芦宮 心良>
「・・・アッッツ。(秘密の特訓と称して、許可も取らずに体育棟地下一階の訓練室に忍び込み、ひたすらにトレーニングをしている男子生徒が1人。半分満足半分不満といった、何ともいえない表情で彼は訓練室から出てきた。そのまま階段前の自販機がたちならぶスペースへと向かえば)・・・あの、どちら様ですか。(照明が少し落ちて、自販機の商品を照らす白い明かりが目立つそのスペースには、マントを羽織っている人影が見えた。頭に何か被っている様だが、何せ暗いのでうまく顔が確認出来ず、いつでも能力を使えるように準備しつつも、対話を試みよう。)」>トカゲサン (6/11 19:36:59)
トカゲ>
「(地下。夏のクーラーが効いた教室たちとは比較的に湿潤なこの場所は、『蜥蜴』にとって最適な場所である。自然の涼しさが、爬虫類の過ごしやすさを削らずそこにいるのだ。) …(ぎょろりと、視線が君を見るのを感じるだろう。口が開き、君の頭に入らない…つまり、言葉にならない囁き声が、耳にのみ入るのを感じるだろう。同時に手元へ反らされた瞳の数が『2つではない』ことに気づくだろうか。)クッ。(1つ。)クコカカカカココ………(おそらく笑い声であるだろうそれが、ようやく君の頭に入ってくる。)なかなか恐れ知らずであるな、貴様…(それを皮切りに、囁き声ははっきりと語り掛ける声に変わる。)ああいや。人は夜目が効かない…我の姿がよく見えぬのか。(警戒、あるいは警告も込めているのであろう君の言動に、それは全く動じることはない。)安心しろ、我はここの学生だ。少々長寿な蜥蜴でな…まあ、人のようになってからの年齢は貴様らと変わらん。(それどころか、堂々とした態度で立ち向かった。)」「なに、卑しいことはないぞ?見てみろ、我は爬虫類だ…(大きく腕を広げる。)と、見えないのであったか。(そしてしゃがめば。君にも、その容貌が露になることだろう。それは1つ目の蜥蜴、王冠を被った蜥蜴。)そう、だから、地下室が最適なのだよ…(その1つ目が、君の眉間をぎょろりと覗いた。)それと挨拶ついでだが貴様。(そしてそのまま間髪いれず、彼は君の肩に指を指す。)『肩に蜥蜴が這っているぞ。』(笑顔を深めたまま、君は突然肩に別の生物の気配を感じるだろう。)」 (6/11 19:59:13)
芦宮 心良>
「えぇーっと・・・トカゲ・・・?(脳内に、明らかに人外であること、対話可能な者ではあること、トカゲである(?)こと、妙に大人びてること、見た目メッチャコワイこと等々、妙な情報が多々流れ込み、間の抜けた声で返事をした。まぁ、話が出来るのなら蹴り回す必要もないだろうと、警戒を解くが)___そうなのか?(無表情で自分の肩に手を掛け、ペタペタと這い回る生物を掴んだ。そのまま、そっとベンチの下へ離すが、内心穏やかでは無い。表情は変わらなかったが、どことなくこわばったような声でこう続ける。)えっと・・・キみは・・・ってか君も、ヒーローって、ことで合ってる?」>トカゲ (6/11 20:15:47)
トカゲ>
「クカカカカッ。(また高らかに笑う。間抜けた声が面白かったのか、蜥蜴への対応が面白かったのか。答えはどちらもである。)うまく行かなかったな、親友…(彼の体を、君の肩に乗っていたようにその蜥蜴が登り立ち、また語り掛けた。言葉にならない声は、君に隠した命令であったのだ。)やはりここの生徒は肝が据わっているな。思った通りにはなかなか驚かぬものだ…(蜥蜴ゆえに、彼は常に笑顔に見える。えも言えぬ表情だ。だが事実そうなのだろう。笑い声が、それを示しているようだ。)いかにも、我は貴様と同じヒーローである。とはいえ、今は外見もあって都市伝説扱いだがな。(しゃがんだ脚を伸ばし、腰を曲げた状態で、かつん。と、王笏の頭を両手で持ち地面につく。王の威厳を示すように、誇らしげに。)我が名はReptilian Replicant:The King。爬虫人、王なるもの。カミサマとして名付けられたものだ。荘厳な名だが…我を呼ぶなら『トカゲ』とそう言えばよい。(自己紹介をしつつ、ゆらりと、見つめる瞳を君に近づける。)一応、ここの1年生として就学させてもらっているぞ。(細められるのは、きっと微笑みのようなものなのだろう。紹介が終わればそっと瞳は引かれた。)」 (6/11 20:42:49)
