつも通り王のような格好をしている。)ほう、貴様が今回のパートナーか。これはいいものが見れそうであるな。(その目は君を見ると少しだけ細められた。口角の動かない彼の笑い方だ。…さて、彼は『いいものが見れそうである』と言った。君に戦闘力がないことは知っているはずだ。しかし見れそうだ、と、彼は君に何か期待しているらしい。)何と言っても、物好きな貴様の過去だものな。楽しみで仕方がない。(それもそのはず。長身の彼の背中の奥にあったのは、1枚の古い扉と南京錠だった。パドロックスロウスと、君の認識した特徴が完全に一致しただろう。)」「小学校によくあったな、確か。四足の頃の記憶はそこまで確かではないが、少なくともずいぶん前だったことは覚えている…(古い。古臭いというか、今の時代であれば知らない子供も一定数いるのでは、というくらいだ。そもそも、今や南京錠という存在自体も古い。)だが、これはただの捨てられた扉と南京錠というわけではないぞ。(使い道は今でもあるが、要らなくなれば捨てられる運命だ。だがこれはまだ『捨てられた』には該当しなかった。)…凄まじく、引き寄せられる。かくいう我も辛うじて耐えているくらいだ、しかし触れてしまえばもう離すことはできないだろう…(そしてただただ開かれるためにあるのでもない。それは、『捨てたもの』を拾わせる、扉である。)一般人が入って記憶喪失になる前に、情報のある人間が入って解決してしまう他ない。(扉が支配する空気は、間違いなくこちらを吸い込もう、ひきずろうとする、重苦しい暗闇であった。)」   (6/23 00:22:09)


蕪木 千歳> 
いいもの、ですか…? ………これは… ( は虫類は確か冬眠したような気がするが、このトカゲの王は冬眠するのだろうか。降り注ぐイーコールがまるで雪のようだから、場違いにそんなことを思った。変わらぬ威圧感と不気味な笑みに思考の目を逸らして、現実逃避したとも言える。そんな逃避を出迎えたのは、貴方の背後からのっそりと現れた1つの扉。随分と古く、錆び付いている。どう見ても重たく、酷い錆び付きは開けられそうにない。そもそも、扉のみで何を開けるというのだろう?けれど何故だか、開けられるという確信と、開けなければいけないという不安があった。呼ばれているような気さえした。声も聞こえず、気配すらないそれは捨ててきた記憶にあったものなのかもしれない。これが楽しみだなんて、貴方はとんだ悪趣味だ。そんな不満は滲む。けれど、そんな不満1つじゃ、この焦燥感は塗り返せやしなかった。貴方も引き寄せられるのなら、呼んでいるものはなんなのだろう。どうして私が。ヒーローだからしょうがない、とはいっても、あんまり覚えてないんだけどな。暗がりに小さな星屑が散っても、昼の空じゃ見えはしない。『 開けま─────── 』深呼吸と共に、高い高い貴方を見上げた筈だった。いつの間にか、指先は扉に触れていて。そうして景色は暗転する。───────ーカーンコーン─キーンコーンカーンコーン─────。『 ______。……………ここ………………………、 』教室から見る窓の外はほの暗く、夜が少しだけ進んだ、濃いオレンジ色の夕焼けだった。3階の教室。壁には書道の授業で書いた同じ様なぼやけた文字がずらりと並び、不揃いな机が列をなして背を向けている。真正面には教卓があり、背後にはまだ週番の書かれていない黒板があった。外から、校歌を歌う運動部だろう野太い声が聞こえてくる。壁掛け時計は18時、部活の終わる下校時間を指していた。『 ………ここ、…私の通っていた、中学校です。 』多分。あまりはっきりとは覚えていない。書道で書いた文字がなんだったかも、窓の外から見える街並みも、机の中身も。ただ、断片的に残る記憶の欠片から、恐らくそうであるような気がした。 『 ……鍵、探して出なきゃなんでしたっけ。…………トカゲさん、小学校のこと知ってましたし、中学校も分かりますか? 』カラカラと戸を引く。その扉は随分と軽くて、すり抜けられそうな気さえした。このカミサマの性質を、大きなカブを引き抜くよりも力を込めて、思い出す。合っていなくとも、貴方が訂正してくれるなんて人任せ。廊下を少し歩けば直ぐ階段があって、階段を段数分降りなくとも、2階に足が付いていた。まるでワープでもしているようだ。部活が終わって、生徒が帰るために教室から出て昇降口に集まり出す。そんな賑やかな音が確かに在りながら、人の姿は此処には微塵も居なかった。校庭から、教室で聞いた野太い歌声は響くのに、姿だけは何処にもない。)   (6/23 00:59:06)


トカゲ> 
「   。   。   、   、   。(言葉のない声はどうやら、爬虫類たちを呼んでいるらしい。脚に黒い蛇を絡ませ、右肩に懐中時計を持った尾の青いトカゲを、左肩に尾の朱いトカゲと黄色いカナヘビ、胴には緑青色のヤモリを登らせて、首には黒いヘビを絡ませ手のひらの上にはゼニガメを。彼は完全に全ての爬虫類を身に付けた状態で君に続こう。季節遅れの雪を少しだけ積もらせた友たちを。)…ふむ、懐かしいものだな。(遅れて暗闇から覚めた瞳に射した、朱い日差し。生徒が去った後やその直前で、追い出されぬよう広い広い校内を歩き回ったもので、解散した爬虫類たちはするすると、彼の周辺ではあるが自由にのんびりと周囲を走り回る。あれは確か、まだ自然豊かな場所だった。)まあ、ここはあんな田舎ではないだろうが…(外を見れば一目瞭然であった。…ここで、町並みの中で君が捨てたものは何なのだろう。夜を食らう夕の時間、残っているのはチャイムと野太い歌声と空の色。その全ては、今から時が経つごとにそれぞれ、今の世界からはなくなってしまうものである。残り続けるのは、君と彼と、君が探さなくてはならないもの。あとは、残業をする教師たちか。)」「さて、母校か。(慣れてこそいるが、賑やかな校舎が精彩を欠く瞬間は不気味なまでの雰囲気だ。この時から、学校は静かになる。)そう、探すべくは鍵だ…貴様の思い出が握っている、な。(あてにするのは間違ってはいない。彼は常に冷静である。冷静でなくて、カリスマある王は務まらないものだ。)貴様にとってそれが良い思い出か悪い思い出かは知らんが、大体の風景が分かれば我が友が探し当ててくれよう…(そう言えば、青尾のトカゲから懐中時計を受け取り、爬虫類たちを解散させた。)コイツはこういうのには向かんのでな、司令塔として働いてもらっている。(留まった一匹がゼニガメであるのを見れば、彼の言い分も理解できるだろう。)さあ、なにか思い出したことはないか?教室の名前だけでもいい。場所を思い出せないなら、我らが導こう。導いてくれるのであれば、黙ってついていくとも。(また不気味に、目を細め笑った。)」   (7/3 13:24:02)


蕪木 千歳> 
( つぶらな瞳の小さなトカゲさん達は集まるやいなや解散を。残ったのは掌の上のゼニガメさん。時折首が収縮し、一部の柔らかな皮膚が震えるのみ。それ以外はじっとして動かずに、此方をじぃ………と見定めている。索敵には向いていないのは分かるとして、……司令塔。あまり頭の良いようには思えない。けれど、海の物語で知恵者といえば大抵カメであった気もして、案外見掛けによらないのかもしれない。とはいっても、今回はその知恵を借りるようなことはなさそうだ。『 ………有難う御座います。けど、はい、此処だろうなぁって推測はちゃんと、付いていますよ。』記憶は案外、というか改めて、忘れられないように出来ているようで。見慣れた景色にすんなりと鍵の場所の判断は付いていた。だから、頼るようなことはない。小さなトカゲやゼニガメは無表情ながらも愛嬌があるのに、目の前の貴方は笑うと不気味な気がするのか。きっと、大きさのせい。振り替えって見てしまった貴方の笑みにそんな現実逃避をしながら、浮かべた笑みが少しだけひきつってはいませんように。此方です、と指差しながら向かったのは校門で、つまるところ目的地は学校の敷地外だった。姿のない声は相変わらず響いていて、耳を澄ませば変わらぬ校歌と、下校中の生徒の会話が聞けるだろう。ガヤガヤと賑やかしい。その声は校門を抜ければおよそ半分程度には減少した。『 ……えと、目的地までは多分10分位です。私が中学生のときに、学校帰りに友達とよく立ち寄っていた公園で、…毎日話して、楽しかったなぁ………って、思い出があるので、多分、そこだと思います。 』校内よりも校外、通学路の方が映る景色は鮮明だった。それは記憶を思い出したからというのもあるのだろう。二人並んで歩けばいっぱいになるくらいの幅の道。時折車が通り抜けたり、途中にある家の塀の側には猫の置物なんかが置かれている。大きな分かれ道が来る度に、ばいばーいなんて声がしたりして。段々と静かになる世界。ただ黙って歩くだけでは退屈だろうと、バスガイドさん程にはなれないけれど合いの手を入れて。Y字の曲がり道、急な坂道の方を進めば、目的地まではあと少し。久しぶりに登る坂道は息が上がって、それすらも懐かしい。そうして、坂を登った甲斐あって、木々の合間から見下ろせる街並みはやや小さく、まるでパノラマのようにも見えた。『 っ………はぁ…………、……ぁ、彼処です。 』少しして、上がった息も整えながら。指差した公園はとても小さかった。ベンチが2つ、気持ちばかりの鉄棒とブランコが備え付けられていて、ボール遊びが出来るほどの広さはない。けれど少女達が集まって話せるのなら、広さはそれほど要らなくて。むしろ、廃れている分人が来なくてラッキーだった。鍵はそんなベンチの上に。)   (7/3 14:07:02)


トカゲ> 
「今回は、我々の役目は無いようだな。(冷静なものだ。たどり着いた公園、そのベンチの上に間違いなく鍵があった。)先に扉の前で待っておきたまえ。ああ、   には鍵を持っていてもらおう。(そして見つけ、歩みを止めた際に、散会し爬虫類たちへ通信機から一斉に『勅命』を下し、先に扉の前へ帰らせた。尾の赤いトカゲが咥える時計を見て、もうしばらくで扉が閉じてしまうと見たのだろう。彼が呼んだ名は尾の青い方のトカゲであり、ベンチの鍵を咥えて、素早く曲げた背の斜面を掛け上れば、肩の上に乗った。)カメはすばしっこくはないが記憶力がすさまじい。司令塔と言うに事欠かんであろう。(黒い蛇はその小さな甲羅を背負った司令塔をさらに背負い、走り去っていく。)それに、幼体ということもあって非常に神経質だ。凛々しい顔をしていただろう?(…去り行くまでの姿も、君が思う通りの頭がいいようには思えないものだっただろうが。)」「さて。我々もそろそろ急がねばな…(さて、爬虫類が自身の子供や別の生物を乗せるのはそう珍しいことでもない。蛇は細いが、ゼニガメも小さくジャストサイズであった。)…そろそろ、記憶がおぼろげになるころのはずだ。我の方が早い、そして来た道は覚えている。(自身の子であれば、迷子になることと身の危険を防ぐために、素早く共に目的地へたどり着くために背負うだろう。)『乗るといい』。少し揺れるが…(君は彼の子などではあるはずもないが、王のような姿で這いつくばる彼は、尾の赤い蜥蜴青い蜥蜴を含め君も背に乗せて行こうという算段だ。蜥蜴の体であるが故に、その方が『早い』。波のように揺れて走るために、背に乗る君の視点は、とても酔うものだが。)ひきつった笑みへの仕返し、とでもしておこう。(…そして、感情に対する目敏さは、その体でもしっかりと定着しているようだった。)」   (7/3 15:16:36)


蕪木 千歳> 
( それは一瞬の出来事だった。元よりトカゲはすばしっこいものだが、司令が入ったそれは途端にエージェントじみたものになる。公園内に立ち寄るまでもなく鍵は回収され、撤退準備もスムーズに。亀が凛々しい顔をしていたかどうかは……思い出しても…ちょっと、分かんないけど。『 ………そう、ですね。はい、………………はい? 』夕暮れがじわりじわりと夜の闇に飲まれていく。見上げる星空、見下ろす夜景、どちらも、ほんの少し暗いけれど、記憶の中と変わりなくって。暗くなって暫くしてから、帰路についたものだった。何を話していたかなんて、覚えてはいない。けれどそんなことどうでもよくて、私達も帰らなければならない時間だった。走ればまだ近い距離。きっと、間に合わないことはないだろう。頷き、初めの教室に向かって帰ろうとして居た体は貴方の言葉にびたりと止まった。乗る、……乗る?『 ぅ"、…………………すみません。 』おぶられるといえば、まだ馴染みやすい言葉で納得が出来た。隠しきれなかったらしい笑みに、罪悪感でまたひきつる。誤魔化せるようなものでもなし、謝罪は素直に。そうして恐る恐る、私は貴方の肩に手をかける。人と違う体なものだから、何処に手や足をかけたら良いものか分からず、その乗り方はしどろもどろの不格好。それでもなんとか、これなら振り落とされないはずといえなくもない乗り方を出来た、気がする。後は大した自信のない筋力にかかっている。『 ……その、はい、…お願いします。 』すぅ…と息を吸い込んだ。懐かしさのある木々の香りを纏った空気が、肺の中を擽っている。そっと目を伏せて、公園の景色から目を反らした。)   (7/3 15:47:25)


トカゲ> 
「クカカッ。まあ、あれもまた良いものではあったがな…(鞍のようになったマントの上で、慣れないさながら騎馬の形態になる君の、背中から聞こえる謝罪の声。それにこちらは笑い声から語り掛ける。)しかしこれに懲りたら、次は素直な笑みで返してくれたまえよ。(背中へ器用に王笏も乗せて、右手を上に、右足を下に。半身を開いた状態から、トカゲの走行は始まる。鍵を咥えた蜥蜴も、時計を咥えたトカゲも、君の背中に優しくちろりと這い上りどうやらしがみついているらしい。)謝罪も良いが、我はヒトが心から笑っているのが一番好きだ。(這うように、波打つように、そうして素早く走る。1歩、左手を前へ、左脚を伸ばし。)次に好きなのは…(どんどんと交互に動く速度加速しながら、その口はやはりよく回った。)戦く顔だろうか。(そして君がその言葉を聞き終えれば、大きな息継ぎと共にまっすぐに飛び出すだろう。蜥蜴は素早い。スリムかつ強かな肉体を持ち、小さな体を補うだけのすさまじいものを持っているのだ。一度逃げられれば簡単に追い付くことはできない速度、それが人ほどの大きさとなると車より少し遅いくらいだ。)」「カッ…カッ…(時に、彼の笑い声と似た掠れた音が聞こえるだろう。『呼吸音』であることは、彼の喉の震えを見ればわかるかもしれない。)クッ、ククッ…(見ていられるほど君が酔っていなければいいのだが。)クカッ…蜥蜴は走りながら呼吸ができないのだよ、ク、だから、一瞬止まるのだ…(さて、1度止まればもう校舎の前だ。気づけば、というほどであった。少なくとも行きよりは素早く戻れただろう。)しかし見ての通り、我には人の身も少し混じっている。ク…だからこのくらいの距離ならば、一走りで走りきれるというわけだな…(と。ここからは、扉へ歩みを進めつつ。)まあまずは、鍵を開けて出ることか。貴様の手で扉は開けられるべきだ…頼んだぞ。(と、口から渡された鍵を、また君へ手渡す。…そのついでに、背に乗ったそれを見ようと、君の表情を覗き込んだ。)」   (7/3 16:48:43)


