ジェントル>
「(洋風のどこか懐かしいような口笛を、火傷が端を覆う笑顔のその真ん中、尖る唇でジェントルは吹く。)」 「…ああァ…。とても心地がいいねえェ。(噴水から流れ出す水が、一枚目、二枚目の皿から溢れ、そして最後の水面にて跳ねながらもまた排水溝の中へと吸い込まれていく。)落ち着いた場所だァ…『ジェントルマンリー』には最適だねェ。(その、水面の外縁。噴水の端に座り込む男が一人、手元を見ながら何か語りかけている。)ボクのナイフ。そう、キミを呼べる。(その手元に握られているのは、2つの『鎖』。そして、銀色の鎖に柔らかい黒の鎖が絡み合って、形を戻していく。)これほどのことはないなァ。ナイフ、ナイフ、ナイフ。落ち着く。(そして、彼の握る鎖は『折り畳みナイフ』へと変化した。彼の右手首の、裾の中に隠れた腕時計はぐるぐるとディスクを回している。)とっても紳士的だなァ。(きちり。と回転部品が刃を呼ぶ合図がすれば、凶器はその役割を果たすに足る姿へと変化した。)…ここはいいね。(凶器の真ん中を人差し指の上に置いて、ぐるぐると回したり。時に手の内に掴んで眺めてみたり、空中に放り投げて、正しくグラップを掴むなんて芸当もこなしてみせて。口笛を吹きながら、彼は所謂『ライナスの毛布』を手にうっとりとしていた。)」 (5/8 17:54:17)
敗北@エレナ>
この学校には噴水がある。元々この学校に通う生徒には物珍しくもないのだろうけど、客観的に見たら随分豪勢だ。確かに、それも道理である。この学校は、言わば学徒動員。ヒーローと呼ばれ、この世界に蔓延る悪人や凶暴なカミサマに対抗してきた大人が消え、その代役に今同じ役目を負っている。つまり命懸けの仕事が学業そこそこにあるのだから、学校の設備くらいは良くってもバチは当たるまい。そんな憩いの場を目的として作られたはずの場所は、今異質な雰囲気だった。"これほどのことはないなァ。ナイフ、ナイフ、ナイフ。落ち着く" 左目側に巻いた包帯、それでも隠しきれない痛々しい火傷。そのボケた色とは対照的に、はっきりした色彩の黒いシャツ、黒いネクタイを着けた少年が、ナイフを弄んでいるのだから。人を姿形で判断してはいけないが____"とっても紳士的だなァ。" 紳士は多分そこらで刃物は振り回さない気がする。『おい、貴様。往来で刃物というのは血気盛んにも程があるぞ。黙っていても仕事は来るんだ、必要のない時くらいはしまっておけ。』要するに、こんな場所で刃物を弄るな、と言った。多分これは誰だって止めに入るだろう。 (5/8 18:15:38)
ジェントル>
「(足音と君の声が耳に入れば、一言発する前に、かちり。刃をしまっておく。が、そのものをしまう気はないらしく、いまだ手先でペンでも回すように繰っている。)ああァ…これは失礼いィ…(君の方へと見上げて表情を見せては、謝罪の仕草か目こそ伏せはするものの、口端の形は何も変わりやしないまま。)もちろん、人が多い場で振り回すのは控えているさァ…危ないからねえェ。(どこかうっとりとした様子は、変わりやしないまま。)でもね、これはボクの紳士らしさに必要なんだあァ…ないと、落ち着かなくてねえェ。悪いけれど、今は閉じたままででも持たせてくれないィ?(畳んでいても、ナイフを振り回すのさえ変わっていない。)開いている方が、『知ってる』けどねェ…人前だものねェ。仕方ない。(独り言ですらまだ言葉にしているようだ。)あァ、早くお仕事欲しィねえェ…何より、振り回してる姿が一番『知ってる』ものねェ…(恋しげな『知ってる』と共に。)使っていると安心するものって、あるよねえェ…(変わっているのは、ディスクの回転が止まっていることか。)」「ああァ、そォそおォ…折角だから挨拶でもォ。(そして。先程までの暴力的な雰囲気から…あるいは、姿にはその方が似合っているが、恭しく礼をしながら。)ボクは『ジェントル』、見ての通りの紳士さあァ…よろしくねェ。君はァ?(曲がった腰から上の首元から、ぴんとしたネクタイが垂れ下がっている。)」 (5/8 18:57:03)
敗北@エレナ>
『紳士らしさに必要、というのすらそもそも理解出来んし、人前で振り回すのは危ないと分かっているなら尚更しまっておけ。』要領を得なかった。刃物は危ないとわかるし、人前で振り回したらダメだともわかる。そして、それを存分に振り回す機会である仕事も待ち望んでいる。なら、それまで待っていたらいいじゃないかとため息が出た。『貴様と仕事をする機会があるかはわからんが、カミサマや悪人に加えて、警察まで相手にするのは骨が折れるからな。』結局、言い回しは難解だったが、ナイフが好きで持ち歩いたり触っていたいから我慢ならない。ということなのだろうか。なら『猟犬は案外、自宅では利口に待つものだ。そうした方が、狩りに出やすい。つまり、そういうことだ。』___節制は時に欲望を叶えることもある。物は欲しがる人間より、欲しがらない人間に転がりやすい。理由は簡単だ、欲求を真っ直ぐ直球(ストレート)に現した姿はいかんせん何が与えてやる気にはなりにくいからだ____だから、普段はお利口にしている方が結果的には多くが転がり込んでくるぞ、と忠告しておくことにした。これに懲りたら良いが。『ジェントル、覚えておこう。私はエレナ・ドラグノフ。好きに呼べ。』名前くらいは教えておいた。好きに呼べ、なんてぶっきらぼうな言いようだが、なるだけフランクにものは言えた……つもりだ。 (5/8 19:40:32)
ジェントル>
「別に、傷つけるために持ってるわけじゃァないさァ…殺しは『スマート』じゃないからねェ。(笑顔だ。けれど彼は、『不条理を呪っている』。それがいくら自己中心的であろうと、不条理は彼のディスコードを働かせるに充分だ。)指揮棒みたいなモノって言えば、分かりやすいかなァ?それを持ってたらねェ、ディスコードが動かしやすくてさァ。(かちり。)だから、法の目にはちゃんと引っ掛からないようにしてるよォ。追いかけ回されるのは紳士らしくなあァいからァ、ねえェ。(刃のまた立つ音がすると同時に、小さくディスクは回転する。彼の足元の床は少しほどけるようになっており、うねるように少しずつ鎖が波を作る。)勘違いしないでほしい。(かちり。)ああァでも、ボクの説明も悪かったかなァ?失礼ィ…あァよくない、『ジェントルマンリー』じゃないね、落ち着くよ。(ナイフの刃は彼の不安定な情緒を表すようだ。いやむしろ。刃をしまったり、出したり、そうしてなんとかコントロールしている、それはスイッチである。鎖も、同時にうねりをやめて元の姿へと戻った。)」「ボクは、このナイフはね。振り回される姿が一番『知ってる』。だから、それに安心するんだァ…(つまるところ、刃は猟犬の牙ではない。彼は人差し指と中指の指先を、左目辺りの包帯の一周づつを押さえる。そして、少しだけ帯の間の隙間をあけて。)ほら。…ここに『ある』だろうゥ…?(そこには、隙間からでも見えるおびただしい程の切り傷の後が残っていた。)『痛い』からねェ。誰かに、これをあげることはないよ。(閉じる。)…ジェントルは『いたくない』から好きで、だからナイフはボクに『ジェントル』をくれる。『知ってる』のを、思い出すもの。(じゃらり。…そして、指揮棒の凶器は鎖へと戻った。)すまないね。少し落ち着いたよォ…。(まあとにかく。君がフランクだろうがでなかろうが、彼はなかなかに『異常』であるもので、『ジェントルらしさ』以外あまり何かを気にすることはない。)とにかくよろしくねェ、エレナ。会えて嬉しいよォ。(要するに、彼自身は異常なまでに、『フランク』だ。)」 (5/8 20:14:33)
敗北@エレナ>
言わば、手元のナイフは撃鉄(ストライカー)ではなく冷却器(ラジエーター)だったのだ。かち、かち、と折りたたみの音を鳴らすことにより、それはダムの放水を弁で調整するようにして放流、放出を司っているのだろう。つまり、それを取り上げられたら、大河に笊を立てるようなもの。少しのきっかけで、簡単に人や街を飲みこんでしまう。話を要約するなら、紳士的な振る舞いであれば暴力から避けられて痛くない。ナイフを振り回す姿の方が安心する。しかし、ナイフで切りつけられたら痛いとわかるし、それは嫌いだ。という旨だ。それは、バラバラにした昆虫標本に近い。カブトムシをニッパーで細切れに切ったとする、それは確かに一部分一部分だけなら繋がるだろう。しかし、決定的に欠落してくる境界がある。想像力をいくら延長しても、元より奇怪な虫の実像を復元するのは手作業で、バラバラになった後なら不可能だ。つまり、彼しか答えを知らない関節のようなもので、この3つは結びついており、全体像を私には知りえない。だから、一つ一つの善悪には触れるべきではないのだ。『ひとまず黙認してやろう、私には貴様の経歴全てを見る目はないし、善悪を付けるために声をかけたでもない。誰かを脅したり、誰かを傷つけるためにそんな光り物を持ち歩いてるんでないなら、私の出る幕はなさそうだからな。』立場は明確にしておく。『……のちのちでいい、その事情は話してくれるなら助かる。毎度毎度貴様を見る度に気を揉むのも本意ではない。』気を揉むのは、誰かに誤解されやしないかである。私も鬼じゃない。出会えて嬉しいと自分に言ってくれている人間が、怪訝な目で見られたりするのは嫌だ。まさか事情をベラベラ話して、わかってくださりませんかなどと言う気は無いけれど。根本的解決になるか分からないけど、少なくとも大事になれば庇いはしてやれる。『時に、貴様は何に明るいんだ。有り体に言ったら、何ができるかという意味で、だ。同い年でジェントルジェントルというからには、何かこだわりでもあるはずだろう?隠し芸でもあるのか。』これは冗談だ。ただ、自分をジェントルだと同い年くらい、あるいは多少下の人間が言う姿はどちらかというと滑稽な部類だ。何かしらに憧れてやっているなら、何かこだわりには原因がありそうだと (5/8 20:39:24)
ジェントル>
「…やっぱりここはいい学園だァ…分かってくれる人がいるなんて、それほどのことはないねェ。(たったひとつのよすが。ずっとずっと、ひた隠し続けていたよすが。誰にも許されることはなかったよすが。母の言う『あの人』によく似た目。ずたずたに、振り回されたナイフ。)『知ってる』。覚えてるんだァ…よく、ね。だから忘れてしまうのが怖くて、『持ってなきゃいけない』って。(彼に巣食う、心の虫は、触覚から羽の先まで解剖されている。バラバラに、何度も何度も体の中を確認するように。)許してくれて、嬉しィよ。(間違いを恐れるように。けがれを恐れるように。)これで、忘れないでいられるからねェ。(過干渉はせず、しかしちゃんと『見て』くれるのは、嬉しい限りだ。)でも。(笑顔のまま、少し視線を外した。)でもまだ、全部は言えないかなァ。君があの人を悪者にしないって信用できるって思えたら、話すかもねェ。(説明と、欠け落ちてしまった剥製の欠片以外は、隠さねばならない。哀れまれることが怖い、確かに彼女は原因かもしれない、それでもあの人は苦楽を共にしてきてだから悪い人なんて言われてほしくなくてなんで『医者』たちはみんなみんなみん)」「(支配される前に、彼の手にはいつの間にかナイフがある。左のディスクも回転して、大柄なコートのシルク・ハット、その発言した一部が手渡す。)でもそれは、良い質問だァ…信用の第一歩だねえェ?…特技と言ったら、『マナー』の知識だとか…(かちり。)それか。(続く言葉と『指揮棒』の奏でる音を皮切りに、彼の足元の鎖が彼の体を素早く君の懐に運ぶ。)こォいうのの方が好きかなァ?(そして、君の足を『効率的な縛り方』が襲った。)…殺すのは痛い。『スマート』じゃないから、こォいう『縛る』のは特技なのさァ。鎖じゃなくてもいいしねェ。気に入ってくれたかなァ?(かちり。『ショー』は、ひとまず終演のようだ。)ああァ…仲間のことは知っていた方がいいし、君の特技も聞いてみたいねェ。(次は、君の番。)」 (5/8 21:22:40)
敗北@エレナ>
『……別に、全部は言わなくてもいい。貴様にも貴様の考えや事情や、傷がある。ただ、そうだな。悪者をわざわざ増やすような女ではないよ、私は。』それは反対に、きっと誰かの悲しい話を聞いても、その人のようには怒ったり、叫んだり、泣いたりできないということなんだと。冷たい言葉が、腹の底の方でじっとりと重く存在感を示した。理解し合うのは難しいかもしれないし、彼も多分哀れんだり、これからのご高説を垂れたりをきっと望まないような気はする。けれど、それを踏み越えていけないならともかく、"行く気がない"のはヒーローと呼ぶのだろうか。___鎖が動いた。蛇のようにも、あるいは一種の移動手段のようにも見える。生物とも機械とも付かない挙動は、明らかな無機物が人間により操られていることに起因する。それは彼の身体をこちらに、私の足元にも同時に、無論縛り付けるために蠢いている_____『何ごとにも』技は巧妙卓抜、外側(アウトレンジ)からつつくならともかく、自分も同時に迫る胆力も人間技ではない。しかし、普段相手にしていた連中の"速さ"とは前提から違う。『例外は存在するということだ。貴様らは"ディスコードを運用するために" 居るが、私は"ディスコードの側が私のために" ある。』___足を引く。反射的に動けるフットワークは、ボクシングと持ち前の反射神経によるものだ。『特技というなら、なんとこの身体、という具合だ。』そして、鎖を一旦かわし、切り返してくる脚力と"飛距離" は、鍛えに鍛えた怪力に由来する。高飛びや幅跳びは知らないが、力任せに跳ね、力任せに前に出るだけなら筋力(ちから)の勝負だ____風を切り、顎に向けて本能が打ち込みかける拳を、当然だが制止する。そして、肩を竦めながら改めて答えた。『宿主は宿主でも、前に出るしか脳がない宿主でな。おふざけに付き合わないほど堅物ではないが、顎を吹き飛ばしても私は謝らんぞ。』 (5/8 21:46:21)
ジェントル>
「とても…『紳士的』だ。(失敗を恐れる君は、誰かの逆鱗に触れることを恐れるのだろうか。悪のきっかけになることを恐れるのだろうか。強い意思を持ちながらも、享受する姿勢を感じた。)とても。『ヒーロー』らしい。素敵だねェ、ミス・エレナ…(そんな風に振る舞うのが、そんな風に振る舞った言葉が、腹の内に存在感を残すのだろうか。…笑顔でいても、時に笑顔でいるから痛いときがある。)…強い、人だねェ。(祖母の葬式があった。母は、怒りでぐちゃぐちゃになって、ボクはとても熱かった。『あの人』に似た左目が、なにも見えなくなった。訳が分からなくなって、だから余計に、笑うしかなくなった。)でも大丈夫。ボクも、簡単に死んでやる気も戦闘不能になってやる気もないからねェ。(柔らかな土の地面や布は、柔らかく『筋肉』にするには最適だ。腕には何本もの鎖が巻き付いている。…つまり並外れた根性は、砕くほどの怪力を受けようが、『笑顔』で拳を振り下ろすつもりでいた。)死んじゃダメなんだァ…戦わなきゃ、ダメなんだァ。だって『ジェントル』。だって『ミスター』。だって、『ヒーロー』だもの。(感情がないんじゃない。表に出すのが、怖いのだ。)」「…あのさァ。優しいひとがいてくれるのって、嬉しィコトなんだァ。(ディスクは止まる。すると、蛇のようだった鎖は再び元のレンガの床へと戻った。腕時計だけは、ちくたくと時間を刻んでいくが。)だから1個だけ。たぶん、いつかまた教えるかもしれないから。『ママ』を、ボクは守りたいんだ。…って、事だけ。言っておくねェ。(…そろそろ、授業開始五分前を長い針が刺すころ。)それじゃあねェ、ミス・エレナ。ボクはいつも、ここにいるから。また会えるといィねェ。(じゃらり。ナイフはまた、鎖の中にひた隠されて、彼のズボンのポケットへと、中空から滑り込んだ。)」 (5/8 22:18:23)
敗北@エレナ>
『……ヒーロー、か。』「ヒーローらしい」という言葉に対して答えたのだろうか、「ヒーローだから」という言葉に対して答えたのだろうか。間を空けて呟いたそれが、なんなのか。私には判断はつかなかった。けれど、少し顔は顰めていた。負けたようで悔しいからか?いや、そんな稚気にかられているほど余裕のない人間性ではない。寧ろそれは、相手を慮るようなものだ。同情するには話を聞いていないし、慰めるには責任なんて持てる身分では無いのだけれど。それでも___『私が、尊敬する人の言葉だ。彼女いわく、誰かを倒すための強さなんてのは論外で、誰かを守るための強さなんてのは、攻め込んでくる誰かが居なくなれば無用の長物だ。』『だけど、いつでも強くあろうとする強さっていうのは、いつか誰かの役に立つ。』同じく教室に向かうだろう足取りを、少し早めた。隣合って話すのは、なんだか間抜けなくらい、大事にしてきた言葉だから。『なんせ、強い人には理解ができて、弱い人には元気を出させて。そして___傷ついた人には、少しくらいその気持ちを分かってやれる。無理をした分、な。』それは、「許し」ではない。『……言った理由は、一々言わんぞ。ただ、貴様には必要な言葉だと思った。また会うなら____そうだな、そのナイフでケーキでも切ってもらおうか。』「頑張れよ」とそう言った。 (5/8 22:37:27)
敗北@エレナ>
ボクシングの基本は足腰である。体力に粘りをつけるために、陸上競技顔負けに走り込む。そして、筋トレの要は負荷である。筋肉は重いものを持ったり、体重を支えたりすると鍛えられる。それを二つ同時に満たす手段が世の中にはある。それも、簡単に手に入る___入る___?ものである。『帰り道、歩きや自転車で帰るのが億劫な者はいるか。運賃は取らんから安心しろ。』そう、人力で誰かを背負って帰ればいいのだ。そんな無茶苦茶な、と思うかもしれない。しかし、救急救命の現場や、軍隊の行軍には数十キロの荷物がのしかかることも多々ある。つまり、やってやれないことではないのだ____と閃いたのが今朝のこと。私は校門の前に立ち、挑戦者を募ることにした。このために帰り際教室に残る者たちを置き去りに疾走してきたのだ。ぬかりはない。この広い校庭に____大軍を迎えうつかのような形相で、一人突っ立って、メガホンで呼びかけている。大道芸人か街頭演説か。ともかく目立っているのは当然____ (5/8 23:20:24)
Sion・Forsyth>
「(貴方のその大きく鍛えられた体躯に、校庭に響き渡る大きな声。今から帰寮しようと通りがかっただけなのですが、何やら…挑戦者?とやらが必要なようで。とりあえず人手なのでしょうか、お手伝いできる事があれば喜んでお受けいたしましょう。そんな思いで、貴方の後ろから、とんとん。人差し指で肩を軽く叩きます。覗き込むように貴方の視界にひょこ、と入り込めば、いつも「ミステリアス」だとか「ちょっと怖い」と言われてしまう笑みを浮かべるでしょう。)___ええと、先輩…でしょうか。何方か探されていますか?お手伝いが必要ですか?(___なんて。勿論貴方が考えていることもやりたいことも分かりません。そして、何より運動が苦手な私が貴方に挑もうものなら赤子の手を捻るように負けてしまうでしょうし。ほんの少しのお節介とサービス、貴方の為にできることとしたらちょこっとズレた世間話くらいなのに、貴方の時間を虫食いにしてしまうような蝶々が1匹、貴方の肩に留まりましたよ。)」 (5/8 23:33:44)
エレナ>
『……そうか、そうかそうか。協力してくれるか。____体重と自宅までの距離を言え。』そもそも待ち構えて誰かを捕まえる気でいたのだから、どんな形であっても誰かが来たことに苦言を呈する理由も、驚く訳もない。多少何を考えているのか分からないような部分はあれど、見かけで人を判断するのは愚策だと、エレナ・ドラグノフは常々口にしていたところじゃないか____尋ねたのは、体重と自宅までの距離。体重を知るべきなのは、何キロを担いだか分からないようでは目安にならないからで、距離についても言わずもがな。自宅まで42.195kmあるというなら、私はこの娘をつれてフルマラソンだ。『体を鍛えるのは、ヒーローへの近道だ。何せ、力のない正義など単なる演説だ。教科書に書いた道徳など守るやつも少なかろう。しかし、一念鬼神に通じるとしても、伸び代だけはどうにもならん。多少なり鍛えた以上は、更に上を目指すなら、より一層の重りが必要になる。』そこで貴様だ、と口にするまでもなく彼女を見る。『ちなみに希望は多少反映するぞ、好きな担がれ方を言え。屋上から飛び降りてみたい、暴漢から逃げてみたい、沈む舟で愛を誓いたいなどは却下だが。』 (5/8 23:53:20)
Sion・Forsyth>
「………はい?え、ええと…体重は…私も乙女故あまり詳しくは言いたくないのですけれど、50Kgはない…と思います、自宅は今は学校の寮で暮らしているのですぐ近く、ですね。(口元に手を当てて、何をするのかと考えて見ましたが…まさか、追いかけ回されるとか…ああ、いえいえ、体重を聞いているのですからただ追いかけ回すだけではないのでは…砲丸投げみたいに投げられるのでしょうか…?なんて、常人からしたら突飛な考えを浮かばせ眉を顰める。寮生のため貴方が臨むようなフルマラソンもできないのですが、ただ抱えられて貴方が走るだけならどんな距離でも、私は二つ返事でOKするでしょうね。)……とりあえず、貴方様の身体を鍛える事をお手伝いすれば良いのですね!はい…?か、担がれ方…??…………よくわかりませんが、抱っこされるのですね!でしたら落とされなければなんでも大丈夫です!!(…なんて言っていますけれど。貴方のスピードやパワーに私の身体がついていけるかは…やってみないとわかりませんね。)」 (5/9 00:08:50)
エレナ>
『……なるほど、つまり引っ越してきたのか?私は元からこの辺りに住んでいるが、同じく寮生活だ。大きな声では言えんが、母がヒーローでな。』なんで寮に来たのか。実家の話でも振ってみた……のは良いが、先に出たのは恨み言だ。自分の話から始めるようなマネはなかなかしないが、これは特殊な例だ。『……ず、随分……馬鹿……で、ではなく!遊び心ある人で、我が家を秘密基地同然に改造するだけに飽き足らず、戦争でもやるのかというくらいに銃砲を溜め込み、あまつさえ「かっこよく取りだせる方が僕は好きだ。」などと宣い……。最終的には隠し倉庫に落下したり、古い弾丸が火を噴いたり……。』何より厄介なのは、あの悪ガキのような母に、それが作れる技術力があったことに他ならない。『当人が居た頃ならともかく、今は行方不明で始末に負えん。自衛官の父が付きっきりで面倒を見ている有様だ。』笑えよ、というようにくたびれた目で彼女を見た。実家がどうというなら、よく見ればこの子は育ちが良さげに見える風体だ、お金持ちの家なのだろうか?『……まあいい。であれば、全力で走れば問題は無い。距離が短いなら、速さをあげればいいだけの事。よし、捕まれ。』いわゆるお姫様抱っこ……の、はずだ。軽く屈み、いざとなれば気恥しいような気がしながらも、コホン、と咳払いをして抱きとめる体勢を作る。これだけなら格好はつく。しかし____いわゆる、力を込めた矢先、自体は変わる。ボディビルダーが鉱山なら、エレナは掘り出した幾山の鋼で打った日本刀だ。確かに細身には見えるが、しかしその総量に変わりはない。シャツやスカートを運動用に脱ぎ、通学用カバンに詰め。ランニングウェアのような姿に変わる。そうして腕に、足腰に力が篭もると_____その女は、筋肉(マッスル)だった。他に形容する言葉など無用。鍛えに鍛えた身体に、鬼が宿っている。仮に鉄球に木の葉を一枚置こう。確かに木の葉も重さはある。しかし、鉄球を潰すことはまかり間違っても有り得ない。そのくらいに不条理な肉体だった。『荷物は頼む、あと、振り下ろされるなよ。少し「険路」を行く。』 (5/9 00:31:09)
Sion・Forsyth>
「はい、親離れも兼ねて寮に引っ越してきました!(そう、私の家庭は深くは口にはしません。だって、恨言が先に出ていたって…こんなに鮮明に思い出せるくらい、それを笑い話にできるくらい、貴方のお母様は、ヒーローに相応しい好い人だったのでしょう?その話に水を差すなんて事は勿論致しません。寧ろ、突拍子もなくて面白くて、暖かいお話になんだか胸が満たされた気になりました。)…その、私の実家は…あまり良い印象を持たれないのですが、葬儀屋でして。私と、それともう一人、兄を不自由なく暮らせるくらいには暖かくて幸せな家庭でしたよ。ふふっ、私のお母さんは…先輩のお母様のように、遊び心の旺盛な人ではありませんでしたが。(なんて、ちょっとしたジョークを。そうこうしているうちに軽々しく持ち上げられるものの、いかんせん少し気恥ずかしい部分がありました。重くないかな、だとか、汗臭くないかな、とか…でもどうか、要らない心配と言わず、可愛らしいといっそ笑ってくださいな。貴方の荷物を預かり、抱きしめるように持ちます。落とさないようにしなければ…そう思い、荷物を持つ腕に力を込め…込めた、のですが。)」「………あ、あの…どうしたらそんなに強靭なお身体に…ああいえ、女性らしくないなどと言っているわけではないのですが…!!(筋肉の差なんて一目瞭然でした。細身の体に、筋肉にぐっと力が篭る様は、どこか肉食動物を思わせるような。鉄球と木の葉で例えられたならば、私は木の葉ですらないのではと思ってしまうほどに、それは〝努力〟でした。)……ふ、振り落とされないように…?頑張りようがない気もしますが、頑張り?ます…(気持ちはジェットコースターに乗る時のように身構えて、出来るだけ貴方の腕の中でコンパクトに丸まって。準備…いいえ、覚悟が決まれば、目をぎゅうっと瞑ったまま頷きを一つ。)」 (5/9 00:51:14)
エレナ>
『……そう自信のないことを言うな。別に、立派な仕事だろうに。死者を悼むのも、事務的な意味で始末をつけるにも、そうした方がいないと出来ないことだ。それに____貴様がそんなふうに言うんだったら、きっと優しい方なのだろう。』ふ、と柔らかに笑んだ。幾らくだらない話として喋る気になっても、結局はこうして、暖かく、少し寂しい、春の日の夕暮れのようなものが胸に込み上げてくる。ならそれは、きっと_____『何か言われたことがあるなら、次からは呼べ。見ての通り格闘技や修養は繰り返したが、明鏡止水には程遠い。……ヒミツだが、それなりに喧嘩や野試合は好きなままだ。』なんて、軽口を叩く。難しい道を行くと言っていたが、それもそのはず、筋力と脚力のみで、障害物を飛び越え段差を踏破し、高所からの落下も多少ならなんのその。いわゆるパルクールまがいの動きで校庭を全力疾走し、それに飽き足らず校舎の外周を疾駆する。まさかプロには勝ち目はないが、体を支える、飛ぶ、乗り越える。単純な動きに関しての速さや安定感は間違いがない。寮への道のりがてら、ペースを落としたかに見えれば室内からの救助訓練と自称して校舎の中にまで堂々と渉猟し闊歩する様は、獅子の凱旋に等しい。それはやっている事自体はむちゃくちゃだが、動きの機能美は確かだった。ただ、戦闘機を観光用に乗り込むやつはいないという話はご愛嬌、乗客がどうなるかは___根性次第だ。『言われ慣れているから気にするな。____一人、助けられなかった友が居てな。子供ながらに思ったよ、女子供に死なれるのは堪える。次以降はそれが無いようにと鍛えたのみだ。』『だが、それにしても貴様は軽すぎるな。可愛らしいのは確かだが、ヒーローには力や体力は必須科目だろう。……何、少し嫉妬だ。』風を追い越して、寮を目前に___少し苦い話をすることになった。 (5/9 01:21:42)
Sion・Forsyth>
「___、(そうです、お父さんも、…お母さんも。立派な人です。だったのです。だから、お世辞でもご機嫌取りでもなんでもない…貴方の優しい言葉が、とても嬉しかったのです。心地よいと言うには些か強い気がする風でさえ、今この瞬間だけ心地よくて。)___…んふふっ、ありがとうございます。もし、〝私が迷った時は〟…先輩を呼びますね。(空間把握に長けているだけあって、貴方がどの道をどう走って、通り抜けているのか…それを理解する事ができた。そして再び、貴方のその努力を認識して、憧れて…ほんの少し、嫉妬もしました。)」「…大丈夫です、先輩は…その、保証できる強さがわたしには、ありませんけれど…まだまだ強くなれるような、そんな気がします。(風に揺れる桃色の髪が、華の香りを優しく振りまく。それは例えるなら…献花だとか、そういう不吉なものではなくて。頑張る貴方へ贈られた、一輪の小さな華と形容してほしいのは、私のわがままです。)…なんというか、お互い…無い物ねだり、ですね。ヒーロー活動なら、それこそ私達みたいな人たちが連携をとるのです、嫉妬なんて言わずに、憧れという言葉に収めておきましょう?なんて…(綺麗事は、寮を目前に立ち止まる貴方の靴の音にかき消されたかもしれない。放課後の、人生の1ページにも満たない、頁を破っても、満たないかも知れないほんの一瞬でした。それでも、その頁を大事にするかどうかは、貴方と、わたしが決める事なのです。___わたしですか?わたしは勿論、大事にしますとも。)」〆 (5/9 01:44:05)
レフバ>
______キーンコーンカーンコーン........._________
チャイムの鳴る音がした。一体いつの時間を知らせるためのチャイムだろうか。朝学校に来てからほとんどここにいるので、もうどれくらい経ったのか分からない。今日は室内に籠もっているのには勿体ないほどに天気の良い日だった。大概の生徒はその本分を全うしているだろうから、図書室にはそれほど口を聞くわけでもない司書(大人なので)と長い時間二人きりであった。生徒の多くは授業を受けるのに特別疑問を抱いていないだろうが、この学校に編入される以前からカミサマの研究に一部携わっていた彼にとっては、初歩的なことを学ぶのは意味がないことだった。なので退屈を享受するよりかは、多少不良扱いされても結果的には研究に有意義なことをすれば良いと思い、ここ最近図書室に籠もっているという次第である。当分の目標は、『図書室の本を全て読む』ことだ。さて、彼は気づいていないが、時刻は昼を迎えていた。要は休み時間なので、他の生徒も入室してくる頃だろう。(........................)(どこの国もそうだけど、昔って似たような名前の奴がいっぱい居るんだな)彼の持つ「言語能力」には、単に異言語の習得が早いという意味よりかは、そもそも言語への対応力が高いという意味の方が強い。何が言いたいかと言うと、読むのも速い方なのである。なのでまだ図書館生活を始めてから数日ほどしか経ってないが、着々と読破した本の数は積み重ねられているのだった。(ここの列は飽きたし違うの読むか)はぁ、と一仕事終えたというようなため息をつき、持っていた一冊を元の位置に戻して、他の箇所に向かった。向かった先は、過去の文学作品の作品集だった。この手の本は一冊にその内容を詰め込められ過ぎているので、やたらと分厚く大きく、それでいて読む人が中々いないので、本棚の背が高い。ここでレフバは自分の背が小さいという自覚を持ちたくないので、意地を張って足台を使わず自分の身長のみを使って、一番上の棚にある本を取ろうとした。だが届きそうで届かない、というのが現実だった。「ふんっ、んん〜...!」本自体に触れることは出来るのだが、それを取り出せるかどうか。彼は諦めたくないので、自分の指先を信じて本を手繰り寄せようとしばらく粘ってみるものの.........、である。 (5/9 13:57:38)
エレナ>
図書館に来た理由は、単純である。私は最初からカミサマやコードの研究をしていた訳では無い。ヒーローとしての役割が生徒たちに与えられるようになった頃。つまり、途中から転入してきた身分だ。従ってこの学校で本来学ぶべき分野についての知識はかなり出遅れている。だから、望む望まないに関わらず、優等生をやらないといけないのだ。『あ____………』いつも通りに扉を開けたところで、声が漏れた。懸命に背伸びをして、頭上より僅かに高い本を取ろうとしているのである。小動物を見ているようで悪い気分はしない。むしろ、しばらく見ていてやろうかな、なんて意地悪な気持ちも湧いたが____『ほら、これでいいか。しかし、貴様も一人で頑張らずに、台でも使えばいいだろう。あるいは、司書に取ってもらうとか。』本当に困っていそうだから、取ってやることにした。しかし、どう足掻いても無理な高さならともかく、台でも使えばいけそうな程度の接戦だ。だったら、誰かを呼ぶなり、何かで高さを稼げばいいだろうに。と僅かに___いや、多分見下ろされる側からしたらかなり___視線を下ろしながら言った。それに『……私が休み時間始まりと同じくらいに来たから、つまり貴様は授業中から居たことになる。……まさか、すっぽかしたのか。』頭が痛くなる。授業を受けずに図書室に居る、なんてのだけを見れば孤高な感じがするかもしれないが、ずっと高いところにある本が取れずに粘っていたりしたなら可愛くしか見えない。『これに懲りたら、皆と同じ時間に来い。そうしたらすぐ誰か取ってくれるだろうよ。』 (5/9 14:22:31)
レフバ>
「!」突然、目の前に自分のものより大きな手が伸びる。何事かと思い唖然としていると、気付けば自分の手の上には目的の本があった。「なっ、」何をしやがる!と、勝手な真似をした相手に睨みつけようと振り返ったが、目の前にいたのは自分よりも遥かに体格の良い、長躯の女だった。自分を見下ろす視線に文句を言おうとしていた威勢が削がれると、「お、」「おう...」と尻込みし、どこか力の抜けた口調でそう返事した。授業をすっぽかしていたことを見抜かれると、「ふん、お前には関係ないだろ」と、あからさまに不機嫌だという様子で、そっぽを向きながらぶっきらぼうに答えた。「授業受けたって意味ないからここに居んだよ。当分はここで過ごすって決めてんだから」と口にする一方で、子供っぽく融通が効かない態度の中に、若干『自分より上位の存在から遠ざかりたい』という思いが見え隠れしているような気がした。「そーかよ!そんなのお前みたいにもうちょっと背丈があれば良ければ済む話なのにな!」「っ ともかく!______、...その、ありがとうな」ここまで散々失礼な態度を取ってきたが、助けてくれた相手を蔑ろにしておくほど幼稚ではないため、最後にはきちんと感謝の言葉を述べた。 (5/9 14:50:44)
エレナ>
『??』何か言おうとしていたような気がしたが、それは文章として何も組み上がらず萎んでいく。余り大事な用件では無かったのだろうか。『……直接の関係がある訳じゃないが、無関係とも言えんぞ。私たちは曲がりなりにもヒーローだ。つまり、いついきなり呼び出されたりするかもわからんし、それに____』授業をサボっているのはダメだ。なんて頭ごなしに否定するような真似はしたくないけれど、この学校でなら話は違う。いつ緊急の連絡が入るのか分からないんだぞ、と注意すると共に。『待っている人たちは心配になるだろう。貴様にも、友達くらいは居るんじゃないのか?』母がいなくなった日を思い出す。じゃあ行ってくるから、なんてケラケラと笑う後ろ姿に、ただいま、と泥だらけ、傷だらけになりながら帰ってくる姿を想像して。風呂の用意や食事の支度に思いをめぐらせながら見送り____そして、想像していたように帰ってはこなかった。『カミサマや悪人を相手にするときだけが、ヒーローの帯びている危険じゃない。知っているだろう?前任者達が行方不明や、死亡、あるいは廃人同然になったことをな。』だから、そんなことにはなって欲しくない。もちろんこの人のためにも、そして、友達を失うことになる、この人の友達のためにも。『そう腐るな、身長なんぞすぐ伸びてくる。……ああ、ありがとうは言えるか。また拗ねられたらどうするかと心配したよ。』『……冗談だぞ?』 (5/9 15:06:31)
レフバ>
「それは______」友達を引き合いに出されると困ってしまう。退屈に身を置くのは気に食わないが、友人を大切にしないというわけではないのである。「...............友達を心配させないってのは大事だろうけど、」「それもそうだけど.....................」と、何か言いたげな様子ではあったが、それらを振り払って「分かったよ。ともかく授業に出れば良いんだろ」とひとまず受け入れるのだった。「当たり前だろ!オレだってもうちょっと肉とか食えば...」なんて負け惜しみじみたことを言うものの、彼の実情は学食の食べ残し常習犯で、大の野菜嫌いである。「はぁ〜?こんな態度で悪かったな!感謝くらいまともに出来るに決まってるだろ!」何かと反発したがる子供のような素振りを見せるが、上手いことおだててやれば全く真逆の雰囲気を見せたりしそうである。「_____そう言うお前は誰なんだよ。教師か?」教師相手にこのような言葉遣いをする時点で、生徒としての心得は微塵も無いも同然だが.........自分より身長が高い上に、落ち着き払った印象を見せられると、彼でなくとも十分教師と勘違いしそうなところではある。 (5/9 15:36:42)
エレナ>
『ああ、その意気だ。頑張れよ。』それは授業に出る、という言葉にも、身長もすぐ伸びるだろう、という言葉にもかかっていた。『はいはい、わかったわかった。私が悪かった。ちゃんとありがとうが出来てえらいぞ。』小さい子供をあやす様に穏やかに応対して、多分この少年とは相性が結構良さそうだなと思った。多少生意気なくらいが年下なんてものは可愛いものである。頭を軽く撫でながら、よく出来たな。なんて口にして。それから_____凄く失礼なことを言われた気がした。教師。きょうし、キョウシ、Kyousi。少し前、女性離れしていると言われたのは記憶に新しい。だが、それは年齢どうこうではなく体格の話だ。よりにもよって_____老けているとでも申すか_____!!『ふ、ふふふふ。面白い冗談を言うんだな、貴様は。は、は、は。』ばん、ばん、と、面白いことを言った友達にする時のように、本棚を叩いてみせる。ばん、ばん、ばん、ばん……それは杭打ち用のハンマーのようだった。鍛えに鍛えた筋肉で、強かに平手でぶつ。棚は揺れ、本が落ち、老朽化した部分は剥がれたり割れたりしていってしまう。楽しいなんて1ミリも思っていない。思うのはふざけたこと言いやがって、だ。『エレナ・ドラグノフ。年齢は18だが、転入の関係で二年にあたる。 じ、ゅ、う、は、ち、歳だ。わかるな?』 (5/9 16:13:39)
レフバ>
「やめろよ!ナメんな!」頭を撫でられるのは好きではないのか、それとも相手が悪かったのか、その手を振り払った。「な、なんだよ...オレが変なこと言ったか?」自分が何かおかしなことを言ったか、レフバはそれが分からず困惑する。ただ教師、という言葉を言っただけなのだが...途端に相手の態度が豹変した。おかしな雰囲気で笑っていると、相手は突然本棚を叩き始める。それは抑えきれない笑いによるものではなく、単に激情を本棚相手にぶつけているように見えた。「あっ、あーーーーーーーーーーーーーーッ!!!何してんだよお前ッ!!?」様子のおかしくなった目の前の人物は、なんと本棚を破壊し始めた。まるで焼き菓子みたく、叩けばボロボロと崩れ落ちていく。綺麗なまでに粉砕されていき、呆気に囚われていると気付けばそこには本と木片の山が出来上がった。「わ、分かった分かった!18なんだなお前は!?分かったから落ち着けよ!!!」本棚に囲まれた閉鎖空間で、突然様子がおかしくなり本棚を破壊し始める大柄な存在を目の前にして、逃げ出さなかっただけまだ肝が座っている方だろうか。「ど、どうなってんだよその怪力...本棚だってどうしてくれんだ.........」何事かと、司書や図書室に来た生徒が覗いてくるだろう。きまり悪い顔をしながら、レフバは本を拾い集める。「お前が事情を説明しろよな!」駆けつけた生徒は、かつて本棚だったものが無惨に砕け散り、ただの粗大ゴミとなったのを見て自分の目を疑うだろう。「____でもお前、」「お前もさっきオレのことガキ扱いしただろ、お互い様なんじゃねーのか」彼はふくれっ面をしながらそう言った。「変にレッテル貼って悪かったな...」と、二度と教師という言葉は出さずに謝罪した。 (5/9 16:59:06)
エレナ>
『……子供扱いしている気はなかったんだがな。何、可愛げのある後輩には自然に口出しも増えてしまうのは、年長者としては仕方ないことだろう。どうか許せ。』はあ。と溜息をつきながら、ああまたやってしまったと背後の惨状に振り返り。それから、くたびれて肩を落とした。子供扱い。そう言われたら、そんなふうに思われていたのかと思った。後輩として可愛らしいと思い、多少甘やかしたり口出しが増えているのは意識していたが、なるほど不機嫌になったのはそれか。悪かったな、と謝罪をしたが、しかしどうにかなるようなものではないような____『驚くほどか。鍛え方が足りんぞ。』悠長に話しているのは、他でもない。この学校にいる生徒には、各々ある兵器がある。ディスコード。本人の感情に起因して力をもたらす存在だ。私はあまり超常の力で事件を解決するのを好まないので、専ら、私がやりすぎた時くらいがいつもの出番だ。『それに、どうしてくれるんだ。という問いについては、私のような粗忽者には、それは優秀な事後処理役が居てな。』がち、と側面にあるボタンを押して、ストップウォッチの機能をオンにする。傍らに芒と現れるのは、宿主と同じかあるいは少し低いくらいの長身痩躯の美女_____『サファイア、本棚を治してくれ。』本棚に本が仕舞われ、その形も治っていく。時が遡るだとかそんなものでは無いのは、本棚は治っているとはいえあくまで文房具をちゃんと買えばできる範囲の修繕であり、傷は確かに埋めてあるが、痕跡は皆無とは言い難い事から読み取れる。『……いつもすまんな。』かち、とまた押して、彼女が消失していく。……反省しよう、深く。 (5/9 17:37:30)
レフバ>
「.........良ーけどよ。」「オレは年上は好きじゃねーけど、正直な相手なら別に嫌じゃねぇ」「だからといってオレのことペットみたく頭撫でたりするのは嫌いだからな」どのみち多少は子供扱いされるのは仕方がない、体格や年齢差において、今後上回ることはほぼ確実にないだろうから。それならばせめて、されて嫌な一部を伝えれば良いだけである。「.....................」「_________それがお前のディスコードか?」この学校に来てから、他人のディスコードを目にするのは数回かはあった。今回の彼女のディスコードは人型で、どうやら宿主と意思疎通が出来るらしい。“”自分“”のは...............会話が出来る相手なのだろうか。あぁいうのを見て少々羨ましく思うところではある。「____単に修理する、って内容ではないよな。ある程度の仕上がりにでも収まるが、ひとまず何でも出来る能力?とは違うか。そんな平凡な能力なわけねーと思うし」それならもっと器用に治っている筈だし、と付け足す。「推測みたいなことしてワリーけど、あんたみてーなのが正直に自分のディスコードの内容口にするとは思えなかったから、適当に言ってみただけだ」「それで、どんな内容なのか正直に説明したりするのか?」 (5/9 18:15:00)
エレナ>
『……わかった。』頷く。世話をしたり構ったりするのは案外好きな部類であるが、だからこそ相手が嫌がることをするのは本意ではない。『そう外部に漏らしたくはないが、今も大勢に見られているし。それに、実際棚を壊した負い目もあるからな。』顔を顰めて、ああ失敗したと繰り返し思う。ディスコードの正体など、可能な限り伏せたいのに。『あの娘の能力は、言うなら過程をスキップする能力だ。例えば、さっきみたいに壊れた本棚。あれ自体は別に私にも、貴様にも治せないものじゃない。壊れた部分を接着剤で継いで、組み上げたら別に修理できる。そういう、自分で叶えられる程度の願いなら叶えられる。』ディスコード オムニア・ピンクサファイア。その能力は、いわば願いを叶えてしまうこと。その言い方が好きではないから、説明するとしても「過程をスキップする」能力だと戒めているが、事実本人ができてしまうのなら、およそ何もかもその時間や過程を破棄して叶えてしまう万能さを誇る。『反対に、この学校を殴って壊すとか、空を飛ぶとか。私にとっての無理難題はできるわけじゃない。』具体例を出しても呆れてしまう。大体、こんなことを願うくらいならもっと有効な使い方で、同じ結果に導けるだろう。たしかに、一足飛びには叶えられない願いでも、何かしら間を挟んだら結果自体は変わらないという場合もある。『……お分かりかな。ただ____あの娘と戦うこと自体は嫌いじゃない。彼女も彼女で、体術のスペシャリストだからな。』だから『だが、あくまで私が出来ることしか出来ないということは、私自身が成長しなければ、宝の持ち腐れだ。』『それに……』だからこそ『ああいう不測の事態以外は、私は可能な限り能力を使う気はない。そんなもの無用なくらい強くなければならんからな、私は。』それに頼りきるような人間にはなりたくないなと思う。『もちろんこれは他言無用。無闇に言いふらすな。』厳しく告げた言葉は、ヒーローとしての自覚から来るものだった。壁に耳あり障子に目あり。口ぶりから乱用は控えているが、ここぞという時にまで使わないほどに頭が固くはない。逆に、いざと言う場面には頼るからこそ、切り札は当然、トップシークレットの情報だ。『だから、貴様も私から話されたとは言っても話す必要はない。いいな。』 (5/9 18:46:28)
レフバ>
「過程をスキップする?てことは...」「面倒な調査書書く時とか、メッチャ散らかった自分の部屋掃除する時とか、自分自身がやらなくても良くなるってことか...?」それっれメッチャ良いかも...と独り言を呟いた。「勿論だ。いくら校内だからって無闇に言いふらしたりするほど悪趣味じゃねーしな」「あんたがそう言うんなら、オレは喋らないことにするぜ。あんたの言う通り、””能力なんか使わなくたって自分で出来る””、これが最もだからな」______この力を際限なく使ってしまえば、恐らく自身を仇なす者は誰一人目の前に現れることがないだろう。自分に必ず復讐されることを知れば、手を出す者はきっといない。だからこそ価値がないのだ。真に自分が認められなければ、一切意味がないのだから。「______...............ところで、本棚ぶっ壊しておいて、お前って何の目的でここに来たんだ?」そういえばそうだった。本棚が破壊されるというアクションに気を取られていて、本来はどういう状況だったのかが見失われていた。レフバからすれば、本を取ってもらった相手がいきなり怒り、結果相手のディスコードの内容を知ることとなったのだが......起点から飛躍した結末になったような。「まぁ、本読みに来たんだろ?ここに来る理由って大体一つだろうしな」オレもお前の時間を取って悪かった、と付け足した後に、「そーいや、そっちは言ったのにオレの方は名乗ってないよな」「オレはレフバ。調査でまた顔合わせることになるかもだしな。挨拶しておくぜ」 (5/9 19:25:43)
エレナ>
『そのくらい自分でやるように。』確かにその通りだ。人型ならこういう文字を書けとか部屋を掃除しろとか造作もないだろう。そういう部分の発想は悪くないのに、使い方があまりにも勿体なくはないかそれ____『ついでに忠告というか、アドバイスだ。貴様も"バレた時"に使う能力の応用法は考えておくと身のためだ。男の子なら好きだろう、必殺技。正直馬鹿にしながら漫画を読んでいたが、いざ自分で異能力(ディスコード)なんてものを持つようになると見方が変わる。』お節介な先輩だが、このくらいは肩入れしてもいいだろう。『相手が能力を見抜いてもどうにもならない。あるいは、どうにもならなくはないが、相手が能力を見抜いていても推測できない。』相手は獣や機械じゃない。いや、獣でも野性的直感はバカにならないのだから、人智を超えた力を持つカミサマならば尚更だ。彼らは無知性なものもいる。しかし、知性がありながら無軌道な存在も同時に生きている。であれば、そこには読み合いが発生するのは道理だ。『そんな切り札(カード)は持っておくだけで命綱になる。』そんな時に、最後に頼れる切り札は作っておけと。『……あ"』そうだ、今日この時間は勉強するために来たんだ。と、思い返し気づいたものの時間はギリギリ。うっかりはいつになっても治らないらしい。これで果たして"失敗を呪っている"のだろうか。たまに疑問になる。『レフバ、か。覚えておこう。授業には出ろよ、きっとその方がいいから。』そうして、私は大急ぎで教室に向かって走った。間に合わないことはないにしても、色々ダメダメな日だ。また何かしでかしそうだったから_____ 〆 (5/9 19:54:21)
穂坂 茉浩>
(夕方4時半、平日の授業がすべて終わりチャイムが鳴ればいそいそと寮へと引き上げて行く者や教室に残ってだべっている者、はたまた部活に行く者など様々だが穂坂茉浩はだらだらと荷物をカバンに詰めた後、1人家庭科室へ向かうと部屋の隅に置かれている年季の入った冷蔵庫の扉を開いた。)人参、ジャガイモはあるけど玉ねぎはないし、ネギもあとちょっとか…あとはチーズと…うーん、あ、米ない!!(頭をぐるぐると回し今日の夜ご飯、明日の朝ご飯、明日の昼ご飯、三食の献立を立て始める。夜は玉ねぎを買ってきてカレー。朝はカレーの残りで昼は、、、玉ねぎが入った肉そぼろ丼でもつくってお弁当にすればばっちりだろう。よしそうと決まれば買い出しだ。お米は割と重いし学校内に力持ちが残ってくれてればいいななんて期待を胸に三年の教室を覗いてみれば…)あ!いた!(嬉しそうに彼女に向かって手を振れば買い物ついてきてくんね??なんて顔の前で手を合わせてお願いしてみる。) (5/10 22:29:26)
エレナ>
『貴様、私をたまにフォークリフトか何かだと思っているふしがないか?……まあいい、日頃の弁当の借りもある。付き合ってはやる。』こいつめ。と顔を顰めた。確かに、生活必需品の買い物は大変なのはわかる。そして、自分も彼から恩恵を受けている。だったら付き合うのくらいはスジ、というのはわかるワケだ。ただ、普通は男の子が女の子の買い物に付き合って、荷物を持つべきなんじゃないか?とは結構思う『だが、条件がある。私の愛車を久しぶりに転がしてやりたいから、隣町くらいまで付き合え。何、私に似てタフな単車(あいぼう)だ。荷物だって必要十分に積める。まさかとは思うが、歩いて持っていかせる気でいた訳でもないだろうな?』だってそれじゃあ、あんまりにも……私がお母さんみたいじゃないか。とかいう体裁上の話はひとまず。私のバイクは、アウトドアやキャンプに使うためにかなりカスタムしてある。ワルキューレルーン1520CC___ただでさえゴテゴテのアメリカンバイクに、サイドバックとキャンピングシートをくっつけているものだから、迫力は軍用車両のそれだ。見た目に反して加速力があり、乗っていて楽しい相棒でもある。だから、承諾した理由も走る機会にちょうど良かったから。たまに夜遅くなったりした時には女友達を送る機会や、出かけたりするにもよく使っているのでヘルメットは2個あるし、キーももちろん持っている。学校の駐輪場に……凄まじい違和感と一緒に駐車してあるが、あれに手をつけるようなやつはいないだろう。『で、話は変わるが貴様も、少しはカミサマと戦えるようになっただろうな。私が毎日そばに居てやれるわけじゃないんだぞ。』くるん、くるん、とキーを回しながら、学校を出るために歩き出しつつそんな話をした。彼が傷つくと……すごく嫌だ。変な意味は無いけど、家族が傷つくのと同じくらいに嫌なのだ。 (5/10 23:10:32)
穂坂 茉浩>
いやいや!そそ、そ、そんなこと思ってるわけ、ななな、ないよ?!ねぇ?うんうん!!……やりい!ありがと!!!すっげー助かる~~…!(ちょちょ、と手招きして教室の外に出てきてもらった彼女は相変わらずデカい。まじで。いや見慣れてるけど……可愛らしい顔をしかめて痛いところをついてくる彼女から目を逸らし冷や汗を若干かきながら形ばかりの否定の言葉を放り投げれば、つきあってやるという言葉に態度を一変。また嬉しそうにニコニコと笑みを浮かべて彼女の手を取ると感謝の言葉とともにブンブンと上下させる。確かに茉浩自身も性別的には逆の立場なんじゃないかと感じなくはない。でも!でもさ!お米は!重いんだよ!!)あ~~…なるほどね?…オーケーオーケー。隣町のスーパーまでいこう。いやね?まさか、うん。歩いていって徒歩で米持ってかえってこようだなんて思っていませんでしたよ俺も。ウン。(彼女が愛車と称するやつは多分、いや絶対学校の駐輪場で異彩を放っているアイツのことだろう。数回乗せてもらったことがあるがすげえスピード出るんだよな…怖ぇな…なんて荷物を運んでくれと頼んでいる立場の茉浩には言えるはずもなく一瞬口元を手で覆うが落ち着けと言うように片手を掲げ愛車で隣町のスーパーへ行くことを承諾する。)すげえ話変わったな…うーん、どうだろ、ナイフをちょっとだけ扱えるようになったからある程度自分の身は守れると思うけど…てか基本俺、在宅系癒やしキャラだからな…お前こそ探索から元気に帰ってきてよ?(自分が持っているシンプルな腕時計に刻まれている戦闘向きとはいえないディスコードは母方の血筋である術式血統のおかげですぐに理解できたしそもそも血筋を受け継いでいる事もあり探索に出るチャンスがあまりないので後方の温室でぬくぬくとしているだけらしい彼は腕を組み神妙な顔をしてそれっぽいことを返してみる。) (5/10 23:35:11)
エレナ>
『……本当に、貴様という奴は。』多分私の予想は邪推ではなくしっかり当たったんだな。と確信して、冷えた視線を送りながら道中で弁当箱を返す。何か腹いせにお菓子でも混ぜておこう。大量の買い出しに紛れたら、すぐには見つからないはずだろうから『……』『……』沈黙。納得から来たのではなく、どこから突っ込むか頭を整理するための時間だ。いわゆるタメ攻撃。ヘルメットを渡し、スカートを折りながら無言のままバイクに跨がれば、アクセルを捻り校門から出た。心地よい加速が風を切り、大型バイク特有の排気音が嘶き、馬上のような高さが視点を変えて視線を別世界に連れていく。いつも見なれた風景も、見方やその速さが違えば全然違うものになるのだ。運転の醍醐味である___と、いかにも楽しげなツーリングに集中している振りをしてからお説教だ。『私の心配はいい。ただ、貴様も誰か助けたいと思う人ができたら……その時に後悔するんだぞ。少なくとも、戦う想定は欠かすな。私たちは、ある意味ヒーローであるが故に、あの事件のような危険だって隣り合わせなんだからな。いつ行方不明や……言いたくはないが死ぬかもわからん。』思い出すのは、あの日だ。風の僅かな冷たさが、ぼんやりと肌寒くて、熱に魘されていた記憶をより鮮明にする。最初は、父母の帰りかと思った。しかし、その足音はいくら経っても私の部屋をめざしてこない。それどころか、行くあてもないように右往左往している。それが家族では無いのだと、多分子供特有の直感が気付かせた。窒息しそうなくらい息を殺し、布団から茹だる身体をずり下ろして、ベッドの下に潜り込む。窓を何度か見て、隣の家までいざとなれば走り込む想定をして。意外と、考えは纏まった。要するにそのままやり過ごす。けれどそうはいかなくなったのは、来訪者が居たからだ。なんで、なんでよりによってこんな日に、ノートなんて持ってきたのか____悲鳴がする、痛みが伝わってくる。ざしゅぅ、とぬめる様な音。液体のりを詰めた風船を引き裂いたら、こんな気味の悪い音色を1パーセントくらいは再現できるだろうか。しかし、一撃だけだった。何度も痛めつけられた様子はない。扉のすぐ外には荒く浅い息が吐き出されている。助けないと。そんなふうに____思って。罠の可能性が頭に浮かんだ。ああ、そうだ。助けに来たり、警察を呼んだりすれば話し声がする。そうしたら目撃者なんて探さないでもいい。____それは、自己弁護ではなかったか。たった一枚、厚さ数センチ真横で、徐々に失われる命を見捨てることの。『寧ろ前線はいい、頼まれなくても強い仲間がいるんだからな。だが、貴様は多分、言う通りお留守番だろう。もし、その時に_____何かあったら、また助けられないか心配だからこんな話をしている。少しくらい気付け、馬鹿者。』 (5/11 00:02:36)
穂坂 茉浩>
まぁまぁ、また明日も俺の美味しいご飯を食べるためだと思って!……冗談デス(呆れたような彼女の声色を感じ取ればケラケラと笑い飛ばすように少し調子に乗ったような言葉を返し彼女を見上げれば上から降ってくるのは冷えた視線。まさに蛇ににらまれた蛙。ゆっくりと下を向いて片言な言葉で前言を撤回すれば渡されたお弁当箱をリュックの中に仕舞って。)あ、そういや今日の弁当どうだった?卵焼きの中にチーズと海苔入れるの我ながら天才的だと思うんだけど!(なんてフィードバックを得ようと彼女からの感想を強請ってみる。明日の昼はそぼろ丼の予定だしそぼろが余ってたら次の日の玉子焼にいれたら旨いかも。てかなんか和食系のお弁当の具をあんまり入れてないな…うーんこんにゃくと大根でも買ってきて煮るか…?と独り言のように献立を吐き出していけばどう思う?なんて彼女にふってみたりなんてして。 それっぽいことをいった後、黙ってしまった彼女を見れば、お、納得させられたか?俺天才かもしれない今日。冴えてる。自画自賛しても許されるはこれは。とドヤ顔しつつヘルメットを被ってバイクの後ろに乗った。いや、何回乗ってもこわいなこれ。今回どれぐらいスピードでるのかな…なんて彼女の背中にユーカリの木にしがみつくコアラのように強く捕まればエンジンの起動音とほか様々な場所が動く音が聞こえ尻に振動が伝わってくる。これは、あれだ。ジェットコースターで落ちる前の上っていく段階のあぁ、なんでここにいるんだろうみたいな感覚ににている。)たしかに…ッ(いつ死ぬかも、行方不明になるかもわからないそんな状況に入学当初は晒されるなんて小さじ一杯分も頭になくて、だだ姉へのあこがれだけで入学してしまった。故にヒーローに憧れているわけでも研究者になりたいわけでもない中途半端な自分が出来上がってしまって……やる気が無いわけではないが身が入らないナイフの訓練を日々行っている。けれど、あんな凄惨な事件を経験した彼女が発する言葉が心に響いたらしい)うぅ、、、がんばるよ、、、ッッ……だから安心して帰ってきて。んで、安心して休んでよ、ねッ?(必死にいっぱいいっぱいになりながらも背中にしがみついている状況で今絞り出せるだけの言葉を尽くして宣言をする。もともと語彙力も表現力もある方ではないので彼女に彼の決意が伝わるか、また彼の決意の結果の努力が彼女にとっての努力に認定されるかどうかはまた別の話だが。) (5/11 00:37:40)
エレナ>
『美味かった。また頼むぞ。』だいたい何を食わせても美味いと答える系統の人間……だと良く誤解されるが、実は割と私自身は料理はそれなりにやる方だ。だから、どこが拘られているのかくらい分かる。そして、穂坂の料理は私の好みから外れた試しがない。なら、このくらいのやり取りで十分だろうと思った。『貴様の家にでも、泣きながら転がり込む日がまたあるなら、その時の私にでもそれは言ってくれ。』なんで、こんな時にこんな話をしたのか。もっと改まった時にしたらいいじゃないか。そんな風に普通なら思われてもおかしくはないだろう。スーパーに差し掛かり、従って住宅街が見え始める。下校中の、見たことがあるようでないような制服をとおりすぎて行く。彼らと比べ、失ったものも得たものもある。けど、お互い頑張る場所があるならヒーローなのだろう。『そして____危険に身を投じる、他の誰かが、とても沢山傷ついた時。』こんな当たり前の場所だからこそ『ここなら無事だと、安心していいと言ってやれ。強さには何かに打ち勝つ強さと、何かを守る強さがある。貴様の場合は後者だろうからな。』その当たり前を守る強さを考えるには、むしろ絶好のロケーションだろう。『言っておいてなんだが、私は強いからな。貴様の細腕にはいかんともし難いくらい差がある。まともに足し算しても埋まらんよ。』けらけらと珍しく快活に笑いながら、ほどなくしてバイクを停めた。ただ、何かを懸けるなら届くかも知れないが。そんな言葉は胸にしまった。それは、彼が思いつく言葉だから。『だから、私にくれる分の少しは分けてやっていい。た・だ・し。食事は譲る気は無い。夕食は貴様の部屋で摂るし、せっかくだ、私も好きなものをカゴに詰めさせてもらう。』 (5/11 01:07:03)
穂坂 茉浩>
やっぱりねー!俺天才かもしれない(彼女からの言葉を聞けばスピードの恐れが消えたように大きな声で喜んで。ヘルメットを越しているのでくぐもった声にはなるが十分彼のテンションの上がり様は感じ取れるだろう。)…おっけー、任せろよォ!…マッッ、俺周りみると酔っちゃうかもしれない!!!どうしよう!!!(絶好のロケーションも勿体ないことによく見れないらしい。ただ、幼なじみで学校が一緒になる前から関わりがある彼女の言わんとしていること、また共感してほしいこと、自分に伝えたいことは痛いほど伝わるらしく、照れ隠しのように大きく騒いで見せたりする。)じゃあエレナは打ち勝つ強さも守る強さも持ってる最強人間じゃん!…おぉい!?いやいや、俺のことなめてもらったら困るよ?!どーぉすんだよ、明日朝起きてみたら俺がムッッキムキになってたらッ(快活に笑うエレナ、久しぶりにみたなぁなんて唐突に彼女の背中にしがみついて顔が見えないのを良いことに保護者面をして心の中でほろり…なんて涙を流してみたりするけれどそんなこと口に出したら気持ち悪いだろうから他の人から見たら少々過剰に見えるぐらいのリアクション芸を見せてみる。やっと止まったバイクから苦労して地に足をつければがばっと思いっきり重いヘルメットを脱いでセンターパートの青髪をちょちょっと手で直せばふ~っと息を吐く。やっとというか、もうというか、何はともあれスーパーに着いた。隣町のスーパーはあまり来ないから特売の日とか野菜以外の売り場とかわかんないんだよな、遠くまで来た分得をしたいとは思うがそれは欲張りかもしれない。)エーーーーッッ!!!!…アッ、いや冗談デス、、、ハイ、、、ヨロコンデ、、、ッ(夕食を俺の部屋で食べる。と言うところまでは良い。昔、家で姉と三人で食事していたのと変わらないし1人も2人も作る分にはそう手間は変わらない。問題はその後だよ、後!好きなものをカゴに詰めさせてもらうという彼女の発言に一瞬不満の声を上げざるを得なかった。大丈夫かな、俺今月の食費足りるかなこの後半月もやし生活をしないといけないかもしれない。いやでもここまでつれてきてもらったしつれてかえって貰うつもりだししょうがない……ここで「えー?お菓子とか買うの?太るよ?(笑)」なんて言った日にはぶち殺されると姉が教えてくれた。大丈夫だよ姉ちゃん、俺は死なない。だらだらとそんな思考を続け彼が取った行動はカゴを手にとって深々とお辞儀をしながら彼女にかごを手渡すことだった。笑ってくれ。) (6/14 21:05:16)
エレナ・ドラグノフ>