芦宮 心良>
「(爬虫人、"ディスコード知識"の片隅で見たことのある気がする。存在はしているが事例が少なすぎて都市伝説化してる生物。実際、なるほど”爬虫類”であり”ヒト”であるというのはこういう事かと、少し納得していて。)___分かりやすい名前で助かります。僕は芦宮 心良。同じく、ヒーローやってます。(あえて、ヒーロー名を伏せたのには理由が有るが、君には関係のない話だ。さて、ずっと立ちっぱなしと言うのもなんだろう。)・・・あの、すいません。そこの自販機使っていいですか?(ずっと汗を流していたからか、そろそろ喉が限界だ。ポッケのスマホに手を掛けつつ、お目当ての商品が有る自販機を指さしていて)」 (6/11 20:55:34)
トカゲ>
「おっとすまない。迂闊であった。(突いた笏を右手に持ち変えて、また顔を見えぬほどまで持ち上げる。君の要望に答えると共に、いつまでもこの体勢でいると、さすがに足も腰ももたないものだ。)アシミヤ。同業者同士仲良くやっていこうではないか…(だが肩に乗るとかげの顎をかりかりと鋭い爪先で優しくかいてやりながら、大きく一度頷いて、理解と友好の意を示す。顔が見えなくなったといえども、まあ上がるのは威圧感くらいのものか。)まあ、この学園にいるというのならば大抵察しはつくことだな。我は保護を受ける傍らでだが…(こつこつ、と地を叩いて、ここは保護を受けるにはいい学校だな。なんて、閑話休題に一言誉めて。)貴様は夢を求めてか?(彼が知能をつけ人型となったのは、半年前よりもずっと前のこと。存在の噂は以前からあったが、人助けを始めたとなるとさらに加速するものだ。)夢を追うのならば、その姿、見てみたいものであるな…(彼が人を救うのは、君のような夢追う人間を愛しているからだ。淡泊を呪っているからだ。それに気づいたのは、あの事件より少し後。君たち『生徒』に会ってからだった。)」 (6/11 21:15:16)
芦宮 心良>
「んーと・・・まぁ、そんなところです。(適当なスポドリを自販機から取り上げつつ、トカゲの質問に答えていて。確かにかつてのヒーローのようになりたいという夢はあるが、人生を掛けるほどの熱意は無いし、本来の目的はずっと別にある。そこまで教える必要もないだろう。あと、トレーニングで疲れてるのもあり、あいまいな回答で)・・・トカゲさんこそ、何か目的が有って此処へ?」 (6/11 21:37:47)
トカゲ>
「そうか、それはいい。人生何かしら目指して損はないものな。(正直好奇心は収まらないものではあるが、はぐらかすほどの理由があるならばそれはそれで人らしいものだ。)我がここに来た理由は…(たった1つの目をぎょろりと空に向ける。なんと答えればいいか、いくつかある内のどう言えばいいか、と。)そうだな。いくつかある、と言える。(再び前を向いたとき、彼は隠す必要もないかと口を開いた。)我は見ての通りカミサマであるからな。この友たちと…(トカゲ、ヤモリ、ヘビ、カナヘビ…など、多種多様の爬虫類が10匹ほど、ちろちろと彼の方へ這い出してくる。)下水道でいろいろ食いながら暮らしてきたのだが、半年前の事件から、我の噂が悪い方向に進んでしまったのだよ。(さらに彼の肩に乗っていたトカゲは、乗じて『懐中時計』を咥えて、元の位置に戻ってきていた。)とても一人では生きていけなかったのでな。ここで保護してもらうことにした。(わらわらと群がる爬虫類たちに、彼はいつの間にやら捕まえていたラットをまるでちぎった食パンをばらまくように爬虫類たちへ与える。)野生に生きていきたいものだったがな。(そして自身も、後ろ足辺りを口内に放り込んだ。)」「悪いことばかりではない。貴様のような面白い人間に出会えた、それだけでも十二分なものよ。(分厚い目蓋を細く薄める。)そう、それが2つ目の理由だ。ヒトのどれほど面白いかを知ったのだ。だからここに居続けている。(どうやら、喜ばしく笑っているようだ。ベルトと腰にできた段差や肩をとっかかりにして、君の背を蛇が登っていく。)ほら、そいつも貴様に恐怖していないぞ。(君とは仲良くやっていけそうだ。なんて、爬虫たちへの対応を見て、彼は思った。)」 (6/11 22:11:30)
芦宮 心良>
