Leo= Leonhard>
青い空、白い雲。夏の気配を纏わせ始めた眩い日差しはジリジリと地面を照りつけた。こんなにも天気が良い昼下がり、さぞかしコード専門高等学校でも生徒たちが和やかに勉学に励んでいることだろu「「だぁれが……喧嘩バカだって?ぁ?」」中庭に響き渡る低く唸るような声。光が眩ければ影も濃くなるものだ。彼は中庭の角、人目につかない場所で自身の先輩にあたる生徒の胸ぐらを掴んでいた。この空間には夏の眩しさも青さもない。そこにあるのはじんめりとした嫌な空気と暑苦しさだけだ。……始まりはなんだったか、もはや覚えていない。ただ、コイツが気に食わない陰口を叩いていたことだけは確かだった。俺の髪が長いだとか、頭がどうだとか。んなこと本人の前で言うやつの方がどうかしてる。彼の悪名は高く、喧嘩を売れば最後。買われても最後。売っても買ってもないのに勝手に突っかかれても最後だ。汚い言葉の被せ合いはヒートアップしていく。次第に声量は上がり始め、野次馬が集まり始めることだろう。ひそひそ、こそこそ。その音に彼の激情は更に燃え上がる。____ついに、彼のスチームパンクな腕時計がキリリ…と鳴いた。その傍に火球の如き熱量が集まり始める。彼がこの先輩を被害者にするのに、そう時間はかからない。ところで、こんな彼が停学にならない所以は"実際に手を出せない"ところにある。なぜならここはコード専門高等学校。ここにいるのはヒーローの卵たち。彼らがこの事態を見逃すはずもなく、恐らく"君"もそうなのだろう。真っ直ぐで、愚直な、 (6/19 15:21:04)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
(季節は___夏!夏!夏!照りつける太陽がほんのり体を焦がす。)「う"ぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ、あっぢ〜〜〜〜〜ぜぇ…………」(そう叫びながら先程自販機で買った小さなパックのミルクティーを片手に歩く少年が一人。走ることが好きな彼でもバテてしまうような気温、本当はこのまま教室に帰る予定だったのだ____が。)『だぁれが……喧嘩バカだって?ぁ?』(なんて声が暗く沈んだ中庭から聞こえてきたものですから。)「(い〜〜〜〜〜ッ、ケンカかよぉお……ったくここも油断できねぇなぁ……)」(なんて、最初は無視して通り過ぎようとしたのだ。が。)「(ッ〜〜〜〜〜っ見てらんねぇ!!!)(ヒートアップしていく状況に一旦、足を踏み留める。)(アイツ___きっとセンパイだったっけかな…?ちょ〜〜〜〜〜ッと、いや、だいぶ気が引けるが…)おいッ!!!!!ガヤは退け、黙れッ!!!!……そこのお前!!!……デッカくて目の青い赤い髪のヤツっ!!!!」(愚直正義感馬鹿は少しだけ離れた場所からビシッ!と指を向こうに向け叫ぶ。…いや、彼本人も赤髪青目なのだが…)「待ってろおおおぉおおッッッ!!!!!!(全力の大声をかました後、相手の能力である熱い火球も全無視して走り抜ける。…熱い、熱い、熱い。そして__彼に向かって横腹に回し蹴りを入れる。_______それがこの後どんな影響を及ぼすかも微塵も考えずに。)どーーーーだッ!(服を一部焦がしながら、そう、自信満々に彼に向かって告げる。)…って、あ!?」(__ここで思い出した、いや、『思い出してしまった』のだ。彼がここでは悪名高い『喧嘩好き』だって事に。)(自身に満ち溢れた顔はひやり、段々と青ざめていく。それこそ技術力、体格に差のある二人で優勢を決めるのなら明らかに『アイツ』の方が優勢だろう。)(だらだらと気持ちの悪い汗が流れる。)「ッ、あぇ、(彼が起き上がるのならば少年は情けなくもじりじりと後退りするだろう。どうか___)ごッ…いや、すみませんッ、あの、これは_____(どうかオレの人生、ここで終わりませんように!)」 (6/19 15:59:12)
Leo= Leonhard>
『待ってろおおおぉおおッッッ!!!!!!』片手にミルクティーを握りしめたヒーロー。それは光の如くかけてきた救世主であった。デカくて赤い目の青いヤツ、そんな組み合わせの人間はそう多くない。きっと自分のことだろう。そう思って振り返る。………………振り返った頃には、その赤いバカは自身のディスコードに突っ込もうとする勢いであった。「あ"!?!?バカかお前!!!!!!!」怒りの中に焦りを滲ませた声でそう叫んだ。彼は咄嗟に掴んでいた胸ぐらから手を離し、君へ対する熱量を緩和するだろう。このディスコードは許可した相手にのみ、纏う熱量を無害なものへとできる。それをこのバカに施すのは不服だったが、正直そんなこと考えている場合ではなかった。焼け死ぬつもりか、あほ。ほんのりと服が焦げた匂いが周囲に漂う。きっと熱かっただろうな、手当とかだるいな、そもそもこいつが突っ込んできたんだから俺は悪くないよな、なんて考えていれば「い"っ……てめ……っ……!!」横腹に回し蹴りをもろに食らう。瞬発力×3、体術×2。そんな君の強烈な回し蹴りを避けられるはずもない。彼はその大きな…と言うよりは長い体躯をぐらりと揺らす。その隙にあのクソ野郎(被害者)には逃げられるし、醜態は晒すし……。音を鳴らし回っていた時計の針は徐々に速度をゆるめ、そばにいたディスコードも消えていく。あぁあぁ、最悪だ。こんな奴に慈悲をやろうなんて思った俺が馬鹿だった。怪我させてしまった、という多少の罪悪感は吹き飛んでいく。「俺は後先考えねぇ馬鹿は嫌いなんだ、わかるか?」彼は身をかがめ、自分と同じ青い瞳と目線を合わせた。後先考えられていないのはお前の方だろうと、きっと誰もが思うだろうが……それは置いておこう。20cmばかりも体格差のある相手をしばし睨みつけた後、彼は姿勢を戻しため息を吐く。「まぁいいわ。""チビ""を虐める趣味はないからよ。」チビ。その言葉に力を込めて彼は君を睨みつけた。それは君を許したような態度ではなく、むしろこれからどう遊んでやろうかなんて考えているような顔をして (6/19 16:24:14)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