『別に穂坂に期待して無いわけじゃない。ただ、オマエは私にとっては日常の象徴(シンボル)っていうか、平和記念の鳩っていうか。ともかく、居ないとなんだか不安になるから……何かあったりしても守ってやるって話。』回りくどい言い方をしたが、結局私は堪え性が無いのだ。自分の身の回りの誰かが傷つくのも耐えられないし、自分が誰かを助けられないのも耐えられない。だから、貴様も強くなれなんて言って、その上で守ってやるなんて矛盾しているようにも見えなくはない言葉がすんなりと出てきてしまう。買い物かごを肩に担ぐようにして持つ。随分かっこいいことを口にしてしまった気がするが、何事もなかったかのように口を噤んだ。だって心の底からそう思っているのだから、従ってお茶を濁したり恥ずかしがるような道理がそもそもない。『で____喜んでくれるんなら、私も遠慮はいらないな。必要なものを早いところカゴに入れてしまえば、物理的に私の買いたいものは減るという訳だ。そら、チキンレースはもう始まっているぞ?』に、と皮肉るように笑う。今日のスーパーは初見、穂坂と行ったことがないスーパーを選択した。これはつまり、彼が必要なものを必要なだけいつもの慣れた順序で買ったりしたら物理的にカゴに入らなくなってしまう。速さではやはり、主夫(?)には素人が負けるのは自明。しかし例外はある。そう、穂坂がそもそも知らない場所で、かつ """私には結構慣れ親しんだ場所""" であるならどっこいだ。このために何回もスーパーに出向いて、後輩たちへの差し入れを買いながらお菓子やジュースの位置を記憶したのだから______! これは食卓の格闘技。はらぺこあおむしVSコック長である。 (6/14 21:25:54)
穂坂 茉浩>
ウッ、、、、、嬉しいけどそれ、試合には勝ってるけど、男として勝負には負けてるんじゃね…?!(彼女から回りくどくも本質が飛び出てくれば深々とさげた頭を上げて一変、ビシッと決め顔でツッコミを入れてみる…いや、発言していること事態は恥ずかしいことではあるけれど、あくまで決め顔で。ただのお荷物になる気はかれもさらさらないため改めて、護身術とかがんばってちゃんとはなし聞こう、なんて決意を新たにすればカゴを彼女が持てばごくり、と息をのむ。そんなことより今、目の前の勝負に集中しろ。買い物リアルタイムアタック……どれだけ相手に買い物の隙を与えずぱっぱと買い物を終わらせられるか、この勝負である。近所の若いお母様方が小さい子を連れてスーパーに来ていたことを思い出して…彼女たちは自分の子供が一番興味のあるコーナー、、、お菓子コーナーを最後に回ってそれまでは待ての姿勢を貫かせていたが、はらぺこあおむしはそれは通用しないだろう……かといって、慣れない場所で買い物を急いですると必要のないものまで買ってしまう可能性がある………ここで俺が取れる策は1つだけしか思いつかなかった。)エレナぁ、俺と一緒に夜ご飯なに作るか考えてよ、ゆっくり回りながら、ね??おねがい(媚びである。精一杯の愛らしさで顔の前で手を合わせて彼女の顔を伺えば同意がくる前に彼女の腕を掴んで自分の腕と絡めるとスーパーに入る。自分のペースで周るつもりらしくどこスーパーでも上に描いてあるお菓子コーナーや、カップめんコーナーを全力で避けて一緒に回るつもりらしい。まず目に飛び込んでくるのは野菜、果物コーナーである。)玉ねぎと~、ネギと~、あ、ほうれん草…夜なんか食べたい料理あるー?それにあわせて買うけど。(制服のポケットからいつのまにか器用に買い物メモを取り出せばぽいぽいと足りなかった食材を買い足していったあと、彼女の意見を取り入れようと向き直って食べたいものを聞いてみる。近くにお菓子は、、、ないな、、??なんて伺いながら。) (6/14 21:55:16)
エレナ・ドラグノフ>
『……男と、して……?』オトコと、して。おとこと、して。何度噛み砕いても言いたいことが今ひとつピンと来ない。『変なこと言うなよ穂坂。オマエを私が好きなんだから、私が守ってやる。別にそれだけの話だろ。』何を言ってるんだろう、コイツ。と最早口に出してるのと同義なくらいそれは表情にも仕草にも現れていた。自分で実感できるくらいなんだからそれはそれは大層である。いや、本当によく分からん。穂坂の方がか弱いんだし、それを私が守る、という能力的な話もそうだが、私が守りたいから守る、という感情論的な話を含めても私が穂坂を誰かから傷つけられないように守ることの何が変なんだ____?『んー、とぉ。カレー。あとハンバーグ。____フハハ可愛い顔をしても無駄だァ!要件は済んだ、ではさらば!!』100点満点の笑顔で返すと、足に力を込める。飛び出すのに働かせる全身のバネを励起させ、勢いよくトップスピードに加速する。真っ直ぐ向かうのはお菓子コーナー。アレ?カゴすらねーじゃん?というのは愚問、ここにはお菓子コーナーに、子供用の小さなカゴがある!『……忘れないでいただきたい……別にカゴに詰めるとは言ったが____一つなどとは言っていない。クク……ッ、つまり、お菓子の在庫が子供たちの買える分ちゃんと残りさえするなら、10箱20箱というのも可能だと言うこと_____』真顔でvサインをしながら、カラフルなプラスチックのカゴを都合3つ、満載して腕にひっかけながら舞い戻る女。彼女は失敗を嫌うが、しかしその数倍はおっちょこちょいだ。学園の王子様(?)の鍍金が剥がれるのを目にして、蛇竜(ゴルゴーン)に睨まれたかのように微動だにしない女子生徒たちの反応なんて気にしないで『穂坂(パパ)買~~って♡』1000点満点の笑顔で菓子類を請求した。 (6/14 22:12:48)
穂坂 茉浩>
あーっ、、、、、(男として、の部分全く理解されなかったらしい。見るからになーにいってんだこいつ感を出す彼女に困ったというかやっちまったというような表情でとりあえず簡単な母音を伸ばして発生してみる。所謂時間稼ぎだ…いや、時間を稼いでも彼女を納得させられる理由が見つからない。だって根本から俺とずれてるんだ!!くそ~!!)普通、男が女の子を守るもんじゃナイノカナッテ、、、イヤ、、、忘れて、、、??(最初から説明しようとしたが語彙力が足りないし、自分の今の状況…バイクに乗せてもらってスーパーまできて、荷物を持たせた上でつれてかえってもらうという状況を再認識すると恥ずかしくなって来て情けなさに涙が出そうだったので右手で顔を隠せば尻すぼみに言葉が小さくなっていく。)カレーとハンバーグってことは、挽き肉と…あとトマト…うむむ…エッッ!!ちょっ、?!?!エレナーーーッッ?!??!?!?走るのは危ない!!!!!!!!走らない!!!!(彼女のリクエストをかなえるにはもう一個ぐらい玉ねぎをかっておいた方がいいかもしれない。あとは付け合わせとして簡単にサラダを作るためにキャベツとトマトか、、、なんて悠長に思考を巡らせていればこちらの腕を振り払って彼女は颯爽と走り去っていく。一瞬で距離が離れていく姿を見ればぽかんとして、、、はっ、と気づけば師匠である若い主婦様が乗り移ったように注意をしてその言葉に周りの小さい子たちがびくっとしたのをみればゴメンネ、、、なんて申しわけなさそうにはずかしそうに謝ってみせる。もうああなったエレナは止められないだろう…諦めろ、俺の負けだ……もやし…もやしを買って帰らなきゃ…いや、いまそもそもお金が足りるのか??割と本気で悪夢として今夜の夢に出てきそうな内容ではあるが自分の目的を忘れてはいけない…後回るべき場所は挽き肉と、米、あとはサラダのドレッシングでもかいにいこうか…)……買ったねぇ…エレナ…??いや、パパじゃねぇわ。(子供用の小さなかご3つを一杯にしてきた彼女が精肉コーナーにいた自分に話しかけてきたとき40歳は老けたような顔で言葉を返す。ぱっとみる限り4000円は下らないで有ろうお菓子の山に今にも砂になってしまいそうな勢いである。もうこうなったら恥もなにもない。)カンベンシテクダサイッッ、、、、、(再びの深々とした礼。ぶっちゃけ予想は2500円程度のお菓子…いやそれでも多すぎるぐらいなのだが…だったので、この量を全て買うと本気で1ヶ月の食事がもやしになってしまう。けれど彼にもつれてきてもらった恩がある為二つのかごは受け入れます、。。なんて付け足せば頭を下げたまま両手を差し出してかごを受け取ろうとして。) (6/14 22:49:46)
エレナ・ドラグノフ>
『……』沈黙『……勘弁してください、と来たか。男が女の子を守るんじゃなかったか?』それから、やだ。と頬をふくらませて答えた。お菓子は3つ確かにある。しかし、それは別に同じ種類のものを無駄に買い込んだりした訳では無い。いや、仮にそうだったとしても_____お菓子の一つ一つにはドラマがあり、選ぶに至るまでの過程がある。従ってそれらはオンリーワンであり、替えがきくようなものでは無いのだ。『確かに、穂坂の食事は美味しい。毎日の昼食が貴様共々もやしだらけになってしまう可能性を考えると恐ろしいものがある。が、それとこれは別だ。前から当たりをつけてお菓子を選定し、最短コース目掛けてマラソンを繰り返し子供たちに顔を覚えられながら常駐した。その涙ぐましい努力を、努力をッッ!貴様は!踏みにじるのか______ッ!』だから、3つのうち一つを片付けに行くからと言って、失われる悲しみは3分の1ではない。1分の1であると、情けないぐずり顔で訴えかける。やだ!『掛け持ちを探しにコンビニでバイトした時に……ダインでスレイブな肉体言語を馬鹿な客の顔面に少々使用したせいで、お小遣いも私にはカツカツなんだぞっ!』 (6/14 23:15:38)
穂坂 茉浩>
ヴッッッ、、、、(『……勘弁してください、と来たか。男が女の子を守るんじゃなかったか?』だなんて言われてしまえば血反吐を吐きそうなダメージボイスを出すしかない。ぐうのねもでないとどうじに、選出されたお菓子たちについて凄まじい熱量と頬を膨らませた顔で力説をされれば押し黙るしかなくしぶしぶといった顔で受け取ろうとするがふと我に返る)いやッッ、、、まて?バイト中になにしてんだおまえ、、、、死ななかったそのお客様…?俺、謝りに行きてぇよ…(お小遣いがカツカツなのはわかった。わかったけどその後。彼女の怪力で肉体言語…つまり暴力?を使用したらカミサマでさえ吹っ飛んでいくのに一般人に??いやいやいやいや、冗談でもキツい。本気で生死が心配である。もはやお菓子どころではなくくずり顔の彼女がもつ三つのかごを抱えれば、買ってやるから謝ろうなちゃんと……なんて諭し肩をポンポンと叩いた後、自分もバイトをしようと決意をする。出来れば料理ができるところがいいな…まかないとか余った材料とかもって帰れたらもっといい。) (6/14 23:34:21)
エレナ・ドラグノフ>
『……多分死んでは……居ない。大体、生きてはまあいる……はずだ!』多分、そこを多分とか大体とか言ってしまうような部分が根本にあるからこそ、彼女が接してきた色々な馬鹿者達と自分、大差はないのでは?というような答えが出切った自問自答を後々にする羽目になるのだが、それはまた別の話。確かに、アレは結構いいのが入った。素手でカミサマに対抗し、空手で能力者を殴り倒す。その為だけに鍛えてきたのだからそれを素人に打ったら当然いいのも入るしすっ飛んでも行くし、バイトだってクビだ。意外と些細な我慢が出来ないという致命的な欠点は穂坂 茉浩の前では遺憾無く発揮されており『____それに、謝る必要はない。あの男はいわゆる……【 セクハラ 】 を私にしてきたからな。「エレナち可愛いヨ」くらいなら私だって許してやれたが「寝息を聞いてみたいな😊」とか「娶った♡」とか言われたら拳が出るというモノだ。』ただし、本気でぶん殴るにはそれなりの理由はあるくらいの分別はあった。『ええい、言っていて気持ちが悪くなってきた。……早いところ家に帰ろう。帰り、アイスくらいは買わせてよ。』家に帰ろう、とそう言った。あくまでエレナ・ドラグノフにとっての自宅は、彼と彼の姉と自分とが居る空間なのだと。それは何か寂しいことのようで、あるいは何よりも喜ばしいことのようで_____『で、気持ち悪いついでに気持ち悪い質問だ。次そんなことがあったりしたら______』『 助けに来てくれるんだろうな? 茉浩は。』 (6/14 23:55:20)
穂坂 茉浩>
もう入れる保険はねぇよ……!!!!(生きていないと大問題だ。というか殴った時点で大問題だよ前提として!なんて、精肉コーナーで頭を抱える男子高校生は後にも先にも自分だけだろう。起訴されても文句はいえないレベルの事をしでかしている。教科書などに載っている文明が崩壊する前の世界だったら確実に即逮捕で留置所へGOだ。)うーーん、、、、、確かに気持ち悪いけど、、!!自分が力持ちだってこと自覚しないとエレナ、、!!(ツッコまざるを得ない。どうしてこう、まじめな顔をしてこうポンポンと面白い事件やら発言やら出来るのだろう、昔からそうだよなぁ!やんて半ばやけくそになりながら南無阿弥陀仏、、、、、なんて内心殴られた人に手を合わせる。可哀想に、すこし行為を伝える表現が気持ち悪すぎたばかりに…)おーッ!俺高い奴にしよーっと!(アイスでもかわせてという彼女の言葉に表情をころっとかえて嬉しそうに帰ろ帰ろ、なんて言葉を重ねれば大量のお菓子と野菜、それから彼女のために少し多めに買ったお肉が入ったかごをレジまで運び、並んでいる間に5kgのお米を重そうに抱えてカゴの横におく。少しも家に帰ろうなんて言葉に疑問なんて持っていない彼はひたすら無邪気に、幼い頃と同じように彼女と囲む食卓を楽しみにしているようで商品がレジに通されている間彼女の方を振り返っておいしく作るね、なんてにかっとわらってみせる。)……ん?あぁ、、、、、エッッ?!(保険の上からされた助けに来てくれるんだろうな、という質問。聞き流そうとしても聞き逃せなかったその言葉は彼の心を掻き乱すど、どういう意味?!私が殴る前に殴れってことか、、?!なんて思考が頭を過るがもしかしたらもっと単純明快に答えても良いのかもしれない。間違えててもいいから言ってみようか。)もちろん。俺ヒーローだもん(ドヤ顔でそう、かっこつけるともに合計金額が映し出される。ゲ、、、、、思ったより高いぞ、?!なんて一瞬にして笑顔が凍り付けばウウウ、なんて泣きそうな情けない顔で一万円札と端数の小銭を出して数枚のお札を受け取る。)さって、帰りはそんなに飛ばさないでくれると、、、、、おれ、、、たすかるな、、、、!!(なんて種類はたがえど此方も保険を掛ければプラスチックの袋に入った野菜類を持ち上げて彼女に渡して、自分はお米の袋を持ち上げようか。) (6/15 00:22:43)
エレナ>
放課後を告げるチャイムが鳴った。これにて授業は終わり、以降はめでたく自由時間となる。普段は世話になっているボクシングジムで、バイトついでに同い年くらいだったり子供たちのコーチをしながら鍛えているのだが、こういうスポーツ系統のは当然だが案外休みも多い。選手も兼ねている自分は、腐っても学生の部でなら連覇中のチャンプだ。つまらないオーバーワークで潰したくないという部分もあるのは、目に見えていた。なんでこんな話をしたかというなら、丁度今日がその休みの日にあたる。挙句今日は、下の学年は何やら学校の都合で、1時間余早く授業は終わっていたりもした。つまり、このチャイムは彼らからしたら随分拍子抜けしたタイミングで鳴ることだろう。『……さ、て。どうするか、穂坂とばかり会うのもなんだしな……』微妙に失礼な言葉が、するりと口から出たのを私は自覚している。今日は誰かと会いたい気分。そして、半ば家族のような穂坂と居る自体は気楽だし楽しいのだが、たまには違うヤツとも遊びたくだってなる___ほら、おばあちゃんの家に毎日行かないだろ?『やっぱりここか。貴様、体力が有り余っているならウチのジムにでも来るか?新規入会者は歓迎らしいからな。』なら、訪ねるのは体育館だ。頃合だろうというタイミング____つまり、彼が友達とスポーツに存分に励んだ頃合だ____に、行く前に立ち寄ったコンビニでスポーツドリンクや菓子類を買って詰め込んだビニールを指先にぶら下げながら。扉を開いて、中にいるだろう七竈を訪ねた。『ほら、差し入れは色々持ってきてやったから。時間があるならたまには付き合え。』ただ、彼には彼の都合や付き合いもあるだろう。そのための秘密兵器がこれ。買ってきた差し入れである。要するに買収というワケだ。 (5/11 22:11:44)
七竈 八六>
(──────────日が充分に伸びきったこの季節の放課後が、彼は大好きだった。1時間早く終わったというのもあってか、体育館の窓から注ぐ陽光は依然として明るく『まだ帰る時間じゃない』と、そんな余裕を抱かせてくれる。御歳17歳。彼は 『あと1時間か……』とうつらうつらしていた中で、チャイムが鳴った時どんな顔をしていただろうか。きっと拍子抜けした表情で周りに『え?!?!?!マジ?!?!もう帰れんのッッッ?!?!?!』だなんて嬉々として確認を取るや否や、リュックサックを乱雑に手に持ち、友人達とジャージに着替えて体育館に駆け込んだに違いないだろう。)「ッッッはァーーーー………………あ゛ァ~~~~~~~~~~ッッッ………ちィ~~~~~~~~…………………」(…とはいえ。)(とはいえ、だ。体力も無限じゃない。全力で運動した後の心地よい疲労感。膝に手をつきながら軽く息を整え、じわりと滲み滴る汗が顎から伝い落ちる前に、ジャージの腹部分、裾を持ち上げては腹が見えることも気にせずに、ぐし、と乱雑に拭う彼。流石に喉も乾いてきた。ここいらで一旦飲み物を買うのもありか、なんて。思考を巡らせていたその時。)(ガラリ、と。)『やっぱりここか。』「………………………あ。」(……そこの、〝扉 〟が、空いた。視界の先には自分よりも背丈がやや高い、女性にしても男性にしても恵まれた体格の持ち主。威圧感は100、おそらく貴方が入ってきたその瞬間。周りの男子生徒諸君は息を飲み、一瞬時が止まったようにシン、と静まり返った後にザワつくのだろう。そして、そんな中で彼だけが。)「〝エレナ 〟先輩じゃあねえっすかァ~~~~~~~~ッッッ!!!!!!!逢いに来てくれたんすねェッ!?!?!?! ……………あっ!!!先輩ごめん。俺今ちょっと汗臭いかも。 」(ぱぁぁぁぁっ、と。それはもうお気に入りの顔見知りを見つけたワンコの如く、人懐っこい笑みを浮かべて貴方に駆け寄るに違いない。)『貴様、体力が有り余っているならウチのジムにでも来るか?新規入会者は歓迎らしいからな。』「いやーーーーッッッ………お手隙なら遊びに行きてェんすけどォ……………俺普段バイト入れちゃってて…………ほら、引越しとか荷物とか運ぶの手伝うやつ………ッッッてェ!!!うぅわ先輩これ俺にッ??!!超嬉しいンすけど!!!!すっげーーーー喉乾いてたし、マジ腹も減っててッ!!!」(そう、貴方の誘いはとても嬉しいのだけれど、上記で口にしたように彼は普段放課後はバイトで忙しい。それに『ジム』となればなんだかお堅いイメージも、お金もかかるだろうし……と密やかに思慮するのはここだけの話。ガサリとレジ袋を鳴らし、差し出された中身はまるで自分が今日の放課後ははしゃぎ騒いでいることを見透かしていましたよ、と言わんばかりのものばかり。困ったような笑みは一変、受け取る彼はガサガサと漁りながら、『俺これ超好きなんすよォ!!!!!』だとかなんだとか。)(『時間があるならたまには付き合え。』 )(…どうやらこの買収作戦は、成功したようだ。なんせ彼はこの後二つ返事をするように、友人達にこういうのだから。)「なァごめんッ!!!!!ちょい試合先やっててーーーッ!!!!まだやってたら途中から混ざっから!!!先帰っててもいいけどッ!!!!!!!!」 (5/11 22:42:58)
エレナ>
『……わかった、わかった。お菓子を買ってやったくらいでそう騒ぐな。ゆくゆくは誘拐とかされそうだぞ。』小学生か、コイツは。と、鯉にパン切れを与えたような効き目に少々心配になる。自分でやっておいてなんだが、放っておいたら大変なことになりそうな気がする。うん、これを真似る悪いヤツが居ないか見張ってやろう。と、呆れと微かな母性が同居した口振りで答えて。『勧誘も半分くらいは冗談だ、バイトを頑張っているらしいのはたまに聞く。大変なところに無理やりやれとは言わん。ただ、そうだな……もう半分。試合、そろそろやるから見に来い。』借りていくぞ、と振り返りながら小さく手を振り、体育館をあとにする。校門を過ぎて、行き先を伝える前に、なんだかんだコイツの場合律儀にあれこれ考えていそうな気がするから、別に気にするなと肩を軽く叩いて『貴様を見つけたら、___86発叩き込んで決めてやるから。まあ、そんなに私のドギツイのを食らえば穴だらけだろうけどな。』試合を見に来いという旨を、本当はこっちを言うつもりだったんだがなと前置きしてから述べた後。86発で決めてやると宣言した。七竈 八六に掛けてだが、乱打の打ち合いに見えて一撃必殺もかなりの頻度あるボクシングでそれだけぶち込んだら、多分えらいことになりそうだ。『……連れ出したのは他でもない。独りだと行きにくい場所があってな。その、つまり……スイーツを、食うぞ。貴様みたいなマスコットが居れば、私も臆面もなく甘いものを食べられる。いいな、他言無用だからな。』女の子のくせに甘いものを食べに行くのが恥ずかしいというのは自分でも悲しくなるが、こんな奴がうろついていたら一々雰囲気が物々しい。調子のいい穂坂だと多分一日からかわれそうだし、真だとアレはなかなか掴みどころがないから、会話が途切れ途切れになりそうだ。なら、適任は彼だろう。顔が僅かに震えて、目が逸れる。悔しいような恥ずかしいような___かなり後者が強いが。そんな気持ちだ。 (5/11 23:08:49)
七竈 八六>
「ぶはっ!!!なぁおい、誰が野郎なんか攫うっていうんすかァッ!!!!いねぇーーーッすよそんな物好き!いたとしてもこのハチロクちゃんがビシッと成敗してやっしさァ…………………お、これ貰い!!!!」(彼は貴方の物言いに、思わず吹き出した。これが可憐で華奢な女の子ならともかく、自分は身長にも恵まれて体格もそう悪くは無い男子高校生、女子とは似ても似つかない。…そりゃ、貴方の隣に居たら多少は小さく見えるかもしれないが。彼は『ないない』とヘラヘラ笑いながら、袋の中に入っていた棒状のスナック菓子を開封し、さく、とそれを口にした。)『勧誘も半分くらいは冗談だ、バイトを頑張っているらしいのはたまに聞く。大変なところに無理やりやれとは言わん。ただ、そうだな……もう半分。試合、そろそろやるから見に来い』「ん、ん゛んーーー???ひふぁい??………ッん゛ん、……え゛っ、マジっすか???それ、ボクシングのッスよねェッ?!!!」(あなたが言うには、この誘いは半分冗談なのだと。残念なような、安堵したような。自分だって興味がなかったわけじゃない。男が何かをする同期なんて、『かっこいい』だけで充分だろう。彼にとってボクシングはその『かっこいい』の分類に入る。サクサク、とスナック菓子を口に入れてしまいモゴモゴとしながら、投げられていたリュックサックを手に取り、肩にかけた彼は、貴方の隣にやってきてから、早くももうひとつスナック菓子の袋を開封しつつ、話に耳を傾けることだろう。)『貴様を見つけたら、___86発叩き込んで決めてやるから。まあ、そんなに私のドギツイのを食らえば穴だらけだろうけどな。』「あはッ!!なんスかそれ。〝ハチロク 〟だけにってやつッスか?でも、かっけェんだろォなァ~~~~~~~………………先輩のそういうヤツ。こう拳を構えてさ、抜群の動体視力活かして避けながら、こう ズババババババァッと!!!!!アレだ!!!ジョジョみてェなッ!!!!」(貴方のそれが冗談だろうがなんだろうが、きっと彼の返答は変わらなかった。86回のラッシュだなんて漫画も宜しく、自分に因んだジョークや攻撃は幼心を捨てきれない彼にとっちゃあまあ嬉しいもので。拳を構える素振りを見せる彼は、にひぃーーーーッと歯を見せ、きっと無邪気に笑って、次の言葉を投げかける。)「いつやるかあらかじめ教えといてくださいよ。俺シフト確認するんで。ぜーーーーーーッてェ見に行きます、先輩の試合。」 (誘われれば行くともさ。なんせ貴方の為だもの。彼は上履きを袋の中に入れ、靴を履き替える。トントン、と雑に足先を靴の中に収めたのならば、行きましょうかと、あなたの隣を歩くに違いない。)(そして。)『……連れ出したのは他でもない。』「……………んァ?」(ここからが、〝 本題〟だ。彼はなにやら言いにくそうに目をそらす貴方に、もう一本目のスナック菓子を頬ばろうとしながら不思議そうに見やる。口を開いた貴方から、出てきた言葉ってのは。)『独りだと行きにくい場所があってな。その、つまり……〝 スイーツ 〟を、食うぞ。貴様みたいなマスコットが居れば、私も臆面もなく甘いものを食べられる。いいな、他言無用だからな。』「………ああ!!スイーツ!えーーーッ、めっちゃいいじゃないっすか!!俺甘いの超好きなんだよねェ~~~~~~……………ッて、なんスかマスコットって!!!あの、先輩!!!!ずっと思ってたんすけど、俺そんなに子供じみてますかねェ???攫われちまうとかなんだとかァ…他のやつも妙になんつうか、……………あーーー…ンやまあ、いいけどさーー…なぁんか腑に落ちねえの。」(彼は一瞬、キョトンとした表情を見せていたがそれもつかの間。『スイーツ』、それは彼も例外なく好きな食べ物…………というより彼は嫌いな食べ物が基本的には存在しないと言ってもいいのだが。目を輝かせる彼の返答は当然『YES』。…しかし、聞き逃せなかった単語がひとつ。それはその『マスコット発言』だ。マスコットってのはいわば愛玩具のようなもの、かっこよさを追い求める男からしたらその発言は『心外』だ。表情は一変、口を尖らせる彼は 染めた金髪を軽く弄りつつ、小さくため息をつく。) 「……………あ、つか先輩。…………まあ、『秘密』はいいんすけど、なんで行きにくいんすか?先輩、ふっつーに女の子っすよね。………確かにちょい、ギャップはあっかもしんねーっすけど。」 (…これはふ、と頭によぎった疑問だった。普通ならば何となく察して微笑ましく思うところを、彼はデリカシーもなくズカズカと。自分からしちゃ分からない。どことなく恥ずかしそうに目を伏せている貴方を、彼は覗き込むように見つめるだろう。) (5/11 23:47:06)
エレナ>
『誰に言っている。当然、最高にかっこいいものを見せてやるさ。』___ジムから推されている理由の一つが、それだった。プロボクサーと違い、学生の1ラウンドは2分。その上でラウンド数もかなり短い。よって定石は粘って判定勝ち___しかし、例外は存在する。その2分でぶちのめせる破壊力と、判定に逃がさずに張り付ける瞬発力があるなら話は違う。ボクサーとして見た技能や練度は、トップ層の選手に半歩劣るが抜群の一発がそれをひっくり返す。つまり、絵になる選手だったからだ____かっこいいと言われるのも、目立つのも構わないし、それは誇らしいことだ。当たり前だろとう微笑すれば。『……悪かったな、少し拗ねただけだ。貴様は十分いい後輩だし、かっこいい男だから安心しろ。』ぞわり、と、背中の辺りを指でなぞられるような気持ちになった。宥めるように、言葉がつかえないように。最新の注意を払いながら、ゆっくりと言葉を並べていく。嘘をつきたい訳ではない。自分を慕ってくれる後輩に、いっそ話してしまうのも本当は、道義的には悪くはないのかも知れない。けれど_____だから、言えないことだってあるじゃないか。僅かな間隙に噛み締めた唇を、慌てて引き剥がして言葉を続けた『子供扱いしている訳でもないさ。だから、機嫌を治してくれないか?』心臓を落ち着けながら、違うからと手を振る。自分じゃない誰かの話しているような気分で、気が気じゃない。『___き、貴様な!?わ、私のような奴が……その、あまり可愛らしい店は似合わんというか。そういうものは、もっと可愛い娘が行くべきというか……つまり、そういう事だ。』だから、跳ね上がった声も随分大きかった。説明すればするだけ、顔が熱い、真っ赤になる。寒い日に入る湯船がより熱いように、さっきまでの緊張と動揺がひっくり返って羞恥とか惨めさに変わって襲いかかってきた。少し進んだ先にある、白を基調としたケーキ屋。モチーフはログハウスや北米の住居なのだろう、壁に塗られた白と、木の明るい茶色が調和している。外からだと割と普通に見えるのは、カフェスペースを備えている都合輪郭がやや大きいからで、実は中は壁も家具もパステルカラーの水色やピンク、或いはそれを更に薄めたような色彩に支配されている。まるで小さい子の使う玩具がそのまま大きくなり、それを詰めたようなポップで可愛らしい空間だ。つまり、私にはすごーく入りにくい。『今更卑下する気は無いが、背も、高いし……それに、随分筋張っているし、な……。』 (5/12 00:18:44)
七竈 八六>
『……悪かったな、少し拗ねただけだ。貴様は十分いい後輩だし、かっこいい男だから安心しろ。』「えへぇ~~~~~、そっすか??そんならまあいいんスけどォ~~……」(彼は案外ちょろい男だ。故に少し褒められただけですぐに調子に乗る一面があるのは言うまでもない。にへぇ~~…と頬を緩ませる彼は、〝 それならいいよ 〟と流してしまうのが証拠だ。故に、彼は鈍い。貴方がどんな気持ちで言葉を零しているのかに気付きもしない。運動から一水もせずにスナック菓子に手をつけたからか、喉が渇く。貴方から貰ったスポーツドリンクのキャップをきり、と開ければ歩きながらそれに喉をゴクリと通すだろう。)『___き、貴様な!?わ、私のような奴が……その、あまり可愛らしい店は似合わんというか。そういうものは、もっと可愛い娘が行くべきというか……つまり、そういう事だ。』「………………ん~~~~………」( 飲み物を喉に通しているさなかだったからか、この時の返答はやら悩ましげに、曖昧な返答をするのみだった。3分の1程一気に減った辺りで口を離し、きゅ、とキャップを閉める。こうしてだべっている間に辿り着いたのは『いかにも』なパステルピンクの、『メルヘン屋さん』と言うに相応しい外観のお店。入った瞬間立ち込める洋菓子屋特有の匂いに引けを取ることも無い『ユニコーン』や『虹の橋』が良く似合う 。 正しく貴方の言葉を借りるなら『女の子のおもちゃ箱をそのまま大きくしたか、あるいは自ら達が小さくなりその中に迷い込んだ』かのような内装だ。)『今更卑下する気は無いが、背も、高いし……それに、随分筋張っているし、な……。』「まあ確かに、〝かっこいい 〟っすよねェ、先輩。」(…そんな中で彼に零したのは運の尽きだったかもしれない。飛び出てきたのは率直に思った感想だった。このタイミンクじゃややデリカシーにかけることを本人は気づいてないんだろう。ショーケースに入った愛らしいケーキを見やる彼に、溜息のひとつでもつきたいんじゃないか。)「…じゃあ今度『これは自分に似合わないからで選んでる』じゃなくて、『これがしたい、これが着たい、これがやりたい先輩』で1日出掛けよーよ、俺と。だって先輩曰く俺ってほら、『かっこいい後輩』なんでしょう??」「………やっぱ俺、先輩がケーキ屋行くの渋る理由、わかんねえし。」 (ショーケースを見やっていた彼は、不意に後ろを振り返り 提案をした。揺れるピアスと人工的な金髪が、早く大人になりたいといきがる子供らしさとヤンチャさを更に醸し出すキーアイテムになっていることにすら気付かない彼が、女性特有の悩みを理解できるはずもない。確かにあなたはかっこいい。背も高くて『小動物のような』という形容詞は似合わないだろう。しかし彼の目からはきっと貴方も『そこらの女性』と変わりやしないのもまた事実。いい意味でも悪い意味でも、馬鹿なもんで。)「……… ……まあ、なんだかんだ言って俺が普通に先輩と遊びてえだけなんだけどさァーーー???…………へへ。あのな、正直さ、今日先輩が誘ってくれてめぇーーーーーっっちゃ嬉しかったッ。ありがと。」(続く言葉はやや子供じみた本音だ。〝嬉しかった 〟ってのも言葉通り、冒頭貴方に出会った時。手土産を見る前から尻尾を振り貴方の名前を呼ぶぐらいだ。照れくさそうにはにかむ様子と、また遊びたいと伝える趣旨。『つうかケーキなんにしますッ????俺も兄貴達に買っていきてえからめっちゃ頼みましょッ!!!!!!!』だなんてはしゃぐ様子は、確かに貴方の言う通り『マスコットじみてる』 かもしれない。 ) (5/12 01:22:18)
エレナ>
『……敵わんな。世話のかかる後輩だと思っていたが、いつから歯が浮くようなセリフを言えるようになったんだか。』コホン、と咳払いをする。あの、七竈くん。ここはケーキ屋の中で、普通に人が結構いるんだが____と慌てて制止。もとい説教でもしようとしたが、多分この男にそんなことを言ったところで意味をなさないだろう。それに、止めなかったのはそう。正直なところ満更でもないのは、否定できなかったからである。『……折を見て連絡する。ちゃんと予定は空けておけ。』自分には似合わないからな、と思っていたことなんて言うのは、何も可愛いものばかりではない。あまりかっこいい方向に振り切っても怖く見えてしまわないかとか。自分は強いと言う自信はあっても、泣き言なんて言わない腹は括っていても。やっぱり、誰かの目は多少は気になる。せっかく強くなっても、それで誰かから気味悪がられたり怖がられたら。手を伸ばしても繋いでくれないかもしれないと思ったりすることもあった。けれど、ちっぽけな悩みなんだろう……最初から。『ああ、好きなだけ頼むといい。だが、貴様のお兄さんの分も持ち帰るなら、包装はちゃんと分ける。友達の分はある程度統一してだな……。我々の分は、好きに食べて帰ればいいから気にしなくてもいいだろうが。』くす、と笑みが漏れた。この調子なら、これもいいあれもいいで決めてしまいそうな気がして。さっきまでは随分かっこいいことを言っていたくせに、また落ち着きのない……。よし。今日の会計は、持ってやることにしよう。そして、いつか……そうだな、私を連れて出かけると言ってくれた日にでも。ちゃんと打ち明けよう。〆 (5/12 07:07:18)
エレナ・ドラグノフ>
『やられた……』今日の天気は随分むちゃくちゃだった。真夏でもないのに、晴れから雨への乱高下。昼間は暑いくらいに晴れていたというのに、今では土砂降りと雷鳴が降り注いでいる。せがまれて女子テニスの助っ人をさっきまでしていた私がどうなったかは想像にかたくない。ワイシャツはびしょ濡れ、スカートも水を吸って鎧じみている。天気予報もあくまで予想、毎日毎日やっていたら大ハズレもするということを、今後悔と一緒に思い出した。息を切らしながらたどり着いた昇降口。言い出しっぺの筈の女生徒達は、ああいうのを脱兎の如くというのだろう。口々に何やら黄色い悲鳴をあげながら猛スピードで既に戻っていった。なにが「士気が上がるから来い」だろう。逃げ足の速さが本当は上がったのではないだろうか。『……寮まで走れば……。いや、こういうのは早く止むんだったか_____?』シャツを腹の少し上まで捲り、雨水を搾る。下はまだそこまでではないが、上は壊滅的だ。掃除でもしたんじゃないかと疑いたくなるほど景気よく足元に水たまりを作る。そして、濡れた布が張り付くのが嫌で、そのまま縛ってしまった。へそ出しなど普段は着ないが、特例措置だ。さて、これからどうしようと思案する。Q.寮まではもちろんあまり距離はない。しかし、こういうスコールじみた雨はすぐ止むとも言う。ただし、傘はないものとする。『___なんだか疲れた、もういいか。』A.立ち往生。 なんだか全身の力が抜けて、腹の底から勝手に出る変な笑いをへらへらと口から零しながら、壁に背を預けて廊下にそのまま座り込んだ。スカートから伝わるひんやりと冷たい感触と、ざあざあとやかましい雨音。たまに思い出したようになる雷鳴に、粘土を帯びた生ぬるい空気。それを見て、ああ畜生と諦めた笑いを零しながら座り込む女が1人。それが今の風景だ。『誰か道連れでもいればいいんだがな、こんな日は。』 (5/13 13:18:11)
水沫 泡>
(今日は運動日和だった。そのはずだった。パルクールの練習をするため人気のない場所にいた彼に傘を貸してくれる友人がいるはずもなければ、そのまま目に付いた屋根の下へ駆け込むしかなかった。) 「だあぁ、もう。晴れるって言ってたじゃん」(ドタドタと慌ただしく駆け込んできたのは君より遥かに小さい少年だ。身長165cm、決して大きいとは言えないそのサイズ感に君は何を感じるんだろう。いいや、君からしてみれば大抵の男も女も小さいのだろうが……。彼のオパールのような色の髪からぽたぽたりと水滴が滴る。それが億劫で、彼は長い前髪を右手でかきあげた。もはや昇降口に雨が降ったんじゃないかと言った具合に床はびっしょりだ。)「なぁクラウド、笑ってないで乾かしてくれないか?」(雨は天のめぐみとも言うが、こうなればただの厄災だ。しかしそれを喜ぶ奴もいる。それが彼のディスコード、クラウドであるわけだが) (彼はクラウドが壁の方を見ながら笑っているのを見て違和感を感じる。そうして振り返り、ようやく"君"の存在に気がついた。座っているから気が付かなかった。いや、土砂降りがうるさすぎたんだ、そう。このビッグイベントに気を取られてしまったんだ。しかし1度目を向けてしまえば目を離せないほどそこにいる女性は美しく、濡れた黒髪のせいでそれは余計際立った。しかし当然、彼は急いで顔を逸らすだろう。少し恥ずかしそうに頬を染めたのは急いで走ったせいからから、年相応の感情のせいか。あなたはシャツを結んでいるだけでは無い。ワイシャツを着た女性が頭からバケツを被ったら"どうなるのか"、想像に難くないはずだ。屋根に叩きつけられる雨音がうるさい。だと言うのに校舎の中はしんと静かで、その静寂に彼は1歩も動けない。拳を握りしめ、勇気をふる絞り、一言。)「雨、すごいね」(そう言ってへらりと笑った)>エレナさん (5/13 13:38:46)
エレナ・ドラグノフ>
駆け込んできた自分と多分同族だろう少年は、自分よりあとから入ってきただけあってより被害が大きいように見えた。一言で例えたら、晴れ間の差す手前の曇天。ガラスのような瞳、透明と言って良いような髪。そして、多分ルクレルク人の血を引いているのだろう。馴染みの少年にも似た、どことない特有の雰囲気。それらどれもがしばらくしたら透き通ってしまいそうで____『ああ、私も情けないが傘すら持っていない。天気予報なら晴れのはずだったんだがな。』話しかけるのも迷惑かな、と思って黙っていたが、単に校舎のしんとした静かさに呑まれていただけらしい。雨がすごいね、と言われ、ああ。と諦めたように苦笑した後、腰を持ち上げずそのまま、晴れのはずだったのにと恨めしく答えて。『私はエレナ・ドラグノフ。君の名前は?』恥ずかしそうにしているのは、ああきっと、多分年下か上か分からないからだろう。知らない人で、先輩か後輩かもわからなかったら緊張する理屈もわかる。こんな日くらい気にすることは無いさと勤めてフランクに。学年やらまどろっこしいものは省略だ。この辺りで既に、そういう話ではないと気づかなかったのは随分間抜けなことなんだが。 (5/13 13:58:40)
水沫 泡>
「えっ、あっ……と」(なるほど、彼女は気がついていないらしい。客観的に自分の状態を認識できていないのは、ひどい雨に頭を打たれたからかもしれない。クラウドにどうにかしてもらう?ああいやでも、……ぐるぐると思考が巡った末に出た答えは)「お、俺はウタ。ミナワ ウタ。エレナって素敵な名前だね、響きが好きだよ」(その場の流れに任せる、だった。能力というのはぽんぽんと使うものでは無い。万が一今から戦いに出てくださいだとか言われたのなら、回数制限がある以上それだけで不利になるからだ。)「あー、その……そうだな。エレナさんも…外で運動を?」(学年、年の差。彼にそんなことは関係ない。だって最高学年なのだから。現状に釣り合わないほどフランクな彼女の言動はもはやこの光景から浮いていて、かと言って今更服装のことに気が付かれたのだとしても面倒で。え?どうすればいいんだ?ああ神様。早く雨よやんでくれ。。)>エレナちゃん (5/13 14:14:09)
エレナ・ドラグノフ>
『……?』何だろう、人を何か変なことでもしているように見るのは。確かに、廊下に座りっぱなしなのはどうかと思うけれど。それでも、今は周りに人がいる訳でもないのだし____『ああ、呼び方は好きにしてくれれば良い。可愛く呼んでくれ。』なんて、名前を褒めてくれた彼に、そんな冗談を零した。だが、一割くらい思うところはあって、自分でも思うが名前が言いやすいために、あだ名がこれまで着いたことがない。絶賛募集中だ。『ああ、まあな。女子の連中に頼まれてテニスをしてきたばかりだ。ゲストに呼ばれておいて……なんとも間抜けだが、とうに見捨てられてしまっているワケだけど。』ぐい、と体を伸ばしてから立ち上がり、壁によりかかりながら髪をかきあげる。シャワーでも浴びたみたいに大粒の雫が胸元に垂れて、それを無意識に目で追う。『……』なんだ、透けているならすけていると言ってくれたらいいのに!『___ッ!?あ、待て!違うぞ。別に見せようとして見せてるわけではない。』とは、ならなかった。『いや、まあ、見せろと言われても抵抗はないが____そういう話ではなく!』実際脱げと言われたら、割と脱いでも構わない。ある意味ボディビルみたいなものだし、見せて恥ずかしいような無様な鍛え方はしていない。しかし、見せたがるようなヤツだと思われたなら心外だ_____慌てて否定して、余計考えと言葉がこんがらがる。『……見たか。』光沢感のあるナイロン製の下着、色は黒。突拍子も無いようなのを着けてこなくてよかったと心底安堵しなが____結論、憮然とそう尋ねた。 (5/13 14:32:11)
水沫 泡>
「え!?みせ……!?」「いやいや!まさか!!……その」「見たというか、見えた、というか……」(髪にホコリついてたよ、とか、落し物したよ、とかそういうレベルの話ではないのだ、まさか女性に下着が透けてるよ、なんて言える無神経な男がいるだろうか。この場合言わない方が無神経なのかもしれないが……いや、もしかして、見たくて言わなかったとか思われただろうか?先に伝えておくべきだったか。ひんやりとした体中の熱が顔に集中していくのがよくわかっる。彼は堪えきれずブンブンと顔の前で両手を振って否定しつつ、否定しきれず。)「くっ、くらうど!」(そして耐えきれなくなったのだろう。彼はついに能力を行使した。その掛け声に合わせて、ぱっと弾けるように2人に付着した大量の水が水蒸気へと変わる。それはもう一瞬で乾燥機にかけられたような効果で、少し蒸し暑くはなるが服が透けるだとかの問題は解決されるはずだ。そう、彼はこの瞬間、世界の命運よりも一人の女性の尊厳と自身の羞恥心を優先したのだ。)「わざとじゃない!わざとじゃないよ?この雨が悪いんだ。いや、世界に天候が存在するというのは素晴らしいことだし、そのおかげで海ができて俺ら生命が誕生したわけだけど。……ご、ごめん」(訳の分からないことをペラペラと口走りながら、彼は乾いたアウターを脱ぎ貴方の方へと被せようとするだろう。サイズ感は絶対的に足りないだろうが、多少緩く着ていたものだからあなたでもかろうじて羽織れるだろうか。彼の能力で水は乾けど、奪われた熱が戻る訳では無い。お腹も出して、風邪をひいては困るだろう。)>エレナっち (5/13 14:48:04)
エレナ・ドラグノフ>
『……わかっている。貴様にまで動揺されたら、余計私が恥ずかしくなるだろうが……馬鹿者。』いたたまれない空気感に耐えられず、彼から借りた上着をきゅ、と握ってそっぽを向いた。ドライヤーを当てたような、というのが比喩としては正しいだろう。体が温かさに包まれる頃には、水気が引いていた。そして充満する湿気。どんな原理かは分からないけれど、この現象は彼のディスコードが何らかの方法で水を蒸発させたのだろう。なんだ、そんなものがあるなら早く使えばいいのに!私に使えとは言わないが、あれでは風邪をひくじゃないか『ディスコードの能力、のようだな。確かに無闇矢鱈にひけらかすものではないにしても、さっきくらいは使っても良かったんじゃないか。私に使え、なんて厚かましく言う気は無いし、感謝もするが____濡れたままなら貴様が風邪をひくだろうに。』 もちろん、一部のディスコードには代償が重いものも存在する。身近な例では、真のスイートハートは寿命を犠牲にして効果を発揮する。従ってなかなか使えない事情があるのもわかる。けれど、今の雰囲気ではそうした様子はない。そんな便利なものがあるなら、自分が風邪をひかないように自分で使えばいいだろ。とやや呆れながら結んだシャツを解いては。『ま、まさか……何か特殊な変態か。濡れている方が好み、とか。濡れた状態が好き、とかか……』まさか使いたくない理由があったのか。と、冷たい視線を向けた。 (5/13 15:02:15)
水沫 泡>
「そう、うん。本当に。君の言う通り。でもこう、凄く紳士的なうさぎに言われたんだ、ディスコードとか能力は見せびらかすものじゃないし、それは欠点になりうるって。」「あ、知ってる?この学校喋る兎がいるんだけど______」『ま、まさか……何か特殊な変態か。濡れている方が好み、とか。濡れた状態が好き、「っっんなわけないだろ!!!」(食い気味に否定。彼の高くも低くもない声が珍しく張り上げられた。誰もいない廊下に音が反響していく。)「…っあ、いや。そんなわけないです。違います。俺がいくら男子高生だからってそんなにませちゃいないよ」(ハッとした彼は声を潜めて、とてもとても申し訳なそうに否定をしただろう。それからバツが悪そうに頭をくしゃりとかいて、いつまでも貴方を見下ろすのもなんだとその場にしゃがんだ。)「君みたいに強そうな"ヒーロー"、いざって時にいなきゃ困るだろう?」「俺は風邪ひかないよ、クラウドがいるし」(別にクラウドがいることと風邪をひかないことに相互関係はなく大した根拠にはならないが、彼はへにゃりと柔らかな笑みをまっすぐと君へ向ければ、それっぽく誤魔化そうとする。さっさと能力を使ってスマートに助けてやれたらかっこいい男子生徒だったのだろうけど、慣れないアクシデントに思考がから回ってしまったのだから、彼も所詮ただの男子高校生くんというわけだ。)>エレナちゃん (5/13 15:13:38)
エレナ・ドラグノフ>
『強いヒーロー、か。ああ、前に出るしか私などは脳がないからな。だが、気遣い、感謝はするが無用だ。私は強いからな、ヤワな女だと思ってもらっては困る。』強いヒーロー。自分はそれに本当になれるんだろうか。そんな風によぎった弱音を打ち消すように、誇らしげに私はヒーローであると述べて勝気に笑んだ。『しゃべる、うさぎ……』兎、うさぎ、Rabbit あれは話すものだったか……?いや、うさぎがこんにちは!とか口を聞いているのは絵本の中だけだ。この世のうさぎの9割9分9厘は話さないし紳士的でもない。『ひとまず分かった、貴様のことは信用しよう。だが、話すうさぎとは何か、説明していただきたい。そして、好きな食べ物や好きな玩具を知っているなら、それも合わせて答えろ。』こくこくと頷いて、その話すうさぎについて教えろと言う。律儀にうさぎ用の玩具や餌まで持っていくつもりであり『……いや、確かうさぎに食べさせたら不味いものとかもあるはずだ。だが、話すうさぎにそれは通用するのか……。』『まあ、ひとまずアレコレ食わせて、ダメだったらダメだろ……』ぼそ、と呟いた内容は____物騒でしかなかった。 (5/13 15:29:58)
水沫 泡>
(そうか、君もやっぱり"ヒーローになりたいんだな"。そんな言葉は飲み込んで、腹に引っ込めさせる。)「そう?じゃあ、次からはそうするよ。」(ヤワな女ではない。あぁ、そうだろうね。筋肉なんてきっと自分よりある。懸命に鍛えた成果がよく分かる。きっと、あなたは本気でヒーローを目指す真っ直ぐな子なんだろうな、なんて思うのだ。)(妙に兎へ食い付きの良い彼女に、思わず笑みが零れた。しかし『まあ、ひとまずアレコレ食わせて、ダメだったらダメだろ……』その言葉に笑顔はすっと引っ込んだ。え?なに、殺す気?咳払いをひとつ、誤魔化すように彼は笑って)「この前会った時は紅茶をご馳走してくれたよ、あとアプリコットジャム。チョコはダメだってよく聞くけど、……あの様子だとあまり人間と変わらないんじゃないかな。」(可愛い1面もあるんだなと思ったがそうでは無いようで。いったい君は何を望んでうさぎさんと接触しようとしているんだ。恐ろしい。)「でも、ちょっとこう……身振りは紳士的なんだけど、言葉がね。はは、少し口の悪い子だったよ。」(可愛さだけをアピールすると君のよく分からないその気持ちを加速させてしまうかもしれない。彼は注釈を付け足した)>エレナちゃん (5/13 15:46:58)
エレナ・ドラグノフ>
『……紅茶を入れるのか、そのうさぎは。』飼いたい。という欲求を隠さないように、南国の海原のような蒼い瞳が輝きを滾らせる。本人からしたら少女漫画的な背景のエフェクトがキラキラ光る反応であっても、傍目どちらかというと肉食獣のするよう捕食準備だが___『しかし、寮で飼うというのも避けるべきだろうな。ヒーローである以上、世話がおざなりになるのは避けるべきだろうし。』飼いたくても、欲しくても。やっぱりいいや辞めようと諦める理由は、多忙であるからなんかではないのだけれど。それは口にしなかったし、飼育するのが当然の理で、前提にあるのも大概だというのは気にもしなかった。『口が悪い。ほう、なら後ほど根性を叩き直してやろう。何、二、三発くれてやればすぐ真人間……いや、真兎になるだろうしな。』紅茶を持ってきてティータイムをすることと、口が悪い=ぶん殴る が同居しているのに救いはない。『ああ、そうだ。兎もいいが、貴様はヒーローを何故やっているんだ。話してみての感じ、これは卑下する目的ではないが、普通の高校生にしか見えんからな。』例えばレフバなら、カミサマ自体の知識がこの学校で学ぶ基礎部分を上回っていると言っていた。例えばジェントルや真なら、アレの度胸や戦いの知識は並のそれではないし、ワケありだとわかりやすい。穂坂は……確かお姉さんに憧れたと言っていた。ハチロクは、あの通りかっこよくなりたいのだろうし、根性と行動力の塊のような人間だ。そうした分かりやすい理由がある例外(イレギュラー)を見回すと___元々私がこの学校の生徒では無いのもあり余計に____彼があまりに普通の少年に見えるのだ『何かワケでもあったりするのか。』 (5/13 16:02:46)
水沫 泡>
「そのうさぎ、学校の生徒だから"飼う"ってのはまずいんじゃないかなぁ……」(すこし控えめの主張を世話とか、多忙とか、そういう問題以前の倫理観の問題なのだが……取って食うのかと言わんばかりの勢いについ彼も怖気付いてしまう。2、3発殴るというのも、君のような人に殴られてはあの人……いや、あの兎も一溜りないだろう。能力を考慮しなければだが……。)『貴様はヒーローを何故やっているんだ。』(さっきまで柔らかい表情と雰囲気で話していた彼の、周囲の空気が一瞬止まる。しかしそれは止まった気がした、程度で、直ぐに君に向き直り首を傾げる。それは"どうしてだろうね"とでも言うかのようだった。確かに、自分の命までかけてヒーローをやるような人間がここには集まっているのだ。普通なんの信念も目標もなく、こんな場所にはやって来ないだろう。)「俺はヒーローが嫌いなんだ。」(誰にも言ったことのなかったその言葉が、すんなりと出てきたのは不思議でどうしてなのか彼にもよく分からなかった。)「あぁ、語弊があるね。世界で1番嫌いな人がヒーローだったんだ。だから、ヒーローになれば何か分かるかなって思って?」(それは嫌いな人の克服のようにも思えるし、そいつを探し出して殺すために"何か手がかりを探している"ようでもあった。死に場所を探すようにしてたどり着いたここは彼にとっては墓場で、酷く居心地の悪い場所なわけだ。それでもここに身を置く程度にはその"ヒーローが嫌い"に含まれる意味というのは彼にとって重要なのだろう。)「なんちゃって、エレナちゃんのことは好きだよ。ヒーローって一括りにするのは良くないよね」(聞く人が聞けば殴られるような内容だったかもしれない。それは君もそうだろうか。そんなこと気にしない様子で、今は雲に隠れた太陽のように柔らかく微笑むのだ。)>エレナちゃん (5/13 16:16:38)
エレナ・ドラグノフ>
『ヒーローが、嫌い……?』思わず、オウムのように同じ言葉を繰り返した。それから続いたのは、一番嫌いな人間がヒーローだからという言葉。だからヒーローを目指すのだという理由(それ)は喜ばしいことのようで、あるいはあまりにも寂しいことであるかのようで。エレナちゃんは好きだよ、なんて言葉は頭に入ってこなかった。『何が』____踏み込むのか。頭に警告音(アラーム)がなる。そうだ、私はこの人のことなんて知らない。長い付き合いでもないし、そんな人間が深いところを聞いたら入ってくるな、なんて不快になるのも道理。空気を読むべきだ。辞めておくべきだ。常識は口を揃えて制止する。___でも。と。私の憧れから。最高のヒーローだった母から受け取った言葉が浮かんでくる。星空の下、傷だらけになった体を押して、あの人は風呂や食事より先に私を呼んだ。 "ヒーローだなんだと言ってるが、誰でも救えるわけじゃない。むしろ、救えない人の方が多い。結果は伴わないし、逆に傷つくなんて馬鹿みたいだ。" "でも僕は思うんだ。____その馬鹿を、それでもやるから。不合理だから、ヒーローなんじゃないかって" 『貴様に、何があった。ヒーローが嫌いだから、だけなんて要領を得ない。』口にした。なぜ?を口に出した。自分には救えないかもしれない。いや、そんなの無用かもしれない。『だってそれじゃあ、一番嫌いなヤツのためにヒーローになっているのと変わらないじゃないか。』でも。自分を好きだと一回でも言ってくれたやつを知ろうとしないでいられるものか____『私は、少なくとも本気でヒーローを目ざしてるからな。こういう、相手が言いにくそうな傷からは逃げられない。』 (5/13 16:54:45)
水沫 泡>
(1度躊躇い、それでもあなたが言葉にしたのを見て。彼は困ったように笑っうだろう。)「エレナちゃんは本当にヒーローみたいだね」(正義、救い、無償の愛。常人には理解できないようなそれらを、さも当然のように差し出してくるのがヒーローだ。それを見てモヤモヤとした気持ちが胸中に渦巻くのを感じる。きっと自分はヒーローには向いてないだろう。どちらかと言えば向いているのはヴィランだ、この世に対する憎悪や嫌悪を懇切丁寧に心の中で育てているのだから。澄んだ空、ガラス色。君の美しい瞳はきっと、その正義感故に輝いて見えるのだろう。そんなあなたを見て、彼は逃げられなさそうだな、なんて諦めたように笑うのだ。)「ヒーローは俺の大切なものを2つ奪った。1つは母親、1つは友達。」「ヒーローは何も間違っちゃいなかったよ。母親は……まぁ、これはいいか。僕の友達は"カミサマ"だったからね。それが暴走したのなら討伐対象だ、殺されて当然だよ。」(すごく簡潔に、彼はヒーローを憎む理由を貴方に伝えた。だからどういう気持ちになっただとか、だからどれくらいヒーローが嫌いだとか。そんなことは話さない。だって)「僕はもうその人のことを許してる。受け入れてる。……」「でも、それでも残った気持ちが僕をこの学校に連れてきた。だからその人のためにヒーローになるんじゃないんだ。俺は俺のためにヒーローになるんだよ」(彼はそうやって誤魔化している。もうあいつを許したんだと。そうやって許容を愛している。殺したいほど何かを憎む感情をひた隠しにして、彼は優しく微笑んだ。これ以上詮索するな、と。)>エレナちゃん (5/13 17:16:22)
エレナ・ドラグノフ>
『許してて受けいれてるなら。___なんでそんなに、諦めたような顔をしているんだ。』考えるより先に。感情が形を持つより先に言葉が出た。『それでも乗り越えた。それでも戦ったって奴は、そんな顔をしない。』それからは、止まらなかった。急な坂を走り降りていくように、風を切って弾丸が進んでいくように。『私になんか話してやるかっていうなら、それでもいい。』悔しいが、自分が救えないというならそれでもいい。誰か他の人が手を伸ばして助かるなら、それで。でも、痛みとか、嫌われるとか、馬鹿にされるとか、嫌がられるとか。誰かを助ける時に必要な苦しさは、彼を救う誰かのために背負ってやりたい。だから、恨まれようじゃないか_____『けど、自分にだけは話してやれ。今何をしたくて。そして、誰かに何をして欲しいのか。』誰かに頼らない人間なんていない___なんて言葉は、無料で誰かに頼りたいやつが考えた大義名分(クーポン)みたいなものだ。誰かに頼りたくない人間や、一人でしか戦えない人間だっている。それは痛いほどに分かっているけど。『踏み込むなって話をしてるフリして____もういいだろって顔をして。聞いてくれって聞こえてくんだヨ。オマエの、もっと深い傷(ところ)からな。』オマエは違うんじゃないか?本当の自分と、本当の気持ちと、本当の痛み。みんな本当だから、余計に苦しいんじゃないのか。『私は、一回コイツはちゃんと話さなきゃなと思ったら、どんな相手にも下がる気は無いぞ。生憎「失敗」は大っ嫌いだからな。』 (5/13 17:56:23)
> 水沫 泡
(彼は貴方の言葉を、驚いたように目を丸くして聞いていただろう。風のように走り抜けていくあなたの言葉は、どれもがヒーローのそれだった。貴方が本気で救いたいと思っていることに少しでも嬉しいと思ってしまった。本当は諦めきれなくて感情をぶちまけてしまいたい自分の気持ちを、あなたには見抜かれてしまったのだ。"失敗"……そう、君は失敗をしたことがあるのだろうか。それをもうしたくないから、失敗が嫌いなんだろうか。)(一通り思考を巡らせた彼は目線を落とした。長い髪がさらりと頬を撫でて、顔をあげる頃には彼は笑ってはいなかった。わざとらしく添えられた暖かな笑みなどそこにはない。)「雨が降ってるね。湿気はもう無理だってくらいいっぱいいっぱいで。……今ここでクラウドの能力を使えば、君を氷漬けにして殺すことが出来ると思うんだ。いくら強い力や筋肉があっても、寒ければ動けないしそのうち壊死してしまうだろう。」「例えば君みたいに正義感の強いヒーローがいて。君は何も間違ったことをしていなくて。そんな人を、俺が殺したいって言ったら君はそれを許すのかい」(彼の言葉は本気だった。その嫌悪の対象は君ではない別の何かだが、今この瞬間だけは君に向けられた。まるで君を試すかのように、君はそれを許すのかと彼は問いかけた。)「普通の立派なヒーローは俺を止めると思うんだ。それらしい心に響く声をかけて説得するだろう。俺はそうやって説得されたよ、だからこうして牢屋に入れられずにここにいる。」「……でも、その時の気持ちが消えたわけじゃない。消せやしない。人を殺すことが悪いことなのは理解してる。…なら……飲み込むしかないだろ。諦めるしかない。諦めて、全部許すしかないだろ?」(自分は間違っていないことを確かめるかのように、何度も貴方へ問いかけた。彼は端から期待していないのだ。君にも、幼馴染であるハチロクにも。ヒーローを志す者たちにも、ヒーローそのものにも、何一つ期待しちゃいないのだ。このめちゃくちゃな感情を理解し受け止めてくれる奴など"ヒーローには"いるわけが無いのだと。なぜなら彼の願望は悪だから。なら、それを受け止められるのはきっと自分だけでいいんだ。……そうして彼は懇願する)「……そうじゃないっていうなら、教えてくれよ。何が正解なんだ」>エレナちゃん(5/13 18:22:44)
> エレナ・ドラグノフ
ヒーローを目指す人間には、様々な理由があるけれど。ヒーローを目指す人間には共通点がある程度存在する。例えば、正義感。例えば、正義。なら、ヒーローには彼にかける言葉など無いのかもしれない。とんでもない悪人の方が、的を射たことを言うのかもしれない。____ただし、例外は存在する。『貴様が自分を許せるなら、それをやればいい。報復される覚悟と償う覚悟があるなら、山落ちやっちゃいけないことなんてもの存在しない。』ぐちゃぐちゃな復讐心と惨めさを引きずったままの場合だ。『殺したくて仕方ないなら、殺したらいい。その後死ぬなり生きるなりしたらいい。どんな責任を負うかは、誰かが勝手に決めればいいだろうし、万が一逃げ切れる時もあるだろう。』やるならやればいいさ、殺し殺される腹を決められるなら。『必要なら、今からそれをやればいい。殺したいほど憎いやつが、でも正義っぽいから殺せねーだと!?馬鹿らしい。』だが、そうだったならなんで。『殺せねーんだよ、説得されようが、何されようがやれる奴じゃあオマエはないんだ。憎しみとか悲しみとか、それを真っ直ぐぶつけて誰かが死んでもいいやつなら、そんなことで悩まないんだよ。』なんで悪いことをしていいかどうかで悩むんだ。『オマエは普通の人間で、しんどいことはずっとしんどいままで、正解なんてそうそう見つからないんだ。』悲しいこと、むちゃくちゃに暴れたいこと。それをでも、ダメだと思って悲しんで、苦しむこと。その気持ちは、他の何より人間みたいな気持ちじゃないのか。『だから、生きてたら答えも見つかって、楽しいことがたしかに見つかるかもしれない___なんて、嘘かもしれなくてもな。』そんなに簡単に割りきれないなら、それでいい。それでもいい。『オマエの人生、復讐心(それ)だけじゃないだろう。友達は居ないか。恋人は?家族は?先生は?私でも構わない。そいつらと居て一瞬も楽しくなかったのか。』けど。『楽しくないわけじゃないなら___。なんで、復讐より楽しいことはあるのに、復讐よりやりたいこととか、折り合いをつけられる答えとかは一生見つからないんだ。』お前には『一日一日、周りの人を大切にして全力で生きてみたら、百にひとつわかるかもしれない。だが、誰にも理解されようともしないで、さっきみたいに期待もしないで跳ね除けていたら____一生わからないだろ。』それしかないから、そう生きていくのかと問いかける___『それでも、もう辛くて仕方なくて、他のことなんて一瞬も好きじゃなかった、やってやるって言うなら____最後まで私が貴様の味方だ。英雄(ヒーロー)をやるというなら、視界に入る人の痛みを肯定する気概くらい、とうに背負っている。』(5/13 19:01:31)
> 水沫 泡
「……」「……」「上着、借りるね」(貴方にかけていた上着を取り返し、彼はそこに顔を押し付けた。声が震えているから、それが泣きそうなのを隠すための行為であると直ぐに分かるだろう。もう雨水は乾いてしまっているから、これは雨だ、なんてベタな言い訳も通用しない。)「優しい人になりたかったんだ。母さんみたいに、優しい人。だから、多分……君の言う通り。やりたいならやればいいことも出来ないでここにいる。」(布で口をもごもごとさせながら君に訴える。支えを失った彼はそのまま貴方に倒れかかる勢いだ。何十にも取り繕った仮面がこんなにも簡単にひっぺがえされてしまって、幼少期より抱え込んでいた感情をむき出しにされてしまった。)「僕に家族はいない。友達も、多くない。……だから、」(ぐすりと鼻を啜って顔を上げた彼の目は、ほんのりと赤みがかっていた)「ほんの少しの大切な友達と、君を支えに、頑張ってみるよ。」「あぁ、いや……本当はまだ心の整理が上手くできてない。本気でそう思えたわけじゃないかも。」でも……「味方だって、こんなに力強く言ってくれたのはエレナちゃんが初めてだよ。」(それが嬉しかった。君の想いで彼の考え方が根本から覆ったわけでも、彼の過去が吹っ切れたわけでもない。ただ、味方だと断言してくれたことが嬉しかった。ほとんど全ての感情を吐露した上で肯定してくれたことが、きっと彼の涙の理由だろう。)(それから彼は立ち上がって外の様子を確認する。いつの間にか雨は上がり、眩しい日差しがさしていた。君を振り返ると、彼は人差し指を口元に添えて)「さっきのことは、恥ずかしいからさ。雨と一緒に流したってことにして欲しいな」(誰にも言わないで、君と俺との内緒話。) 「それと、ありがとう」(それは誤魔化しのための笑顔ではなく。ただ純粋な嬉しさによるものだった。彼の笑顔はいつだって、花が咲くようである。)>エレナちゃん (5/13 19:32:18)