「・・・”フェローチェ”ですか。(登って来た蛇を視認し、何とその名を言い当てて。彼の"ディスコード知識"による賜物だろう、毒とかが無いというのが分かっているのでそこまで怖がるわけでもなくて。青と白のコントラストで淡い印象の蛇の頭を指で軽く撫でつつ)___ま、嫌われるよりはマシですかね。・・・"僕の"は・・・ちょっと今は見せられませんけど、その時が来たら仲良くしてやってください。(ペットボトルを半分ほどまで飲み干せば、自分のディスコードを___いや、見せないでおこう。こういうのは焦らすからこそインパクトが生まれるという物。それに、僕に【意味】をもたらすきっかけになるかもしれない。しばらくトカゲのディスコードとじゃれていたが)___やべ。そろそろ僕は帰ります。では。(スルスルとフェローチェはトカゲの体へと戻っていき、時計をちらりと見れば少し驚いて。訓練室に残していた荷物を小走りに取りに戻り、階段前へと戻ってくれば、君に別れを告げるだろう)」 (6/11 22:23:27)
トカゲ>
「(ひたり、ひたりと。喧騒の許されない図書館という存在は、彼のひっそりとした足音にとても良く似合った。)…何かね。(しかし。その背の高く、シキガミが中でもひときわ人から離れたその姿は、いかなる喧騒よりも大声を呼ぶものであった。一瞬の間だったとしてもこの『喧騒が許されない図書館という存在』の中でそれは高らかだった。)まあ、そういう表情も嫌いなわけではないのだがね…(好奇や恐怖のような感情はあとでも如何様にもなるものだからと、彼はその一時にしかない表情を愛し、一つ目をぎょろりと声を上げた生徒たちに向ける。かつん。と、気だるげについた王杓は、少しの間だけ響いた。)まったくこれだから図書館と言うものはあまり好かん。本は得れるのだがなあ…(さて。平等を愛す君なら、声を上げたり逃げ惑ったり、なんてこともないだろう。)貴様…(淡泊を呪う彼には、君に『悪戯を仕掛ける』には十分な理由であった。)挨拶代わりにだが…(本を読み続けるかもしれない。それとも語りかけようとしているのかもしれない。だがその前に彼は君の横に座った。そして動じずに、言う。) (言葉なき言葉を。)」「…いや。やっぱりなしだ。(静かに『否決』を下せば、手を叩けば、どうやら隠れていた「爬虫類」たちはしゅるりとダクトの中へ後戻りした。言葉なき言葉は指令だ。悪戯の指令、肩の上にでも乗せようかと思っていたが…)珍しいものだな。貴様のようなヤツはなかなかいない。この学校で言えば少なくはないが…(悪戯で、君の『最初の表情』が失われることは、彼には面白くない。)我のことは『トカゲ』と呼ぶといい。貴様、名は何と言う?(見た目以外は穏やかに、静かに、『図書館らしく』彼は君に問いを投げ掛けた。)」 (6/19 01:23:00)
ソフィア・ルドベキア>
( 図書館は、静かで過ごし易い。落ち着いた雰囲気、ひそりとした声以外は響かない_筈なのだが。偶に声が上がる。騒ぎが起こる。其れを不快に思うか否かと問われれば中間だろうか。とはいえ無関係なので基本的には本を読み続け知識を蓄えたり娯楽として楽しむのだが..今日はそうは行かない様で。隣に座った" 人 "を静かに横目でチラリと一瞥しては特別声を上げる事も、騒ぎ立てる事も、引く事も逃げる事もせずに__パタリ、と本を閉じる。何やら此方に対して何かをしてこようと動いていたのは分かった。が、目的は何なのかは分からなかった。勿論友人との日々の会話が在ればまた反応は変わっていたかもしれない..が、彼女は、ソフィアは悲しい事に友人と呼べるのが自身のディスコードのみだ。_まぁ、つまりは隣に座っている彼がどんな人柄なのかを知らない、という事で。)「 あの、えと..何をしようとしていたのかは、分かりませんが本を傷付けるのは辞めてください..ね? 」( おず、と小さな声で、だが視線はきちんとコンプレックスでもある眼力の強い眼で貴方の顔を見て伝える。何となく身長差で座っていても首が痛いのだが。)「 トカゲ、さん。_あ、私の名前ですよね、ソフィアです。ソフィア・ルドベキア..です 」( 小さく頭を下げる。椅子に座ったまま故、本当にほんのりと下げただけだ。さて、気が付いたら先程までチラホラと感じていた人影が無いではないか。さては_下校時間か?正直図書館で会話するとなると、人が居ない方が助かる一面もある為に心のどこかでほ、っとする。何せ隣に居る彼は多分、__声がデカい。) (6/19 01:48:20)