(チリチリ、と焼け焦げた部分が薄白い煙と共に黒く色を放つ。幸い、怪我はなかったようだが……なんだかこれではこっちが怪我させた側みたいだ。)「…………………(数秒言葉を溜めた後。)…すまねぇ、センパイ。…………」(少し俯きながら立ち上がり、ぼそり、呟くのだ。)「…む、(顔から不安の表情が消えていく…が、『チビ』と言われたことはどうも不服のようで。)オレはチビじゃない!その……ほら!保険?の時間で多分習っただろ!?個人差ってヤツだ個人差!お前らよりちょっと成長が遅いだけだッ!」(とは言うものの彼はもう高校生。テンションもなんだか、さっきの調子を取り戻してきたようで。)「そしてオレはバカでもない!名前を教えてやる!『ネヴェルヴァ・シュート・イグリア』!いずれヒーローになる男、だ!わかったか??」(後先すら考えない馬鹿は青い目をカッと開き。彼を見上げるように仁王立ち、生意気にもそんな口をきくだろう。)「で。お前は。な〜んで喧嘩なんかしてたんだ?(彼に蹴りかかったのも心に秘めたる正義感のため。___いや、細かい状況さえ知らないのにさすがに人に向かって『蹴り』はどうかと思うが。)そんなのやってる暇じゃね〜〜だろうがよ〜〜〜〜ッ!!オレ達ヒーローなんだからさ!!」(ヒーロー、それは本来は街で起こったいざこざを収めるために存在するものである。)「…センパイはヒーローになりにここに来たのか?」(この学校は本来なら研究者になる為学びに来た者も居る。しかし____)(彼らも今では『英雄(ヒーロー)』、だ。) (6/19 16:59:15)
Leo= Leonhard>
「あ"!?うるせぇな、!!!!!」チビじゃないぞ!ヤイヤイ!と騒ぐ君の頭を彼はがっしりと掴み大人しくさせることだろう。「俺はレオ=レオンハルトだ、よろしくな、 " チ ビ " 」名前を教えられてもなおそれを呼ぶつもりは今は無いらしい。いずれ仲良くなれば名前を呼び合う日が来るかもしれないが、果たして彼にそれができるかは定かでない。『で。お前は。な〜んで喧嘩なんかしてたんだ?』「俺の事をバカにしてきたからだろ」彼はぶっきらぼうに即答する。馬鹿にされたやつを馬鹿にして、殴ってきたやつを殴り返して何が悪いというのか。……彼がやっているのは、バカにしてきた奴らを殴る過剰防衛なのだが……。「あ?任務には出てんだからいいだろうが。」普段からパトロールしてヒーローごっこだなんで、彼にとっては退屈で仕方がない。そんなことよりもヒーロー活動に役立つ知識を頭に詰め込む方が有意義だ、……なんて。それはただの言い訳でしかない。ただ、そんな時間があるなら"あいつ"を探したいなんて私利私欲に抗えないだけだ。ちなみに、彼が未だ任務で表舞台へ出られないのは"暴れるのでだめ"という理由で教師に止められているからだ。大暴れできる外の世界に出ることを未だ許されていない猪は心の中で色々なものを燻らせている。クソ教師どもめ、なんて心の中で唾を吐き捨てる。「俺は俺のためにここに来た、誰のためでもねーよ」少し鬱陶しそうに、彼は首の当たりに手を回しながら君の問に答える。そういう君は、ヒーローになるためにここに来た、と顔にでかでかと書いてあるみたいだった。そういうのが煩わしいのに、でも嫌いになれない。きっと元気よく答えてくれるんだろう、念の為聞いておくことにした「そういうチビはどうなんだよ」 (6/19 17:18:10)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
「が〜〜っ、オレの頭を掴むな〜〜〜ッ!!」(ジタバタ、ブンブンと腕を回しながら叫ぶ。未だ『チビ』と呼ばれるのを不満ながらに押し込めて。)「ふん、いーさ別に!この身長のお陰で小回りが利く。」(なんてブツブツ言いながら。)「レオセンパイ、だな。覚えたぜ、多分。……任務。でもさ、オレも正直もっとヒーローらしいコトしたいって思ってるから正直わかる!(うんうん、と彼の答えに頷く。)『そういうチビはどうなんだよ』(…と聞き返され。)「オレはだな!!もちろんヒーローになる為だッ!!!(彼の頭に浮かんでいたであろう答えをそっくりそのまま答える。)それもな、みんなを笑顔にできるようなヒーローに!へへ、父ちゃんがな!『お前は良いヒーローになれる』って言ってくれたんだ〜〜〜〜、なるしか無いよな!!」(先輩に向けて、無邪気な笑顔で返すのだ。)(と。)「……オレの父ちゃんな、ヒーローだったんだ。(トーンは少し落ち、でも微かに笑顔を湛えながら言葉を続ける。)強くて、優しくて、おもしろくって。カッコよかった。憧れだったんだ。……………でも、あの日の後。(『あの日』、それは『セブンス・イクリプス』。)………死んじゃったんだ。(ぐ、と拳を握りしめ、目を薄らと開けて言う。其処には少しだけ、涙が見えた。)…悔しい、オレは悔しいんだ。だから。」「オレは父さんみたいなヒーローになりたい。だから___此処に来たんだ。」(キミに向ける真剣な、光る眼差し。それは強い意志であった。)「……あ!こっちからベラベラ喋っちまってアレだった…な、えっと…父ちゃんさ、ちょうどレオセンパイみたいな髪と目の色してたんだ。話してたら思い出しちまって……悪かった………」(その燃える夕焼けのような髪、深い青色の目を再度見上げて。)「…センパイ、今度オレと任務行かねーか?カミサマ調査でもなんでも!センセー、結構チョロいからやる気があるならきっと通してくれるぜ!(そう、根拠のない自信を持ちながらキミに語りかけるのだ。)」 (6/19 18:13:04)
Leo= Leonhard>
よくもまあ喋る子だと、きっと彼はそう思った。ヒーローってみんなこうなんだろうか。父さんもよくペラペラとしゃべる人だった。母さんは……静かだったな、俺はそっちに似たか?なんにしろ、目の前のチビが嫌いになれないのは本心だった。蹴られたし、クソいてぇし、うるせぇし、邪魔だけど。でも、興味が湧いてきた。多分それは、自分と似てるから。_________""お前もヒーローになれるさ""_________、父親の言葉を頭の中で反芻する。別に、言われなくたってなってたし。コードの勉強だって欠かさなかったし。……彼は君の頭に再度手を伸ばし、燃えるような赤い髪を乱暴に撫でた。……と言うよりは、頭を揺らしたような感じになるんだろうけれど。「死んだやつのこと考えてたってどうしようもねぇだろ。」そう、どうしようもないのだ。死人は何も語らない。傷と荷物だけを残して、俺たちはそれを背負って進まなきゃならない。もう居ないくせに、生意気な奴らだ。……彼には父も母もいない。それは君と同じかもしれない。彼がこの歳で両親の死を受け止めきれるわけが無い。その鬱憤を晴らすために喧嘩が好きなのかもしれないし、乱暴なのかもしれない。そうやって歪みながらもヒーローを目指してきた。彼も君の真っ赤な髪と真っ直ぐすぎる志を見て父を想った。それを言葉にはしないし、態度に示すこともないけれど。彼も君と同じなのかもしれない。「チビがいなくたってカミサマ調査ぐらいできる。……つっても、2人以上で一緒に行くのがルールなんだっけな?」センセーはちょろくないと思うが……まぁ、コイツに面倒見てもらうとか適当言えば外に出るのも許してもらえるか。最近はまた外の様子がおかしなことになり始めてるし、そろそろいい加減動き出したいと考えていたところだ。それに、こいつに興味があるし。…あいつも、ヒーロー活動してたんならカミサマのことを調べてたら何か分かることがあるかもしれないし。「いいぜ、お前の任務に同行してやる。足引っ張んなよな、チビ。」そんなふうに自分を納得させて、彼は君と行動を共にすることを承諾するだろう。肘で背中を小突きながらもなんだかんだ楽しそうに彼は笑った。 (6/19 18:30:28)