蕪木 千歳> 
…………善処します。( だって、なぁ。貴方の姿ったら、恐ろしいに決まっている。人ではない異形のもの、制御されたカミサマ、シキガミ。受け入れて人間と同じ様に接しろと言われても、そう簡単には行かないし、怖いものは怖いんだ。悪い人ではないことは、分かるんだけど。……素直な、心からの笑顔。なんて難しい条件を吹っ掛けてくるのだろう。ああでも、戦く顔なら幾らでも見せられるかもしれない。今だって、まるで座席しかない車に乗ったような強風に身体をめちゃくちゃに揉まれて、必死にしがみつく背中。喉奥で言葉にすることはない悲鳴はひっきりなしに上がっていたから。ぎゅうと目を詰むって、止んだ風圧にそっと目を開く。視界が微かにくらりと歪んで、気が付けばそこはもう学校だった。……カミサマって、すごい。『 はえ……………、……ぁ、は、はい……っ、あの、降ります、有難う、御座いました 』ぽけ、と呆けていれば、扉はもう目の前に。覗き込む姿にはっとして慌てて手を離せば、古ぼけた鍵を受け取った。触れてしまったのと同じ扉。記憶の中の出発点。重たい南京錠にそっと指を這わせて持ち上げた。錆びたそれは冷たく、デコボコとした手触りをしている。それでも鍵穴はきちんと機能しているようで、鍵は抵抗することなく、鍵穴の中に収まった。回すのだって同様に、鍵があっていなくて開かないよ、なんてことはない。すんなりと、扉が開く。白い光が扉の向こうから溢れ出て、溢れたそれが視界を満たした。──────────『 わ………っ!? っ…たた…………… 』戻る視界、立った体に戻る意識。急に足に力なんて込められなくて、どちゃっと地面に尻餅をつく。扉はとうに消えていて、あるのは、きっちりと思い出した記憶だけ。まるで夢でも見させられていたようだった。)   (7/3 17:20:16)


トカゲ> 
「…まあ、一番好きなものというだけだ。表情が見られればそれで良い。(また入る前と同じように、いつの間にやら彼の体には友である爬虫類達が彼の体に身に付いていた。)      。   、     …(爬虫類達に表情はない。それは彼とて同じ、形を作れるような柔軟な顔はない。本来ならば感情を抱くような知能すらないはずだ。言葉のない声は労いらしく、光に包まれ扉から意識を返してから、肩に群がる彼らをそれぞれ撫でていた。彼らは、心なしか嬉しそうだ。)我が望むのは、『彩り豊か』であることだからな。(生きるための方法として磨いてきた意志疎通。それが切り開いたのかもしれないし、トカゲのカミサマから、人のかたちでもトカゲのかたちでもないカミサマとなったのはその結果なのかもしれない。)できれば、貴様の懐かしがるような顔が見たくてこの扉へ誘ったのだが…存外時間がなかったか。(悪戯好きのトカゲの王。)次はそうだな。現実の、思い出の場所にでも行けばわかるか?(王はイキモノが持つ大切なものを、美しいと知ったのだ。爬虫類たちは、嬉しそうである。)」「まあ、なんでもいいだろう。抜け出し方を知っている我々が、誰かの大事な思い出を一つ守れたということだ。(王というには自由過ぎるほどだが、王のようにそのカリスマと威圧感があるからこそむしろその自由さが人らしい。彼には必要な冠なのだ。)つまり我々は今日この日ヒーローらしくあったということだな。おめでとう、『蕪木』。(冠を頭にするものは、『友』の名を呼ぶ。思い出を共に、鍵と共に。悪戯の結果ではあるが…ひきつった笑みを見て、彼にどうやら君は興味を引かれてしまったのだ。)そしてお疲れ様。(だから、友を労う。)貴様の笑う顔を見るのが楽しみだ。(期待する。楽しむ。)さあ英雄よ、凱旋だ。(褒め称える。称賛する。『我ら』、共に。)我らがホームに、帰ろう。(帰ろう。)」   (7/3 18:31:43)


蕪木 千歳> 
……ありがとう、ございます、…トカゲさん。…はい、………帰りましょうか。( へんなりと気の抜けたような笑みを浮かべながら、私は内心謝った。本当は、良い思い出なんかじゃ─────────────たなら、何れ程、良かったか。要らないのだ、こんな、独白は。今日、蕪木 千歳はトカゲさんと一緒に、1匹のカミサマを退治した。1つの記憶を救い上げた。報告書に書いて提出すれば、紙1枚に収まる出来事。それだけで、いい。…帰ろう、コード専門高等学校へ。)   (7/3 19:10:10)

飯田 玖諾> 
(────飯田玖諾は想定外を嫌う。)(今日も特に変わり映えのない朝から始まった。うっかり忘れていた課題を内職で終わらせ、購買で買った昼御飯の後に寝惚け眼を擦っていれば、スケジュール通りの授業が終わる。ただ一つ枠組みから外れていたのは、文字通り雲行きの怪しい空だった。どんよりとした重い鉛のような雲は生徒の解散を待たずして大粒の雨を降らせる。)「あっ」(頬杖をつきながら、飯田の視線は窓枠に釘付けになる。融通のきかない夕立の訪れに、周りの皆の声が心なしか大きくなる。『やべ、傘持ってねぇや……』『しょうがない、購買に走るか』『早く終われよーっ!』)「…………ありがとうございました」(終礼を終えて、男子を先頭に十人程度が早足に教室を抜け出す。騒音が階段を降りて校外に出ていく頃、飯田は漸く鞄を背負って生徒玄関に歩きだした。こういう通り雨はだいたい待っていれば……長くても数時間で止んでくれる筈。それに、待っているだけなら一番『何もしなくていい』から。) (庇の下で凭れる藤色の髪の女は、音楽を聞くでもなく、スマホを片手に噛りつくでもなく、雨に景色が染みていくのを、名前も知らぬ顔見知りや見ず知らずが靴底を濡らしながら帰路につくのを、ただ延々と眺めている。きっと貴方が帰ろうと玄関から出たのなら、その姿は一瞬でも目に留まるのではないだろうか。それは傘を忘れ困り果てた姿にも見えるだろうけれど、余程のお人好しでもない限りそれは何か迎えを待つただの生徒の姿だろう。…………足を留めたのなら、彼女も貴方のことをじいっと見つめる筈だ。)   (6/29 23:00:25)


蕪木 千歳> 
( 雨の日は。…雨の日は、なんだったっけ。少し遠くの窓の向こうでは、どんよりと濁った空から雨が降り出していた。丁寧にノートを取る手を止めて、ふとぼんやりと考えたのは授業中のこと────。 ──降り出した雨は帰りまで止むことはなかった。雨の日は、水溜まりが出来る日。雨音の帰り道、廃バス停の水溜まりにもうなくなったバスのカミサマが走る日だった。だから私は、いつもより早く学校を出ることを決めて、帰宅したり部活に向かう友達に手を振りながら荷物を纏めた。早くとは言っても普段よりというだけで、流石に飛び出していったと言うほどではないから、廊下に人影は無いに等しく。雨音ばかりが響く廊下を歩き辿り着いた昇降口にも、人影は1つ。『 ぁ、……………えと、くだくちゃん、 』それが今日教室で見た人と同じだったものだから、私は少しだけ面食らう。けれど、記憶の中のページをパラパラと捲って、飯田 玖諾ちゃん、クラスメートの名前を引っ張り出したのだった。見詰めれば、見詰め返される。落ち着かない羞恥心に、思わずはにかむ。……帰らないのだろうか。それとも、帰れないのだろうか。教室でも何人かが、傘がないと話していたものだから。運か備えの良いことに、私は折り畳み傘なら持っていて。いやでも、人待ちだったら申し訳ない。クラスでも多分そんなに話したこともないわけだし…。でも、なぁ……。『 あー……えぇと…、………傘、持ってる? あの、その、もしかして、傘が無いから、止むの待ってるのかなーとかって、その、思ったりしちゃって、…私も折り畳み傘、1個しか無いんだけど…………。 』どうせ忘れてしまうことだとしても、このまま帰ったら気になって落ち着かない気がした。目が合ってしまったし、声もかけてしまったし。)   (6/29 23:37:20)


飯田 玖諾> 
(夕暮れの最後の、消え入るような終わりの色の瞳が、明日の記憶にも残らないような映像を映している。雨粒は地面に弾けて散って、波紋も広がらずに地面と同化していく。それに重なるように、またはすり抜けていくように、小さな綿のような異変も降り注いでいる。ノイズと呼ぶにはあまりにも綺麗な、けれど人を惚れさせるようなものでもない雨音の中で、貴方の声が心地よく割って入った。『くだくちゃん』と己を呼んだ張本人に、飯田もまた貴方の名前を知識の海から探し出す。)「──蕪木さん」(何となく馴染みと覚えのある顔が段々記憶を引っ張りあげていって、飯田は貴方の存在を無事に思い出せたようだった。はにかむ少女の髪はこの鬱陶しい湿り気の中でも艶やかで、それでいて一切の湿った嫌な雰囲気がない。気休め程度だけれど、貴方のお陰で心の何処かが晴れやかになった。その筈なのに顔色一つ変えない彼女は、『与えられた質問に答える』。)  「傘は持ってない。通り雨だろうから、止むまで待ってようと思った」(人通りは変わらず少ない。恐らく背面の職員室から出てきたであろう足音が階段を一度昇ってそれっきりだ。……少しだけ、貴方の言葉を頭の中でほどいてから、態とらしく大きな瞬きをする。先程の言葉がまるで、『傘がないのなら一緒に入ろうよ』と言わんばかりの口振りに聞こえたから。凭れていた姿勢から徐に前屈して歩を進める。ちょっと躊躇って半歩下がりそうな距離になっても、もう一歩。都度、視線は上向きになる。自由を呪っているから、自身を縛る免罪符には滅法がめつい。)「ワタシに、傘に入って欲しいの?」(色づいたレンズの隔ての向こうにある黒い瞳を覗き込む。『傘に入ることを望まれている』という結論は、気遣いに対して抱くべき正しい感情や思考では決してない。貴方の性格を鑑みても、教室で見ていたやり取りの記憶の断片たちに尋ねてみても、迫られたところで貴方が困ってしまうことは頭の隅で理解していた。表情も、伸ばした背筋もまるで変わらない。声色にのみ力強く、逃さぬようにという気概を忍ばせて、只の同級生がするには近すぎる距離感から飯田は聲をあげる。)「アナタがしたいようにして、言うとおりにする」   (6/30 00:24:56)


蕪木 千歳> 
( あっ、と、内心だらだらと冷や汗をかいた。ちゃんとさん、呼び方の距離感は馴れ馴れしかったな、なんて焦りを生んで、なんだこいつ……とか、そんな風に思われていないことを、願いたい。というかそうだよね、殆んど初対面みたいなものなのに相合い傘とかお互い気まずいのでは?けど、そっか、じゃあね!と帰るのはあまりにも人でなしすぎる!!! 『 そ、そっか………っえ、へ、えっっ!?』下駄箱から取り出した靴を履き、トントン、と踵を鳴らして整える。そうして顔を上げた途端、目の前には貴方のお顔。吃驚して後ろに下がれば貴方もそれだけ着いてきて、トンっと背中に冷たい下駄箱の側面が当たった。近い。物理的に。とても。身長差が10cmくらいあるものだから、完全に立ち上がってしまえば顔は少し下に合って、見上げる仕草が愛らしくもある。けれどにしたって、あまりにも、近い。問い掛けられた質問、それから、添えられた説明書に、私はぱちぱちと、瞳の中に疑問を浮かべて瞬いた。『 え、え、えぇ………と、……どう、だろう。そのっ、…帰れなくて困ってるなら、助けになりたいなって思う、し、けど、折り畳み傘だから、小さいし、止むのを待った方が良いってくだくちゃんが思うなら、それでも、良いし……、んん…………。 』防衛本能で胸の辺りまで上げられた片手の平が、弱々しく閉じかけては開き、またしおしおと萎んでいく。へいお嬢ちゃん!傘入っていかない?なんてナンパをするつもりでは少なくとも確実になかった。強いていうなら、大丈夫かな、と気になってしまって、困ってるなら助けたいかもな、くらいのもので。ただはたと、断る貴方の方だって申し訳無さや言いづらさを抱えるのか、ということに気付いてしまうと、好きにして良いよ、なんて言うのは、あまりにも身勝手な風にも気付いてしまって。……それを今、迫られてもいるんだけど…。したい、ように。う"ーーーん……。『 くだくちゃんの迷惑にならない事がしたい…かな…………? …それだけ、なのかも。 』多分ただちょっと見栄を張って、人目を気にして、良い格好しいがしたいだけ。困ったように思わず曖昧に笑ってしまって、弱々しく閉じたり、開いたりしていた手が頬を掻く。しとしと降りの雨はまだ、止みそうになかった。)   (6/30 00:52:57)

明星 夜空> 
(引いては押してをただ繰り返す波と、その上に音も立てずに降り注ぐ小さな猛毒達。胞子の雨は量を増すように、その被害は刻一刻と人々の身体を蝕んでいる。)「.......................................」(夕暮れ、最後とでも言わんばかりの太陽が西から覗く海岸線にて。)「....なんでアイツら、死んでまでここに来てんだろ。」(つぶやくのは...小さな疑問符を一つだけ。〇月◇日、海への異常気象の影響の確認を兼ねた、今だ調査の進んでいないSEA_5335_JPNの生態調査。...この付近の海岸線に時々打ちあがってはいる物の、その全てがとっくの等にこと切れて仕舞っているらしい。生きたまま、なら水族館の客寄せパンダにでもなっていたであろうが...後は朽ちて啄まれるだけの物を飾ったって、集まるのは蝿かカラスかはたまた猫かの三択だろう。それほど手間も人数もかかるような物では無いだろうから、と頼まれていたのはいいものの、組まされたのはほぼほぼ面識の無い女子生徒。知っているのは任務の報告書の中でのみ。めっきり減った生徒の中、他の生徒達はある程度結束が高まるなり、ほぼほぼの生徒と顔見知りになっているのであろうが...ただ授業と自習と、それから放課後の訓練との反復しかしていない、自ら蚊帳の外へと出ていった彼には関係ない事柄だった。)(現地まで付いたは良いものの、話しておくべき伝達事項は特になく、わざわざ話しかける理由も見当たらない。貴方と彼との間にあるのは観測器具とレポート用紙の挟まれたバインダーと筆記用具。それからただ業務的なだけの会話....ないしは彼から勝手に投げ込まれた情報達。どう返すも貴方の自由、どんな話題が投げられたかはわからないが、耳が拾い上げるかの境目ほどの、小さな小さなぼやきのようなひとりごとを溢す程度には沈黙が続いていて、こぼれ出た物だとしてもきっと、聞こえやしないだろうと気に病むこともない些細で小さなことだった。)   (6/30 21:59:53)