蕪木 千歳>
………とかげ、さん。………えぇと、えー………よろしく、お願いします ( 遊園地での出会いは、まだ記憶に新しかった。だから、忘れられないその姿、大きな背丈には気のせいとは言えないほどの見覚えがあって、待ち合わせ場所の街の端、荒れ果てた外へのと続く道の入り口で、随分と萎縮しながら、私はぺっこり頭を下げた。赤いパーカーは気持ちばかりのヒーローの証。白いパーカーを着ていても、どうせ自分の血ですぐ染まるだろう。なんて、笑えない冗談。そのくらい私は、よわっちい。運動神経が良いわけじゃない。ヒーローとしての訓練を重ねる内に、平均を少し越せた気はする。生命力が高い訳じゃない。擦り傷1つ、記憶にある限りじゃ負っていないようなそんな気がする。人望にカリスマ性、見目麗しさ、そんなものがあるわけでも、ない。なのに、イーコールが振る謎の事態。それによる外のカミサマ達の変化を調査しに行くのに自分が選ばれるなんて、変だなぁとは思いはしたのだ。貴方が守ってくれるだろうから、…なんて言うと、あまりにも無責任で勝手な女の様だけど、よわっちい私に守ってくれる人を付けることで少しでも慣れさせよう、とか、或いは、一般人が居る状況下での戦い方を学ぼう、とか、そういう理由があれば納得は出来てしまったんだ。異常事態が起こったときの為にと、二人菓子まで持たされていたことだし、よわっちさは公認だ。申し訳無さにその他諸々、余計なものまで納得と共に付いて気はした。なんて要らないアンハッピーセット。『 ぃ、きましょっか……っ!…遊園地以来、ですね、 』へらりと笑って、ぐっと拳を固めて気合いを入れた。頑張るぞい、なんて、声に出しはしないけれど。パーカーの袖から、小さな腕時計がちろりと覗く。) (6/22 23:04:35)
トカゲ>
「(トカゲ。それは爬虫類として一般的な生物の1種であり、彼の名である。名前を呼ばれれば。ぎょろりと、たった1つの目は君を捉えた。気持ちばかりとはいえヒーローの衣装を着る君と比べ、彼はいつも通り王のような格好をしている。)ほう、貴様が今回のパートナーか。これはいいものが見れそうであるな。(その目は君を見ると少しだけ細められた。口角の動かない彼の笑い方だ。…さて、彼は『いいものが見れそうである』と言った。君に戦闘力がないことは知っているはずだ。しかし見れそうだ、と、彼は君に何か期待しているらしい。)何と言っても、物好きな貴様の過去だものな。楽しみで仕方がない。(それもそのはず。長身の彼の背中の奥にあったのは、1枚の古い扉と南京錠だった。パドロックスロウスと、君の認識した特徴が完全に一致しただろう。)」「小学校によくあったな、確か。四足の頃の記憶はそこまで確かではないが、少なくともずいぶん前だったことは覚えている…(古い。古臭いというか、今の時代であれば知らない子供も一定数いるのでは、というくらいだ。そもそも、今や南京錠という存在自体も古い。)だが、これはただの捨てられた扉と南京錠というわけではないぞ。(使い道は今でもあるが、要らなくなれば捨てられる運命だ。だがこれはまだ『捨てられた』には該当しなかった。)…凄まじく、引き寄せられる。かくいう我も辛うじて耐えているくらいだ、しかし触れてしまえばもう離すことはできないだろう…(そしてただただ開かれるためにあるのでもない。それは、『捨てたもの』を拾わせる、扉である。)一般人が入って記憶喪失になる前に、情報のある人間が入って解決してしまう他ない。(扉が支配する空気は、間違いなくこちらを吸い込もう、ひきずろうとする、重苦しい暗闇であった。)」 (6/23 00:22:09)
蕪木 千歳>