催涙雨 七日>
『────────バイバイ、〝 ナノカ 〟ちゃん 』「………………ほ、本当に、待っていなくて大丈夫?」『もう、ナノカちゃんは気にしいだなぁッ…!いいよう、先帰ってて。…………それにほら、今〝 チャンス〟だし。』「………………………そ、そっか。」「……………………………………うん、そうね。………じゃあその、また〝明日 〟。 」( ○ 月 △ 日。 ) ( 今日の日直は小林くんと遠藤さん。)( その遠藤さんは、黒板の板書を消しているみたい。放課後も先生に皆から集めたノートを提出するからと、遅くなるから帰っていて、と言われた『 午後4時半 』。 いつもなら彼女は多少遅くなってと『待っている』。女の子と2人で帰るの、正直毎度毎度緊張するけれど、でも〝 姉さん 〟ならきっとそうするから、それをやらない訳にも行かないでしょう。)(──────────しかし今日という日はまた別だ。) (『〝 あのね私、小林くんのことが気になってるの〟。』)( ……………そう、彼女は知っている。遠藤さんと小林さんの関係性。甘くも酸っぱい青い春。遠藤さんたら、彼女に対して『小林くんって、…………その、付き合ってる子とかいるのかな』って。お昼の時に話すんだ。頬を赤らめ、目を伏せて。卵焼きを摘んだ手を止めながら。 だったら此処は空気を呼んで、踵を返すが吉でしょう? こちらも『解らぬ元引きこもり(ヲタク)』 じゃない。内心で呟く〝 頑張れよ、青年たち……〟のサムズアップ。 微笑ましくあるのは事実だが、 まるで彼女…彼は、『色恋なんて何を今更』と、無縁も無縁。心のどこかでは他人事だ。 )「……………………………(そうだ、帰り図書室寄ってかなきゃいけないんだ。お……前借りられてた3巻、揃っていれば良いが………)」 ( その証拠にほら、本を胸の前で抱える彼女はぼんやりと次やることを頭の中で組み立てているんだから。だってまさか思うまい?『ロマンスは突然に』とはよく言うが、そこの曲がり角を曲がっちまえば。赤い暴君、科学の獅子に……)(───────5秒後に遭遇するだなんて。) (6/29 21:22:19)
Leo= Leonhard>
夕刻。図書室からの帰り道。授業が終わり廊下をかける生徒たちに舌打ちをして、誰も借りないような小難しい化学の方を片手に抱え歩く。全てを跳ね除けて前に進む猪みたいなこの男に、友達がいる訳もなかった。だから彼はいつだって1人だ。(今日は本の続きを読んで、実験の続きでもするか。……ぁー、任務の時に使える武器とか考えとかなきゃな、)彼も歩きながら考え事をしていた。というか、彼が歩いている時考え事をしていない方が少ないだろう。それでも人にぶつからないのは、相手が避けてくれるからだ。しかし曲がり角となれば仕方がない、そんなの避けようがないだろう。前を見た時にはもう遅い。彼は、一際大きな少女が曲がり角から出てくるのを見た。それが一瞬、探し続けたその人に見えて彼の反応は鈍る。_______衝突。両者抱えていた本がその場に落ちるだろう。「おいてめっ、前見ろ」言葉のブーメランが彼に刺さりそうだが、そんなこと関係ないんだろう。すぐに手を出す…いや、口を出す彼の悪いところだ。強い言葉で君に文句をたれ、本を拾おうとする、が……。「……………?」君の顔を、彼はじっと覗き込むように見るだろう。"その"予感が確信に変わる度、彼の心は焦燥していく。いや、そんなわけない。町中探した。隣町も、他県も探した。そんな彼が学校を探さないわけがなかった。歳は近かったから、ここに来てもおかしくないだろうし。だから職員室に忍び込んで名簿も見たけれど、君のことは見つけられなかった。転校生が来たという話も聞いてない。なのに…なのに、なのにどうして。どうしてなんだ。…………彼は気がつけば、君の腕を握ろうとしているはずだ。「七日……?」確かめるように名前を呼ぶ。悪い夢でも見てるんだろうか。……いいや、この場合良い夢だろうか。灯台もと暗し。探し続けた君が、どうしてこんな所にいるんだ。だって君は、_________ (6/29 21:41:12)
催涙雨 七日>
『──────ロマンスは突然に────────』) (刹那、5秒後。) (トン、と。 )『おいてめっ、前見ろ 』「……………………ッッッ…………その、ご、ごめんなさ、…ぼ、ぼぼ、ぼんやりしていたものだから…………………………」 (ぶつかった。 )(しまった、前を見ていなかった。貴方の〝 いかにも〟な声色にビクついたのか、彼女は控えめな、震えた声色で小さく呟き、 衝撃により落ちた本をこちらまた拾おうとしゃがみ込もうとするだろう。…その時だ。) 『………?』「……………………………」 「……………………………、…?」(妙な視線を感じた。ここまで貴方と目を合わせず真っ直ぐと本を手に取ろうとしていた彼女だったが、恐らくはこのタイミングでようやく貴方と目を合わせることになる。 そう、〝 合わせてしまう〟ことになるのだ。) 『七日……?』「…………………………………………(う゛、)」「……………………ッッ゛ッ…………………(う゛お゛おおおああぁあああああぁあああああぁあああああああああああああああああああッッッッッッッッ?!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!????????)」(彼女は、朝焼けにも近い、『姉と違わぬ色を持つ』瞳を見開いてしっかりと貴方を捉えていた。彼女、彼は貴方を知っている。鋭い眼光、青い瞳。 そして目に痛い赤毛の髪。 〝姉貴の知り合い 〟だ。恐らくは幼なじみと言ってもいい。誤算だった。貴方がまさかこの学校にいるだなんて。 名前は確かなんだとか、どういう人間だったかとか、ぼんやりとしか思い出せないのも無理はない。なんせ催涙雨クニヒコ、 〝 彼自身 〟は貴方との関係性なんて数度話したか或いはすれ違う程度だったんだから。でも〝 姉貴 〟は違う。姉貴は、『催涙雨 ナノカ』は貴方の──────────……)「…………ッ………………ご、ごめんなさいその、よく前を見ていなくって………………はいこれ、本。こっちは君ので、こっちは わ、〝 私〟の……………」( 視線を切ったのは彼女の方からだった。髪を耳にかけ、本を手早く拾ったのならば、おそらくは押し付けるように貴方が落とした本を手渡し、その場から立ち去ろうとするんだろう。) 「………………………ッ、…………………」(しかし。)「……………………………へ、………」 (……立ち去る前、貴方が1枚上手。時既に遅しとはまさにこの事だった。ゴツゴツと骨ばった手は、既に彼女の、『男にしては華奢な腕』を掴んでいたんだから。 ドクン、と心臓が跳ねる。 長い睫毛を持ち上げて、困惑したように視線をあげる彼女。夕暮れに照らされた白い肌。 せっかく耳に掛けていた髪が、パラリ、と硝子細工でできたカーテンのように 落ちた時。)「…………………………………ぁの、…………………………………れ、〝 レオくん〟。」「…………………………………………私、その、…………………………、………………」 ( 確か姉貴は。)(『…もう、また喧嘩して。 』)(貴方のことを。)(きっと。)(『………………………………それで、今日はなにで喧嘩したの?』) (『〝レオくん 〟。』) (……って。呼んでた筈だから。 貴方の鼻腔を、あの時とおなじ優しい消毒液と、クリスタルムーンの香りが擽った。 ) (6/29 22:14:10)