蕪木 千歳> 
( 明星夜空くん、明けた夜空の星の男の子。背が高くて、生徒数が減っちゃった今は同じクラスで、目付きの鋭い、ちょっとだけ怖い子。多分大した接点はない、誰だってそうだけど、あまり知らない子。任務に行くために顔合わせをしてから、この海岸線に着くまで、その認識が変わるようなことはなかった。強いていうなら、多分そんな子の憶測が、やっぱりそうだったの確信に変わっただけで。『 …………な、なんでだろう、ね。』一定間隔の波の音。広い広い青い海。日が落ちていって、先の方は濃いオレンジ色をした海。潮風はしょっぱい香りがして、それを浴びた髪は心なしか軋む気がした。…会話は、これだけ。久しぶりに見る海にお互いテンションを上げるわけでもなく、議論に興じる訳でもなく。かといって、ずぅっと会話がない訳でもない。時折ぽつりと呟かれるものに反応することが会話かどうかは、判断材料として怪しいとして。『 …過去の調査記録には、星空を見るためだって、あるけど……、…深海から星空のことって、分かるの、かな、 』バインダーのページをぱらぱらと捲った。識別番号 SEA_5335_JPN、通称 流偶。届かないものに焦がれ、地上に上がって亡くなる姿はさながら人魚姫のようだった。流石に、そんなロマンチストのようなことは言えはしない。けれど、感想として抱く分には、バチが当たることはないだろう。まだ夜は来ず、流偶は陸には上がってこない。計測器が示すイーコール濃度も、雪の影響で通常時より高くはあるがこれといった変化もない。実物を見たわけでもなし、語れることはそう多くはない。だから、会話擬きはこの程度しか発展しない。波の音の方が、よっぽど賑やかだった。)   (6/30 22:30:51)


明星 夜空> 
『 …………な、なんでだろう、ね。』「.......................」『 …過去の調査記録には、星空を見るためだって、あるけど……、…深海から星空のことって、分かるの、かな、 』「............................さぁ、俺は海の藻屑になった事なんて無いから、何とも。」(目線と表情と、それから何もしていない時の手の動き。パッと思いつくようなこれらの動作でその人物が何を考えているか、何を感じたか、どこに注目しているか...なんて簡単に分かってしまう物だが...)「..................耳いいんだな、どうせ波でかき消されてるもんだと思ってた。」(そもそも見ていなければそんなことはわかりもしない。何時何処からボールが来ても良いように、なんて考えはコートの上でも、ましてや人の命が懸かった緊急性のある任務でもない今は、十分に見て取れる範囲の海水面にしか目は向いていなかった。波の音と同じくらいか、それより少し遅いくらい。言葉をつぶやき返している内にはもう、次の波が来て追い越されてしまうくらいの時間と波の音。)「...海の中からのことなんて、それこそ “ 流遇ご本人 ” にでも聞いてみねえとわかんねえだろうな。」(深海を写した写真でも、それは写真越しの、それも人間から見た砂の色。底からの景色を眺めた人間が居たとしても、何色で表わしたってその人から見た空の色。光の届かない深海でどう生きているのか、なんて生態は、イーコールに晒されている今でも未開拓な物が多くて、此処からではただ濃く示された海の中と同じように、手の届かない不可思議なままだ。深海魚はどのような生態なのか、ましてや “ 彼ら ” からどう見えるか、なんてものは彼ら自身にきいて見なければわからないのだろう。何を見て何を感じて、何に惹かれたのか。海底をこっそり抜け出して海面へと向かった人魚姫が数十人でも居れば、目が足りないほどの満点の星空に恋をするでも、その身にあたる海風に恋をするでも、海から逃げだして仕舞おうとするアブノーマルだって生まれるだろう。わかることなんて少ないから、ただ、漠然とした掠りもしないであろう仮説を立てるしか解明の糸口となるような物は今だ現れない。) (貴方から返ってくると思っていなかった返答に内心驚きはしたものの、ボールが山なりになる訳でも無く、彼はちらりと目を向けるだけでただ、緩く地面を転がされるような、波にかき消されても、流されて仕舞っても可笑しくないようなキャッチボールを。)「お前....カブラギは何で、アイツらがわざわざ此処まで来てたんだと思う?」(夕陽もそろそろ沈み切るころ、流偶が現れるまでもうすぐだろうか。判断材料に欠けた想像だらけの考察を。数打てば当たる、なんてことわざをなぞるわけじゃないけれど、貴方からの視点が気になったんだ。)   (7/1 00:09:35)


蕪木 千歳> 
え、あ、ごめん……っ? ( ごめん、なのかな。ごめんなのかもしれない。特に悪いことをしたわけでは…多分、ないけれど。聞かれないと思っていた独り言。それを予想外に聞かれていたというのは、結構な羞恥心を煽っていそうで。けれど、謝る為に慌てて一瞬ちらりと見た貴方の顔は一切此方を向いておらず、恥ずかしそうな痕跡もなかった。なんだ、と、安堵とも落胆とも分からないまま空気が抜けて、焦りで強張っていた肩が落ちる。……特にごめんでも、なかったのかもしれない。『 まあ……それは確かに、……イーコールが溶けた海の調査、かぁ…………。 』聞いてみると言われてぱっと浮かぶのは、信託の聲、カミサマの言葉が分かる人達の事だった。とはいっても、海中のそれは何れ程届くものなのだろう。流石に、水着1枚でイーコールの溶けた海に飛び込むというのはあまりにも危険で、ディスコードがあるとはいっても無謀が過ぎる。さりとて、潜水艦のようなものがあったとしても、それ越しに聲は聞こえるものか。イーコールの溶けた海の中に入るのだから、その潜水艦がカミサマ化する可能性だってある。現状、地上では雪のようなイーコールが降り続けていて。思い起こせる記憶がその頃ばかりになると、そうでなくとも、長い日が経つと人間まるでそれが当たり前のことのように感じてしまう。けれど実際はそうではない。当たり前のように暮らしの中にいるイーコールは当たり前ではなかったし、それが満ちた海中というのは、当たり前に危険なんだ。危険なことをする立場であるヒーローからすれば、それは関係のないことかも知れないけれど。学生である身分からすれば、それ相応に怖くあった。ずっと響く波の音。実のところそれだって、人によっては、自分達と同じ人間の聲に聞こえるのだろうか。波にかき消されることのないその聲は、どのように聞こえてくるのだろうか。『 …………え、あ、えぇっとね、待って、待ってね、考えます。 』そんな事をぼんやりと考えながら聞く波の音。少しずつ頭の中を満たすそれに、貴方の声はほんの一瞬流されて。あれ、今声掛けられた!?と、一拍流れてからはっと気が付いた。名前、覚えてたんだと一瞬の感動。バインダーをぎゅうと抱き締めて、慌てて波の音を払い除けて、思考回路を稼働させる。なんで、て、通説通りなら星空をこの目で見るためだ。けど聞きたいのは1+1=2みたいな当たり前のことじゃなくって、けどきっと多分、田んぼの田みたいなひねくれたような答えでもない。なんなら、問題式から自分で考える必要がある気がする………なんてのは、考えすぎだろうか。……なんで、わざわざ、此処に来たのか。『 ………………。…うーーーーーー………ん…………………………、んん"……、…………………ごめんなさい、分かんないです……… 』星空に恋い焦がれたことなんて1度もないし、それ以前に、死んでしまうかもしれないのに何かを追い求めたことすらなかった。死んでしまうのは怖いから。憧れを抱けるものなんてないから。軽い身体で、当たり前のように呼吸をするだけで精一杯で。暫く考えた末に結局、分からない、だ。 情けなくもへにゃりと眉の垂れ下がった顔を両手で覆って、ちょっぴりその場でしゃがみこんだ。嗚呼、情けない。人と比較して、ちょっとした劣等感。深く息を吐き出して、取り込まれる波の音。ゆるゆると掌を退かした向こうの海は、オレンジ色が随分と煮詰まって、黒っぽくなりだしていた。ずっとしゃがんでいられるほど、足腰は強くなくて、尻餅を着く前に下を向きながら立ち上がった。『 ……私は、…深海がどんなところか分かんない、けど、……ずっとそこにいた方が良いなぁって、………きっと、陸に上がろうって思わないタイプ、だから、………どうして此処まで来たのか、…分かんないや、 』   (7/1 02:06:01)


明星 夜空> 
『え、あ、ごめん……っ?』「.......別に謝ることじゃないだろ、聞き流してもいいよ。」(今じゃイーコールのない場所の方がずっと珍しい。そこらへんに落ちているただの小さな流木だって、貝殻の一つだって、...それこそ海水に長時間接触する羽目になる船や潜水艦なんて物がカミサマ化したって何ら可笑しくはない。兵器の操縦席を勝手に奪われて自国をただの駒の一つに壊滅させられる、なんてことが起きればネズミに国ごとかき乱されるような古い話よりも間抜けな話だ。もしかしたらまだ見つかっていないだけの話ではあるが....ただ眠っていて貰える分にはありがたいことだ。聴覚が拾いきれない声は聞こえない、視力で捉えきれない姿は見えやしない。ヒーローは、誰かを助ける奴は、悲惨な事に何か起きてからじゃないと動けない。目に見える範囲、聞き取れる範囲、感じ取れる範囲の出来事にしか手を伸ばせない。)(...無理に視野を広げようとしても全部に手が届くなんて訳じゃなくて、無理やりでも伸ばした手の中で掴めるのは何もできなかったと言う無力感と一片でも救いを見せてしまったという罪悪感だけだ。ただ手を伸ばしただけで救われるのなら人はとっくに無き止んでいる、何もせずにヒーローを名乗れるのならマント代わりの布を付けたガキだって立派なヒーローだ。手を伸ばしたいのならそれなりに。...そんな責任も負いたくなければ、無理して救おうとする理由も、“ ヒーロー ” であれという一般市民からの重圧と肩書以外は...きっと見当たらないだろう。)(交代するように昇りかけた月でしか時間を計ろうともしないほど時間は有り余っていて、特段、貴方が急いで思考を早める必要も無いのだけど、わざわざ声を掛けるでも無く、貴方の答えを待ちながらそう思考していた。)『 ………………。…うーーーーーー………ん…………………………、んん"……、…………………ごめんなさい、分かんないです……… 』「...........正直俺も同意見、わざわざ死んでまで来るのは馬鹿なんじゃないかと思ってる。」(まぁ海に死体が帰らなけりゃ死ぬことなんてアイツらからしたら分からないんだろうけど、なんて付け足して。知りもしないことを無理やり答えさせた上に間違えを叱る教師のような言動はもとからするつもりは無かった。当てずっぽうな考察か、時間つぶしのおとぎ話でも出てくれば上々で、見た目どうりのまじめな物がきたら、...それはそれで扱いに困る、なんて失礼なことまで。貴方の考えた末の答えが『分からない』の方が、返って安心できてしまうくらいだった。へにゃりへにゃりとしぼんで行く貴方の姿が少し滑稽で、きっとかき消されているくらいに誤魔化した小さな失笑を溢してからそう返す。)『 ……私は、…深海がどんなところか分かんない、けど、……ずっとそこにいた方が良いなぁって、………きっと、陸に上がろうって思わないタイプ、だから、………どうして此処まで来たのか、…分かんないや、 』「...返って周りに何もない海の中にいた方が綺麗に見えそうだけどな。...“ 知らない ”ってのは残酷な奴だ。」(砂浜へと流れ着けば湿った鱗には砂が纏わり付きその身体を乾かせてしまう。日が昇ればその肌を焦がす日光に照らされてしまう。人にその姿を見られれば....魚達のように心を通わせる者としてではなく、人とは違うバケモノとして扱われても、物珍しさにその命を狙われたとしても、何ら可笑しくは無いだろう。気圧に耐えれたとしてもまた一つ、また一つと彼らには困難が襲うのだろう。無知とは罪だ、なんて言われる事もあるが...知りようも無い無知の罪の所在は何処へ行くのだろうか。思考は進み、時もまた進む。とうに沈んだ日差しから隠れていたように、星々は顔を覗かせる。光源の少ない海岸線は普段見る夜空より、ずっと多くの輝きを見せてくれるだろう。何時顔を覗かせても可笑しくはない頃合いだ。)   (7/1 03:58:13)


蕪木 千歳> 
…………そう、だねぇ…。 ( でも、やっぱり。憧れに向かって手を伸ばす彼らは、美しかったのだろうと思う。流偶の生体をよくは知らない。発見された何体かの遺体に関連性があるのかも、そもそも、そうやって死んでいくように作られた種族であるのかもしれない。けれどもし、人間と同じように群れを作って暮らす生物であるのなら、少なくとも、流偶同士のコミュニケーションがあったのなら。こうして陸に上がった流偶に対して他の個体が抱いた印象は、帰ってこないから自分も止めておこう、なんて馬鹿なやつなんだ。…そんな、呆れではなく。自分も行ってみたい、例え死んでしまうとしても。帰ってこられないとしても。…そんな、憧れではないかと思うのだ。だからこそ、見付かる流偶は、1体ではないのではないか。まるでヒーローの仕組みのようで、だから私はこんな自論、口にしたくもない。へんにゃり笑いながら柔らかに閉じた唇からは、塩の味がした。………貴方は、知ってしまったのだろうか。……嗚呼、知っちゃったんだろうな。『 …………………きれいな星空。…流偶、陸に上がってもこんなに星空まで遠かったら、……例えば、例えばだよ? 翼が生えて、ぱたぱたって飛んでったり、……する、かな、しないかな、流石にカミサマでも。 』日が沈んで、波の音は何も変わらないのに色だけが暗く染まっていく。月光に照らされた海面は、見上げた星空とよく似ていて。それは、まだ覚えている景色、山頂の星空のきらめきによく似ていた。カミサマが出現する地域、荒廃した地域は人工的な灯りがないに等しい。だから、いっそう輝く星空に目を見開いて、ちょっぴり背伸びした。ほんわり、目尻の力を緩める。濃い青色の、きれいな星空。綺麗だからと見せられたのと同じ空。ちょっぴり手を伸ばす。届かないのは当たり前。ほの暗いレンズ越しじゃ、はっきりとは見えやしないのも当たり前。こんなにきれいは星空に、人魚姫は恋をした。全部、分からない感情だ。冗談のようにはにかんで、水空両用、なんてデタラメ。言ってみてから自分でも苦笑してしまって、微かに俯いた。波音が浚って、適当に誤魔化してくれたならそれでも良かった。)   (7/1 04:25:19)