いいもの、ですか…? ………これは… ( は虫類は確か冬眠したような気がするが、このトカゲの王は冬眠するのだろうか。降り注ぐイーコールがまるで雪のようだから、場違いにそんなことを思った。変わらぬ威圧感と不気味な笑みに思考の目を逸らして、現実逃避したとも言える。そんな逃避を出迎えたのは、貴方の背後からのっそりと現れた1つの扉。随分と古く、錆び付いている。どう見ても重たく、酷い錆び付きは開けられそうにない。そもそも、扉のみで何を開けるというのだろう?けれど何故だか、開けられるという確信と、開けなければいけないという不安があった。呼ばれているような気さえした。声も聞こえず、気配すらないそれは捨ててきた記憶にあったものなのかもしれない。これが楽しみだなんて、貴方はとんだ悪趣味だ。そんな不満は滲む。けれど、そんな不満1つじゃ、この焦燥感は塗り返せやしなかった。貴方も引き寄せられるのなら、呼んでいるものはなんなのだろう。どうして私が。ヒーローだからしょうがない、とはいっても、あんまり覚えてないんだけどな。暗がりに小さな星屑が散っても、昼の空じゃ見えはしない。『 開けま─────── 』深呼吸と共に、高い高い貴方を見上げた筈だった。いつの間にか、指先は扉に触れていて。そうして景色は暗転する。───────ーカーンコーン─キーンコーンカーンコーン─────。『 ______。……………ここ………………………、 』教室から見る窓の外はほの暗く、夜が少しだけ進んだ、濃いオレンジ色の夕焼けだった。3階の教室。壁には書道の授業で書いた同じ様なぼやけた文字がずらりと並び、不揃いな机が列をなして背を向けている。真正面には教卓があり、背後にはまだ週番の書かれていない黒板があった。外から、校歌を歌う運動部だろう野太い声が聞こえてくる。壁掛け時計は18時、部活の終わる下校時間を指していた。『 ………ここ、…私の通っていた、中学校です。 』多分。あまりはっきりとは覚えていない。書道で書いた文字がなんだったかも、窓の外から見える街並みも、机の中身も。ただ、断片的に残る記憶の欠片から、恐らくそうであるような気がした。 『 ……鍵、探して出なきゃなんでしたっけ。…………トカゲさん、小学校のこと知ってましたし、中学校も分かりますか? 』カラカラと戸を引く。その扉は随分と軽くて、すり抜けられそうな気さえした。このカミサマの性質を、大きなカブを引き抜くよりも力を込めて、思い出す。合っていなくとも、貴方が訂正してくれるなんて人任せ。廊下を少し歩けば直ぐ階段があって、階段を段数分降りなくとも、2階に足が付いていた。まるでワープでもしているようだ。部活が終わって、生徒が帰るために教室から出て昇降口に集まり出す。そんな賑やかな音が確かに在りながら、人の姿は此処には微塵も居なかった。校庭から、教室で聞いた野太い歌声は響くのに、姿だけは何処にもない。) (6/23 00:59:06)
トカゲ>
「 。 。 、 、 。(言葉のない声はどうやら、爬虫類たちを呼んでいるらしい。脚に黒い蛇を絡ませ、右肩に懐中時計を持った尾の青いトカゲを、左肩に尾の朱いトカゲと黄色いカナヘビ、胴には緑青色のヤモリを登らせて、首には黒いヘビを絡ませ手のひらの上にはゼニガメを。彼は完全に全ての爬虫類を身に付けた状態で君に続こう。季節遅れの雪を少しだけ積もらせた友たちを。)…ふむ、懐かしいものだな。(遅れて暗闇から覚めた瞳に射した、朱い日差し。生徒が去った後やその直前で、追い出されぬよう広い広い校内を歩き回ったもので、解散した爬虫類たちはするすると、彼の周辺ではあるが自由にのんびりと周囲を走り回る。あれは確か、まだ自然豊かな場所だった。)まあ、ここはあんな田舎ではないだろうが…(外を見れば一目瞭然であった。…ここで、町並みの中で君が捨てたものは何なのだろう。夜を食らう夕の時間、残っているのはチャイムと野太い歌声と空の色。その全ては、今から時が経つごとにそれぞれ、今の世界からはなくなってしまうものである。残り続けるのは、君と彼と、君が探さなくてはならないもの。あとは、残業をする教師たちか。)」「さて、母校か。(慣れてこそいるが、賑やかな校舎が精彩を欠く瞬間は不気味なまでの雰囲気だ。この時から、学校は静かになる。)そう、探すべくは鍵だ…貴様の思い出が握っている、な。(あてにするのは間違ってはいない。彼は常に冷静である。冷静でなくて、カリスマある王は務まらないものだ。)貴様にとってそれが良い思い出か悪い思い出かは知らんが、大体の風景が分かれば我が友が探し当ててくれよう…(そう言えば、青尾のトカゲから懐中時計を受け取り、爬虫類たちを解散させた。)コイツはこういうのには向かんのでな、司令塔として働いてもらっている。(留まった一匹がゼニガメであるのを見れば、彼の言い分も理解できるだろう。)さあ、なにか思い出したことはないか?教室の名前だけでもいい。場所を思い出せないなら、我らが導こう。導いてくれるのであれば、黙ってついていくとも。(また不気味に、目を細め笑った。)」 (7/3 13:24:02)