Leo= Leonhard>
「……ん、で…」何事も無かったように押し付けられた本を渋々受け取る。この本も、知識も。全部全部元は彼女を探すためのものだった。ここへ来るなら聡明でなければならないと思った。だから、君が見つかった今。この本を受け取る必要なんて無い子のに。…………君の細い腕を掴んで離さない。離すものか。次手を離してしまえば、今度こそ本当にどこへ行くか分からないじゃないかって。「なんで……」……今の彼が考えれば分かるはずなのだ。ヒーローはみんな消えた。あの場に彼女はいなかった。生きているはず無かった。生きているはずないんだ。でも、生きてて欲しかった。だから探し続けた。だってその場から消えたステッキの持ち主が、あの日と"変わらぬ姿の君なら"、君なんだとしたら。それは寸分違わず、あの日消えた七日のはずだろう。「……なんでお前こんな所にいるんだよっ!?!?!?!?」探し続けていた。その気持ちを、彼が押さえつけられるはず無かった。「お前ずっとどこに居たんだよ、探したんだぞ。」握る手の力が強くなる。涙が零れそうになる。潤んだ真っ青の目で、朝の瞳を見つめた。………このまま怒鳴り続けたら、その衝撃で砕け散ってしまうんじゃないかって。それくらいか細い声で名前を呼ばれて。……そのたった一声で昔のことが思い出される。優しく笑って、名前を呼んでくれた人のことを思い出す。多分好きだった。幼なじみだった。喧嘩ばかりする彼の、唯一と言っても良い友達だった。理解者だった。「連絡くらい、……返せよな」「いやでも、…………」彼は笑うだろう。派手な赤髪に負けないくらい眩しく、嬉しそうに。「"""生きててくれてよかった"""」 (6/29 22:31:07)
催涙雨 七日>
『……ん、で…』『なんで……』『……なんでお前こんな所にいるんだよっ!?!?!?!?』「……………………」(貴方の手に力が籠った。ほんの少し、痛いぐらいだった。 苦しげに顔を歪めて、貴方は彼女に訴えた。 それだけで、貴方にとっての姉貴が。『催涙雨 ナノカ』がどれほど大事な人物だったのか。嫌ってぐらいに伝わった。 )『お前ずっとどこに居たんだよ、探したんだぞ』「……………、…………」 (だって、出会い頭。あんなにも強そうだった貴方が。喧嘩でいつも傷を作るぐらい、負けん気のない貴方が。今じゃ迷子の子供が親に見つけてもらったみたいに、小さく、崩れてしまいそうな細い声でそんなことを言うんだもの。今にも泣きそうな顔をして、そう、と触れたら零れるんだろうってぐらいに、並々とコップに入れた水見たく。 今まで1人で漸く立っていた足場が、ぐらつくように。 …………何も答えられやしなかったさ。答えられるわけがないじゃないか。 その癖に臆病な彼には、きっと離れたら崩れちゃうんじゃないかってぐらいに脆く淡い貴方から腕を振り払って、逃げ出すことも叶わない。 息が、……しづらい。 )『連絡くらい、……返せよな』『いやでも、…………』『"""生きててくれてよかった"""』) (…前髪隠れた目元。唇を噛み締める彼女。)(やめてくれ、と。叫び出したかった。)(……でも、こういうことも。覚悟、してたんだ。覚悟を決めたら、あの日にステッキを手に取ったんだ。この学校に来たんだ。いつか、姉貴にとっての大事な人が、こうして自分を姉貴だと思って、淡く期待を寄せて笑う瞬間を。安堵を、希望を運ばなくちゃならなかったんだ。……そうあるべきだったんだ。)(【⠀お前が死ねば良かったのに 】【⠀なんでお前が助かって、ナノカ(ヒーロー)は死んだんだ 】【⠀お前に何ができるんだ 】 もしもあの時、ノコノコと帰れば、そんな見えない矢印と這い寄る影に包まれるのはきっと自分には耐えられやしなかっただろう。ただの双子。性格も地位も似ても似つかない。姉貴はエリート。自分は引きこもり。世界が求めるのは『クニヒコ(落ちこぼれ)』なんかじゃなくて、『ナノカ(魔法少女)』なんてのも分かってる。目の前の貴方だってそうじゃないか。)「……………………、……………〝ごめんね 〟」「…………………………ごめん、ごめんなさい。」「………………………………ごめんなさい。」 (だから。)「…………………………、…………………〝許して 〟なんて、言わないわ。」(……彼は、震えた声で、俯いたまま小さく小さく、何度も何度も何度も、謝る。 返信できなくさせたこと、貴方に探させてしまったこと。そして今から、〝 貴方に人生最大の嘘を死ぬまでつかなければならないこと〟。あの日、暗がりで。まだ握り手に生暖かさの残る血濡れたステッキを、手に取ったその選択は間違いではないと。)( 俯いていた彼は、……彼女は。 その選択を決して〝無駄 〟にしてはならないと、……ここで〝 証明(演じ)〟なければ意味が無い。 ) (1呼吸。)(…………………彼女は、ゆっくり顔を上げるだろう。)「………………………………、……………………」「……………………………、………知ってるでしょう。レオくん。私、……………〝 魔法少女 (ヒーロー )〟だよ。 」( ふわり、ぱきゅんっ、と。弾けるような音を立てて、彼女の手に握られるのは、貴方が見た事のある『ステッキ』だ。あの日と何も変わらない、彼女の『ディスコード』だ。ディスコードの常識は、『適正宿主以外には使えないこと』。 彼女はそれを貴方に見せるように持ち直せば、小さく微笑んで言葉を紡ぐ。)「………………ほうら、 〝泣かないの 〟。」「………………………レオくん強いから、………〝もう1人でも大丈夫かな 〟って、思っていたんだけれど。…………戻ってきてみたら、〝 前とあんまり変わってない〟のね。 」「…………………………強いて言えば、ほんの少し髪が伸びたところかしら。……………………あとは、ちょこっと男らしくなった。 ああでも、いつの間にか、身長も越されちゃったなあ……………………………前まで可愛かったのにな。」「……………………………………、……──────────〝元気 〟でしたか。 」(『ライセンス︙演技 』)(彼女は、 ゆっくりと手を伸ばして貴方の前髪を柔くどかし、目元を見つめ。まるで『懐かしむよう』に呟くんでしょう。 これは彼女の覚悟だった。1度世界を騙すと決めたからには。) (『クニヒコ』が死ななければならないのだと。) (6/29 23:32:35)