蕪木 千歳> 
( 音無 御。同学年。白髪のショートヘア。ガスマスク。悪魔の噂。……なんだそれ、な手帳の記載。今回の調査場所である防衛都市外の湖にて、本人と邂逅したとき、………あぁ~……………なるほど…………。やばい人だ。失礼ながらそう思った。悪魔の噂はなんのことやらではあるけれど、ガスマスクで隠された顔立ち、ボロボロのシャツに真っ暗な該当は荒れた翼のカラスのような雰囲気を感じる。まだ助かったのは、自分よりも背が低いことくらい、だろうか。…最近そんな人とばかりだ。つい最近出会った大きなトカゲを思い出して、内心ひっそりと溜め息を付いた。『 ぁ、えと、……蕪木千歳です、今日は宜しく、ね…? 』小さく頭を下げて、萎縮して思わず敬語になってしまってから、同じ学年であることをは…っ!と思い出す。なんだか今更ため口というのも、なんて躊躇ってしまって、けれど気付いてしまったものだから、迷った口調はふらふらりんのぎこちなさ。今回は湖の経過観察のみ。だから、渡された機材は双眼鏡や記録用紙、周辺の土を採取するためのスコップやカメラ等。順調に終わることを願い、ばくばくと心臓が脈打った。)   (7/4 23:54:23)


カラス> 
「えーっとー?湖…ねぇ。」(と渡された調査内容を眺めながらスタスタと歩く。するとポツンと一人の女の子が立っている。挨拶をされるとペアの相手が書かれた書類を見て)「はぁ……まじかよ…。」(と相手の顔と情報を見合わせて俯くと)「今回も死体なしってかぁ!?あ!?最近こんな調査ばっかりよこしやがってよぉ!」(と空に向かって急に怒鳴る。ふぅ……と落ち着くと相手の顔から足先までスーっと見て)「僕は音無……あー…カラスでいい。そして敬語はよしてくれ。そんなタチじゃねぇ。とりあえず湖行ってのお楽しみだぁ。できれば死体にして持ち帰りたいけど…今まで調査に行った前例が少なすぎる。とりあえずよろしく。」(と書類を空に投げ捨て、手を差し伸べる)   (7/5 00:10:48)


蕪木 千歳> 
へあ………っ!!? え、え、えと、 ( 開始数秒、心が挫けそう。死体なんてない方が良いに決まっている。けれど、貴方はそれをご所望らしく、品定めのような目線の動きに当たり前に身体は強張った。どうやら、死体を所望しているとはいえど、手当たり次第に作る訳ではないらしい。…或いは、単に好みの身体でなかっただけか。『 ……カラスさん、…う、うん、分かった。……水中だし、本物なの神様信仰があったようなカミサマだから、ね、天災を起こしたり、幻覚を見せたり…………湖の水を気付かれないように抜いたりして、漸くスタートラインに立てるくらいじゃない…かなぁ……。 』殺人鬼ではなかった、一先ずはそんな認識と、本人から所望されたカラスの渾名が印象と同じでやや驚く。そっと握手をして、それで掌が握り潰されるなんてこともなく。回収しようにも風に流されていった資料のみが憐れだった。機材の入ったトートバッグをよいしょと持ち上げ、向かう湖の縁は荒く削れている。恐らく資料の中にあった洪水の影響なのだろう。…どう考えても倒せる気がせず、この発言も罰当たりな気がしてならない。へんにゃりと下がった眉が実に情けなかった。)   (7/5 00:28:02)


カラス> 
「カミサマ…ねぇ。あんなんただのバケモノ、もっと言うならただの研究材料だ。そもそも災害だの幻覚だのなんて僕ら人類でさえ起こせるんだ。カミサマってんならいくら武装してる僕らだからといって捕まるようなことは無いだろ。」(とスタスタと軽い足取りで歩きながら喋っている。行き当たりばったりで生き残ってこれたのがこのカラスと呼ばれる女なのだ。)「とりあえず調査報告が少なすぎる。今回の調査でできる限りの情報を持ち帰る。本体を持って帰れたら1番だけどな。」(と言うと近くに落ちていた木の枝を拾い肩に担ぐ。)   (7/5 00:35:35)


蕪木 千歳> 
そ、そうかな……… ( 言葉から察するに、というより、そういった言葉が言えるくらいには貴方のディスコード、或いは貴方自身は強いらしかった。科学分野に優れている人なら生身でも出来そうなものだが、少なくとも、災害も幻覚も起こせるなんて気は自分じゃしなくて。『 …無茶しそうなら、流石に、止めるから。……私は、死んじゃうのも、このカミサマが怒って全部沈めてやる……とかってなるのも、どっちも、怖いよ。 』カミサマを殺すなんて気概も湧く気がしなかった。死ぬような大怪我を負ってでも調査をして、後に託す、なんて、寒気がする。けれど、そういったことを繰り返さない限り生け贄が必要なことも、だからこそ討伐が必要なカミサマであることも理解はしている。けれど、怖いものは、怖い。震える拳はぎゅうと握り締められて、湖面は静かに凪いでいた。)   (7/5 00:50:37)


カラス> 
「ふふ…。そうだねぇ。犠牲が出ないに越したことはない。とりあえず気付かなれないように水を取るのが1番だけど、そう簡単に行かないのがこの世界よ。」(と言うと震える相手の肩をポンポンと叩き、相手の耳元で大丈夫。と呟くと)「さて……湖到着っとー!いやぁー、眺めだけはいいんだけどねぇ。とりあえず覚悟決めてちゃっちゃと済ませましょう。」(そう言うとガスマスクを取り、腰に付ける。彼女がマスクを取ることは滅多にない。つまり、彼女の素顔を見た者はほぼいないのである。今回の調査の内容を理解しているからこそ最悪の状況に備えマスクを取ったのである。)「僕らなら大丈夫だよ。なんたって僕は学園のエリート様だからね!」(と優しく微笑んで見せた。しかしながら彼女の身体は少し震えていた。幻覚に捕らわれてしまえば戦闘術は一切役に立たず、精神力に頼るしかない。最悪犠牲になるとしたら自分の方がまだ耐えられると認識していたからだ。)   (7/5 01:02:03)


蕪木 千歳> 
…………カラス、さん、……取り敢えず、湖の水だけでも、採っちゃおう。双眼鏡で、カミサマの核が来ないか観察しとくの、…から ( ころころと書き変わる貴方の認識。今の私だけが知っていること。私自身のみっともなさと比較して、ちょっとだけ辛く、それから、忘れるのが悲しいことと久しく思った。実力が伴った大人っぽさ、カリスマ性や頼りがいとでも言うのだろうか。それに釣られて、つい敬語になってしまいそうな口調は途中で直すものだから、つんのめってぎこちない。取り出したのは双眼鏡、戦うことも情報処理も出来ないけれど、隠れている相手を見付けることなら、まだ出来た。それから、もう2つ、スコップと小瓶。湖から直接の採取は刺激する可能性がある。けれど、スコップで軽い水路を掘り、そこに流れ込んだ水の採取なら、まだ危険性は低い気がしたんだ。『 視認出来る距離に来たら、直ぐに知らせるから、…対象が私達に気付いてなくとも、撤退すること、…ちょっとでも湖からは遠ざかって水を採ること、……えと、…いい、かな 』   (7/5 01:22:45)


カラス> 
「いや、認識できる距離まで来られたらもう遅い。一気にやる。それに砂で水路を作ると不純物が混じって調査が遅れてしまう。……僕の能力で相手の幻覚に合う確率を下げる。」(カラスの能力パープルウォーター。己の幻影を大量に生み出し、自分だけが襲われず水を取って帰ってくるという一か八かの自分が襲われない保証はないギャンブル。しかし、正確な水質で採取するにはこれしかない。)「最悪の場合……僕が襲われたとしても君にこれを投げる。君はこれを持って報告に向かってくれ。」(と震える手を抑えながら無理やり笑顔を見せて)「第三支部なめんなよ?」(と言うと大量の幻覚を作り出し一気に湖へと走り出した)   (7/5 01:32:33)


蕪木 千歳> 
それは………っ、え、え、ちょっと!っ~~~~~もう!!!! ( 怖いなら逃げてしまえばいいのに。遠くから袋で水を掬うとか、そもそも偽装してしまうとか、楽に逃げる方法ならきっと幾らでもあって、なのにどうして態々そんな無茶をするの。…無茶が出来る理由なんて理解できない、仕度もない。とはいえ今更止める力も脚力もなかったものだから、覚悟を決めるしかない。それはただ見守る事でも、なにかあったとき託されたときに急いで報告に向かうでも、なくて……っ!必要なのはスコップとハンカチ、報告書にバッグにありったけ。浅くても良い。スコップで人が潜れるくらいの幅の輪を掘れば、それを紙や布で〝蓋〟をして。──蕪木 千歳は疎外感を呪っている。シークレットガーデン、その能力は宿主が触れた扉や〝蓋〟の先を任意でこのディスコードへと開通させること。急いで掘ったものだから腕が痛い。けれどきっとそれは、水を採取する時間内には出来上がった筈で。幻覚で目眩ましをしてくれたのだから、もしかしたらカミサマに見付かることはないかもしれなくて。なんなら見付からないに越したことはないけど!水の採取を終えた貴方の腕を、がしりと確かに手が掴む。水の採取がカミサマに見付かっていたにしろ、いないにしろ、彼女はありったけの力で貴方のことを捕まえて。『 っ………………カラス、さん! 』火事場の馬鹿力、後ろに倒れる体重含めて、自前の蓋の中、自身が保有するディスコード、シークレットガーデンの中に飛び込んだ。誰にも見付からない、1人きりの隠れ家に。)   (7/5 01:53:07)


カラス> 
「僕は第三支部…カラスっ!騙しは……得意なもんで!」(一気に湖へと走り出す。水面に影が映るのを確認すると幻影が一斉に水面へ身を乗り出す。本体さえバレなければ勝ちなのだ。握りしめた三本の試験管を湖に突っ込み蓋をする。)「へへ…。幻影は音だけは出せないからね……。」(そう、水面に接触する音。その瞬間に気付かれることはおおよそ理解していた。あくまで幻覚は目だけの騙し。だからこそ……)「千歳ぇぇぇ!…え?」(後ろを振り返り採取した物を投げようとした。なぜか彼女は後ろで僕の手を掴んでいた。彼女のディスコード……あぁ…よく読んどけばよったなぁあの紙。)「やるじゃねぇか……千歳。」(カラスの幻覚は消え、湖は静まり返っていた。)   (7/5 02:06:31)


蕪木 千歳> 
( ────どちゃっ。しゅたっとスタイリッシュには落ちれなかった。落下先はふかふかの大きなベッドの上で、何れ程不格好な落下だとしても柔らかに受け止めてくれるのが唯一の救い。落下時に反射的に瞑っていた目をゆっくりと開けば、出迎えるのはいつものオレンジ色の灯り。掌の握り締める感覚にはっと身体を起き上がらせれは、無事に貴女も此所に連れてこれていた。件のカミサマが追ってくるような気配はない。そもそも、固有空間だからこそ、追ってこれないと見越しての算段だったけれど。『 …………にげ、きれた。 』そう口にすると、どっと実感が湧いて、汗と、それから震えが止まらない。達成感なんてあるはずもない。というか、そもそも、そもそも!『 っ~~~~!!カラスさん!!!! 』『 ぎ、犠牲が出ないに越したことないっていった、言った、のに!…無茶して、もう、……………。 』震える手はばむっとふかふかのベッドを叩く。そうして、貴方が此方に気付くやいなや、浴びせるのは震えた大声。じわりじわりと瞳が潤んで、泣かないのはせめてもの意地だった。…死んだら、生け贄になったら、どうするつもりだったんだ。)   (7/5 02:17:52)


カラス> 
「ん……お?」(目を開けるとオレンジ色の光に包まれた室内にふかふかのベッド。腕に感触を感じ、そちらを見ると同行した彼女の姿。)「へへ……取れたね…。スリル満点なダイビング……。」(と今回の目的、水の入った試験管を掲げる。試験管はカミサマと出会ってしまった恐怖感と自己犠牲を覚悟した場面から助かった安心感で、震えた手によりカチカチと音を立てていた。急に大声を出す彼女にビクッと肩を揺らしては彼女の泣きそうな顔を見て)「ごめんな……ありがとう千歳。任務完了だ。」(そう言うと優しく相手を抱き寄せた。)   (7/5 02:27:42)

Hans・Schmidt> 
(がり、がり。がりがり。がりがりがりがり。がりがりがりがりがりがりがりがりがりがり。齧る、齧る、ひたすらに爪を齧る。瞳に映るのは、目の前を行き交う能天気そうな生徒たち。どいつもこいつもヒーローなんて我の強い連中の代役に明け暮れてるせいか、今目の前のことで忙しいですみたいな面してやがる。悩みなんかなくてやるべきこと、やりたいことをやるだけ。あってもそのうちなんとかなるし誰かがなんとかしてくれる。そんな【自分】というもの自体には何一つ疑問を抱くことのない幸せそうな別人種ども。見るだけで、聞くだけで、感じるだけで、そこにいると思うだけで寝不足の頭はどんどんと苛立ちを募らせていって、爪の荒れと目の下の隈の深さをより一層加速させていく。腹立たしい。妬ましい。負の感情が渦の様に立ち上り、道行く者は皆一様に壁にもたれる彼から悪鬼から距離をとり、それが自分と他の人間を隔てる壁のようでまた更に苛立ちが吹き上がっていく) (ああ、腹立たしい。妬ましい。恨めしい。羨ましい。限界だ、これ以上鬱憤を溜めこんでも誰も得をしない。現状自分の一人損だが、これ以上負債を増やさないためにそっとその場を離れようとして)「ああ……ごめん。今ど…………」(ちょうど、そこを通りかかった少女の前に、立ちふさがる形になった。ついさっきも何度か見かけたような、一度も見ていないような、どこにでもいそうな印象の人物に、横に逸れようとしたHans・Schmidt『どこにでもある名前』の足は止まった。)   (7/6 22:45:23)


蕪木 千歳> 
( 日常は何も変わらずに。カミサマを倒したからって出し抜いたからって、ヒーローとしての精神が強くなったわけでもなく。ただ当たり前のスタート地点が見えただけ、それだけの、変わらない日常。人気の減り出す教室で、読みきることの無い文庫本をぱらりと捲っては少しも読む気が起きずに鞄の中へ。忘れる前に書かなきゃいけない報告書は、…机の中で端がちょっぴり折れていた。バス停に着かなきゃ行けない時刻まではまだ何十分か余裕があって、その間に本を読むなり、報告書を書くなりするべきなのだろうけれど。立ち上がるために後ろに引かれた椅子はやけに重かった。とぼ、と歩く足取りはゆったりと。視線は少し先の廊下を見据えて。歩き慣れた昇降口までの道なりを唐突に塞いだのは白い布。反射的に止めた足取りはくらりと重心が後ろに傾げて、ほんのりよろける。と、と後ろに1歩下がって、なんとかバランスを取り持った。『 ひゃ…………っ!え、と、…す、すみません………? 』ばくばくと心臓が鳴る胸元に拳を添えて、驚きに見開いた瞳が何度か瞬く。白い、パーカーに髪に肌に、惹き付けられる真っ赤な瞳。それだけに隈が痛ましく目立っていた。そんな貴方は明らかに言葉を途中で止めて。頭の中に浮かぶクエスチョン。……取り敢えずぶつかりそうになったんだし、怒ってるのかな。簡単に導けるのはそんな答え。けれど、本当に?の半信半疑。ひどい隈に心配になりながらの謝罪は、自分でも正直適したものか分からなかった。)   (7/6 23:06:34)