蕪木 千歳>
( つぶらな瞳の小さなトカゲさん達は集まるやいなや解散を。残ったのは掌の上のゼニガメさん。時折首が収縮し、一部の柔らかな皮膚が震えるのみ。それ以外はじっとして動かずに、此方をじぃ………と見定めている。索敵には向いていないのは分かるとして、……司令塔。あまり頭の良いようには思えない。けれど、海の物語で知恵者といえば大抵カメであった気もして、案外見掛けによらないのかもしれない。とはいっても、今回はその知恵を借りるようなことはなさそうだ。『 ………有難う御座います。けど、はい、此処だろうなぁって推測はちゃんと、付いていますよ。』記憶は案外、というか改めて、忘れられないように出来ているようで。見慣れた景色にすんなりと鍵の場所の判断は付いていた。だから、頼るようなことはない。小さなトカゲやゼニガメは無表情ながらも愛嬌があるのに、目の前の貴方は笑うと不気味な気がするのか。きっと、大きさのせい。振り替えって見てしまった貴方の笑みにそんな現実逃避をしながら、浮かべた笑みが少しだけひきつってはいませんように。此方です、と指差しながら向かったのは校門で、つまるところ目的地は学校の敷地外だった。姿のない声は相変わらず響いていて、耳を澄ませば変わらぬ校歌と、下校中の生徒の会話が聞けるだろう。ガヤガヤと賑やかしい。その声は校門を抜ければおよそ半分程度には減少した。『 ……えと、目的地までは多分10分位です。私が中学生のときに、学校帰りに友達とよく立ち寄っていた公園で、…毎日話して、楽しかったなぁ………って、思い出があるので、多分、そこだと思います。 』校内よりも校外、通学路の方が映る景色は鮮明だった。それは記憶を思い出したからというのもあるのだろう。二人並んで歩けばいっぱいになるくらいの幅の道。時折車が通り抜けたり、途中にある家の塀の側には猫の置物なんかが置かれている。大きな分かれ道が来る度に、ばいばーいなんて声がしたりして。段々と静かになる世界。ただ黙って歩くだけでは退屈だろうと、バスガイドさん程にはなれないけれど合いの手を入れて。Y字の曲がり道、急な坂道の方を進めば、目的地まではあと少し。久しぶりに登る坂道は息が上がって、それすらも懐かしい。そうして、坂を登った甲斐あって、木々の合間から見下ろせる街並みはやや小さく、まるでパノラマのようにも見えた。『 っ………はぁ…………、……ぁ、彼処です。 』少しして、上がった息も整えながら。指差した公園はとても小さかった。ベンチが2つ、気持ちばかりの鉄棒とブランコが備え付けられていて、ボール遊びが出来るほどの広さはない。けれど少女達が集まって話せるのなら、広さはそれほど要らなくて。むしろ、廃れている分人が来なくてラッキーだった。鍵はそんなベンチの上に。) (7/3 14:07:02)
トカゲ>
「今回は、我々の役目は無いようだな。(冷静なものだ。たどり着いた公園、そのベンチの上に間違いなく鍵があった。)先に扉の前で待っておきたまえ。ああ、 には鍵を持っていてもらおう。(そして見つけ、歩みを止めた際に、散会し爬虫類たちへ通信機から一斉に『勅命』を下し、先に扉の前へ帰らせた。尾の赤いトカゲが咥える時計を見て、もうしばらくで扉が閉じてしまうと見たのだろう。彼が呼んだ名は尾の青い方のトカゲであり、ベンチの鍵を咥えて、素早く曲げた背の斜面を掛け上れば、肩の上に乗った。)カメはすばしっこくはないが記憶力がすさまじい。司令塔と言うに事欠かんであろう。(黒い蛇はその小さな甲羅を背負った司令塔をさらに背負い、走り去っていく。)それに、幼体ということもあって非常に神経質だ。凛々しい顔をしていただろう?(…去り行くまでの姿も、君が思う通りの頭がいいようには思えないものだっただろうが。)」「さて。我々もそろそろ急がねばな…(さて、爬虫類が自身の子供や別の生物を乗せるのはそう珍しいことでもない。蛇は細いが、ゼニガメも小さくジャストサイズであった。)…そろそろ、記憶がおぼろげになるころのはずだ。我の方が早い、そして来た道は覚えている。(自身の子であれば、迷子になることと身の危険を防ぐために、素早く共に目的地へたどり着くために背負うだろう。)『乗るといい』。少し揺れるが…(君は彼の子などではあるはずもないが、王のような姿で這いつくばる彼は、尾の赤い蜥蜴青い蜥蜴を含め君も背に乗せて行こうという算段だ。蜥蜴の体であるが故に、その方が『早い』。波のように揺れて走るために、背に乗る君の視点は、とても酔うものだが。)ひきつった笑みへの仕返し、とでもしておこう。(…そして、感情に対する目敏さは、その体でもしっかりと定着しているようだった。)」 (7/3 15:16:36)