Leo= Leonhard>
『私、……………〝 魔法少女 〟だよ。 』可愛らしい音を立てて手に握られたステッキを見て、彼は安堵するように笑った。「あぁ、知ってるさ。俺も、お前がいない間にヒーローになっちまったよ」袖をまくって、機械仕掛けのやや大きな時計を見せる。それがこの世にひとつしかないように、君のそのステッキもひとつしかない。ディスコードは、1人の宿主のみにしか宿らない。……正義の糧という例外を除いて。………『ほうら、 〝泣かないの 〟。』「っるせぇ。泣いてねぇだろ。」ぶっきらぼうに返す。顔をふいと背けて、その仕草は幼い頃から変わらない。『……………………………………、……──────────〝元気 〟でしたか。 』「病気してるように見えんのかよ」威張るみたいに、時計をつけた方の手を腰に当てた。伸びた髪が、君に触れられて揺れる。……それから彼は、目を伏せて思考した。【探索ライセンス:医療知識】彼女がマスクをつける理由は何か。その症状から、何となく。それが"風邪ではないこと"は分かる。咳もない、鼻水もない、目に異常もなければ、問題は喉にあるんだろう。それとも怪我を隠しているか。……とにかく、不自然なくらいに声が小さく大人しい。彼の知る七日は、……こうではなかった。「話したいこととか、聞きたいこと沢山あるんだ」もう声の出ない君に、言いたいことが沢山あった【探索ライセンス:洞察】君は何か隠し事をするみたいに、控えめで。挙動不審な様子で。……でも、何かを覚悟してからはそれがなくなって。幼なじみだから。ずっと一緒にいたからこそ分かる。少し背が伸びた。……伸びすぎた。君とぶつかった時、そこには違和感があった。なのに今では、綺麗さっぱり、それすら見えなくなったことこそが違和感だった。………どこかで分かってる。何かがおかしいってこと。こんなことあるはず無いってこと。あの場に残ったのは致死量の血で。彼女は確かに魔法少女としての役目をそこで全うしたに違いなくて。________でも。彼は。「これだけ心配かけたんだ、色々と返してもらわねぇと。割に合わねぇ」もっとしてあげたいことが、沢山あった君がいるならそれでいい。君が生きてたなら。生きてたことになるならもう、それで良かった。もう手放さない。今は君だけじゃない、自分にも力がある。とても強い力だ、困った時にすぐに駆けつけることが出来る力だ。もう失わない。だから______________彼は、騙されることにした。 (6/30 00:00:47)
催涙雨 七日>
『病気してるように見えんのかよ』「…………ふふ、……そうよね。」 (淡く笑う彼女は、口元に手を当てて困ったように眉を下げる。 スチームパンクを思わせる腕時計、抱えた本。 泣いてないよと強がる虚勢。 『本当の姉貴』ならなんて言うのかな。自分の知らない思い出を紡いできた姉貴は、貴方がヒーローという職業につこうとしている今を、嬉しいと思うのかな。それとも、『どうしてそんな危ないことをするの』って。お節介を焼くように、困ったように叱るのかな。 姉貴は、貴方に何を想っていたのかな。) ( まるで映画のよう、見えない台本をなぞる様に。『バレないよう』に、完璧に。なぞる、なぞる。ステッキを1度消失させて、本の背を、なぞる。)『話したいこととか、聞きたいこと沢山あるんだ』「……………………〝久しぶり 〟だものね。でも、この後私本返したりしなきゃだし、…………そうそう、………晩御飯の当番私だから。早めに帰らなくちゃいけなくて。……………………帰り道にお話をする、とか…………………でも良いかしら。 」( 彼女は知らない。その洞察力がもしかしたら、『彼女を見つけるために』依然よりも格段に上がっている可能性があることも。致死量の血痕を見ても尚、『生きてる可能性』に縋って、……救える手数を増やすように医療技術を身につけてきたかもしれないなんてことも。分からない。分からないからこそ、『不自然なほどの完璧』を演じてしまっていることにすら、気付けない。 窓からふわりと風が入って、彼女らの髪を撫でた。その髪が広がらないように片手で抑えては、彼女は次の言葉にそう、と返すんでしょう。 )『これだけ心配かけたんだ、色々と返してもらわねぇと。割に合わねぇ』「……………………………」「…………………………そうよね。〝 ごめんなさい〟。」「……………………行こっか、レオくん。」 ( そう言って、歩幅を合わせてさ。きっと貴方のお話を聞いてる途中。微笑んだり、『もう、からかわないで』と 僅かに困ったような顔を見せたり、逆にちょっと不器用にからかいかえしたり。楽しそうに帰るんでしょう。 まるであの頃のように、『再開』を演出して。 そしていつしか日が肩向き切る前に。) (『じゃあ私の家、こっちだから。………ありがとうね、〝ごめんね 〟』と。 少し足早に貴方に背中を向けて足早にたし去るその時まで。魔法が溶けませんようにと願っていたに違いない。) (暗転。) (──────────キィ、〝 パタン〟。)(明転。)(『あらおかえりなさい〝 ナノカ〟』) (舞台は続く。)(…………家に帰れば、呼ばれる名前もまた同じ。母は何かと心配症で、お節介焼き。)(『クニヒコ、相変わらず部屋から出てこないのよ。…………お姉ちゃんからも、何か言ってあげてね。……何かと辛いでしょうから。』『そうだ、パパ出張から帰ってくるって。』『……そうだ、この間レオくんから電話があったけど、ちゃんとお返事してあげた?』) ( …………………〝 彼 〟は、そんな母親が少し、苦手だった。)「………………、……………」「………………………………………〝 そうね 〟……………私今日、晩御飯いいや。ちょっとつかれちゃって。」(彼は スクールバックで揺れるキーホルダーはそのままに、迷うことなく『姉の部屋』に入るだろう。 内鍵のついた部屋。鞄を放って クシャリと彼は髪を掴んでは。)(──────────ずるり。)(……………〝ウィッグ 〟を外して、その短髪を顕にした。) 「……………………ッッ゛……………」(壁に叩きつけるように投げ放ったそれ。短い髪を、くしゃくしゃと掻き乱し、壁にもたれながらズルズルと臀をつく。膝を抱えて縮こまる、醜い男の女装姿。 貴方はきっと知りやしない。 ) 「………………………………………嗚呼、畜生。」 (何が〝 元気だった 〟?何が〝 魔法少女〟。 何が、【⠀生きててよかった 】だ。 世界に嘘をつくことは、これまでだってあったさ。でも所詮は他人。家族にだって嘘をつき続けて未だにバレない。 …………………でも今日という日は。)「……………………俺って、〝 最低 〟だ。」(……………姉と比にならない低い声が。部屋の中にポツリと響いた日。よりにもよって〝 貴方 〟がこの学校にいるだなんて。貴方に嘘をつくのが、こんなにも辛いだなんて、思わなかった。 )【──────────第1章︙魔法少女は〝生きている 〟⠀】。)〆 (6/30 00:44:15)