> エレナ・ドラグノフ
『わかった、もう貴様が随分悪いやつなのは分かったから___優しい人になりたいんだったら、その大事な人を、精一杯守ってやればいい。それに____大事な人なんて増えるもんだ。いつか会う友達のために、顔も知らない誰かにも誠実にやればいい。』優しくなりたい。そんな風にあいにく悩んだことは無いから分からないけれど、自分を真剣に悩めるんなら、きっと人に優しく出来る。『貴様のその立派な能力(ディスコード)は、それを愛してくれるさ。きっとな。』____空気が燃える。雨が上がり、暖かい光が差した。空は快晴、ペンキを塗ったくらい厚い真っ青がこれでもかと光っている。『ああ、忘れたな。私たちはただ、雨宿りして酷い目にあっただけだ。』ああ、この人は笑ってくれた。なら、大丈夫だ。そろそろ、帰らなきゃうるさい奴もいる頃だろうし、歩き出さなくちゃ『ただ、少し訂正だ。少しの友達の中には、私も含んでおけ。』小さく手を振って、寮までできる限りの速さで走る。生ぬるい風を切るのは心地よく、清々しい。明日はこの分ならお天気だろう。さて、どこに行こうかな___ (5/13 20:09:26)
エレナ・ドラグノフ>
『……いかにも、という場所だな。』夜の帳が落ちる頃。陽の当たる町の裏側には、闇の精気が満ち溢れてくる。雑然としたネオンの光を抜け、安っぽい高級感と薄っぺらい快楽がその場を支配しているその向こう。掃き溜めのような路地裏へと足を運ぶ。誰からも、道中声はかけられなかった。それは自分が今、葬式でもした後、あるいはこういう街にはお似合いの悪人のような漆黒のスーツにハーフマスクなんて言う物々しいこと極まりない格好だったことと____一人ではなかったことだ。『慣れていないと、呑み込まれそうになる雰囲気だな。あれだけの人と光が、たった数分道から逸れただけで消えるなんて』連れ立っている彼は____科学者であるらしい。白衣だけ見ての判断で恐縮の極みだ。残念ながら、私はいわゆるスポーツ馬鹿であるから、君も科学者なのかい!なんて話を合わせられそうにない。強いて口にするならそんなありきたりな話だ。『もし怖かったら、手でも繋いでやるからいつでも言ってくれ。なんせ……今日はどうやらお客さんが早い。』かさ、と物音がする。それは、子犬ほどもあるネズミが、いくつも目の前を掛けていく音だった。ドブネズミはそれなりには大きいが、おそらくこれほどではない。賢明な方ならもうお分かり、カミサマだ。ラ・ロワ。ネズミ型のカミサマで、気性は残忍。捕食した相手の肉を捏ねてネズミ型にして「兵隊」を作りあげ、それらが更に犠牲者を増やす。というワケだ。まさにねずみ算に被害は拡大していく。『何か妙案、あるなら聞こうか?科学者先生。』 (5/14 14:40:09)
Gaill Monochoria>
(歓楽街、其の裏面。並ぶ建物の上底に切り取られた残光が、実際より余程暗く感じられる。ブーツの音はやけに響いて、きっと此処に潜むナニカは其れ等の音を聞くのだろう。聞いて、舌舐めずりをして。彼等が歩くのは狂気を孕まないただ純粋な殺意の針の筵。寸分違わず此処は魔窟で、けれど、闊歩するのは寸分の違いこそ在れど。)(______...........ヒーローだ。)「あァ。あの歓楽街の裏路地がこんななんてのもおっかないハナシだ」「この場所そのものがカミサマだー、なんてのは流石に勘弁だね」(軽口を叩きながら君に笑い掛けるのは一人の男。こんな場所には迷い込むのだってあまりに絶望的な体格が、あまつさえ此の世の異端に、カミサマに対しようと足を踏み入れるなんてそれこそジョークみたいだけれど。男の探求欲は常軌を逸していて、そして幸い、笑い掛ける相手は屈指の武闘派だった。)『もし怖かったら、手でも繋いでやるからいつでも言ってくれ。なんせ……今日はどうやらお客さんが早い。』(小さな物音。現れたるはネズミちゃん。だが塵も積もれば......いやそもそも塵ですら無い。バグみたいなサイズである目の前のソレは実際此の世界のバグだ。)「クク、僕ァ人間ヌンチャクにするにゃ少し脆いぜ姐御ォ」「それにしても素晴らしい........素晴らしく凶悪だなァ?」(ニヤニヤ笑いながら。)(男は首より下がるネックレスに手をはこぶ。)(ちゃり、とチェーンが鳴って。砂時計の砂がさらさら揺れる。)『何か妙案、あるなら聞こうか?科学者先生。』「任せたまえ。」「.....ああ、だが。」(ディスクは回り出す。)「妙案と言うにはパワー系過ぎるかね?」(レッドドア。【目標:ラ・ロワ一体の討伐】)(___________)(刹那、と言う言葉ですら足りない1フレーム未満。目の前を塞ぐ数匹のネズミは皆、宙を舞っているだろう。)(決して何か強い衝撃に吹き飛ばされた訳では無く。“投げ飛ばされた”様にただ“宙を舞うだけ”。)(群れの最奥、痩身の科学者が息切れをしていて、ただその足元には1匹のネズミが息絶えている事だろう。)「キミなら行けるだろう?」(【瞬発力×2、ボクシング×2】。.........そして何より、【怪力×8】。)(舞台は整った。)(さァ。)「薙ぎ払ってくれたまえ。」 (5/14 15:20:38)
エレナ・ドラグノフ>
『……何、凶悪でもなければ無理難題でもない。そちらこそ寧ろ、ネズミ相手に随分 "掛かった" みたいだな。』殴る、蹴る。その戦い方は、かっこよくもなければスタイリッシュというには程遠い。縦横無尽に地を駆け、その辺に落ちていた鉄パイプを拾い、野球ボールを打ち返すように殴り倒す。分かりやすい例に、ハムスターと子犬を想像して欲しい。ちょこまかと動き回るハムスターを追いかけて殺すのは向こうが向かってきている状況ですら難しいが、反対にそれなりに大きさが有る生き物である子犬が飛びついてくるなら、叩き潰すのは難解なことではない。『ドブネズミ共が、ひっきりなしに噛みつきやがって……顔に傷がついたらァ____危ねぇだろうが!!』そう、すなわち中途半端な大きさこそが命取り。主人(キング)が生きているならともかく、指示すら受けず闇雲に群がってくる兵隊(ポーン)など_____『そういうのを、人間の社会じゃセクハラって言ってな。100万円程度の慰謝料、減給、免職、左遷。』返り血を浴びながら、暴走特急のように進撃する女王(クイーン)には無意味。胸元に飛びついた兵隊。生物共通の重要器官(いのち)の在処に密着し、勝利を確信した彼は何を思っただろう『もしくは____』スーツに織り込んだ堅固な防弾・防刃繊維が、その乾坤一擲の牙を咳止め。『死(こう)だ。』頭を握る握力が、小動物の頭蓋を握り潰して、脳漿を吹き出させるのに十分だったことについて_____『……貴様、怪我はないか。こんな不衛生な場所に住んでいる個体だからな。病原菌が入ったら危ない。』荒い息を吐く彼を振り返る。僅かに露出した肌に着いた肉を忌々しげに手袋で拭ってから。先程までが嘘のように穏やかな眼差しで、さっさと行くぞとは言わずにまずは傷はないかと確認して。 (5/14 15:48:02)
Gaill Monochoria>
「こりゃマズい。ヒーローの汚職-セクハラ-がバレちまった。慰謝料は出世払いで頼むよ。」「なァ、バーバ・ヤーガ。」(或いは。或いは“魔法みたいでステキ”な超火力だ。其の四肢が躍る度汚濁の赤が四散する。ロシアの魔女の名を、遍くを薙ぐ英雄の名を口にして。また男は変わらずジョークで返す。)『そちらこそ寧ろ、ネズミ相手に随分 "掛かった" みたいだな。』(歓楽街照らす夕焼けより尚赤く染まった路地裏を前に、貴女の言葉を思い返して。)「全く勘弁してくれキミじゃァないんだ........」「連中全部投げたら1匹踏み殺すのだって重労働だよ僕にゃ..........」(深く息をして呼吸を整えた。飛び散る肉やら血やら脳漿やら分泌液やら...........屍の山、なんて言葉は屹度、積み重なるくらいには物体として成立していたから出来たモノで。海、と所なんなら沼と言った様相を呈す其れ等の前じゃ、口呼吸を意識したって臭気は強く感じられて。)「Oops..........散り際まで酷い連中だこと」(外人肩竦めのポーズで軽く笑って。しゃがみ込んでは半ばお年寄りの喉を気遣う柔らかめのゼリーみたくなった屍肉を容器に採取して。さっさとポケットに突っ込んで立ち上がる。)「おや、優しいねェ。無問題、キミのお蔭で傷一つナシさ」(いぇーいと緩くピースをした。)(.........さて。)(【赤子の哭く声がする】。)「ふむ。」(逡巡。二人きりとなった此の空間、ただ響き続ける泣き声が酷く不気味に思えて。)「.......不味いか?」(足音が加わる。二足歩行、だろうか。不規則なリズムと何かの擦れる音がする。)「クク、大きい山になりそうだ」(........カミサマ。GRI_1000_JPN。)(【マスカレイドホール】。)「HeyHeyHeyHeyHeeeeeeeeeeeyッッッッ!!!!!!!!!!悪いが余裕で死ねそうだ!!頼むぞ姐御ォッ!!!!!」(携行していた投げナイフを一本。ライセンス:【物理演算的思考】【器用】。技術がある訳では無いが、真っ直ぐ飛ばす事くらいは可能だろう。異形の化け物の動きも粗雑だ。)(が。柔らかそうなその瞳は、ナイフを容易に弾くだろう。)「どう見たって弱点なんだがなァ!?!?」「こりゃ困った!!!hey姐御!現状アソコを狙っても無駄そうだァ!!!」(それを君に伝えて。涙の落ちる時が大勝負。夜は。夜はまだ始まったばかりだ。) (5/14 16:30:24)
エレナ・ドラグノフ>
一難去ってまた一難。同情するなら戦力をくれ。敵の名はマスカレイド・ホール。おそらく本物のヒーローであっても苦戦する類だ。何が厄介かというなら、その技の逐一が人間を殺すには十分過ぎるという最も簡単な話。『一回。一回なら、奴を必ず殺す手段はある。が、逆に言えば残り二回は……。』逃げの一手に走る気は無い。こんな時のために切り札というのは普段から考えておくものである。だが、反対にその切り札は、切り札たるが故に一発きり。漫画のヒーローだって必殺パンチは何発も打てないだろ?というくだらないジョークではなく"一発きりで殺しきれない相手" が鬼門中の鬼門であるからだ。『つまり、実力勝負になる訳だ。幸い、建物は無駄にある。犯罪者のねぐらやら、廃墟ばかりだがな。』従って、あのカミサマを沈めるためには二回分、二人で協力するしかないと口にして。ひとまずは彼を抱えるようにしながら、建物の扉を蹴破って転がり込む。まずアレの視界から外れないことには、一々損耗するばかりだ。今のところは動きも愚鈍で稚拙。こちらが全力で逃げ隠れすれば、どこにいったのかと苛立つように気味の悪い顔___というか、それに似た器官を__壊れた玩具のように不規則に振り回している。八つ当たりでビルの壁が引っかかれて奇怪な悲鳴を上げるが、アレの泣く声よりは幾分もマシに見えた。『もう一回聞くことになるとは思わなかったぜ。ちなみに妙案、あったりはするか_____"ライズ"』そしてさっきと同じ質問も、さっきの方が随分マシに思えた。芸術:家庭料理→子守 (5/14 16:54:04)
エレナ・ドラグノフ> 1d3 → (2) = 2 (5/14 16:54:21)
Gaill Monochoria>
「ほお、そりゃ頼もしい。なら大トリはそれに任せるとしようか」「手負い程おっかないモンも中々あるまい?」(余裕ぶった口振り。飄々とした声の中に、焦りが交じる様に感じたのなら其れは間違いでは無い。なんてったって彼は脆弱。掠りでもしたら吹き飛ばされて死にかねない。)(しかし、同時に其処には高揚が在った。未知との遭遇。厄災との攻防、其の最前線。探求を愛する者が厭う筈も無く。)『もう一回聞くことになるとは思わなかったぜ。ちなみに妙案、あったりはするか_____"ライズ"』(怪異の雑踏とも言える此の路地裏で。二人ぼっちの孤軍、其の大将からの作戦要求。)(科学者は、静かに応えた。)「あァ勿論。」(ネックレスを指差して。)「僕の残容量は3。2回使えば一度は潰せる。が、動きが単純な今の内の方がより成功率は高い。気を引いてくれるとより助かる。」(そう言いながら辺りを見回して。廃墟に窓が所々残って居るのを確認した。)「さっきから徐々に何か(ライセンス)が消えていくのが解る。」「長期戦じゃあジリ貧だ。あの核をブチ抜けるようになったら一気に決め切るぞ。」(それが何より効率的且つ現実的で、そして。)「アンタもそう言うのが好みだろ?バーバ・ヤーガ。」 (5/14 17:15:01)
Gaill Monochoria> 1d3 → (3) = 3 (5/14 17:15:21)
エレナ・ドラグノフ> 1d3 → (2) = 2
エレナ・ドラグノフ>
『……まず一つ、作戦がある。派手なことをやるにもまず、ジリ貧な状況を打開しなくちゃならない。つまり____逃げる。』簡単な話、逃げ切ってしまうというのもアリだ。あのカミサマも、別に自分たちを死ぬ気で探し回って殺そうとするような訳では無いのだし。……なんて至極普通かつ、合理的な形で逃げたら、いくら何でもヒーローの名折れだろう。『だが、額面通りスタコラサッサと走り去る訳じゃない。簡単な話、奴がその頃には上手くアイツは泣いていて、その場に私たちが居なければ、あるいは消耗していなければいい。』先程使っていた彼の能力を、何から何まで知っているという訳では無い。しかし自分が願いを叶える能力だからこそ理解できる部分はある。あの時、いきなりネズミが飛び上がると同時にラ・ロワが踏み潰されていた。しかし、能力で破壊したなら、その割に彼自身の体力は消耗している。自身のサファイアにはそれはない。過程をすっ飛ばして願いを叶えるのだから。それらを踏まえて予想したのが、条件付きで発動する能力。ついでに、自分に似た時間に干渉する能力で、自分またはその条件に該当する相手の時間は止まるわけではないこと。ならばつまり_____『かなりの博打だが、貴様の出番だと言っている。頭脳労働は、頼りにしているからな。』上手くして、奴が泣くまで時間、奴を時間の檻へと、今は見つかって居ないという利点を活かして閉じ込められないかという意。瞬発力→子守 (5/14 17:30:41)
Gaill Monochoria> 1d3 → (3) = 3 (5/14 17:44:37)
Gaill Monochoria>
『つまり____逃げる。』「What!?!?!?」(ギャグ漫画の一コマみたいなやり取りだが其の提言は正しかった。ただ、貴女は誰よりも其の選択を採らないと思って居た故の驚きだった。)(しかし、貴女の言葉は続いた。)『だが、額面通りスタコラサッサと走り去る訳じゃない。簡単な話、奴がその頃には上手くアイツは泣いていて、その場に私たちが居なければ、あるいは消耗していなければいい。』『かなりの博打だが、貴様の出番だと言っている。頭脳労働は、頼りにしているからな。』(.........。)「........なァ大佐。」「申し上げ辛いんだがァー.........」「停止中に向こうさんは能動的に動きを起こす事は出来、ない.....っすね.........」(店長に対するバイト選手みたくなってしまっては恰好も何も在ったモノでは無いが不可能は不可能なのだ。科学者は申し訳無さげに貴女を見ている事だろう。)「しかし時間を止めて一旦退くのは可能だ。現実的ではあると思う」(異形の動向を音で追う。何時涙が世界を打つかは分からない。其処に意志は無い。それでもカミで、それだからカミなのだ。)(だから、其の一雫の驟雨に応戦出来るように。気だけは、抜かないように。) (5/14 18:07:35)
エレナ・ドラグノフ> 1d3 → (3) = 3
エレナ・ドラグノフ>
『____ああ、自分を責める必要は無い。』つまり、今からこう言うのだ。『この路地が見張れる位置を保って一旦退く。これ以上減らされたら堪らない……し、逃げ回るにしろそろそろ限界なようだからな、この路地も。』いくら今の段階は愚鈍でも、奴はカミサマだ。つまり、適切な囮がいないならその力はそこらじゅうに振り回され、振り回された結果どうなるか難くない。『要するに……アレが本格的に暴れ始め、街に出ていくようになる手前で。水際作戦もいいところだが、ギリギリの場所で迎撃する。そこまでで奴が泣き出してくれなかったら。泣き出してもそこに間に合わなかったら……。』『打つ手はない。』自分たちが退く。それはつまり、カミサマを野放しにすることに他ならない。だが、それでも決定的に手が打てなくなる前に時を止めろという。『……バカは承知の頼みだ。』瞬発力→子守 (5/14 18:31:32)
Gaill Monochoria> 1d3 → (1) = 1
Gaill Monochoria>
『要するに……アレが本格的に暴れ始め、街に出ていくようになる手前で。水際作戦もいいところだが、ギリギリの場所で迎撃する。そこまでで奴が泣き出してくれなかったら。泣き出してもそこに間に合わなかったら……。』(其の先は分かっていた。)『打つ手はない。』「.......。」『……バカは承知の頼みだ。』(其の逡巡に意味が無い事は誰より彼が解っていて。それでも答を出すには数秒の静寂が必要だった。)(異形の四肢が暴虐の渦を生む。建物崩れて、壊れて行くのは、或いはヒーローの消えたあの一週間の蝕む様な喪失感に似て。)「......ああ。」レッドドア。【目標:移動】(貴女を抱えて。)(街と裏路地の境界線。戦いの最前線。民衆の生命線。貫き通す貴女の一線と彼の一線。英雄の琴線。〝六つの線〟が、交差して。)
(三分の一を待って。市民の命が、生活が懸かって、彼と貴女の命運を賭けて。)「さァ........“賽は投げられた”。」______________ッッッッ...........(其れは、突然に。轟音なのか、静音なのか。其れさえ解らず。ただ一つ。地を打った一雫は、其の波紋に触れた総てを灰へ帰した。)(そして、そして。)(英雄達は。)「 待 ち 侘 び た ぞ 。 」「ッッッッ【 レ ッ ド ド ア 】 ァ ァ ァ ア ア ア ア ァ ア ア ァ ア ッ ッ ッ ! ! ! ! ! ! 」【目標:GRI_1000_JPNへの刺突】(異形の瞳穿つは割れた窓硝子。)(残り、三分の二。)「 Hey f**ker. 」「まだ躍ろうぜ?」(さあ。)(さぁ!!!!!!)( 〝 六 弦 〟 を か き 鳴 ら せ 。 )(【レッドドア】、物言わぬ黒い箱。)(涕涙の神よ。)(マスカレイドホールよ。)(入れてやる事は出来ないが。)「 コ イ ツ が お 前 の 柩 だ 。 」【目標:ガラスの破壊】(振り抜かれる鉄パイプ。飛び散る硝子の欠片。ありったけの知識を。運動力学-キネティクス-を、演算思考を以て。なけなしの筋力を持って。)「“別種攻撃”はこれで充分だろう?悪いが僕も決死だ。」(そう、彼の手札はもうない。退却も出来ない。)(命を懸けて、奪い取れるは三分の二。)(然し。)(然し侮る事なかれ偽りの神よ。)「ラストは頼むぜ?」(ロシアの魔女よ。英雄よ。) ________「バーバ・ヤーガ。」 (5/14 19:22:04)
エレナ・ドラグノフ>
全てを死滅させる衝撃。即死を思わせる砂煙の巻き上がる最中_____それでも殺しきれなかった生命(かみ)が、反撃を開始する。異形の神は、三つの命うち二つを失い、認識する。あれは、殺すべき害虫であると。狂ったように、しかして針のように収斂されたその力。命は、朽ち果てる瞬間にこそ雷撃のように光る。それは決定である。力を込め、張り裂けるばかりの怒りと怨念が吐き出された時。おそらく、彼の前には誰も立っていなかったのたろう。故に、慢心や傲慢さはなく、ただ当たり前が当たり前に終わるだけなのだ。誤りはない。無駄はない。このまま自明の理で、今更呑気に腕の時計(そうち)に触れた女は断罪される______だから余計な思考の余白(ストレージ)を消して満身の力をもって踏み出し。後は天に掲げた腕を振り下ろすのみ。その後は___ない。だが知るがいい、理から外れた神よ。『___任されたぜ、ライズ。いくぞ、我がディスコード____オムニア・ピンクサファイア!!』『術式(ディスコード)・起動(セフティオフ)』此れなるは、相手の秘中の秘が開帳されたその瞬間にのみ特化した迎撃兵装。相手の隙が生じるような攻撃にタイミングを合わせて、こちらも同じように拳を振りかぶり、振り抜く。『術式施行(オーダー)・空間転移(ビヨンド・エア)!』そのインパクトの瞬間、拳が炸裂する刹那に異能(ディスコード)はその身体を相手のゼロ距離まで瞬間移動させる。相手の打ち込む瞬間には____眼前に放たれた拳が「既に打ち終わって」現れ「攻撃している真っ最中に」相手に対策する余地は許されない。ただし___威力自体は、無論人間の拳である。多くはディスコードや特異な武器を攻撃手段とする他の生徒を見た後ならば、確かに悪辣であるにしろ脅威とは見えなくても無理はない。というかそれが道理だ。彼らはあくまで学生から戦士になったのであり、戦士が学校に通うのではない。従って妥当な生徒の攻撃手段はディスコードや手にした武装に依存すると言えよう。____しかし、何事にも例外は存在する。前に出るしか脳がない、一意専心にとその肉体のみを妄執と、その身を呪う憎悪怨念で鍛えた宿主も居るのだ。その執念と呪いでもって成り立つ金剛(ダイヤモンド)の肉体が産み落とした、先手必勝(エース)を食い殺すべき後手決殺(ジョーカー)。先を取られた失敗を覆す神の改竄(タクト)。その名も高らかに『血染めの夜鷹に(ダイン)____暁は無し(スレイヴ)_____ッ!!』都合、この技に先手はない。どうあっても相手の必殺をくぐり抜けて打ち込むのだから、従ってしくじればあちらの必殺技がすっ飛んでくる。無敵を自負する理不尽(ルール)の代わり、薄氷を踏むタイミング一つの誤りでこちらが命を落とす。抜き放たれれば、否が応でも両雄並び立たぬ諸刃の魔剣。故にその名をダインスレイヴ。性質もその存在も根本から違うが、母から受け継いだ切り札の名。ボクシング風に言うなら、その様はクロスカウンター。煌めく赤い瞳を貫いたのは、反するように愚直で無骨で、されどその代わり練磨され尽くした黒き流星______!! (5/14 19:53:16)
Gaill Monochoria>
(エッダは示す。彼は其れを知っている。)「“此の剣は、鞘より出でた時必ず誰かを死へ導く。其の一閃は寸分違う事無く。また癒える事なき傷を遺すのだ。”........か。」「........ダインスレイヴね、イカすじゃないか。」(神話や伝承を齧りがちなのは割と学者にありがちな事らしい。)(讃美をぼそりと呟いて。彼はその場に崩れ落ちる。)「あ゛ァーーーーー疲れたァ.......だがキミと来て良かったよ、ヒーロー。」(細くて頼りない腕をぷるぷる震わせながら拳を突き出して。求めるはグータッチ。六弦の残響(エコー)は未だ鳴り止まない。死との直面、其の恐怖よりも高揚が勝るのは変態的科学者の片鱗か、又は脳内麻薬の過剰分泌か。ともあれ、男は愉快げに笑う。)(日は落ち切って。帷は降り切って。崩れた廃屋の切り取る夜空は高鳴る心電図のよう。)「いやァーッ修羅場だった!!!」「だった、が最高だった。アンタのお蔭だ。」(此の夜は危なっかしくて。愉しくて。或いは彼に新たな刺激を与えた。)(だから。)「感謝するよ、ドラグノフ。」(軽い笑いは、いつもの様に。) (5/14 20:19:34)
エレナ・ドラグノフ>
『……故郷の神話だそうだ。』血だらけの拳で、それに答えるのは忍びなくて。手袋を外してから、打ち合わせた。『ああ、確かに死にかけた。それに、今だって完全にコイツを完璧に殺しきった訳でもない。さっさと回収して帰らないとな。』興味深そうに倒れて動かなくなったマスカレイド・ホールを見つめるオムニアに向かい、回収用の容器を投げ渡して必要な中身を詰めさせ、そのまま持たせると。『そのついでに、多分この場合貴様も持ち帰らないとならない私は、全然楽しくはないのだがな____』それでは立てないだろ?と彼を抱える。何、このくらいなら安全な場所へくらいまでは歩ける。ただ、あれだけの駆け引きを、殺し合いをした後となると少々骨が折れてしまうのが難点だが。『冗談だ。』ふ、と薄く笑う。戦いが好きだ、なんて不謹慎だとは思う。カミサマだって生きているし、生き抜こうとしている。その生存競争を楽しんでいたら、どこかしらが欠落したような人間になってしまいそうだ。でも、一緒に生き延びた仲間と、また明日学校で顔を合わせることが出来ること。自分が誰かしらを救えたのだということ。そうした事実と一緒に胸に残る物は____大事にしたい。『ドラグノフ、は言いにくいだろう。……エレナ、でいい。こちらの方が、響きが可愛いからな。』さて、帰ろうか。帰って、すぐに風呂に入って。朝までぐっすりと眠ろう。そうしてまた学校に行くんだ。
ねえ、今の気持ちを____なんて言うと思う? 〆 (5/14 20:37:01)
蕪木 千歳>
( なんとなくついていない日ってあると思う。たこ焼きにたこが入ってなかったり。傘がないのに雨が降ってきたり。バスがいっぱいで座れなかったり。………急に友人が風邪を引いてしまったり。『 ………良いってそんな、………ん、気にしないで、ゆっくり休んで、ちゃんと学校来てよ。………………も~~、大丈夫だって、うん、……ん、またね、 』ギリギリまで行こうと奮闘した友人の勇姿、傘もないのに帰ろうとするから、なんて思い当たる原因にくすくすと小さくしょうがないなぁって笑って。暗くなったスマホを握り締めた。お洒落していつもより気合いを入れて整えた髪、新しい私服はどうやら全部無駄になってしまったらしい。寂しさにスカートの端っこを撫でる。けれど、しきりに謝る友人の声を鼓膜はよく覚えていたから、凹んでいられないことも分かっていた。…今日はなんとなくついていない日。それだけだ。帰ってふて寝でもしてしまおう。その位がちょうど良い。いつまでも立ち尽くしていたって、待ち合わせをしている他の人と比べてしまって虚しくなる。気にしない、…気にしない。俯きがちに踏み出した1歩 『 ……………ぁ、 』2歩と来て、靴紐がほどけていることに気が付く。嗚呼、本当に今日は付いていない。隅によって靴紐を結ぼうとしゃがみこんだ。……初めに気が付いたのは落ちた看板自体だっただろう。次いで、街中の人が気が付き悲鳴をあげる。そうして漸く、最後に私が気が付いて、人の目線に釣られて上を見て、小さな声すら出なかった。自分目掛けて看板が落ちてきているなんて、誰が一瞬で理解することが出来るだろうか。) (5/14 21:30:34)
エレナ・ドラグノフ>
雨の日の休日。不思議と、泡と話した日を思い出す。雨の日は、彼の顔がかすかに浮かぶようになっていた。一秒とも満たない時間だった気がする。けれど、きっとあの日見た花が咲くような笑顔は、どんな地獄にいても忘れないだろうから。また彼と会ったら何を話そうか、なんて期待を半分。私が彼と会っていない時間、あの人は大丈夫かなと心配を少々。そして、休日は学校が無い。イコールで穂坂食糧担当大臣から昼食が貰えないし、だからとハチロクを呼びつけるのだって気が引けるから、なるだけ気を散らしたいのが残り。真の食事は……アレも特殊な出自だ。差別するわけではないし、寧ろルクレルク人の古い文化にどっぷりハマった食事なのかなとか興味はある。が、わざわざ腹が減ってるのに、空腹の象徴のようなジムにも行きたくない。真夏にサウナに入るような真似なんてゴメン被るのである。で____お腹を減らして歩いている向こうに、同じ学校の女の子が見えた。自分と同じように傘を差して、きっと下ろしたばかりの洋服を大事そうに着ている。『あ___』口から漏れた言葉は、彼女がとても可愛く見えたから。また、あまり話したことが無い学校の子を見たら、少しびっくりしたから。そしてそれらを塗りつぶす極めつけは。『逃げろ馬鹿野郎______ッ!!』なんだって、古くも見えない看板が落ちてくるのだろうか。頭に血が登り、最速で思考を演算する。危機に対抗する最適解を探すために走馬灯は生まれるというが、他人のためにも働いてくれるのなら何よりだ。頭に浮かんだ選択肢は三つ。
彼女を助ける
彼女を助ける
彼女を助ける
『さ、せる、かよ_____ッ!!!』傘を投げ出して、全速力で踏み込む。サファイアを呼び出す暇はない。マスカレイド・ホールを殴り倒した時のような空間転移(ビヨンド・エア)は従って間に合わない。つまり、自力で彼女を抱えて飛び込む他ない。巻き込まれたらどうしようとか、一緒に潰されたらとかは今はいい。バッドエンドに繋がる思考は遮断(シャットアウト)しろ___。だって、当たり前じゃないか。私は少し異常に人よりは頑丈だから、少しくらい痛いのもいい。でも、新しい服を着て楽しいお出かけに出向いたその先で、女の子が死んでいいものか____!!惚けたように上を見る彼女を確と抱く。よし、間に合ったという安堵。そして、それを脳が理解するより先に、ギロチンのように落下してくる看板より先を目指して飛び出す。抱きしめたまま転がり込むような形で……身体に擦り傷をいくつも作りながら、私はしばらく声も出ないまま歩道に寝そべった。『……大丈夫か。怪我は?』 (5/14 21:56:11)
蕪木 千歳>
( ガ シ ャ ン ッ ッ ッ !!!!─────硝子が砕け金属の割れる音を遠くで聞いた。強張っていた身体に次第に熱が戻り、ゆっくりと溶けていく。ばくばくと耳に届く心音が2つ。うぁんと耳鳴りのように歪みながら、大丈夫かと囲む人達の声が響く。『 はぇ…………………………え"ッッッ、ぁえ"っ、うそっ、えっ、ご、ごめっ、なさ……っ、けが、怪我して、わたし、わたしは大丈夫ですけど、そんな…っ 』『 ど、どうしよ、びょういん、救急車………っ!? 』熱、音、知らない香り、色彩を持った景色が目に映って、ようやく、漸く何が起きたのかを理解した。看板が落ちてきて死にかけたところを、間一髪で彼女に救われたのだ。私には怪我1つなく、雨が静かに頬を伝うばかり。慌てて飛び退き、そして直ぐ様駆け寄った。彼女にも重症は見受けられない。けれど細かな傷は多く、何より起き上がれない程に見えない傷を負っている事が、どうしよう、そんな焦りに繋がっていく。血の気の失せた顔で水飲み鳥のようにただ頷いて、そんなことよりも貴女の事の方が心配だった。こんなときは大抵お礼を言ってほしい、そんなシーンをよく見掛ける。けれど実際出会すと、そんな余裕なんてないくらいに心配で、何より罪悪感がずぐずぐと心臓を突き刺していく。怪我を治せる能力を持っていたら、そもそも、あんなところで靴紐を結ばなければ、こんなことには。無傷なのは奇跡なんかじゃない。ただ貴女が守ってくれたその証だ。) (5/14 22:30:11)
エレナ・ドラグノフ>
『準備運動もしないで、急に走り出すものじゃないな……。』アドレナリンが今は溢れているからいいが、きっと明日は休みがもう一日伸びるだろう。いきなり体を動かし、いきなり走り出すというのは身体に馬鹿にならない負担をかける。それは鍛えたかどうこうではない。油が切れた歯車をいきなり回したらどうなるか、という話だ。『大丈夫、私も大したことは無い。ただ、少しヒネっただけだ。』びき、と身体に入る痛みを押して、心配して申し訳なくてどうしようも無いと一目見てわかるような彼女の狼狽え方に眉を下げて困り顔を作った。1番危なかったのはお前じゃないのか?と思いはしたが、口にはせず苦笑しながら立ち上がる。『いったいなんだと言うんだ……』彼女は確か、特段変な行動はなかったはずだ。電話か何かをしていて。それから靴紐を結んで____靴紐を、結んで……。嫌に印象に残ったのはその姿だった。不思議なことなんてない動作に不思議なくらい違和感が湧く。待て。 "……身体に擦り傷をいくつも作りながら、私はしばらく声も出ないまま歩道に寝そべった。" 「歩道」に____?つまり、この現象の正体がカミサマなんだとしたら。『泣くのは後にしろ!走るぞ、少なくとも人がいない場所まで!貴様がこんな人混みにいたら』カミサマ___靴紐がほどけている____靴紐に影響を及ぼし、ほどけさせる。それを結ぶ気になると、看板が落下したり、トラックが突っ込んだりして、あらゆる方法でその相手を殺そうとする。そしてそれが産む災厄は____『次がいつ来るか分からない!!』単一であるとは限らない。轟音を上げてトラックがこちらに進路を向ける。人に囲まれている状況。つまりは最悪だ。離さないように手を掴んだ。足の痛みが走り出そうとする踏み込みを鈍らせる。切り抜けられるかは、正直な話彼女次第と言っていい_____ (5/14 22:50:18)
蕪木 千歳>
え…………? あ、あの、( 起き上がったことにほっとしたもの束の間のこと。〝 泣くのは後にしろ!走るぞ、少なくとも人がいない場所まで!貴様がこんな人混みにいたら────── 〟私自身になにかをした覚えはなかった。だから、言われた意味がよく分からない。それを問おうとして、ぞくりと背筋に寒気が走る。トラックに目なんて無いはずなのに、何故だろう、目があった、と、此方に突っ込んでくる予感があった。それも、猛スピードで───『ッ─────は、はいっ!!!』殺される。第1に、こんな人集りに突っ込んだら?自分から突っ込んでいったら私1人が、──邪な想いは繋いでくれた手が引き留めた。ぎゅうときつく手を握りしめる。周囲には人、建物、マンホール、窓の類いは雨のせいで閉じきっている。濡れたマンホールの蓋を開けるのは、ただでさえ不可能に近いだろう。人は避けるべき存在で、あとは────『 あそこのドア、突っ込んでください………!! 』1番近くの店のドア。其処を指差し僅かな躊躇いをかなぐり捨てて手を引いた。足の速さに自信はない。運動神経だって全く良くない。それでも精一杯の力で走る。人がいない場所。私を殺すのが目的なら、店の中には突っ込むことはなく、不自然なほどぴたりとトラックは止まる筈だとそう信じて。《 シークレットガーデン 》 ワタシだけの特別な場所。其処に繋がれと普段の感覚を思い続けながら、扉に繋いだ手とは反対の掌を当てて飛び込んだ。……出来ることなら、ふかふかのベットの上とか、勢いよく飛び込んでも問題の無い場所に繋がりますように。) (5/14 23:14:03)
エレナ・ドラグノフ>
ぼす。と、気の抜けた音。どうやら柔らかいベッドの上だ。まさか民家、という考えは直ちに否定された。だって、入口付近にベッドを置くなんて有り得ない。そして『す、済まない!』手を引かれて闇雲に飛び込んだ為致し方ない構図だが。手を繋いだままベッドに隣り合わせらしい。これは少し____いや、女友達と一緒に手を繋いだことくらいはある、あるけど問題しかない。慌てすぎて跳ね上がりながら謝罪をして。『どうやら、無事みたいだな。』そしてあの災厄は___どんな手を使ってでも "靴紐を結んだ人" を殺害するために動く。狙われたら余程じゃないと命はない。トラックなんて、誘導弾に等しい。しかし、代わりにアレは標的を正確に狙い "すぎる" 。従って、肝を冷やすほどギリギリまで引き付けて___原理は分からないが、なんらかのディスコードだろう___飛び込んだのが不幸中の幸い。追いかけてきたからこそ、この部屋の入口。すなわち店の扉に飛び込む前に車止めにつんのめったのが今思い出された。あれだけ人もいた、きっと救急車だって来ているだろう。『ここ、は____?』思考は振り出しに。ここはどこ?と間抜けに問いかけ、彼女の方を改めて向いた。 (5/14 23:32:26)
蕪木 千歳>
( ふかふかなベッドは身体にフィットして沈み、それでも俯せに飛び込んだものだから、鼻に食い込んだ眼鏡のパッドが痛く感じた。…痛く感じられるほどに、どうやら生きている。念のため顔を上げて見渡してみれば、本当に見慣れた部屋の中だった。見慣れた部屋の中、初めて私以外の誰かが居た。飛び起きた貴女に釣られて、そのまま微睡みかねない身体を無理矢理起こす。貴女が謝ることなんて何もない。だというのに、謝られたことが不思議で、離れた掌に温もりが残っている気がして、それが落ち着かずにベッドに深く掌をついた。誠意を示すために正座をしようとして、邪魔な靴をベッドの下に脱ぎ捨てる。そうして深く深く、床ではないが頭を下げる姿は日本の土下座。『 へ…………っ? ゃ、わ、わたしこそ、いろいろ、…………ほんとに、ごめんなさい。……………なんとか、なったみたいで、…良かった………、 』安心すると途端にじわじわと喉元にまで込み上げてくるものがあった。思い出される焦燥と心配、それを上間る安堵と罪悪感が色々な思いを覆い隠す。じんわりと目に涙が滲んで、申し訳無さも合間って、暫く顔を上げられそうにない。『 こ、こは、私のディスコード……能力で出来た、建物の中です。咄嗟に逃げ込める場所が、此処しか思い付かなくて……、えと、あの、ま、巻き込んで、しまって、ほんとに、ほんとにごめんなさい………っ 』 (5/14 23:50:51)
エレナ・ドラグノフ>
『ば、馬鹿……!謝る時はそんな風に謝るな。私も貴様も危険な思いはした。でもそれは、貴様のせいで起きたことなんかじゃないだろう。』土下座なんてするなよと慌てて制止する。だって、こんな目に遭ったのはカミサマによるものだから、彼女も被害者のはずだ。地震に一緒に巻き込まれて、ごめんなさいと言われても仕方がないように。だから、こんなふうに謝られたらびっくりくらいはする。責任感が強いにしても___『意地を張るところ、責任を持つ場所が違うんだよ。ピンチから助かったんなら、泣きながらでもやらなきゃならないことは助けてくれた人に謝ることなんかじゃなくて、助けてくれた人に感謝することで。そこに責任を持つべきなんじゃないのか。』なんだか、自分に感謝しろと言っているようでバツが悪くなって、頬をかいた。女の子が今にも死にそうだったんだ。いや、男の子だって変わりはないのだけれど。目の前で人が死にそうなんだから、助けに行くのなんて当たり前で____いや、当たり前に、しなくちゃダメなんだ。と、今触るべきじゃない、苦い記憶には蓋をする『私も、貴様に助けられた。とりあえずは生き延びられたんだ、辛気臭く泣くのはよそう。』『で、ここは確か貴様の部屋なんだったな。救急箱だとか……消毒とかはないか。ほら、緊急だっだからと言って、あんな風に飛び込んでばかりだっただろう。怪我とかがあったら、ダメだ。それと、着替えがあるならその靴、念の為に変えた方がいい。』 (5/15 00:05:55)
蕪木 千歳>
で、でも………でも……………っ! ( 助けてもらわなかったら死んでいた。咄嗟に逃げ込むことが出来なかったら、貴女まで一緒に死んでいた。貴女以外の怪我人だって出た筈だ。それは、知らなかったふりが出来ない。ごもっともな言葉に耳を傾けながら、それでも罪悪感は抜けきらないのだからどうしようもなく、咄嗟に切り替えることなんて出来なかった。恐る恐る、袖で強く涙を拭って身体を起こす。しゃくりを上げてしまわないように、ゆっくりと深呼吸をした。『 救急箱…………此所にはないので…えと、ちょっと、取ってきます。私は怪我してないですけどっ、その、擦り傷とか、消毒した方が良いって思う、ので、寝て、待っててください。………靴、ですか…………? 』握った掌がシーツを乱す。慌ててベッドから降りれば、ふかふかのカーペットは土踏まずにまで吸い付いた。多少強引にでも肩を押して貴女を寝かそうとすれば、指摘に首を傾げながらも靴は履き直さずに、音は立てずに部屋を出た。────────『 …あの、失礼します。 』普段からごろごろしている部屋、だというのに、人がいるだけで緊張を覚えるのは何故だろう。ノックをして、救急箱片手に入った部屋は、普段と違う部屋にも見える。100均で売っているような透明なプラスチックの箱の中には、消毒液や絆創膏、風邪薬等が覗いている。きゅうと喉が凹んで、深呼吸で整える。そうでもしないとまた泣いてしまいそうで、また泣いてしまいたくはなかった。『 ……私、蕪木 千歳っていいます、コード専門校の2年です。…ぁ、ありがとう、ござ、い、ました…………っ、それでその、……お礼に、手当てさせてもらえませんか…? 』 (5/15 00:35:12)
エレナ・ドラグノフ>
『……大丈夫、大丈夫だから。私は、少しくらいは他の人より頑丈だからな。あのくらいどうにかなったさ。』ならなかったのは百も承知で、言わばこれは強がりなだけだ。けど、自分が助かったっていうのに今にも泣き出しそうな子に言ってやれることなんて強がりくらいじゃないか。『失礼します、ね。貴様の部屋だろう、ここは。それに、手当なんて____』アドレナリンが抜けてきて、体に走っているはずだった痛みがぶりかえす。慌てて歯を食いしばったものの、息が漏れる。よく見たら、真っ白なワイシャツをじわりと血が汚していた。なるほどよく見たら、身体中ぶつけたりすり傷まみれだ。思い出して痛むくらいなら言わないでくれたら良かったのに。とか思ったりもした。____大人しくシャツとスカートを脱ぎ、ベッドを汚さないように腰掛ける。それは言わば筋肉の塊だ。ダビデ像のように引き締まった鋼の肉体が、女性の曲線を帯びているに過ぎない。普通、筋肉は鍛えたら膨らむ。ただ、それは鍛え方にもよる。無駄を削ぎ、戦うために重くなり過ぎず、そも体脂肪など消し飛ばすくらいにまで鍛えたこと。怪力を支える体幹。そうしたものが組み合わさり、見せる筋肉ではなく言わば「使う」筋肉を構築している____『エレナ・ドラグノフと言う。学校は、私も同じ学校だ。まあ、貴様たちみたいにずっと居たわけでもない。18だが、貴様らがヒーローを任され出した後にスカウトされて転校してな。詳しくは覚えてもいないが、諸々の転入の都合で貴様とは同学年だ。』色々面倒だし、いちいち語らないことも多いが、微妙に学年がズレているので三年からしたら実は同い年の後輩だ。『少しくらい目立っていた気でいたが、まだまだ知らない相手も多いらしい。』 (5/15 01:04:07)
蕪木 千歳>
あ、ぁっ、ほら………っ! ( 此方には怪我1つないというのに、まるで同じ怪我を受けたみたいに顔が歪んだ。慌てて救急箱の留め具を外せば重たい容器が急に開くものだから、中身をその場にぶちまけかねず、慌てて抱き止めた。手当てのためとはいっても貴女だけを脱がせることにすら、今はなんとなく罪悪感を感じる。かといっておあいこにと自分まで脱ぎ出すなどしては、何かが根本的に違う気がする。プライバシー的にも、なるべく見ないように………、そんな思考は鍛えぬかれた身体を見た途端に一瞬固まり『!!!』慌てて頬を心の中でべちんと叩いた。咄嗟に抱き抱えて動けるくらいの人だ、身体を鍛えているに決まっている。『 ぁ、ぁー…………私、忘れっぽいみたいで……す、すみません。えと、じゃあ、エレナ先輩…………エレナさん………………? 』同い年、それに気が付かないことにぎくんと背筋の骨が反る。ぱちぱちと2度瞬いて、困ったような笑みを浮かべた。細かな擦り傷から、血を流すようなものまで、怪我の種類は多種多様。そして、大した医療知識を私は持ち合わせてはいない。寧ろ傷口から覗く赤があまりにも痛そうで、自分の身体までじくじくと痛むような気分になる。罪と向き合うのは気が重いことだった。それでも、消毒液で濡らしたガーゼで細かな砂利や汚れを少しずつ落としていく。擦り傷は汚れだけ落としそのままに、血の流れる小さな怪我には絆創膏、大きな怪我にはガーゼと包帯を巻き付ける。…ヒーローとしての活動が本格的になったら、こういうことに慣れる日や、自分が手当てされるようなそんな日が、来るのだろうか。) (5/15 01:29:20)
エレナ・ドラグノフ>
『ややこしいし、エレナでいい。どうしても先輩なりさん付けなりしたいなら止めはしないが。』その辺りの価値観、つまり先輩後輩云々については、母も父も特に教えてはいなかった。文化圏がそも異なるため、ピンと来なかったからだろう。だから、別に年上でも年上でも大体は貴様、だし。先生くらい離れたら不文律的に何何先生、とくらいは呼ぶが、この辺りはフランクで居たい。気を遣われる方が非常にややこしい気持ちになるし、別に先輩と思うなら先輩と呼んでもいい。『嫌味で言っているわけじゃない。私だって、同じ学年に知らない人はいる。例えば貴様がチトセという名前だって、今日知ったしな。』忘れっぽいというか、別に知らないなら知らないは有り得るだろ、と思う。下手に私のこと知らないの?みたいな冗談入れなくてよかったかと反省。なんて気を散らしながら、消毒の芯に染み込むような痛みに汗が滲んだ。塵も積もれば山となる。軽傷も、痛いものは痛いのだとでも言うようにガンガンと身体がクレームを訴えてきている。『___そうだ、服は無事だったか?アレは見た感じ、随分新しいものだっただろう。』ああ、と思い出したように口にしたのは洋服のこと。確か見るからに新品、という感じだったが大丈夫だろうか。めざといと言うなら、私だって一応女の子だ。緊急事態でもなければ、最初に目に行くのはその辺であってもバチは当たらないだろう。『後……もしこのディスコードが長いこと持つなら、今日は寝かせていってくれないか。寮に帰る気力が、情けないが今本当に無い。』 (5/15 01:46:13)
蕪木 千歳>
えれな、………ちゃん、( 呼び捨てをするほどの勇気は出ずに、ちゃんを付けて丸く濁す。呼び捨てで良いとは言われても、急にそんなフランクにはなれはしないし、命の恩人なだけ気も引けた。堂々とした貴女の態度が年上らしく感じるのも、理由の一因である気がした。丸い言い方は言い方で、胸の内側がこそばゆくて、…落ち着かない。『 、……ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけ汚れちゃったけど、洗濯すれば大丈夫です。 あの、うんっと、…有難う、御座います。そのっ、助けてくれたのもそう、だし、……服のこと、気付いてくれたの、嬉しいなって、思っちゃって………。』服に触れられて、先ず驚いた。落ちつかなさが、また別の落ちつかなさで広がって、心臓を覆い隠していく。友人が来れなくて、無駄になってしまった新しい服、でも、気付いて気にかけてくれる人が、居て、体温が上がって、頬の力が抜けていく。緩んでしまう唇を咎めるために、ちょっとだけ痛いくらいに頬を噛んで、しゃがみこんで何処かに消えてしまいたい気分になった。それでも手当てだけは続けて、最後までやり終えれば、熱を溜め息と一緒に吐き出した。服を着てもらおうとして、ふと気付く。血のついた服を着せるのは如何なものか、とはいえ、サイズの合う服はあっただろうか。お父さんの服は…………ちょっと、貸すのに抵抗感がある。『 あ、の………………、…………? 』被ってしまった言葉に、先にいうほどの意思の強さもなく。先にどうぞと発言権はあっさり譲った。けれど、「後……もしこのディスコードが長いこと持つなら、今日は寝かせていってくれな『 だ、だめっ!!!!!! 』『 ッあ、……ここ、私の家とも繋がってるので、私の家に泊まってくのじゃ、…だめ………ですか…? 』ひゅっと息を飲み干して、気付けばそれは声となって口から飛び出す。遠慮なんて、しているような暇もなかった。それでも一瞬で正気に戻って、いつの間にか握りしめていた腕を離す。それだけはどうしても、止めなきゃいけなかった。) (5/15 02:20:33)
エレナ・ドラグノフ>
『ならよかった。危ない目にもあって、服までダメになったら散々だしな。それに、特別礼を言われるようなこともない。よく似合ってたから気になっただけさ。』本当にそう思って口にはしているけれど、こういう時に歯が浮くようなセリフを自然に出すのは、多分ハチロクのが移ったのだろう。一々思い出して後から恥ずかしくなる予感が今頭の片隅を過ぎった。後で文句くらい言ってやろう。疑わしきは罰するでござる『あ、ああ……そうか。確かに、秘密基地みたいだし。大事な場所か何かなのだろう。私こそ、変なことを言ったな。』例えばゲイルのレッド・ドアで寝たいと言ったらどうだろう。広さや大きさ的には寝れそうだが、多分断られるに違いない。ディスコードはそんな簡単に使うものじゃない、と自分にも他人にも戒めておいて、少し怖い思いをした程度でこれだなんて___自分に呆れる限り。そして、結構な剣幕だったのにいささか以上に驚いて。『そうしてくれるなら、願ったり叶ったりだ。と言っても、楽しいお泊まりをするのはまた今度になりそうだな。正直色々あったし、傷の治りも寝れば寝るだけ早い。』服に頓着なんかほとんどないから、このままでも別に寝るくらいだけなら恥ずかしくもないし……と諸々失念したままである。今日は寝て、明日は学校を休む予定だ。大事はとるが、なんとも無かったら自宅にでもたまには帰ろうか。と頭の中はもう明日の話で。『すぐに休んで、そうだな……。良ければ、今度は私の部屋に来てくれないか?実際、部屋と言っても寮というだけなんだが。』呑気に今度は泊まりにおいで、なんて口にしながら世話になることにした。これからあれこれ、もう少し騒がしいが別の話。 (5/15 02:35:16)
エレナ・ドラグノフ>
____屋上。そこに来た理由は、単に気晴らしだ。未だに尾を引いているのは、半年前の事件。ヒーローが壊滅した日、私は同時に家族も失った。そして、囮になった友達を振り返らずに走ってしまった日でもある。いつになくしけた顔だ、と、昨日は雨で、今日は晴天。風があまりないからか消え去らなかった水溜まりを見つめて思う。あの時、誰かを庇うべきじゃなかったのか。ああいう時、走り出せるように鍛えたのではなかったか。そんな風に度々思い返す度に____悔しさと、今度こそはという力が湧いてくる。『馬鹿はどっちだろうな。あのまま皆一斉に逃げ出したら、どの道遠からず追いつかれていたんだし。』のだけど、今日みたいな涼しく澄み渡った、雨の溶けだしたような日には、あの日の晴れ渡った天気を思い出すからか前者の方の割合が少し強いらしい。ああ、自分でも笑ってしまうくらいナイーブで。そして同時に_____そういうのをぶっ飛ばすロックンロールの前フリには、これ以上ない。 (5/16 22:27:55)
音戯 華子>
(『青』である。)(創作者は、つまり言うなれば表現者だ。自分の伝えたい感情、経験、それを自分の表現力に乗せて世界に発信する、誰かの『ヒーロー』。それが、創作者である。)(さて。)(『青』である。)(彼女は、目の前に広がる一面の『青』を、見つめていた。それを見た創作者達は、この『青』をなんと表現するだろうか。)(彼女は仰向けに寝そべったまま、鉛筆をひっつかんで『青』に刺した。)(きっと画家なら、この『青』を極彩色の絵の具を混ぜ合わせて、そこから自分に見えた色を付け足して、それを『青』として紙に表現するだろう。)(きっと作家なら、『今にも溶けてしまいそうな青』とか。自分の頭の中に存在する、ありったけのボキャブラリーを使ってこの『青』を表現するだろう。)(────────────では、歌手は。)(この『青』を、どう表現すればいいんだろうか。)(彼女がクマになった目をぐいっ、と細め、力なく鉛筆を持った腕を下ろした時だった。)『馬鹿はどっちだろうな。あのまま皆一斉に逃げ出したら、どの道遠からず追いつかれていたんだし。』「..............っ、っっっ、!?!?!?.....................................っっ!?!?!?」(本当に、意識の外から音が飛び込んできた。まるで、シャワーを浴びている時に目を閉じて歌っていたら、シャンプーが棚から落ちてたとき、のような。そんな、驚愕の瞬間だった。最初にノートとギターを持ってここに来たのは、土曜日の特別補修が終わってからのことだから、そこからずっと考え込んでいた、筈だ。そう、彼女は日陰にいたのだから、貴方が入ってきて彼女に気づかないのも無理はない。)(が。)(彼女もまた、貴方に気がついていなかった。彼女は緊張のあまり体を動かすこともできず、ただ鉛筆が指先から滑り落ちて。屋上に鉛筆が転がる音だけが、ただ響いた。) (5/16 23:37:46)
エレナ・ドラグノフ>
『……今回の調査対象は、マスカレイド・コール。だ、そうだが____』マスカレイド。その名を持つのは二体目だ。マスカレイド・ホール。レッド・ドアの使い手であるゲイルと二人がかりでようやく倒したそれが一体目。今回の個体が二体目。だからなんだと言われても仕方ないが、前にも似た存在がいた事を思うと多少イメージが湧く。だからといって、自信なんて湧かないのだけど。それは人気の少ない郊外の田園地帯に発生しており、今は目立った動きはなく徘徊を繰り返すだけであるものの、当然アレほど強力なカミサマをほったらかすのは余談を許さない状態であるのは間違いない。つまり、さっさと行ってどうにかしろ。ヒーローらしい仕事という訳だ。今回組むことになった相棒を後部座席に乗せ、愛車であるワルキューレを転がす。周りに何も無い風景は、こんな大型車をぶっ飛ばすのには最高だ。今が緊急事態でさえなければ。『自信のほどはおありかな?』気を抜いたら悲観的な考えばかりが頭を過りそうになって、無駄とは分かるがそんな言葉を投げかけた。つまり、やれると思うか____? (5/17 16:48:06)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
(バイクに乗せられ辿り着いたのは田園地帯。今回は初のカミサマ討伐、そして容姿、身体能力共に皆の憧れである『エレナ・ドラグノフ』先輩との調査とだけあってワクワクしている少年が一人。)「え!っと、も〜〜〜〜〜ちろんでっっっっすよエレナセンパイ!協力してブッ倒してやりましょ〜ぜッ!!!」(…そう、声高らかに返事をする。昔からヒーローに憧れる彼は少々の緊張はあれど無駄に勇気と元気と根性だけはあった。しかし__)「ますかれいど…なんたら、ってヤツ…(習ったやつでは多分3体くらい居た、よなぁ…?)うぁあ〜〜〜〜どれがどれでしたっけ!先輩?」(…少年は馬鹿であった。)「…まぁとにかくクッソでっけ〜〜ヤツだった、ってのは覚えてるんだけど…多分いけますよね!!(__なんて楽観的に明るく声をかけて。)」「ほら!見えてきたんじゃないですか?多分…アレ…か……?」(と、指差す先は。) (5/17 17:03:13)
エレナ・ドラグノフ>
『遊びではないんだぞ、馬鹿者。それに、貴様は忘れているだろうからと、今改めて言っただろうが。アレはマスカレイド・コール。武器にするのは声、誘蛾灯のように人を引き付けて……気が向いたら捕食する。』大丈夫かコイツ_____。と言いたくなった。カミサマの性質を全て頭に入れて諳んじている訳では無い、しかし、名前を出された上で任務も目前なら普通いくらなんでも概要くらいは思い出さないだろうか。あのなあ!と声を荒らげながら改めて説明し直し、いつの間にかいつもの調子に戻っていた気がする。微かに、緊張が解れ______ギターや弓矢の弦を貼り直すように、それはまた結ばれた。『___ッ!』それは異様な光景だった。思わずバイクを急停止した理由は、そろそろ向こうに見つかるからとかではない____その怪物は、畦道を歩いていた。巨大なイモムシに人間が捕食されているかのような異形は、なんらかのパレードのように蠢いている。遠目から見えた限りで、それが何を口にしているかはまだ聞こえない。けれど『やり、やがったな……』ああ、パレード。それは行進(パレード)だ。怪物は声に誘われた人々を引き連れて、覚束無い足取りを運んでいる。人がそもそも余りいない場所ではなかったから、周りにはべらせるのはごく数人くらいのものであるのだけれど____まっさらな茶色と新緑の支配するど真ん中を、いつ捕食されるか分からないというのに、まるでそれに導かれるように後をついていく姿はどうしようもなく___『街に出たら、大惨事になる。それこそ半年前みたいに_____!奴の弱点は、口だ。捕食器官に突っ込むことになる。その役を私が、だから……足止めを頼む。やれるか____?』 (5/17 17:23:13)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
「っは、えっと!すみませ__(なんて口にした、そのコンマ1秒後___)「っっっっっっぎゃア〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!?!?!でっ、ばッッッッッッッこんなの!!!!!った、倒せ……」(馬鹿。声を荒げるべきではない。そしてさっきまでの膨大な自信は何処へやら。全くこのザマである。…が。)「せ、……センパイを___ッ、失敗させる訳には…!!!」(割とギリギリで立て直し戦闘準備、調査の為に身に着ける武器はナックルダスター、声で呼び寄せる『アイツ』にとっては近距離攻撃なんて絶好の獲物にしかならないだろう。)「待ッ______って下さい!っ、アイツの気を引きます!(と、未だ彷徨くバケモノにその【瞬発力】で距離を詰め__)(その蛇のようにうねる背を。)(殴る。__その『カミサマ』が此方を向く。)「…ッやべ…死…いや!!!こっちを向きました!!センパイ、すみません、っ…!今____!!!(そのタイミング、後はその口内に傷を付けるのみ。)絶対っ、食われちゃわないように!っ、もしそうなったらオレがアイツを後ろから引き付けるので…っ!!!!!」 (5/17 17:45:18)
エレナ・ドラグノフ>
『落ち着け!!』慌てながらの声。理由はわかる。あんな怪物を見たら、確かに怯えるだろう。実際、自分も怖い。けれど、あの時世話のかかる後輩は、鵺にだって挑んだじゃないか。ならヒーローはここで『しくじったら、私も一緒に死んでやるさ。』笑って飛び込むものだと相場が決まっているんだから_____! 踏み込む。サファイアの能力は使わない。いや、使えない。彼女の能力を使うのは決着の時。『____ッ!』走り出す。異変に気づいたのか、後ろからナイフを突き刺した彼への対策はそこそこに、無数の腕が迫る____『遅(お)、せェ______ッ!!』だが、普段から神速の拳のやり取りを繰り返している脚は、重ねた努力を出力(エンジン)にして、その一歩先を行く_____!!『"""ユニオンダッシュ"""!!任せた!』巨大に接する。それは、地獄めいた空洞。たくさんの人間を食い殺したためだろう、蔓延する血と臓物の悪臭。万力のように自分を潰そうとする縦に開いた口を、片手で押さえながら拳を握る。能力を使うためのルーチンすらやる暇はなく、言ってしまえば気合いと根性で「彼女」を発現させる。___数秒稼げ。そう、彼に目掛けて叫んだ。 (5/17 18:18:47)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
「…っく、は、はい!!」(流石に少しばかり正気も失われ……が。前述の通り彼には無駄に『根性』があった。)「___ッ!バケモノっ!『こっち』、だ!!!」(このカミサマは__声に反応する。)(ぐりん、とその人間で言う所の首を捻じ曲げ__見えているかも解らない顔を向ける。背後に周るには少し遠いか?いや。もう少し__アイツに届くには。)「ッ、『チープ&シック』!!!!!アイツに、っ、届け________ッ!!!!!」(『キュイン』、と数秒視界が減速する。このディスコードの『真髄』。)(ザリ、その誰にも負けない瞬発力で背後に周り込む。)「ぅお"お"おおおおおおッ!!!ここだ____ッ!」(ガシ、と、その皮膚に拳が当たる。が、その鱗には傷一付かない。これだけでは倒すことは出来ないであろう。しかし。__此方には策がある。)「っ、センパイ!こっち向きました!!!っひゅ、やべ、アイツの腕が__」(『彼』は___これからどうなるかは何ら理解していないすなわち馬鹿のままであはあるが。)「っ今!!!!だ!!!!!!!!!ッ!」(__此処から生きて帰るのだ。) (5/17 18:49:03)
エレナ・ドラグノフ>
黒い、凶つ星のようだ。底すらないように見えるそれは、捕食器官。神は断末魔を上げながら、矮小な人間を噛み砕こうとして____反応してしまった。従って、放っておけば今命を狙っている害虫を潰せた戒めを、緩めてしまった。そこに、時間にして 3秒 ギリギリの闘争には致命的な隙が存在する____『ああ。任された』息を止め、慢心の力を込める。把握するのはいつもの攻撃手段だけでいい。注意事項など重々承知。だから、ありったけをぶちかませる最強のタイミングだけを、自分の幻想(イメージ)で組み上げる。半年前、踏み出し損ねたあの日の一歩を踏み込み、私は私自身を打倒する______『術式(ディスコード)・起動(セフティオフ)』
_____3秒
凝視する。禍々しい口腔の先、このカミを駆動させる一点に向けて照準を定める。心臓(アレ)は深くにあり、アレは想像していたよりも巨大に見える。普通の拳ではダメだ、なら____『術式施行(オーダー)・重撃(カタフラクト)』上等。振り上げた拳に答えるように、オムニア・ピンクサファイアが、鶴が首を持ち上げるように真白い足を持ち上げる。それと同時に、これは拙いと理解した彼(マスカレイド)は、こちらに反応を移し始めるが____最早手遅れだ。エレナ・ドラグノフにとっての必殺技の定義は二つ。一つ、能力を知っていても思いもよらないこと。二つ、能力を知っていても """""どうにもならないこと""""" 『術式/二重施行(セカンドオーダー)・重撃/再装填(カタフラクト/フェイルオーバー)』これは、容量を二つほとんど同時期に消費する。
______2秒。
オムニア・ピンクサファイアの能力は、自分の可能な範囲の願いを、過程を飛ばして叶えること。従って、本人が破壊できる範囲内。つまり、本人の全力で殴り破損させられる限界値までであれば瞬時に破壊することも出来る。殴り飛ばすという過程を省略しているのだから_____であれば、従って彼女はこう考えたのだ。それを仮に、二画の容量でもって叶えたのなら____。そして、一撃で本丸を狙うのではなく、外殻、肉、と段階的に。壊せそうな位置に絞って破壊をするのなら。自分の為せる破壊を、二度重ねて装甲をぶち抜き、自分の拳を命の核にねじ込む破城杭(パイルバンカー)が構築されるのではないかと____
『全工程完了(オーダー・オールクリア)』
_____1秒。
言葉と共に、拳の一撃が見舞われる。否、それは正確にはエレナ・ドラグノフが殴った訳では無い。彼女の願いを叶えた破壊が、段階的にそれを叶えたが故に起きた不可避の衝撃_____一度目、口の歯を打ち砕き、二度目、口腔の肉を抉り抜く。三度目、本体の拳とそのディスコードの蹴りによる痛打を無防備な急所へと捩じ込む。マスカレイドが厄介な核を持つのは百も承知して戦略を練り上げた、対「不死身」用の切り札(ワイルドカード)。剥き出しの心臓に目掛けて猛撃する、同時(ノンストップ)四連撃_____!