蕪木 千歳>
( それは一瞬の出来事だった。元よりトカゲはすばしっこいものだが、司令が入ったそれは途端にエージェントじみたものになる。公園内に立ち寄るまでもなく鍵は回収され、撤退準備もスムーズに。亀が凛々しい顔をしていたかどうかは……思い出しても…ちょっと、分かんないけど。『 ………そう、ですね。はい、………………はい? 』夕暮れがじわりじわりと夜の闇に飲まれていく。見上げる星空、見下ろす夜景、どちらも、ほんの少し暗いけれど、記憶の中と変わりなくって。暗くなって暫くしてから、帰路についたものだった。何を話していたかなんて、覚えてはいない。けれどそんなことどうでもよくて、私達も帰らなければならない時間だった。走ればまだ近い距離。きっと、間に合わないことはないだろう。頷き、初めの教室に向かって帰ろうとして居た体は貴方の言葉にびたりと止まった。乗る、……乗る?『 ぅ"、…………………すみません。 』おぶられるといえば、まだ馴染みやすい言葉で納得が出来た。隠しきれなかったらしい笑みに、罪悪感でまたひきつる。誤魔化せるようなものでもなし、謝罪は素直に。そうして恐る恐る、私は貴方の肩に手をかける。人と違う体なものだから、何処に手や足をかけたら良いものか分からず、その乗り方はしどろもどろの不格好。それでもなんとか、これなら振り落とされないはずといえなくもない乗り方を出来た、気がする。後は大した自信のない筋力にかかっている。『 ……その、はい、…お願いします。 』すぅ…と息を吸い込んだ。懐かしさのある木々の香りを纏った空気が、肺の中を擽っている。そっと目を伏せて、公園の景色から目を反らした。) (7/3 15:47:25)
トカゲ>
「クカカッ。まあ、あれもまた良いものではあったがな…(鞍のようになったマントの上で、慣れないさながら騎馬の形態になる君の、背中から聞こえる謝罪の声。それにこちらは笑い声から語り掛ける。)しかしこれに懲りたら、次は素直な笑みで返してくれたまえよ。(背中へ器用に王笏も乗せて、右手を上に、右足を下に。半身を開いた状態から、トカゲの走行は始まる。鍵を咥えた蜥蜴も、時計を咥えたトカゲも、君の背中に優しくちろりと這い上りどうやらしがみついているらしい。)謝罪も良いが、我はヒトが心から笑っているのが一番好きだ。(這うように、波打つように、そうして素早く走る。1歩、左手を前へ、左脚を伸ばし。)次に好きなのは…(どんどんと交互に動く速度加速しながら、その口はやはりよく回った。)戦く顔だろうか。(そして君がその言葉を聞き終えれば、大きな息継ぎと共にまっすぐに飛び出すだろう。蜥蜴は素早い。スリムかつ強かな肉体を持ち、小さな体を補うだけのすさまじいものを持っているのだ。一度逃げられれば簡単に追い付くことはできない速度、それが人ほどの大きさとなると車より少し遅いくらいだ。)」「カッ…カッ…(時に、彼の笑い声と似た掠れた音が聞こえるだろう。『呼吸音』であることは、彼の喉の震えを見ればわかるかもしれない。)クッ、ククッ…(見ていられるほど君が酔っていなければいいのだが。)クカッ…蜥蜴は走りながら呼吸ができないのだよ、ク、だから、一瞬止まるのだ…(さて、1度止まればもう校舎の前だ。気づけば、というほどであった。少なくとも行きよりは素早く戻れただろう。)しかし見ての通り、我には人の身も少し混じっている。ク…だからこのくらいの距離ならば、一走りで走りきれるというわけだな…(と。ここからは、扉へ歩みを進めつつ。)まあまずは、鍵を開けて出ることか。貴様の手で扉は開けられるべきだ…頼んだぞ。(と、口から渡された鍵を、また君へ手渡す。…そのついでに、背に乗ったそれを見ようと、君の表情を覗き込んだ。)」 (7/3 16:48:43)