音戯華子>
(ふるり、ふるり、ひゅるふるり。いつも嗅ぐ香りよりは、ほんのちょっぴり甘ったるい。窓からときおり吹きこむ異国の香りは、頬を撫でて髪を梳かしていく。いつからこうしていたのかはよく覚えていない。だけど彼女は、修学旅行先の中国コード専門学校、その空き教室の窓際の席に沈み込んでいた。)(どこかで誰かがはしゃぐ声、ぼんやり響く、聞いたこともない音頭の祭囃子。)(彼女は黒ずんだ瞳を自分の手元に落とした。なにもない、ただただ小さな。練習で指の一部が固くなったり、爪が固くなったりした、そんな手。)(窓の外に、視線を落とした。なにか、探すみたいに。)『見たくもないよ 並ぶ残像 青く光るから目を塞いだ』(ギターも握らず、誰が聞いているでもない。だせど彼女は、押し殺したような声を喉から紡ぎ出して、つぶやくように歌いだした。)『心と体 行き違いで 何にも受け止めきれなかった』(灯りが落ちた教室、黄昏時。静寂を貫いていた教室は、静かに泣き出した。) (7/8 15:02:46)
Leo= Leonhard>
君が異国の風に身体を任せて、零すみたいに歌をなく頃。彼は大量に抱えた食べ物で埋もれそうになっていた。肉まん、小籠包、シュウマイ、ゴマ団子、見たことの無い焼き菓子のようなもの、パンダ型の何か。派手なおやつと装飾品。お祭りをかき集めてできたみたいな宝の山の、そのうちの一つから、真っ赤な玉のようなお菓子を取り出した。彼はそれを見て首を傾げたあと、よく考えないままに口に放り込む。……それが、最大の過ちだった。 「かっっっっっら!?!?!?!?はぁ!?ばかじゃねぇの!?んな辛いもんくえるか!!!!」____反響。みんなお祭りに行ってしまって、"ほとんど"誰もいない廊下に彼のクソうるせぇ声が、ビリビリと響き渡った。きっとそれは、君の美しくて寂しい音の雑音になってしまったことだろう。彼はヒーヒー言いながら、誰にも見られてないだろうかと辺りを見渡し。……きっと君を見つける。窓際に腰掛ける青く静かな少女と、廊下に佇む赤くうるせぇ男。彼は君を見てしばし固まったあと………「…てめぇもなんか食うか??」手元の山を指さして、問いかけた。 (7/8 15:20:52)
音戯華子>
『「約束は もう』『かっっっっっら!?!?!?!?はぁ!?ばかじゃねぇの!?んな辛いもんくえるか!!!!』「いぃぃいいいいいいいいっっっひぇぇあ!?!?!?!?」(歌いながら、意識は全部窓の外。だから思いもよらなかったんだ。誰かが後ろで馬鹿でかい声を出すなんて。ちょっぴり心が弱っていたものだから、深海の奥底に深く、深く沈んでいたというのに。いきなりおっきな手が空から伸びてきて、鷲掴みにされて地上に引き上げられたみたいな感覚。彼女は顔を真っ赤にして、息を荒げていた。)「ええ、はぇえええ、へぇええええ、えっ、えと、あよ、あ、あのぉ、はい!」(赤髪の男がこちらに向かって話しかけているのに気づけば、彼女はすくっ!と立ち上がって答えを模索する。えっと、えっと、なんの問題を当てられてたんだっけ。)「す、すみません!!!!わ、わっ、分かんないです!!!寝てましたごめんなさい........」(そう、まるで授業中に寝てたら起こされたみたいな感覚だったものだから、彼女はとっさに言い慣れた言葉を、つっかえつっかえ口にした。)「.......................................?????」(でも、よく見ればめのまえにいるのはお菓子やら紙袋を抱えた赤髪の貴方。彼女は息を切らして顔を真っ赤に直立しながらも、やがて頭の中が疑問符で満たされていった。)「............................何ページ..........ですか?」(授業中、じゃない?) (7/8 15:35:53)
Leo= Leonhard>
疑問符を浮かべては床にぽろぽろと落として、辺り一面はてなマークでいっぱいだった。聞いてませんでした。教科書何ページですか。そんな問いかけに彼の頭上にも、3つほどハテナが浮かんだ。しかしそれは風船みたいにぱちぱちと弾けて消えていく。君の状況を理解したこの男は、堪えきれないように吹き出して、クツクツと笑い出すだろう。そのまま君の前の席へと歩いて向かい、どかりと腰掛ける。机に食べ物の山を置いては、笑いながらに「寝ぼけてんだろ、お前」そんなふうにからかった。君の焦りようときたら本当にすごくて、せっかく一人の時間を過ごしていたのに、君にとっちゃ迷惑この上ないのだろうけれど。面白いものを見たと、彼の顔はそう言っている。彼は浅く笑いながら、君の方を見るように後ろ向きで座った。それから、片手で山の中にある"パンダのあんまんをを取り出すと君にずいと差し出すだろう「これ美味かったぞ。」そういう彼の口には、既に次のお菓子がくわえられていた。今度は派手な虹色のキャンディーだ。 (7/8 15:53:40)
音戯華子>
「...........???」(状況が理解できずに、頭の中がおもちゃ箱をひっくり返したみたいに跳ね回る。)「.........あ、え。」(そういえば、今。)(修学旅行、)(そんな事実に気づく瞬間には、貴方がくつくつと笑いだしていた。「寝ぼけてんだろ、お前」なんて失礼しちゃう。そっちが脅かしてきたからパニクっちゃっただけなのに。彼女は未だに顔を真っ赤にしながらも、ちょっぴり頬を膨らませて、ほんの少し不貞腐れてるみたい。)「ね、ねてないし...................」(ちっちゃい声で呟けば、彼女は近づいてきた貴方をムスッと軽く睨んだ。けど。その、腕の中に大量に積まれたお菓子の山に気を取られちゃう。中国のお菓子って、どんなのなんだろうって気になっちゃう。)『これ美味かったぞ。』(お菓子を見つめすぎたのがバレたのかもしれない、貴方が山の中から何かを取り出してくれれば、彼女はおっかなびっくりそれを手に取った。不思議な表情をしたパンダ。みたいな、あんまん。)「...................あんまん???」「中国、あんこあるんだ........」(日本の人たちが来るから特別に作ってくれたのかもしれない、なんて考えながら一口頬張ってみる前にかわいいパンダを名残惜しそうに見つめていた。それから、思い出したように貴方の方をみやる。)「キミ、なんで、こんなとこ......いるの?お祭りは?」(考えてみればおかしな話だ、お菓子の山を抱えて寮に行くでもなく、わざわざこんな誰もいないであろう教室に来るなんて。) (7/8 16:33:08)