_____0。
『_____灼煌流星・絶影(バルムンク・リミットオーバー)』_____その命、貰い受ける。
すれ違いざま、舌を抉り去り、捩じ切るが如く拳は一閃する。歌は終焉、閉じられたのは鮮血の幕。ただし_____巨体を内側から抉るようなこの技、つまるところ本体の足場も失う。『着地、任せたぞ____』そして、破壊と衝撃の中を飛び込むようにねじ込む拳も、その余波で血を噴いた。砕けるほどではないが、しかし、受け身を取るには少々骨が折れるところ_____ (5/17 20:33:14)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
(__バケモノの。カミサマの舌が____『抉られる』。ぐちゃり、という音と共に現れたのは先輩とその相棒、ディスコード____彼女『ら』の姿。それは可憐であり力強い。それこそ数秒、一瞬の時だったのではなかろうか。それを『叶えた』のは。)「ッ、センパイ!??!?着地って、どうすりゃ__」(空を舞うように『墜ちる』彼女の下にわたつきながらも潜り込む。そして。)「ッうぐ!?」(ゴツ、ドチャ、という激突音、約30cmもの体格差による衝撃をどうにか耐え___たかは不明、だが。ぐらり、そのまま地面に倒れ込む。)「…ッてて…あぅ、あの!ここから早く逃げないと…(そう、今日の対象(ターゲット)のカミサマ__『マスカレイド・コール』は討伐不可である。今回の攻撃が致命傷だったとしても、きっとすぐにでも身体を修復してしまうだろう。)(彼女の手を引き、バイクのある場所まで駆ける。)「あっ!!!せ、センパイ、っ、あの!その、手…ここにっ、包帯があるので、…す、少しじっとしておいて下さい…っ!(【応急手当】__ぐるり、どくどくと血の流れる手に包帯を巻く。)「…これで!!!一応は良くなったと思う、い、ます…!(もっとしっかりとした手当は学校に着いたときにでも保健室の先生が対応してくれるだろう。)」(自分の手もよく見ると__硬い装甲を殴った拳はボロボロだ。)(が。)「__っ、あのっ…今回は迷惑ばっかりかけてしまって、センパイにばっかり負担を___(初っ端から大声を出したり、『カミサマ』への知識が不十分であったり__)(今回は結局先輩に頼りっきりであった。)」 (5/17 21:09:08)
エレナ・ドラグノフ>
『……?』首を傾げる。先輩にばかりやらせてすまないと、拳に手当をしながら謝る彼に。『二人で勝った、ってやつだろこういう時って。私たちは兵器でもねーし、クローンでもねえ。やれることはみんな違うし、出来ないことだって幾つもある。当然、私とオマエ、二人とも不利な相手とぶつかるとか最悪な場合だってある。』抜け目なく握りこんでいたサンプルを容器に詰め、それをバイクの収納にしまい込みながら。二人でこれは勝ったのだと、そして『だから、オマエはオマエのやった仕事にくらいは誇りを持ってろ。上手くいくかいかないか、分からない仕事だから余計に、自分の得意なことへの誇りは常に手離すな。』オマエがやれたこと、やれることはきっとあるのだから誇れと。『……で、まあせっかく謝られたついでに一つ。』……なんて、かっこつけるのはここまで。血だらけの手首でハンドルを握るのは多分無理だし、これは三人乗りなんぞ無理だから、ディスコードに運転させるなんて不可能だ。然るに『出来るよな、運転。やれるよな、運転。ま……心配するまでもないよな、男はバイクくらい乗れんだろ。』バイクが動かないと、このド田舎から徒歩である______ (5/17 21:34:17)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
「ぇ、えへへ…そう、っすよね!(褒められると、とたん、調子に乗ってしまうのがこの男である。)(先輩の意志。オレだって、いつかは自分を誇れるヒーローに…なんて空想を巡らせる。…が。)「…へ?運…転…?(と、素っ頓狂な声で呟き、)オレに?は、はっははは!!!!!!そりゃーもちろん…ってむ、ムリムリムリムリ!!!!無理に決まってるじゃないですかぁあセンパイ!?乗ったことも無いしソレ以前にオレは免許証なんか____」(圧をかけていく先輩に近くの壁へとじり、じりと詰め寄られ。)「せ、センセーーーーーーーッ!!!!」スマートフォンを取り出すと学校の先生に連絡を__、静かになった田園地帯に情けない少年の叫び声が一つ。)(__まだ、英雄への道程は長い。) (5/17 21:48:45)
エレナ・ドラグノフ>
夕方手前までの授業は、根っからの体育会系かつスポーツを専門にした学校に通っていた私からするならば重労働である。たまに、あの八六ですら、認めたくはないが自分よりこの学校での学びには慣れているだろうと考えるから余計に悔しい。優等生も楽ではないのである。だから予定がない放課後などはいつも、みんなが見ていない場所では落ち武者のように疲弊している。楽しくないことを散々した上で、またやることがないなんてダブルパンチでしかない。『さて、と。掃除も終わり、準備も出来たな。』が、今日は真っ直ぐ寮に返った日の割にご機嫌だ。そう、夕方から行われるお泊まり会があるからである。アレコレ物騒なものは一斉退去、模様替えまではやらないが、掃除機をかけて清掃ロボットも総動員。綺麗にしきった部屋を改めて見てはやれるものだなと思いながら______ノックされるのを待った。 (5/19 01:35:27)
蕪木 千歳>
( 今日はちょっとだけずるをした。といっても、自身のディスコードであるシークレットガーデンを使って、学校から自宅、自宅から学校と往復した。ただそれだけなのだけれど……普段はそんな事はせずに、自分の足で歩いてバス通をしている私からすれば、これはちょっとだけズルいことだった。着替えや手土産、個人的なお菓子、ボードゲームの類いを少々。膨らんだリュックサックに重心を任せると、あっちにふらり、こっちにふらりとしてしまいそうで、なんとか身体の主導権を掴んでいた。歩きながら、壁にかけられたプレートと、教わった番号をメモした手帳を見比べる。寮暮らしでない私からすれば、そこは未踏の地。余所者を圧迫死させるような、知らない場所の雰囲気に包まれた処刑場。だから、部屋番を忘れてしまえばそれが命取り。プレートにかかればた数字がメモしたものに近付くに連れて、少しずつ呼吸が楽になるような気さえした。『 えっと…………465号室……465…4,6……………ぁ、此処かな 』漸くたどり着いた砂漠のオアシスに、漸くほっと息を吐く。ノックをしようとして……改めて、手鏡で自分の身なりを確かめた。いつも通りの制服スタイル。でも心なしか、リボンが曲がっているような……よし、これでおっけー。前髪は……跳ねてないから、取り敢えずよし。最後に鏡の前でにっこり笑顔………よしっ。深呼吸をして、こんこんこん。軽いノック音が3度鳴り響いた。『 ぁ………蕪木です、エレナちゃんのお部屋であって…ますか…? 』 (5/19 01:54:50)
エレナ・ドラグノフ>
『ああ、入ってくれ。』____上下黒のショーパンとインナー。こういうのは部屋着でやるものだろうと思ったが、それだけでは寒いからと上着に羽織るパーカーには、デフォルメされてサメのような牙が生えた戦闘機のマークがプリントされていた。普段ワイシャツにロングスカートを崩さないスタイルからしたら、こうしたカットは希少品である。『……制服、着たままできたのか。もしかして、そのままで部屋に居たりする、のか……?』部屋の内装は、強いて言ったら___センスが壊滅していた。多分職員室の余りだろうスチール製のデスクを、横にして部屋最後部に。低いガラステーブルと、向かい合うような革張りの椅子は応接用だとわかる。棚や収納にはトレーニング用品や週刊誌などそこまでおかしくはないのだが、サボテンやら観葉植物や野花などどう見ても置きすぎでまとまりがない。ついでに、何かウエスタンにでも憧れたのか、モデルガンを壁にラックを引っ掛けて飾ったかと思えば、模造刀を机の上に置いていたりする。調度品が過多なのだ。ちなみにエレナは制服でいるのが嫌いだ。簡単だが、サイズがギリギリしかないからいつはち切れたかわかったものではない。そのためコスプレに近い絵面になったことも多々ある。そのため怪訝そうな顔で『服、私の貸そうか……?』他に持ってないんじゃ?と強ばった顔で見つめた (5/19 02:13:00)
エレナ・ドラグノフ>
それは噂話だ。飲み会でたまに出るくだらないジョーク、放課後の帰り道にでもする話。けれどそれが本当は噂なんかではなく____質量を持って人を傷つける存在だと私たちは知っている。それはあるオフィスビルの二階、小さな広告代理店で起きたことだった。どうやら「パスタがある」という不振な連絡をSNSに残して以降は消息不明。唐突に現れた、なんじゃそら?もいい所のメッセージは話題を呼び___遂に、この見習いヒーロー達の耳にも届く運びとなった。そのため、私たちが調査を任された、のだが。『中に入る時は、覚悟をしておけよ。投稿されたのが約2時間前。先生達が不振な投稿を見つけたのは30分くらい前。つまり_____』その先は口にしない。1時間半以上、カミサマと一般人が同室していたなら、その結果は明白だからだ。これは多分、誰かを救いに行くようなかっこいいヒーローの仕事なんかじゃない。次以降の犠牲者が出ないための事後処理だ。同行している少女___本名は目尾と言ったか____に、入口へ入る前に改めて忠告する。『行ける決心は着いたか。着いてないなら、しばらくなら待ってやれる。それでも怖いなら……手くらいなら繋いでやれる。』 (5/19 15:13:15)
目尾 瞳乃>
( 簡単な現状報告とこれから先の警告。それを聞き終えると、彼女は不安げにうんと頷く。準備は万端、覚悟は八割。隙間に残る恐れを潰すよう、目を瞑る。───「……」頼りになる手に目を向けた後、逡巡、下手な愛想笑いを見せた。まだ、何も出来てない。そんな最初っから助けを求めてしまうのは惜しく、本当にダメだった時に頼るべきだと自己判断を下し、ぎゅうと握り拳を作った。)「大丈夫、行けます。エレナさん、よろしくお願いします」 (5/19 15:51:18)
エレナ・ドラグノフ>
『そうか』短く答える。手を取らなかった彼女は、自分で歩くと決めたんだろうから____かつ、かつ、と階段を昇っていく。行くな、行くな、と頭の何か普通は使わない箇所が警報(アラーム)を鳴らす。盾になるように先を歩き、金属製の扉に手をかけて_____拙い、と、なんだって私の注意とか恐怖とかは遅いのか、開いたあとにようやく思った。『____ッ』そこは、一言で言うなら地獄だ。足の踏み場がないくらいに撒き散らされた血液や、肉片。壊れかけたぬいぐるみのように、身体の部位を割かれた遺体がいくつも転がっている。多分、銃でもこの部屋にあれば彼らは何百倍もマシだっただろう。アレは即死するが、オフィスにある用品で人間を殺すには何回も、何回も衝撃を加え、力で引きちぎる必要がある。突き刺し、折り、割れながら。ペンやカッターナイフで頸動脈をかききるまでぐちゃぐちゃに肉を抉った痕もあれば、デスクに何度も打ちつけられ、半ば溶けだしたように顔を突っ伏したままで事切れてもいる。『私たちが間に合わないと ""こう"" なる。アリとかカエルをガキの頃に酷い殺し方したこと、一回くらいあるだろ。人間(わたしら)なんて言うのは、カミサマからしたらこんなもんだ。』_____そして、不自然なほど自然に、デスクに置かれたパスタ。逃げよう。逃げろ、と頭の中で声がする。しかし、そんなものより先に____沸騰しそうな怒りが湧く。『行くぞ、アレを倒す。____二人で、な。』 (5/19 16:27:58)
目尾 瞳乃>
( 扉を開けた。まず目に入ったのは薄桃色と、赤色と、黒と。ぐちゃぐちゃに混ざりあったソレは絨毯のように床を隠している。まだ乾いてない液体はてらてらと光を反射し、ワインでも零したみたいだ。人の原型を保った死体を数える余裕が彼女にはあった。否、非現実的すぎて思考が追いついていないのだろう。いち、に、さん……抉り出た眼球と目が合った。潰れた眼球が転がっていた。目だったものがそこにある。無意識に自分の目を隠した。──不意に視界に入った、鮮やかなパスタ。(美味しそう。)漠然と、そう思った。こんな状況で食欲など湧くはずがないのに。──一瞬にして自分の思考を否定するように首を振る。もう一度、空間を見つめた。今度はハッキリと〝恐怖〟を感じた。感じることが出来た。耳から聞こえる鼓動が、これは現実だと言っている。)( 彼女より、比べ物にならないくらいに貴方は勇敢だろう。その強さで、真っ直ぐに『倒す』と言う。その言葉に我に返ったように頷いた。「はい……」言いかけて、貴方の空いた手を見た。「手を、繋いでもいいですか?」貴方が周りの肉片のようになってしまわないか心配で、不安で、怖かった。怖いなら手を繋いでくれる、そう言っていた。ならば、と。勇気を求めるように手を伸ばした。)>エレナさん (5/19 16:50:01)
エレナ・ドラグノフ>
『……ああ、いいさ。』確と手を取る。怖くない、と言ったら確かに嘘になる。その向こう側に見えるのは、最初に来た女の子の姿なんかではない。何か巨大な胃袋の中にいるような悪趣味な触感。肉をぐちゃぐちゃと混ぜる音。血の匂いに妙に甘ったるいような香りが組み合わさり、最悪だ。血が流れ落ちる音____それらに、思い出される記憶があった。ぶつかる重い痛み、衝撃。酔っ払いそうになるくらいギラついた照明、もうやめてくれと絶叫する肺腑。"""長引いた""" 試合は、思えばいつもこんなだった。多分勝てない相手に、動かない身体。口の中にしみ渡る血の臭気。最悪な環境の中体を動かす。何やってんだろ私、と何度も思ったし、やめとけばいいのに、と思った。"""…………おっとここでいきなり得意の右フックが炸裂ッ、炸裂したッ!!!!!絶対王者ジニー、まだ食らいつく、まだ食らいつく!!!タックルをかますッ、さあこれだけ食いつけば、向かうところ敵なしといったところでしょうか、連勝記録を塗り替えられる事はやはり無いというのだろうか、ここが蟻地獄の始まりであります。さあ、絶対王者、ジニー・ヘンドリック…………!!!""""暇つぶしに見た古い録画、母が持ってきたDVDが、頭の中にずっと流れている。あんな風にいけねぇかなぁ……いや、無理だよなあ、の繰り返し。『聞こえてるなら、聞いていてくれ。聞こえてないなら、まあこんな恥ずかしいこと無視してくれたっていい。私もなんだかんだ、文句を言わずに戦ってるが……実は、毎回ちょっと怖くてな。負けたら、死んだら、より、"""しんどい"""、の方が怖い。走り続けるのも殴り続けるのも、やめた方がいいんじゃねぇーのといつも思うし、辞めるのが怖い。』ただ。そこを逆転するからチャンピオンなんだと思うと。そして、そこで逆転するためにチャンピオンは頑張るんだと思うと。自分でも笑えるくらい不思議と、勇気が湧いてくる。『ただ_____貴様も含め、一緒に戦う誰かがいる。そして何より……!10年、鍛えてきたんだ。怖い時に踏み出すために、怖い相手をぶん殴るために。弱い自分をぶっ潰すために。貴様も、ヒーローなら____何か誇れる、ことを持っていたりしないか。』だから、ここで踏み出すなにかを、君は持っていないかと問いかける____画面の向こうのヒーローは、いつもそんなことを言っている気がしていたから。 (5/19 17:32:15)
目尾 瞳乃>
「ありがとうございます、」( ホッとした。縋るように手を取る。温かいと僅かに緩む頬は途中で強ばる。匂いが増したのだ。まるで、隣からその異臭がしだした様な。錆びた鉄の匂いから、残飯の匂い、腐敗臭、全てが混ざった不快な匂いは、パスタに近づくにつれ強く増す。加えて視界が眩む程に凄惨な光景がより酷く醜くなる。隣の貴方ですら、ブヨブヨとした肉塊でしかない。報告書から知っていた筈なのに。肌を伝う汗がひどく気持ち悪かった。軋む頭の外側から声がする。途切れ途切れ、『しんどい』だとか『怖い』だとか。だけど、『10年鍛えてきた』そこから続く言葉は貴方だからこそ重い意味を持つのだろう。明確な目標と、前向きさと。その強い光に憧れない子供はいないんじゃないだろうか。(主人公って本当に強いな。)「誇れるかは分かりません。けど、人一倍耐えてきたと思います。苦しくても泣きませんでした。辛くても逃げませんでした。大した努力もなにもしてないし、自慢できる物でもないんでしょうけど……」手に力を込める。じっとりと汗ばんだ手も、今は接着剤の役割を果たしているだけのような気がした。「だから、今回も耐えきれます!」戦う仲間がいるから頑張れる、そんな貴方に返す言葉としてはこれ程心強い言葉は無いだろう。なんて、自惚れすぎだろうか。)>エレナさん (5/19 18:06:27)
エレナ・ドラグノフ>
『____聞こえたぜ。ぐちゃぐちゃのノイズなんかよりうるさくて、熱い声が。』ニィ、と笑みを作った。耐えてきた。泣かなかった。それがどれだけ強くて、すごいことなのか。彼女は理解していないのかもしれず『そうか、努力してきたことだとか、誇れることだとか。すぐ簡単には、自信は持てないだろう。』また、自信だって持てないかもしれない。『……なら、貴様がそう思えるように_____これから、幾つもの楽しい記憶を増やせるように。』であれば、今日の主役は私ではなく、彼女でなくてはならないだろう。『……行け、Great Mischief 耐える時間は終わりだ。道なら_____この私が作ってやる。』クリーピーパスタ。それは五感を操り、虚無感と絶望感を味合わせる。仲間を怪物のように見せて殺し合わせ、その言葉も相手に伝わらないことだってきっとあるだろう。___だがここに例外は存在する。手を引いて走り出したその引力までもを誤魔化すことは、無かったことには出来ない。 標的へ目掛けて、走り込む。頭がぐちゃぐちゃになりそうな、この世のグロテスクなものを掃いて集めてきたような汚物の渦に突っ込む。だが___今の私を止めたいなら、この100倍はもってこい___!!『決めろ、と言った。主役は貴様だ。』 (5/19 18:36:42)
水沫 泡>
(静寂が歩みを進めるように、時を刻む音が部屋に響いている。柔らかな陽の差す夕方。彼は人気のない図書館で机に向かい合っていた。トン、トンとペンで軽く机を叩き、頭をひねってたまに体勢を変えてはまた頭をひねっている。こうして何分の時間が過ぎたことだろうか、彼がここにやって来たのは30分前。目の前に広がるのは未だ白紙のプリントだった。)(プリントには、改めてヒーローとは如何なるものかを問いただすような文章が書かれていた。彼はそれに向き合いうんうんと唸っていたわけだ。先日、我々は前正式な任務を受け依頼を遂行した。首謀者(被害者)であった彼らがどうなったのかはただの生徒である自分が知るはずもないのだけれど、確かにあの二人を救った。………救ったのだと、そう思いたい。)「〜〜〜……どうしてヒーローを志したのか。ねぇ」(彼は息を止めて、ぐっ……と考える。………しかし、何も思いつかなかったのだろう。その後脱力したように大きく息を吐き出した。たかが一課題、こんなの適当な綺麗事を書いておけばいいのだろうけど彼にはそうは出来なかった。授業中にさらっと書き上げてしまう人もいれば、自分と同じように悩む人もいた。ヒーローに対する想いは人それぞれだ。)(彼にはずっと考えていることがある。いつだってその事をグルグルと考えてしまい、思考がまとまらない事だってある。今だって、)「ねぇ、どう思う?……って、エレナはちゃんと理由あるもんなぁ」(彼はぐでっと身体を前のめりにして正面にいるあなたに話しかけた。"一緒に課題に付き合って欲しい"そう誘ったのは彼だった。こんなこと、ハチロクに聞いても過程をすっとばした答えしか得られなさそうだし、彼にとって頼れそうなのは君くらいだったのだ。) (5/19 19:07:37)
エレナ・ドラグノフ>
何故ヒーローを志したのか。当たり障りのない回答をしてしまった自分には、それを悩む彼がずっと正直者に見えた。課題を手伝うことにはしたものの、実際これは本人が考えるべきことだ。こうやって済ませればいいんじゃないか?なんて野暮な入れ知恵はせずに、質問があるまでロボットのように沈黙する時間が流れていた。……で。『あ、ああ。いきなりだな。』少し寝ていたのは秘密。『ヒーローをめざす理由、で書けないなら、こんなことをするやつは自分にとってヒーローじゃない、と思う要素をまず並べたらどうだ。時に、こうなりたい、よりもこうはなりたくない、と口にする方がずっと具体的なこともある。』ある哲学者は昔こう言ったとさ、死が物事の指標だと。これがなければ死ぬ、このためなら死ねる、という物が人生から様々な欲求や風評という雑音を取り払ってくれると。『ヒーローにも色々ある。金の為だっていいだろうし、スリルが好きだから、でもいい。生き物を殺すのが好きなだけのやつでも、場所や舞台を変えたら英雄になることもあるんだから、清廉潔白が条件かと言うと微妙だ。』ヒーローとして恥じない仕事さえしていたら、そのモチベーションははっきり言ってどうでもいい。そんな風に、ヒーローが居なくてはすぐにも命の危機に瀕する無力な市民は思うのも道理だ。かっこよくなくても良い、戦ってくれる存在がその場には必要なのだから。『そういう、色んな条件がある中で___貴様は、どんなヒーローにはなりたくない?』 (5/19 19:37:03)
水沫 泡>
『こうなりたい、よりもこうはなりたくない、と口にする方がずっと具体的なこともある。』「……なるほど…?」あまり頭の良くない彼にあなたの言葉はよく響いた。一方通行に"ヒーローとは何か"を考えていた彼は、新たな視点を与えられてパチクリと目を見開く。その目でたくさんのことを映し出そうとする。『___貴様は、どんなヒーローにはなりたくない?』「………人の気持ちを、理解しない。ヒーロー。」「例えごまんと人を殺したやつでも、理由も聞かずに殺してしまって、平和を気どるそんな……そんな奴には、なりたくないなぁ」彼はボヤくようにそう言った。それはあなたに与えられた問への解にも思えたし、彼自身に言い聞かせているようにも思えた。へにゃりと机に頬をつけたまま、彼はプリントを裏返しサラサラとメモをしていく。筆圧のない薄く小さい文字が羅列される。「あと。……何も言わずに死んでいくヒーロー。」手が止まる。それはいったい誰のことを指していたのだろう。一瞬、彼自身にもわからず戸惑ったような顔をした。しかし、すぐにメモを取り始めればポツポツと続けた。「俺らには何かを残そうとするくせに、自分の全部を投げ出すヒーロー。残された人の事を考えてないみたいで、なんか。悲しい」(微睡むようなこの時間の中、彼は眠気に襲われているのかそれとも気分が落ち込んでいるのか。声がやや丸く萎れていた。しかし、そんな感情を拭うようにのそりと起き上がれば、硝子の瞳に君の綺麗な青を映し出す。)「エレナは?どんなヒーローに"なりたくない?"」(君はとっくに課題を終えただろう。それはつまり、ヒーローを志した理由も、理想のヒーロー像も、その逆も、しっかりと君の心に根付いているということだ。少し眠そうな目をしているのは、きっと彼にはバレてしまうだろう。彼は優しく微笑みかけて首を傾げた。彼はただ興味があったのだ。忘れもしない土砂降りのあの日に、自分の中にあった強固な心の壁を柔らかく溶かしてくれた君の信念が如何なるものなのか。)>エレナちゃ (5/19 19:57:38)
エレナ・ドラグノフ>
『確かに、そんなやつはダメだ。何も言わないで居なくなるっていうのが、どれだけ大変なのかだって全然考えてない。残してくれたものばっかりあっても、困るって考えつかないんだろうな。』自分の時もそうだったから、それだけは同意できた。けれど、彼が元気なさげに答えたのに対して、私は仕方ない奴だからなあ、と言う意味で答えた。ヒーローというから何やらすごい人に見えるが、中身は人間だ。ちゃらんぽらんで、無茶苦茶で、その癖寂しがり屋で、子供っぽくて、ニュースなんかにヒーローの活躍が映る度に、アレは私の古い友達なんだなんて、毎回毎回騒いでいたのが私の母(ヒーロー)だ。だから、ふらっと居なくなったのだって、そんなわがままの延長線な気がして____『私、は……』流れとしては自然だった。自分にとって、一番の失点はとうに理解している『弱いヒーローにだけはなりたくない。負けるのも嫌だし、傷つくのも嫌だ。負けたら誰も救えないし、自分が傷を負ったら誰かを助けにも行けない。』それは弱さ。『そしてそれ以上に___弱いのを言い訳に諦めたくない。弱いから逃げていいなんて、自分にだけはもう ""二度と""" 言いたくないんだ。』弱いから仕方ないなんて、そんな甘えたような諦めが、正しいなんて思えなかったから____『誰かを助けるだとか、正義だとか。いくら着飾っても、敵がいる以上最後にものを言うのは力だ。』 (5/19 20:16:37)
水沫 泡>
「やっぱりエレナは強いなぁ」(君の回答を聞いて、彼はどこか安心したような顔で笑うのだった。君がいれば大丈夫な気がする。君が来てくれれば助かる気がする。それはヒーローにとって大切な確かな安心感だと思った。きっと君は強さという形でヒーローを追い求め、既にそこへたどり着こうとしている。彼は、お粗末なメモの書かれたプリントに再び視線を落とし落書きを始めた。)「でも、弱さってそんなに悪いことじゃないと思うよ。」「力不足で手が届かない悔しさは、俺も少し分かるんだ。……でも、初めから強かった人ってきっと、弱い人の気持ちが分からないんだよ。」そこに描かれるのは、丸っこくて拙いウサギのイラストだ。それを書き終わると、次は周りに草やら花やらを書き足していく。「弱さっていうのは一種の強さだよ、きっと。」「……後から強くなったところで、昔の嫌な事が消えるわけじゃないけどね」(彼はあなたに同意するよう言葉を続けるが、どこか違うふうにも考えていた。彼は弱さを許容している。自分がそんなに強いわけが無いんだ。昔から傍にいたハチロク程ヒーローが好きな訳でもないし、君みたいに強い力がある訳でもない。あの日逃げることしか出来なかった自分は無力だったし、________。けれど、その無力感で誰かを救えると思っている。弱くても良いんだと、許してくれる人がいれば、きっと救われることもあるだろう。)>エレナちゃん (5/19 20:36:27)
エレナ・ドラグノフ>
『……そんな』____弱くても、いい? 何か冷たい響きが、胸に走った。『そんな悔しさ、そんな気持ち、私は知らなくても良かった。』弱いからこそ誰かを理解できる。弱いからこそ何か分かってあげられる。納得がいかなかった。だって、救っておいて """誰かが救わなくてはいけない人に""" あとから救ってくれなんて言うのはあんまりに_____馬鹿みたいじゃないか。なんて、建前の話は出来るかもしれない。でも、この痛みはそんなものよりずっと深い場所から来る。だから、そんな風な言い訳は口から出なかった。唇を噛んで俯く。可愛らしいウサギの絵が、なんだか自分を馬鹿にして笑っているように見えた。『いや、私の話はいいんだ。今日は課題に付き合うはずだったよな。……終わりそうなのか。』それを振り払うように、こんな話はいいから、大丈夫だからと務めて明るく笑った。それから焦って課題の文面を見る。_____なぜヒーローを志したのか。 1番見やすいところにある文章が、いつも簡単に書いてしまう題名が、今日は酷く重苦しいように見えている。 (5/19 20:54:45)
水沫 泡>
「うん、おかげさまで」(課題は順調だ。君の一言が彼に沢山の影響を与えてくれたから。彼はペラリとプリントを裏返して、空欄に回答を書いていく。""世界がどうしようも無くなった時にみんなを救うため""と。他にも色々ある。ヒーローを好きになるためとか、世界を好きになるためとか。でも、君を見ていて彼は強くこう思ったのだ。太陽のない7日間、あの絶望の7日間はきっと、世界がどうしようも無くなった時だったのだと思う。そうなってしまった時に、もし君みたいな強く勇敢で気高いヒーローが倒れてしまいそうな時に。次は自分がと何故か足が前に出たから、多分ここに来てしまったんだと思う。)「もし、もしも。君が何かしらの理由で傷つき折れそうになってしまった時に。君のことは誰が救ってくれるの?君より強い人?それとも君自身?」(『こんな気持ち知らなくてよかった。』そう言われると、もしかしたら今自分はとてつもなく酷いことをしているのかもしれないなと思った。どうしてこんなことを君に聞いているのかは分からなかったけど、どうしてもそのままは良くないと思った。これは完全に彼のエゴだ。……それから、君が考えている間に、何かを答える前に彼は言うだろう)「僕は君より弱いけど、君のことも救うよ」(できるか分からないどね、と照れ隠しに付け足してはにかんで。) (5/19 21:12:00)
エレナ・ドラグノフ>
『……私、は。私は……助けられなくていい。一番最後、自分で、助かればいいんだ。』そんな暖かい言葉は自分には有り余るようなもので、泣きそうな顔を作りながらかぶりを振った。君を救う。そんなことを言われたのは、始めて____ではなかった。しかしそこを、頼っちゃいけない、甘えちゃいけない、そうしたストイックさの中で爪を研ぎ牙を磨き上げた。そうして誰よりも強くなれた気がして、そういう訳ではないと知る度により強くなろうとした。この肉体は、言わば呪いの輝石(ホープダイヤモンド)。最強の力を手に入れた者は、誰を救い誰と戦うのか。 強いヒーローでありたいというのは、同時により強い悪を求める矛盾に他ならないのではないか『私は、小学校の頃に友達を死なせた。』____あの時の、話をした。熱を出して学校を休んだ時に、誰もいない家に強盗が入ったこと。子供部屋には用がなかったのか自分は無事だったこと。しかし、宿題を届けに来た自分の友達が鉢合わせになり襲われたこと。その子が死んでいくまでの間、扉のすぐ向こうで動けなかったこと。熱で酩酊した頭で穂坂の家に転がりこんで助けて貰ったこと。そんなことをしている間に……自分の友達が苦しみ抜いて死んだこと。それを理解していながら、報復が怖くて中々通報を頼めなかったから、今も犯人はどこかにいること。それらをみんな話して_______『私は、あの日私の友達を、見捨てたんだ。だから、助けて貰えるような人間じゃない……し。』それを呪うように、自傷行為にも等しいくらい強くなった。『その分は、他の人に分けてやってくれ_____』弱音だった。拒絶しきれなかったのは、タダの私の______ (5/19 21:37:32)
水沫 泡>
「だめだよ」(彼はカタンと立ち上がって、前のめりになった。その顔は至って真面目で、真剣だった。)「あぁ、いや……。ダメなんかじゃない。君は強い、俺の助けがいらないくらい強い。」「でも、その強さの理由は……!君が昔"弱かったから"。」(それから彼は慌てて否定の言葉を訂正した。君が強いのが、弱かったのがダメなんじゃない。)「俺は別に救われなくていいと思ってた。俺がこの無力感で誰かを救えたらいいと思ってた。」(でも君はあの日、踏み込んできた。)「そんなのを救ったのが君なんだ、君は俺のヒーローだよ」(彼は恥ずかしそうに少し頬を染めながら君に訴える。ダメなんだ、絶対に、絶対に_______)「君が救われないなんて"ダメなんだ"。」「俺を救った君が、君以外の誰にも救われないなんて俺が許せない」(いつか自分も、自分で自分を救えばいいと思っていたから。そんなことは無いと手を差し伸べたのは君だったから。)「君がかつての弱さを許し受け入れられないのなら、代わりに僕が受け止める。いつか、君が人の弱さを許せるようになった時に返すから」(俺が君の強さと弱さを許容する。)「君が君を救えるまで、俺がエレナを助けてみせる。」(それは強き英雄バーバ・ヤーガではなく。1人の人間エレナ・ドラグノフを。)(………そうしてようやく、彼はこの静かな図書館で大きな声を出してしまったことに気がついた。幸い周囲に生徒は……居ないことにしよう。そうであって欲しい。頼むから。彼は君から恥ずかしそうに顔を逸らしてそっと着席すれば、終えた課題のプリントをファイルへとしまいこんだ。) (5/19 21:54:56)
エレナ・ドラグノフ>
『……貴様なら、分かってくれると思っていた』ダメだよ、と言われた。助けられることが出来ない人、助けられなくてもいいやという人。という共通項があったからこそ、あの時熱くなったのに。それが共通項なんかじゃなく、全然違う価値観なんだと___思い知るくらいなら、知らなければ良かった。続く言葉が耳に入らない。風や木の葉の揺れ、時計の音、当たり前にありすぎていちいち気にしないものであるかのように通り過ぎていって___君は俺のヒーローだよ 『え____』そこで、音を取り戻した。私は助けられなくてもいいや、なんて思わない。むしろ、助けられたらダメで、助けられなかったからこそ、償うためにたくさんを助けなきゃダメで____頭に浮かぶ反論。それはある種の狂気と言っていい。それは随分にしつこく、随分に面倒かもしれない。けれど______"""もう、いいんじゃないか""" と、言葉と裏腹に語るようだった。ああ、きっと、辛い思いや痛い思いはこのために……。人に頼ることを、許していいんだよと。呪いは呪いのまま、しかし痛みを代わりに引き受けていく。失敗を、過去を呪い強くなるのは間違っていると思えない。けれども____だからって、誰かを救いたい人の気持ちまで見て見ぬふりをしていいのか。『随分、威勢がいいが____私は、そうヤワじゃない。貴様は弱っちいし、抱えて持ち運べるし、私の好みでもない。いい先輩というにはなんか頼りないし、思いっきりパンチしたら壊れそうだ_____』ふ、と笑い。それから、私より弱っちい癖に。なんて、珍しく憎まれ口を叩いた。『だが、言うことは随分といい男みたいだ。そこまで大層なことを言ったからには____責任が、伴うと思うんだが?』それは照れくさくて、そして_______満ち足りたような、はにかんだ笑顔だった (5/19 22:21:46)
水沫 泡>
「んなっ、そりゃ……俺は、君より弱いし、小さいし、運ばれるけど……!?」(彼は白い肌を赤くして言い返そうとして、やめた。全くもってその通りだったからだ。今でも彼はどこかで救われなくていいと思ってる。でも、道はそれだけじゃないのだと、君が手を取るかは分からないけれど、差し伸べることはきっと間違いじゃないと思った。)『____責任が、伴うと思うんだが?』「せきにっ……それは、ちゃんと……」(君の言う責任が、何がどう言う意味のソレなのか分からなくて彼は頭を混乱させた。ちゃんと守れということか、救いきって見せろということか、それとも……???んなわけあるかおばか。なんて頭の中でツッコミを入れてはいたが、きっと彼は""責任を取れない""。なぜならそれは、そう遠くないうちに彼に死の雨が降り注ぐことはもう決まっているからだ。それを何となく感じ取っていて、きっと彼はハッキリとは返事をできない。)(しかし、まるで責任を取ってみせると。肯定するように君の笑顔につられて彼は目を細めて笑った。君の前で、あの日のように誤魔化すみたいに笑うことはもうないだろう。彼は知らず知らずのうちに君に背を預けてしまっているから。だから、花のように笑う君がもし、少しでも寄りかかってくれるのなら、1人のヒーローとしてきっと支えてみせるから。) (5/19 22:40:11)
エレナ・ドラグノフ>
『……ちゃんと!?』自分で言っておいて、顔が熱い。まだ 「ボクにはそういうのは……」と言われた方が____多分その後すぐさまにぶん殴るのだとしても_____自分の精神はかなりマシな事態だった。ちゃんと。ちゃんと私に責任をとる。というのはそれは_____! そういう意味で言ったのではなく、本気?と問い直したつもりだったんだ。だが、今こんな空気の中言ったら……私は誰かに殺されそうな気がしている。オムニア・ピンクサファイアは失敗を呪うはずなのに、私は最近結構恥ずかしい失敗ばかり繰り返してはいないだろうか_____?『え、と_____』間抜けな声が出た。彼はなんで、こんなにも嬉しそうで、そして寂しい笑い顔を作るんだろう。そんなことを思いながら時が停止した。おそらく一秒にも満たない静止の時間。図書館を背景に微笑んだ彼の姿を、きっと私はどんな地獄に落ちても忘れはしないだろう____『その意気はいい。だが、身に余るが私を慕う人間も多く、引く手は数多だからな。』歯が浮くようなことを前段にする。普段は力技のくせに、なんだってこういう時には真っ正直に「それどういう意味?」とか聞けないのだろうか。たまにあの、デリカシーが皆無の八六(ばかもの)が羨ましくもなる『______か、数ある候補の、上の方に加えておいてやろう。』『なんの、かは聞くな馬鹿者……貴様が連想した、ソレだ。』もう、どうにでもなりやがれ_______! 〆 (5/19 22:59:07)
エレナ・ドラグノフ>
私は、カミサマの調査なりその他ヒーローとしての職務で、組む相手を選ばない。仮に能力が著しく低いなら私が守ってやれば良いし、精神的に不安定なら支えてやろうと思っている。だが___『……やれるのか、貴様は。』それがよりにもよって、ウサギというのは初めてだ。話自体は聞いていた。話すウサギがいること、そしてそれは生徒であること。知っている、知っているのだけど。人気のぱたりと絶えた深夜の住宅街。少しでも住める人を増やそうと詰め込むように建てられたアパート、団地や安宿の集合体、増改築を繰り返して合成獣(キメラ)のように歪な迷宮と化したそこは、昼間や夕暮れくらいならノスタルジーを掻き立てるようなしみじみとする寂れ方をしている。だが、こうした夜更けになると、死に絶えた恐竜が乱立したまま化石になったかのようで不気味極まりなかった。街灯もまばらな黒い町を歩く中で、その姿はあまりにも___すぐ近所から今の今逃げ出したペットみたいに見えていた____やれるのか?と問う。それは、今回の標的が一筋縄ではいかないがためだ。『これは貴様の見た目だけを判断して言っているのではない。今回の相手はそれほど厄介、ということだ。』一娩望坊 よりによってこの萎びた町に現れ、今なおその周辺に身を隠すカミサマの特性は、何よりその速さだ。時速100km、高速道路でしか許されないような速さで接敵し、飛びかかると同時に抱きしめるような形で骨を砕く。だが、攻略法がないわけではない。その証左に、幸いにも襲われたという人は軽傷だった。それはこの入り組んだ集合住宅の群れが、その進路を塞ぐ壁として機能していたからだ。つまり奴は、直線に移動し、急には止まれない。それらを判断した上で____『貴様を守りながら戦うか、そうではないか。それを先に自己申告してくれるなら越したことはない。後から庇いにいけるほど、奴は鈍くないからな。』 (5/22 12:14:21)
Walter=Von=Neumann>
「ふむ、なるほど。……では守ってもらいましょう、奈何せん私は戦闘は専門外でして…ッ、それと、私はヴァルター・フォン・ノイマンと申します。ああ、自己紹介は結構。…君はかなり有名ですからね。我が校1の物理破壊力を誇る怪力の " 魔 女 " 、お会いするのは初めてですが、…道理で。」(彼は自身のタキシードの襟元をくいと整えればじとりと値踏みするように君の身体を見てふむ、と鼻を動かしてそう応えるだろう。けれど、その途中で長い耳はピンと立つだろう。そして自己紹介を挟んでから態勢を低くして、こう続ける。)「……ところで、前方50m、音が反響しにくくて判別が難しいのですが…二足歩行の何かが来ていますね…緩衝材の音じゃない、…裸足です。」(さらに言うならば体重は君と同じか君の方がやや重いくらいだ、とも判別できるはずだが、彼はそこまでは口にしなかった。何とはなしに女性にそんな事を云うべきではないと察したのだろう。) (5/22 12:41:24)
エレナ・ドラグノフ>
『身に余る言われようだ。然るに、今は貴様風に言うなら____最高の破壊力と、最高の頭脳、とでもさしずめ言うわけだ。』やはり、大人にははなりきれないものだ。こういういかにもな「最強チーム」みたいなものは、不謹慎は承知で胸が躍る。『____そうか、であれば貴様、何が専門内に当たる?奴の足を止める何かであれば幸いだが。』時速100kmで走行する人型の怪物。言わばそれは、ライフル弾の速さで飛んでくる断頭台(ギロチン)に等しい。であれば、まともに手を突っ込んで殴り殺すなどナンセンス。まずは対象の足を停めなければ話すら始まらない____『飛び込め!そしてそのまま掴まっていろ!!』両手を開き、どうなるかなどひとまずは考えずに、曖昧な場所に駐車されていた車の後ろに目掛けて飛び出し、回避行動をとる。それは、50m先に対象が居ると聞いたその瞬間からだ。少なくとも、ウサギと人間どちらが頑丈かなど、今更言い表す必要もない。ならば、この場合は彼を庇いながら、迎撃の起点となるプランニングが出るまで一旦走る。少なくとも前方にヤツがいる状態はあまりにも不利で___だが、待たない。人間にとって不利ならカミサマには有利以外の何ものでもない。いつものように彼は走る。抱きつき、人間を砕く感触をいつものように享受するために。位置について、よーいドン! そんな合図があったかのように、死の陣風が吹く___! (5/22 13:15:38)
Walter=Von=Neumann>
「人間の脳が筋肉に圧迫されるなんてどこの書物にも書いてませんでしたけれどね、2度も言わせないでください。私は戦闘に転用できる力なんて持ち合わせていません。あるのはあらゆる種族の言語や意思を読み解く頭脳だけですッ」(君の合図に合わせて、自慢の脚力で飛び退いて、君の胸へと飛び込むだろう。掴まれと言われても女性の身体である以上、彼もその豊満な胸囲にしがみつくことなど出来ず、できる限り君に負担を掛けない様にと君の身体を攀じ登りながら肩の上に落ち着く事だろう。体重はたった15kg、君にとってはもはや無いも等しい筈だろう。足止めの方法ならある、が、それは切り札だ。彼にはこの任務に当たる際にひとつ疑問があった。それは、識別番号IMO_4617_JPNの呼び名である。一娩望坊、一つ、娩む、望む、坊、それはまるで、意思なく人型の何かを圧殺して取り込む化物には似つかわしくない名前であると思うのだ。)「しかし…エレナ嬢、ひとつ、私に考えがあります。君の様な思慮の浅そうな筋肉繊維の塊とタッグだなんて不愉快極まり無い、というのが本音ですが…最高の頭脳と云う言葉に煽てられて聊か今の私は気分が良い。君の破壊力、この頭脳に預けてみませんか?」(風達がその危険性を告げる様に悲鳴を上げる。高速移動するそのバケモノに圧迫されて逃げ道を失い旋風となり周囲へと撒き散らされた気体は悲痛に啼いて、聴覚器官が発達していない君にすらその脅威を告げる。時速100km、否、あくまでそれは統計的な数値に過ぎない。平均化された数値である時速100kmという表記には個体差による差異が表示ているだろう。彼らが想像していた速度よりこの個体の速度は見るからに早い事だろう。そこに居た筈の自分たちを包み圧殺するべくして虚空を掴んだ複数の腕はそのまま空を切り、何を掴むことも出来ないが、彼はその腕の動きにまた違和感を感じ、それが一抹の疑念の解となる。【言語学】、それは意志や真意を読み解く学問である。彼はその動作から一娩望坊が何を“望”んで居たかを導き出す力を持っている。) (5/22 13:44:46)
エレナ・ドラグノフ>
『その本音は、しまっておくのが身のためだぜ。作戦があるなら乗ってやる。だが早いところ思いつけよ_____』つくづく、馬鹿げていると思った。すぐ真隣にある車の扉が風圧で外れかかり、かわされた果ての行き先となった塀はスナック菓子やウエハースより儚く崩れ去っている。それで多少痛みくらい感じてくれていたなら、それほど焦りも抱かなかっただろう。だが、どうやらコンクリートの塊は、障害であっても要害にはならないらしい。足自体は止まっても、引き返す予定ありきで身体を大義そうにこちらに振り向かせる。____つまり、アレの直線に立つのは死と同義だ。上手く壁を使い避けながら時間を稼ぐ、なんて少し前の私は考えていた訳だが、よくも簡単に言ってくれる____!『アレとの追いかけっこは、私でも骨が折れるからな。』二発目。それを食らう前に、塀を腕力で無理やりに登り、路地から駐輪場の屋根に落下する。周りは開けた駐車場も隣接しているが、車やら車止めのフェンスやらで障害物自体はいくらでもある。後先考えていた訳では無いが、高さ。つまり上から下、下から上はやつから逃げるのに効果的_____『な訳ねーな。もしかして、スポーツ番組とか見てんのか。』否。塀を突き破り、失速したとはいえその速さは健在。こちらが屋根から飛び降り、走って引き剥がすより先に、目の前で三走目の準備に入っている。速さに絶対的な差がある以上、後手に回るのは道理だが_____『衝撃に気をつけろよ___』そのまま転がり込むように真下に落下。自転車の荷台の上にあちこちぶつけながら降下する____当然ながらむちゃくちゃに痛い。やめとけば良かったとこころから思えた。だが、ヤツはかなり遠くまで駆け抜けて行ってくれている。ギリギリでかわされたが為に、却って静止が遅れたのだろう。隠れるなりするなら今か____ (5/22 14:17:45)
Walter=Von=Neumann>
「____ッ!?」(この馬鹿はどうして此処まで激しい動きをするのか、その答えは目に見えては居る。それは生き残るためだ、言うまでもない。分かってはいるが、あまりにも粗雑で乱雑で乱暴だな動きに舌を嚙まない様にするので手一杯だ。「愚か者…君と違って私の骨はあまりにも脆い、もっと丁寧に着地はできないのですか…ッ!? とりあえず、これから作戦を云います…っ、服を脱いでください!出来るだけ多く!!」(知識として恐ろしいカミサマである事は理解していたが君程の人間が此処まで翻弄されるとは思っていなかった。というのも、いくらでもやりようはあるがあのカミサマを真の意味で討伐するのであれば手順を踏まなければならないのだ。それを執行するには多少の犠牲を払う必要がある。)「……それから、私が囮に成りますから、そこで動きが止まったら全力で頭を叩き潰してください。______エレナ嬢、君は馬鹿で粗雑で乱暴で阿呆で低能でどうしようもない人間ですが、身体能力だけは信頼しています。レディにこんな事を云うのも憚られますが、………ブチかましてください。」(君が衣服を脱ぎだすのならば、否、君が脱ぎ始めなくとも彼は自らタキシードを脱ぎなにやら小細工を始める。もしも君から衣服を拝借できたのならば君の肩からぴょんと飛び退いて見通しの良い路上へと仁王立ちに成る。そして、作戦を実行するのだ。) (5/22 14:59:50)
エレナ・ドラグノフ>
『出来たら苦労する……かよ。』体に走る鈍痛。受け身をとるまもなく自転車に落下したのだから、そのままアスファルトにぶつかるよりもなんだったら痛みは大きい。それを無理やり起こして__いつの間にやら切れていた額から溢れた血が、重力に従って流れ落ち、青い瞳を染める。『汚すなよ、母さんの遺品なんだから。』服を脱げと言われて、ジャケットを投げ渡した。預けることに不安がなかった訳では無い。このヒーローコスチュームは、裏側に堅牢な繊維を織り込んだ防具でもある。それを離すのは、ただでさえ手が付けられないカミサマに、生身で挑むことになるのと等しい。だがそれ以上に、これは今はもう居ない母が見立ててくれたものだ。傷はつけるなよと無理な相談は承知で付け加えながら____『そうか。なら、頭を砕くのが私の仕事か。』血に濡れた瞳に、紫電が宿る。それは無機質で、無感動に見えるほど冷やかなつぶやきだった。馬鹿だと言われて起こっているわけでもないし、拗ねた訳でもない。この小さな命が囮になると口にするのは、死の覚悟にも等しい。しかし、それでも囮は自分がやる、トドメは刺せと口にする。なら___叶えようと、そう思うのは道理。『無観客試合なのが癪ではあるが……。貴様がその頭で数多のことを導き出すように、私も「色々」やっているというワケだ。』『____任せろ。』瞬間、風が吹いた。踵を返した神が、吹けば飛ぶような体躯の兎に目掛けて全速前進する音である_______ (5/22 15:29:55)
Walter=Von=Neumann>
「たった " 一 " つ…彼女が " 望 " むのは腹を痛めて " 娩 " んだ愛しき " 坊 " やである。……イモンノボウ、もしも僕が導き出した解が正しいのなら、…ッ」(彼は君から受け取ったジャケットを出来るだけ丁寧に丸めては自分の脱いだタキシードの中へと詰める。小さな的である彼を捕まえるのは骨が折れるだろう、草食動物特有の左右への不規則走法によってギリギリで何とか直進特攻を躱して、自身の作った衣服団子に支柱として杖を差し込む。その上にはシルクハットを乗せて、杖を高らかに持ち上げる。それは君の目からはカカシの様に見えるだろう。次の瞬間、カミサマは彼に飛び掛かる。このウサギの姿でも襲い掛かって来るのなら、このカカシにすら襲い掛かっても不思議ではない、ウサギの小さな的を狙うよりも、掲げられたカカシを狙う方が簡単なのは言うまでもない、理性の無いカミサマがそのカカシを狙うのは言うまでもない。そして、……次の瞬間__________________)「 エ レ ナ 嬢 ッ ! ! ! 」(彼は疾走するカミサマに弾き飛ばされるだろう。掴み取られなかっただけまだ生存ルートは残されている。カミサマが掴み取ったのは彼の予測通り二人の衣服で作られたカカシだろう。粗雑に作られたハリボテの“坊や”を愛おしそうに抱き締めたカミサマはその場で動きを止める。メキメキと支柱に使った杖が折れる音、自分があそこに居なくて良かったと心から思いながら、彼は空中に舞いながら大声で叫ぶ。)「 オ ピ ウ ム ……ッ! 」(君に合図を出してすぐにそう呟けば受け身を取りながら地面に転がる彼の身体に無数の矢印が這い回り、全身に到達したその黒い記号は彼の触れている地面にまで伸び、蛇か蟲の様に地面を這いながら一瞬でカミサマの身体へと辿り着き、その全身を這い上がり、文字通り一切動かなくなる。オピウム、そのディスコードの能力は認識した数値の記号を変貌させる事、彼が変換したのは時速100kmを、時速100μへ。つまり、もはや1年間動き続けても1mも移動できない計算となる。) (5/22 16:14:20)
エレナ・ドラグノフ>
ライオンに技は無用だ。何故なら、ライオンは最初から強く、鍛える筋合いもなければ、身体能力で劣る人間が身につけるような技など不要である。反対に、技とは言うなれば身体能力が足りなくても、それと戦えるような一人前の破壊力を出すためにある。こうした中で、起きる疑問。ライオンが技を鍛えちまったらいいじゃん___?『聞こえてるぜ、馬鹿が罠にハマった音がな』答えは「Yes」特異な呼吸と共に囮を抱きしめる一娩望坊の横面に打ち込まれるのは_____あまりにも静寂な、打撃。『安心しろ、「外し」ちゃいない。』自分自身でも、驚くべきことだった。当てる、貫く。当てる、砕く。当てる、吹っ飛ばす。当てる、壊す。当てる、折る。当てる、弾く。血を吐くほどに鍛え上げてきた「力」の、その一歩先が_____柔らかく、響かせる打撃だなんて。2mの巨体が跳ね上がる。技の仕組みを「ストライク」システマによる力の移動を旨とした打撃法。発勁にも近い打撃は____体の奥にまで浸透し、その獅子(ライオン)の筋力から放たれた破壊力を最大、最新、最適、最高率に伝える。技(【システマ】×9)×力【怪力×8】×体格(【190cm/80kg】)=『なあ。こいつ今……どんな夢見てると思う?』破壊力。格闘技最新最古の方程式、完成の時_______!ばき、と命が絶えた音が鳴る。くちゃ、と手首に伝わる感覚と、玩具のようにひっくり返ってアスファルトに叩きつけられたその姿は、誰がどう見ても____決着である。(5/22 16:36:23)
Walter=Von=Neumann>
「……恐らく、…いや、願わくば、息子を抱き締めて眠る、幸福な夢であって欲しいと、私は思います。………君の注文通り、ジャケットは汚れていません。多少杖の破片が付いては居ますが繊維に傷は付かなかったはずです。」(いくら受け身を取ろうとも、時速100kmに轢かれて無傷と云うのは無理があった。人間よりも脆い骨はきっと折れてしまっているのだろう。けれど、一人の紳士として淑女たる君に苦悶の表情は見せまいと足を引きずりながらカミサマの遺体から囮に使ったそれらを引き剥がし、君にジャケットを返すだろう。シルクハットを深く被り、体液に汚れた自分のタキシードを軽く羽織り、その遺体をずりずりと引きずって移動しようとするだろう。)「さて、…私はまだ少しだけやる事が残っていますので、先に帰っててください。」(酷く報われないこの感情は自分の読みが当たってしまった事に起因するだろう。何しろ自分が作ったカカシを、“彼女”はまるで、愛おしそうに抱き締めていた。ずっと、ずっと探し続けていたのだろう、文明崩壊当時からずっと、混乱の最中彼女は実の息子を探し、そのままカミサマに変貌してしまったのだ。イーコールに蝕まれながらも理性も自我も失っても、彼女の中には家族への愛だけが消えなかった。それは幸か不幸か彼女のカミサマとしての原動力になってしまっていた訳だが、何かを愛し、ひたすらにそれを守ろうとしていた彼女には敬意を示すべきだと彼は思ったのだ。だが、この汚れ仕事を女性である君にさせるわけにはいかない。口には出さないが君も容姿が悪い訳じゃないだろう、まだまだ未来もあるだろう。将来伴侶が出来る事も十二分に考えられる。そんな箱入り前の生娘に、カミサマの埋葬なんてさせるわけにはいかないのだ。) (5/22 16:58:34)
エレナ・ドラグノフ>
『そうか。カミサマにも、意思や譲れないものだってあるんだろうな。』受け取ったジャケットを羽織り直し……少し強く袖を握った。息子か、あるいは娘か。それを思う気持ちが、カミサマとなって歪んでしまっても「生きている」。それは何か途方もないことのようで、当たり前なことのようにも思われた。思うところが無いわけじゃない、罪悪感のようなものが無いと言ったら嘘だ。それでも『強いな、「敵」は。』倒すべき敵であるなら____容赦はしない。そんな宣言を、あるいは決意めいたものをするように、独りで呟いた。『やることがある……?』こんな夜更けに? なんて馬鹿な質問が出そうになったが、とどめて『好きにしろ。これは母からの受け売りだが、こうした住宅街を建てる時は、人が住むだけじゃなく、動物を飼う人が当然多くなるからな。"腕のいい医者だけでなく獣医も多くなる" 傾向にあるそうだ。貴様も住処を探す際には参考にしろ。』振り返らず、辱めず。ただ、いきなり話すには不自然な言葉だけ残して歩き始める。『先生には私から言っておく。貴様くらい小さいと夜更けにはぐれても無理はねーだろ。』悪態ではなく、任せたぞ、とそう口にするようで。 (5/22 17:19:58)
彎蜿 一/わんわん>
─(君のそれが、何時ものトレーニングなのかそれともただの趣味なのかは分からないけれど。)(兎にも角にも、君がテニスを終え、一息をついた頃に怪しげな格好をした人物がひとり、テニスコートに入って来た。)(その素顔は見えず、仮面に隠されていた。その左腕は、黒い袖が靡くだけで空白を告げていた。)(傍から見れば不審者である。けれどもこれだけ目立つ容姿なのだ。君はもしかしたら見た事があるかもしれない。何せ彼は3年生─クラスが違えど、廊下ですれ違うくらいはきっとあるだろうから。)「…あ。」(─少しだけ、遅れて。)(ころころと誰かの片付け忘れたテニスボールを見ていた彼は、君に気づけば声を上げた。)「……えぇっと…こんにちは。…丁度、終わったところかな?」(【演技】─見た目に反して、随分と柔らかい声色だった。優しい雰囲気だった。少しだけ気まずそうに、それでも無視する訳にはいかなくて、声をかける。)(左腕のない彼がここに来るのは、違和感でしかない。彼もそれを自覚しているのか、それこそが気まずさの要因か。しかしながら、彼の右手に握られているのは、授業で誰でも使えるテニスラケットであり、彼がテニスをしに来たことは明白であった。)>エレナ (5/23 22:47:37)
エレナ・ドラグノフ>
『暑……っ。』汗で張り付いたジャージの下にタオルを入れて服を拭い、スポーツドリンクを一気に半分くらい飲み干した。かきあげた黒髪が僅かに湿り気を帯び、より艶やかさを増している。身体を動かした後は何だか、精神的にも肉体的にも悪いものがそこに溶けだして流れて行った気がする。疲れるのは確かにそうだが、悪い気はしない。『ああ、まあ終わったばかりだが……』この学校は、個性の塊のような者ばかりだ。____そもそもウサギが生徒なんだから、今更背格好が奇抜なくらいで驚かない気でいるが_____少なからず、仮面を付けっぱなし、片腕が多分通っておらず、空気獣のようにふわふわとしているその容姿には、さすがに瞠目した。『第2R(ラウンド)、と行きたいところだが_____』先程まで一緒にやっていたはずの女友達もそれは同様だったのだろう。ちゃっかりと居なくなっており、私は彼と一緒にいることを断る理由を見失った。ついでに、泡と最初に会った時も「エレナがいると盛り上がるからーっき、て♡」などとのたまった癖に、スコールに取り残されたこともある。あの者、またもや謀反にござる。『………まあ、いい。せっかくだ、やるのなら付き合うぞ。前の任務で確かその見た目、見覚えがある。戦友というなら誘いを無碍にするのも忍びない。』という訳で、なんとも奇妙な試合が急遽組まれたのだった。 (5/23 23:11:14)
彎蜿 一/わんわん>
「……。」(ぱち、ぱち。)(仮面越しではあるが、確かに驚いたように瞬いた。)「えっと、…あんまり、楽しくないと思うよ?」(テニスは確かに片手でも出来るスポーツではあるし、実際にプロの選手でも片手で戦う選手はいる。だがそれはバックハンドであったり、その時折に合わせて変わるものだ。彼のように片腕だけで戦うものは、それこそ数少ない。)「練習をしたくて来たのは確かだけど…君に迷惑をかける訳にはいかないし、君のためになることはない…と、思うな。」(【演技】それは、申し訳なさそうに。)(……けれど、少しだけ間を空けて、君をチラリと見た。)「…でも、もしも君の気持ちが変わらないなら、お願いしたいな。」>エレナ (5/23 23:22:52)
エレナ・ドラグノフ>
『……手を通してないだけだと思ったが、そういうことか。』左腕をしまっているだけのつもりでスポーツを誘ってしまったが、どうもそういうことではなく、本当に中身を失っていると知った。なるほど普通に声をかけて来なかったのは、ハンディキャップのある負い目であるだろうか。『何、別に見た目で差別なんてするほど私も性格の悪い人間でもない。』表情を弛めて、頷いた。気持ちは当然変わらないし、従って嫌がるようなものもない。寧ろ迷惑をかけるからと気を遣われた方が、こちらもすっきりしなくなるくらいだ。『……よく思い出したら、そうか。直接行動を共にしたことはないにしろ、任務では度々見かけていたようだな。名乗る機会がなく申し訳ない。』そう、よく見てみたら、なんだかんだ同じ修羅場をくぐってきている仲だ。不思議と会話などがなかったことに今更バツが悪くなって。『私は、エレナ・ドラグノフ。貴様はなんと呼べばいい?』 (5/23 23:39:33)
彎蜿 一/わんわん>
─(【洞察】彼は君を見つめていた。君の一挙一動を、見逃さないようにと。)「…僕の名前は、はじめ。好きに呼んで大丈夫。」(一歩、君に近づいた。)(ふわりと揺れる左の袖はそこにあるべき物量がないと分かった今、先程とは違ったように見えるだろうか。)「宜しくね、エレナ。」(名前を呼んだ。)(【愛情】とろりと煮詰めた砂糖菓子のように。甘くてキラキラしている透き通った蜂蜜のように。)(【愛情】君の名前を、まるで宝物を扱うかのような──。)(ひとつ間違えれば、まるで恋人のような甘ったるさを含めて君の名前を呼んだ。)「誰も彼もが、エレナのように真っ直ぐで優しい人だったら良かったのにね。…そうしたら、僕もコレを楽しいと思えたのかな。」(【演技】ツン、とテニスラケットの先でつつかれた誰の片付け忘れたテニスボール。コロコロと転がるそれは、まるで彼を嘲笑うかのように左脚にぶつかった。寂しそうに、それでいてほんの少しだけ憂鬱そうに。楽しみたいのに、楽しめない。そんな雰囲気をまといながら。)「…今度の授業ではテニスをやるらしいから、皆より一足先に練習しに来たんだ。でも僕は全くの初心者で……エレナ、良かったら一緒にやるついでに教えてくれる?」(【演技】ふる、と先程の雰囲気を振り払うように首を小さく振れば、君に頼るようにそう問いかけた。)>エレナ (5/23 23:54:10)
彎蜿 一/わんわん>
─(【洞察】彼は君を見つめていた。君の一挙一動を、見逃さないようにと。)「…僕の名前は、はじめ。好きに呼んで大丈夫。」(一歩、君に近づいた。)(ふわりと揺れる左の袖はそこにあるべき物量がないと分かった今、先程とは違ったように見えるだろうか。)「宜しくね、エレナ。」(名前を呼んだ。)(【愛情】とろりと煮詰めた砂糖菓子のように。甘くてキラキラしている透き通った蜂蜜のように。)(【愛情】君の名前を、まるで宝物を扱うかのような──。)(ひとつ間違えれば、まるで恋人のような甘ったるさを含めて君の名前を呼んだ。)「誰も彼もが、エレナのように真っ直ぐで優しい人だったら良かったのにね。…そうしたら、僕もコレを楽しいと思えたのかな。」(【演技】ツン、とテニスラケットの先でつつかれた誰の片付け忘れたテニスボール。コロコロと転がるそれは、まるで彼を嘲笑うかのように左脚にぶつかった。寂しそうに、それでいてほんの少しだけ憂鬱そうに。楽しみたいのに、楽しめない。そんな雰囲気をまといながら。)「…今度の授業ではテニスをやるらしいから、皆より一足先に練習しに来たんだ。でも僕は全くの初心者で……エレナ、良かったら一緒にやるついでに教えてくれる?」(【演技】ふる、と先程の雰囲気を振り払うように首を小さく振れば、君に頼るようにそう問いかけた。)>エレナ (5/25 17:33:07)
エレナ・ドラグノフ>
『別に、そう優しく振る舞おうとしているつもりはないさ。』当たり前のことを、当たり前に。それが結構難しいということをさすがにもう知っているが、誰かを卑下しないというのはそれ以前の話で。こんなにも喜ばしいことのように、愛おしいことであるかのように、言われるようなことでは無いんじゃないだろうか_____?『なら条件がある。そんな仮面をつけてたら、万が一があった時に危ないじゃないか。私だって、人並みにはできても本気でやってたワケじゃない。』さっきまでその「本気でやってた」という奴はいたはずなんだが、今はもう消え去っている。居ない人の話はともかくとして、素人がスポーツを教えるからには怪我やミスが付き物だ。まかり間違ったって、仮面をつけっぱなしなんて認められない。『何かつけなきゃいけない、どうしてもな理由があるというなら要相談だが……。』以降は口にしない。要相談____例えば火傷・傷跡や、なんらかの奇病の類。トラウマなど「なくはない」と予防線を張る。無理くり引き剥がすのも、なんだか幅かられるところだし。 (5/25 17:45:51)
彎蜿 一/わんわん>
「当たり前のことを当たり前に出来るエレナが優しいって話だよ。」(当たり前のことが出来ない人間だっている。差別を無くそうと、差別は良くないことだと声を上げながら、実際に行動するのは一体どれくらいの割合になるだろうか。それを、知る由はないし、“割合”に興味なんてない。)(それに、こういう優しさも、人間の醜さも、全てが愛おしいと思う。それを言葉にすることはないけれど。)「…仮面、は…そうだね、素顔を見られると引かれることが多くて。だからこれは…僕の自衛の為に付けているものだけど…」(仮面越しに、ちらりと見える赤い瞳が君を捉えた。きっと、その色は君にも見えている。隙間から見えたその瞳は───)「──エレナが、その手で選択して?」(【愛情】彼は人間を愛している。)(【愛情】彼は“人間(キミ)”を愛している。)(【愛情】その手で、仮面を剥がす勇気があるのならば、【愛情(素顔)】を見る勇気が、好奇心が、あるのなら。)「エレナが“望むなら”、僕はどちらでも。」(──【愛情】を孕んでいた。)>エレナ (5/25 18:01:58)
エレナ・ドラグノフ>
『……褒められるのは悪い気はしないが。』釈然としない言葉だった。何か裏にありそうで、それを聞かせないためにあるようで。『防衛って……。別に、顔を見られたら殺されるだとか、そんな話はないじゃないか。』何からの防衛なんだろうか?誰かから追われていたり、それこそ顔を見られたら不都合がある場合だなんて、高校生にはそうそうあるものじゃない。何割かの呆れと、私はからかわれているのか?という疑心。素顔を見られて引かれる、というんなら問題は無い。別に誰かの見た目をからかったりバカにするようなことなんて、相手から口にされない限りは、少なくとも自分の選択肢にはないワケだし_____『色々言われても、それじゃ正直要領を得ない。私がやりたいならどうぞ、っていうんじゃあ、後から文句を言うな。早いところ取っちゃうぞ。』取ってもいいというなら、じゃあとるぞ、という話。それは普通の流れであり、そのままの話だ。片手で無造作に彼の仮面に手をかけ、言われた通り自分の意思で仮面を剥ぐ_______ (5/25 18:22:04)
彎蜿 一/わんわん>
─(仮面はひどくあっさりと君の手によって剥がされる。それが君の親切心であっても、ソコにどれほどの彼の想いがあるかを知らなくても。)「…ふ、はは、意外とあっさり剥がすんだね。」(仮面越しにチラリと見えていた赤い瞳はハッキリと君を捉える。ゆるりと緩められた瞳は、何とも言えない感情を映していたことだろう。不気味な程に白い肌は、1部を除いて傷1つなかった。)(─ただ、その1部が異様であった。)(唇の端に縫い付けられた赤い糸。首元にもある、縫い跡とは違い歪な形をしたそれ。)(まるで素人が縫いつけたようだった。手術跡という訳でもなさそうだった。───そう、まるで、子供が不器用な手でぬいぐるみを直す時のように、歪んでいて。)「…きっとね、少しだけ予感してたんだ。エレナは外すだろうなって。」(─きっと、外した先のことを考えずに。ただの親切心で。)(彼は君を見ていた。心理学はないけれど、言葉の選び方や言動でそれくらいの予測はなんとなぁく、出来るものだ。)(外したことに対する文句はない。そう、“文句”、は、ない。)「ずっと話しているのも何だし…始めよっか。教えてくれるんでしょ?」(─その言動は普通だった。先程までと変わらない、普通の人だった。)(けれど。)「────エレナ、」(その唇が君の名前を呼ぶ度。)「はやくおいで」(君は、彼からの隠されていた【愛情】をその身に受けることになる。)(─赤い瞳は愛情を孕んだいた。その唇が紡ぐ言葉は愛情を孕んでいた。その、素顔は、表情は、)「 逃 げ な い よ ね ? 」(───────【狂気(愛情)】を。)>エレナ (5/25 18:53:13)