蕪木 千歳>
…………善処します。( だって、なぁ。貴方の姿ったら、恐ろしいに決まっている。人ではない異形のもの、制御されたカミサマ、シキガミ。受け入れて人間と同じ様に接しろと言われても、そう簡単には行かないし、怖いものは怖いんだ。悪い人ではないことは、分かるんだけど。……素直な、心からの笑顔。なんて難しい条件を吹っ掛けてくるのだろう。ああでも、戦く顔なら幾らでも見せられるかもしれない。今だって、まるで座席しかない車に乗ったような強風に身体をめちゃくちゃに揉まれて、必死にしがみつく背中。喉奥で言葉にすることはない悲鳴はひっきりなしに上がっていたから。ぎゅうと目を詰むって、止んだ風圧にそっと目を開く。視界が微かにくらりと歪んで、気が付けばそこはもう学校だった。……カミサマって、すごい。『 はえ……………、……ぁ、は、はい……っ、あの、降ります、有難う、御座いました 』ぽけ、と呆けていれば、扉はもう目の前に。覗き込む姿にはっとして慌てて手を離せば、古ぼけた鍵を受け取った。触れてしまったのと同じ扉。記憶の中の出発点。重たい南京錠にそっと指を這わせて持ち上げた。錆びたそれは冷たく、デコボコとした手触りをしている。それでも鍵穴はきちんと機能しているようで、鍵は抵抗することなく、鍵穴の中に収まった。回すのだって同様に、鍵があっていなくて開かないよ、なんてことはない。すんなりと、扉が開く。白い光が扉の向こうから溢れ出て、溢れたそれが視界を満たした。──────────『 わ………っ!? っ…たた…………… 』戻る視界、立った体に戻る意識。急に足に力なんて込められなくて、どちゃっと地面に尻餅をつく。扉はとうに消えていて、あるのは、きっちりと思い出した記憶だけ。まるで夢でも見させられていたようだった。) (7/3 17:20:16)
トカゲ>
「…まあ、一番好きなものというだけだ。表情が見られればそれで良い。(また入る前と同じように、いつの間にやら彼の体には友である爬虫類達が彼の体に身に付いていた。) 。 、 …(爬虫類達に表情はない。それは彼とて同じ、形を作れるような柔軟な顔はない。本来ならば感情を抱くような知能すらないはずだ。言葉のない声は労いらしく、光に包まれ扉から意識を返してから、肩に群がる彼らをそれぞれ撫でていた。彼らは、心なしか嬉しそうだ。)我が望むのは、『彩り豊か』であることだからな。(生きるための方法として磨いてきた意志疎通。それが切り開いたのかもしれないし、トカゲのカミサマから、人のかたちでもトカゲのかたちでもないカミサマとなったのはその結果なのかもしれない。)できれば、貴様の懐かしがるような顔が見たくてこの扉へ誘ったのだが…存外時間がなかったか。(悪戯好きのトカゲの王。)次はそうだな。現実の、思い出の場所にでも行けばわかるか?(王はイキモノが持つ大切なものを、美しいと知ったのだ。爬虫類たちは、嬉しそうである。)」「まあ、なんでもいいだろう。抜け出し方を知っている我々が、誰かの大事な思い出を一つ守れたということだ。(王というには自由過ぎるほどだが、王のようにそのカリスマと威圧感があるからこそむしろその自由さが人らしい。彼には必要な冠なのだ。)つまり我々は今日この日ヒーローらしくあったということだな。おめでとう、『蕪木』。(冠を頭にするものは、『友』の名を呼ぶ。思い出を共に、鍵と共に。悪戯の結果ではあるが…ひきつった笑みを見て、彼にどうやら君は興味を引かれてしまったのだ。)そしてお疲れ様。(だから、友を労う。)貴様の笑う顔を見るのが楽しみだ。(期待する。楽しむ。)さあ英雄よ、凱旋だ。(褒め称える。称賛する。『我ら』、共に。)我らがホームに、帰ろう。(帰ろう。)」 (7/3 18:31:43)
蕪木 千歳>
……ありがとう、ございます、…トカゲさん。…はい、………帰りましょうか。( へんなりと気の抜けたような笑みを浮かべながら、私は内心謝った。本当は、良い思い出なんかじゃ─────────────たなら、何れ程、良かったか。要らないのだ、こんな、独白は。今日、蕪木 千歳はトカゲさんと一緒に、1匹のカミサマを退治した。1つの記憶を救い上げた。報告書に書いて提出すれば、紙1枚に収まる出来事。それだけで、いい。…帰ろう、コード専門高等学校へ。) (7/3 19:10:10)