Leo= Leonhard>
「あんこはもともと中国から日本に渡ったものだからな。」そりゃあるだろ。なんて風に言いながら、次はどれにしようかとお菓子を漁る。君がパンダもといあんまんを受け取ってくれたのを見れば、ガリッと飴を噛み砕いた。コロコロと舌の上で砂糖の塊を転がして、痛みに等しい辛さを和らげていく。どうしてここにいるのか、問いかけられた彼はそれをそのまま投げ返す。「んぁ?そりゃてめぇもだろ。こんなとこに1人でどうした。黄昏てたのかァ?」1人なのはお互い様なのに。さも君だけが一人ぼっちだった、みたいな風にからかう彼の言葉は、どれも意地が悪く配慮に欠ける。「俺はもう祭りは満喫したんだよ。明日からは別のことやるわ」お祭りはもういい。彼は新しいおもちゃにすぐに飽きてしまった子供のようだろう。異国の文化には興味があった。両親とも忙しくて旅行なんてしたこと無かったし、見たことないものだらけでワクワクもした。その熱量をそのままに猪突猛進に祭りを駆け回り、一日で網羅し、満足したのだろう。「お前も、祭りに行けばいいのに」楽しかったぜ。そうつけ加えて、君の机におやつを並べていく。中には小さなおもちゃも混ざっていたりするんだろう。静かな校内。2人だけの教室。その窓辺で、祭りをぎゅっと固めて集めたような、何でも屋台が開かれた。 (7/8 16:45:10)
音戯華子>
「あんこっえっ、あんこそうなの!?!?」(意外な新事実に、思わずおっきな声が出しちゃって。自分の喉から大きな声が出たことに驚き、少し恥ずかしそうにしながら、彼女は照れ隠しのようにパンダまんを頬張った。)『んぁ?そりゃてめぇもだろ。こんなとこに1人でどうした。黄昏てたのかァ?』(まさか聞き返されるなんて思ってもいない。歌ってた、なんて恥ずかしくて言えないし。だけど、いい言い訳が思いつくわけでもなく。すいいぃぃ、と目を逸らしながら、ちっさな声で一言。)「寝てただけだし。」(黄昏れてた、は正解。色々あってしんどくなったら、夜景見ながらぼうっとしながら歌うのはいつもの癖だけど。そんな虚ろな時間を貴方が紅く染め上げてしまうものだから、彼女はパンダをほおばるしかない。じんわりと口の中に広がるあんこの甘みと熱が、ちょっぴり冷えた心を温めてくれた気がしたの。唐突にぐいっと天井を見上げれば、見たこともない不思議な柄が少しぼやけた気がした。)「お祭り、で、はしゃぐのも好きなんだけど。」「なんか、お祭りのこう、黄色とか赤とか、みんなの楽しそうなこえ、とか。」「なんていうんだろ。」(つっかえたり、立ち止まったり。紙切れを外した彼女の言葉は、いっつもあっちへこっちへ迷子さん。)「..............なんか、そういう雰囲気とか、音の景色と匂いを、ちょっとはなれたとこからみるの。」「................も。」「すき。」(天井の柄がはっきりすれば、彼女は窓の外にもう一度視線を落とす。生徒たちが、あっちでは金魚すくいをしたり、こっちでは輪投げをしてり、向こうでは射的をしたり、そっちでは女の子と男の子が恥ずかしそうに手をつないで歩いてたり。あんまり眺めすぎると病むこともあるけど、でも見てると癒やされるじゃん。って。言いたいみたい。) (7/8 17:24:43)
Leo= Leonhard>
「っは。さっきは寝てないって言ってたぜ、お前」寝たり起きたり、忙しいやつだ。彼は次にヨーヨーを取り出しては、手にまきつけてくるくるとまわす。小さいから座ったままでも出来てしまう。安っぽいプラスチックで作られた、龍の柄のだっさいヨーヨー。お祭りともなれば、こんなものでももらっちゃうんだから不思議だ。みんな、音と景色の熱に浮かれてしまっているんだろう。彼はそのまま黙って、君の宝石のパズルみたいな言葉を最後まで聞いた。……なるほど、君はみんなが楽しむ姿が楽しくて。その渦の中に飛び込んではしゃぐような性格じゃないのかもしれない。彼はみんなの熱が集まる祭りごとは好きだけれど、静かな時間も大切にしたい。だからその気持ちはちょっぴりわかる気がしている。くるくると巻かれて浮いてきたヨーヨーをパシッと掴み、止める。「会えるはずない人に会えるかもしれない。」「……っていう噂?があるらしいぜ、このお祭り。」彼は少しそれにつられていた。父と母。あの人混みの中に。小さな粒の煌めきたちの中にもう一度潜れば、会えるかもしれない。君には会いたい人はいるだろうか。「んま、外から見る景色と内側から見る景色は違うってことよ。」彼はそう言うと、再び手に持ったヨーヨーを離した。しゅー、しゅー、と紐と空気が絡み合う音が小さく鳴っている。要はきっと。行ってみれば楽しいかもしれないよ。って言うことだ。悲しいことも辛いことも、ひと時の驚きと幸せで忘れられるなら。それは偽りの幸せなんかではなく、多分思い出とか、そういうものの中で生き続けて、その後も元気を分けてくれるだろうから。 (7/8 17:40:05)
音戯華子>
『っは。さっきは寝てないって言ってたぜ、お前』「寝てない!寝てたけど......あぁその、あれ...........寝てるけど......寝てないんだ......」(ぐちゃついた論理を説明できるほどの言語能力や論理力とか嘘を付くのとかが得意ではない彼女は、やがてこんがらがった糸をそのまま置いとくことにしたみたい。それから、なんとは無しに貴方の持ってきたお菓子とおもちゃの山に手を突っ込んでみたり。)『会えるはずない人に会えるかもしれない。』『……っていう噂?があるらしいぜ、このお祭り。』「......................知ってる。」(ほら、"また"。彼女は窓の外に視線を落としては、"まるで何かを探すみたい"にして。)「...............................知ってる。」「内から見る景色は。」(おもむろに、おもちゃとお菓子の山から腕を引き抜いた。)「知ってるんだ。すっごい楽しい、の。はしゃぐのも、悪くないのも知ってるの。」(引き抜かれた指には、黄色っぽく輝く石がくっついた輪みたいなものがつままれていた。もちろん、おもちゃの偽物だけど。)「私、ど、どうしようもないくらい面倒くさい奴だから。」「皆にほら、あの、あれ。」(どうしよう。)「なんか。」(ちょっぴり、言葉を止めてから。)「あれ、『馬鹿みたいにはしゃぐやつとおんなじ土俵に立つの、プライドが許さない』かも。馬鹿は、馬鹿らしくやっとけぇ、みたいなぁ?」(なんて、呟いてみたりして。で、言い終わってから気づくの。『何いってんだ、私。』って。)(11月か何かの黄色い石が、偽物っぽくギラリと輝いた気がした。) (7/8 18:03:26)