エレナ・ドラグノフ>
仮面が隠していたのは傷跡だった。それも、尋常なものなんかじゃない。首に真一文字に入った傷が、ぐちゃぐちゃに縫われている。裁縫が余程下手でもこうはならないだろうし、人間が首を傷つけられた状態で自分を縫うなんて考えにくい。ならこれは____誰かにつけられ、誰かに縫い付けられたものというのが正確だろう。名前を呼ぶ声が妙に甘ったるい。別にそれだけなら気にもしないだろうが、向けられている愛情は多分普通のそれとはかけ離れているように思える。『……』沈黙。返答に自然と間が空く。『……』何を答えたらいいのかは分かっている。けれど、それは果たしてヒーローらしい言葉なのだろうか。慮るべきだろう、同情するべきだろう、それでもこの場合。_______エレナ・ドラグノフとしての回答は全てに優先される。『別に、ただ少しくらい変わった傷があるだけだ。逃げ出すほどの事じゃない。それに、貴様が私にどんな感情を向けてもいい。』少しくらい変わった傷があるだけだ。強がりなんかじゃなく、本心だった。私は、私のせいで亡くなった友達の葬儀に出た。それは最低限向き合うということだと思っていた。その顔が……そう、普通の葬儀だったらきっと、最後に見送らなきゃいけない場所が。頑強な木の扉に塞がれきったまま、二度と開けるなとでも言うように封がされていたことに、私はあらゆる地獄を幼いながらに想像した。『何か隠し事があり、傷があるなら聞いてやる。反対に聞き返してやろう。貴様が、私にスポーツを教わりたいならそのまま私は教える。私に助けて欲しいなら_____話くらいは聞いてやる。』だから、このくらいのグロテスクには平常心のままに向き合う。このくらいが人の価値を損ねるのかと『貴様こそ、逃げるなよ。』 (5/25 19:13:29)
彎蜿 一/わんわん>
「…アハ、」(君の答えを聞けば、彼は笑みをこぼした。楽しそうに、嬉しそうに。)「逃げないよ。逃げるわけないじゃん。…そっちこそ、逃げないでよ。」─(僕が“人間(キミ)”から逃げるなんて有り得ない。それがあり得るとするならば、君が“人間(キミ)”でなくなった時。彼は君の手を取れば指先に唇を落として、ひとつ。)─「…エレナ、愛しているよ。」(君が様々な表情を見せて、そして、いつの日か絶望に染まって、死んでいくその日が来るまで。)「僕は、《人間(キミ)》を、愛している。」(この想いに君が答える必要はない。応える必要だってない。だって、彼の言っている“愛している”は普通の愛情とは別物なのだから。それは仮面を取った彼の表情から、瞳から伝わってくることだろう。)(君が答えを返さずとも、彼は伝えられたことに満足気に笑って、その手をそっと離す。そして────、)「許したのは、エレナだからね。」(そう、笑って。)─(【愛情】大半の人たちは歪な素顔を見て離れていくか、もしくは愛に耐えられずに離れていくかだった。けれどもエレナは違った。それどころか逃げるなよ、とまで言ってくれた!そんなの当たり前じゃないか。僕が逃げる?それこそ天変地異が起きようと有り得ない話。だって僕はキミを心の底から愛しているから。あぁ良かった、受け入れてくれて。くるりと背中を向けて怯えたように逃げ出さなくて!もしも、万が一、そんなことがあったなら。)(─────【アナザー・13】殺していたかも、しれないから。)>エレナ (5/25 20:15:51)
エレナ・ドラグノフ>
『……愛している、か。』愛情ほど歪なものは無い。聖なる虐待もあれば、吐き気を催す寵愛もある。何せ、勝手に誰かを愛して勝手に何かをするんだから、それ以上に傲慢なことなんてない。確かめるように、言葉を繰り返す。それが愛情なのか、それは愛情なのか。聞いても誰にも答えはなければ、見つかりもしないだろう。そういう物を回りくどく考えるのなら___多分、あのウサギ辺りが、気に入らないが適任者だ。『好きにすればいいさ、愛情を向けられても、それが多少おかしなものでも私は気になんてしない。』だから、自分にはそれを許すことくらいしかできないだろう。心も体も、少しくらいは誰かより頑丈なんだから。なら、許すことが得意になればいい___『ただ、自分と向き合って答えは出せ。自分にとっての普通は、誰かにとって普通じゃない。そこを無理して注ぐのが愛情だ。拒絶されるとしたら、運不運の話を除くなら、与える側に常に落ち度はある。お互いが後悔しないところを選んでみろ。』なんてことを口にする。自分のためにというのもあるが、別に愛情を注ぐのが一人だけに対してでもないだろう。『そういう失敗はかなり堪えるぞ。』その時に何か、失敗を犯さないように_____と内心で口にして、今まさに大失敗(おおぽか)をした。だって、この空気感からテニスをやらなきゃならないじゃないか_______ (5/25 20:37:02)
エレナ・ドラグノフ>
今回学校に寄せられたのは、奇しくも少し前に聞いたような通り魔事件だった。深夜、郊外にある教会の墓地で、刀で切りつけるという凶行。それだけならただの犯罪者・異常者による犯行だったとそれで終わりだが_____そう見なさずに我々が来た理由は一つ。『現場では「マンティス」が日本刀のようなもので真っ二つ、だそうだ。』被害者が、カミサマであること。夜の林道、真っ暗闇を歩きながら犯行現場へと歩きながら、呆れた話だと前起きしてから呟く。こんなことができるとしたら____我が校にも一人か二人。あるいは____ムサシ。文字通りに剣豪という言葉の似合うそのカミサマは、あらゆる能力、異常性に耐性を持つ。逆に言えば、ただそれだけ。しかしその鍛えに鍛えた超絶的な技巧が、その硬さを鋭さへと変える。『だが、まさかこうして貴様に背中を預ける日がくるとはな。』しかし怖くはなかった。今隣には____自分をヒーローだと言う彼がいる。『作戦はあるか?情報によると、向こうは堂々と居座っているままらしいが。』 (5/24 15:49:57)
水沫 泡>
「俺もこんなに早くエレナと任務にあたるとは思わなかったよ。」『作戦はあるか?情報によると、向こうは堂々と居座っているままらしいが。』「能力は効かないし、体術も完璧……正面から打ち勝つのは無理だよなぁ」果たして彼は君の期待に答えられるような男だろうか、そんな不安が募るほどには今の彼は困った顔をしていた。学校から持ち出したカミサマに関する情報を、スマートフォンでスクロールしながら君の隣を歩く。ここ最近、彼が頻繁に図書館へ通ってカミサマについて調べていたのをもしかしたら少しは知っているかもしれない。<探索ライセンス:カミサマ知識>今の彼はほんの少し、カミサマについて知恵を得ていた。「正直、君はうちの学校で1番鍛えてると思う。でも多分正面から勝つのは無理だと思うんだ」彼は集めてきた情報の中の一つ、ムサシと思われる人物の映像を流す。目にも止まらぬ剣術、未来予知でもしているのではないかと思うほどの対応力。これはもはや、人間の形をとった人間ではない化け物に値する。化け物に能力が効かないのだから、困ったものである。ただ……。「ムサシに能力は効かないけど、彼のいる空間自体にその影響が及ぶわけじゃない。僕の能力は"人を対象に取らないからね"」「その特徴を利用しよう。それと、あとは騙し討ちかな……」卑怯な手を使う。それ以外に勝ち筋が見えないのだから仕方が無いが……もしかしたら君は強い相手と競い合いたい、なんて風に思ってるんじゃないかと懸念して彼は君にそれでいいかと確認を取るように顔を見た。 (5/24 16:06:58)
エレナ・ドラグノフ>
『……なるほど。』説明から、やるべき事の理解はできる。真正面からぶつかるべきではないと、当然分かる。だが、それと同じくらい同時に___闘(や)ってみたい。そんな未熟で、バカバカしい気持ちも同時にあった。『納得はいった。確かに、貴様のそれなら勝ち目が私たちにもある。つまるところ_____』口元が無意識に緩む。格闘技は、あくまで人間を人間が殴り倒す競技だ。ということは、怪物を倒すよりも人間を倒す方に向いているのは自明である。ならば___言ってしまえば、始めてでは無いだろうか。人間を、思いっきりぶん殴り、思いっきり締め、思いっきり極め、思いっきり投げ、思いっきり蹴れるのは。『囮は任せろ。とどめを刺す時か、あるいは危なくなれば貴様に任せる。』口にするのは囮役。ボクシングの試合でも、他の学友からも。「お前なら勝てる」と言われ続けての____今、久方ぶりの「挑戦者」。血が湧く。騙し討ち不意打ちは卑怯だなどとくだらない御託は良く、ただ存分に。____それは、一匹の狼を思わせた。彼らは獲物を殺すことを楽しまない。冷徹に研ぎ澄まし、追跡し、惑わせ、引き寄せ、噛み殺す。強いと自分を知って尚の徹底。エレナ・ドラグノフという女は、おそらくこれ以上無い気迫(モチベーション)で事に望んでいる。『……私を、支えてくれるって約束しただろ?』くす。と泡に振り向いて、優しく笑みを作った。それは任せたぞ、という意味以外の何ものでもなく_____ぽっかりと開いた墓場、墓石である十字架の上にその男は座っていた。やじろべえを思わせる奇跡的なバランスの釣り合いを一ミリも崩さずに、くつろいだ雰囲気で佇む姿は間違いなく「怪物」『合図を。私は貴様から_____いや、貴様の頼みで戦いたい。』 (5/24 16:30:22)
水沫 泡>
(狼を前にした彼は、ジリッとなにか胸が焦げるような感覚に襲われた。それは恐怖か、愉悦か、好奇心か、……言葉にできないそれは多分、""楽しみ""だった。君の感情に飲まれてしまったのだろうか。君が存分に暴れるのが楽しみだった、あわよくばそのまま勝ててしまえばいいのにとさえ思った。教科書のように正しい作戦を伝えた彼は、しかし"見てみたい"と思ってしまったのだ。その高まりをぐっと堪えて、彼は落ち着いた声で尋ねる)「それじゃあ、今から君と俺は学校の""友人以上の関係""、背中を任せられるヒーローだと思って欲しい。俺も君のことを絶対に負けないヒーローだと思って信じるよ」君に笑い返して頷く。_____怪物が目を開く。鍛錬を望み戦いを愛するその怪物は、君が挑戦者であることをすぐに理解するだろう。刀を構えるその動きに一瞬の隙もない。糸が張りつめたような緊張感が漂った。喉に緊張の汗が伝い、一歩踏み出すことさえもはばかられる。この最高の舞台へ、彼は君という狼を野に放つ。「エレナ、あいつに"隙を"作ってくれ」その声は試合開始の合図としては静かで落ち着いていた。しかし、感情に満ち溢れ今にも噛み付こうとする君の、かけ出すその足音こそが合図となるはずだ。ゴングは鳴った (5/24 16:51:42)
エレナ・ドラグノフ>
『信じている、か。』刀を握る。いわゆる居合道のような構え。動員する技能(ライセンス)の数も桁違いなら、その得物にも能力は通らない。ならば、この達人を自然殴り倒す他はないという理不尽。だが。『____任せろ。』敵も怪物なら、こちらもまた怪物。紫電のような居合を、重心を下げ、両手を盾にして、スーツに仕込んだ防弾・防刃繊維で受け止める。しかし、刃が通らないというだけのことであり、これでは当然だが鉄柱で殴りつけられるような痛みが残る。されど、刀を打ち込む衝撃を、押し返す膂力と鍛え抜いた筋肉が受け流していた______『侮ったな。技の差で避けれないというのなら、寧ろ近づけばいい。』迎撃のために引き返す白刃。しかし、至近距離の相手を改めて切り殺すくらいに振り上げるタイムラグは、捨て身の突入の速さには敵わない。故に______炸裂する。拳を打ち込んだのは、相手の脇腹へ。嫌な音、何かをヒビ割る感覚が拳に走り、渾身の一発を告げる。『___ッ!?』だが、それも致命傷には至らない。そのまま反撃に腹を蹴りこまれ、僅かに下がる。痛いというよりは、重い。相手を引き剥がすための技術。怪我は浅いが、間合いを外されたことは、この瞬間瞬間の戦いではあまりに_____振り下ろしての追撃。それをいわゆる白刃取り___なんて無理なので、グローブに仕込んだ鋼板の硬さを頼りに手のひらで受けただけだが____のように受け。力の押し合いに持ち込む。ただし、力で勝るとも技が止められた刀を、主人の手から離させない。あと一押し、一要素あれば_____刀を取れる、と。私は情けなくそう思った。 (5/24 17:34:39)
水沫 泡>
(呼吸することも忘れ二人の戦いを見守った。ただ、一瞬の隙を探るために1歩も動くことなく見守った。片や刀、片や格闘技。何をもって優劣をつければいのか定かではないが、彼の目には2人が互角に映った。思わず"危ない"なんて叫びたくなるような驚異的な攻撃を受け止めるエレナに何度も驚かされる。風を切るような剣撃の中、重たい蹴りが彼女を襲う。僅かに後退、そこで彼は手を出そうとして……しかし、受け止めたのを見れば止まった。そこで隙が生まれる。あと一押し、そうすればあの怪物から武器を奪える。その隙を、逃さない。)「______""オムニア ピンクサファイア""」(彼は小さく、"君のディスコードの名前"を呟く。君が刀を押さえつけたも同然のこの状況で、敵に近づけない愚かなヒーローがいるだろうか。否だ。彼は『敵の傍に歩いて近寄る事実のみを反映』させ、ムサシの隣へ瞬間移動する。その時既に、彼は足を蹴りあげていた。この戦いにおいて、彼が動いたのはこれが初めてだ。目の前の敵(エレナ)に囚われた愚か者(ムサシ)の不意をつくには十分すぎる舞台設定だ。なにより、このカミサマはこういう卑怯な手に弱い) (君ほどではないが、よく鍛えられた彼の蹴りがムサシの利き手手首を蹴りあげる。僅かに浮く腕、それをすかさず)「クラウド」(拘束する。空気中に突如現れた氷の腕は蹴り上げられたムサシの腕を掴んで離さない。たとえそれが砕かれ、再び刀が君に振り下ろされたのだとしても。それら全てが"君にとっての隙がとなる"この上ない絶好のチャンスに、君がトドメを刺すといい。) (5/24 18:09:01)
エレナ・ドラグノフ>
ここからの振る舞いは、ある種常軌を逸していた。よりにもよって、絶好のタイミングを、ガードを捨てるための予備動作に当てたのだ。氷の腕の戒めが解かれ、減速したとはいえ未だ人1人を殺害するには十分な刺突が眼前に飛ぶ。『いいタイミングでなら……「ダウン」くらいは取れる。だが、KOはムリ……』「やられる」という予兆。彼が作り出したトドメへの最高のタイミング。それは確かに、相手を沈めるためには必要不可欠だろう。しかし____必要不可欠だからこそ、相手は立ち上がってくる。超自然的、非科学的、不合理的、しかしそれでも、普通の戦いの範疇でなら間違いなく切り返されると思わせる、圧倒的なまでの「武」。先刻までの互角は、あくまでも刀に殴り掛かるという「愚」に、理をつきつめた「武」が予想を外されたが故だと。そう見ていたからこそ_____『だから……「こう」すりゃ問題ねぇ。やっと、捕まえた。』グローブの下に血を滲ませ、左手が刺突する刀身を掴______否。"貫かせて" 方向を変え、更に止まらぬ威力を "腹にまともに食らって" 制止した。万全の一発なら、確かに頭を迷わず射抜けただろう。しかし……先程の氷に合わせて捨て身とくれば、埋まりがたい差を、命を懸け(掛け)て0にするにあまりあった_____骨が折れたか、口から血が吹いた。手のひらは一瞬の冷たさと、灼熱が一秒ごとに切り替わっている。完治するまでいつぞやか知らないが、まあともかく、身体中が痛いなんてものではない。『___タイミング、合わせろよ。決める時は「2人で」だ。』当初からの "本命" の彼に、そう呟く。隙ならば、作った。であればやることはもう決まっている。各々の最高火力を叩き込むだけだ______!『食らわせろ……!!』満を持して背後から発現する、我が切り札の名は『オムニア・ピンクサファイアァァァァ______ッ!!』竜巻の如く乱打される蹴り。叩きつけられる【足技】によるラッシュは、あくまでも人間の耐久でしかないムサシの身体を、半ば浮かせるが如き衝撃を打ち込む。打つ、打つ、打つ、打つ、打つ_____機関砲のように打ち込まれ続けるそれは、これこそ決定打であるという説得力だけがひたすらにある。強さ、力強さに信を置くエレナ・ドラグノフのディスコード。ディスコードは感情を基盤に形作られるのなら、それがそもそも殴り合いで弱いはずなど最初からなく_____ (5/24 18:55:08)
水沫 泡>
「ばっ…………」ばかかっ!?その言葉を飲み込むことが出来たのは奇跡的だった。君が刀に刺されたように見えたのだから、彼の焦りようは酷かった。しかし……確かに刀は受け止められていた。その手のひらに刀を突き刺すことで、受け止められていたのだ。致命傷ではないが、その傷は消えることは無いだろうし、痛みだって想像出来ないほどだ。何を君にそうさせるのか、それほどの熱量がなぜ持てるのか。彼には理解できなかった。理解はできなかったが……君の作戦を許容して飲み込んだ。叫んで怒りたい気持ちを奥歯に噛み締め堪える。「ッ………クラウドっっ!!!!!」君のディスコードの強烈な蹴りで浮いたムサシの身体に狙いを定める。………何かが起こるでもなく、ムサシの上に影が現れる。空気が凍てつき、一瞬呼吸が出来なくなるほど酸素が薄れるだろうか。巨大な氷の塊、それは見た目よりもずっと重く、人の力では持ち上げることなど叶わない。それを彼は、ムサシの頭上に生成し________落とした。_____かくして、ムサシの討伐は完了した。やはり純粋な力比べでは勝てそうもなかったが、学生なりの姑息なやり方で勝利を収めた。しかし……彼が君に酷く怒り心配したのは言うまでもない。自分の手を使って刀を受け止めるなど愚の骨頂。大馬鹿者のやることだ。彼は救急箱を取り出し手当をするから腕を出せと半ば強引に君を座らせようとするだろう。「なんであんな馬鹿なことしたんだ!?もっと、なんか、あったろ!!手に穴空いちゃったじゃん!」巨大な氷の残骸に声が反響する。「あーっ、もう〜……」先生に怒られるだとか、女の子に傷つけちゃっただとか、しばらくエレナの拳が使えないんじゃないかだとか、彼は半泣きでぶつくさ言いながら君に不器用ながらに包帯を巻き付けるだろう。 (5/24 19:22:44)
エレナ・ドラグノフ>
『その「なんか」を私がコレしか思い浮かばなかったワケだけどな。』我ながら呆れるというか、刀を自分に突き刺させて止めるなんて言う自体やはり馬鹿馬鹿しくて、意味もなく笑いが漏れた。治療を受けたからと言って、痛みから何から一瞬で引くような道理はない。アドレナリンが今は程々の痛みへと抑えてくれているが、それが切れたりしたら多分最悪な目に遭うのは目に見えている。早いところ病院か、あるいは学校で治療を受けるのがベターな選択だろう。『……なんだか、私より貴様が怪我をしたみたいな格好じゃないか。そう心配しなくていい、致命傷は外してある。』この慌てように、寧ろこちらが気まずくなった。痛いのも怪我をしたのも自分なのに、どちらかと言ったら彼が泣いてしまった。これは____困る。わかった、わかったからと繰り返し宥めるように述べて『後……なんだ。その。私が痛い思いをするのも勿論嫌だが_____貴様が怪我をする方が、もっと嫌だった。こ、これは変な意味ではないからな。ヒーローは博愛と自己犠牲の精神というのをだな……』無茶をした理由も白状した。 (5/24 19:39:41)
水沫 泡>
「ぜんっぜん……わかんないけどなっ!!!?」彼は余計にムッとした顔でそういえば、救急箱をしまい君の手の様子を見る。すぐに血が滲んできて止血が上手くいってないのが分かった。早く帰って手当してもらわないと「その"ヒーロー"の、守って当たり前みたいな考え方、俺にはまだ理解できない。」「これからの任務でも、こんな無茶しないで欲しい。っていうか、しなくていいように俺も頑張る。」「……….でも……ありがとう。かっこよかった」そして萎れていくように感謝を述べた。理解できない、だからこそ彼はそこを目指している。だが、その過程で突きつけられた大切な人の怪我は彼にとっては不快な障害だった。何より、自分よりよっぽどヒーローらしい君に不服だ。「ほら、立てる?早く帰ろ。鎮痛剤貰わなきゃ。……ていうか食事とか風呂とかどうすんの?1人じゃ出来なくない?」とにかく命に関わらなくてよかった、その安心感が大きかった。変に落ち着き始める始末だ。だからだろうか、彼は君にこれからしばらく怪我が治るまでどうやって過ごすんだろうと純粋な心配を投げかけながら帰路に着く。その質問の内容が、女性に対してデリカシーのないそれだと気がつくのは帰った後の話だ。 (5/24 19:50:01)
エレナ・ドラグノフ>
『ぐ、う____いい加減そこは気付け!馬鹿者!ヒーローだからと当たり前に守った訳があるか!!貴様がいるから守ったんだ。』やっぱり、何のために身体を張るのか、誰を守るのか。ヒーローなら選り好みするべきではないと分かっている。けれど、今日に関しては後ろに君がいた。自分が足止めできなかったりしたら。あるいは、自分が倒しきれなかったら。そうしたら、次に傷つくのは君だと。そう思ったからこそ無茶をした。本当は、皆まで言う気はなかったんだが、全部言わせるんだったらはっきり言ってやる____!があーっ!と肉食獣のように怒り、それからふとバツが悪くなってそっぽを向いた。なんだか押し付けがましいとか、そういうんじゃない。ないんだが、口にするとだんだん恥ずかしくなってくる言葉って、世の中あるんじゃないだろうか。『……貴様が世話をしてくれないのか?』妙なことを言うな?と思った。ヒーローとして支えてくれるというのなら、そうしたものを買って出てくれたりとか、そういう協力体制ではないのだろうか。ほら、手当をしたり。食事をしたり。____あ、お風呂はそれは______!?『今のは、今のはなしだ馬鹿者!!帰りまでには必ず忘れておけ!!ご飯や手当は頼む、だがやっぱりお風呂はダメ______!!』 (5/24 20:02:33)
エレナ・ドラグノフ>
悪目立ち、というならこれ以上はないという自覚はあった。放課後だというのに、帰るでも遊ぶでもなく廊下をさまよい、悩ましい顔をしたまま歩き続けているのは多分、不審でしかないだろう。その最中、たまにずき、と最近穴が空いた手が痛む。しかし、治療が良かったのか私が鈍いからか、本当に稀に引き攣る以外は別に大したことはない。刀で切られた割には治りが随分早いらしいが、外傷だとか交通事故だとかにはこういう奇跡が付き物らしい。風呂はかなり苦労するけれど、生活自体は成り立っていた。そう____ある物以外は。『……貴様、確か。』目を丸くしながら、浸 ばぐる____世にも珍しい機械の身体を持つ生徒である____に声をかける。何故同じ学年の彼女に驚いたかというと……いや、驚いたのとは厳密には違う。"""閃いた""" のだ。 『失礼、私はエレナ・ドラグノフという。呼び方はエレナ、でいい。少し要件がある。貴様、以降は暇か?』にこり、と勤めて___今この場だけ、未来視がどんな人間にも可能だ。似合わないと口にした五秒後には拳が飛んでくるだけだ___可愛らしい笑顔を作る。そう、彼女にはやってもらうことがあるのだ_____ (5/24 21:02:31)
浸 ばぐる>
__ぱた、ぱた、ぱたり。放浪癖のある彼女はいつものように廊下を彷徨い歩いていた。というのも、この学校にはeスポーツ部のようなものは全くあらず、かといって寮にすぐ戻るのもなんだか…といってここ最近は暇そうにしている人に声を掛けて回っているのだ。しかし__『……貴様、確か。』(___今日は違った。)「お、あ。ええと、貴方、は〜…」(少し崩れた体制を立て直し、振り向く。)(ピピ、コンピューターの詰まった頭で分析を開始、いつだって憧れの的、高嶺の花で勇ましく美しい。それでいて乙女な彼女は。)「エレナ__さん?」(…と言う前にはもう名乗られ、自己紹介も…多くは必要ないみたいだ。)「どっ、私はヒマ、だぞ。えと…どうしたの、か。」(口と表情は何時も通り軽く、しかし内心…本当にちょっぴりだけの…)(恐怖心を抱えて。学年は同じと言えど年齢、身長、パワーだって上の上。この会話の続き、もし変な返答でもしたら…)(『GAME OVER』、つみです。) (5/24 21:28:15)
エレナ・ドラグノフ>
『貴様_____ひとつ、聞いておきたい。』言葉を溜める。言いにくそうにどもる滑舌に喝を入れる。出す言葉は一息に、そして同時に一撃で済まさなければならない。『UFOキャッチャーは得意か_____?』____それは、悪魔のように、あるいは天使のように。なにか絶対的な響きをもって放たれた_____ クレーンゲーム、然るに "クレーンゲームは景品の獲得を目的にプレイするアーケードゲーム(プライズゲーム、エレメカ)の一種である。ゲームセンター、スーパーマーケット、レストラン、映画館など様々な場所に設置されている。また、インターネット上でクレーンゲームを遊ぶことが出来る、オンラインクレーンゲームも登場している。(Wikipediaより) " 『私……いや、私の親戚の子供が、どうも欲しいぬいぐるみがあるそうでな。珍しくゲームセンターに顔を出したんだが……この手だ。』『何か差別的な意味で口にはせんが、貴様はそう!その頭脳にコンピュータが搭載されている。従って、確率機(クソゲー)であるアレに対抗するのにうってつけの人材というワケだ。お分かりかな?』 (5/24 21:42:58)
浸 ばぐる>
「なぁるほど、…んへ、『UFOキャッチャーなんて興味ないわほー。』(そんな言葉とは裏腹に少しだけ発音のトーンも明るく。…と『バグ』った者共御用達なジョークなんかかまして。)…なぁんてな。(クレーンゲーム。それこそいつも私がやっている『デジタル』のそれとはまた変わっては来るが…)いいんじゃないかな。」(そう、快く了解して。)「ゲームは得意だぞ〜。なんたって私、ロボットなんだから。ね。」(その通り!とでも言うようにクルッと回って変なポーズをキメた後。)「私もいつだってクソゲ…ンッンッン、謎ゲーの不条理に立ち向かってるんだから任せてよ、ね。」(実のところ彼女にクレーンゲームの経験はあまり…いや、『ほぼ』無いと言って等しい、しかし__その『未知』こそ彼女の愛する対象なのだ。)(そんな、どこから湧いたかも解らない自信を持って。)「(今『私』って言いかけ__ううん。)エレナ、さん、優しいんだな。(…と、この言い方は失礼に値するか…?)きっとその子も喜んでくれるよ。よ〜し、がんばっちゃうから、な。」(カシャン、と少しカクついた動きで手を前に構える。)「…じゃ、ゲームセンターに向かおうか。な。」 (5/24 22:12:45)
エレナ・ドラグノフ>
『ああ、多分喜ばれる……はずだ。』本当は私が欲しいんだが、とは今更口にできない状況だった。だから、曖昧な返事だけを返し。前段の一連の流れは冷ややかに見つめた後、ばぐるが割とロボットとして楽しくやっている感じのヤツなのだとだけは理解することが出来た。人間か機械かで悩んだり、それでトラブルの原因になったりしたら目も当てられないと思っていたが、特にそんな訳ではないと知れたのだけは収穫だ。____そんなこんなで、一路ゲームセンターへ。同級生や顔見知りが居ないことを祈りながら来店だ。移動に関しては、手の怪我で愛車であるワルキューレは動かせないので徒歩である。が、まるでSPのように周りを気にする姿は不審人物か何かだっただろう。『いいか、あの奥にある、目の焦点があってない、光化学スモッグみたいな輪郭の柴犬のぬいぐるみだ。名前は いぬまる と言うらしい。貴様には、いぬまるを何がなんでも取り、私の寮まで運んでもらう。代金は……』人の手を借りるほどの難易度ではない。ぬいぐるみが雑然と積み重なっただけの普通のクレーンゲームだ。それこそ腕に穴さえ開いていなかったら別に他人に頼むほどではない。が、実は頼んだ理由はそれだけではなかった。_____ぬいぐるみを持ち歩くのは、シオンみたいな可愛い女の子ならともかく、私には少し荷が重いのである。だが、ロボットであるばぐるなら当然ながら問題は無い_____! 我ながら完璧。さて、彼女には果たして何を与えるべきだろう。食べ物を食べるのだろうか?そして、お金は必要なんだろうか?いや、やはりここは定番として_____三択。
・オイル
・どら焼き
・ビームソード(サイリウム)
_____私の答えは 『____オイルだ。多分貴様ロボットなんだから、オイルで動けるのだろう?知っているぞ。』 (5/24 22:29:58)
浸 ばぐる>
「エレナさん、ノリが悪いぞ。(と、これも少々失礼な返答だが先程の彼女の言動から何かを『察した』機械は恐怖心も消え、少し打ち解けたようだ。)身長の高いエレナの周りをフラフラと回る彼女は少しだけうざったくも感じられるだろうがそれもご愛嬌。)「えっと、代金なんていらな__…けど、ありがたく貰っておこうかな。えっと?」(彼女の口から出た言葉は、そう__)『____オイルだ。多分貴様ロボットなんだから、オイルで動けるのだろう?知っているぞ。』 「あは、オイルね。…全然飲めなくは、ないぞ。ただ__私はご飯で動けるようになってるんだ。こんなふうに、(と、ポケットからおもむろに飴玉を取り出し…ぱくり、と口に含んだ。その瞬間にはもう__飲み込んでしまっていたが。)ね。今日は突然だったから飲み込んじゃったけど、いつもは皆と同じように食べてるよ。」(先述、『飲めなくはない』と言ったが生憎味覚がプログラミングされているのだ。だからきっと、オイルを飲んだ場合の感想は『マズい』だろう。)「いぬまる。(ポンポンと積み重なるのはかわいい__けどたしかにその通り焦点の合わない目をした柴犬のぬいぐるみ。光化学スモッグ__と言われれば。)たしかにそうだな。(そうでもないけど。)ふむ、アレを取れば良いんだな。よ〜し…っ(特に意味も無いであろう腕まくりをした後、機械的な白い肌が見える。)(レバーとボタンに手をかけコインをチャリン、準備は万端。その、人とは明らかに違う、電光掲示板を映したかのようなネオンの瞳で対象を調査(サーチ)、ピピッ。と機体から音がなる。と、突然。いつだって足りない抑揚を更に消したような、如何にも人間離れした機械的な声帯で__)『対象ヲ、感知。実行ニ移シマス。』(そう発したかと思えば。瞳をピカッ!と光らせ。)(カシャリ、カシャ、とレバーを動かし、そのぬいぐるみの腕がアームに丁度引っかかるように差し込めば。)(ウイイイ…ン…)(ぬいぐるみの体が浮き上がる。)「…ここ!」(ダン、と位置を決定するボタンを押し、…これで決める!)「ふぅ…(しょ〜〜じき心配なんだよな…途中で落ちちゃわないように…)あ、」(ぐらり、とそれが揺れ動く。流石に失敗か___!?と思われたが。)(とすん。と『それ』は機体の出口に当たる穴に落とされるだろう。)「…パーフェグレイトよ。」(パチン!それは華麗なフィンガースナップからのまたしてもよくわからないポーズでグッドマークをキメれば、ほら。とそのぬいぐるみ__『いぬまる』を差し出す。)「…えぇと、これがほしかったんだろ、な。エレナさん?」(君へのこの問の答えはは果たして吉とでるか凶と出るか。) (5/24 23:18:13)
エレナ・ドラグノフ>
『……ならどら焼きに変更だ。』実は和菓子は好きだった。味も嫌いじゃなければ、あまり可愛い系でもない。可愛いのが嫌いというわけではなく、むしろその反対なのだが____やや恥ずかしい。その点、和菓子なら誰に見られても恥ずかしくないし、頼まなくてもこの見た目なら美味しい店を教えて貰えたからだ。母は各国を放浪したことがあったから言語は堪能だったし、父は九割日本人。私も生まれも育ちも日本で、反対に母国の言葉の方が難しいくらいなんだが、役得だ。『結構見た目自体はこう……少し不安になるだろ。』柴犬のぬいぐるみだし、柴犬だともわかるのだが、なんだかパーツに曖昧な部分があって、それが現代アートのようにも見えた。私は母によく工場に連れていかれたから、排気のおばけ、というのが一番ピンと来る表現なのだった。いやまあ、自分で欲しいと言っておいてなんなんですけども。『な……』「…えぇと、これがほしかったんだろ、な。エレナさん?」『な、な、な……』na na na 言葉が上手く出ず、がくがくと顎の辺りが震える。『なわけあるかーーーーーッ馬鹿者!!』それから、会心の怒鳴り声が出た。筐体が少し浮いた気がするし、今ころん、とぬいぐるみの近郊が崩れて落下したのは冗談だと思いたい。……う。周りからの視線が痛い。『ああもう、ああ、そうだ、私が欲しかった物だ!何か文句でもあるか____』 (5/24 23:32:46)
浸 ばぐる>
「どらやき!…まさか、私が『青いロボット』だから〜、なんて理由だったり?…うそうそ、冗談だよ〜。(甘いものは好きである。…君の前で少しだけ、本家には既に無いはずのネコミミポーズを『にゃおん』、と取ってみたり。)ありがたくいただくぞ。(と話していたのも束の間。)『なわけあるかーーーーーッ馬鹿者!!』「っ、ぅおっ!?(ぴゃい、とその声に肩を縮め、)な、文句とか、そうじゃない、くって、だぞ、(そんな慌て方をして一言、それはそれは小さ〜な声で。)…だ、誰が何を好きでも、いいぞ、って私は、おもうんだ、けド…」(さっきまでの自由奔放さは何処へやら、足も固まってしまい。)「…う、ごめん、だ……ぁ、」(目もそこはかとなく伏しがちに、その謝罪の気持ちは本物だ。) (5/24 23:51:37)
エレナ・ドラグノフ>
『……』息が詰まって、瞳を軽く伏せた。誰が何を好きでもいい。それは___耳触りのいい言葉だ。そんなことを言ってくれた人も二人目なら、こんな風にしょんぼりした顔を作らせるのも二人目だ。いい加減に……全部、こんな厄介な性質が "恥ずかしいからだけではない" のを話すべきなのではないだろうか。そんなふうにも思ったし、やっぱり……と尻込みする自分も同居していた。この空気がいたたまれなくて、ゲームセンターのうるさいくらいのbgmもあって無いが如しだ。『わかった、わかった。悪かったから今日は帰ろう。ちゃんと埋め合わせもするからさ。貴様も___そうマトモに受け取るな、調子が狂ってしまう。』困り顔を作って、彼女の頭に手を軽く置いた。くしゃ、と髪を撫でながら……悪かったから。なんて冗談めかして、飼い主が飼い犬や飼い猫のご機嫌をとる時のように猫なで声で笑った。『……全く。放っておいて欲しいところに限って、みんな無遠慮だ。』ぽつ、と恨み言が漏れた。この学校の人を信頼していないなんて言いたくはない。でも____友達でいたいから放っておいて欲しいところだって。それから、忸怩たる思いを隠すように、わざと口数を増やしながら帰ることを促した。くだらない話、益体のない話。そんなものを沢山だ。 (5/25 00:13:38)
浸 ばぐる>
ぴくり、固まっていた彼女の動きは再び『起動』する。__未だ不明な相手の感情、それに惑わされて。「__やっぱり人間のコト、わからない、かも。」(でも。そんな未知もいつかは解けるのだろう。それもそれで寂しい気もするが…)(と、)「あ、ゎわっ、(頭の方に置かれた手に驚きつつ、)…そう、だね。えっと、(彼女を笑顔にさせたかったのだが、なんだか変な雰囲気になってしまった。それを埋め合わせるように、どうにか明るい話題を。)じゃ、そのぬいぐるみも誰かに見せてみたらどうか…(…って、それもおかしいか。)…あ!そう、どら焼き、何味があるのかな。…え〜と、チョコレート味とかってあったりするかな。」…いつの間にやら話題は平凡なものに。ヘタクソな話題転換は天然かわざとか、そんな物はきっとどうでもいいのだろう。(…今度彼女と話すことがあれば、ケーキなんか持っていこう。好きな物を好きと言ってもらうために。)(自然に、貴方を笑顔にするために、なんて。) (5/25 00:35:15)
Sion・Forsyth>
「(デシグアル ダークの悔恨___その翌日。各々疲れている体を休めているであろう昼下がり、女子寮の廊下を静かに歩く影が一つ。)…流石に、このお時間にお邪魔するのは避けた方が良かったでしょうか。…ですが、エレナさんはトレーニングをしている可能性もありますし…(貴方、そう、貴方の部屋。その扉の少し手前で、少しいいお店のお菓子袋を抱えて呟きます。この間のお礼として、中身はそれぞれ異なる味のマカロンが六つ入ったもの。)ですが、ですが糖分の取り過ぎだからと遠慮もされてしまいそうな…ナッツなどが良かったでしょうか、そもそも甘味はお好きでしょうか…(顎に手を当てて、扉の前に延々と不安を零していく。ノックをしたのは私の手ではなく不安の呟きでしょうか、ひょっとしたらエレナさん、貴方に届いているかも。)」 (5/25 21:13:46)
エレナ・ドラグノフ>
私からの視点の話を少ししよう。いつもの様に鍛えている真っ最中に、足音がしたから友達かな?と思い一旦中断した。しかし、待てど暮らせど自分の部屋の前で固まったまま。しまいには、囁き声のような____内容は詳しくわからないが、多分落ち込んでいそうな____言葉が滔滔と投げかけられ続けている。『……何かの心霊現象だと思ったぞ。』汗を拭うのも忘れ。今がスポーツブラジャーにハーフパンツという人を迎えるような格好なんかじゃ間違いなくないことも忘れ。恐る恐る開いた先に居たのは____顔見知りの姿だった。よりによってシオンの、つい前日の任務を共にした彼女を忘れることはない。ただ、こちらからは顔が見えないのだから勘弁してくれと思う。本気で幽霊騒ぎだと思ったぞ_____『用があるなら……少し部屋で待っていてくれ。シャワーだけ浴びてくるから。』部屋の内装は、強いて言ったら___センスが壊滅していた。多分職員室の余りだろうスチール製のデスクを、横にして部屋最後部に。低いガラステーブルと、向かい合うような一人がけのソファーは応接用だとわかる。棚や収納にはトレーニング用品や週刊誌などそこまでおかしくはないのだが、サボテンやら観葉植物や野花などどう見ても置きすぎでまとまりがない。ついでに、何かウエスタンにでも憧れたのか、モデルガンを壁にラックを引っ掛けて飾ったかと思えば、模造刀を机の上に置いていたりする。調度品が明らかに過多なのだ。『……と、貴様は休まなくて大丈夫なのか。女の子なのに、随分走り回ったばっかりだろ。』服を変えている暇はないが、少しでも早く支度を済ませるために、最低限の応接だけを済ませて風呂場に向かいながら。怪我などは大丈夫か?と訪ねておく。無理をして来ていたら大変だからだ (5/25 21:35:37)
Sion・Forsyth>
「(ぽつぽつ、と言葉を落とすのに夢中でいきなり開けられたドアに驚いたように肩をびくつかせる。驚かせたのは此方だというのに…)すっ、すみません…!!(貴方の格好にとやかくは言わない、言えない。むしろトレーニング中だと思っていたから。それに___鍛えられた身体はまさに筋骨隆々、文句の付け所がなかった。)急にすみません…ええ、疲れていないと言えば嘘になります。けれどそれはお互い様ですし、昨日も私一人では役立たずだと思ったので、お礼の品を。(くい、とマカロンを箱をちらつかせる。とりあえず汗だくではまともに話も出来ないので、〝急に来てしまってすみません〟と付け足す。)」「(貴方がシャワーを浴びに行っている間に、キョロキョロと部屋を見渡す。お花にサボテン、週刊誌…と、刀に銃…??)好きなものを集められるのとてもいいことです!(人の部屋をじろじろと見るのは失礼かもしれないと思いつつ、好奇心は抑えられなかった。___そういえば、今日持ってきたマカロンにお試しで紅茶がついていたはずです。)…勝手にお借りしては怒られるでしょうか、ですが労いの意も込めて、後でちゃんと洗わせていただくので…、失礼します…!(食器棚をこっそり開けて、ティーセットを拝借する。ポットでお湯を沸かして、慣れた手つきで紅茶を淹れて___、すこし蒸らしている時間を待っていれば、貴方がシャワーから出てくる頃だろうか。)」 (5/25 21:59:23)
エレナ・ドラグノフ>
『……悪い、待たせた。』____湿気を帯びて微かに煌めいた黒髪。ふわりとした柔らかさを普段帯びたそれは、今に関しては真っ直ぐ降りていて。熱をまだ携えた肢体が服を着るのを鬱陶しいと主張していたために、汗が染み付いてどうしようもなかったから服を変えたはずだというのに、さっき変わらない装いに加えてタイツを履いただけに収まってしまった。失礼だろうけど急だったから仕方ないよな、とか、下手にめかしこむ方が相手も気を使うよなとか、自分を納得させながらタオルを肩にかけたまま戻って。『別に、私は貴様を足でまといだなんて思っていないし、ヒーローだから貴様を手助けした訳でも、1人じゃ何も出来ないと思って守った訳でもないからな。』紅茶の匂い。多分気を利かせて、淹れておいてくれたんだろう。お菓子もあると言っていたし_____ソファに座る。それから、さあ楽しいティータイム!となる前に、忙しなくて言っておけなかったことを先に言うことにした。お礼はいいのに、とは言わない。それ自体は殊勝だと思うし嬉しい。_____でも。『私の目に見えるところに、友達の女の子が居たから助けたんだ。それは、そんなふうに……何か謝るみたいな感じになられるようなことじゃないはずだろ。』そんな謝られるみたいなのは、嫌だ。だって_____の理由は口にした通り。それはもう、半分怒ってるように思われて仕方ないくらい、きっぱりと言い切った。 (5/25 22:17:13)
Sion・Forsyth>
「(少し怒っているようにきっぱりと話す貴方に狼狽える。顔には出ないものの、言い方がまずかったかもしれない、と俯いて考え込む。数秒の沈黙を貴方に耐えさせた後に、)…すみません、私の言い方がよくありませんでした。ええと、…その。エレナさんがいたからこそ、私は須藤さんに〝正しい道〟を示せた、と思ったのです。けれど実際、一人であの触手の中に私一人で飛び込んでは飛んで火に入る夏の虫、でしたから。(蒸らした紅茶をとくとく、とティーカップに注ぐ。)…でも、もし私が自分を褒めていいのでしたら!」「___私、沢山の人を助けられました!…何人を何階で、というのは必死すぎて覚えていませんが…(ぱあっ、と珍しく表情を全面にだして嬉しそうに話す。半年前に比べたら、通り魔事件に比べたら、ずっとずっと成長できた気がするのです。例え杞憂だとしても、それは前に進める自信に繋がるはずなので。最後に慌てたように〝あっ、勝手にティーセットをお借りしてすみません…〟と付け足して。)」 (5/25 22:32:41)
エレナ・ドラグノフ>
『___なんだ、分かってるじゃないか。』俯かれた時、どうしようと思った。その後聞いた言葉に、思わず笑みが零れた。的はずれな慮り方をしたことが僅かに寂しく、それを何周も上回るくらい彼女が自分を素直に誇れることが嬉しかった。____守ってやろうと思う。自分は、少しくらいは他の人よりも頑丈だ。だから、こうした時間を守る人間になるべきなんだと思う。今は、つい気にかけてしまう彼女が。ああ。そんなの要らない心配だったじゃないかと思えるまで。『でも、そんなふうに言われたら少し照れるな。本当は自分のことだとか、シオンが怪我をしたりしたらどうしようとか。そんなことで頭がいっぱいで。飛び込んだのも本当は勢いだ。』自分のこと。誰かに話したら、馬鹿にされそうなこと。私はあの日一度、失敗した。誰かより先に自分を盾に出来なかったこと。危険を犯すのを怖がったこと。本当は気にしなくていいんじゃないかと何度も言い訳しようとして、吹っ切れなかったことをあの日叶えた。シオンのこと。あの触手は危険なものだった。それを、自分の身近な人に向けられたこと。それを自分が助けられる場所にいたこと。本当は自分じゃなくても出来たかもしれず、自分がやるには荷が勝ったかもしれないことを成せた。『だから、こちらこそありがとう。貴様がもし痛い思いなんてしていたら、私は……やりきれない。最初は怖かったが、こんな風に話が出来るくらい元気でいてくれるのが嬉しいよ。』紅茶を口にする。甘く豊かな香りが溶けだした。お菓子は……こういうのは持ってきてくれた人から食べてくれないと尻込みする。そんな女が私である。『……せっかくだ、今日は貴様の話を聞いてみたい。時間くらい、あるんだろうな?』 (5/25 22:57:20)
Sion・Forsyth>
「(ふふ、と頬を緩めて笑を零した。『___なんだ、分かってるじゃないか。』あの場では焦燥感と現場の切迫した状況に交わせなかった言葉を、こうして落ち着いた優雅な状況で話せることが嬉しかった。)___ですが、私一人では須藤さんの元に辿り着けませんでした。迷わない力も、進めなければ意味がないのです。…ああ、ええと…言いたいのは、ファインプレーができてよかった、という事なのです…!(わたわたと手を振り言い直す。ピンクサファイアちゃんの失敗を恐れ、可能性を信じる能力、それゆえにあの触手、あの扉の先に行けたのだ。)」「(それに、万が一。一人で先に行けたとしても、戦えない自分は相手に捕まって…それこそ仲間に、ヒーローに迷惑をかけてしまうところだったから。こと、とマカロンの箱を置いて封を開ける。きっと、綺麗な包装を剥がすだけで躊躇ってしまうのが貴方だから。) 『……せっかくだ、今日は貴様の話を聞いてみたい。時間くらい、あるんだろうな?』(嬉しかった。生憎、話し始めるのが得意ではない私にそう言ってもらえるのが。紅茶を口にする。ほう、と息を吐く。一つ間を置いてから安心したように笑いかけて_、)勿論です。エレナさんのお話も、していただけますね?」 (5/25 23:14:25)
エレナ・ドラグノフ>
『重々承知だ。チームの勝利、というヤツだろ。』落ち着け、と紅茶を口に運びながら制した。もしかして気を使わせているならこれは想定外。アレだろうか、無礼講だと言っておいて緊張させるタイプだったりするのか私_____ と、内心少しショックを受けた。『私の話か。聞きたいんなら、別に構わない。あんまり面白いかはわからんぞ?』続く言葉にやや元気がないのは、つまりは思い当たるフシがいくつもあるからだ。『確か……』咳払いした後、マカロンを口に放る。柔らかい甘さが口に溶けだしたことに安心したのか、単純な頭は気を取り直して、前々から聞いてみたかったことを思い浮かべる。彼女は確か葬儀屋と言っていた、そして、それを自嘲で言うわけではなく、きちんとその仕事に対して誇りも抱いているような言動も伺える。なら、その場合ヒーローよりは葬儀屋を目指さないか?と考えたワケだ。『確か、貴様は自分で葬儀屋と言っていた記憶がある。それに誇りを持っているのも知っている。であれば何故、ヒーローを目指すようになったんだ?』『ほら、普通の流れなら、お父さんお母さんの仕事を継いだり、似たことを目指すような気がするじゃないか。』 (5/25 23:34:03)
Sion・Forsyth>
「(『確か、貴様は自分で葬儀屋と言っていた記憶がある。それに誇りを持っているのも知っている。であれば何故、ヒーローを目指すようになったんだ?』)…それは、(先程まで笑っていた顔が、急に…曇っているのではない、〝悩んでいる〟ような顔に変わった。自分が何故ヒーローを目指したのか、その理由をどこから話すべきかと口を噤んだ。)__葬儀屋の仕事は、私には兄がいますので後継には困らない、というのが___、〝一番納得してもらえる理由〟でしょうか。(いたって真面目に、けれど困っても悲しんでいるでもないように、ゆっくり話し始める。)」「…ジニー・ヘンドリックさん、名前のない藪医者さん、…それと、明野さんの夫のトモカズさん。…ヒーローは、戦いで遺体すら無くなってしまうでしょう。不謹慎なのも、不躾なのも承知でお話しします。___私だけでも、〝見届けたい〟のです。(勇姿を、最期を。例えカタチに残らなくとも、せめて私だけは。気持ち、性格はさておき、身体的にはシオン・フォーサイスは余りにもヒーローに「向いていない」のです。それでも、家族の反対を押し切ってヒーローを目指そうと決意したのは。家族を、恋人を、親友を、遺体のない状態で亡くした人に、一言だけでも「彼(彼女)は最期まで格好良かった」と言われるだけで、ほんの少し悲しみを減らせると思ったから。)」「___それに。…もし、もしも。〝誰かがカミサマに成ってしまったら、誰が弔ってあげるのでしょうか〟。(貴方が話を聞いてくれていたほんの数分。冷めた紅茶は湯気すら出さずにただただ、今はまだヒーローにもなりきれない私の顔を映し出していました。)」 (5/25 23:49:53)
エレナ・ドラグノフ>
そんなことはありえない、と、じゃあ皆が死ぬなんてことか、と。よりによって言いそうになった。ヒーローは確かに、時として無惨な死に方をする。誰しもは救えないし、自分を含めると生き残りの椅子は更に減る。それを分かっていないで、何も知らずに飛び込んだつもりではない。けれど_____今がまかり間違って上手くいっているから忘れつつあったんだ。それを彼女は、見つめたいのだと口にする。その人の終わり(ゴール)が、どんなものだったのかを見届けたいと言う。そうして後に遺される人を救うのだと、美しい瞳が語っていた。『不謹慎でも、不躾でもないさ。確かに、忘れそうにはなるが私たちは常に命懸けの暮らしをしている。半年前の件だって、まだ解明されてないままだったんだ。なら確かに、また何も残さないで消えていく人も居るのが普通かもしれない。』ある日の夜を思い出す。星が遠くまで見える澄んだ夜更け。眠るのなんて忘れて庭で月を見ていた私を呼び止めて、母は語っていた。ヒーローと呼ばれる自分は、失敗だらけだったこと。誰かを救えたとか、誰かを助けたとか、綺麗な活躍なんて出来なかったこと。それでも何か残せるものが、胸を張れるものがあるだろうと、必死に歩き続けたこと。それらをひとしきり語り____きっとこの人は、もう帰ってこないんだと思った。今思えば、なんで叫び声を上げてでも、刃物を振り回してでも止めなかったのか。それが死ぬ間際の獣が群れを離れるのに近い行為だと何故わからなかったのか。 『私も、そうだな。ヒーロー(かあさん)に置いてけぼりを食らったから、分かる。今あの人はどうなったのかとか、生きているのか死んだのか、何も分からないことがどうしても認められなくて。全部忘れて、知らんぷりをして、他人のフリをして。居ないなら居ない。仕方ないじゃないかなんて思おうとしたりした。』『だから_____シオンのそれは、きっと誰かを救えるよ。』肯定。寂しく笑ったそれは、二度とありえない夢を見るようだった。『仮に、私が死んだりしたら……。ありがとうと、そう言っていたとたくさん伝えておいてくれ。ごめんなさいは何時でもできるけどさ、ありがとうは誰かに言ってもらえなきゃ出来ない。』 (5/26 00:12:42)
Sion・Forsyth>
「(冷めた紅茶も淹れ方によってはずっと美味しいままです。…けれど、冷めて紅茶をより美味しくさせるために必要なのが、温かい会話です。)『_____シオンのそれは、きっと誰かを救えるよ。』(また、柔らかな笑みが零れた。歪んでいるだとか、そんなのでヒーローを目指すな、だとか言われる事もあるかもしれない。けれど、私はただの葬儀屋にしてはこの学校の関係者、生徒、そのご友人、家族の死を見届けすぎているのです。呪いと言うには優しく、決意と言うには痛いそれこそが、私を迷わせない、私をヒーローたらしめる理由なのです。)」「(さく、とフランボワーズのマカロンを口にする。)人に取っては、やはり良くないご意見をいただく事もあります。…けれど、エレナさんのようにちゃんと受け止めてくれる方がいるからこそ、私は迷わずにいられるのです。(行儀悪くぐっと飲み干した紅茶。これ以上渋くなってはいけない、というのは建前。貴方のくれた優しい言葉は、きっと冷め切った紅茶でも美味しくしてくれると思いました。暖かい日差しが差し込む昼下がり、窓の外に咲いた花に留まった蝶々が、まるで迷わないようにそっと二人を見つめていました。)」〆 (5/26 00:46:43)
水沫 泡>
(とてもとても純粋な気持ちで、彼は君を誘ったのだ。目的はそう、ヒーロースーツを仕立てるため。いつも動きやすい適当な格好で活動していて、いい加減それらしい服を仕立てるべきだと思っていた。それでどうして君を誘ったのか正直よく分かってないが、ただ……服選びであてになりそうなのが君くらいだったというのはあるかもしれない。いや、本当はもっと仲良くしたいだとかそんな浅はかで愚かな考えが彼にもあったのかもしれないが、少なくとも彼自身はそれを自覚していないだろう。とにかく彼は君を誘った事を後悔している。なぜならこれではただの……)「……デートじゃん…」(思考が口に漏れてることを、彼は気がついていない。前回は任務だった、その前は課題を手伝ってもらって、さらにその前は土砂降りの中仕方なく。どれもやむを得ない理由で君と一緒にいることが多かったものの、改めてお出かけしよう!なんて誘ったのは初めてで、今の彼は数時間前の自分を呪ってやりたい気分でいっぱいだった。入ったお店で何となく服を眺めながらそんなことばかり考えているものだから、まったく服選びに集中出来ていないのは言うまでもない。) (5/26 20:30:45)
エレナ・ドラグノフ>
荷物係。多分今日私はそれで行くのだと思っていた。服は嵩張るし、靴や装飾品まで買うと荷物は莫大な量へと積み重なっていく。そうした場合に力持ちが必要なんだ、と言われることは、穂坂の買い出しをするなどして慣れていた。だから、当のこちらはデートだなんて気はすっかりない状態で『……デート……?』なんの話しだろう?と、朴念仁にも程がある、間抜けな疑問符を頭の上に浮かべた。____なるほど、彼からするならこれはデートなのか。随分変わっているもんだなあ。『別にデートでも荷物持ちでも構わんが、貴様真面目に選んでいる気配がないぞ。』おい、と苦言する。確かこれは、ヒーローコスチュームを選ぶための集まりであったはずだ。従って好きなものを選ぶのが上策だろうが、どうにも選ぶのに覇気がないというか、気が散ったままだ。『なんなら、私が選んでやる方がいいか?……何、安心しろ。ちゃんと可愛いものを選んでやるから。』しばらくの無言の抗議で間を空けてから、じゃあ私が選ぼうかと提案した。たまには誰かのセンスを採り入れるのだって、ファッションには大事だという『ああ。もしその間暇に思うんだったら、私のを貴様が選んできてもいいぞ。』 (5/26 20:42:07)
水沫 泡>
「おあっ……!!」「…き、こえてたのか。」(後ろから声をかけられ飛び上がる。聞かれてた、と言うより口に出ていたことに驚いた。口元をおさえ、持っていた服を元に戻し振り返る)「選んで欲しいのは山々なんだけど……可愛い、よりはかっこいい方が好みなんだ」『ああ。もしその間暇に思うんだったら、私のを貴様が選んできてもいいぞ。』「……」(自分が選んだ服を着てもらえる。それはつまり、自分の好みのものを着てもらえる機会という訳で、彼女のそんな権利を手に入れることのできた生徒は他にいるのだろうか。クラスメイトからのブーイングが目に見える。もしくはからかわれる。彼の頭の中で、願望と理性の対決がほんの一瞬の間に行われる。)「…いやっ、ぁ〜。そうだな、俺は多分服のセンスとかイマイチだから。」(______勝者、理性。)「ヒーロースーツね、やっぱり特注品がいいかなって思うんだ、」(慌ただしい思考を1度落ち着かせ、改めて店内を見渡す。服はどれも素敵だが、自分に合ったものを作るのであればやはりオーダーメイトが1番だろう。いい加減真面目に考えよう、せっかく付き合って貰っているのだから。)「エレナは確か、ヒーロースーツ持ってたよね。見た目とか、性能とか……どうやって考えたの?」 (5/26 21:15:49)
エレナ・ドラグノフ>
『……これは、デートなんだろう。なら、そういうイベントくらい設けてやろうという意味だ、馬鹿者。』本日二回目となる釈然としない表情を作った後、熱くなる顔を務めて見せないようにしながらこう付け加えた。なんだろう、どいつもこいつも皆まで言わせるやつばっかりだ。察しが悪いというのか、直接言わないと分からないのか?とクレームを付けてやりたいくらいだ。『センスの話など、今は別にしていないが。』……う。なんだかいえば言うだけ変な気持ちになるので、一時退却。この話を私が長引かせたら多分ずっとぼろを出し続けるだろうという、自信があった。『私の場合、例外と言っていい。これは私が見繕ったり誂えた訳ではなく、ヒーローだった母さんからの遺品のようなものだからな。就職活動にでも使うだろうから……なんて下手な言い訳で採寸していた記憶はあるから、多分それを使ったんだろう。』私の場合、これは母からの遺品だ。だから自分で選んだ訳でもないし、従って自分のセンスと言い切る自信なんてない。『だが性能如何というなら、貴様は氷をよく使うんだし、防寒着なり体温を保てるものがいいんじゃないか。或いは……オーソドックスに頑丈だとか。』 (5/26 21:25:15)
グレイス>
(何も上手くいかないとはこのことなんだろうか。いつも彼女の真意を汲み取れず、彼女が恥ずかしそうにするのだ。熱が顔に集中するのが分かる。こういう時にスマートに返事ができる男がモテるんだろうが、自分はその真反対というわけだ。ふいっと君から顔を逸らしたあと、目の前にある鏡を見てさらに目線をさ迷わせた。)『ヒーローだった母さんからの遺品のようなものだからな』(しかし、目線の先はやはり彼女の元へ戻るようで。少し落ち着いた熱に安堵のため息を吐き、君の方を見た。)「そっか、お母さんがヒーローだったのか」(そうだった。君の母親は熱く、君を導くほどのヒーローだったのだ。自分の母親も_______。)「防寒防熱……!そうだな、確かにそうだ。最近霜焼けが出来そうだなって思ってたんだ」(盲点だった、と嬉しそうに目を輝かせた。じゃあ手袋もつけた方がいいかな、だとか、色はどうしようだとか、沢山動くから伸縮性は_____。)「俺、みんなの能力が使えるんだ。ハチロク……は能力は、まだ発現してないけど。多分、ハチロクのとか、エレナの能力とか。」「条件は、曖昧だけど。だから、なにか……シンボルみたいな象徴みたいなのが欲しいんだ。君の能力が使えるっていう証みたいな、」(例えばお揃いのブレスレットとか、彼が欲しているのはそういう類のものだろう。少し恥ずかしそうに髪を指でいじりながら、彼は何か良い案はないかな、と問いかけた) (5/27 00:42:11)
エレナ・ドラグノフ>
『……ああ。当時の名前は、ハリィ・バンホーテン。ドラグノフは父方の姓で、程なくしてそう変わるが。』____有名ではないヒーローなどほとんどいないという。しかし、彼女はその例外だろう。カミサマや悪人と戦うよりも、あの人は誰かが安心して暮らせる場所を探した。建築の知識を活かし、元ArKの人、ルクレルク人。シキガミと呼ばれる友好的なカミサマ。そうした人達の住む町や家をほとんど無償で手がけて、戦いの痕をなるだけ早く直すような方向で力を奮った。ジニー・ヘンドリクセンを始めとするかっこいいヒーローというよりは、何をしているかわからない、冴えないヒーローだったことはもうどうしようもない。でも_____こんな話を最後までついしてしまったのは、それがどうしようもなく誇らしいからで。『色というなら……白が似合うんじゃないか。あと必要があるとしたら、水を隠せるように大きなサイズがあるといい。ウエストポーチやらケースは実家にいくらでも余っているだろうから、後ほど持って行ってやる。』収納みたいなものは幸いにもいくらでもある。弾倉やら手榴弾を仕舞うのに使うポーチ類は、それこそあんなに重たいものがはいる訳だし、水を持ち運ぶ気になればそれなりの量を稼げると見た。『みんなの能力が……?』みんなの能力?と聞き直した。つまり、ゲイルのレッドドアやら私のオムニア・ピンクサファイアやらが扱えるというワケだ。とりわけ、高いディスコードの才能を持つ生徒では二つの能力を持つ場合があるというが、いくつもそれを持てるなら破格の条件でしかない。しかし、それは取っかえ引っ変えできるようなものでは無いらしい。『象徴、か。なら___』つまり、揃いのアクセサリーだとかその辺の装飾品を意味するのだろう。同じものを身につけるにしろ、この場合私は少し問題がある。まず指輪やらブレスレットは手首を壊す可能性があるから難しいし、ピアスやイヤリングなども危なっかしい。とすると……『ネックレスはどうだ。特にこれなんか、女性用ではあるんだけどさ、泡にもこのくらいなら女の子らし過ぎないし。よく似合うだろう。』ピンク色の輝石が控えめに埋め込まれた、鳥の翼を象るネックレス。いわゆるペアにする前提のもので、左右まさに比翼連理というわけだ。君なら似合うよと笑んでは、どうかな……なんて顔を近づけ、服の上から彼にあてがいながら悩ましげにして。 (5/27 01:14:38)
水沫 泡>
(君のおかげで、ヒーロースーツの案は思ったよりも早く固まっていく。君の母が、目立たなくとも素敵なヒーローだった話を聞きながら服のパーツや色、素材なんかを店主も呼びながら決めていった。その話を聞いていると、彼は自然と口が軽くなり、綻んでしまった。)「俺も、お母さんがすごく優しい人だったんだ。ヒーローじゃなかったんだけど、自分の命を顧みずに子供を助けちゃうくらいには優しかったんだ。」「誰にも知られない目立たないヒーローみたいで、俺は正直のこされたことが悔しかったけど」「でも、エレナの話を聞いてて。俺もそういう人になりたかったのかなって、思ったよ。」(君の話を聞いていて、ほんの少しだけ似ているかもしれない、なんて思えば彼もなぜか話してしまった。子は否が応でも親に影響を受けてしまうものらしい。彼はこの話に回答を求めないまま、ヒーロースーツ造りを進めていく。)(____ハチロクからは派手すぎる髪ゴムを貰った。似たようなデザインの装飾を服の中に取り入れようと思っている。君からは) 『ネックレスはどうだ。』(差し出されたものに目を向ける。オムニア・ピンクサファイア、宝石を思わせるそのディスコードの名前に相応しいネックレスだった。ピンクの控えめな輝きが優しく主張している。服の上からかざされ、似合うと思うなんて言われながら顔を近づけられて。恥ずかしくない男はいないだろう。)「っ……。嬉しい、ありがとう。こっちはエレナがつけてくれるの?」(距離をとりたくなる程の羞恥心をのみこんで、笑い返す。君の手元に残った方のネックレス、片翼を指さして首を傾げた。君の能力が使える証が欲しい、そういったのは彼だったがまさかお揃いで承諾してもらえるとは思ってもいないものだったから、思わず問いかけてしまう。そういうところが、良くないんだろう。) (5/27 01:34:22)
エレナ・ドラグノフ>
『目立つことだとか、かっこいいことと、その人に何を残せるかは……やっぱり別なんだろうな。自分より何かを優先したり、何かを助けたり、救いたくなったり。そんな人を目指すことは、きっとそれがどんな姿で、どんなにかっこ悪くたって。____間違いなんかじゃないんだから。』身を呈して彼の母親は、彼を助けたのだという。確かに、ただその事実だけを見るなら悲しいことであり、辛いことでもあるだろう。けれど、誰かと結んだ絆が、痛みを乗り越える道を築き上げた時。悲劇が思い出に変わる、遥か遠いいつかのある日。そんな時に、胸に暖かく残るものがあったなら____『ああ、もちろん。せっかく二人で付ける用のものをえらんで買うんだから、それは私と泡がつけなくっちゃ嘘だ。』お金をこそ、と置いていく。意味を察してくれたのか、静かに、しかし手際よく丁度の代金を持って行ってくれた。『よし、ちゃんと似合っている。動かないで、そのままいろ。今、着けてやるから_____』彼の胸元に金具を結んでやる。翼を持つ鳥が羽ばたき飛び立つその現状から「変化」や「出逢い」という意味も持っているんだそうだ。だったら、これを人に贈る意味合いとしては____『良い出会いを。良い旅を。ってところかな。翼のアクセサリーっていうのはそんな意味があるらしい。』 (5/27 01:53:35)
水沫 泡>
(確かにネックレスは慣れなきゃ1人ではつけられないが、君との距離が近くてやはり彼は目をぎゅっと閉じてしまう。君はこの距離感を気にしてないのだろうか。というか、こういうのって男がやるものじゃないのか?確かに君の背に届くような気はしないけれど……そんなことを考えていうちに君との距離は離れた。胸元に残された感覚に指を添えて嬉しそうに笑う。)「良い出会いと旅か……ふふ、」「良い出会いはもう、沢山してるけど。もっと良くなるのかな」(出会い、旅立ち。出会いがあれば別れがあって、旅立つのならば終着点がある。とても朧気で確信のない予感は、こんな時にも彼の心に霞のようなカーテンをかけるのだ。いつか、君のような……母のようなヒーローになる前に、自分はここでは無いどこかへいってしまうという予感。それは、君の能力が使えると確信できたその時と同じような感覚で。タダでみんなの力が使えるだなんて、そんなおかしな事が起こるはずがないのだ。それが君に、伝わらないといいけれど。) (少し前、オーウィ君に"自分が死ぬ事がわかってもヒーローを続けるか"と問いかけた。彼はヒーローであり続けると言っていたけれど。君も、そう答えるんだろうか。例えば俺が、同じように答えた時に。君は許してくれるのだろうか。)「大切にする。選んでくれてありがとう」(ぎゅっと、ネックレスを握りしめる。支えてみせるとか、ヒーローになるとか。笑われたっておかしくない強気なことを言い続けていたけれど、その言葉がこのネックレスで形になっている気がしてとても嬉しかった。彼はすごく嬉しそうに、けれど泣きそうな顔で君に笑う。) (5/27 02:12:16)
エレナ・ドラグノフ>
それは、なんてことない日常の1ページのはずだ。別に明日や明後日があって、その先だってきっとあるはずで。あるのが_____当たり前で。違う。と、そう誰かの声がした。シオンと話した時に、思い直したはずだったじゃないか。今がまかり間違って上手くいっているだけで、これからはどんな血なまぐさいことが起きるのやら分からない。だから、彼が泣きそうな顔をしているように見えたのだって、こんなにも清く笑うのだって。_____今の今更、置いていかれた私が気付かないでいられるもんか______『……ああ。私も、こんな風に貴様と出かけたり、話せたりしているのが嬉しい。変な話をするけど、きっとこれから何があっても。』それは、春が終われば散る、桜のような一時の夢だ。終わりは約束されている。終わりを乗り越えて、歩いていかなくちゃならないこともわかっている。春がすぎ、それでも歩く。次の春に向けて、時に残酷なくらい時間は流れ去っていってしまう。失ったものは帰らない。散った花びらは戻らない。けれども、それに腐らず、それに諦めず、命は全力疾走して、代わりに暖かな思い出を残していく。『貴様と過ごした日、貴様に救われた日は、お互いが仮に死んだとして、ずっと忘れないだろう。』別れの言葉。そんなふうにも聞こえる、永遠を誓う言葉。『……帰ろうか。』私は私を、救っていけるから。君が私を、救ってくれたから。そういう暖かな日の歌。 (5/27 02:32:01)