Hans・Schmidt> 
「……っ、いや、その、なんていうか」(バランスを崩しそうになった少女に咄嗟に手を伸ばしかけ、躊躇するように引っ込んでいく。そうこうするうちに勝手に平衡を保ちおずおずと謝る少女が自分の顔を覗いていた。ああ、突然言葉を止めたこと、足を止めたことを訝しまれているな。相手の表情から読み取れた感情は妥当なもので、自分でも不審だったとは思うが今更取り繕うこともできない。しかし、なんと言えばいいのだろう?『君、よくいてもいなくても同じとか言われない?』…喧嘩を売っていると受け取られても仕方がないな。むしろそれで怒るならまだマシで、最悪泣かれたらどうしようもない。かといってお互い気を付けましょうはいさようならも釈然としないし、何よりもったいないと直感が訴えかけている。ゆえに必死に言葉を絞り出さんと喉を震わせ──)「えっと……君は、自分が存在する意味について、どう考えてる?」(なんか、大分胡散臭い哲学的な問いが出力された。聞きたいこととしては間違っていないが、ファーストコンタクトで持ち出す話題でもない。ただ、いるかどうかもわからない非実在性の自分と、どこにでもいそうな普遍性のこの人とでは、完全に同じではなくとも近しいものがあるように感じたのだ。なにか、得られるものがあるのではないかと)   (7/6 23:48:32)


蕪木 千歳> 
…………………、………?????? ( ───?????? もしかして、罵倒されている? 咄嗟に頭に血が昇って激昂するでも、ショックで泣き出すでもなく。よく、いてもいなくても、同じとか、言われない。──????心の内で反復したところでそれは変わらず、まるで空気でも飲み込んだよう。何と言っているのかは理解しているのに、その意味はまるで理解が出来ない。困惑、という感情が何より当てはまるような気がした。『 は、はい、………………、………、…?? 』どうやらまだ言葉は終わりではなかったらしく、続く言葉に耳を傾けようとして。まるで宗教勧誘。この後に幸せの意味も問い掛けられるのだろうか。困惑の感情は補足された言葉で理解に変わることはなく、吃驚するほどにそのままだった。『 え、と、…………ぇぇ、…す、みません、そういうのはあまり、考えたことがない、ので……それに、その、 』……嘘は付いていない。もしかしたら、覚えていないだけで考えたことはあったのかも知れないけれど。少なくとも、直ぐに答えられるほどの上級者ではなかったのだ。胸元の布地をきゅっと摘まみ、俯きがちに目線をさ迷わせる。その仕草は貴方の問いにただ戸惑っているようにも見えた。『 …此所で答えるのは、恥ずかしいといいますか……ね、? 』傍らで思考するのは、寝不足で訳の分からない行動を取っているのではないか、なんて、失礼な仮説。まだ時折人通りのある廊下だ、だから答えがたい……というのもまた、嘘ではないけれど、上手い具合に保健室に連れ込んで、寝て正気を取り戻してほしいというのも本音だった。)   (7/7 00:10:04)

蕪木 千歳> 
(ざわざわ、がやがや。繁華街の入り口側の建物の壁に、そっと背を預けて、静かに目を閉じてみる。そうして耳を澄ませてみれば、多少基礎的な中国語を覚えてきただけでは聞き取れない、知らない言語の波が押し寄せてきて。また静かに目を開けば、日本とは違う色彩が網膜に焼き付いた。ぱち、ぱちと幾度瞬きをして、瞳に色を馴染ませる。きっと直に見ていたら、網膜が焦げていたかも知れなくて、薄く色づいたガラス越し、薄暗い景色で良かったと思う。修学旅行2日目は、随分と賑やかだった。夕方までは友達と予定していた場所を巡って、食べ物を食べて、お土産を買って。異国の地では何をしても思い出になる。夕方のこの刻もまた、仄かにオレンジ色が滲む空、ジジ……ッと明かりが灯り出す電光看板、きゃあきゃあと騒いで、写真を撮ったりしているのだろうか。夕方は1つ、きちんとメモしていた約束があったものだから、私はそこには加われない。繁華街の入り口でぽつり、と、ただ静かに待ち人を待つのみ。待ち合わせの1人きりのこの時間は少し寂しくて怖いけれど、居心地も良くて、待ち合わせの貴方が来たときの反応を、当たるはずもない予想をしながら貴方の到着を待っていた   (7/9 13:08:50)


エレナ・ドラグノフ> 
_____一方エレナ・ドラグノフは、一言で言うなら最高に浮かれていた。そもそも恋人がいる修学旅行という絶好のシチュエーション。食べ放題券を得たことで嫌というほど食した山海の珍味、母はどちらかというと欧州の方に連れて行ってくれていたのもあり、こうした見るも珍しい雑然とした屋台の群れは目新しいものばかりで。それらを思いっきり満喫しているのを示すように、服装はパンダがあしらわれたハイヒール、黒地にピンクの花柄のチャイナドレス。お土産物屋で買いましたよと言わんばかりの、赤に金色があしらわれた丸いレンズのサングラス……とまあ、下手に周りを歩いている中国人より何倍も「中華」そのものになりきっていた_____『済まない、待たせてしまっただろうか。何分買って帰らないとならないお土産が多くてな。置いてくるのに時間がかかった。』千歳に、待たせてごめんねと手を合わせる。穂坂(姉)や、ボクシングジムで付き合いがある面々。その他任務で不思議な縁を結んだ彼ら彼女ら。そうした人達にお土産を買い歩いているとあら不思議、時期外れのサンタクロースと化していた私は、一旦荷物をみんな置いてから引き返してきたのだ。女の子を待たせたり___しかも異国の地で___しない主義の私が、先に彼女を待たせてしまう失策をしたのはこのためだ。『食べたいものとかはあるか。エスコートしたいのは山々なんだが、生憎急に誘う形だったし、下調べも足りてなければ、土地勘がこの辺りまではない。』   (7/9 13:30:06)


蕪木 千歳> 
………いえ、そんなに待ってないので大丈夫ですよ。………修学旅行、満喫してますね ( 人波から外れて、此方に向かってくる人影。高い背に整った顔立ち、一見人目を引く現地人……に見えるかは、サングラス次第だけれど、ともすればお忍びにも見えたかもしれない。そんな人物が今日の私の待ち合わせの相手、エレナちゃんだった。命を助けられたり、お泊まり会で星を見たり。常に一緒にいる友達ではないけれど、なにかと濃い思い出が多い。お茶目な人。今を楽しむことに全力な人。そんな印象。遊園地でいえば頭にカチューシャをつけてポップコーンまで持っているような姿に、くふりと私は瞳を細めて、身体を預けていた壁から離れた。『 実は私もあんまり……、………なので、 』じゃじゃーん、そんな効果音と共に(※実際に流れてはいません)パーカーのポケットから取り出されたのは、繁華街のミニマップだった。現地の言葉で書かれており、読めない文字は多々ある。けれど、イラストもふんだんに使われており、何処に何があるのか人目で分かる作りになっていた。『 午前中に友達と回ったところに、色々なマップが置いてあったんです。字は読めないのが多いですけど…何かの記念にと思って。 』実際、こうして使う出番も来たわけだし。その選択は間違いでなかったように思う。紙のものだから、ちょっと端が折れてしまってもいるがそれはご愛敬。ぺらりと巡って、貴女にも見えるように腕を伸ばした。『 ……折角なら、少し変わったものが食べてみたいんですけど… 』というか、貴女ならあらかたのものは食べ尽くしてそうだし。変わり種の方が楽しめるのでは、なんてのは杞憂だろうか。ちょっとだけ難しいミニマップ、地元らしいものは何かないだろうかと眉を寄せた。)   (7/9 13:56:11)


エレナ・ドラグノフ> 
『……い、いやあ……まあ、その。私が堅苦しいと、貴様らも肩肘張るだろうと思ってだな……』ぐ。確かにこんな身なりなら明らかにバレる。頬をかきながら、だんだん小さくなる声音で拙い言い訳をして。『なるほど、地図があるならどうにかなる。字は違うとしても漢字なわけだし、あんまり大それた話にはならない、と思うが……。』ふん。と、口元に手を当てながら地図を見渡す。字はぶっちゃけ理解できないが、部分部分は「まぁそういうことだろうな」と解釈できる。『これ……多分ホテルのマークだ。ベッドとか寝床みたいに見える。この辺りで珍しいもの、なんて言ったらカエルやら蛇やら食べさせられそうで怖いし。』 これ。と指を指したのは、ある街中のホテル。立地やら地価やらについては多少なり詳しいからわかるが、随分と高立地だ。都心部も都心部、きっと街並みが綺麗に展望できるように出来ていることだろう。多分下手な場所ではないんだろうなと容易く理解できるし、どうせ珍しいものを食べるなら、ある程度質の面が保証されている方が多分いいと見た。『行こう、ココ。多分他の奴らは学生らしく、遊びに金を回して、食事はまあそこそこのを食べようとするだろうし。私たちは敢えて高級志向、なんて言うのも「珍しい食事」に当たるんじゃあないか。』   (7/9 14:15:26)


蕪木 千歳> 
( 貴女でも怖いものはあるのか、とちょっとだけ驚く。いや、カエルやヘビは日本では食べなれないもので、抵抗感は確かにある。けれどなんとなく、怖いものなし、なイメージがあってしまったものだから。怖がる姿を見て楽しむ趣味も、所謂ゲテモノを食べる趣味も、ない。この機会でもないと行かないような場所は素直に心惹かれるもので『 なるほど………じゃあここに、……… 』行きましょっかって、素直に言えたら良かったんだけど。貴女と私の格好を交互に見回して、悩みの種が1つ。『 ……こういう場所って、ドレスコードとか… 』貴女の格好は顔立ちも合間って、サングラスを外せば馴染むような気がした。けれど此方は制服風。せめて制服なら許された気もするけれど、雰囲気を似せているだけで正確には制服ではない。見るからに良いホテル、流石に場違いじゃないだろうか。貴女と比較されることによってちんちくりん度も上がっていそうで、周囲の目が痛くてしょうがない思いをするのとは易々と想像がついた。格好さえどうにかすればまだ…?いやでも、チャイナ服……。貴女の格好を改めてみる。似合う気がせず、きゅ、と食道から胃にかけて握られたような痛みを感じた。)   (7/9 14:33:52)


エレナ・ドラグノフ> 
『ドレスコードくらいはまあ、あるだろうな。なら簡単な話、一通り揃えてしまえばいいだけだ。近くにまだ洋服屋もやってるし。』ああ、なるほど。この娘の格好では確かに悪目立ちする。私のヒーローとしてのコスチュームを貸したって多分ブカブカになってしまうだろうから、つまり必然的に調達する話になってしまう。『せっかくの機会だ、普段と違う格好だってバチは当たらないだろうし。何より、ほら____この辺りで可愛い服を揃えたら、色んな意味で安く済む。』色んな意味、とはつまり免税のこと。現地のブランド品を買い揃えるようなのは旅行の定番だし、何より日本とは段違いに生産拠点も多い。なら、結構それなりに免税店や直営店も出していそうだ。と見て、どうせなら好き放題に買っちゃおうと意気揚々と提案した。『それに、千歳が普段と違うのを着ているのとか、背伸びした服を着ているのとかも個人的に見たいし。』『何より独り占めなのが実にいい。』手を差し伸べる。12時になっても解けない魔法はご入用かな_______?   (7/9 14:44:53)


蕪木 千歳> 
んん………いや、あの、( あぁ、やっぱり話がそっちの方面に…!!!ならしょうがない、と諦める方向でも良かった、なんなら、そっちの方向の方が良かった。けれど、とんとん拍子で進む話に甘い誉め言葉。嫌です着ませんとはっきり言い切れないほどには、着てみたい気持ちがなくもないのも質が悪い。ただ、ただぁ……!!!! 『 ……………せ、めて、…せめて、肌の露出とかそういうのは、少ない格好でお願いします… 』ぎゅっ眉間に皺を寄せて葛藤すること実に数分。恐る恐る、ほにゃ、と乗せられた手に力なく、背まで丸まって度胸の小ささが体現される。貴女のことだ、思いっきりはっちゃけた服を進めてきかねない。胸元が大きく空いた服だとか、スリットとか、そういうのは流石の流石に恥ずかしく、そして露出したところで栄えるようなプロポーションはしていない。部は弁えている。小心者ともいう。というかなんなら、着こなせる貴女は何者なんだという疑問も湧く。魔法をかけられたところで、舞踏会入り口でやっぱり無理と逃げてしまいそうな少女なのだった。)   (7/9 15:14:19)


エレナ・ドラグノフ> 
『なら……寧ろ男装というのはどうだろう。』とかなんとか、きっと彼女は真正面からの善意でもって言い出し、さっさと歩みを進めてしまうことだろう。必ずしもそれは、一理もないわけではない。既製品ならささっと買ってしまえるし、入らないとかなんとかもないし。多少なりちんちくりんに見えても、かえってその方が可愛らしくも見えると来た。ジャケット着用なのでドレスコードも心配ご無用。この場合においては結構悪くない答えであろう。……てなわけで、着いたのはメンズブランドのアパレルショップ。オーダーメイドやら何やらを扱う奥のスペースには用がなく、狙うのは手前にある既製品で良い。『可愛い王子様ができ上がりそうだが、たまには貴様にエスコートもされてみたい所だからな。』『まずは気軽に、好きなのを選んでみるといい。あとは多少の手入れで形は作れるだろうさ。』【容姿端麗】×4 美容を習ってきたのはまさにこの時のため。さあ、調整はこちらがするから好きに選んでくれと述べて。   (7/9 15:26:49)