Leo= Leonhard>
「ぷっ…はは。それさっきまで祭りに言ってた奴に言うかよ」彼は君の素直な言葉に吹き出して、やっぱり楽しそうにクツクツと笑いをかみ殺そうとするだろう。それからお菓子の山に手を突っ込んで、取り出した安そうなスナック菓子をつまらなさそうに眺める。「んでも、しょーじきわかる。」「馬鹿みたいにはしゃぐのってすげぇ頭悪そう。」「……そんでもって、それに混ざりたくはない。俺はアイツらとは違うって思いてぇからな。」10円くらいで買えそうな、その安い棒状のスナック菓子の袋を、乱雑に破けば口にくわえた。もしゃもしゃと咀嚼しながら、君が何かを探すみたいにしながら呟くその言葉に共感する。その理由とか原因は多分2人とも違うのだろうけれど。彼は喧嘩ばかりする馬鹿だが馬鹿が嫌いで、群れるヤツらが嫌いで、それでいて何もしなくていいと思っている集団心理が嫌いで。全部一人で何とかするには賢く強くなればいいと思った。そうやって賢く強くなれたと思った。そうやって探してるもの全部取り返せたらいいと思った。でもやっぱり、噂とか祭りとか、そういうのに惹かれちゃうくらいには参ってて。もうどうしようもないってことも分かってた。「ああでも。あれだな?」彼も、君みたいに街へ目線を向けた。探すのを辞めたみたいに、鮮やかな街の色を楽しんで「そういう馬鹿とか、平和を守るのが俺らだもんな」いつ何が起きてもいいように。こうやって、スタンバっとく人員も必要だろ。そんな言い訳を並べてしまおう。「その玩具、欲しいならやるよ。どうせ俺には使えねぇからな。あとお菓子も。」彼は立ち上がり、ヨーヨーをぐるりと一回転させてからポケットにしまった。宝の山の半分くらいを抱え直して、その指輪も。残したものも全部君にあげる、といった様子だ。 (7/8 18:24:23)
音戯華子>
(ちがう、ちがうんだよ。そんなこと、言うつもりじゃなかったんだ。心をにもない。馬鹿みたいなんて、欠片も思っちゃいない。ただ。ただ、ね。)「そ、あ、私は..............」(馬鹿なんて思ってない全部嘘で、ただ羨ましいだけ。なんて貴方にいえば、貴方は何て言うだろうか。彼女の人生も過去も経験も価値観も知らない貴方は、戸惑うだろうか。分からない、また分からないの。どうすれば、どうすればこの絡まった糸を解けるのかが、ずっとわからないでいるの。)「ま、今の、は。あ.......。」(音楽を失えば、彼女はこんなにも無力。自分の思いを伝える能力が極端に欠如した出来損ないみたいのアンドロイドみたい。また、心がぐるぐると固まって痺れる。伝えたい思いを伝える勇気がないから、適当なこと言って誤解されて、嫌われたり変に共感されたり、結局なんにもうまくいかない。また、今度はお菓子とおもちゃの山の輪郭が曖昧にぼやけだした。)「ごめ....。」(宝の山を持って、いってしまおうとする貴方の方を、まともに見ることができない。こういうとき、どうすればいいのかも、分かんない。ぐちゃぐちゃに絡まった毛糸が喉の奥につまったみたいになる。貴方がどこかに行くのも見届けずに彼女は、残されたお菓子とおもちゃの山に頭を突っ込んだ。)「なんで、いつも、こうなるかなぁ.........」(ただ、言いたかっただけなんだ。)「あの子といっしょに、お祭り行きたかったなぁ......」(たった一言、これだけが。) (7/8 18:41:31)
Leo= Leonhard>
君がやりたいこと。言いたいこと。本当にしたかった事。きっと彼には全部理解できない。1人で何でもかんでも突き詰めて進んでしまう彼は、人の手を取ることが得意ではないのだろう。特別誰かを救いたい気持ちとかは無いし、ヒーローなんてなるつもりはなかった。彼の人生は、自分のやりたいことに熱量を注ぐだけの人生だ。だから、静かな君との交流は、ほんの少しの枝分かれでしかなくて。彼にとっては些細なことで、宝物を少し分けてあげただけの相手で。けれど。「んぁ、そうだ。」「名前も言ってなかった。」立ち止まり、振り返る。「レオ=レオンハルトだ。」最後にちょっとだけ、これは教訓だ。「修学旅行みじけぇからよ。」「やりたいこと、全部やっちまった方がいいと思うぜ」やらないよりもやって損。そんな感じの事を言いたいんだろう。彼は軽くなった宝の山を片手で抱え直して。机とお菓子に顔を埋める君に言葉を投げた。その場で立ち止まって泣く時間は大切で。前に進むための準備期間で。でもやっぱり、歩いてみたら思ったより景色が綺麗だったり、楽しかったりするものだと思うから。彼は君のどんよりした曇り空の心なんて知らない様子で、ひらりと手を振り教室を出ていく。…………かと思えば、ひょいと戻ってきて「あ、あとな。」「その赤くて丸いヤツ。死ぬほど辛いから気をつけろよ。」それだけ言ってまた帰っていく。君の机に、少しだけのお祭りを残して。 (7/8 18:54:14)
音戯華子>
(ただ、仲良く話したいだけ。皆を見てたら、さも当たり前のことかのように初めて会う人と会話して、仲良くなって、一緒にどこか遊びに行ったりしてて、彼女はいつもそれを眺めていることしかできない。馬鹿みたい、なんて思っちゃいない、ただ楽しそうだなぁって思ってるだけ。)『んぁ、そうだ。』『名前も言ってなかった。』『レオ=レオンハルトだ。』(どこかから、声が響く。まだ行ってなかったのだろうか。こんな面倒で鬱陶しい女なんて置いて、さっさとどこかに行っちゃえばいいのに。お菓子からちょっとだけ漂う甘い香りが、今はやけに心を苛立たせた。)『やりたいこと、全部やっちまった方がいいと思うぜ』(できたら苦労しない。そんなことできるならはじめからやってる。そんなこと、そんなこと。そんなことすらできない自分に、苛立ってるの。)(やっと、どこかに行ったらしい。ちょっとだけ静かにこのままでいようと、眠りにつこうとしたとき。)『あ、あとな。』『その赤くて丸いヤツ。死ぬほど辛いから気をつけろよ。』(いつのまにか帰ってきていた貴方の声が、また耳に響いた。瞬間、彼女は顔をガバッと上げて声が聞こえて来た方に向かって叫んだ。)「うっせぇ、早く.............!」(貴方の姿は、そこにはもうなかった。ふと目の前をみると、残されたお祭りの欠片が、山高く積み上がっていたの。どんどん、山が崩れていく。音もなく、水が溢れるみたいにして、歪むみたいに崩れていく。)「うう..................」「うぅぅううううううう................」「もうやだぁぁぁ................................」(貴方が残してくれた言葉と思い出があんまりにも心を優しく包み込むものだから。少しだけ、こうしているしかなかったの。)【〆】 (7/8 19:22:48)