エレナ・ドラグノフ>
『……悪い、またせた。』今日は休日。学校は無くたってヒーローの仕事がある場合もあるから、休みなんて決まっていないようなものだが。その中では珍しいくらいに、今日という日は規定通りに学校と同じ休みだと言い切ることが出来る日だった。彼と一緒に出かけてみようと考えたのは、気まぐれと勢いが大半だった。仮面を日頃つけっぱなしの人が、休みの日にはどこで何をしているのか。見た目に偏見を持つ気は無いのだけれども、凄く気になった。_____のが昨晩。で、待ち合わせの時間はなんと……30分前だ。言い訳はない、完璧に寝過ごしただけである。ちゃりんちゃりんと泡と買った揃いのネックレスのチェーンが空を待って、ロングスカートとローファーを煩わしく思いながら駆けつけた頃。寝癖はくしゃくしゃだし、最低限の支度すらぶっちゃけ微妙。顔は洗ったし、歯も磨いた。朝食もとった……はず。『呼び出しておいてこれは面目ない……。』息を荒らげて全力で走り込み____行き過ぎた分後退して。待たせてごめんと、待ち合わせ場所となっていた学校の門の前に突入した。 (5/27 15:31:56)
彎蜿 一/わんわん>
「──来ないかと思った。……なんてね、冗談。エレナはそんなことしないって思ってたよ。」(一方彼は、というと。待ち合わせの時間の30分以上前に学校の校門の前に集合し、君のことを待っていた。それを君に伝えることはないし、彼は“僕も10分くらい前に来たところだよ”となんともまぁ完璧な答えを返すことだろう。)「連絡をくれれば、待ち合わせ時間をずらすことだって出来たのに。大丈夫?朝ごはんは食べた?……食べてないなら、昼食も兼ねて軽く食べてから行こっか。」(──ちなみに、だが。彼はいつも通りの格好である。普段の違う点と言えば鞄を肩にかけてているくらい。それ以外は何ら変わりない。)>エレナ (5/27 15:49:07)
エレナ・ドラグノフ>
『食べて……』たかな?という疑問は、開口一番情けなく泣いた腹の虫により弾き出された。連絡をしておけば良かっただとか、そういう辺りをすっかり忘れて、寮を窓から飛んでショートカットした話なんかは……多分ゲイルとかハチロクに取っておいた方がいいだろう。『ない。』穂坂にいつもご飯をねだりに行く時と同じくらい素直に、食べていないと口にした。だが、これは重畳。『ああ、今日の行先は貴様のチョイスに任せる。……が。その前に、だ。』今日は、彼が果たしてどんな風に休日を過ごしているかというのが主題だ。食べ物なんかの好みは、まさにわかりやすい。是非ともこれはいろいろ知る機会になる。『仮面、取ろう。ほら、防犯だとかでフルフェイスがダメだったりするだろ?顔を隠したままで、店になんて入れない。』『……傷、馬鹿にしたり気味悪がったりする奴がいたら、私が付いてるんだから。』 (5/27 15:59:56)
彎蜿 一/わんわん>
「何処にしようかな…」(チョイスを任せると言われれば幾つかある候補のうち、軽食が取れそうな場所を絞り込んでいく。君は甘いものとしょっぱいものならどちらが好きだろうか。─なんて、考えていれば仮面を取ろう、と。)(彼はその言葉を聞けば、珍しく言葉を詰まらせた。)「……取らなくても、大丈夫なところに行こう。…エレナに無闇矢鱈に拳を振るわせるわけにもいかない、し、それに、」──間。「──それに、2人きりじゃないところで外すのは、ちょっと。」(─────珍しく、照れているようにも見えた、だろうか。)>エレナ (5/27 16:12:54)
エレナ・ドラグノフ>
『……任せると口にした手前なんだが、できる限り量が多い物で頼む。』筋肉量はカロリー消費量にも因果を持つ。従って、エレナ・ドラグノフの鋼の肉体はいわば高級外車(メルセデス)だ。速さと加速はあるが、代わりにガソリンを馬鹿食いする。このため維持する食費はかなり高くつく。……はずだが、その辺を穂坂に任せているから、生活は非常に助かっている次第だ。____そのせいで、腹ぺこなどと不名誉なあだ名があるが。『二人きりじゃないと恥ずかしい、か。別に、他の誰かと一緒に食べたりするわけじゃないんだ。周りなんて気にしなくても』『____私のことだけ気にしていればいいだろう?不安なら、手だって繋いでやるし。』手を差し出して、彼に振り返った。 (5/27 16:27:03)
彎蜿 一/わんわん>
「量が多いところね、分かったよ。」(思い出すのは安くて量の多い、けれども味だってそこら辺の店に負けてないコスパのいいお店。沢山食べて欲しいという思いから出来ました!と店主が豪語していたのを思い出す。彼は食事に興味が薄いため、行ったことはないものの、【愛している人間】が好む店くらいのリサーチはお手の物だ。)「あは、そうしてるとホントにデートみたい。恋人じゃないのにね。」(手だって繋いでやろう。)(君の言葉に少しだけ驚いたように固まって、そして笑ってそう返した。)(確か君の周りには、何人か異性が居たはずだけれど。その人たちとは恋人ではないようで、それでいて恋心も抱いていない。それとも、君は同性を愛しているのか。はたまた違う何かを愛しているのか。)(─それとも自覚していないだけか、本当にそういった感情がないのか。)(どうやら君についてまだまだ知らないことが多いみたいだから、そっとカマを掛けてみるのだ。)「─例えば八六とか。…あとは…名前は知らないけれど、硝子玉のような人。その人たちに勘違いされても困らなければ?」(そう言って彼は、【洞察】君をじっと見つめるのだ。)>エレナ (6/6 23:59:46)
エレナ・ドラグノフ>
『……別に、恋人じゃなくても手くらいは繋いでやるがな。それに貴様も同じ学校に通う生徒である以上は、私からするなら十分に愛情を向ける対象だ。異性だからとその辺りは気にしなくても良い。』手くらい繋ぐのが変なことなのか?と首を傾げる。自分からしてみれば、同じ学校に通う以上は愛すべき同胞____なんて堅苦しい言い方はしなくたって友達だと思っているし、だからこそある程度のスキンシップくらいは特に違和感も無い。一部調子を狂わせてくる連中自体はいるが、それでも距離感がどうこうでなるものでもないし____『な、な、な、何故!そこで、その二人が出てくる!?』ハチロクと泡に勘違いされなければいいけど。そんなふうに忠告されて頭がこんがらがる。
なんでその2人なのかという疑問と、もうひとつあるのはその2人とそうした関係かのように傍から見えているのかという驚愕。確かに、泡とは普通の友達と括るには一線を画した結びつきがあるのも事実だし、ハチロクについては彼の気楽さから色んな場所に連れ回したりもしている、穂坂と同じくらいとは言わないが、なんだかんだ遊びに行く頻度は高いだろう。……だが、なんだってそんな話になる____!『ヤツらとは別に、そんな仲じゃない。向こうだってそんなふうに言いよってくるでもないし……誰かから妙なことでも聞いたか。大方ウサギか……あるいはゲイルという線もあるな。神妙に吐け_____!!』があーっとまくし立てるように怒鳴る。ただ、泡に関しては正直なところ、向こうがもっと気楽に受け止めていてくれたら。じゃあ付き合おうかなんて回答を、学生らしく無邪気にくれていたら、実は既に……なんて想像はしないことはなかった。でも、それを言われないからには私が出しゃばりすぎる気もない。こういうのは案外、恋人かどうかなんて枠がない方が上手くいく関係だったりするわけだし (6/7 00:35:52)
彎蜿 一/わんわん>
「あれなんか…思った以上に動揺してる?」(馬鹿め、と一蹴されるかもなぁ、なんて思っていたのに想像よりも動揺する君を見て、おやおや?、と。)「誰からも聞いてないよ。ただ、エレナを見かける時によく絡んでいるのを見るから。…八六のことはよく知ってるんだけどね、硝子玉のような人は名前を知らなくて…、」(君の動揺する姿を見れて楽しい。このまま恋に発展して、君がいわゆる恋する乙女になるのも見てみたい。失恋するのだって、きっと君はいい表情を見せてくれるはずだ。)「そんなふうに動揺する、ってことは…もしかして?」(───なんて、言ってみせて。君はそれを認めないだろうけれど、それでも意識をさせるには十分だろう。)>エレナ (6/7 00:52:41)
エレナ・ドラグノフ>
『……知らないなら知らないままでよろしい。』よくよく八つ当たりのようにぴしゃりと言い放ったのも当然。ああ、あの子は実は泡というんですよ、なんてこの空気から話し始めるものか。『それはまあ、動揺だってするだろう。友達か、あるいは親友だと思っていた相手と実は付き合っているんじゃないかとか言われたのと変わらないんだし。』恋に恋するようなロマンチックな人間ではないし、どちらかというなら相手の自由意志を尊重する性質(タチ)だ。私と仲良くしてくれている、彼らないし彼女らが恋人になりたいと頼るならそれに応える余地はあるだろうし、反対に私からだってそんなふうに転ぶ可能性も0とは言わない。『もしかしたら面白いことになったりする様なヤツなんかじゃなく、そんなふうに見えているのかと単に驚いたからだ。』けれど、相手を心配したり慮るついでに私でいいのかなと後手に回るばかりになってしまう。その辺は、別に恋愛脳だったりする訳でもないが気にかけよう。女子高生なわけだし『……で、そろそろ着かないのか。私の恋バナなんて聞いても楽しくないだろ。』 (6/7 01:05:32)
音戯 華子>
『イヨォォォォォォオオオオオオオオオオオッッッッッッッッツ!!!!!!!!!!』(ツッツッツッツ、ジャン!!!!!)(ギターから、色とりどりの音が溢れだす。天気は心が沈む程に大晴れ。雲一つない青空にペンキをぶちまけるように、彼女は中庭を飛び回る音たちと、戯れるのさ。)『余裕で生きてたい くだらないことで笑いたい ひとりになりたくない 全くもってこんなんばっか』(日々の不安、恐怖、怒号、悲嘆を全部乗せて、それを。)(丁寧に、綺麗で華やかなメロディーに乗せる。それが妙に皮肉ったらしくて、元気が出て、そういう粋な部分を全部歌う。)(それはそれとして、だ。)(今は授業中である。)(中庭ではしゃいでるうるさいのは、どうやら授業をバックレてるみたい。) (5/27 14:30:52)
エレナ・ドラグノフ>
カミサマの調査で、どうも下手を打ったヤツがいたらしい。本来私たちが受けるはずだった授業はパス。事後処理やら救助活動やらに先生が駆り出されたもんだから一時は慌ただしくなったものの、今となっては日差しも気持ち良い絶好の昼寝日和であり、微睡むくらいに退屈な自習時間だ。____窓の外から、微かに音楽が聞こえてくる。よりにもよって授業中だっていうのに、一体何をやってるんだ……?『はあ?』二階の窓から見下ろしたそこでは、誰かが歌っていた。誰かが奏でていた。それだけなら街中でだって見るだろうが、繰り返すが今は学校内であり授業中だ。思わず間抜けな声が出て、それに釣られたのか教室の男連中を皮切りに段々と騒がしくなる。『おーい、何をやっている!?』窓から身体を乗り出して、手を振りながら中庭に向かって呼びかけた。『授業は受けなくていいのか_____!?』ちょうど暇だったところだ、こんな風にちょっかいを出すのだって悪くない。後ろから好き勝手笑い声やらはやしたてる声を背中に受けながら『そっち、混ざりに行ってもいいかな____!?』教室内が湧く。さて、これは腹を括る必要があるぞ。 (5/27 14:49:02)
オトギハナシ>
『めんどくさいや うんざりすんや 僕ら多分ちょっぴり生きるのに不向き 脳みそ弄って幸せ感じたい』(こちとら頑張って生きてんの。上手く気持ちを口に出せなくたって、勉強する努力してなくたって、これが私の全力なの。それで世界が私を否定すんなら、私はどうしたらいいんだ?)(掻き鳴らす、ギターから響くドラムの音、全部全部彼女の周りを飛び交い。それはやがて、観客のみなさん(授業中の生徒達の耳に突き刺さる。)(アンタらも迷ってるんだろ。しんどいだろ、疲れてんだろ。ヒーローなんて幻想みたいな肩書急に背負わされて、市民様の為に戦ってんのはつかれるだろ。誰だってそうだ、なんの悩みも抱えて無いやつなんていないのさ。だからこれはある種のグラフィティ。何処からともなく現れて、法の壁にアートを書き殴って帰ってく、そんなバンクシーみてぇなやり方で。私はアンタラを、音楽で訴えかける。)『そっち、混ざりに行ってもいいかな____!?』『息をするだけで愛される合格通知くれい 圧倒的足りない自愛 両手使って自分自身のこと もっと抱きしめなくちゃ』(貴方と、目が合う。それは偶然なんかじゃない、彼女が歌ったから、貴方が叫んだから、彼女らは邂逅する。)「来てみろよッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」(目があったなら、もうアンタはもう私の観客だ。全部全部巻き込んで校則に真っ黒な落書きして帰るんなら、楽しむ仲間は多いほうがいい。) (5/27 16:54:24)
エレナ・ドラグノフ>
____どこか他人事でいた。辛いとも思ったことはなく、悲しいとも思ったことはない。厳しいとは思うし大変ではあるが、それでも迷ったり苦しんだりすることはなかった。従って自分を愛する必要はなく、自分を勘定に入れる道理はない。手を差し伸べてくれる人がいたらその手を掴むことはしようと思うけれど、それは本当に辛くなった時だけでいいと思っている。だから、その曲自体に心を打たれたんじゃない。『ふ、馬鹿者が。でも、なんだか嫌いになれないんだよな、そういうの____』叫ぶように唄う彼女が、美しかったからだ。誰かの弱さを抱き締めるようで、誰かの強さを賛美するようで。抑圧からの解放を叫ぶ姿は、なんだか最高にロックスターだった。____なら、やることは決まっている。『貴様、楽器かマイクの予備とかくらいはあるんだろうな?』にぃ、と笑い_____窓から飛んだ。足にバカにならない衝撃が返ってきて、前につんのめりそうになりながら身体を起こして、彼女に拳を突き出す。退屈な自習時間はおしまい、これからはぶっちぎるためのライブだ。 (5/27 17:15:13)
オトギハナシ>
(勢いよく流星のように尾を描き、窓から飛び出てきた生徒。随分身長が高いみたいだ、顔は引き締まっていてかなり美人で、自他ともに厳しいクールビューティーって感じだけど。)(見た目で人は、推し量れやしない。)(彼女は地面に置いたバッグからひっつかんだマイクを空に向かって、天高くぶん投げる。アンタの手元に落ちてくるまで、あと5秒。)(彼女はニッ!と目を細め、その尖った歯を見せながら笑えば、貴方の拳に思いっきり自分の拳をぶち当てる。)(落ちてくるまであと、3秒。)(さぁ、アンタがどんな歌を歌うのか、聞かせてくれよ。さぁ行くよ、こっからがこの曲の本番なんだから。)(あと、一秒。)(その瞬間、演奏が一瞬だけ止まる。本当に唐突に訪れる、刹那の無音。だがそれは、演奏の終焉なんかじゃない。それは、いうなれば。)(それは。)(嵐の前の、静けさだ。)(零秒。)(マイクが、貴方の手元に落ちてきた。)『うわああああああああッッッッッッッッッ!!!!!!!!!』(気色の悪いくらい、鬱陶しいくらいの晴天に吠える。ギターを掻き鳴らしながら、この世の不条理と社会の抑圧と、そんな感じのもの全部引っくるめて。)(【 ぶ っ 飛 ば せ 。 】)『頭なでなで 偉いねえ もう生きてるだけで誉めて頂戴 自損した自尊心ではやってけない いい子いい子が足りてない 今日までずっとずっと生き延びてるのにさ』(消えない汚れ染み付いて取れない私の喉仏。)(全部全部その汚れ出し切って、そんでもっと汚してやる。黄緑色の吐き気と痺れが指先からパチパチと迸って、それが弦を掻き鳴らして音を為す。そうして誰か一人にでもこの歌声が届いて幸せにできたんなら、"ヒーロー"冥利に尽きるってもんだろ。さぁ、歌え。自分の疲れも他人の喜びに変えちまえる、それが音楽の秘めた可能性なんだから。はしゃげ、下手だっていい、拙くたって、思いは伝わる。) (5/27 17:47:00)
エレナ・ドラグノフ>
____受け取ったマイク。言葉なんて交わさなくたって、それには魂が乗っている。たった二人で、乱舞するように、駆け抜けるように歌う。背中を合わせ、ステップを交わし、彼女に置いていかれないように精一杯を叫ぶ。『もういいじゃん』『みんなすごいよ』『存在意義なんておべんちゃら廃棄処分さ____!!』ラストに目掛けて天を叩く怒声。それは抽象的で、具体的で。もやもやしていて取り留めがなくて。けれどそれは何かに。そしてそれは確かに。怒り、抗い、踏みとどまり、踏み出そうとする人の歌だ。名前を呼ぶ声がする。それに答え合わせをするように、これから一緒に歌う彼女へとリクエスト___『次、私に合わせて歌ってくれないか。どの道怒られるんだったら、精々好きに叫んでからがいい。』『それに……だ。この馬鹿騒ぎの主犯が、貴様だけなんていうのもつまらんからな_____?』さあ、次は空からの乱入者のターンだ。格闘技と音楽、違いはあれど同じショービジネスの世界でもある。盛り上げるからにはこうしなきゃならない、こういうノリがなきゃならない。そのくらいは察しが着いていたから。バカをやろう。精一杯のバカを (5/27 18:00:43)
オトギハナシ>
『存在意義なんておべんちゃら廃棄処分さ____!!』(ジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャアアアアアァァァァァァン...............)(ギターが最後の1小節を奏で終える。)(音が、消えていく。)(この瞬間、いつも不思議な気持ちになるんだ。どんだけ最高な曲でも、いつかは終わりを迎える。長く立って、終わりがあるから曲として成立する。だけど、その音が消え入る瞬間の、演奏しきったという、筆舌に尽くしがたい達成感と。『もう終わっちまうのか』っていう、物悲しさと。それが混ざり合って、ちょっぴり切なくなる。)(そんな、ときだった。)『次、私に合わせて歌ってくれないか。どの道怒られるんだったら、精々好きに叫んでからがいい。』『それに……だ。この馬鹿騒ぎの主犯が、貴様だけなんていうのもつまらんからな_____?』「...................っっっっ。」(目を見開いて、貴方を見つめる。なんて。なんて、素敵な誘いなんだろう。まだ歌っていられる。まだ叫んでいられる。まだ奏でていられる。まだ、表現できる。)(私とアンタの、この激情を。)「............................好きなタイミングで来な、くださいッ!」(彼女はまた笑う。今度は挑発的に、しかし熱く滾るように。先生が止めに来るまでの残り数分、強烈な『アート』を学校に塗り付けて帰ろうじゃないか。彼女はギターの弦に、もう一度指をかけた。) (5/27 18:30:36)
エレナ・ドラグノフ>
『____任された。』あれは、ヒーローを慰める曲だった。優しい歌だった。迷ったり苦しんだり、自分なんかじゃと思い込んでもぐちゃぐちゃになっても、それでいいんだよと寄り添ってあげるような……そんな歌だった。なら、次の歌は。前に走っていく歌でなくちゃ____!『回り回ってさあ!今』『重なり合った未来』だから、とびっきりに勢いをつけて、跳ね上がるように叫ぶ。これから、ヒーローは立ち向かうんだというように。ヒーローは負けないんだと願うように。私たちは最初から、そのために居るんじゃないか。痛くても辛くても悲しくてもしんどくても、それでも這い上がって前に進むために。かっこよくなんて出来ないのは当たり前だ。私たちはあくまで「見習い」のヒーローでしかないんだから。けど。けどそれでもと叫ぶ歌『We are 最後の』『サァバイバァァァ______ッ!!!』チャイムが鳴り響いて、昼休みくらいに差し掛かる頃合だろうか。ああ……邪魔だな。これじゃあ届きようがないし、いくら叫んでも意味が無い。消し飛ばしてくれるんだろ____ヒーロー? (5/27 19:01:25)
オトギハナシ>
『We are 最後の』『サァバイバァァァ______ッ!!!』『デデンデッデッデッデッデッデデンッ、デデンデデンデッデッデッデッデデンッッッ!!!』(指が弦の上を忙しなく駆け回る。紡がれた音は激しく辺り一帯を包ん........)「.............................足りねぇッッッッッッッッッ!!!!」(指をどれだけ動かしたって、アンタがどれだけ叫んだって、この音楽は昼休みに飲み込まれる。時期に先生も止めに来る。)(───────だったらさァァァ。)(レットイットロック、その真価を今こそ発揮する時じゃんかッッッッッッッッッ!?!?!?。)『宿主が奏でた楽曲とそれに乗せて声帯から吐き出された感情表現は必ず誰かの鼓膜を揺らし心を震わせる。その音が聞こえる限り宿主が任意で選択した対象者の潜在能力を100%引き出す事が出来る。選ばれた対象者は自身の持つライセンスの中で最もふさわしい物を1つを10倍に重複できる。』(対象は。)(───────自分。)(【表現力】×40。二人の歌声が一番映えるように、アンタの叫びがみんなの心に一番突き刺さる表現で、演奏してやる。舞台は整えてやる。何倍にも増幅された音と楽器の種類。)(アンタの目に思いっきりその視線突き刺して、心を燃やす。)『どうでもよくなったよ 腐敗した微笑 苦笑』(歌詞は、"こっち"の方。完全にアドリブ。)(────────さぁ。やってみろ、ヒーローッッッッ!!!!!!) (5/27 19:33:00)
エレナ・ドラグノフ>
『色とりどりでより取りみ取り』『でも凝り固まった仮初の日々に』『一人気取り殻にこもりながらも』『虎視眈眈眈眈としている!!』いつしか、それはたった1人で始め、たった1人混ざっただけだったはずなのに、いくつもの手拍子や歓声に支えられていた。『研ぎ澄まされた感覚をもって______』なら、心から歌おう。歌は、感情表現なのだという。喜び、怒り、哀しみ、楽しみ。そうしたものを乗せるのならば、それは……普段は口にも顔にも出さない血みどろの激情だ。『叩きつけろォッ_____ッッッッッッ!!!!!!』ヒーローに憧れてなんて居なかった。ヒーローになんてならなくても良かったはずだ。本当はまた別の道があって、本当ならまだまだ弱い私が居て。その歯車が外されて、ヒーローにならなきゃもう止まれなくなった。走るしかない、前に。たたきつぶして行くしかない、先に。なんせそうしなくちゃ_____私の大事な仲間達が、自分と同じように傷つくんだから!!それは____『その 怒り をッッッッッッ!!!!!!!!!!』怒り。自分への怒りであり、理不尽への怒り。そして同時に、誰かへの優しさ。叫ぶ。ヒーローとしてなんかじゃなく、エレナ・ドラグノフの魂が叫んでいる。ウジウジしている時間は終わりだ、悲しむような時間も、グダグダと暇を潰すみたいな日も終わりだ。叩きつけろ、ぶつけろと____【怪力】×8→【怪力】×80 その腹の底から振り絞ってありったけシャウトした。さあサビに突っ込む。ここまで存分にやらせてもらったんだから____決めるのはやっぱり、臨時の主役よりも、ずっと表現を続けてきた君であるべきだろう_____? (5/27 20:05:47)
オトギハナシ>
『色とりどりでより取りみ取り』『でも凝り固まった仮初の日々に』『一人気取り殻にこもりながらも』『虎視眈眈眈眈としている!!』(鋭いリズムで一気にメロディを駆け抜ける、疾走感のある難所。アンタが完璧に走りきれば、信じてたぜ、なんて笑いあいながらギターを奏でる。)(徐々に集まってきた観客達、そろそろ潮時。私達は今、あくまでも悪戯に己の感情を爆発させるだけのグラフィティアーティスト。まだまだコンサートをやるには、顔を売るには未熟だから。彼女は紙切れを自分の顔に貼っ付ければ、)『叩きつけろォッ_____ッッッッッッ!!!!!!』『その 怒り をッッッッッッ!!!!!!!!!!』(紙切れの下か覗いた口が、ニッと尖った歯を見せて笑った。)(じゃあ、今ここで。)(伝説になろう。)『まわりまわってさぁ今ゼロに戻った未来』(全員惹きつけた、全員こっちに来た、観客動員は上々、コンサートするにはちっとばかり明るすぎるから。)『悲しむなって今日は昨日より悪くないよ』(【表現力】×40。不条理、理不尽への怒りを音楽にぶつけるんなら、その歌声は綺麗で、でもその美しさの中に醜い激情が垣間見えるから、その歌声は全員の感情を揺さぶる。怒ってんだ、怒りに震えてんだ、カミサマに侵略されてヒーローが死んで、許せねぇの。だから、美しく歌う。グレて汚くなるのは、今じゃない。ヒーローは、美しい正義を守るために泥臭く戦うから。)『まわりまわって さぁ今 霧がかかった祈り』(美しく、美しく、美しく、綺麗に儚く。)(そして、最後の最後で。) 『ウィアー、 最後のサァバイバァ゛ァ゛ッッッッッッッッッ!!!!!!』(とびっきり、汚した。)(ギターの伴奏を、ぶっちぎる。原曲通り、思いっきり止める。)(さて。)『コォオオオオオオオラァアアアアアアアアアアッッッ!お前らは何をしてんだァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!』「................に、に、ににに、っ........にげるよっっっ........」(彼女は言葉をつっかえつっかえ、ようやく声をだす。貴方の右腕をひっつかんで、怒鳴り声を上げながら本気で追いかけてくる、鬼の形相の教師。彼女はいつの間にか集まっていた観客の間を割って、できるだけ遠くへ駆け出した。) (5/27 21:04:24)
Avesta>
「─────、──────」コード専門学校。そこは未だ多くの謎があるイーコールやカミサマを〝理解〟し 、その謎を〝解明〟 する為に作られた異能力の術式(コード)を学ぶ学校である。将来はカミサマを調べる科学者を目指すもの、自我も理性も無いカミサマが引き起こす〝厄災〟 から、多くの人々を救う〝ヒーロー〟 を目指すもの、そこに通う生徒達の〝夢〟 は様々であり、同時に、様々な価値観を持つ生徒達が大勢いる証拠でもある。「──────────。」そんな学校の、とある食料廃棄場所に生徒達数人が何やら集まっていただろう。その【目的】は…「─────────。」とある、生徒への【暴行】であった。有り体に言うのであれば、学校や会社などで【よく行われている】【いじめ】という奴である。いじめの対象となっている女生徒は、普段、この時間帯を狙って、廃棄物から食べ物を盗もうとしていることが、この生徒達数人にバレて、今に至る。「────────。」いじめを受けている女生徒は車椅子ごと地面に倒されて、生徒達から容赦のない【蹴りの雨】を受けていただろう。【『消えろ』】【『消えろ』】【『消えろ』】【『消えろ』】【『消えろ』】【『消えろ』】暴行を加えている生徒たちはそう連呼し、彼女を本当に【殺す】勢いで、踏みつけにする。……しかし、暴行を加えている生徒達の表情は、決して、爽やかと呼べるものではなかった。寧ろ、その表情には【焦り】と【嫌悪感】と【恐怖心】が表れでており、まるで、【何か】に取り憑かれ正気を失ったかのように、生徒たちは皆、一心不乱に【それ】を痛めつけていただろう。………そんな、【異常】な光景の中心で、未だ暴行をされ、痛めつけられている、彼女の様子は、というと「………………………き、…ひ、ひ……♡」恍惚とした笑みを浮かべて、身体に加えられる【痛み】に【興奮】しながら、不気味に微笑んでいた。 (6/3 23:27:06)
エレナ・ドラグノフ>
ゴミ捨て場。だいたい用事があるとしたら、当然掃除の後だ。ゴミをまとめて、ビニールに入れて……これが結構歩くから割といい運動なんだよな。両手にかかる重さは実は大したことがないけれど、かけられるありがとうは、充分にこの仕事が役立っていることなんだと自覚させる。すれ違う生徒たちに笑いかけ、軽い挨拶や雑談を交わしながら歩いていく。特に聞かれたのはこのネックレス。泡とお揃いを買った、翼にピンクの輝石をあしらったものだ。装飾品なんて日頃付けていなかったから、どうも目立っているらしい。さて、じき現場に到着。サンタさんみたいに歩くのもやっと終わりだと_____そう思ったタイミングで、窓から見えたのは信じられない光景だった。『は……?』まるでそれは、処刑か私刑だ。やらなくちゃならないという強迫観念に基づいたかのような蹴りが、車椅子の女の子に加えられている。『ふざ____ッ、けんな!!』ゴミ袋を取り落とし、そのまま窓に向かって足をかけて飛び込む。2階から真下までのショートカット、ふわりとした浮遊感がスカートを膨らませるのにも気づかないでいた。あんなものを続けさせていたら、下手をしたら大怪我かそれ以上も有り得る。だいたい、なんだってあんなことになる前にあの子だって助けを呼ばないんだ_____?『おい。これ以上やるなら、私が相手になる。……ああ、勘違いはするなよ、私はこの女の子と関わりがあるわけでも、ましてや友達なんかでもない。単にお人好しで混ざりに来たのと同時に____わかるか、貴様らはなんの制約もない私を相手にすると言ったんだ。』頭が沸騰しそうになる。が、だからこそつむぎ出される言葉は冷静(クール)そのものだった。息を軽く吐き、彼女の前に庇うように造作なく乗り込む。____これまでに見た何を相手にするよりも、この怒りは極上品だ。 (6/3 23:45:30)
Dabih>
〝『おい。これ以上やるなら、私が相手になる。……ああ、勘違いはするなよ、私はこの女の子と関わりがあるわけでも、ましてや友達なんかでもない。単にお人好しで混ざりに来たのと同時に____わかるか、貴様らはなんの制約もない私を相手にすると言ったんだ。』〟 キミがこの場に颯爽と現れ、暴行を加えていた生徒たちにそういい放てば、それまで暴行を加えていた生徒たちは、まるで正気失っていた状態から現実に引き戻されたかのように、身体をビクつかせて跳ねさせて、それまで暴行を加えていた脚をいっせいに止めただろう。そして、わたわたとしながら、自分たちが今置かれている状況に、まるで理解が及んでいないかのように生徒間で互いに顔を見合わせたのち、ばつが悪そうに、生徒たちは蜘蛛の子を散らす勢いで、バラバラに違う方向へとその場から逃げていっただろうか。「…………………ぁ、……」そして、残されたのは身体中に、生徒たちから踏みつけにされ、靴の裏のあとをつけられた傷だらけの少女と、キミの姿だけだっただろうか。…どうやら、少女の方はかろうじてまだ息があるようで、意識もあるようだ。「……………………ぅ、………」傷だらけの少女は、そのからだを動かそうとするが、その大怪我ではまともに動けそうな見込みはなく、視線だけを何とかキミに合わせようとして、顔をあげようとしただろう。…そして、ちらり、とだけキミの姿を確認したなら、今度は自分が座っていた車椅子の方へと視線を移動させて「……………………………。」一度、車椅子の方へと、【何か】を取りたそうに手を伸ばす素振りを見せるが、今の少女にそれだけの体力は残っておらず、手を伸ばした腕はすぐに地面へと落ちてしまい、力尽きて諦めてしまっていただろう。……少女が手を伸ばしていた車椅子の近くには、更に画用紙と数本の鉛筆が散乱していて、もしかしたら、少女はそれに手を伸ばそうとしていたことに気付くだろうか。 (6/4 00:17:13)
エレナ・ドラグノフ>
……なんだ、アレ。と逃げ出した生徒たちの後ろ姿をぼんやり眺める。あれじゃまるで、突発的に大それたことをしてしまったかのようじゃないか。やったことは許されることなんかじゃないし、起きてしまったことが、だからといって覆ったりすることはもちろん無いだろう。けれど、あんな風に悪い夢でも見ていて、それが今の今醒めたかのように果たしてなるのだろうか___?『あ』思考が漂白される。ぼんやりなんてしている暇じゃなかったと、今にも消え去りそうな呼吸音が現実に引き戻してくる。彼女をどこに運ぶべきだろう、普通は保健室だろうが____原因が不明である以上は下手に騒ぎを広げるのもマズイ。あれだけ暴行を既に加えられていたんだ、密告した可能性をヤツらに想像されるだけで、どんなことになるかは分からない。……ここは一つ。『これか、欲しいの。とりあえず学校(ここ)の保健室に連れて行ったりしたら、大騒ぎになるのは目に見えてるから……。少し我慢しろ、街の病院に連れて行ってやるから。』傷だらけの彼女が取ろうとした画用紙、色鉛筆を持たせると、そのまま抱え上げる。ゴミ袋を廊下(みち)のど真ん中で投棄しっぱなし、かつ二階から飛び降りたなんて大それたことをしたのが逆によかったのか、車椅子だとか先生への連絡は、親切にゴミを捨てに後ろから来てくれた少年に任せた。『お腹を壊した、とでも言っておいてくれたなら助かる。緊急事態だからな。』……この場合学校をフけるくらいなんとでもなる相談だ。ひとまず病院に走らないと____ (6/4 00:33:03)
Dabih>
〝『これか、欲しいの。』〟 そういってキミは少女の持ち物である画用紙と色鉛筆を拾ってきて、それを彼女に持たせてくれた。「………!!」「……………」『〝ありが………〟』「…………!?!?」“ありがとう”と画用紙に文字を書こうとしたその時、急に身体は浮遊感を覚え、それが、キミに抱えられたからだと気づくと、少女はすごく驚いたような顔をしてキミをみただろう。 「………………ぁ、ぁ、ぇ………」困惑した表情で、画用紙をめくり、キミに何か伝えるために言葉を考えるが、思考が纏まらず、伝えたい言葉が浮かばなくて、筆を持つ腕が振るえているばかりだっただろうか。「………………………ぁ、…の………!………」言葉にできないからなのか、勢いあまって、少女はつい、キミにそう話しかけようとしてしまうだろう。そして、話しかけようとしてしまって、声を出してしまった自分自身に少女は戸惑いと焦りを感じてしまっており、抱き抱えられたキミの腕の中で、少女は視線を右往左往させていただろう。『〝なぜ?〟 』ようやく画用紙に文字として起こすことが出来た文にはそのように書かれていただろうか。その文にはおおよそ、ふたつの問いかけの意味が込められていただろう。ひとつは“なぜ助けてくれたのか。”そしてもうひとつは“見ず知らずの人物にそこまで尽くしてくれるのか”だろう。少女も、まさかキミが病院まで運んでくれようとしてくれるとは思ってもみなかったようである。せいぜい、誰か人をよんで、応援を呼んで、誰かに救助を任せるぐらいのことしか想像していなかったか少女からしてみれば、キミの行動は“優しさ”が過ぎるものであったのだ。 (6/4 01:01:07)
エレナ・ドラグノフ>
『馬鹿者!女の子が大怪我してるんだぞ、何故だとか考えている暇があるか____!?』何故。 そんな質問が返ってきたとき、なんだか無性に頭にキた。なら、この子はこんな目にあった日に本気で助けてくれる人なんていなかったのか。なら、この子はそこで見ず知らずの人だからと見捨てられるような事があったのか。息を切らしながら、見慣れた街並みを疾走する。歯科、耳鼻科、産婦人科、鍼灸……別にアテが外れたり、病院の種類を間違えて覚えたりしていたなんてマヌケはしていないんだけれど。今回用がない病院を過ぎ去る度、こんなに病院があるんだから、一つくらいこの子に手を施す病院があったっていいじゃないかと焦れったい気持ちが加速していた。『なんであんな目にあっていたのかとか、オマエがこれまでどうなったかなんて知らない。知らないから、言わせてもらうけどな_____』そして、口にした言葉は言ってしまえば蛇足であり、八つ当たりだ。『確かに、今日は助かった。痛い思いだって一応は終わりなわけだ。だが、これからはオマエが戦わなきゃならなくなるし、私だって「今日だけ」助けられただけで、明日は助けられないかもしれない。』ヒーローというものには、救えない存在がある。それは、ヒーローが居ない場所にいる人たちだ。ヒーローだって寝るし、食事は必要だし怪我だってする。そうしたら、その場にはヒーローなんて居なくなるし、そこを狙って悪いヤツが襲いかかる場合は有り得ないことではない……なんてより自然だ。だったら、戦うのは誰だろう。『なら、「今日この日」助けて貰えた人には「明日から大丈夫」って顔をするものだ。分かるか?』ヒーローに、助けられた凡人(ヒーロー)が、その時こそ腹を決めて戦う時だ。だから、助けて貰って訳が分からない、なんて顔をするなとそう語りかける。 (6/4 01:21:30)
エレナ・ドラグノフ>
夕方手前までの授業は、根っからの体育会系かつスポーツを専門にした学校に通っていた私からするならば重労働である。たまに、あの八六ですら、認めたくはないが自分よりこの学校での学びには慣れているだろうと考えるから余計に悔しい。優等生も楽ではないのである。だから予定がない放課後などはいつも、みんなが見ていない場所では落ち武者のように疲弊している。楽しくないことを散々した上で、またやることがないなんてダブルパンチでしかない。『さて、と。掃除も終わり、準備も出来たな。』が、今日は真っ直ぐ寮に返った日の割にご機嫌だ。そう、夕方から行われるお泊まり会があるからである。アレコレ物騒なものは一斉退去、模様替えまではやらないが、掃除機をかけて清掃ロボットも総動員。綺麗にしきった部屋を改めて見てはやれるものだなと思いながら______ノックされるのを待った。 (5/19 01:35:27)
蕪木 千歳>
( 今日はちょっとだけずるをした。といっても、自身のディスコードであるシークレットガーデンを使って、学校から自宅、自宅から学校と往復した。ただそれだけなのだけれど……普段はそんな事はせずに、自分の足で歩いてバス通をしている私からすれば、これはちょっとだけズルいことだった。着替えや手土産、個人的なお菓子、ボードゲームの類いを少々。膨らんだリュックサックに重心を任せると、あっちにふらり、こっちにふらりとしてしまいそうで、なんとか身体の主導権を掴んでいた。歩きながら、壁にかけられたプレートと、教わった番号をメモした手帳を見比べる。寮暮らしでない私からすれば、そこは未踏の地。余所者を圧迫死させるような、知らない場所の雰囲気に包まれた処刑場。だから、部屋番を忘れてしまえばそれが命取り。プレートにかかればた数字がメモしたものに近付くに連れて、少しずつ呼吸が楽になるような気さえした。『 えっと…………465号室……465…4,6……………ぁ、此処かな 』漸くたどり着いた砂漠のオアシスに、漸くほっと息を吐く。ノックをしようとして……改めて、手鏡で自分の身なりを確かめた。いつも通りの制服スタイル。でも心なしか、リボンが曲がっているような……よし、これでおっけー。前髪は……跳ねてないから、取り敢えずよし。最後に鏡の前でにっこり笑顔………よしっ。深呼吸をして、こんこんこん。軽いノック音が3度鳴り響いた。『 ぁ………蕪木です、エレナちゃんのお部屋であって…ますか…? 』 (5/19 01:54:50)
エレナ・ドラグノフ>
『ああ、入ってくれ。』____上下黒のショーパンとインナー。こういうのは部屋着でやるものだろうと思ったが、それだけでは寒いからと上着に羽織るパーカーには、デフォルメされてサメのような牙が生えた戦闘機のマークがプリントされていた。普段ワイシャツにロングスカートを崩さないスタイルからしたら、こうしたカットは希少品である。『……制服、着たままできたのか。もしかして、そのままで部屋に居たりする、のか……?』部屋の内装は、強いて言ったら___センスが壊滅していた。多分職員室の余りだろうスチール製のデスクを、横にして部屋最後部に。低いガラステーブルと、向かい合うような革張りの椅子は応接用だとわかる。棚や収納にはトレーニング用品や週刊誌などそこまでおかしくはないのだが、サボテンやら観葉植物や野花などどう見ても置きすぎでまとまりがない。ついでに、何かウエスタンにでも憧れたのか、モデルガンを壁にラックを引っ掛けて飾ったかと思えば、模造刀を机の上に置いていたりする。調度品が過多なのだ。ちなみにエレナは制服でいるのが嫌いだ。簡単だが、サイズがギリギリしかないからいつはち切れたかわかったものではない。そのためコスプレに近い絵面になったことも多々ある。そのため怪訝そうな顔で『服、私の貸そうか……?』他に持ってないんじゃ?と強ばった顔で見つめた (5/19 02:13:00)
蕪木 千歳>
( 人間っぽい。別に貴女の事を人間じゃないと想定した訳でもないし、第一印象がこれというのは相当失礼なことのように思う。でも紛れもなく、思ってしまったことがこれだった。エレナちゃん。背が高い。筋肉が凄い。命の恩人。追記事項。顔が整っている。それから…センスの1部が凄い。 『 えあっ、や、ちゃんと部屋着もありますっ!あります、けれども、…私寮生ではないし、言ってしまえば部外者ー……なので、なるべく、正装というか、寮に入る上であんまり緩い服装は、どうかなー……って………だから、ね、大丈夫、だいじょうぶです。 』暫し呆気に取られていたのは言うまでもない。気付けば服を借りる事態になりそうで、慌ててぶんぶんと首を振った。サイズとか、多分合わないし。あとあのー…うん、……うん…。流石に持っている相手に無理に貸すようなこともないだろう。そんなことがなければ私は少しだけほっとして、まだちょっとだけ呼吸のしやすい未踏の地へと足を踏み入れた。『 あの、これ……ん、んん"………………しょ…っ。お母さんが、エレナちゃんにって。』踏み入れたは良いものの、何処に定住して良いやら分からず。靴を綺麗に揃えたりと変な時間稼ぎをするなどして、一先ずは物が詰まった鞄の中から、託されたミッションをこなすことにした。取り出されたのはクッキー缶で、土産物らしい質の良いもの。それから、期限はそれなりに長いお米券が3枚。あまり多く渡しても、とはいえ一人暮らしは大変そう、なんて悩む姿は、まだ思い出せる。後ろを着いていって、2つの土産品を手渡して、それが終わったら後は、…後は、どうしようか。革張りのソファは私が座るには何か違うような気がした。) (6/4 16:13:28)
エレナ・ドラグノフ>
『ならよかった。私の服を貸す自体は構わないのだが、サイズがどうしても……と悩んでいたところだ。』私の服を着せるとなると、多分私のシャツがこの子にしたらワンピースくらいになるような気がする。それは見た目的に……って想像するなバカ!『何……?なんだ、お土産まで持ってきてくれたのか。別に、貴様と会えるだけで私には十分なつもりでいたんだが……。ありがとう、慎んでいただいておく。』エレナちゃんに。 まさか手土産があるだなんて思わなかったから、これには驚いた。結構いい感じのクッキーとお米。実は食糧関係は某お節介な幼なじみが担当してくれているから問題なく供給されているのだが、しかし一人暮らしは大変だろうと慮ってくれたのには感謝しかない。いただいたものを机に放り投げるなんて馬鹿なこともないから、すぐさまにしまって……『どうした?気にしないで座ればいいのに。ふ、それとも隣が良かったか……?』なかなか席につかない彼女に、気にしないで座ればいいのにと促しながら、家主より先にくつろぐのもなんだと思っていたりするのか……?と思い体を預けるようにソファに体重をかけて深く座り。隣に来る?なんて微笑しながら口にし (6/4 16:27:20)
蕪木 千歳>
( どうやら合っていたらしい。お泊まり会の作法というか、そんなもの何も気にせずだらだらしろというのは尤もなのだけど、そんなこと出来るわけもなくって、ぎこちなさをただの緊張のように見せるのだって精一杯だ。背負っていた荷物を部屋の隅に置かせていただいても、対して肩が軽くなった気がしなかった。いつまでもまごまごしていても仕方なし。形になることはない溜め息を、柔く吐き出す。覚悟を決めよう。何の覚悟か分からないけど。『 ………………じゃあ、お言葉に甘えまして…? 』ちょこん。そんな音が合っていたように思う。隣…にしては無理矢理人が割り込もうと思えば割り込めそうな、そんな距離を置いての隣。思いの外ふかふかなのに驚いてしまって、背中だけはぴったりとソファにくっついている。目線を横に流してから、ちょっとだけ上を見れば整った顔が見えて。話すには向い合わせの方が向いていたのか、隣の距離感の近さの方が良かったのか、よく分からなくなった。分かることなんてもう対してないけれど、分からないことは増えていく。『 …あ、あの、あのね、ですね?お泊まり会って、何したら良いのかあんまし、分かんなくて、だから取り敢えずお菓子とかトランプとか、持ってきました。…準備万端、で、すよ、 』 緊張とか焦りとかで、変に笑顔がふやけてしまっているような、そんな気がしてならない。ぐっと拳を固めて、ばちこいっなんてしたところで、緊張が和らぐ訳もないけれど、まだましになったら良いなと希望的観測。宣言してから、態々何を告げているんだ…?と、また分からないが増えた。) (6/4 16:55:20)
エレナ・ドラグノフ>
『……確かに、何をするか相談していなかったな。色々準備してくれたのは偉いが、そうだな……ここは一つ、提案がある。食事と入浴を早めに済ませて。夜になったら……夜、寮を抜け出して星でも見に行こうか。』わかったわかった、と緊張しているのが丸見えの彼女を宥めるように頭に手を置く。ぽすぽすと優しく撫でていきながら、確かに、やることをこちらは色々考えていたくせに言い忘れていたなと、今更になって思い出した。『ああ、後、せっかく貴様が制服なら、私もその時は前の学校の制服で出かけてみよう。』頭を撫でるには少しばかり遠巻きな距離感。こういうのはやっぱり、自分から色々寄り添ってやるべきなのだろうかと、空いていた空白を詰めて。「そう怖がらなくていい」と、勤めて優しく言葉をかけた。こういう子を可愛がりたくなるというか、甘やかしたくなるのは昔から変わらなかった。せっかく彼女が着てきているのが制服なんだったら、自分も制服で行っても良いじゃないか、なんて思いつきをして。『……異論はないなら、夕飯は何が食べたいかリクエストしろ。お土産のお礼に、食べたいものを作ってやるから。』 (6/4 17:05:01)
蕪木 千歳>
( 寮、抜け出す、お星様。1つの言葉を飲み込む度に、ぱちぱちと何度か瞬きをした。お星様、天体観測、プラネタリウムとか、きれいなもの。貴女は結構、ロマンチスト? そう思って部屋を眺めて、あー………うーん……………? ろまんちすと……………。『 う………っ、怖いというか、緊張、してるんです。……お星様観に行く、制服デートですね 』天然タラシなだけかもしれない。ぽふっと撫でられる度に、押しボタン宜しく頭がこくんと頷いて、髪の触り心地もふわふわになっちゃうような気がした。前の学校の制服、なんて言葉に元から此処の生徒じゃなかったことにカルチャーショックを受けながら、生憎この格好は前のものでも学校指定のものではないけれど、制服デートなんて学生らしいことに、へにゃりと目尻を下げた。『 わ………っ、料理、出来るんですね、すごい。えーと、じゃあ、……えぇと、…んー………………… 』半一人暮らしの寮生には必須スキルかもしれない。けれど、私はあんまり得意ではないものだから、しれっと作るという発想が出ることに驚いた。手料理、折角なら作りやすいものが良くて、けれどそれってなんだろう。真剣な顔で考えながら、くるくると髪を指に巻く。癖が付いちゃうから、あまり良くない。『 …………エレナちゃんが1番得意なのとか、作りやすいのとか、…どうー…でしょう、 』 (6/4 17:29:28)
エレナ・ドラグノフ>
『……制服デート、か。いい響きだな。で、なんだ、私と一緒にいるのは緊張するのか?』一緒に居て緊張されたり、怖がられたりするのはそれこそ一部の馬鹿者を除き珍しくもない。けれど、こんな風に固まっていられたりしたら申し訳なくなってしまう。頭を撫でたまま、本当に?と子犬のような顔で何度も聞き返しているのは、どうしたらいいのか持て余してしまっているからで。『料理は確かに、それなりに自信はある。よく穂坂に……ああ、それはいい。抜けている男だが、友人に料理の出来るヤツが居てな。』穂坂に作ってもらっていたのを見て覚えた!なんて言ったら、色々寮生活なのやその他もろもろをひっくるめて非常に説明が回り道になる。だから、それなりに自信があるんだと答えておき『作りやすいもの、か。正直、自分一人という訳でもなく、貴様に食べさせる物なんだから、手間もさしては苦にならないものだが……。そういうのなら任せておけ、少し時間を貰うが、その辺は構わないな?』そろそろしょんぼりするのも終わり、と寮の奥にあるキッチンに立ち上がり、移動しては『いい子で待っているんだぞ?』 (6/4 17:48:23)
蕪木 千歳>
ぅ"、……そりゃあ、まあ、それなりに…… ( そこを言及されると思っておらず、持久走の後のような痛みが脇腹を襲った。貴女だから、というか、多分誰にでもそうで、多分これは変わらない。変なフォローも説明もせずに、ただ痛いところを突かれて、それにちょっぴり痛がりながら渋々と頷いた。『 …じゃあ、楽しみにしてます。……流石に作ってもらうのに、早く作れーとか、横暴なこと、言えないですよ 』それ含めて凄いものだけど、それは要らない劣等感で、対して話す必要もない。だから、冗談めかして瞳を細めて、その腕前を心待ちにする。それだけで良いんだ。お手伝いした方がと思わないこともない。けれど、お世辞にも料理が上手いとは言えない己の実力。お手伝いしますと言っても、邪魔になるか、お母さんに料理を教えてもらっている娘の図……そんな風になるような気しかしない。お手伝いが手間を増やしては、それはお手伝いでもなくなってしまう。分かりましたと頷いて、良い子で待っていることが唯一出来るお手伝いらしいこと、だろう。貴女の姿が見えなくなってから、こてん、と貴女が座っていたのとは反対側に体を倒して、撫でられていた頭に手を当てる。お風呂、今のうちに借りてしまえば良かったとかなり遅くに気が付いた。) (6/4 18:09:32)
エレナ・ドラグノフ>
この暑くなる季節の旬というなら、アジやイワシ、トマトやキュウリ、ピーマン、なす辺りの夏野菜が候補に上がる。だが……そう、今日に関しては切り札がある。釣り上げたアジを開き、燻製にしてきたものだ。アウトドアが趣味な都合、キャンプのついでに夜釣りをしたりする機会も多かった。そこで釣った魚をそのまま寮には持ち込めないから、下処理をして塩漬けの体をとり、それを更にこそこそと馬鹿者達に見つからないように干して仕込んだ。それをそのままこんがりと炙り、燻したスモーキーな香りが立ったあたりで大根おろしや大葉を添えるだけでメインは完了。次は卵焼きにチーズを包んで巻いたもの、白だしを使うのがこの場合コツだ。汁物は、エビせんから作るビスク風の味噌汁。野菜を細かく切り、オリーブオイルと炒めてから、沸騰したお湯に味噌を解いて、トマトソースと砕いたエビせん、野菜を混ぜると何故か洋風な味わいの出来上がりだ。後は野菜が皆無はアレだから……昨日ののこりの漬物類を並べて_____『……さ、召し上がってくれお嬢様。いい子に待っていてえらかったぞ。生憎、食の太い私に合わせて作るしかなくてな……食べきれなかったりしたら遠慮なく言ってくれ。』ひとまず及第点の食卓の出来上がりだ。【芸術:家庭料理】『実は、ソファでころんと寝ているのを、度々調理の時にこっそり見ていてな。ふふ、なかなか可愛らしかったぞ。』 (6/4 18:35:22)
蕪木 千歳>
……………そういう、とこですよ。( なにが?と聞かれれば、別に何でもないのだけれど。美味しそうな香りが鼻腔を擽って、調理の音は耳に心地好く、それなりに気が抜けたと思えばこれだ。作り終えた頃には正していた姿勢も、見られていたんじゃ対して意味もない。歯の浮くような台詞でありながら、それは至って素面で何かしら大きな意味があるような訳ではないのだろう。ヒーロー適性というものが存在するのなら、合格するだろうなと言う感じがした。両手で顔を隠して、そっと静かに息を吐き出した。『 …いただきます。 』くぅ、と小さくお腹が鳴いて、いつまで顔を隠してもいられないからそろりそろりと瞼を開く。用意された料理の種類に軽く目眩を覚えながら、それはそれとして美味しそうで、おっかなびっくり、箸を手にとって手を合わせた。何れから手をつけるべきか、数多の選択肢の前にそれは贅沢な悩み。何れから手をつけたって多分美味しいと感じられるだろうという確信があった。数秒の間に相当悩み抜いて、始めに手をつけられたのは見慣れたフォルムの卵焼き。箸で一口サイズに割れば、中からとろりとしたチーズが溢れ、外気に冷やされ少しずつ形がなされていく。絶妙なバランスで絡まりあった卵の層とチーズがほどけてしまわないように、慎重に慎重に口に運んだ。2口目は、本当に少しのお醤油を垂らして。お出汁の風味と卵の甘味が残っている内に、洋風の、…洋なのにお味噌汁な気がする、初めての汁物をふー…と冷ましてから─── 『 ………おいしい…、すごく美味しいです、エレナちゃんの料理 』暖かいものが食道を通って、胃に落ちる。消化されて、身体を構成する1部や、動くための活力になる。頬っぺたがきゅうと収縮して、緩ますためにもう1口、すーぷ…味噌汁?に口を付けた。ほあ……と思わず吐息が漏れて、お腹の中がぽかぽかした。美味しいから、きっと食べきれる。ほっとして、えへへと笑いながら改めて、有難う御座います、と頭を下げた。) (6/4 19:11:50)
エレナ・ドラグノフ>
『……?』にこやかな表情のまま、どういうところなんだろう?という疑問はそのまま流されていった。千歳が顔を覆っていたわけもよく分からないが、反応的に何か悪いことをしてしまったわけではないんだろうから、まずは食事からだ。『それならよかった。ヒーローたるもの、まずは何にせよ身体が資本だ。規則正しい食事と、睡眠。特に食事は……そうだな。』美味しいと言って貰えるのは、素直に嬉しかった。それに、我ながらこれは上手くできたという自負があるから自慢できる。ヒーローは食事に気を使うんだぞと言いながら、アジの身を解し、大根おろしを乗せて口に運ぶ。塩気はもうあるから、醤油はなくてオーケー。口に含むとスモーキーな風味が香ってきて、それが塩味が濃い魚肉の滋味と相まって味わい深い。大根おろしがミソで、塩が強くなりすぎないようにまとまりを与えているのがよろしい。『前に貴様を抱えたことがあったが、アレじゃ軽すぎる。もっと食事と運動をすると良いかもしれんな。』ふふ、とからかうように笑みながら、もう少し食べればいいのになんて『そうだ、風呂はどうしようか。先がいい後がいいはあるか?』 (6/4 19:27:24)
蕪木 千歳>
う"………はぁい ( 確か元々は、ヒーロー志望じゃなかった。在学中にヒーローになる使命のようなものを下されたのだから、そうは言われても、仕方がない。ご飯を食べて、身体を鍛えて、ヒーローにならなきゃいけない。…当たり前のようにそれが出来る人は、どうにかしている。おいしい、おいしいと舌鼓をうちながら、冷めてしまう前にせっせかとご飯を摂取した。星を見に行くためにこの後歩くのは、運動に入るだろうか。走るぞ、とか言われたらなりそうなものだけど、足の早さも体力面持ち合わせていない私じゃ、良くて置いていかれる、悪くて地面がこんにちは、な気がした。『ぁー…………後でで、お願いします。美味しいご飯をいただいたので、片付けくらいは、私にやらせてください。』これで釣り合うか否か、そもそも受け取ってもらえるかという問題はある。けれど、流石に申し訳がたたないというか、洗い物なら問題なく出来る、…筈だ。むんっと固める拳、顔には細やかなやる気を添えて。そんな人を無下に出来るような人ではないのではないか、此処までの会話からそう推測した。もし、家具の配置に拘りのある人とかならあれではあるけれど…たぶん、おそらく、大丈夫) (6/4 19:45:41)
エレナ・ドラグノフ>
『……ああ、頼めるか。一応、お風呂に入ってからは汚れたりする心配はない。近くまではバイクで行けるから、私の後ろに乗っていてくれたらと思うんだが……車に酔うなら先に教えてくれよ。』食事を口に運び終えてぱん、と手を合わせてご馳走様をして。後片付けは、せっかくだし自分から勝って出てくれた彼女に任せることにしよう。普段のパジャマの代わりに下着と制服を用意しながら、汚れたりする心配は多分ないよと予め言っておく。言い出した手前、お風呂の後に出歩いたりするのって、やっぱり気にする人は気にするだろうから_____『じゃあ、少し待っていてくれたら助かる。なるだけは早く済ませるから、その間はテレビでも見ていていいからさ……』ふろ場にそのまま向かいながら、テレビでも見て待ってて、とそう言い含めておく。一緒に入ろう!とはまさか言えないから、一人で待たせておくのは申し訳ないし……『あ、確か冷蔵庫にオレンジが切ってあったから、デザートにでも食べててくれ』 (6/4 20:08:55)
蕪木 千歳>
!…ん、お任せください。バス通なので、車酔いとかも大丈夫です ( 賭けに勝ったような気分とでも言おうか。片付けの権利を無事に勝ち取り、内心小さなガッツポーズ、表情はぱっと華やいだ。徒歩か走りか、なんて思っていたが、移動手段にはバイクがあるようで、免許もなく、父や母も乗っていない私には道の世界。記憶にある限りでは初体験だ。貴女の方がご飯を食べ終えるのは幾らか早く、それも含めて、後での選択をして良かったように感じた。『 はぁい、……良い子で待ってますから、ゆっくりしてきても大丈夫ですよ 』デザートまであるとはまさに至れり尽くせり。けれど最後まで食べ終える頃には腹八分目は優に越えていて、入るかどうかは怪しいところだった。お腹を少し空けて食べる時間含め、そして先の良い子で待っていた実績もあって、見送りは朗らかに、幾分か緊張は抜けた風だった。『 ご馳走さまでした。 ……さて、』落としてしまわないように、食器は少しずつ運ぶ。運んだら水に濡らして、その間に残りのも。初めに運んできたのから軽く水で流し、もこもこの洗剤を纏ったスポンジで洗っていく。体が覚えているのか、手付きはそれなりに軽やかで、貴女が戻る頃には終わっているだろう。そしたら、次はお風呂に入って、……お星様を、観に行くんだ。………デザートのオレンジは結局、満腹のお腹の中に収めることが出来なかった。) (6/4 20:42:57)
エレナ・ドラグノフ>
入浴。そこまでたくさん時間は取れないけれど、だからといってのんびりするような時間がないわけではない。なるだけ休んで、それから出かけるまでの英気を養おうと思う。今日は、星を観に行くんだ。天気は快晴、空気の綺麗な場所に行けばきっと遠くにだって見えてくるだろう_____『悪い、待たせた。そんなに時間をかけたつもりじゃなかったんだが……。こう、人とお泊まり会なんてしながらだと、色んな生活のスパンがどうしたらいいか分からなくなるっていうか……』一体どこの誰だろうか、そこまで時間は取れないなんて口にしたのは。結構悠長に長居してしまって、すっかり逆上せそうになっている。顔は熱く、頭がひっくり返りそうなくらい力が抜けてしまっている。 ____出てきた姿は、下着姿にタオルを肩にかけたようなままだ。用意したはずの制服を後ろ手にしたままなのは、千歳が出てきてからのお楽しみにしようという稚気が見てとれるだろう。ほのかに湿った、隆起のはっきりした身体。ダビデ像のような肢体がほのかに赤らんだそれは、美しい絵画が単純な構図を描くように、下着のままが寧ろ合致するようだった_____『入浴剤だとか、シャンプーやボディーソープは好きに使って大丈夫、バイクの用意をしてくるから少し居なくなるけど……直ぐに戻るから安心してくれ。』さあ、これからはお風呂は交代で、こちらは極秘ミッション。夜中に寮を抜け出すために、バイクを裏門にこっそり回さなくては______! (6/4 20:58:24)
蕪木 千歳>
わ、わ、大丈夫ですか……!?コップ借りますね、お水飲んで、あとは………取り敢えず、お水、飲んでください ( 上がってきた貴女の姿は茹で蛸だった。いや、整った身体を前にして、蛸と表するのは如何なものではある。けれど、それ以外に表現方法は思い付かず、私に出来ることもわたわたしながら冷えた水を差し出すことくらいだった。身長的に、目線が合う適切な場は言うまでもなく、さりとて下を見るわけにもいかない。そもそも同性なのだから、そんなに慌てるようなものでもないのだけれど、体育で着替えるときだって、態々人の身体を凝視することはないでしょう。つまりは、同性だからってっていう理屈は通るわけで……出来ることならそりゃあ、服は着てきて欲しかった。『 分かりました。…お風呂、お借りします 』こくこく頷いて、持ってきたリュックから着替えやバスタオル、あと、使って良いとは言われたものの持参していた小さなシャンプーやリンスの入ったポーチを取り出した。そうしてから、小さく会釈してぱたぱたと足早にお風呂場に向かうだろう。リボンを緩め、ワイシャツのボタンを外していく。見下ろした体は洗練された、とは言い難く、それがヒーローになる意志がないからだとしても、一般人の証のようなものだとしても、比較して絶対に見せられない、なんて決意を固めるのは当たり前の事だった。『 ────お風呂、お借りしました。 』それなりの時間が経った後、お風呂から出てきた彼女はそれなりに茹で上がり、そして決意通り制服は既に着た状態だった。風呂場に持ってき損ねた靴下だけは1度脱いだものを履くのに抵抗があり、唯一肌が露呈する。けれど荷物をしまう次いでに取り出せば、直ぐ様履き直した。) (6/4 21:28:54)
エレナ・ドラグノフ>
『……じゃあ、行こうか。いいか、無駄な会話はなし、しーっ、だ。出来るな?』膝より少し上の、黒とグレーが交差したチェックのスカートにワイシャツ、ネクタイ。ブレザーはさすがに暑苦しいので今回はなし。それにゴーグル付きのハーフキャップを被って、迷わずに外に向かう。かさこそと周りを見ながら、門限なんてとっくに終わった真っ暗な寮をスパイ映画のようにすり抜けていく。なんだか夜の学校に忍び込んだみたい____正反対というか、今から抜け出すわけだが___な、いけないことをしているような気持ちは、やはり高揚するものだった。『ヘルメットは今のうちに貸すからさ、ほら、早いところ車出さないと見つかっちゃうし……良く掴まれよ?』エンジンを掛ける。排気音が夜の闇を割く。月明かりで明るい夜空に、ヘッドライトが第二の月を照らした。学校の中で鳴ったならともかく、先程念の為裏門から回してしばらく歩いてきたのもあり、ギリギリこのあたりは敷地外だ。さあ乗ってくれと、愛車の逞しい車体(ボディ)に飛び乗りながら振り返る。さあ、我がワルキューレルーンを久しぶりにぶっ飛ばす時が来た_______ (6/4 21:47:48)
蕪木 千歳>
は、はい……っ! ( 貴女にかしこまって言われると、まるで何かの任務のよう。神妙な顔立ちで頷けば、いえっさー、と敬礼をした。かくれんぼは得意な方。きっと皆起きているだろうに、暗く静かな廊下を抜き足、差し足────。『 ───…………………お、おぉー………。……………ん、……ん、んん…………っ、ん、おっけーです…! 』外に出れば思わずぷはぁっと息を吐き出してしまって、まるで水中から出てきたようだった。近くで見るバイクは艶めかしく、そして二人で乗れるだけの大きさがあった。中学生の頃に乗れるのは自転車で、それが高校生になればバイクになって、…大人になれば車だろうか。乗り物で分かる、歳の成長。付けなれないヘルメットは少し重く、跨がり方もイマイチ分からない。軽やかとはけして言えない、もたもたとした動作ながらもなんとか乗り込み、恐る恐る腕を回して貴女の背中にくっついた。) (6/4 22:13:58)
エレナ・ドラグノフ>
夜を全速力で走り抜ける。暑苦しかった身体を放熱させながら、郊外に目掛けて走る。人気がなくなり、街灯が減り、夜に一直線で向かう。標高が高くなるにつれて僅かに涼しくなり、虫やカエルの鳴き声が響き渡っていく。不思議と、私から声をかけなかった。それは、子供がとっておきの秘密をニコニコ笑いながら、言う目前のくせに黙っておくように。くだらないくらいに可愛らしい、秘密の場所への招待だった。山道をバイクで昇っていく。たまに昆虫採集かなにかだろうライトがぽつりぽつりと見えたり、消えたりするのに言いしれない絆を感じた。『上、ギリギリまでみるなよ。せっかくだから_____千歳には、一番綺麗な場所に来てから見せたい。……顔を持ち上げないで、私だけ見ていろ』そこは、地図には無い道だ。頂上に近い場所にある休憩所やら管理施設の職員が使う駐車場とそこに向かう道路。四駆でも無いのに急勾配を難なく走り切れるのは、やはりこのバイクが女二人を引き上げるには余りある馬力を持つからこそである。『_____ほら、上、もう見ていいぞ。』かけた言葉はあまりに、単純だった。けれどそれは、その絶景には飾り立てる言葉は要らなかったからだ。____暖かい風が吹いた。虫が鳴き、梟が囁く。木々が軋み、葉は寄り添いあって……いくつもの音楽が周りを支配しているはずなのに____はずなのに、空を見上げた瞬間、停止した。それは、ほんの少しだけロマンチックな誰かの思いが作り出した夢だ。白金(プラチナ)を砕いて、真っ黒な絨毯にばら撒く。そんな不合理で、馬鹿げている行為を何千何万何億と繰り返して生まれた輝きである。けれど、それはその輝きの美しさの代わりに、とても脆弱な幻想(ユメ)に過ぎない。風が吹いたら巻き上がりそうで、誰かが大きな声で叫んだら壊れそうで、何より綺麗なはずなのに、光を他に浴びたら萎んでしまうと来た。美しいものは、壊したくなるものだという。儚いからこそ美しいのではなく、美しいものを儚くしたいというのも一面だろう。なら、こんな世界一の芸術に、誰も水を差さないで。少女が二人呼吸する音以外何も存在しないというのは、とんだロマンチストが描いたものでしかないだろう。手を伸ばしたら、触れられてしまいそうで。それとも、いくら頑張っても触れられなさそうで。それでも、触れたいと手を伸ばしてしまいそうな、そんな煌めきがそこにあるのだった____ (6/4 23:24:45)
蕪木 千歳>