蕪木 千歳> 
な、なるほど、男装…… ( 確かにそれなら露出は少ない。凹凸感はまるで姉弟のようにも見え、ちんちくりんでもそれは微笑ましさに変わる、…気がする。納得して気が緩んでしまったが最後、あれよあれよと連れてこられたのは繁華街の一角にあるアパレルショップだった。『 …華麗にお嬢様をエスコート…とは、いきませんけど……頑張りますね 』あまりにも見慣れない服の量に眩暈がする。エスコートの知識がないのに加えて、アレンジしようという参考元すら見付からない状況は不安しかない。非日常な、修学旅行マジック。そうでもなきゃ理由を付けられない異世界へ、手を引かれどうやら来てしまったらしい。せめて少しでも見劣りしないものを、この中から選ばなければならない、なんて、最初の関門。『 …………、……んー……………んん…………、……え、えれなちゃん…… 』服を漁り、サイズや袖の長さ、細かながら等を確認する。パンクし過ぎて分からなくなってくれば、情けないへろへろ声をあげて貴女に助けを求める有り様。霧の中の迷路探索は、乙女の買い物らしくたっぷりの時間をかけて行われた。その末に____ 『 ど、どう、でしょう……! 』初めは恐る恐る、そうして吹っ切れたのか勢いよく、更衣室のカーテンは開けられた。靴はぺったりとした黒地のパンプス。底は白く、気持ちばかりではあるが5cm程の厚底のもので身長の増加を謀っている。あまりぴっちりしていては身体のラインから女性と分かりやすく、かといってあまりゆったりしていてもみっともなくなる気しかしなかった為、下のパンツには白地の多少はゆったりとしていながらも細身の、チノパンに1番雰囲気の似ているものをチョイス。ジャケットは定番とも言える黒のカンフー服で、サイドを止めるボタンの可愛らしさに気分が上がる。折り返された7分袖には赤い糸で刺繍が施されていた。長い髪はうなじで細く括られて、いつもよりスースーと風が当たる背面や、前髪は横に流してしまって開いたらおでこが落ち着かない。ゆったりはまだ可愛らしく見えるが、だぼだぼは場合によってはだらしなく見える。曖昧なラインが頭を悩ませる要因であり、男性ものを着る際の最大の不安要素だった。くるり、とその場で1周回ってみる。きゅうと弱々しく拳を握り締め、貴女を見上げた。『 ………変じゃ、ないでしょうか… 』   (7/9 16:44:14)


エレナ・ドラグノフ> 
『ひとつ。』『ひとつ、文句を言うなら……。こんなに可愛い千歳を、ギャラリーの前に連れて歩くことかな。わざわざ沢山の人の目に付けてしまうんじゃあ、少しくらい拗ねたくもなる。』注目の返答は______Excellent. と、微笑しながらそう返すことだろう。ただ、あんまり色んな人に見られるのはいただけないなあ、なんて少女漫画のようなセリフもついでに言ってのけた。『これなら十分だ。会計は済ませておくから、善は急げ、早速向かうとしよう。』文句なし、手入れくらいはしようかと思ったが、全くの蛇足のようだ。ついつい女の子には甘くなってしまうフシがあるのがいけない。もしかしたら、浮気を疑われてしまうのであんまり甘い言葉を投げすぎるのも控えるべきだろうか____と内心で反省しながら、会計は任せてくれていいよと伝え『ああ、私がアレコレやっていたらダメか。今日は貴様にエスコートしてもらう日だったからな。』……エスコートされる側がこれだと少し問題があるな、と。あまり出しゃばらない方がいいかい?と聞くことだろう。   (7/9 16:58:32)


蕪木 千歳> 
………、……はぇ………っ!? そ、そういう、ことは!あまり、…あんまり、言わないでください、 ( 心臓に悪いから。ぶわりと顔に赤色が広がってしまって、更衣室の段差からバランスを崩して落ちそうになる。そのくらいは動揺したし、そういった言葉に耐性はなかった。購入したものをそのまま着ていくのだから、先ほどまで着ていた服は手荷物になる。……こんな個人の事情で使ったなんて知られたら、怒られてしまいそうだけれど。…バレませんように。能力発動、1度上手く繋がらなかったシークレットガーデンへの扉に、学校からの通達事項を思い出して憂鬱な気分になりながら、荷物をぽいっと向こうに投げた。接続を切るための能力は上手く扱うことが出来て、人にバレなかったことを含めてほっとする。それから慌てて、レジに居るだろう貴女の元に駆け寄り、たしっとその手を掴んだ。『 じ、自分の物ですから、…ちゃんと、払わせてください。……えぇ、ええ、そうです。 』このまま着ていきます。そんな言葉を使う機会があるだなんて思っていなかったものだから、多少まごついてしまう。けれど観光客がいるだけあって、そういった対応は慣れているのだろう。レジのお兄さんはにこやかに意図を汲み取ってくれて、エスコートとしてはまごまご具合が不安にはなるが、無事、貴女の手は借りることなく買い物を済ませた。『 ……じゃあ、………行、きましょうか 』エスコート、とは。買い物も終えて、貴女に向けてそっと手を差し出してみる。あってる?あってる?そんな不安は止むことなく、思い返せばここまで不安と戸惑いに満たされるばかり。断るべきだったか、とちらりと思ったが、そうなると貴女にエスコートされるわけで、あまりにも格好がつかない。……ここまで来たなら、腹をくくるしかない。)   (7/9 17:49:13)


エレナ・ドラグノフ> 
『……あんまり言うなって言われても、可愛くて似合っているからそれをそのまま言っただけだ。まあ、反応が見たいのもあるが。』褒めて怒られるというのも難儀な話だ。ある程度の脚色はあるにしても、私の場合嘘をついている訳では無い。千歳が可愛らしいのも本当なら、似合っているのも本当。まあ……反応が良いのが可愛いので、繰り返し見てみたいという意地悪も本当だが。『うん、なら連れて行ってもらえるか。』軽く手を重ねて君の手を取る。連れて行ってくれと口にして、だんだんと黒に染まり始めた空の下、まさに誂向きなロケーションに変わりつつある異国の街並みを見た。赤く光る提灯、屋台が先の見えないくらいに並んだその先に、摩天楼がそびえ立っている。それも1つ2つではない。巨大な恐竜が群れを生して歩いているかのように商業施設やらテーマパークやらもごった煮にして虹色の光を放つ。眠らない街というのはまさにこれを言うのだろう。『ふふ、随分なところに来てしまったらしいな。』手を繋いだまま、眩いネオンを過ぎていく。雑然として、ぐちゃぐちゃで、いやらしいほどに原色。多分ある程度歩いたら、きっとマップなんて無用になっている事だろう。周りの近代化した街並みなんて私は知らないのだと言わんばかりにそびえる、城をモチーフにした施設。三国志だとかがお好きならより分かるだろう、春秋時代が切り取られてそこにあるのだ______   (7/9 18:31:13)


蕪木 千歳> 
( 手を繋いで人と歩くのはいつぶりか。なんて、案外覚えていないだけで、幾らでもあったのかもしれない。けれど、中国の繁華街で手を繋いでホテルに向かう。そんなシチュエーションは後にも先にもこれっきりだろう。時折、同じ修学旅行生の姿を遠くに見付けたような気がしては、異国の空気にかき消される。奥へ進むに連れて、そんな人影も見られなくなった。ただネオン色の灯りが賑やかに出迎え、身体を染めていく。『 ………はぐれないでくださいよ? 』きっとばらけてしまえばまた見付けるのは難しく、異国でケンカ騒ぎに巻き込まれたら堪ったものじゃない。貴女は…まあ…撃退できてしまいそうだけれど。手を繋ぐ力をきゅっと強めて、貴女の1歩前を歩くのは少しでもエスコートのつもりであるから。初めて向かう場所ながら、近づくに連れて何処にあるかが分かりやすく、辿り着くまでに迷うような事はなかった。着いてからはたと、こういう場所って予約が必要なんじゃ、常識ともいえる事実に気が付く。とはいえ此処まで来れば引き返す分けにも行かず、そうして予想外なことに、ホテルのディナー席まではスムーズに案内が進んだ。『 ………………………、 』そうさ我こそ一般人。二人で使うには広い丸いテーブルに、特殊な柄に編まれた椅子。過剰なほどの灯りに照らされ、席に着くなり金縛りにでもあった気分に襲われた。カーペットの質感は靴越しにも伝わるほどに柔らかで、此処までの案内も非常に上品なもの。良いホテル、というものに行ったことなんてあるはずもない。きゅっと捕まれて胃袋が、きりきりと切られてしまいそうな程緊張が激しかった。)   (7/9 19:14:25)


エレナ・ドラグノフ> 
『で、何が何やら訳の分からんまま来てしまったな。ぶっちゃけ何を頼めばいいやらわからん。』悪戯に笑みを向ける。凄いところに来てしまったというワクワクと同時に、実は、行こうなどと言っておきながら注文の仕方も知らないし作法すらあやふやなんだよね?なんて言う始末をはにかむように今更告げた。『メニューくらいはもちろんあるが、はっきり言って読めないんだからあまり意味が無いな。』得られる情報としては、脇に書いてあるとんでもない値段設定のみ。そのため、わかる漢字がどれだけあるのかで注文を選択していく『これは蟹というだけあるし、上海蟹やら天津飯的なものだろう。よし、これで行く、か。』上海蟹らしいものを頼むことはほとんど確定だ。いわゆるこれはコースメニューにあたり、メインが蟹料理というワケで、点心料理的な形で現れてくることもかろうじて理解できた。それにあとは飲み物くらいあればいっぱしの食事_____と考え。ああなんだ、着いてくるのならいいやと慢心した。『貴様は決めたか?ちなみに。』   (7/9 19:42:03)


蕪木 千歳> 
……………、……き、緊張し過ぎて、なにが、なにやら… ( どうやら貴女も何が何やら分からないらしく、同じ現状、それを楽しめるか、がちがちに緊張してしまうかの胆力の違いはでたものの、多少安心することが出来た。ひきつった笑みしか浮かべられそうにない頬をうにうにと揉みしだき、頬も掌も冷えきっていたが僅かな熱を共有する。貴女の見ていたメニューを引き継ぎで受け取り、ぎゅっと濃縮された漢字の列に目眩を覚えた。『 ……………。……えれなちゃんは、…緊張して、もうだめだ、動けない………ってなっちゃうこと、ありますか? その、今私がそんななので………っ、そういうときって、どうしたら良いのかなって……。 』なんとなく部分的に読める漢字を読んだところで、これにしよう!と決心を決められるような天恵が降りるものはなく。ぐちゃぐちゃな頭の中、ふと問い掛けてしまったのは普段なら聞かないようなこと。だって、聞いたところでその人との違いを自覚するだけだ。実行できないのなら聞くだけ無駄というもので、藁にもすがる思い、らしくもなく問い掛けたのは相当の限界状態といえる。『 ………えと、取り敢えず、海老のにしようかな…… 』取り敢えずは、蟹と来たらということで。これ、と指差したのは海老の字が入った料理のコース。何が来るのか予想もつかない。それぞれが決まったことを見越したウェイターが注文を聞きに来たものだから、指差し式で注文をしてしまって、後戻りだって出来そうもない。いっそその方が、決意がついて良かったのかも知れないけれど。)   (7/9 20:19:05)


エレナ・ドラグノフ> 
『動けなくなることまではないが、確かに緊張くらいはするさ。ただ、迷っても仕方ないことには迷ってもどうしようもないからな。何も考えずに、やるだけやってしまう方が楽だ。』ならんだのは、蒸した上海蟹。木の細工で編まれた器に盛られた典型的なくらいにオーソドックスな中華料理。小皿の麻婆豆腐に、ナムルや漬物類、小籠包、スープとその他結構悪くない並び方をした。なんだかんだ、価格帯がある程度高いラインである分下手なものは出てこないのは道理。緊張して縮こまる必要なんてないさ_____なんて会話を添えつつ、地上の銀河を下に見下ろしながら箸を進めていく。場所が場所だから、普段よりかはあまり話さないでゆっくりとした時間を楽しもう。『しかし、修学旅行に来て感じたが、中国校のメンバーは私たちに輪をかけて残っていなかったように見えた。もしかしたら、私たちにはお鉢が回ってくるような事態もないでは無いかも分からん。平和に修学旅行が出来るなら、当然それがいわけだが。』『……貴様も多少は気をつけておくといい。』なんて____順調だったのはこの辺りまで。ドリンクとして供された飲料を、口内に残る塩辛い独特のスパイスを流し込むようにく、と一息に飲み干して______『あ、れ。こりぇ、もしかして…………おしゃけ?』顔が熱い。目が回る。ぐわりぐわりと、体を揺すられているような感触。ノドが焼けて____あれ、なんだろ。なんだか頭がよくまわらない。   (7/9 20:56:43)


蕪木 千歳> 
なるほど… ( やるだけ、やってしまう。それは出来る実力も兼ね備えなければ不可能な事ではあるけれど、その為の努力を積み重ねてきたり、それが、咄嗟に身体が動いたということであったりするのかもしれない。届いた料理は何れも見た目から美味しそうということを伝えてくるもので、此処に来てから初めてお腹が鳴るような感覚を覚える。勿論、それ相応の値段ではあるけれど………、その分、緊張する、ではなく、楽しむ、というのだって大切なのかもしれない。食べきれるかどうか心配する間なんてないほどに、それはあっという間の出来事で。食べ進めるに連れて、身体が暖まり力の抜ける心地がした。『 ………当たり前ですけど、中国でもあの7日間は存在したんですよね。…精一杯、頑張ります。 』セブンス・イクリプス。世界から太陽が消えた日。あの7日間から、ヒーローはこの世界から消えてしまった、私達がヒーローにならなければいけない理由が出来た日。……何故、だろう。そんな疑問、誰だって思い浮かべただろう。もしかするとこの疑問だって、考えるのは初めてではないのかもしれない。食後の水には随分と冷たくて、……憂鬱が募る話だった。だからこそ、提供されたドリンクに手を伸ばすのは1拍遅く 『 え、えれなちゃん……? えれなちゃん!? 』貴女の様子がおかしいことに気が付いた私の声が、ホテル内に響き渡った。)( ───────── 『 ………………、……ふぅ…………、 』……大変だった。事件性のある叫び方をしてしまったものだから、細かな言語は分からなかったものの、どうやら倒れたと思われたらしく。他のお客さんのざわめきようや、信頼に関わるホテルサイドの焦った様子はよく覚えている。結局のところ、お酒で酔って眠ってしまっただけだったけれど。……大人びた彼女の見た目なら、出してしまうのもよく分かる。なんとか身ぶり手振りを介して未成年であることを説明し、タクシーを出してもらって、人手も借りて。そうしてなんとか、寮の彼女に割り当てられた部屋に寝かし付けることに成功したのだった。眠るベッドの隅っこに腰を落ち着けて、漸くふぅ……と息を吐き出して落ち着けた。机の上には、念のための水が置いてある。勝手に財布を漁るわけにも行かず、一緒に支払ったため懐が痛い。振り回されてばっかりだなぁと思うけれど、それが楽しいと感じるのだって、大抵変わっている。)   (7/9 21:52:16)