( 風が鼓膜をぴたりと塞いで、何も聞こえない、音も置き去りにするスピードは生身で感じた事が記憶の中にはないもので、ちょっとでも力を抜けば吹き飛ばされてしまいそうで、抱き締める力は自然と強まった。たまに視界の端に映る街頭の数が減っていって、少しずつ、少しずつ、視界は暗くなっていく。一緒に、鼓膜を塞いでいたものも剥がれていって、風だけが鼓膜を塞いでいたわけじゃないことを知った。心臓がどくんどくんと音をたてる。その震えは、背中越しに伝わってしまっただろうか。ちらりと下を見れば、直ぐ様追い抜かれた雑草がもう見えなくなって、そんなスピード感にただ、怯えていただけかもしれない。〝 _____ほら、上、もう見ていいぞ。〟 ヘルメットをゆっくりと外した。鼓膜を塞ぐものはもうない。虫の鳴き声がぐわんと頭蓋の中に響く。ゆっくり、見上げた。視界一杯に星空を見た。『────────。』深くて暗い青色の空。真っ白な星。小さな光が身を寄せ合って、1つの集団になっている。『 …………………………。 』転んでしまわないように、ゆっくりバイクから降りた。ヘルメットを片腕に抱いたまま、天辺まで駆けて、唇を噛み締めて、そして、届かないことを知りながら手を伸ばした。『 …………えれなちゃん、 』『 …きれい、だね。 』『 すごく、………すっごく、きれい、 』背伸びして、もうちょっとだけ伸ばしてみる。でもやっぱり届かない。夕暮れの空も、花火も、珍しいお月様も貴女のことも、1番綺麗だから連れてきてくれた、今見ているお星様も、なにも、なんにも 『 …ありがとう、えれなちゃん、 』暗闇の中に、溶けた烏の濡れ羽色の髪が流れる。瞳から溢れた涙が頬を伝って、顎の先から地面に落ちる。満天の星空を見て、今日1番の笑顔を浮かべる、それだけで千歳は綺麗な星空を見たことになったのに。震えた声も、涙の跡も、星空に吸われて全部隠れてしまえば良い。) (6/5 00:01:03)
エレナ・ドラグノフ>
『……千歳と来たから、こんなに綺麗に見えるのかもしれないな。』千歳と来たから____ヒーローでありながら、ヒーローではなくて。普通の人の気持ちを持って、普通の人のように泣いて、綺麗なものに感動できる彼女が隣にいるから。変な話だけど、ヒーローなのにこんなふうにセンチになってもいいって。もしかして世界のどこかしらには今泣いている人がいても、君と一緒に感動している時間があっていいんだって。『アイス、持ってきたんだよ。一緒に食べようか。』保冷剤を詰めておいた、バイクの収納からアイスをふたつ取り出して、片方を彼女に手渡す。『ヒーローになるとさ、やっぱりこういう時間があっていいんだってことを忘れそうになるけど。でも、このくらいは……あってもいいよな。』本当は、こんな時間が大事だったんだろう。本当に、こんな時間のために戦おうと思った。もし、命が終わるその日に振り返ることがあるのなら、きっとこんな日を思い出すのだろう。『また、見に来よう。色んなことが終わったら……その後、見に来ようか。』だから______また来ようと約束した。これを悲しい思い出なんかじゃなく、二人の約束として生きていくために。 (6/5 00:23:15)
エレナ・ドラグノフ>
帰り道、空の色は私たちの心境を反映したかのように薄ぼけた色をしていた。確かに、誰かを救った。確かに、命は助かった。けれど、取りこぼした部分もあった。___ヒーローが助けられるのは、間に合った悲劇だけだ。人の全てを助けられるようなことは無理なのがむしろ道理。いても場合によっては手を差し伸べられないし、そもそもその時にいなかったら手も差し伸べられない。だから、あの子が抱えていた過去なんかに触れられなくたって仕方ないのかもしれない___『悔しいな。予想以上に。』いや。違う。触れられなかったんじゃなくて、触れなかった。自分が誰かに助けて貰えなかった傷があるから、戦えとしか口に出来なかったし、しなかった。あの病院のように寂しい街並みの真ん中、学校に帰る帰り道。気分転換に買ったアイスを開ける気にすらならなくて、そのままそれを吐き出した自販機に寄りかかった。『……笑うか?』自嘲する。見た目は酔っぱらいが電柱にもたれているようなだらけた様態。君はわらうだろうかと軽く振り返り_____そこには、流した記憶がない涙が溢れていた。 (6/8 00:54:16)
M≒JOKER.>
「アイス、溶けちゃうよ?」君の隣で嬉しそうに袋をあけ、ポテトチップスをシャクシャクと頬張るのは奇抜な格好をしたピエロのような生徒だった。君の纏う憂いや感情を気にする様子なんて微塵もなくて、彼は君どころかアイスの心配をしている。しかし、それでも開かないアイスの袋を見て、少し考えるように袋に手を入れることをやめた。「笑って欲しいの?ボクはいつでも笑ってるけど」へらり、何かをバカにするように。しかし、それはこの状況を楽しんでいるかのように浮かべられた笑顔。君の表情を見なかったことにして、もう一度袋に手を突っ込んだ。チープな音がガサゴソと静かな街に煩い。「ヒーローなんてそんなもんだろう?都合よく現れた悪を都合よく救って、そういう象徴だよ。僕らは万能じゃないし、なによりまだ子供だし。」「よくやった方だと思うけどなぁ」世界中にいる救済を求める声は耐えない。ヒーローは無限じゃない。万能じゃない。一生の中できっと、救えない命の方が多いだろう。 (6/8 01:16:56)
エレナ・ドラグノフ>
ヒーローとは、そういうものだ。山落ち、何もかもが終わったあとの事後処理係であり、学生でしかない自分たちは万能な訳でもない。『……違う』何が違うのか、自分でも分からないままに声が漏れた。溶けると言われたアイスを、強がるように無理やり袋を引きちぎって開けて。味も分からないままに口に流し込んでやっと気を取り直した。『子供だからって、上手くやれなくていい訳じゃない。子供だから仕方ないよ、なんて……私たちが言っていい言葉じゃない。』学生として、年相応の子供として____………そんな幸せや甘えは、放棄してきた。ヒーローはヒーローでさえあれば良く、それは今はもう居なくなった彼らを下回るのではダメであり、何より自分という機能はあの七日間の犠牲者達を越えるためにだけあればいい。『……そんなふうに思って、やってきた。子供だったらなんだ、子供だから戦えないなんて認めたくなくて。』ほかの機能は要らない。ただその身体は無色の力でさえあればいいとすら考えた。正味、少女に救いはない。いくら今強くなったところで、自分の前で友達を殺した人間を、あの当時絶望そのものだったその人を殺すことは難しいし、壁一枚隔てた向こうで、致命傷になりきらない傷を腹に刻み込まれて、助けてと___いや、最終的には死にたいと言った友達を救うのは不可能だ。『だから、出なかった。言ってやれる言葉があったのに「一緒に戦おう」じゃなく「友達になろう」とか、そういうの……。そういうのが欲しいやつを、どうしようもなく弱った、弱いやつを、多分私は救えない。』だから、理解を求めるのは弱いこと、助けを求めるのは悪しきことだと。自分を罪人と定義し、そういう場所に引きこもった。逃げ込んだのではなく、死地にむしろ定住し続けている。『____そう考えたら、まあ、オマエに笑われても仕方ない気が確かにしてきた。』だから、言葉を結んで出たのは気が抜けたような笑いだった。 (6/8 01:38:09)
M≒JOKER.>
ぱり、ぽり。薄いお菓子が砕ける音がする。食べ終わったお菓子の袋をクシャリと握りしめ、彼女はパチン、と指を慣らした。容量3→2「それ、持ち上げてみなよ。」彼は持っていた鞄を君の前にトン、と置いた。「そのカバンには、今日子供たちから貰った嫌な記憶がたくさん詰まってる。」嫌な記憶、重圧の記憶、重くて重くて、小さな子達には抱えきれなかった記憶。君にそのカバンは持ち上げられない。そういう幻覚を見せているから。であれば、きっと彼の言葉も嘘なんだろう。彼が引き受けた重さは、そのカバンではなく彼女のディスコードが引き受けたのだから。「それだけのものを彼ら一人一人が抱えてる。それを1人で全部どうにかして、世界中の人を救うなんて無理な話だ。それは君がたとえどれだけ強くてもだよ。」「でも」「君は、そこにある重たい記憶の分だけ今日子供を救った。掴み損ねた手はあるかもしれないが、何もしなかったわけじゃない。」彼は腰に着いたガンホルダーからフックガンを取り出す。それをくるりと回して遊んだ。「適材適所さ、ボクは、」「目の前にいたのに、名前を呼べなかったからね」それに比べれば君は立派なもんだ。自分にやれるだけのことをやったのだから。彼は名前を呼ぶことが最善だとは気がつけなかった。同じ"逃げ続けている"立場でありながら。しかしそれでも彼はヘラりと笑うのだ。 (6/8 01:52:35)
エレナ・ドラグノフ>
カバンに手をかける。それを引き上げる。引き上げる、引き上げる、引き上げる、引き上げる、引き上げ……られないと知って力を込める。関節がきしみを上げ、骨がもうやめろと答えても無視した。黙りやがれ____激痛が走る。だが、黙れと言って無視をした。警告、警告、警告。それを黙れと脳内で叫ぶ。重さは幻かもしれないが、掛けている力は本物だ。然るに、人類が自らの凶器で自分たちを滅ぼす術を手に入れたように『あ_____ッ、っっっっ!!』手首の関節を面白いくらいにあっけなく、遠慮なく、両方とも破壊(ぶちこわ)してそれで、漸く無駄な挑戦を辞めた。『そう言ってくれるなら、嬉しい。確かに何もしなかった訳じゃない。何も出来なかったわけなんかじゃ、ないかもしれないけど……。』思い上がりだったのかもしれない。自分が強くなれば、誰かの重さを支えられるというのは。『それでも、目に入る誰もかもを救うっていうのは、間違いじゃないと思うから_____……』『今日のこれは、失敗でいい。今の私じゃ支えられない痛みがあるなら、それを支えられる人間になればいいんだから。それだけ、だったな。』『付き合わせて悪い。何か……ああ、せっかくだから、アイスくらい食べるか?』務めて、笑った。自分でも、答えが出てくれた気がした。吹っ切れた顔をしても、それがどれだけ歪な話なのかなんて露ほど思いついてなんかいなくて_____ (6/8 02:09:39)
M≒JOKER.>
「君がそのカバンを持ち上げられないみたいに、無理なものは無理なんだ」彼にもそれが持ち上げられない。だってその中に入っているのは______。「死にたい人の気持ちってそう簡単に変わらないんだ」「君がいくら力強く支えたって、その人がもう一度立ちたいって思わなきゃダメなんだ。」それは自分がそうだったから。あの日現れた天使に、自分の"荷物"を預けなかったら、きっと自分は今頃。___、あの子みたいに、彼女の名前を呼んでくれる人はもう居ない。それは君が、救えなかった過去を救おうとするほど無理な話だ。「ばかだなぁ……だめだよ、怪我しちゃ。」彼は君の手を優しくとって、撫でた。誤魔化しでしかないけれど、きっと痛みは引くだろう。幻覚とは便利なものだ。…彼は君の持ちあげられなかった荷物をひょいと手に取り、君のアイスを見る。「そうだなぁ……じゃあ、それ。一口ちょうだい?」いたずらっぽく笑い、君の顔をのぞきこむ。君に救えなかった無力感があるように、きっと彼女にも似たようなものはあるのだ。 救えなかった、救いたかった、救って欲しかった。彼にできるのは、ただ。預かることだけで。それはあの子と、やっていることはなんにも変わらなくて。それをただ、笑い飛ばすことしかできない。 (6/8 02:21:02)
エレナ・ドラグノフ>
『……無理なこと、なんてあっちゃダメだ。』死にたいくらいなんだ。「生きさせる」だけなら、どうにでもなるじゃないか。無理やり「立ち上がらせ」続けてしまえばいい。慈しむさ、愛すさ、優しくだってするんだから、きっと大丈夫なはずだ。何も殺そうっていうんじゃない、人を助けようっていうのが、間違いなはずがない。その人が満たされるまで、生き方を思い次ぐで動かなくすればいいだけ。だってそれでも____生きてるし、チャンスはあるじゃないか。『ヒーローなんだから、出来ないことだとか、無理なことだとかがあったら嘘だ。……なんだ、わざわざ。別に、手首が砕けたくらいだから、治療なんて大丈夫だ。上手く場所を合わせたら、普通にくっつく訳だし。ディスコードにだってたまに意思があるんだから、無理をさせなくていいのに。』別に手首くらいいいのに。と、他人ごとのように言った。自分が痛いくらいは我慢出来る。別にそれは自分が傷ついただけで、誰かを傷つけたわけでも、誰かが傷ついたわけでもない。なら、どうってことない話____『や ら な い。買ってやるから、それを食べればいいじゃないか。』 (6/8 02:32:03)
M≒JOKER.>
「ふふ、でもお前、カバンを持ち上げられなかったろ」"無理なことなんてあっちゃだめ"、たった今無理だったことがあったのによく言う。諦めてしまえばいいのに。それはそういうもので、手の届く範囲で、無理のないだけ救えばいいのに。そうすればそれだけできっと、みんな君をヒーローだと呼んでくれる。なのに、君のその考えはまるで呪いみたいで「立ててしまう人には立てない人の気持ちは一生理解できないさ」「理解して寄り添いたいなら、1度同じ場所まで落ちればいい。」お望みとあらば、その感覚をいつでも君に"見せて"あげよう。苦しく辛いこと、きっと君はなんでも受け入れ受け止め立ち上がってしまうだろうけれど。その足を折ればなにか気がつくこともあるかもしれないから。……なんて。そんな事しないけれど。「いーや。ボクは君のがいいんだ。」君のじゃなきゃいらない。そう言ってフイとそっぽを向き頬を膨らませる。ただをこねる子供のような、わざとらしい態度で (6/8 02:40:06)
エレナ・ドラグノフ>
『……それは、私がまだまだ弱いからだ。私が弱くさえなければいい。他の誰かが持てたかもしれないなら、いつか私だって持てるかもしれないじゃないか。手が折れただけで辞めたのは……正直、甘えた。』腕を引きちぎる覚悟なら、もしかしたかもしれない。腰を裂いてもいいなら、もしかしたかもしれない。甘えていた、出来ないことにぶち当たって、出来ないからと終わるんだったら、そのまま死んでしまえばちょうどいいのに。普段ものの試しがこれじゃ、実戦は余計怖がるだろうに。『む。そんなことはないぞ。別に私なんかは挫折を知らなかったわけじゃないし、できることだってまだまだ少ない。失敗したら立ち直れなくだってなるかもしれないだろ。』____そんなことはないと、自分の内側から声がした。そんなことはない。失敗を悔やむことはあるかもしれない。振り返り涙もするかもしれない。けれど、立ち直れなくなるような失敗なんてする頃にはもう命日だと、確信めいたものがあった。『じゃあ知らないぞ。そもそも不衛生だし、食べ掛けを誰かに渡すなんてよっぽど仲良くないと。』う。自分から言っておいてなんだが、失言だ。なんだってまあいいと渡せるような相手は異性ばかりなのか。変な想像、しなければよかった。『そろそろ帰ろう。皆、心配してるかもしれないし。』 (6/8 02:53:04)
M≒JOKER.>
「ストイックだねぇ。ヒーローだってたまには甘えて、休めばいいのさ。」ヒーローにも休日は必要だ。君の許可がおりたとたん、彼女はパクリと貴方のアイスを一口かじる。しゃりしゃりとした食感に目を閉じて、君のことを嬉しそうに見上げ「じゃあこれで、ボクら仲良しだね。」君の言葉を逆手にとって、少し困っている君を楽しそうに笑う。「君は機械じゃない、一人の人間だろう?そのストイックさは素晴らしいけれどね、厳しすぎても身を滅ぼすよ」これは助言のようなもので。君のその強さが脆く、いつか崩れてしまうような気がしたから。もしその重責に耐えきれなくなったとしたら、きっとそれを僕が預かってあげようなんて傲慢にも考えてしまって。そんなお節介しなくても、その弱ささえも君は蹴飛ばして進んでしまうのだろうか。ヒーローとはみんな、そういうものなのだろうか。彼女はきっとそうは成れない。『そろそろ帰ろう。皆、心配してるかもしれないし。』「はぁい。女の子2人の夜道、気をつけて帰らないとね?」彼女は、性別が定かではない顔で柔らかく君に笑う。君のそばに寄り添い、手が触れるほどに近寄って。それは、今日の"子供たち"に流されて寂しくなってしまったからかもしれない。___帽子から垂れ下がる歪んだ時計が時を刻んでいないことを君は気がつくだろうか。____別に、気がついてもらえなくたって。僕は1人で立てるけど。 (6/8 03:08:13)
エレナ・ドラグノフ>
『……う。同じことを言われたことがあるから、気をつけてるつもりなんだけどな……。無茶とかしてるように見えるか、私?』痛いところを突かれた。そうだ、時たまに似たような事を言われているからには、私は余程むちゃくちゃしているように思われているらしい。……弱った、と砕けて笑う。多分私が怪我したら怒るだろう人達のことを、今や重さが気にならなくなったネックレスや、帰ってからの食事云々に気を巡らせてから思い出して。____あんまり怪我はしないようにしよう。とくらいは、やっぱり思い直した。『別に仲良くなるのはいいけど……』いいけど。こんな感じからスタートする人間関係ってなんかディープすぎはしませんこと……『確かに、何か変なヤツがいたりしたら危ないし……』そうだ、私はともかくこの娘については、変なやつが目をつけたりもするかも分からない。そうした時、どうしようかと考えてから、寄り添うように隣にいるのを見て。『ん。仲良しになったんだろ、確か。』前だけ向いたまま、手を握ってやった。学校までは少し遠いけれど、あくまでその足取りは軽く_____ (6/8 03:19:17)
エレナ・ドラグノフ>
放課後の図書室。橙色が差しかかって、影に当たる場所はより黒さを増していた。『……ん。』いつの間にか寝てしまったのだろう。顔が置かれていた本は目を覚ました腕が痛く、背中や腰から鈍い痛みが走った。『___げ、昼休みからぐっすりだったか。』昼休みあたりにここに勉強をしに来た記憶はある。そして……今や唾液やら寝苦しくて動いたからか、力がかかってしわくちゃになり破けた、無惨な状態の教科書を開いた記憶もある。しかし_____勉強なんてした記憶はないから、つまりバカみたいな話、教科書を開いてさっさと寝てしまったのだと考えられる。『えー、と。貴様は確か……じゃない。思いっきり、寝ていたか?私……。』肌がほのかに赤み、ソバカスの目立った西洋風の顔立ち。温和そうな雰囲気と正反対に見えるピアス。男子とも女子とも言える姿が、寝ぼけまなこに映った。彼ないし彼女が何をしているのか、すりガラスの向こうのようにぼやけて見えないけども____先程見ていた夢。私の下着を間違って持ち出したハチロクを一晩中、馬鹿者と叱るという悪夢を鑑みるに、随分悪態を着いたり寝言も多かったように見えて_____ (6/9 22:38:18)
キース・ハリソン>
(ぼくはしばらくの間、その人に魅入ってしまっていたらしいことを、その人の目が覚めてから気が付きました。はっきりした目鼻立ちは彫刻みたいで、ゆるくうねる黒髪は夕の光を浴びて、ピアノ線みたいにつやつやと光を滑らせています。大人びた雰囲気と、遠めから見てもわかる大きな体躯は呑まれてしまいそうな存在感を放っていて、それでもそれは恐ろしさや威圧感を湛えるものではなかったから、ぼくはただ呆然と、ミロのヴィーナスに圧倒される小さな子供のように、じっと息を呑むことしか出来ませんでした。)(のそり、と君が目を覚ましたのをかわぎりに、ぼくは咄嗟に磨りガラスのついたてに隠れてから、その端からそうっと君を覗き見ます。)「え、えと! あの、えっと、その、ぐっすり……?すや、すよ……」(開けられた瞼から覗く水色はぼくのそれときっと同じなのに、君のそれは艶やかな透明感を持っていてキラキラしているようにみえました。)(いいなぁ、なんて思いながら、ぼくはこっそり隠れたまんま、配架予定の返却本を胸に抱きました。)「あの、ぼく、図書委員で…………あの、おねえさんが良ければあの、中の事務スペースのソファ、貸しましょうか……?」(授業が終わって、そろそろ放課後にこのスペースを利用する生徒が何人か来ることだろう。……とはいっても、テスト期間でもなんでもない今に来る生徒は殆ど少なく片手で数えられる程度のものだけれど。気持ちよさそうに寝ていた君をそのままにしておくのも、それでもこのまま寝かせておくままなのも忍びない。かといって閉館にする権限もないものだから……。こんな代案しかないけれど、どうかなあ、なんてぼくは君の顔をこっそりのぞき込みました。) (6/9 23:04:11)
エレナ・ドラグノフ>
『なんだ、見ていたのか。___悪い子だな?』自分の意志とは関係なく開閉を繰り返す瞳が焦れったく、そして声の主がこちらの顔を覗きこむのが見えたから____私も覗き返すように見上げて、寝ぼけたままの湿った声で小さく呟いた。悪い子だな、と、未だに抜けない癖で、小さい子供をあやす時のように、誰かに甘える時のように。『ああ、なら借りていくとしようか。……勝手に使ってるように見られても嫌だから、貴様も一緒に居てくれ。』含みを持たせて、そう口にした。一見妥当な申し出のようだが、随分ぐっすり寝て、それでもって今更起きたなら、さっさと帰るのが道理だろう。けれど、君に一緒にいて?なんて可愛らしいことを言った理由は『何か買ってこようか、せっかくだし。普段使わないような秘密基地に遊びに行けるんなら、食べ物くらいなくちゃな。……それとも____私と共犯になるのは、不満だったりするかい?』満点の笑顔で、お菓子なり食べ損ねた昼食なり飲み物なり、持ち寄って行こうよと快活に、少年じみた笑顔を作った。 (6/9 23:22:07)
キース・ハリソン>
(甘えるみたいなのに、どこか煙草のにおいの香る大人のような。寝起きだからなのでしょうか、若干かすれたような甘い、それでいてどこか寂れたみたいなその声は、なんだかいけないものを見てしまったみたいでドキドキしてしまいます。大人のお姉さん……というのはこういうことなのでしょうか。) 『ああ、なら借りていくとしようか。……勝手に使ってるように見られても嫌だから、貴様も一緒に居てくれ。』「えとあの、ぼぼくでよければ……、」(直視するのができなくて視線を逸らして、案内したいその先へつま先を向けました。ドキドキするのも顔が熱いのも、きっときっとお姉さんのせいなんです。)(もう少し寝るのなら……、そんなつもりで言った申し出は、思わぬところで方向転換してしまった見たいです。お菓子とか飲み物とか、本当は図書館はいけないところなんです。でも……、ちらりと振り返って見上げてみたお姉さんの顔は、大人っぽいのに子供みたいで、なんだか、だめです、なんて言い出せなくて。首をぶんぶんと横に振り、手に持った配架図書をワゴンにそっと戻しました。)「えっと、あの、ほんとのほんとに内緒の、しー、なので……」(背ぃ高のっぽのお姉さんは、その分足がすらって長くて綺麗で、そんな姿に見とれてしまえば隣を歩くなんて出来ません。ほんのちょっぴり遅れて君の隣を早足で歩き、歩く度に揺れるその髪とふわりと香る残り香に、ぼくはまた心臓がひっぱられるんです。……ぼくも、こんなかっこいいお姉さんになってみたいなぁ、なんて。女性らしいその手指さえ、夕日に染まる廊下にぽっっかりと浮かべば、それはなんだか芸術品のようにすらおもえてしまうものだから、ぼくはいちいち言葉を失ってしまって困りました。)「……へへ、ふふ。」「おねーさんも、なんか、その…………買い食い?みたいなの、するんです、ね。」(芸術品みたい、なんてことを思えば、今の現状は殊更にどこかおかしくて。くふふ、なんて我慢しながらぼくは笑って、売店のおばあちゃんにお金を渡してクッキーとフルーツオレをかいました。) (6/10 01:19:05)
エレナ・ドラグノフ>
『ああ、もちろん二人だけの秘密だ。』思わずくす、と笑んだ。いけないこと、ふざけたこと。そういうのをやる時には、一人くらいやめようよなんて言う子が居てこそだ。だからお決まりの言葉を返して、それから_____『まあな。普段は穂坂……友達が作ってくれるから、わざわざ間食はいれないんだが。ちょうど昼休みを逃して昼食を食べ損ねたからな。夕食を兼ねて一気に行く。』大真面目に返した。はらぺこあおむしなんて言う不敬罪もののあだ名を、幼少期からの知り合いからはたまに使われたりすることもある。だが、これは無駄に腹にものを入れ続けているからでは無い。自慢ではないが、この身体(エンジン)を動かすためには相応の食事(ガソリン)が要る。従って激しい運動なんてしたら、まるで戦車を走らせたかのように体力や活力が消し飛ぶ。そうならないために三食ちゃんと摂取しているのだが……。こういう時には計画外に外れて消費されている分、なまなかな補給はできぬ。カップ麺、売れ残りの半額弁当をあるだけ、スポーツドリンク。大したことないじゃん?となりそうだが、加えて弁当があるのをゆめ忘れるな。『……と。そうだった。私は、エレナ・ドラグノフという。貴様は名前をなんて言うんだ』ソファに座って戦略物資を並べ、それを短距離走に食していく。その僅かな間隙に口を聞くという器用な真似をしながら、君の名前を問いかけ (6/10 01:38:35)
キース・ハリソン>
(きみが買い込んだご飯は、まるでみたことのないくらいのたくさんのものでした。運動部の生徒のために用意されたのでしょうお弁当はたった一個でも随分と大きくて、カップ麺だってスープの事を考えたらそれはきっと、僕のお腹が何回もはち切れてしまうような量になりました。流石にカップ麺は買いだめ……と思っていたのですが、君はそれを急いて口の中に書き入れて、それでもそれはきっと見苦しいもの軟化じゃないのです。爽やかで爽快感があって、それでいて流れるような。素敵な君の容姿に似合うその優しい、柔らかい麗しい雰囲気をみていればそれはいくらか意外だけれど、それでもきっと、それもまた、魅力的なのでしょう。)「ぼく、ぼくはきぃ……キース・ハリソンっていいます、えっと……えへ、」(ちいさく笑いを零しながら、ぼくはさっき買ったクッキーをもそもそと食べました。フルーツオレでとかしながら呑むそれは甘くって優しくって、こんな状況のせいかもしれないけれど、夢なんじゃないかな、なんて思いました。) 「あの……、ごめんなさい、いやだったらいいんです、けど、あの……、」(実はさっきから、聞きたいことがあったんです。)「あの、あの、バンホーテンさんってあの、格闘技かなにか……?あの、すごくかっこいい、なって……」(筋肉はじろじろ見なくたってなんとなく伝わってくるほどです。でもきみは女性だし、体をみられるのは気持ち悪いかもしれないので、すこしずつ反応を見ながら聞いてみます。……もし、もしもそうなら、ちょっとだけでも、つよさの秘密とか教えてくれないかなぁ……なんて、思うんです。)「あの……ぼくも、僕も、みんなを救えるヒーローになりたいなって、それで……」(ぼくは、約束したんです。大好きな幼馴染みと、“どっちの方がたくさんヒーローできるか競おう”、なんて、ちっぽけで馬鹿らしいかも知れないけど、大切な約束を。) (6/12 19:11:06)
エレナ・ドラグノフ>
『ご馳走様です』かん、と軽快な音を鳴らしながら弁当箱を机に置く。食べ方が汚いタイプとかではないにしろ、誰かの前でこんなに食べる姿を見せてしまうのはバツが悪い。『いや、別にそんなに悪いことをしたみたいな言い方はしなくていい。お察しの通り、やってるのは格闘技。元々は身体だって弱かったんだが_____。鍛えたら段々、色んな技術……っていうと大層だけど、身につくようになっていった。』やっぱり、体が資本という言葉は正しいんだと思う。ボクシングにはあまり才能はなかったけど、鍛えてからは一気にひと角程度の才能は生まれた。基礎体力や筋力が備わっていたら、なるほどある程度モノになるのは納得出来る。『ただ……それをノウハウとして教えるのは無理だ。確かに、格闘技を習ったりするのはいいと思う。毎日身体を鍛えるのだって、場合によっては付き合ってやれる。が、貴様に才能がないとかの話じゃなくって、時間が足りない。身体(エンジン)を鍛えて技(アクセル)をぶっ飛ばすのがだめなら……』が、それには時間がかかりすぎる。だから、強さの秘密として口にしたのは____『最初から必殺技(ジェットエンジン)を持ってきたらいい。その場、その瞬間、その状況だけ誰にも負けないと貴様が考えるモノ。』『要するに____ほら、ヒーローには必殺技がつきものだろう?』 (6/12 19:37:36)
キース・ハリソン>
(うなづきながら、僕は貴方の言葉を聞き零さないようじっと聞きました。もともと体が弱かった……というのなら、いつかいつかぼくにも君みたいになれる日が来るかも知れません! 沢山のご飯を食べたら体は大きくなれるでしょうか、強くてかっこいいになれるでしょうか。……なんて考えて、どこか小さな違和感が胸に浮かんだのを、知らんぷりしました。)『ただ……それをノウハウとして教えるのは無理だ。』「そ……っか……」(君の言葉にちいさな溜息を返しながら、僕は小さく俯きます。悲しいんです、ほんとうに、本当に悔しくて仕方ないんです、安心なんて、喜んでなんて居ないんです。)(ほんとうに、本当なんです。お姫様になんてなりたくないんです。お姉さんみたいに綺麗で美しくなんてなりたくないんです。女の子みたいな細い指や可愛い手足や、可愛いフリフリのドレスや、長い髪の似合う女の子らしさなんて、欲しくないんです。本当なんです。……本当に、ほんとう、なんです。) (ぼくは約束したんです。大好きな幼馴染みたちの隣に立つために、ヒーローになるんだって。彼の隣に立つためには、ぼくは、ぼくはお姫様になんてなれないんです。なっちゃいけないんです。僕は、ヒーローに、なるんです。)「必殺技……」(食事の音のやんだこの部屋には静寂が満ちて、ぼくらの声だけが寂しく響きます。僕のちいさな反芻の声は特に思い当たるような行き場を見つけられなくて、寂しくぽつんと落ちました。)「あの、えっと……シールダーズでいうところの、あの最後のさいごの合体技?みたいなやつですよね……んん、ぼくにできるのあるのかな……」(思い浮かべた憧れの戦隊ヒーローのそれは爆発や火花を伴っていて、ばちばちと格好良かったのを覚えています。いまでこそあれは演出……とおもえるようになりましたが、でもあれもだれかの能力だったらどうしようなんて夢も見てしまいます。でもあいにく、僕にはそんな能力はありません。)「エレナさんは必殺技、あるんです……?か?」(参考にできたらなぁ、なんてきもちで、ちらちらと君を見ながらきいてみました。) (6/12 20:00:55)
エレナ・ドラグノフ>
『シールダーズ、は知らないけど……』多分戦隊モノなのは分かる。それが最後に、何何キックやらパンチやらで決着を漬けるものだとくらいは理解出来た。つまりそういうこと、発想は間違っていないから話を続行『要するにそういうコト。ただ、アニメや漫画みたいに綺麗なものやら、かっこいいだけのものの話じゃなくて_____』しかし、これは遊びの話なんかじゃない。本当にそれでカミサマと戦い、或いは悪人と戦うのだから。だから、クソ真面目にその定義からちゃんと話しておくのが肝要だ。『""""相手が自分の能力を理解しても想像がつかないモノ""" """仮に何もかも筒抜けでもどうにもならないモノ""" 』『このどちらかを、必殺技っていう風に私は定義してる。たとえば、あの真紅朗(あかがみ)のホローポイントパンチなんかは、明らかに後者。ディスコードの強みをそのまま活かして、けれどあの規格外の破壊力はどうにもならないから必殺技足り得る。まあ多分そこまで考えていないだろうが。』その定義で行くなら_____『私の場合、前者に比重を置いている。』_____血染めの夜鷹に暁はなし(ダインスレイヴ)。この技は即ち、後出しジャンケンに当たる。相手が必殺を誓う切り札の発動と同タイミングに、拳を振り抜く。その瞬間にディスコードを発動、相手の目の前に一足で瞬間移動し、振り抜かれた拳が相手が「攻撃している真っ最中」にぶち当たる。状況が状況だから相手は反撃することを許されない_____ただし、薄氷を踏むような繊細なタイミングが要求されるため、自分なりの撃鉄(スイッチ)として何節かの詠唱を、拍子を図るために必要とされる。……と、そうした旨を一から説明した。『と、まあこんな形だ。何か発想するものはあるか?』 (6/12 20:27:00)
キース・ハリソン>
「えと、ちょっとまってね……ふむ……」(思いのほか君がまじめに、真剣に丁寧にお話してくれるものだから、慌ててノートの空欄を広げて、僕は視線を落としました。真っ白の上にならんだ罫線は行儀良くて、平凡で、乱れがなくて飛び抜けなくて。僕はその罫線からはみ出ないように調整した小さな小さな文字を、行儀よくならべてメモを残します。途中でだされたしんちゃんの名前をノートの端にこっそり並べて、しんちゃんのデフォルメの落書きも添えました。赤ボールペンでツンツンした髪をかいて、絆創膏も書いて、それから眉をつんととがらせると、それはだいたいしんちゃんに見えるからすごいんです。しんちゃんはすごいんだぞ、なんて思えば何だか得意になってしまって、勝手に口角があがってにまにましてしまっていけません。)「へへ…………なるほど……」(君の語ってくれる事をメモしながら、あらためてぼくは僕のしたいことを考えてみることにしました。)「想像つかないのか、ついてもどうにもできないのか……うーん……」(思い浮かべるのはやっぱり、昔に友人と見たヒーローショーやテレビの戦隊もの。それでもやっぱり思い浮かぶのは、自分が先頭に立って敵を倒している姿よりも、しんちゃんやそらくん……幼馴染みの友人達がヒーローとして戦っている姿と、それから二人が僕を助け出してくれるような……、そんな光景ばっかりなんです。僕はやっぱりヒーローには成れないのかな、なんて小さく落ち込みそうになりました。)「……ごめんなさい、まだ思い浮かばなくて……」(気遣わせないように小さく笑いながら頬をかき、僕はノートを閉じました。これ以上考えたら、何だか泣いてしまいそうな、そんな気がするんです。)「あそうだ、えっと、コレはまた違うんですけど……、エレナさんもしんちゃん、あきもりくん、と知り合い?ナンですね、」(話を逸らすみたいに、僕はしんちゃんの名前を呼びました。エレナさんは綺麗だから、しんちゃんはきっとえっちなことを考えたりしたに違いありません。失礼なことをしてないといいんですけど……) (6/12 21:00:00)
エレナ・ドラグノフ>
『大丈夫だ。ゆっくり考えていけばいいし、何も相手を倒すことがすべてでもないのは前提に置いておくと良い。』出来ないこと、思いつかないこと。いきなり言い出されてならそれはやむを得ないし、この子のように穏やかそうな子には戦う術と言われても浮かばないかもしれない。だから、それは別に謝らなくてもいいことなのだとそう言った。『ああ、最近任務で顔を合わせたくらいだが_____随分大変だったぞ。考え無しに誰かを殴るし、ヒトを馬鹿だ馬鹿だと言うし。慎重にやれと言っても飛び込むし……。』情報に偏りがあることは仕方ない。鬼の居ぬ間に洗濯というなら、バカの居ぬ間に偏向報道。遊園地でいつの間にやら一緒に怒られる羽目になったことだとか、やり過ぎだろと騒いだり喧嘩したことだとか。色々根に持つことはあったので、すっとぼけて諸々言っておく。これぞ一計にござる。『……それはともかく、ひとつ聞きたいことがあったんだ。気にせずに流しちゃったけどさ、貴様さっき「バンホーテン」って口にしたよな。確かに母方の姓はあるが……なんで知ってるんだ?』 (6/12 21:24:45)
キース・ハリソン>
「あはは……ぼくあの、しんちゃんと幼馴染みで。彼ならやりそう……」(閉じたノートを自分の膝の上に乗せて、彼の姿を想像してみます。……付き合いの長さ故でしょうか、しんちゃんのそんな姿が容易に想像出来てしまって、できすぎてしまってなんとなくばつが悪くおもえてきてしまいます。視線を床にそろりと逃がして、紙パックのフルーツオレのストローに口をつけました。ずず……と底で音が鳴って、もうこんなにのんじゃったのか、とちらりと視線を壁掛け時計に滑らせたのなら、)「えっっっま、ぁ、の!」(僕はあわてて立ち上がり、びっと時計を指さしました。夕焼けが溶け始めていたときから君に出会って、そうして今の時刻はもう19時を過ぎてしまう頃。そろそろ締め作業の先生が確認にやってきてしまう頃で、それはつまり、飲食厳禁のこの部屋の状態をもとに戻さなきゃあ、二人の秘密のイケナイこと、ちいさな共犯がバレてしまう、ということです。) 「あの、先生、せんせいが……その、お菓子、しーだからえっと、」(君の問いに答える余裕もないまま、ぼくばバタバタとクッキーを買った袋にやたらめったらにゴミを詰め込んでいきます。ああでもどうしましょう、分別しなきゃいけないんですけど、そんな時間はあんまりなさそうに見えます。それでも、幸い綺麗に平らげられた容器の類いは片付けも簡単で、たたみやすくて助かりました。)「あのあの、これぼく、あの、帰りにすてるので……っあの、みつかったらちょっと大変、なのであの……っ、また!」(ゴミ袋を僕のかばんの影に押し込んで、先生に見つからないようにかくしました。先生が来るまであと5分、案外時間はあるけれど……、こんなところに二人っきりで、あらぬ誤解を受けてしまえば君が報われませんから。)「あの、えっと、……“最後の”、は。」(最後の最後、僕は締め作業が残っているから、貴方を送り出すその一瞬。唇のさきに人差し指をあてて、「しぃ」のポーズをつくりました。)「つぎにあうときに答え合わせ、にします。だから、その。」「また“いけないこと”、たのしみに、その。まってます。ね。」 (6/12 22:12:05)
和枕 音子>
「 あー……………散々だ、もう。」( 呟き。あの後すぐに駆けつけたジファニー先生は酷く微妙な顔をして『 解散だ解散! 』なんて言った。遊園地に着いた時、彼女が一も二もなく真っ先に駆けて行ったことを考えると、たぶん、遊びの邪魔をされたのが一番腹立たしかったのではないか。それでも言う通りにその場を離れ、さぁこの後はどうする____と、背後をちらり、振り返った。) 「 きみ、えっと、さっき立ち塞がってくれた子……だよ、ね。」 ( ぼくの背後を歩いていたのなら、きっときみも帰ろうとしているんじゃないか。だってこの先には出入口のゲートしかないんだから。) 「 たすかった。ぼくは戦闘……お世辞にもできるとは言い難い、から。」( 後ろ向きに歩きながら、きみへ礼の言葉を。探索途中に、彼女からグループラインへ連絡が来ていたことを知っている。きっと今日も遊びもせずにパトロールに励んでいたのだろう。) ( ふと、ほんのちょっとだけ、ある意味意地の悪い考えが鎌首をもたげた。) 「 きみさ、もしかして、遊園地とか慣れてない? 駆けつけてくれたときもひとりだったみたいだし…………何すればいいか、わからなくてパトロールをしていた、とか。」> エレナさん (6/11 01:02:05)
エレナ・ドラグノフ>
遊園地で何をしたらいいか分からない。痛いところを突いてくるなと心から思う。はい、悔しいけどその通りドンピシャで正解。クイズ番組なら多分盛り上がるところ_____『ああ、まあ確かにな。学生として遊べなんて言われても、別に普段から楽しくない訳でもないし……。息抜きをしろって言われても、正直何か無理をしているつもりなんてないからな。』無理をしなければ休む必要もない。だって別に、自分が出来ないことをしてなんていないのだから。だから、先生からたまには遊ぶようになんて言われても、ただひたすら遊具に乗るだとかそんなのはともかく。本旨通りに気を抜いて遊ぶとか、気分転換をするなんて方向では、何をしたらいいかなんて浮かばない。繰り返すが、別にそんなものは必要ないんだし。『……と、忘れてた。別に戦うのだって、そんなに嫌なことでも大変なことなんかでもないぞ。やらなきゃいけないし、それが誰かのためになるなら、それでいい。だから、そんなふうに申し訳ない言い方なんて、しなくたっていい。』 (6/11 01:10:57)
和枕 音子>
『 息抜きをしろって言われても、正直何か無理をしているつもりなんてないからな。』「 無理の値はひとそれぞれ…………か。」( 彼女はそれを、至極当然とばかりに言う。彼女にとってはそれは当たり前、自分に出来ることをしているだけで、普通のことなのだろうけれど。〝 ヒーロー 〟としては最良。ただ。) ( 単なる〝 女子高生 〟 としては________。) 『 そんなふうに申し訳ない言い方なんて、しなくたっていい。』「 そう?まぁ、一応の礼儀だよ。受け取って。」「 あと、ねぇ、きみ。」( 出口は背後に迫っていて、このまま帰るなんて簡単だ。でも、先程浮かんだ思考はそれを良しとはしない。だからぼくは、足を止める。) 「 この後何にも用事がないんだったら、さ。________ちょっとくらい『 遊園地 』ってやつを見ていかない? 」「 ぼくたちは確かに、ヒーローになるための学生をしているんだけど。それでも〝 普通の女子高生 〟らしいことを勉強するのだって、悪いことじゃあないはずだ。 」 ( 珍しく饒舌になってしまうのは、それら全てが自分にブーメランとなって返ってくると分かっているため。女の子がするようなことは何にも分からないし、雑木林の一件がなかったら終わりまでベンチで座っていたはずだし。でも、せっかくだったら。同じように何をしたらいいか分からず、馬鹿正直にパトロールなんかしちゃう彼女と共に歩いてみるのも、悪くはないかなんて思ったのだった。 ) >エレナさん (6/11 01:29:49)
エレナ・ドラグノフ>
ある中国の詩人が言ったとさ。左遷されて寂しい暮らしだし仕事は大変だが、酒と酒を飲む友達さえいれば極楽じゃないかと。正直そんな気持ちは、よくわからなかった。酒を飲んだことがあるか否かではなく、楽しいことだとかを楽しめない訳でも、誰かを誘って出かけたりしないでもないが。自分に課せられた何かを大変だなんて一回も思ったことはなかったし、自分が楽しめるとか嬉しいとかは、誰かの楽しみや嬉しさのあくまで後に受け取れたらいいはずだからだ。『別にいいが、私はどこに行ったり遊んだりしたらいいのかなんて全く分からないぞ。貴様が案内(エスコート)してくれるなら別だが、正直何をどうしたらいいかなんて分からない。』____それを間違っているとは思わない。だが、エレナを誰が救うの?と声をかけてくれた誰かがいた。なら、その人が心配しなくていいように、少なくとも分からないことは分からないから任せるとそう言おう。『から、連れて行ってくれ。その……普通の女子校生がどうとかは分からないが、やるだけやってみてもいいような気がする。』 (6/11 01:46:07)
和枕 音子>
「 生憎と、ぼくもよくわかってない。だってこんなとこ来たの、生まれて初めてだ。」( 遊園地だけじゃない。動物園も、水族館も、海水浴場も花火大会もプラネタリウムも映画館だって、『 普通の子 』が当たり前に足を運んでいる場所は何ひとつ行ったことがない身だ。よく知るのは研究所に実験室に病院にと、辛気臭い場所ばっかり。) 「 正直、それが悪いとも可哀想だとも思っていなかったけれど、何だか最近は、 勿体無いなって思うようになったんだ。」( ぽつぽつ語り、『 連れて行ってくれ。』と言ったきみの隣に歩を進めては、くい、とその袖を引こう。随分と背の高いきみと、ちんまりしたぼくが並べんだ様はまるで親子だ。) 「 安心するといい。よくわかってないとは言ったけれど、園内の構造は頭に入っているから……案内は、できる。」( 人は疎らだけれど、ぼくたちみたいなテーマパーク初心者にはちょうどいいはず。男性の応急処置のためにリボンを使ってしまったまま、解けていた長い髪がふわりと舞った。 ) 「 とりあえず、あっち……人が比較的多いほうに。」 (6/11 02:03:42)
エレナ・ドラグノフ>
『で、ここって……』人が沢山いる場所、それはイコールでお客さんから人気の場所に当たる。意外なほど観覧車ってものは終盤まで乗らなかったりして、今の中途半端な時間帯というならやはり、ダレた雰囲気を爽快にぶっ壊す絶叫系。お化け屋敷とジェットコースターが連結したようなそれは、快晴の日や行楽日和には負けるとしても、程よい程度には行列を作っていた。さて、私がバツの悪い顔をした理由は、遊具自体ではなく客層にあたる。この異常気象では子連れ家族連れは少なく、老人はそもそもこんな場所に中々来ない。では果たしてどんな客層かと言ったら______はい、見渡す限りのカップルだらけ。『手繋ぐと、次に来る時の割引券と、ポップコーンがプレゼントだってさ。皆やってるし……どうする?』なら、それを前提にしてイベントやらが組まれていくはずだ。手を繋いだら割引券だのプレゼントだのとなり、付き合いたてなのだろう若いカップル達はきゃいきゃいわいわいと甘酸っぱいやり取りをしながら手を繋いで係員さんの前を過ぎていく。あー、うん、やる……奴なのだろうか。手を差し出しながら、回りの空気に恥ずかしくなりつつやるかい?と声をかけて。 (6/11 18:30:24)
和枕 音子>
( さてはて、見渡す限りは恋人同士の群れ。それもそのはず、そういうイベント中なのだ。カップルにはドリンクプレゼント。抱き合ったら割引券。キスをしたなら遊具の無料券…………なんて、種類は様々だけれど。そしてぼくらの眼前で行われているのは、) 『 手繋ぐと、次に来る時の割引券と、ポップコーンがプレゼントだってさ。』( と、いうわけである。列に並ぶ者はみな手を握りあっており、男女、男男に女女。いや待て、二人組であれば誰でもカップル扱いか?恋人だと証明する手段など無いのだから仕方がないと言えばそうなのだが、納得のいかないものだ。『 どうする? 』と問うきみは、何とも言えない表情で。こういうことに慣れていないのかなぁ。意外だ、美人だから引く手数多かと思っていたのに。) 「 まぁ、もらえるものはもらっておいて、損はない……でしょ。ぼくときみが、恋人に見えるかどうかはさておいて、ね。」( 何でもない風に口にして、エスコートみたいに差し出されたきみの手を取る。大きく、ほんのちょっとだけ硬い手だ。この手のひらで色んな人を守ってきたのだろう、努力の結晶。ぼくが触れるにはあまりにも綺麗すぎるものを、そっと緩い力で握っては、前に進んだ。) ( 結局、呆気なくぼくらは栄えあるカップル扱いを受け、割引券と小さなカップのポップコーンを手にしたのだった。愉快。) 「 …………で、これ。何となく流れで並んではみたけど、一応絶叫系っていうやつ? なんだよ、ね。」「 野暮かもしれないけど、きみ、だいじょうぶそう? 」( 遊園地、よくわからない同士が初めて乗るには、これは余りにも上級者向けではなかろうか____。言っているうちに、ぼくたちの番が近付いてくる。目の前に迫るのは2人がけのイス……車?のようなもの。レールが引かれているから、乗っているだけでいいのだろう。 ) (6/11 18:58:00)
エレナ・ドラグノフ>
『いや、出し抜いたみたいで嫌なんだが……こういうの、乗ったことない訳じゃないんだ。小さい頃に一回来たか来てないかくらいだけど、いわゆるこう、怖いオブジェとか音楽と一緒に進んでいくジェットコースターみたいなもの、だった気がする。』う。それを言ってしまうのか、みたいな視線が痛い。大丈夫なの?みたいに言われたりしたらそう答えるしかないじゃないか。ぶう、という重低音が鳴って発進の準備が完了する。それから、おどろおどろしいBGMが鳴り響いてきた。ごうごうと骸骨のオブジェや、ライトで投射された亡霊、その他妖怪やらゾンビやら宇宙人やら無節操な諸々______『そうそう、こんな感じのやつだ。私の母がヒーローのくせに建築家なんて兼業してた変なやつだったからさ、だいたいどういう場所にあるのかとかも分かっ_____』ああ、懐かしいななんて周りを見ながら、きゃあきゃあと悲鳴をあげる少年少女の真ん中で『きゃあああああああああ_______ッ!!』誰よりもおおきな声で、悲鳴をあげた。いや、不覚だ。油断したところに、思いっきり真っ逆さま。隣にいる彼女の手にしがみつくように握りしめながら、肩を縮こまらせて______ (6/11 19:13:31)
和枕 音子>
「 えぇ、じゃあきみの方が遊園地レベル高いじゃんか……。今からでも案内する側にまわってほしいくらい、なんだけど…………。」 ( じっとりと視線を向けているうちに、発進を告げるブザーが鳴って。同時に『 ひゅーどろどろ 』なんて言葉がぴったりな音楽がフェードイン。前や後ろに座る子たちの中には既に怖がる子もいるくらいで。でも隣に座る彼女は一度乗ったことがあるって言うし、それならきっと大丈夫なのだろう。ガタンと振動が響いて車体が動き出した時、ぼくはそう思っていたのだ。)『きゃあああああああああ_______ッ!!』( 鼓膜がきぃぃんと鳴った。) ( 超絶至近距離で絶叫が響いてぼくは、こういうSEの付いたアトラクションなのかな______なんて、現実逃避を行う。) ( 上下に登っては真っ逆さま。浮遊感を味わったかと思えば、落ちた先に血的な液体を滴らせたゾンビたち。その間を抜けて、また上がる。上からガタン!なんて音を立てては死体を模したマネキンが降ってきたり、息付く間もない演出構成。その間も方々からきゃあきゃあ歓声嬌声悲鳴エトセトラが聞こえてはいたけれど、目新しい世界に視界が忙しいぼくの邪魔をすることは無かった。長いようで短い時間。コースターが減速したことに「 あ、もう終わりなんだ。」と思ったほどで。) ( ………………さて、問題はこっちか。) 「 _______あの、終わったみたいだけど、」「 『 だいじょうぶ? 』 」( 折しもそれは、アトラクションに乗り込む前に聞いた台詞と全く同じものであった。隣で手を固く固く握りしめて小さく丸まる彼女に、そっと声を掛けて。) (6/11 19:38:47)
エレナ・ドラグノフ>
『……大丈夫、じゃない。小さい頃に見たきりだったから、体感的に全然違うというか、全然怖い感じだと思わなかった。うん、となると私の予備知識とかも全部パーだし、案内も多分出来そうにない。』『なんだって、作る時はあんなに気楽そうだったのに乗ると怖いんだ_____?』よって、案内役になるのも不能(ギブアップ)。何がなんだか分からないまま、ぐったりとした状態でジェットコースターを下りる。多分今は、小動物をしわくちやにしたような表情になっているだろうことが自分でもわかる。『なあ。あの、さ。腰が抜けたというか、力が入らないから、このままで居て欲しい。のと___次は、次は怖くないやつにしよ……?』なんだか力を入れすぎて固まってしまったからか、大丈夫?と声をかける彼女にしがみついた腕を離せないままに、次は怖くないやつ、平和なヤツがいいと、しょぼしょぼと涙で霞んでいく瞳で頼りなく見つめながらどうしよう?と尋ねて。 (6/11 19:49:18)
エレナ・ドラグノフ>
ムサシ。ふざけた名前だが、アレは本物の剣豪だ。一度相手にしたことがあるからこそ分かるが、一回目は作戦勝ち、それも自傷覚悟の特攻なんて言う褒められたものじゃない邪道(いかさま)でどっこい。二度も三度も切り結ぶとなるとさしもの私でも相手が悪いところだった。が____しかし。『今日相手にするカミサマは、ムサシ。どうやら山奥にある道場に殴り込んで以降、ものの数分で負傷者多数、死者若干名という次第だ。』『能力やカミサマの異常性をはねつけ、そのくせ本人も強いなんていう反則みたいな相手だ。真正面から殴り合うなら、拮抗できて2~3分。能力ありきでも1分そこに伸びるか伸びないか、という所だ。』それでもやらなければならないという事実を、ありのまま同行している彼に伝えた。場所はある山寺、昔ながらの山岳修行や修験の延長に武術の訓練を組み込んだ肉体派、実践派の宗派で、宗教家というか武芸者集団とでも言うべき所だ。 山門は古く時を重ねたからかところどころ朽ちており、深山幽谷というにふさわしい真っ暗で真っ黒な山々は獣の声がひっきりなしに鳴り止まず、最早風の音をたまに聞き逃すかのような無音の空間を作り上げていた。見上げても尽きないくらい遠く見える石段。都会の明かりがないからか、嫌というくらい照りつける月光が芒と道標を照らし、多分あの世に行く道があるならこんなものだろうかと想像させた。『____前回、奴は教会の墓場に居た。その時はなんでかじっと待っていてくれたが、今回はそうはいかない。』なんでか、なんて理解している。それは単に、見なされていなかったからだ、脅威だと_____『だから、1つ約束をして欲しい。貴様は……仲間のピンチに黙って動かないことが出来るか______?』 (6/18 14:38:02)
レギオ>
(人工的な光の届かないこの山奥では、ぽっかりと浮かぶ月明かりだけが石段を照らしていた。所々苔むしていて手入れのされていない事が分かるその場所は、独特の不気味さを演出している。一歩一歩重さを感じさせない足取りで登りつつ、その赤髪を揺らしていた。)『今日相手にするカミサマは、ムサシ。どうやら山奥にある道場に殴り込んで以降、ものの数分で負傷者多数、死者若干名という次第だ。』『能力やカミサマの異常性をはねつけ、そのくせ本人も強いなんていう反則みたいな相手だ。真正面から殴り合うなら、拮抗できて2~3分。能力ありきでも1分そこに伸びるか伸びないか、という所だ。』(凡そ同じほどの長身を並べならが話す彼女と向かうのは、識別番号Uns_0634_JPN___『ムサシ』の調査。彼女の口から語られるそれは、容易とは思えないものだ。一言一句聞き逃さずに嚥下して、ゆっくりと頷いた。)『だから、1つ約束をして欲しい。貴様は……仲間のピンチに黙って動かないことが出来るか______?』「………………………………………………」(隣を歩く彼女の問いかけを聞き、少し、黙る。何か思案した素振りを見せた後、ちらと目線だけをやった。)「…………………我が〝勇者〟の危機。……それを、目前で黙って見過ごせ、なんて………………普通なら、出来ない。…………ワガハイは、きっと動いちゃうかな。」(けれど、理解している。相手はカミサマ。それもただ力のみで押してくるだけの相手でも無く、高度な駆け引きを要求されると聞いた。彼女がそう約束してくれと言ってきたのも、咄嗟の対応力と冷静な判断が必要だからこそなのだろう。)「………善処は、するね。」(悩ましいものだけれど、彼は頷いた。風が吹き付けて来て、初夏だと言うのに、少しばかり彼らの体を冷やすだろう。) (6/18 15:09:10)
エレナ・ドラグノフ>
『あ……おい。私から言っておいてなんだが、そう悲しい事のようにものを言うな。簡単な話、おびき寄せたいポイントがあるから_____』いや、実際軽々しい頼みではないんだけども。けれど、彼を必要以上に深刻な気持ちにしたり悲しませたりしたのなら、それは問題だ。まさか、よりにもよって死にに行くんじゃない、勝ちに行くんだからとそう伝えた矢先______闇が、翻った。『_____手が空いている時には来ないくせに、忙しい時にばかり張り切るな、カミサマとやらは。』多分、マントやレインコートなどを継ぎ接いでいるのだろう。シルエットの捉えにくい膨らんだ格好は、巨大なフクロウを思わせる。それがよりによって、石段のすぐ傍らに広がる闇から現れ_____それは言わば鉤爪。黒に塗装した短刀が直線上に放たれ『聞こえているな』がき。という音と共に、それを払う手甲(ガントレット)の一打で地に落ちた。奇襲の成否で言うならこの場合は成。何せ、エレナ・ドラグノフは彼に標的を誘導するポイントすら言えていない____『黙って掴まっておけ、少しばかり走る。飛び道具その他、撃ち漏らすものがあれば貴様が止めろ。』なら、最適解はこれだ。彼に今は黙って抱えられておけと短く伝え、そのまま鍛え抜かれた健足を踏み込む_____王子様がやるような、お姫様抱っこでの逃避行にしては、追ってくる側に容赦がないが。説明無しならそう見えなくもない (6/18 15:26:35)
レギオ>
「ああ、そっか。………………なるほど。」(確かに、先に暗く考えしまうものでは無い。緩やかな空気を持ってして、ゆっくりと頷きで返そうとした、その時だ。)「……………………ああ、何か……それ。……分かるかも。」(どうにもタイミングの合わない所で遮ってくる。其れは覚えのある事だ。蛇の様な赤の双眸でそれを捉える。______あれが、ムサシ。影になっていてその全貌は分からないが、一般的な男性程の身長である。暗闇からの奇襲を素早く交わしたのならば、「勇者」と呼びかけるだろう。走り出す為に、最終的な目的地を聞くために。何故なら彼はその場所を聞いては居なかったのだから。)(然し。)『黙って掴まっておけ、少しばかり走る。飛び道具その他、撃ち漏らすものがあれば貴様が止めろ。』「______________…………………………!!?!!!?、ゆうッ…………………………」(ふわり、突然の浮遊感。抱えられたのだと分かったのは、体が折り畳まれ、彼女の顔が上に見えてから、ほんの少し後の事だった。同じ長身の、それも男を何の障害も無く楽々と運んでしまう辺り、両者では貴女の方が逞しいと言わざるを得ないだろう。都会の明かりも届かず、星灯がよく瞬く空。本来ならば逆であるはずのその逃避行、月明かりに照らされて2人の影は伸びている。ロマンチックなものだったのならば、ときめきと共に連れ去られる所だろうが_____状況も状況である。健足で走り抜く彼女の背後からは黒いシルエットが変わらぬ速度で此方を追う。先程撃ってきた短刀と同じものが放たれる。けれどそれは此方へと届く事はなく、鋭い音を響かせて石段の上に落ちた。このまま走り続けたのならば、人一人分抱えている此方が不利だろう。____しかし、貴女がそんなことをものともしないのならば、話は別だけれど。) (6/18 16:14:29)
エレナ・ドラグノフ>
『____問題ない。人間のひとりやふたり、抱えた所で物の数にはならん。』結論から言うと、山を駆け下りる形になる彼女の走る速度は、ムサシの上をいっていた。一点目は、鍛え抜かれた筋力が、人間一人を抱えるくらいなら行動を阻害される道理もないという事実。二点目は、追撃側はこの速さのからくりに気づいていること。これはあくまで、人間一人支えても全力疾走できるからこそ成り立つ超人技。自動車に人を一人乗せるか二人乗せるかで最高速度が変わるはずもないが、しかし搭載している体力(ガソリン)は一定だ。速度は確かに今は出せても燃費にガタがくる。なら、のんびりと時間をかけて追走劇(チェイス)を演じるだけで十分_____『鋭いが、それではあまりにも実直すぎる。真っ直ぐに飛ばすだけなら赤子にもできるぞ。』従って、そんな口三味線も無意味な強がりだと理解している。『貴様、ヤツの足止めを出来るか。ディスコードそれだけで攻撃しても無意味だが、ディスコードで倒した木や砕いた岩ならヤツに耐性はない。』体を翻し、向かい合うように一瞬視線が合わさる。飛来する紫電は合わせること三。それらは、馬鹿正直に致命傷を狙ってくる。確かに防御をするなら容易いが、しかしそれ故に一々躱したり受けたりしなくてはならないのは今のエレナには非常に効果的な妨害となっていて_____闇夜の森に、花火のように鋼が打ち合わさる。先程から混ざりこんでいる、クナイやら投石やら指弾により刃渡りを掴ませないようにしているが、それらはあくまで柔らかな人体に投げるべきもの。逆立ちしても鋼は貫けまい_____拳で叩き落とし、蹴りで薙ぎ払う。されどそれも、今の状況ではやや骨『できるかできないか聞いてすまないが____どちらにせよ、今のままならやれねば死ぬぞ。』 (6/18 16:37:47)
レギオ>
(けれどやはり、それも無限という訳でも無い。全てに必ず終りがあるように、体力にも限界が存在する。速度としては彼女の方が上である。そこそこに体重もある男1人を抱えてさえも尚_____そこに引っかかる、どうも飲み込めない感情が1つ。それは言うなれば、「不服」の様な。だけれど美しく、そして逞しく鍛え抜かれた圧倒的とも言えるその体を目前にしてしまえば、そんなものは陰に引っ込んでしまうのだ。威嚇射撃の様なそれも、此方を迫り立てる為のものだろう。)「 そう、そうだね。_______おっけい。…やってみよっか。 」(変わらずして緩やかな口調と雰囲気は、この状況にはあまりそぐわないだろう。余裕があるのか、やたらと肝が座っているのか。何にせよ、【 精神力 】が彼をそうさせているのだろう。……チョコラバーズ。それは実態を持たぬ、少し大ぶりのただの多面体だ。その持ち主である彼も触れることは出来ず、全てのものがこれについての干渉は不可能。勿論それに攻撃の手段などは無い。これに出来ることは、《サイコロを振ること》 それだけだ。)______【 1d100→92 】______《 マンダリンオーキッド 》『 君 は 支 配 を 呪 っ て い る 』(パキン、と音が鳴る。多面体はその姿を、その出目に相対したディスコードへと変貌させた。これの能力は、〝空中や体表などに現れエネルギー弾を精製し精度の低い追尾性を付与しながら宿主が認識した方向へと射出する〟ものだ。件のカミサマに直接ぶつけるのが手っ取り早いというものだが、それは能力や異常性を跳ね除けてくる。やはり非常に厄介な相手だ。貫通、拘束、それらが相手に使えないと言うのなら_______)(〝ドガンッッッッ!!!!!!!!!〟という激しい音をたて、ムサシのすぐ目前で半径1m程の爆発を起こした。爆発した際に崩れた石が辺りに飛び散り、閑静な森の中に木霊する。風が彼らの髪を揺らす。突然の爆破により、多少なりともムサシの動きを止める事だろう。) (6/18 17:47:48)
エレナ・ドラグノフ>
『……いいタイミングだ。このまま所定の場所まで突っ切る。』足止めは上々。能力による損傷はしなくても、能力により弾き飛ばされた木や枝や石は、散弾銃のように強かに彼の身体を打ち付け、肉を抉っている。だが____致命傷ではない。普通のカミサマならあれで詰み(チェック)だが、能力それ自体にはダメージを受けない性質により攻撃力の何割かが削られているのが手痛い。が、今はそれはもういいと思考を切り替えた。それは飛来する矢。あるいは駿馬だ。木に刺さった短刀を引き抜いてくすねたのをスタートの合図に、加速をつけて一直線に山を駆け下りて_____『一つ、改めて作戦を言い含めておく。私が絶体絶命のピンチになった時には、何があっても手を出すな。その一手後に……貴様には働いてもらう。』よりによって、廃れたキャンプ場かロッジ、山小屋の跡地にたどり着いた。石造りの、それなりに高い二階建て。見方によってはあるいは塔にも見える細長い建築は、多分何個かでセットであり、いくつかは既に倒壊した後なのだろう。だが、それに関してははっきりいってなんのしかけも問題もない。タダの開けた_______そう。開けた野原、先程の入り組んだ場所、日本刀なんて振り回す訳にいかない場所ではなく、わざわざ障害物など草木程度のここでケリをつけると口にして『それまでは、この廃墟に隠れていてくれ。やつを倒すとしたら____奇襲、その上で意味不明なものをぶつける他ない。』 (6/18 18:38:37)
レギオ>
(このディスコードは言わば博打だ。何が出るのか分からない、全てが運任せ。例えば物理的な攻撃を可とせず、精神に影響を与える、もしくは錯覚を起こさせるなどの能力を持つものであったのならば、能力を跳ね除けるムサシに対するにはあまり都合が良いものでは無かっただろう。爆発した時の土煙がその場所にはもうもうと立ち込め、2人の姿を遮るはずだ。結果的にこの時間稼ぎは成功とも言えるが、無論それだけで終わる訳にもいかない。彼本体の動きを停止させなければ、意味は無い。)『一つ、改めて作戦を言い含めておく。私が絶体絶命のピンチになった時には、何があっても手を出すな。その一手後に……貴様には働いてもらう。』「…………………………………」「……………………………………うん、うん_______分かった。そうする。」(まるで弓矢の様に、直線的に下っていく。周りの背景は加速し、鬱蒼とした木々が流れていく。ゆっくりと間を取った後に、渋々といった様子ではあったが、頷き返す。)(もう暫く人が立ち寄っていないのだろう。何かが起こるにはぴったりの雰囲気を持つこの場所は、暗闇に包まれていてとても動きやすいとは言い難い。)『それまでは、この廃墟に隠れていてくれ。やつを倒すとしたら____奇襲、その上で意味不明なものをぶつける他ない。』「……そうだね。……どうも、一筋縄じゃあいかない相手………」(月明かりがやけに開けた草地での唯一の明かりだ。黒い影だったムサシは継ぎ接ぎの布を捨て去り、時代錯誤の様な服装に身を包んだその姿を見せる。腰には大小の刀を帯びており、成人男性と何ら変わりのない人型である。獲物を探すかのような素振りをして、鋭い瞳を辺りにさ迷わせていた。) (6/18 19:10:06)
エレナ・ドラグノフ>
『_____行くぜ。』立ち向かうのは真正面。踏み込み、裂帛の気勢をもって衝突する。しかし、勝算がある___いや、なくてはならない状況下にしては、それに反し刀対拳。間合い(リーチ)の差は如何ともし難いままに進んでいく。故に、ムサシは特徴のない顔を憮然としていても、内心は嘲笑っただろう。ヤケ、それ以外は状況とするなら有り得べからざる盤面____『術式・起動(ディスコード・セフティオフ)』投擲したのは、先程くすねた短刀。そんなもの、悪あがきでこそあれ相手を討ち果たすことも出来なければ、かすり傷くらいにもなるか怪しい。しかし、ムサシはそれで尚手を抜かなかった。【秘剣______】腰元の刀を振り下ろし、投擲された短刀は軽すぎたのか地面に落下するというよりは、野球のファールボールのように奇想天外なる軌道を描いてあっけなく頭上に弾き上がる。そこから、半歩進みながら雷電の速さで股下から身体を断つ手首を返しての一刀。さる剣豪が鍛えに鍛え、一振の刀として、一人の男として研ぎ澄ませた究極の一刃_____【燕返し】『_____』化け物だ。投擲した短刀を弾くのは理解の内、しかし、それと同時に必殺の一撃をこちらに目掛けて飛ばしてくるという異次元。これを化け物としてなんと言う。『術式施行(オーダー)・空間跳躍(ビヨンド・ザ・エア)』だが、逆に言うのならば_____化け物でないなら、布石をうった意味はない。翻った短刀を手に取る。必殺の斬撃は空を切り、本来真っ二つのはずだった女はムサシの背後にいる。この摩訶不思議は、エレナ・ドラグノフのディスコードであるオムニア・ピンクサファイアによるもの。そう、このディスコードは徒歩や、あるいは登攀、跳躍が可能な範疇ならそこに宿主を届ける。ならば、短刀とて何十メートルかち上がるでもない。なら、手が届くのも道理。そして、同時に使われた二つ目の容量____『術式施行(オーダー・フェイルオーバー)・推進機関(アクセル・エア)』それは、彼女の成し得る最大限の推進力、跳躍力をしてその身体を一気に押し出し背後から突っ込むためのもの『輝石(オムニア・ピンクサファイア)______再装填・一斉照写(オーバーリミット・アクセルオーダー)』『術式・完結(セット)____地に伏す夜鷹の千年王国(ダインスレイヴ・オーバーロード)』それは、ムサシの背後から彼を襲い、勢いよく背中を貫いて抉った。血を吐く、肉を突き刺す反動が手首に返ってくる。『後は______オマエが倒せ。』『今日はオマエが、主人公だぞ?』 (6/18 20:02:04)
レギオ>