エレナ・ドラグノフ> 
『ん、ん……なんらか、すこし、眠い……。ち、とせ、ぇ……。抱っこで、送ってってぇ』酔っ払ったので、ヤバい。だから家(部屋)に帰らせてくれと述べたつもりだったんだが、あれこれ尾ひれが着いてしまっている。食事自体は済ませており、帰れる状態ではあるから問題があるとしたら___酔っ払ったエレナ・ドラグノフがグダグダと幸せそうにクダを巻いて突っ伏したり、背もたれによりかかったり。まるで大型の獣が眠たそうにするかのように蠢いているのが問題『暑(あ)、つ……。おうち帰り、たい……。』____ヒョウあるいはチーターを彷彿とさせる引き締まった肢体に汗が滲み、不快がるように首筋の雫を拭う_____なんせ格好はチャイナドレス。露出がタダさえ多い上に、頼りないスリットや胸元など、暑いからと身をよじればそれだけで大事故の可能性がある。さあ、彼女を救えるのは蕪木 千歳というヒーローだけだ_____!『ん……』無事帰りついて、呑気にすやすやと寝息を立てながらベッドにくるまる姿は、明らかに無防備極まりなく。それはそれは幸せそうに安眠中という風体で。『あ、れ。寮に……って、あれか。____ッ、頭痛い……な。ごめん。多分アレだ、間違って酒飲んだ。あの、その……なんか変なこと、してないか。』ぱち。と、電源スイッチが入るようにして目を覚まして。それから、むくりと体を起こして水を飲み干した。頭がまだ働いていないでグルグルしていて、話がいちいちしっちゃかめっちゃかだと自分でもわかる。『_____あ、あとあれだ。会計!財布、これあるから使った分だけ持っていってくれないか。』酒だってそんな簡単に抜けるものじゃないから、まだまだ頭はふわついているままで。『あんまり計算とかができないもんで……』あまり計算が出来ないから、財布からとっていってくれと差し出しては_____『ん、と。エスコートついでに……酒が悪いところに入ったのか、少し寂しい。』『添い寝、頼めるか。』   (7/9 22:26:19)


蕪木 千歳> 
…………あ、…おはよう、ございます。……えぇ、まあ、…………はい、大丈夫ですよ。( 変なこと、とは。やたら引っ付いたり、服がはだけたり、そういったことを指すのだろうか。指さないのなら……、何も、何も問題はなかった。起きた瞬間また来るかと少々身構えはしたものの、案外意識は形を取り戻したようで、水を飲む姿にほっとする。念のため、飲み終えた水のボトルは受け取って、蓋を閉めて机に置いた。飲むまでは大丈夫だったものの、閉める際に落としてしまったりすることを危惧して。それが身体に掛かるなどすれば、ホテルでの再演となる。酔った人間が何をするか分からないことなんて、先ほど散々学んだ。学んだ上で、…それでも予想外を起こすのが、酔っぱらいだ。財布からお金を受け取って、今日はおさらばとは行かないらしい。…………他に人を呼ぶ。呼びに行く過程で暴れられたら?呼びに行った人間も酔っぱらいの餌食になったら?抵抗する力はない。変な態勢で寝落ちされると明日の身が怖い。現状の犠牲者はホテルの人間を含めなければ自分1人で、増えた場合責任も取れない。故に、快く『 ……はい、良いですよ。夢の中まで、案内させていただきます。 』ああ、快くだとも。そっと手を取り、軽く肩を押して自分も一緒に寝転んだ。)   (7/9 23:07:24)

小室 耕助> 
「ん……やぁこんばんは。あー、私のことは覚えているかな」(街を歩けば見知った顔が一人。雨のバス停で二度ほど会話をした、名前もお互い教えていない後輩だ。さて話しかけて良いものか、相手はこちらを記憶しているのかという問題がある。どうしたものかと思考を何度か巡らせて、足をそちらの方に運ばせた。覚えていないのなら、それはそれで改めて自己紹介をすればいい。覚えているのなら、普通に話を続ければいい。そういう結論を出したため、君に向かい普段通りの笑みを浮かべながら軽く手を振ってこちらに視線を向かせようとしてみた)   (7/25 00:52:50)


蕪木 千歳> 
…………先輩、バス停以外にも居るんですね。( 当たり前といえば、当たり前だけど。私は一瞬驚いて、足を止めて貴方を見詰める。どうやら貴方は知り合いらしくて、1つ1つ検索条件を絞りこんで、そうして漸く、検索結果に合致したのは1件だけに。とはいえ私はバス停の先輩と、それだけのことしか知らなくて。今日はバス停以外で出会ってしまったから、またタグを変えなくてはいけない。それよりも、名前を聞いた方がよっぽど早くて、街中で声をかけられるような知り合いななのに、名前も知らないことがなんだか可笑しかった。 空気を含んだ頬が膨らんで、笑みと名前を付けられる代わりにへんにゃり萎んだ。修学旅行の為に買った荷物が詰まった、ちょっぴり重たいリュックを背負い直して、そうして、〝こんばんは〟と頭を下げる。……帰りのバス停に向かう途中であったのだから、やっぱりバス停の先輩、なのかもしれない。『 ……お買い物、ですか? 』   (7/25 01:13:14)


小室 耕助>
 「私だって生きている人間なのだから、バス停以外に現れたりするさ。そういう君もバス停以外では初めて見るね」(あまりに当たり前のことを言うものだから、失礼と思いながらも笑い声が漏れてしまう。ひょっとしたら、彼女は私の事をバス停に住む怪異のようなものと認識しているのだろうか?残念ながら私は普通の人だ。私がカミサマにでもなれば、バス停にだけ現れる存在になる可能性もあるが……それは言葉にすればつまらないジョークだ。つまらないと一蹴してくれるだけなら良いが、万が一にでも最初に話した日のように心配をかけたり怒られたりするのは避けたい。今浮かんだことは言葉にしないようにして、彼女の近くに足を止めた)「買い物というのは、半分は正解かな。最後に街を見て回ろうと思ってね。そのついでにめぼしいものがあれば……という感じだったかな」(こちらの荷物は君に比べれば少ないほうだ。お土産というのも家族にちょっとしたおやつとして買ったものしかない。パッと見何も買っていないように見えるかもしれない。君の方は、少し重そうだ。誰かにあげるものだろうかと、首を傾けてリュックを見つめてみる)   (7/25 01:27:14)


蕪木 千歳> 
ここだけの話ですが………実は私も、生きている人間なんです。( まるで意趣返しのようなことをされて、くすくす笑いながらそれに乗っかった。廃バス停に現れる、男女二人組のカミサマ、……本当にありそうで、あってしまってはたまらないから、それを口にすることはないけれど。改めて生きている人間だと自覚すると、血管がどくんと脈打つようで、夕日に隠れて呼吸をした。『 豪華なお散歩、ですね。 』豪華も何も、お散歩には買い食いとかが付き物であるかもしれないけれど、残りの不正解を埋めるには、何かしらの言葉を足すしかなかった。それに、お散歩ですか?と聞いたときのお散歩の中に、買い物をするという選択肢がなかったことも、また事実。豪華なお散歩という響きはなんだか間抜けで、きっと何かぴたりと当てはまるような言葉が知らないだけであるのだろう。貴方の注目を浴びているリュックは、彼女の背中に隠れていて。視線に気付くと、彼女は少し不思議そうにしてから、何かに気が付いたように一瞬瞳を丸めて瞬かせた。『 私は、友達と一緒にお買い物してきました。……海外旅行とか初めてなので、お土産色々買いすぎちゃって………私だけ先の離脱です。 』背負い直す以外の目的で揺らしたリュックには、お土産が沢山詰まっている。手持ちにしていたら確実に大荷物で、リュックの活躍が目覚ましい。流石に、このあとまで歩き回れる程にカバーはしきれなかったが、その方が都合よくもあった。話してから、あまりにも受かれているようで、浮かぶ笑みはちょっぴり苦い。)   (7/25 01:55:28)


小室 耕助> 
「おや、それは知らなかったな……冗談さ。君がノってくれるのは嬉しいね」(君は正直言って話すまでは真面目そうに見える。しかし意外と意趣返しをしたり冗談にノってくれたりするので、少し楽しかったりする。ついつい続けようとしてしまうが、何事も限度というものがある。区切りが良いと判断したので、ここら辺で一旦切り上げでおくことにする)「そうだねぇ、異国の街を歩るける機会は限られるものだ。贅沢な時間を過ごせているかもしれないね。……なるほどなるほど、お土産は多くても良いんじゃないかな。」(こうして自由に外国の地を歩けるのは、そうそうないことだ。そういう意味では君の豪華なお散歩という表現も的を得ているのかもしれない。私がそう納得していると、見つめていたためかリュックの中身を教えてくれた。どうやら多くのお土産が入っているらしい。私はそれもまた良いと思う。お菓子の箱も味も良い思い出になる。形に残るものなら尚更、友達との楽しい時間は君の中に残り続けるだろう……なんて少しジジくさいだろうかと、一人考えて苦笑いが浮かんだ)   (7/25 02:12:57)


蕪木 千歳> 
道に迷わないようにだけ、気を付けてくださいね ( ふらふらと探索している内に、気が付けば知らない道へと。なんて、修学旅行生が彼方此方にいる現状、なんとかなりそうだけど。でも本気で迷ってしまえば、彼を最後に見た場所は?そんな事情聴取が起こりかねない。夕御飯までは帰ってくるんですよと、夕御飯は自由形式なのに冗談混じりに言おうとして、流石に、先輩が相手では自重する。でもまあ、確りしているように思える貴方なら、大丈夫そう。フォローするような言葉にパッと表情を明るくして、けれど、まるで苦笑いのバトンを受け取ってしまったような貴方の表情に少しの疑問。……やっぱり、そうは言っても多かったのだろうか。今更減らせは………、『 そう……ですよね、………、……………あの、えー………と、…………先輩も要りますか? 』……同じ旅行先、旅行中なのに、そう聞くのは変だったかもしれない。いや、変な女だろう。でもそれ以外に減らす手法は思い付かなくて、確実に要らないだろうに。)   (7/25 02:31:16)


小室 耕助> 
「あぁ、それはわかっているから大丈夫さ。こう見えて私は道を記憶するのが得意でね」(事件が起きたとき、解決するにも身の安全を守るにも必要なのは地形を把握しておくことだ。逃げるにも目的地にたどり着くにも、どういうルートがあるのかを知っておくことが重要だと考える。覚える癖をつけているため、馴染みのない土地でも迷わない自信があった。私は根拠もなく君に胸を張るし、恐らくそこに何も不安など感じさせることはないだろう。少なくとも自分自身ではそう考えている。)  「ん、いや大丈夫さ。気になるものは自分で買うからね、物欲しそうな目をしていたのならすまない。っと、今から行くところがあるんだった。……さっきの苦笑いは自身に関することだから気にしないように、君も迷わず帰るんだよ?」(要りますか?が何の話なのか、一瞬気づくことができなかった。それがお土産の話だと気づけば、大丈夫だとちゃんと話しておく。それほど君のリュックを見てしまっていただろうか?或いは先程の苦笑いで勘違いさせてしまっただろうか?だとすれば弁明しておきたい、のだが……あまり時間はない。誤解させたままというのも嫌で、一言気にしないで欲しいと残してはおいたが彼女に伝わっているだろうか。……もし帰国後に機会があればちゃんと謝っておこう。とにかく頭を下げて、多少の申し訳なさを感じながらこの場を後にさせてもらう)   (7/25 02:50:12)

蕪木 千歳> 
( 読みかけの本から目線を離せば、黒板の上の時計は17時を少し過ぎた位を指していた。その頃にもなると大半の生徒は教室から抜け出していて、残るは彼女1人きり。それに気が付くと、人の熱が失せたことで冷えた空気がつきつきと身を刺すようで、ひっそりと息を吐き出せば、背凭れに微かに体重を預けた。本から飛び出る栞の角にツンと指先で触れて、少し迷ってから栞を読み終えたところに挟み直す。まだ、学校を出るにはほんの少しだけ早い時間だった。けれど、また本の中に意識を移すような気分ではなくなってしまった。また気分が来たときの為に、机の上に本を残したままにはするけれど。兎に角として、なにか別の待ち時間の潰し方が必要だった。本から目線をそのまま下に、それから正面に向けて。『 ………………よぉし、 』誰かに声をかけた訳ではない。強いて言うなら自分自身への、気合い入れのようなものだろうか。しん………と静まり返る空気は誰もそれを聞いていない証で、その方が都合も良くて、少しだけこの空気を好きになれたような、そんな気がする。結局なんだって、気分の問題だ。まだマシになった空気を纏って立ち上がると、向かったのは掃除ロッカーだった。姑みたいに、床の埃とか、黒板の粉の残りとかを気にして、……その実、ただの時間潰しの言い訳にして。やる気はそこそこに。それは、そこそこでも事足りてしまう程度のことであったし。スローペースで机はそのまま、床の掃き掃除の延長戦を始めてしまうことにした。)   (8/3 21:49:37)


ラブリー> 
(音の流れなくなったヘッドホンからいつも以上に〝現実〟が聞こえてくる。)(それは一抹の不安。ティースプーン1さじにも満たない現実への拒絶感。)(夕暮れに染る。暖かな色が部屋中を染めて、下校のチャイムがなる。物悲しい時間帯。)(当然〝ラブリー〟な彼だって、可愛い鞄を背負って、赤いスニーカーを弾ませながら寮の方へ帰宅する途中だったろう。)(─────────ふと。)(教室の扉から覗いた貴方の姿が目に入る。)(名前。そう、名前。何だったかしら。貴方の為に考えた『呼び名』があるんです。)(そう。)「────────らぎらぎ!!」(彼はひょこっと、教室の方へ顔を覗かせれば、貴方の名前──────もといあだ名で貴方のことを呼ぶだろう。)(にへにへと、いつもの笑顔は崩さずに。)「残って教室の掃除?偉いね〜っ!!僕も手伝っていい?」(貴方がそれを許してくれるなら、彼も黒板消しを手に取り、ほんの少しあるチョークの汚れを綺麗に落としていくことだろう。)(貴方にとってはほぼ初対面である。勿論それは彼も同じ。)(しかし。)「らぎらぎはあんまり、話したことないけど、どんなものが好きとかある?僕が話ついてけるかはわかんないんだけど。」「詮索するみたいで悪いんだけど、もしかして本とか好き?机の上に本があったからてっきりこの時間まで読んでたのかな〜って。」「でも、本読んでると集中しちゃって、目が疲れちゃうよね。」「あ、目と言えば!らぎらぎの眼鏡いいよね〜、その赤ふちの!俺も買い換えて新しいのにしよっかな。」「あ、ねぇねぇ!本って言えばらぎらぎ最近流行ってるやつ知ってる?ほら、あの推理ホラーの───────。」(───────これである。)(流石、ライセンスに【トーク力】とあるだけはあり、彼の口は止まることを知らず、君が返すよりも先に話題がぽんぽん溢れていく。まるでポップコーンみたいにね。)(ひとつ話せば話題には困らない。そんな彼の特技なのだが。)(───────ライセンス【心理学】、【聞き耳】。)(当然彼だって節度は守る側だ。君の顔が話についていけていないようなら、麦畑の広がる空色の瞳を少し困らせるように揺らして、笑い直すだろう。)「ごめんねらぎらぎっ!話ついてきにくかったよね!ついつい喋りすぎちゃうの、僕の悪い癖でさぁ。」(にへ、って。)(反省するように掃除の手を一旦止めてさ。)「〝ちゃんと聞くから〟、らぎらぎもたくさんおしゃべり…しよ?」(って、首を傾げて聞くだろう。)   (8/3 22:35:24)


蕪木 千歳> 
へ、……………え、あ、ぇ、い、いです、けど、( や………………だれ?聞きなれない形の渾名を口にして。全身桃色の貴方はまるで親しい間柄のように接してくる。記憶の中に貴方と話した覚えなんてなく、記録の中で貴方を見た覚えもない。恐らく、初対面。それから学年も違うはず。けれど記憶違いであったら?これだけ親しく接されておいて覚えてませんでした、なんて、失礼にも程があるだろう。困惑が瞳に滲んで、驚いて肩を揺らした拍子に、集まりだしていた埃は少しだけ散ってしまった。勿体無いとか、また集めなきゃとか思う間も無く、ぽこぽこと貴方から涌き出る言葉。それでも押し流しきれない程に?は溢れる。たぶん、初対面。本当に?丁寧に記憶の糸口を手繰って、貴方の言葉の雰囲気を探って、仮定を確信に変えていく。…………ただ、本当に初対面であったとしたら、…凄く馴れ馴れしいのとか、名字から取ったのだろう渾名とか、………ちょっと、怖い。ヒーローらしい活躍をした有名人とかでもないのに、貴方はどうして、私のことを知っているのか。聞かなきゃ分かんないけど、聞くのだって大仕事なんだ。箒を少しだけ強く握り締めて、散った埃を集め直す。案外それは早くに終わって、此方を頻りに見詰める水色の瞳ときちんと向き合わなくてはならなかった。貴方の言葉に流されることがない?は、溢れっぱなしで行き場もない。首を傾ければ少し出ていったりするんだろうか。『 ……………あの、…私が覚えていないだけだったら、ほんとに、ほんっとに、申し訳ないんです……けど、あの、ええと、…………………だれ、ですか……? 』   (8/3 23:02:14)


ラブリー> 
(彼は、距離を詰めるということもない。その上、距離をとるということもない。)(つまり、最初から最後まで、彼は貴方との接触の距離が変わらない。)(それはつまり。)『……………あの、』「うん。」『…私が覚えていないだけだったら、ほんとに、ほんっとに、申し訳ないんです……けど、』「気にしないから大丈夫だよ。」『あの、ええと、…………………』『────だれ、ですか……? 』「……………え゛ッ。」(愛らしい見た目に反する、鈍い声が跳ねた。)(しばらくの間、思考放棄か熟慮の末か、彼はかろうじて瞳を泳がせる。)(考えるように笑みを歪めれば、愛らしさは教卓の隅に少し隠れて、目元だけ机から出すようにして貴方を覗いた。)(その顔は、髪色と負けず劣らずの赤色だ。)「……そうだね…自己紹介、とか……して、なかったーーーー………な……。………あーー…くそ、しくった……馬鹿…。」(彼は愛らしいピンク色を乱暴に引っ掻きながら、へにゃりと気の抜けた笑顔で、言葉を続ける。)「ごめん、普段からこういうテンションだから…近かった、…かも。」「僕は、《ラブリー》。初めましてだよね。…好きに呼んで。」「……ちょっと、〝耳が良くて〟さ。君のこと、というか。…まぁ多少は、人の話とか聞く機会多くて……たまたま…。 」「あ、あだ名嫌だった!?…ダサかった、かなぁ……?」(彼にとって。《ヒーローの偶像》であるラブリーそのものは、人々から愛される必要があって。)(だから性質上、距離は近くて、掴みにくくて。)(当然、貴方が不審に思うのだって貴方の防衛本能がきちんと働いてるから何も悪くはなくって。)(でも、あだ名だってぽんぽん浮かぶもんでもなくって彼なりに考えたことだったりした。)(本を話題に入れたのも、君が少しでも話に入り込みやすくするためのきっかけ、だったり。)(目に見える情報を取り入れて、君に聞いたのだって、別に彼は何も考えてた訳ではなくて。)「俺、編入生だし、知らなくてとーぜんだよっ!!……その、だから、あんまり気にしないで?」(彼は結構、考えちゃう質で。)(元々は、貴方のように教室の隅で一人時間が流れるままに居るだけのような、そんな色のない人間ではあったから、気持ちはほんの少しわかるから。)(無理強いするつもりも、強要する気もなくて。)「……えへへ、ごめん。びっくりさせちゃった、ね。」(ハート色は申し訳なさそうに、ふんわり色付いた頬を恥ずかしそうにひっかきながら、湿気ってふにゃふにゃになった紙みたいにやわっこい顔で笑うんだ。)   (8/3 23:33:58)


蕪木 千歳> 
( あ"っもしかして知り合いだった…? 暫くそんな不安に駆られて、瞳を泳がせる貴方と向かい合う。解答が得られるまで不安でいっぱいで、余計な声は出せずに。互いに困惑して、互いに無言で向かい合う様は端から見ればきっと異質だ。漸く動き出した貴方は教卓の影に隠れてしまって、ちょっぴりの背伸びでそれを覗き込む。ひょっこりと覗く目の色は、肌まで真っ赤なものだから、いっそう赤い色に見えた。『 ……………………………そ、ですー……よ、ね、……すみません 』記憶違いでないことに、一先ず安堵を覚える。しかしながら、そうも羞恥心を煽ってしまうとは思っていなくて、少しだけ申し訳なさが。思わず苦笑してしまいながら、小さく頭を下げた。『 らぶりー……くん、えと、なるほど、言われ慣れない渾名なので、びっくりしました、けど、大丈夫です、 』呼び捨ては近くて、さん付けは遠くて、かといって先輩と呼ぶにはなんとなく不自然。それは貴方が子犬のように人懐っこいからだろうか。勿論、遠慮のない後輩という可能性だってあったが、なんにせよ比較的しっくり来るもので呼ぶことにした。ぱたぱたと手と首を一緒に振って、そんな慌ただしさを引き連れて足取りは掃除ロッカーへ。それは箒を塵取りを取るために。それから、ちょっとだけ呼吸をするために。貴方だって真っ赤だし、向き合い続けるのはなんだか不自然を引き摺りそうで。………この場合の自然とは、そんな疑問は見て見ぬふり。『 まあ…………でもその、大丈夫、なので……!……………? ……あ、と、…蕪木 千歳、です、……知られてるみたいですけど、一応。…宜しくお願い、します…? 』我ながらなんだか変なことを言っている気がして、不自然に口角がひきつった自信がある。ぱっぱと塵取りに収まった埃の影に、私だって隠れてしまいたかった。)   (8/4 00:05:01)


ラブリ-> 
(ぴょこ、っと。教卓から覗くのは麦畑の空色と、彼の特徴的なハートのアホ毛だ。)(ぱちぱちりと貴方を不安げに覗き込む瞳はどこか迷いを感じるし、ほんのちょっとだけ、距離も感じるかも。)(でも、貴方が大丈夫と口にしたのなら、彼は嬉しそうに顔を出して、満点の顔で笑う。)「本当っ!!!??」(突然、彼は君の手をぎゅっと握った。余程嬉しかったのか、君の手ごとぶんぶんと振り回すように手を振るだろう。)「あっ…………こ、こーいうのが苦手、なんだよね!!ごめんね……。」(貴方の困り顔を見たのなら、ハッとしたように手を離し、その手は腰の後ろで結んで隠した。)(話したいことはいっぱいあって。けれど踏み出し方を少し間違えちゃって、なかなかうまく言い出せない。もご、と少しだけ口籠もる口元に貴方が気付くか否か。彼はパッと顔を明るくさせて笑ってみせる。)「そう、僕は《ラブリー》!えーーと、身長170センチで18歳!!好きなものはゲーム!!!将来は──────────、」(はく……。)(そこから先の言葉をわずかに言い籠った。)(君の目をもう一度見直して、言い直すように言葉を続ける。)「友達を、いっぱい作ることが、〝夢〟。」(ラブリーはいつだって、貴方の味方で、貴方のヒーローでなくっちゃ。)(それを言い終えたのなら、彼は黒板の僅かな汚れを拭いながら、君に聞くだろう。)「えっと、もし嫌だったらちゃんと言ってくれたらいいよ。…俺も、人との距離近付けてるの、自覚あるし。」(言ってしまえば真反対。ずいずいと他人の領域に踏み込んでいく彼と、貴方では相性も悪いかもしれない。掴み出しから失敗しているしね。)(それでも可能な限り、貴方が怯えたりしないように、恐る恐る貴方という存在に〝触れて〟見たいんだ。)「ね、今度は君のこと〝聞かせて〟くれる?」(嫌だったら言わなくてもいいし、離れて欲しかったらそうするよ。)   (8/8 22:10:33)

蕪木 千歳> 
ひゃ…………っ!?わ、わ、わ………っ!( 突然の事に倒れこむ箒を体で受け止めて、元々支えていた手はといえば貴方の意のままなすがまま。ぶんぶんと揺れる腕に見開かれた瞳は白黒と戸惑って、漸く自由に動かせるようになった腕に、密かにほっと息を吐いた。心なしか体温の残る気のする掌は、その温度がくっついてしまったみたいに曲がったままで動かせず、腰もちょっぴりへっぴり腰。『 え、ぇと、苦手というか………急には、驚いちゃうので、 』それに加えて、耐性が無いので。驚くのまではきっと皆共通の事。ばくばくと心臓が鳴って、苦笑いしか浮かべられないのは、共通でなくともおそらく、仕方のないこと。あんまり良くは、ないのだろうけど。ちらりと貴方の様子を窺いながら握り直した箒は、固くひんやりしていた。貴方の自己紹介を耳で聞いて、そうですか、で済ませるのはあまりに淡白。何も、コミュニケーションを拒絶したい人間という訳じゃない。……けど、自己紹介の正しい相槌って、なんなんだろう。共通項を見付けること、とか?お名前はもう知っていて、身長と年齢はちょっぴり上。ゲームは、暫く触れていない。…………将来、…将来、かぁ。見詰め返された瞳孔が揺れている気がして、けれど瞬きの後には、それは気のせいだったのかもしれないと思い直す。通い慣れた自分だけの部屋が、嫌に恋しく思えた。一通りの事項を頭に浮かべて、まるで新学年の始まりみたい。『 …名前は、さっき口にした通りです。身長は…160cmくらい、今年で17歳です。好きって程じゃないですけど、スマホの、農場系のゲームは少ししてました。夢は…………、 』『 ……………、 』ああでも流石に、新学期でだって夢の宣言まではしなかった気がする。『 …………っ、…確かに、初対面なのに夢を語り合うのってなんか、っふふ、すごく、距離近いですね、 』そう思うとなんだか可笑しく思えて。箒を支えにするりとしゃがみこんだ少女は、お腹を曲げてけらけらと笑った。そもそも、スタート地点が渾名だし、そこから近い。筋力がなくって、足が痛くなってしまうから長くはしゃがめずに。けれどしゃがんでいる間は、教室の中、停滞する空気を細かに震わせて。変なの。変な人。)   (8/8 22:57:19)


ラブリ-> 
(突然しゃがみ込んでしまった貴方に、彼はあわあわとその腕を彷徨わせ、背に手を添えるか、声を掛けるか、慌てて悩んだ。)(やはり何か、貴方の気を影らすような発言を自分はしてしまったのかもしれない。そう思って、ご自慢の【トーク力】を歌おうにも、人の心の内を軽い言葉で流してはいけない気がして、無言を貫いていた。)(『夢は…………、』)(それから止まってしまった貴方の言葉をハラハラしながら待っている。)(友達を作ることが上手ではない上、どうやって距離を詰めていくのかさえ知らない彼には、〝友達作り〟ほどハードルの高いものがないんだ。)(煮え切らない自分の感情に、どうすればと思い、貴方に少しだけ手を差し伸べたその時───────。)『…………っ、…確かに、初対面なのに夢を語り合うのってなんか、っふふ、すごく、距離近いですね、』「(あ。)」(本当に、ひっそりと。柔らかで、小さな笑い声が、ちゃんと彼の耳に届いた。)(それだけで、景色が少し変わったみたいで。重い不安が少しだけ軽くなった気がして。)(彼は、貴方の顔に合わせるように、その顔を小さく緩ませた。) 「……ふへ、へへっ。…そーだね。あんまり、言わないかも。」(──────────君が笑ってくれてよかった。)(彼の心を掠めた想いはそれだけだ。)(夕暮れに染まる教室で、ズレた歩幅と初対面の小さな夢。)(少しだけ、足並みを揃えて、彼は君に言ってみせる。)「……友達とか、あんまり作ったことなくて。…距離とか、どうしたらいいかって、何したら正しいのか、…難しいね。」(現にそれで、一人。友達作りに失敗しちゃって。君とも少し、不器用な距離で。)「…………………〝友達〟って、どこからどこまでがそうで、そうやったら〝友達〟って判定になるんだろうね?」(相手が友達だと思えば?)(自分が相手を友達だと信じれば?)(結局その境目って結構曖昧で。)(わかりにくくて。難しくて。)「……………俺は、君とも、友達になりたいと思ってるから…、」(思っているから?)「えっと……。」(泳ぐのは腕か、瞳か。)(彼は自信なさげに頬を掻き、その視線をどこに向けるでもなく不安定に動かした。)「…………〝お友達になりませんか〟…?」(それは許可を得るものではないのだろう。)(契約や約束事でもないのだろう。)(それでもそれを、明確に形にしたいと思ってしまうのは、きっと──────────。)   (8/8 23:32:24)


蕪木 千歳> 
( 無理矢理距離を詰めるよりも、今くらいが心地好かった。それは、同じところまで墜ちてくれていたからという良くない思いからであったのかもしれないし、不自然な詰め方が気味が悪かったからかもしれないし、どちらにしろ、この好ましさはあまり良いものではないのだろう。でも、『 ………そう、ですね、…私でよければ、 』まるで、告白にでも答えるような台詞回しで『 お友達、宜しくお願いします 』ほっとして頬が緩んで浮かんだ笑みも、恐る恐る握手でもと伸ばした手も、そして、きっと掴んでくれただろう貴方の体温も、表情も。全部、私はどうして捨ててしまったのかも分からないまま、記憶から消してしまうけれど。『 お互い友達って、思ったので……ので…こ、これで、お友達、です!ね………っ?よしっ、じゃあ、えと、えーーーーっと、お互い一緒の所まで、後片付けして帰りませんか? 』もし手を握ってくれていたのなら、ばんざーいっ!と高々掲げて。まだまだ不自然でぎこちない距離、けど、お互い正解が分からないのなら、これだってきっと正解の1つ。………かも、しれない?もしかするとそうかもしれない!きっとそうだ!よし!なんだか今度は、此方が初めましての貴方になってしまった気がする。ああ、頑張るとお互いこうなってしまうんだな、なんて勝手な同情を抱いて。…初めまして、私のお友達。)   (8/15 00:25:04)