(エレナ・ドラグノフ______まさしく勇者と呼ぶに相応しい彼女は、果敢にかけて行く。辺りの風はゆっくりと頬を撫で、不穏さをましていた。やや遠目からでも伝わるピリリと張り詰めた空気が肌に触れた。その良く冴え渡る視力を持ってして、彼女とカミサマとの交戦を見守っていた。)「……………………………………ッ」(投げられた黒の短刀はムサシによって弾かれ、宙へと舞う。それはどれ程の長さだっただろうか。ものの数秒だったか、又はそれにも満たないか。目にも止まらぬ速さによって、彼の手に握られてきた刀は股下から貴女を引き裂かんとしていた。豪胆に、そして俊敏に。振るわれた刃が月明かりに光っていた。)______________(オムニア・ピンクサファイアの長い髪が踊るようにして揺らめいた。ムサシのそれは彼女に牙を剥くことは叶わずして、ただ空を斬る。最大限の推進力、背後に突如として現れた彼女の速度に敵うはずも無く、そのまま花弁の様に抉られた肉片が飛び散る。)(このディスコードは虚像だ。能力を発動する際に体表や宿主の背後に映し出される魔法陣の様なものであり、触れる事も出来ない。そして、ディスコードを発現させた後は解除するまでその地点から移動させることはできない。______既に、賽は投げられている。)「【 マンダリンオーキッド 】」(その名を呼ぶ。円状の線がその姿を大きくしていくようにして描かれ、ひとつの模様となり、彼の背後に展開される。直接的な威力が効かぬと言うのならば。奇襲的に仕掛けろと言うのならば。やはり、馬鹿正直にぶつかるだけでは勝機は無い。然し、確実に生み出された一瞬の空白。狙いを定めるは、その先。蛇の様な紅玉は、そのタイミングを逃さなかった。)『後は______オマエが倒せ。』『今日はオマエが、主人公だぞ?』(託されたものを、繋ぐために。)「_______放て。」(時速200kmで脆い壁を貫き撃ち放されたそれは、今度はムサシの目前ですら無く。ムサシの立つ、地面下を狙って爆発を起こさせた。それは、凡そ半径1m。視認されたとて、背後を突かれたその身では、一瞬では満足に避ける事も叶わない筈だ。) (6/18 21:07:02)
エレナ・ドラグノフ>
『……どうやら、一件落着という次第らしい。死ぬかと思ったが、案外上手くいくものだな。』決着。片やそれは誰が見ても動かない勝利であり、片やそれは誰の目にも明らかな敗北だった。息をつく。一撃も体に傷はないが、反面それは、一度でも傷つくようなことがあれば死んでいたという証。それが強敵だったか否かの基準にするにはあまりに心もとない事項である。『……え、と』ぽす、と傍らにいる彼に、気が抜けてかぐらりともたれかかって___『こ、これは、断じて!断じて!変な意味では無い。無い、が……。コホン。走り通しで少し疲れた。それに、下り坂ならともかく、これから登山しろなんてまさか言うまいな。』そう、山を思いっきり駆け下りている。しかも、昔は使われたかもしれないが、今は登山道をかなり外れたルートだ。このまま馬鹿正直に下山していたら間違いなく遭難。つまり、元いた場所___今ははるか坂の上に戻る必要がある、が。そんな風にできる元気は心もとない『……交代、だ。私はあんな風に運んでばかりで、1回も運ぶ側に居なかったからな。必要な体験という奴だ。』つまり、疲れたから甘えているだけの話______ (6/18 21:22:00)
レギオ>
(______機能停止。一時的ではあろうが、ぴくりとも動かなくなったそれに視線を向ける。勝利の女神は我々に微笑んだ様である。そこでようやく張り詰めていた息を吐き、彼らを取り巻く空気は幾分か柔らかさを取り戻していた。)『……どうやら、一件落着という次第らしい。死ぬかと思ったが、案外上手くいくものだな。』「はァッ…………………………………流石に、久々に?……肝が冷えた、って言うのかな。こういうのを。……ホント。…………」(その時、片腕に少しの重みを感じる。それを見れば彼女が此方にもたれかかっていた。「ゆう________」〝勇者〟と喋りかける前に、慌てたようにして弁解する貴女に遮られた。)『こ、これは、断じて!断じて!変な意味では無い。無い、が……。コホン。走り通しで少し疲れた。それに、下り坂ならともかく、これから登山しろなんてまさか言うまいな。』(パチパチと数回その瞳を瞬かせた後に、ふ、と口角は笑みを称えた。)「うん、勿論だとも。………………エレナちゃん。…今日はどうも、ありがとう。」(彼はこの上ない程、満足した様子であった。なぜなら貴女の、その豪胆さや美しく輝くその光をこの目で直接見る事が出来たのだから。______ああ、〝輝ける者〟〝我が愛〟〝我が勇者〟よ。貴方は彼に今日の主役だと言ってくれたが、彼は貴女が主役だと信じて疑わないだろう。)(倒れているムサシに然るべき対応をした後、今度ばかりは正しい立ち位置で、その魔王は彼女を抱き上げる。お互いに砂や埃にまみれてとても綺麗とは言えない状況ではあるけれど、貴女が甘えているのならば、求められるままに甘やかそう。それが愛情を愛する、彼の務めなのだから。)(鬱蒼としていて閑静な森の中。彼女を抱き抱えながら歩く影は緩やかに伸びていた。坂のはるか上についたのは、それから1時間後の事だったとか。) (6/18 21:56:05)
飯田 玖諾>
(午前授業の後に設けられた長めの休憩時間。まだまだ青春花盛りの学生たちは、午後に向けて憩いの時間を謳歌する。昼時ということもあり購買周辺は特別に賑わいを見せていた。)「────────。」(自販機の前に佇む藤色の髪の女は、財布を取り出すでもなく其処から立ち退くでもなく、ただ向かい合っていた。一分、二分──といつまで立っても、途中で気まずそうに隣の台でイチゴオレを買っていく女子二人組が訪れても、何をするでもなく仁王立ちをしているだけである。表情も変わらぬ中、動かしているのは目線だけ。りんごジュース、炭酸水、ジャンクフードに良く合う人気者、エナジードリンクに謎のドリンク────ワンコインからちょっとお高め陳列した飲み物たちを左上から順番に見るのを何度も繰り返す。そんな奇っ怪な現場に訪れた貴方は、同じく此処に用があったのかもしれないし、はたまた通りがかっただけかもしれない。貴方が此方に近寄ってきたとしても、姿を一瞥するだけで声も掛けずにまた箱とにらめっこを再開するだろう。) (6/19 12:42:31)
エレナ・ドラグノフ>
学校の自販機でコーラを買った。ガタン、という音と共にそれを取り出して、そろそろ無視できなくなった異常に目配せをする。え、と……。なんだコレ。何かを買うわけでもなく、誰かを待つようにも見えず。強いて言ったら警備とか監視員に見える。あるいは、神社とかの狛犬。微動だにしないままに、自販機の前に居座る生徒というのは、多分夕方や夜ならなんらかの怪奇現象でしかない。『……おい。』沈黙に困り果てて、おい、と声をかけた。聞きたいことはいくつもあるが『その……なんだ。何か買いたいなら邪魔はしないし、選んでるんなら仕方ないだろうけどさ。』『そんなに堂々と自販機の目の前から動かないのは、ちなみになんでなんだ______?』何してるんだコイツ?というその一点_____『仮に誰かを待つなら、もう少し離れてもバチは当たらないんじゃないかと思うんだが……』自販機の前で待てと言われて、そのまま前で待っている姿を想像したら一種のコント。けれど、まあ他にありそうな理由も見つからないのがどういうコト___? (6/19 12:52:37)
飯田 玖諾>
(この状況に臆することなく打破を選んだ英雄は、どこか大人びた黒髪の女性……と思われる格好と声。随分と身長が高く、彫りのはっきりとした顔立ちが相まってちょっと威圧的な印象を受ける。『そんなに堂々と自販機の目の前から動かないのは、ちなみになんでなんだ______?』)「────水筒を忘れたから。自販機で買えばいいって言われて来た。けど」「どれを買えばいいか、聞いてない」(普遍的なトーンで、抑揚控え目の声で告げる。呆れただろうか?しかし嘘も言っていなければ当の本人は至って真面目だ。出来の悪いアンドロイドのようなものだ、『何を買えばいいか』まで明言されないと、自分では選べない。──暫く貴方の顔をじいっと見ていた飯田だったが、俄に体を貴方の方へと向けて、腕を片方突き出す。真っ直ぐと指差す先は、番犬が睨んでいた自販機だった。)「ねえ。どれを買えばいいか、決めて」(先程まで自販機に向けていたのと同じように微塵とも貴方から逸らさぬ視線は、凡そ『お願い』に相応しいとは呼べない。それどころか、脅迫にも似た一種の圧を孕んだものであった。) (6/19 13:21:51)
水沫 泡>
暑い。あつい、あつい。………。あつい。それは語彙力までも溶かしてしまうような熱気だった。まだ6月?そんなわけあるか。なんでこんなに暑いんだ。クラウド、お前は気楽そうでいいな。「アイスとか、買えばよかったかな」プールサイド。悩み事とか考え事とかする時に、彼はよくここを訪れる。人はほとんど来ないし、来たとしてもみんな泳ぐから話しかけられることもない。水は好きだし……主にクラウドが。つまり彼にとってととっておきがこの場所だった。水にはしゃいで飛び回るクラウドをよそ目に、彼は日陰で書類に目を通していた。それはこれまでの任務の事とか、神様の事とか。自分なりにまとめたレポートの束だった。そうやってみんなの力に慣れたらいいと思った。みんなみたいに感情で訴えることとか、誰かを救済できるような言葉なんて俺にはないから。そう出来たら、いいと思ってた。でも。_______。キラキラと反射する水が眩しい。ここに来る時はいつだって、水面の輝きに反して心は重く苦しい。「ヒーローって、なんだろうな、クラウド」誰にも届かないような小さな声で問いかける。ヒーローを救うヒーローになりたい。そうは思ったものの、実際のところ彼にできることなんてたかが知れていた。意気込みに反した間抜けなレポートを感情と一緒にぐしゃぐしゃに丸めてはポイと後ろに放り投げた。 (6/29 18:06:28)
エレナ>
酷暑。熱波というより、もうこの辺りは熱帯だ。南の島の方が日本より実は体感的に涼しかったりするのだと、放浪癖のあった母が夏になるとよく口にしていたが、それが身に染みてわかる。サウナにお湯をぎっちり詰めたような暑さは、悲しいかな北国の血が強い私には割増で打撃を与えているような気もしてきた。そんな日は_____プール!なんて考えて、早朝に水着を引っ張り出してきたわけだ。いわゆるスクール水着やビキニはサイズ的に少し危ないので、真っ黒い競泳用なのが少しモヤモヤとするところではあるのだが、ともあれ今日は泳ぐ、泳ぐのだ。と、人気のまだ少ない貸し切りのプールに、水着を下に着ているものだから軽快に服など放り投げるように脱いだところで_____『あれ』顔見知りの姿を見咎めた。錆びる素材ではないから付けたままのネックレス、翼に輝石が仕込まれたそれは、何を隠そう彼とお揃いで買った物『なんだ……。この暑い中、泳ぎもしないでいたら熱中症になるぞ。ほら、何を抱えているかは私には分からんが。』『……行こう?』誰かの秘密基地、隠したい秘密の泉に踏み込んだ気がした。だから、土足でそのまま踏み込んだ。この暑い中悩み事なんかつまらないぜと、向日葵の咲くように笑って行こうぜと手を引く。このまま行けば_____一緒に水面にダイブだ。 (6/29 18:26:47)
水沫 泡>
『なんだ……。この暑い中、泳ぎもしないでいたら熱中症になるぞ。ほら、何を抱えているかは私には分からんが。』………「へ?」聞きなれた声に顔を上げる。視界に飛び込んでくるのは水着姿の君。そういうあれではないが、友人の普段見ない姿には誰しも驚くものだろう。水着となっては尚更だ。放り投げられた紙くずが虚しく転がる。目のやり場に困り、オロオロと目線が泳ぐ。長いラグの後、彼はようやく二言目を発しようと口を開き『……行こう?』咲いた笑顔と、身を任せたくなるような声に、抗えなかった。君に引っ張りあげられて、そのまま影の外へ出る。照りつける日差しが白い肌と髪を焼いた。…………。深い水を近くにすると思い出す。彼は、海で溺れたことがある。その時に助けてもらって、その人は代わりに亡くなった。母だ。君にこのことをちゃんと説明した記憶はない。だから。 君が水面に飛び込んで、足が空を切る。まずいな、水着を着てない。泳ぐつもりなんてなかったから、シャツがダメになっちゃう。あぁ、そんなことよりも、「まっ、エレナ」______彼は泳げない。それを伝え損ねたまま、ドプン。音を立てて2人とも青い水に沈んだ。足はつく、立てば息ができる。なのに身体に力が入らなくて、どうやって立てばいいのか忘れたみたいに身体が重い。___きっと、1人だったら多分このまま沈んでた。けど、幸い君の手を握ったままだ。その手を強く握り返して、自分の身体を引き上げようとする。彼はそのまま水面に浮上して___「ぷはっ……!!ゲホッおぇ……」呼吸した「何考えてるんだよ!ゲホッ……めちゃくちゃだな君は」びっしょりと濡れた長い髪をかきあげた彼は、本気で焦った顔をしているだろう。きっとその姿は間抜けだ。 (6/29 18:51:57)
エレナ>
『……シラケた顔しているよりも、そっちの方が可愛かったからだが。』あはは、と声を出して笑った。塞ぎ込んだ顔なんてしているよりも、今の困りきった小動物のような顔の方が私は何倍も好きだ。多分泳ぎが得意には見えない___大概上手い人は水を吸い込まないから_____のは意外だし失策だったから、握った手は離さないまま。『気づいたか。お互いびしょ濡れなんて、最初あった時とそっくりだ。』炎天下と土砂降りの雨は似ても似つかないし、プールと雨宿りはてんで結びつかないけれど、こんな風に二人とも頭から濡れている風景は最初と同じだと思えた。『まあ、いつも困った顔を私にするのは恒例行事だから、もう見慣れてしまったものだが。』 貴様には困らせてばかりだなと苦笑した。確かに私が迷惑をかけたり心配をかけてばかりいる気が段々してきているのは心外『……その時、確かこう言った。本当にどうしようもない時は、私だけでも最後まで貴様の味方だと。だから、話してみろ。』だから、その時口にしたもう一つ。泡の味方も同時に張り続けられる。『……二人だけのヒミツ、だ。』___飛び込んだ波間が緩やかに消えていく。時期より早い炎帝も翳りが見えて、涼やかな水中が心地よく体を包み込んだ。髪を払い、水滴が散る。この夏のように、それはいつか終わるような予感を帯びた淡い色の想い。二人だけの秘密を持ちたいのだと口にしたのは_____少しだけそれが、寂しかったからかもしれなかった。真っ青に透き通る瞳が緩やかに滲んだのは、何も水に飛び込んだからばかりではない。 (6/29 19:11:04)
水沫 泡>
「俺泳げないし!エレナいなかったら溺れてたからな!?」笑い事じゃない!!そう言って声を張り上げる彼も、どこか楽しそうだった。喉に詰まった水を吐き出して、少し落ち着く。照りつけられた肌が冷えて心地よい。まだ君と手を離すのは怖いけど、あんなに避けてたはずの水が好きだと思えた。夏の日差しに頭がおかしくなってしまったのだろうか。『気づいたか。お互いびしょ濡れなんて、最初あった時とそっくりだ。』「ほんとだ、俺たち濡れてばっかだな」自然と零れた笑い声が、2人しかいない水面に反響する。これから先、こんなことが何回あってもいい。何回でもあって欲しい。でも『まあ、いつも困った顔を私にするのは恒例行事だから、もう見慣れてしまったものだが。』「エレナは頼れるから。色々話しやすいんだ」出会いがあれだったのだ、今更何を話したって変わりはしないだろう。だから君に話したいことが沢山あるんだ。それなのに、スラスラと出てきた言葉はそこで詰まる。それ以上言うなと首を締められる。きっと、首を絞めているのは自分自身だ。『……二人だけのヒミツ、だ。』そうだ、二人の秘密だ。あの時もそうだった。流れた涙を雨のせいにして、全部流してしまえば良かった。だから多分、今もあの時と変わりはしないだろう。夏の青空みたいな君の瞳をじっと見て、空色が滲んだのはきっと見間違いじゃない。「俺、ずっと前に死神を見たことがあるんだ」ぽつり、降るはずのない雨に言葉をこぼした「その人は俺に、このままじゃ死ぬって言ってるみたいだった。その時はまぁそれでもいいかなとか思ってた」いや、本当は今だって雨は降っていて。それに誰も気がつけないだけで、無かったことにしてるだけなのかもしれない。そういうカミサマが居るってこと、たくさん図書館で調べたから彼は知っているんだろう。彼は君と、君たちと話す中で変わってしまった。死にたくないと思ってしまった。「みんなみたいにかっこいいヒーローになりたい。」それは羨望「みんなと、…エレナと、もっとずっと一緒に居たい」それは願望。「でも俺には時間制限があるんだ、……確信はないけど、多分……多分、」「おれ、さ……」……………その先は怖く言えなかった。無邪気な顔は次第に歪んで、君に見せられなくなって俯いて、広い水面に1つ、雫が落ちた。 (6/29 19:32:40)
エレナ>
『……ああ。』これまでの何により、これからの誰に向けるより、穏やかな表情で彼を抱きしめた。振り絞るような言葉を、最後まで聞いた。彼はそれまでより幸福なんだろう。彼はこれからの幸福を予測してしまったのだろう。そしてそれが、届かない星だと観測してしまったのだろう。『怖いよな、辛いよな……。もっと、最初に知っていたら、もっと一緒に泣けたのにな。』涙が流れた。冷ややかな水面を焦がすくらい、熱い涙だった。この人を救える手立ては無いのだろう。きっとそれは、何か寿命じみたもので。多分だけど、私も知らないだけで、私は彼よりか長いだけで、私にだって設けられた終わりなんだと思った。でも。きっと腕の中にいる彼の方が泣きたいだろうから____強い私は、歯を食いしばった。『泣き止んでくれなんて言わない。いっぱい泣いて、いっぱい悔しがっていいし、いっぱい怖がって、八つ当たりだってしたっていい。』言葉が掠れた。『その時、どうしようもないお別れをする時に_____貴様が、胸を張って笑えるように。 幸せにおなり、と、誰かに言えるように』言葉が詰まった。何よりも残酷なことを言うような気持ちで。『私が、精一杯楽しかったって思わせてあげるからさ。』何より優しい言葉を吐いた。 『普通の恋人やら、普通の結婚やらは……死がふたりを分かつまで、だったっけか。』 『なら_____一生やら、永遠やら。』 『そんな言葉より……もっと長く、一緒に居よう。一緒には死ねないけど、それより永く。その向こうまでも、貴様が寂しくなった時には……たかだか生き死にの一つや二つ、踏み越えて現れてやる。』ディスコードは思いの力、思いが奇跡を起こすなら。『ん。_____愛していると、そう言った。』死の絶望や恐怖には、未来永劫を超える愛(きせき)を与えようと。_____涙より切なく笑うのだ。 (6/29 19:54:02)
水沫 泡>
彼はその後泣いただろう。青い空を突き抜けるほど大きな声で泣いたと思う。これまでに無いくらい、これから先もないくらい泣いて、泣いて、。前に進もうと決めただろう。決して届くことの無い星に向かって手を伸ばし続けると決めた。傍に君が、ヒーローが居てくれるのなら、それも悪くないと思えるように。_______幸せになる。幸せにする。楽しかったと笑って終われるために。…なに、終わりがわかっている分贅沢なものじゃないか。人はいつだって急に死んでしまうものだろうから。「ところでエレナ、」「俺とずっと一緒に居てくれるって言ってたよな」しばらくして落ち着いた彼は、目を腫らしたままプールで泳ぐ君を見て言うだろう。いつか消えてなくなるとわかっているのに、君の特等席を予約するのはずるいだろうか。愚か者がすることだろうか。それなら俺は、…………愚か者で良い。「俺が向こうに行くまで、」「付き合って欲しい」〆 (6/29 20:08:38)
緋染 陽>
─(少女の見目は特に可愛いだとか綺麗だとか…いえ、確かに可愛くはあるでしょう。だけれど【容姿端麗】ではありません。)(ライセンス【魅了】。それは花が蝶や蜂を引きつけるように、少女には放っておけない何かがあるのです。)(そんな少女がしょんぼりと大きな瞳を伏しがちに落ち込んでいるのです。だから周りの人たちもそわそわ。お前いけよ、なんて声がすこぉしだけ聞こえるかもしれません。)(──ですが、少女は貴女を見つければ、その瞳をぱっと見開いて、そしてパタパタと駆け寄るのです。)「ッ…っ、……ぇ、エレナさぁんんんん…」(そして、せき止められていた水が決壊するように。貴女の元までくれば、ぽろぽろとその瞳から涙をこぼすことでしょう。)「わ、わたし、大丈夫だとか、へいきとか、いって、たすけられなくて、っえれ、えれなさん、たすけようとしてくれたのに、!」(少女は憂いていました。先日の任務のことを。)(少女はあの子を助ける気でいたのに、それは叶いませんでした。目の前で消えてしまったあの子のことを、どうして忘れられるというのでしょう。)(────だから、あの時あの子のそばにいた貴女を見て、思い出して、耐えていたものが壊れてしまったのです。) (7/3 20:25:09)
エレナ>
心配して来てみたその通り、泣きじゃくっている女の子が居た。自分が悪いとかそういう話じゃないだろうに、この子は私は助けようとしていた、私ならどうにかなったかもしれないところを邪魔してしまったかのように口にするのだ。『……違う。』もうどうしたらいいか多分分かっていない女の子には、優しく抱きしめてやるしかない。真綿のように緩く渡した両手に反して、毅然に、切りつけるようにそうじゃない、と口にした。『私が居たからって、私の言う通りにしたからって、どうにかなったかなんて分からなないし、貴様より私が酷い結果を導いたかもしれない。』その逆も然り。確かに、その時出来なかったことは出来なかったこととして責任もあるし罪悪もある。だとしても『でも、……いや、だからこそ。亡くしたものを、自分の選択を、後悔だけはしちゃいけない。確かに失敗したかもしれなくても、貴様があの日本気で頑張ったことは、貴様が大事にしてやらないでどうする。』『……悩んでもいいし、泣いても甘えても構わない。だから、あの時誰かを助けたかった自分だけは大事にしてやれ。』 (7/3 20:35:42)
緋染 陽>
「ぅ〜…!!でも、でもぉ、」(貴女が何を言ったところで、少女の心が慰められても──それでも、今はただ、感情的に泣くことしか出来ないのです。)(『でも』『だって』『もしかしたら』)(そんな未来がある限り、少女の後悔は晴れません。いつの日か、その後悔が晴れる時が来たときは、その時は少女が大人になった時でしょう。)(─けれど、少女はまだ17歳の、少女なのです。)(だから、真綿のように包んで抱きしめてくれる、貴女に甘えるしか、縋るしかないのです。)「どうしたら、たすけられたのかなぁ、」(どうしたら生きてくれたのでしょうか?少女の疑問はずぅっと続きます。そしてそれに答えを返せるあの子はいません。)(ぎゅう、と。)(貴女を抱きしめて、その小さな身体を埋めて、泣いて、甘えるのです。)(──貴女がそれを、許してくれました。)「──ヒーローに、なりたかったんだけど、なぁ」(少女はあの子のヒーローになれませんでした。…それを悔やんでも悔やみきれないほど、後悔だらけなのです。) (7/3 20:47:12)
エレナ>
『そう泣くな。可愛い顔が台無しだ』困ってしまって、それと同時になんだか誇らしいような、擽ったいような感情が湧いて。背中を優しく撫でながらあまり泣くなよと口にした『ヒーローになれたか、か。』君はヒーローにはなれなかったのかい?と、語りかけてやることは多分出来るだろう。それでも君はヒーローだと肯定してやることも簡単だ。けれど、彼女に口にするのはまた別の話。_____より虚しく、惨い話だ。『私も、ヒーローのなり方なんてものは、正直よく分からないんだ。私の場合、ヒーローになった理由は、罪悪感だったんだ。強盗が小さい頃に私の家に入って、偶然来ていた私の友達が、代わりに刺されてしまったことがある。友達を見捨てた。すぐ隣の部屋で、助けてくれと呻く声に手を伸ばさなかった。』私にもよく分からないなと呟いた。ヒーローにどうなるのかなんて、今でもさっぱりだ。だから『脅迫観念みたいに強くなって、強くならなくて良い人にも嫉妬したし、自分の手を借りなくても大丈夫な人ばかりになるのだって怖かった。』『いや、過去形なんかじゃなく、未だに正直、こういう気持ちは捨てられてなんてない。』『でも、それでも。』『ヒーローを目ざしたのは、呪い(ねがい)だったんだと思う。あんな惨い状況を覆したい、誰かに手を今度こそ差し伸べたい。だから、それを繰り返してたら___感謝されたりすることも増えるようになった。』『だからきっと、誰かを助けるヒーローになるためには、自分が助かるための理由が必要なんだ。貴様だって、心の___原点になるものはあるんじゃないか?』 (7/3 21:10:35)
緋染 陽>
「呪い(ねがい)、」(貴女の語る言葉を、ぽろぽろと静かに泣きながら、それでも真剣に聞いていたことでしょう。)(心の、原点。)(──少女は考えます。自分の原点は、一体何でしたでしょうか?)「わたし、わたしは、」(─ゆっくり、言葉を紡ぎます。どうしてヒーローを目指したんでしょうか?どうして、なりたいと思ったのでしょうか?)「……私は、真実を愛しています。」「うそは、きらいです」(だから、救いたかった。救うと決めた自分の心に嘘をついてしまったようで、悲しくて悲しくてたまらなかった。)「──たすけてくれたヒーローが、怪我をして、それを隠して…」(それから。)「……倒れてしまった、から」(少しだけ、苦くて暗い、思い出したくない、でも、覚えておかなきゃいけない記憶。)(あの日、あの悪夢の7日間でたすけてくれたヒーローは、少女を助けてくれた時についた傷が起因で死んでしまいました。)(でもヒーローは、笑顔で大丈夫だからと嘘を付いたのです。)(……だから、うそは嫌いなんです。嘘をつかないでほしいんです。真実を、話して欲しいんです。)(────だから、貴女の過去を聞いて、ぐしぐしと、涙を拭きます。)「ッ私は、たった今!えれなさんに助けられました!」(ぎゅっ、と貴女の手を握ります。)(それはまるで、この前のあの子の手を握る時のように。)「私の、助けて欲しいという声に、応えてくれました。」「だから、ありがとうございます。」(──もう、泣くのはやめにしましょう。あの子の為に、この後何ができるかまだ分からないし、後悔は引きずっているけれど。)「─────エレナさん。」「助けてくれて、ありがとうございます。」(─少しでも、貴女の罪悪感が、感謝で埋まりますように。)(そう、願いましょう。) (7/3 21:25:04)
エレナ>
『……そうか。』黙って話を聞いた。確かに、ヒーローなんて連中は強がりだし無鉄砲だ。だから、大丈夫大丈夫なんて言っておいて死んだり、心配ないよと言って心を壊したりする。そんな存在だと、身に染みてわかる。だって私も_____言ってしまえばそんな感じの人間だから。『私が、そうか。貴様を助けられたんだな。』手を握られて、私は貴方に助けられたのだと少女は口にした。ありがとうございました、と、繰り返し言った。……どうしてだろう。いつもたくさん貰っているはずの「ありがとう」が、いつもたくさん傷ついて貰えるはずの「ありがとう」が。こんなにも簡単に、こんなにも真っ直ぐに私に向けられている。「こんな私にゴメン」と、感じている。謝りたいような気持ちになる。これを感謝というのだろう、これを救いというのだろう。 『なんだか、救われた。ほら、人に自分の悪い部分を話すのって、難しいし、勇気が居ることじゃないか。』嘘をつかないで欲しいと、そう彼女は言った。信頼とか仲良しとかそういうものであればあるだけ強がってしまう私は、本当は『本当は、痛いのだって、戦うのだって怖い日もある。別に私が頑張ったからって誰かのためになんてならないんじゃないか、とか。色々悩むことも、本当はあるんだ。』そんな言葉が1番欲しかったんだ。『……でも、そういうのを中々口に、できなかった。不安がったらダメだって、弱いところを見せたらダメだって、思ってた。』 『……へへ、なのに、なのに、さ。ありがとうって、言ってもらっちゃったァ……。』ぐずるように笑った顔は、不格好で、なんだかしまらなくって。いつもとキャラも違かった。でも、それでも______ (7/3 21:45:14)
緋染 陽>
「はい、たすけられましたよ。」(ぎゅう、と、少女からしたら強く、貴女からしたらきっと弱いその力は、少女なりの精一杯。貴女にこの温もりが、気持ちが、伝わりますようにと願いを込めて、優しく強く握ります。)「───ヒーローだって、救われるべきなんです。」(これは、少女の持論です。そんなことないと否定する人もいるかもしれません。理解できない人もいるかもしれません。)(でも、そんなものは関係ないのです。だってこれは、少女が考えて考えて、たった今見つけた、少女なりの【成りたいヒーロー像】なのですから。…誰に否定されようと、1度決めたのだから目指してやりましょう。)「不安がっていいんです、弱い所を見せたっていいんです。怖がっても、────泣いても、いいんです。」「…私、今決めました。ヒーローを救えるヒーローになりたいです。」(少女に一般市民を救うほどの力があるでしょうか?…それは、否、かもしれません。)(すぐれた知識もありません。特出した力もありません。ディスコードだった、みんなの力をトントンにするものです。)(それでも、心は寄り添えます。…そう、信じています。)「無茶をするヒーローに、我慢をするヒーローに、ストップを掛けられるような、」「─────大丈夫じゃない時に、大丈夫じゃない、って言ってもらえるような、ヒーローになりたい、です。」(───だから、続けます。目の前にいる強がりなヒーローを救うために。)(もう、一番最初の泣きじゃくっていた小さな少女はいません。今ここにいるのは、──────────────。) (7/3 21:57:18)
ヴェリテ>
「今まで、沢山たーくさん、色んな人を救ってくれて、ありがとうございます。」「今、少しだけでもいいです。強がらないでください、嘘をつかないでください。……ヒーロー、《バーバ・ヤーガ》、」 「───少しだけ、おやすみ、しませんか?」(太陽を思わせるような、きらきらと輝く瞳が、貴女を真っ直ぐと見つめることでしょう。) (7/3 21:57:56)
エレナ>
『ああ。きっと、なれるさ。貴様なら……望んだ数だけ、誰かのヒーローを助けられると思う。』微笑。誰かが自分の歩く道を見つけられたことを嬉しく思う気持ちと、きっと彼女は真っ直ぐに歩いて行けるんだろうという少し寂しい気持ちと。誰かに私も助けられていいんだって喜び。ああ、そうだ____君を支えると、自分も力になると、たくさん言ってもらっていたのに。なんだって今の今まで、それは「ダメなこと」なんだって自分から蓋をしていたんだろう。『ヒーローをやることが辛いわけでもさ、嫌なことだって訳でもないんだ。誰かを助けられたら嬉しいし、誰かのためになれたらっていう夢は____きっと、嘘なんかじゃないと思ってる。』『色んな人に、私も一緒に頑張るからって約束もしたし、これからきっと頑張って歩いていかなきゃとかも思ってる。だから……私自身、大した嘘なんてこれまでもついてはないと思うんだが。』それは悲しい話をするようではなく、子供の時、いたずらをした思い出を語るように軽やかに。『何回も、大丈夫って言っちゃったし、私が助ける側なんだ、助けられてちゃダメだからって、私を助けようとする人に出会う度に考えてた。』""「君が救われないなんて"ダメなんだ"。」「俺を救った君が、君以外の誰にも救われないなんて俺が許せない」"" あんなにかっこよく言ってくれた誰かさんもいたっけな。『______秘密やら、強がりやら、着飾る必要なんて別にもうないか。』『あーあ、山落ち、最初から馬っ鹿みたいだな。私は強くあろうとする私が大好きだし、可愛い子や甘えてくれる子だって大好きだし、あれこれチヤホヤされんのも好き。KOも大好き。それに、悲しい理由一々付けてんのはダルいだけだ。もっと気楽で、簡単で。しんどい時には寄りかかってればいい』『隠し事が美人を作るなら、もうとっくに一番欲しい彼(の)は手に入れてるし、そもそも私最高に美人だっつってんだよ、バーーーーカ!』ケラケラと笑いながら、遠くに向かって悪態をついた。どこか遠くの空に、抱えてきた鬱屈が消え去るように。『……なんて、オフレコにしろよな。』 (7/3 22:31:58)
ヴェリテ>
─(真剣に、時折釣られるように微笑を浮かべながら…少女は、貴女の言葉を全部受け止めて、抱きしめたことでしょう。)「エレナさんが、大丈夫なら私はそれを後ろから見守っています。でも、もしも辛いなら、」「…寄りかかってください。」(上手に言葉は選べているでしょうか?伝わっているでしょうか?)(ほんの少しの不安を抱きながら、それでも、それでも助けると決めたのだから…ヒーロー『ヴェリテ』は続けます。)「最初から、エレナさんはとぉっても美人さんですよ!……それに、どこか吹っ切れたみたいで、もっともーーっと、美人さんになったように見えます。」(えへ、と。)(恥ずかしそうにしながら、それでも言葉を濁さずに伝えましょう。出会った時から、貴女は美しい。)(─それは、もちろん見目だけの話ではありません。強くあろうとする心、強くあろうとする努力。その全てが、美しくあります。悪態をついたって、それは変わりません。)(何せ貴女は、最初から最後まで、貴女のままなのだから。)「────はい、秘密ですよ。」(嘘はつきません。)(真実を愛する者につくディスコード『トゥルー・ラブ』に誓って守りましょう。) (7/3 22:44:52)
エレナ>
『……ああ。なら、遠慮なくそうする。ただ、私はあまり自分からアレコレ説明するのが得意な人間なんかではないからな。いきなりブツっと電池が切れたり、急にベタベタしっぱなしになるから。その辺りご理解いただけますように』なら遠慮なく、と答えた。泡の立つ瀬がないような気も、ある意味こう、もう彼氏だから寧ろ安心してぞんざいにしている気もして、複雑だけれども。……結構充実しているのは私が嫌な奴だからか。『ふふ、嬉しいことを言ってくれる。』『そんな可愛いこと言われたら、なんだか帰したく無くなってきたな……。』冗談、と言ってくす、と笑んだ。自分に厳しいにしろ厳しくしかたはあるだろうし、悲しむにしろ悔しいと思うにしろやり方はひとつじゃない。全部が全部、毎日引きずらなきゃならない理屈なんてないし。少なくとも、あの子は私ががんじがらめになるために死んだんじゃない『ね、今日この後空いてたら……映画見ようよ。できたらご飯食べた後にナイターで、スッカスカの映画館でさ。今話題の泣ける恋!みたいな、スッカスカの映画見ようぜ。あー、後、こう、何?』私は私なんだと、ヒーローになりたい私も、強くありたい私も、めんどくさい私も私でしかないんだと、呆気なく、あるいは潔く少女は笑った。『女の子っぽい遊び、色々教えて貰えるか。私は、私の好きな物やなりたいモノに嘘つくのだけは、もう辞める予定だからな。』少女は、失敗を呪っている。ならば無論、1度しかない人生、嫌なことやらつまらないことに構っている暇はないんだと_____さあ、遅ればせながら合図は鳴った。なら、私は私に向かって走り出さなくちゃ。 (7/3 23:19:16)
七竈 八六>
「────────俺ね。中学ン時はね。クラスのやつとよく公園でこうして花火、やってたんすよ。エレナ先輩。」(ツツツツツツツツツツツツツ──────────……)(チリーン、チリ──────────ン。)(ジジッ、…………ジィ──────────…………………)( 7月の始まり。夕暮れ時。日暮、風鈴、風なんて。夏色の音が混じる時間帯。 食べかけのスイカを窓付近の地面に置く。鼻腔を擽る蚊取り線香と、土の匂いと、それからなんとも言えぬ火薬の香り。頬を照らすそれは、彼が1番に火をつけた手持ち花火である。)(事の顛末はいつだって突然だ。それはついこの間、片手で数える程しか空いちゃいない日のこと。『あっちィーーーーーッ………………………もう夏っすねェ、先輩。』なんて。パピコを咥えながら小さく呟いて、ワイシャツをパタパタと仰ぎながら彼は話を2、3転。(『…ねえ、そういや。夏といや花火じゃねっすか。』って。もしかしたら彼が提案したのかもしれないし、貴方から話を持ち出してくれたのかもしれない。何はともあれ、貴方の寮に花火とスイカ、それからアイスをレジ袋に入れて、にひぃーーーッ………!と人懐っこい笑みを浮かべながら自ら此処にやってきたのは事実だ。緩いワイシャツが風に靡く。 朱色から緑へ変わる瞬間、目を輝かせる彼は ヘラヘラとひとりでに笑っている事だろう。そりゃもう、楽しそうに。)「いッッやァーーーーーッ!!!!!!〝 ウタ〟の奴も呼べば良かったッすねェ、アイツ意外と花火好きなんすよ。餓鬼ン頃はよく庭の前でやったりしてさァ~~~ッ…………………………………」「………………………先輩も、そう思いません?」 (しゃがみこんでいる彼は、貴方の方をちらりと見やって、その赤目を様子を伺うようにして小首を傾げた。パラりと落ちた長い髪で隠れていた虚勢(ピアス)は、花火の光に照らされる。…彼は気づいているのか居ないのか。よりにもよって幼なじみの名を出しては、ほんのりと残念そうに眉を下げるかもしれない。) (7/4 20:34:36)
エレナ>
『……確かに、好きそうだものな、花火。』バカとカラスはなんとやら、とか失礼なことを思い浮かべたわけでは断じてない。花火、例えるなら彼に似ている遊びだと私は思った。明るく、華やかで、それでいて火の熱さを帯びていて。だのに何故か、夏の終わりにはふ、と居なくなってしまいそうな_____そんな寂しさが見える。ぱち、ぱち、と硝煙の匂いがして、しゅうしゅうと火花が散る。せっかくだからと、死蔵品だった手毬柄の浴衣に袖を通して。赤緑金と色が変わる手持ち花火を、軽く手首で弄びながらアイスのパッケージを歯で行儀悪く破って。それから柄を片手に器用に回して口に運ぶ。しゃく、と柔らかなものが解れたような触感と、パチリ弾けるような酸味が____『い、い、い、いや、ま、まあ、あ!?確かに呼べたら良かったなー、あはははーー……熱(あ)っっつ"つ"!!!!!!』全部吹き飛ぶくらい、それは唐突な問いだった。口に含んだアイスが思いっきり食道に向かいダイブし、激しく噎せた拍子に花火の火花が足元に降りかかった。なんかのコントでも綺麗にこうはならないというくらい、愉快極まりない漫才を1人でこなして『き、貴様その…… え、と、知ってて 言ってる、のか?』顔が熱い。口元が羞恥で痙攣する。花火の風流を楽しむ_____ついで、あくまについでとして色々情報収集出来たならラッキーなんて目論見はパー。HQ(本部)、作戦失敗であります。 (7/4 20:49:31)
七竈 八六>
「うん。すッッッッッッッッッげえ好きィ~~………………花火がねェとさァーーーーー……………なんつうか?こう、ほら…〝 夏が始まんねェ 〟って感じ。…………今年も夏祭り、やってくれりゃいいけど」(彼は貴方の返答に、子供らしく歯を見せて笑いながら、緩やかに言葉を返していた。貴方の浴衣は初手、見た時は珍しくって思わず『エレナ先輩そういうのも着るんすね?!』なんて、失礼ながらに口走ったものだ。勿論、〝良い意味〟で、ではあるのだけれど。 ヂヂ、と蝉の終わりのよう、花火が切れたのならば『…………あーぁ』なんて小さく声を漏らして、用意してあったバケツに ジュ、と入れる。 あれだけ煌びやかに辺りを照らしていた花火はものの数秒で消沈なんて、まるで彼にとっては授業の間の10分休憩とさして変わりはなかった。彼は袋からもう一本、今度は違う色の花火を取り出して、チャッカマンをカチリカチリと鳴らしながら火を付けようとしてその時───────…) 『い、い、い、いや、ま、まあ、あ!?確かに呼べたら良かったなー、あはははーー……』『………………??エレナ先輩?」( 他愛のない、極々自然的な日常の断片に過ぎなかった質問だ。しかしどうやら、貴方にとっては違うらしい。文字通り、〝 馬鹿でもわかるぐらい動揺の色〟が滲む貴方に、彼は間抜けた声を漏らして名前を呼ぶだろう。)『熱(あ)っっつ"つ"!!!!!!』「エ、エレナ先輩ッッッッ……………?!?!?!うぉ゛ッッッッッ!!!!!熱゛(あ゛)ァ゛ッッッッッッづッッッッッ!!!!!?????」( 嗚呼、もう〝 滅茶苦茶〟である。 ひょんなタイミングでバチりとつき始める花火。油断していた彼は、まんまとサンダルの上に落ちた火の粉が皮膚に着地したことによって、貴方の後に続くように跳ねて、尻もちをついた。傍から見れば『コント』も『コント』。昭和のドリフスターを思わせる喜劇である。彼は『ッ゛ッ~~…………………』と声にならない声を漏らしながら、火の粉が落ちた皮膚を上からさすりつつ、貴方の質問に耳を傾けるだろう。)『き、貴様その…… え、と、知ってて 言ってる、のか?』「……………………………あァ?……〝知ってる 〟って、なにがっすか。」 (漸く顔をあげられるようになった彼は、貴方に視線を今一度向け、問い返す。)「……………………まさか、エレナ先輩とウタが、…………………………〝 付き合ってますぅーーーーッ!〟……………………とかなんとか言うんじゃあないでしょうねェ…………ええ?」( 俺、馬鹿だから分かんねぇけどよ。は常套句である。この男、〝 馬鹿〟であるには間違いないが、変なところで勘が働く。ニンマリとからかうように吐いたそれ、彼は貴方の言葉を待っていたんだ。『馬鹿者』と。) (7/4 21:14:12)
エレナ>
『う、う、う、うるさい馬鹿者!!!あんまり大きな声で堂々と言うな!』それはつまり、転じること意味合いは肯定である。そこら中にゴミやら花火やらをぶちまけながらむちゃくちゃにひっくり返ったり喚いたりした後。浴衣の袂にぶら下げた制汗剤と、花火をつけるのに使っていたライターを手に取り。『……い、いいか。制汗剤っていうのは燃えるんだからな。あ、あ、あ、あんまり、こう……。なんだ!言いふらしたりするようならこれに火をつけて______』【⚠︎︎ ガスやスプレー状のものに火をつけるのはやめましょう。 】子を連れた獣がおそろしいように、恋する乙女というのも同時に恐ろしく盲目だ。誰かに言うなら分かっているよなと、自分から口を開く分にはそこそこ答えてしまう癖に激怒と羞恥とその他もろもろでぐちゃぐちゃになりながら。焦りに焦っているのが目に見えている呂律の回らないつっかえつっかえの訴えで。『ぼん!だからな、ぼん!大変なことになるぞ。た、確かに私は泡と……その、付き合ってはいるが、これはなんだ!?あれ、なんというかこう……清純なお付き合いをだな!!』 (7/4 21:28:03)
七竈 八六>
『う、う、う、うるさい馬鹿者!!!あんまり大きな声で堂々と言うな!』「 えっ 」『……い、いいか。制汗剤っていうのは燃えるんだからな。あ、あ、あ、あんまり、こう……。なんだ!言いふらしたりするようならこれに火をつけて______』「い、いやいやいやいやッ!!!!先輩ま、まままままままってくださいよッッッ!落ち着いてくださいって、マジでッッッッ!!!!!!!!!」『ぼん!だからな、ぼん!大変なことになるぞ。た、確かに私は泡と……その、付き合ってはいるが、これはなんだ!?あれ、なんというかこう……清純なお付き合いをだな!!』「だァ゛ーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!分かりました、分かりましたってェッッッッッ!!!!!!!!!!!もォーーーーーッ、アンタ〝恋する乙女 〟かよッ、ッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ( 【⚠︎︎ ガスやスプレー状のものに火をつけるのはやめましょう。 】 )( とはよく言ったものの。彼はあなたの発言、及び行動に慌てたように花火を消して、ワタワタと両手を振りながら 貴方に落ち着くように訴えることだろう。確かに『馬鹿者』という言葉が来るとは思っていたが、まさか『図星』だなんて誰が予想するだろうか。……………恐らく彼以外は薄々勘づいていたことかもしれないが。ぼんやりとアイスの袋を開けながら、彼はゆっくりと棒アイスを引き抜き、口に運ぼうとするだろう。)「………………………いや、何つうか。まさか『マジ』でその、そうなってるとは思ってなかったっつうか………………………………えぇ?マジっすか。………………………へェーーーーーーー……………………」「………………………えっ、なんか、めっちゃ嬉しいンだけど。……………………え?!?!?おめでたくないっすか?!?俺と花火、やってる場合じゃないっすよそれッッ!!!!!!!!」 (…時間差で来たのか、彼の口角がみるみるうちに緩んでいく。口に運んだアイスが溶ける時間が、何となく早いような錯覚。徐々に徐々に溶けだす純粋な多幸感と、『あいつなんで教えねえんだよ』なんて、子供ながらの僅かな拗ね。ハッ、と気づいたように貴方に顔を向けた彼は、『こんなとこで2人で花火してる場合じゃなくね?!』なんて、貴方に伝えるのだった。) 「えっ。つかデートとか、しないんすか??〝 修学旅行〟、近いみてェだけど。」 (7/4 21:56:35)
エレナ>
『そうだ悪いか馬鹿者!!』アンタ恋する乙女かよと言われ、そうだ悪いかと口にした。馬鹿者め。制汗剤を下ろし、それからはあ……と体力を何もかも失ったようにため息をついた。『……む。まあ、喜んでくれる自体は嬉しいんだが、その辺については少しこみいった話がある。』頬を膨らませたまま、無言で線香花火の先端に火をつける。ぱちぱちと光が弾ける。それは咲く花のように広がって、散る時を忘れさせるかのように燃え上がった。暗がりに、私は消え去ったりしないと、消えるとしても全力で走り抜けるのだと主張するそれは、なるほど私たちのようで______『貴様にだからこそ口外するが______泡は、ぺトリコールを既に見ている。』苦虫をかみ潰したような顔。きっと今は、そんな顔をしているのだろう。それはつまり、そう遠くない未来の死。仮に死を回避することそれ自体は出来るのかもしれない、しかし、それを引き寄せるには余りにか細い可能性で。『だから、あの人の最期を楽しかった思い出にするために。当たり前のように終わるんじゃなく、十分にやりきったゴールだったんだと思えるように。一緒に居るって決めた。』『……だがまあ、彼と仲が良い人や、一緒に居たいと思う人は私だけじゃない。デートの1つもしないなんて無欲じゃあないが……。』『うん、正直なところ弱音を吐きたかった。』 (7/4 22:14:34)
七竈 八六
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貴様にだからこそ口外するが______泡は、ぺトリコールを既に見ている。』「………………………………」(パチリ、パチリ。)(貴方の線香花火が、瞬きをしてはゆっくりと目を閉じて、アスファルトへと染み付いた。 夏色の匂いがする。先程の雰囲気とは一変した、ほの暗い夕暮れ。彼はその発言に目を見開いた後、細め、線香花火を袋から1本取り出すだろう。…煙草は吸わない。きっと将来もすえやしないんだろう。それでもこの時ばかりは妙に大人びた横顔が、ライターで煙草に火を着けるようにカチリ、カチリと辺りに響く。)「………………………、」「……………………そっかァ。」(パチ、パチパチパチ──────────……)(…線香花火が目を開く。 ) (彼は、それ以上でも以下でもなく、ただ一言呟いているだけだった。)『だから、あの人の最期を楽しかった思い出にするために。当たり前のように終わるんじゃなく、十分にやりきったゴールだったんだと思えるように。一緒に居るって決めた。』「…………………………………うん。」『……だがまあ、彼と仲が良い人や、一緒に居たいと思う人は私だけじゃない。デートの1つもしないなんて無欲じゃあないが……。』 (7/4 23:13:21)
七竈 八六>
「…………………………………………」『うん、正直なところ弱音を吐きたかった。』 ( ぽつりぽつりと、勢いが失せていく線香花火に合わせるよう、彼は相槌をうっている。 ………………そんなこと予想しちゃいなかった。自分の幼なじみがまさか、『死の前兆』を目前にしていただなんて。本来ならばここで彼は、目に見えて狼狽えて、どうやったらその死を『回避できるか』を思考するべきなのだ。どんな無謀にも顔を上げ、今すぐにでもウタに『説明しろ』と胸ぐらを掴むべきなのだ。)(でも。)「……………、………………」(やらなかった。)(…初めて聞いた筈なのに、悲しいのに。不思議とすんなり、〝 飲み込めた〟。まるで前から知っていたかのように、幼なじみの縁と言うやつだろうか。 そして、その〝飲み込めてしまった自分 〟がどうにもやるせなくて。) 「………………………」「………………………アイツさ。」「…………………………怒んねェの、ほっとんど。何でもかんでも理由見つけて〝 だから仕方がないんだ〟って、妥協すんの。」「………昔から、そういうとこ。あんま好きじゃなくってさ。…………でも、『妥協せざるを得ない』…アイツをそうした周りがもっと嫌い。」「…………………………………………嫌いだった。」「………………………………………………そういうとこ分かってて、先輩はウタと付き合ったんですよね。多分。」 (パチリ。)(…………………──────────線香花火が落ち切った。) 「………………………………………俺が言うのも難だけど。」「……………………………………『これが最期の思い出かもしんない』っての、片隅で考えながら一緒に居んのって。」「………………………寂しいでしょ、先輩。…………アンタさ、意外と寂しがりなとこあるから。」(やるせないからこそ、貴方にほんの少し当たるように呟いてしまった。弱音を吐くなら、受け止めるが吉なのだ。それが出来る『男』ってのも分かってるし、抗って、抗って抗って抗って、その先『失敗』しました、あいつが死にました。そんな未来を、あなたがどう思うかなんてのも分かってる。)(半年前、ヒーローが目の前がペースト状になった時と同じ無力感を、また味わうと思うと自分だって怖い。)(しかしあなたは知ってるか。男が愛している不和を。その兆しがたとえ天文学的な数値だったとしたって、彼は。)「……………………………………俺、ぜってえやだよ。先輩が〝 泣くとこの〟見んの。」「墓参りとかで、花束片手に持ってんの。」「……………………………アンタらの結婚式、並びてえもん俺。」 (──────────『可能性』を、愛していた。) (7/4 23:13:44)
エレナ>
『私は……結構寂しがりなくせに出来ないことは出来ないで手を引いちゃうタチでな。その場その場は本気でやるくせに、悔しがったりウジウジしたりなんてする気は無い。』彼の顔を見れなくて、代わりに消えた花火の「タネ」を見下ろした。それが黒い塊に変わっていくのを改めて見て、あまりに寂しくなったから次を点けた。『でも、ずっと「最後に」って着くのも、死にたくないって、自分もみんなみたいになりたいって言った声が頭から離れないのだって。正直怖いし悲しい。』ゆっくりと、呟くように言葉を吐いた。浴衣の柔らかな生地がとても頼りなく思えて、俯いた表情に反して花火の光が鬱陶しいくらい輝いていた。『本当に……本当に、出来ることが私には無いのかもしれなくても。もう、ダメかもしれなくても。それでも、さ……。』ぐずりながら、彼に振り返る。勤めて優しい笑みをつくりあげながら、泣きつくようにそう言った。それは肯定が欲しいわけでも、慰めて欲しい訳でもない。ただ弱音を吐いたんだ、ごめんな。なんてくらいのニュアンスを作ろうとして……それでもきっとこれは____一番悲しい顔なんだろうと思う。『嫌だ、って。許せない、って。そう言っても……いい、んだ。』少女は失敗を呪っている。故に、無意味な諦めは嫌う反面、仕方ない諦めは従容とする。だから、あと一歩踏み出す言葉が欲しくて___『失くしたものは帰らないし、喪ったものは戻らない。けど代わりに、悲しいのだって楽しかったのだって、輝かしい思い出を残してくれる。そんな風に、私は亡くしてきた人達を_____「失敗」にしないためだけに「諦めてきた」。』『そんな私には、さ。本当にめんどくさいんだけど……。誰かに、これをぶっ壊して貰わないといけない。』【オムニア・ピンクサファイアは、その本人が成し遂げられる願いを叶える。】なら、ならば。君になら叶えられるはずだ______「運命に立ち向かうように」と、背中を押すことが。『ほら、最後に一発、打ち上げ花火が余ってる。』『……なあ、ヒーロー。私に、諦めるなと言ってくれ。私は仲間(きさま)の言葉で戦いたい。』 (7/4 23:46:09)
銀 楽園>
─(ふわり。)(それはきっと、嗅ぎなれない匂いであっただろうか。)(貴女が例えば誰かを探し、気分転換に、──はたまた泡沫の彼を探して屋上に来たのならば、そこには煙を纏った人物がひとり。)「────你好。」(その人物は貴女に気づけば、棒茶色の瞳をゆっくりと瞬かせ、ふぅ、と煙を吐いて挨拶をひとつ。コンコン、と煙管を叩いて灰を灰皿に捨てれば、所謂校則違反である喫煙を辞めたことだろう。)「まさか人が来るなんてねェ…。お嬢さん、今見たことはナイショにしておいてくれないかイ?」 (7/5 11:15:24)
エレナ>
『……ニイハオ、って。』どこから突っ込んだらいいのだろう。普通にタバコを吸いながら屋上に居ることをだろうか、あるいは、見られて困ったように振る舞う割に悠然とそのまま居ることだろうか。屋上なんて場所に来たのは、やはり恋する乙女らしいいじらしさで、いつもふらっと訪れた場所にいつもいてくれた彼と、また偶然にも会えたらいいなあとかそんな具合だったから、余計に硬直時間が長い。『確かに、学生の身分からヒーローになったばかりだ。何かしら寄りかかるものが欲しいのも咎めはしないが……。』コホン。気を取り直して、まあ確かに、こんな生活に不満が溜まったり、なにか自暴自棄になる気持ちはわからなくもない。ついでに、母が馬鹿みたいなヘヴィスモーカーだったから匂いにも頓着はないし、個人の見解ではまあいいやとなるけれど『学校からつまみ出されたら元も子もないぞ、馬鹿者。』 (7/5 11:23:28)
銀 楽園>
「フフ、別に学校からつまみ出されたところで問題はないんだけどネ」(のらりくらり。飄々とした態度は何を考えているか、きっと心理学を持たない貴女は分からない。)(けれど、仮面を付けている彼のような妙な雰囲気や、不気味さはない。ただ単に、ふと目を離したら消えてしまいそうな、それでいて気づいたら傍にいそうな。…なんだか《不思議》な雰囲気を纏っているように感じられるだろうか?)「いやァ、毎日毎日小さいものから大きいものまで。…事件の解決にかり出されるヒーローを見て、大変だなァ、って思うんだけど───お嬢さんはどう思うんだい?」(脈略もない話。名乗りもせず、ただ淡々と世間話をするかのように。突如としてふられた質問に、貴女はなんと答えるだろうか?) (7/5 11:29:52)
エレナ>
『……問題、ない?それは嘘だ。なら、最初の時に別に退学してよかったはずだろう。何も、危険を犯してまでどうでもいい場所に留まるっていうんじゃ道理が合わない。』む、と口をとがらせる。あくまで彼にとってここは追い出されても良い場所だと言っているだけなのに、なんだかこの学校それ自体がどうでもいい場所扱いされているようで。けれど、良く考えればそれじゃ意味不明だ。だって、いくらふと消えてふと現れそうなこの男でも、カミサマや悪人は当然危険でしかない。従ってそれはつまり、どうでもいい場所に命の危険を晒しながら居座っているわけで。『確かに、大変ではあるけど……別に、後悔はしていない。学生のまま辞めるチャンスも、その選択肢もあった中で、それでも残るくらいだ。きっと、皆ヒーローにならなきゃならない理由くらいあるんだろうし。だったら_____』『その理由に向かって進むのは、当然といえば当然だ。』 (7/5 11:45:43)
銀 楽園>
「オヤオヤ…」(嘘だ、と断言されて煙のような人物はくすくすと楽しそうに笑いながら、肯定も否定もせず、ただ貴女を見つめるだけだ。真偽は貴女が問いつめでもしない限り、分からないまま。─そして、問い詰めたところで素直に答えるかも分からない。)「ふゥん?随分と真っ直ぐなヒーローだ。今時珍しいネ、大抵の人が歪んでたり…いいや、いっそバカみたいに純粋な人も中にはいるかァ…」「あァ、そうだ。質問を変えようカ」___「【キミ】は【どうして】、ここに【エレナ】という命を吹き込んだのか。…ボクに教えてくれないかイ?」(──どこかで時計の音が鳴る。)(棒茶色の瞳は貴女を見ているようで、その向こう側を見ているようだった。)(もう、この質問の問いかけが誰に向けたものか、なんてわかるだろう。)(────なぁ、【キミ】だよ。見えているんだろう?見ているんだろう?)(【ジャスミンヴェール】___棒茶色の瞳は、チャットルーム内の文字を認識している。それを世界の裏側として認識している。)────────────────(さァ、愛を語れよ。) (7/5 11:55:59)
エレナ>
『別に、私だけが真っ直ぐにヒーローをやっているような訳でもないし……オイ、なんだ、一体貴様は……誰に向かって話している。』少女は狼狽えた、誰にものを言っているのかと。何を口にするのかと。自分のはるか遠くにある認識、ある種運命とも、あるいは偶然(ランダム)とも取れる先。そんなものを、彼女は当然理解できなかったからだ。Q.何故エレナ・ドラグノフという少女は存在するのか。A.それは即ち、ある「失敗」の回収のためである。彼女の母に当たる「ハリィ・バンホーテン」という女は、あまりにも常人だった。自分の恋人とも言うべき相手の仇にも、気に入らない存在にも。それを理由にして恨みを込めて行動を起こすでもないなら、自暴自棄になっても周りの大多数が許すのならそれを許さなければならないように思う。そうした行き止まりにばかり躓き続けて、差し伸べた手もついぞ拾われはしなかった。だが______それでも。手を差し伸べる事を残した。何も上手くいかなくても、残るものはあるのだと。そんな凡人、常人が残せた何かが、誰かを救えるかもしれないのだと。終末論(それ)がマイナスからゼロに向かう物語なら。創世論(これ)は、ゼロからプラスに向かう物語。『……で、なんだっていうんだ。幽霊でもついてるみたいなことを言って、要領を得ない。』 (7/5 12:20:37)
銀 楽園>
「…さァ、一体ダレだろうね。少なくとも、お嬢さんは知らない人さ。」(手持ち無沙汰に懐にしまった煙管を取り出して、でも貴女がいるから吹きはしない。ただそれを指先で弄るだけ。)「ナルホドナルホド、思った以上にイイ話だ。物語は全て繋がっている、そして意味がある。…そして、【キミ】の物語は実に興味深い。」__「あァ、ごめんネ、放置しちゃって。お嬢さんには見えないものがボクには見えてネ、ソレと“お話”していただけサ。」「…まァなに、お詫びといっては何だけれども。…恋するお嬢さんの為にひとつ、イイコトを教えてあげよう。」─────「救えないイノチはない。……そう思うことを【諦めた】方がいい。」(【ジャスミンノワール】__棒茶色の瞳は、ホームページ内の文字を認識している。それを世界の真理として認識している。)「…お嬢さんのことだから、諦めないと返されるかもしれないケド…でも、それでもどうしようもないことが中にはあるんだよ。…ま、信じるか信じないかはお嬢さん次第だけどネ?何せボクはウソツキだから。」『……は?』私の頭には、クエスチョンが浮かびっぱなしだった。何がどうしてこの回答になるのか。禅問答のように、そも回答に意味がないのか。それすらも分からないまま話を聞いて___『救えない命や、助けられない命が無いなんて思わない。確かに、私が間に合わなかった犠牲者や、どうしようもなかった相手もいた。』耳に触れた忠告に、それはそうだと頷いた。カミサマが現れるというのは、当然そのカミサマにより害をもたらされてから通報される場合が多々ある。特撮映画ではないのだ。壊された建物で人は死に、私たちの闘いの余波でも大怪我をする人だっている。それに、あの7日間、たくさんなくしたものがあった。だから_____だからこそ。救えない命なんてなかった、なんてことにはできない。『けど。だから仕方ないや、なんて口にする、悟った様なあきらめが正しいとは思えない。傷ついて、なくして、痛くて、悲しくても。』『_____それでも、私は私の気持ちを最後まで諦めない。』 (7/5 12:49:24)
銀 楽園>
「…熱血的。」(ひゅう、と口笛をひとつ。まるでそれは愛の告白にも思えた。死ぬと分かっている運命を捻じ曲げてやると言わんばかりの熱量に、棒茶色の瞳はゆるりと細められるのだ。)「──絶望しないといいネ」(それだけしか言えない。それしか言えない。世界の裏側も、世界の真理も話したところで一体誰が信じるのだろうか?……少なくとも、良いとこ困惑されて終わり、だ。)(そうだ、これは貴女の言う通り諦観だ。正しいこととは言えない。…そうかもしれないね。)「今は分からなくてもいいサ、いつかきっとその時はくる。その時、お嬢さんの熱量で、もしかしたら───瞬く星が無数にあるように、その中のひとつを掴み取るように、……そんなミライもあるかもしれなイ。」「…そんなミライが【もしも】あるのなら、【視】せてくれるなら、」─────「お嬢さんの言う通り、ボクもボクの気持ちを最後まで諦めないでいようと思う。」(言葉の意味が全て正しく伝わらなくてもいい。だってキミは見えているだろう?この意味が正しく理解できるだろう?だから、此方でキミに語りかけよう。)(───ボクはエレナ・ドラグノフの創世論を、ゼロからプラスに向かう物語に、期待している。)(期待せずに待っていよう。世界の真理に最後まで抗ってみせると宣言したのだ。それに、キミのことだ。中途半端なことはしないだろう?……だから、その時が来た時。ボクは【貴女】を、【キミ】を、最後まで【視つめている】ヨ。_再見、) (7/5 13:01:58)
エレナ>
『ああ。言われなくても、絶望なんてしない。他の誰にも負けたくなんてないが____何より、私自身には尚更負けられない。』だって、私が泣くことを彼は望まない。もし仮に、彼を助けられなかったのだとしたら。もし仮に、どうにもならなかったのだとしても。エレナ・ドラグノフは、エレナ・ドラグノフを張り続けるのだと。そういうところを見せなければお別れなんて出来ない。だから、絶望だけはしないと決めた。泣いても、誰かに頼っても、躓いても迷ってもくたびれても。それでも______立ち上がらないことなんて出来ない。そうじゃなきゃいけない。だって、この体と心は、人より少し頑丈だから。『……貴様も、絶望やら傍観やらはもうやめていい頃合だろ。見たい未来は____見せてもらうんじゃない。自分から作るものだろう?』じゃあな、と屋上を去る。それと同時に____【いつまで見てるつもりだ】と少女は言った。 (7/5 13:15:47)
蕪木 千歳>
(ざわざわ、がやがや。繁華街の入り口側の建物の壁に、そっと背を預けて、静かに目を閉じてみる。そうして耳を澄ませてみれば、多少基礎的な中国語を覚えてきただけでは聞き取れない、知らない言語の波が押し寄せてきて。また静かに目を開けば、日本とは違う色彩が網膜に焼き付いた。ぱち、ぱちと幾度瞬きをして、瞳に色を馴染ませる。きっと直に見ていたら、網膜が焦げていたかも知れなくて、薄く色づいたガラス越し、薄暗い景色で良かったと思う。修学旅行2日目は、随分と賑やかだった。夕方までは友達と予定していた場所を巡って、食べ物を食べて、お土産を買って。異国の地では何をしても思い出になる。夕方のこの刻もまた、仄かにオレンジ色が滲む空、ジジ……ッと明かりが灯り出す電光看板、きゃあきゃあと騒いで、写真を撮ったりしているのだろうか。夕方は1つ、きちんとメモしていた約束があったものだから、私はそこには加われない。繁華街の入り口でぽつり、と、ただ静かに待ち人を待つのみ。待ち合わせの1人きりのこの時間は少し寂しくて怖いけれど、居心地も良くて、待ち合わせの貴方が来たときの反応を、当たるはずもない予想をしながら貴方の到着を待っていた (7/9 13:08:50)
エレナ・ドラグノフ>
_____一方エレナ・ドラグノフは、一言で言うなら最高に浮かれていた。そもそも恋人がいる修学旅行という絶好のシチュエーション。食べ放題券を得たことで嫌というほど食した山海の珍味、母はどちらかというと欧州の方に連れて行ってくれていたのもあり、こうした見るも珍しい雑然とした屋台の群れは目新しいものばかりで。それらを思いっきり満喫しているのを示すように、服装はパンダがあしらわれたハイヒール、黒地にピンクの花柄のチャイナドレス。お土産物屋で買いましたよと言わんばかりの、赤に金色があしらわれた丸いレンズのサングラス……とまあ、下手に周りを歩いている中国人より何倍も「中華」そのものになりきっていた_____『済まない、待たせてしまっただろうか。何分買って帰らないとならないお土産が多くてな。置いてくるのに時間がかかった。』千歳に、待たせてごめんねと手を合わせる。穂坂(姉)や、ボクシングジムで付き合いがある面々。その他任務で不思議な縁を結んだ彼ら彼女ら。そうした人達にお土産を買い歩いているとあら不思議、時期外れのサンタクロースと化していた私は、一旦荷物をみんな置いてから引き返してきたのだ。女の子を待たせたり___しかも異国の地で___しない主義の私が、先に彼女を待たせてしまう失策をしたのはこのためだ。『食べたいものとかはあるか。エスコートしたいのは山々なんだが、生憎急に誘う形だったし、下調べも足りてなければ、土地勘がこの辺りまではない。』 (7/9 13:30:06)
蕪木 千歳>
………いえ、そんなに待ってないので大丈夫ですよ。………修学旅行、満喫してますね ( 人波から外れて、此方に向かってくる人影。高い背に整った顔立ち、一見人目を引く現地人……に見えるかは、サングラス次第だけれど、ともすればお忍びにも見えたかもしれない。そんな人物が今日の私の待ち合わせの相手、エレナちゃんだった。命を助けられたり、お泊まり会で星を見たり。常に一緒にいる友達ではないけれど、なにかと濃い思い出が多い。お茶目な人。今を楽しむことに全力な人。そんな印象。遊園地でいえば頭にカチューシャをつけてポップコーンまで持っているような姿に、くふりと私は瞳を細めて、身体を預けていた壁から離れた。『 実は私もあんまり……、………なので、 』じゃじゃーん、そんな効果音と共に(※実際に流れてはいません)パーカーのポケットから取り出されたのは、繁華街のミニマップだった。現地の言葉で書かれており、読めない文字は多々ある。けれど、イラストもふんだんに使われており、何処に何があるのか人目で分かる作りになっていた。『 午前中に友達と回ったところに、色々なマップが置いてあったんです。字は読めないのが多いですけど…何かの記念にと思って。 』実際、こうして使う出番も来たわけだし。その選択は間違いでなかったように思う。紙のものだから、ちょっと端が折れてしまってもいるがそれはご愛敬。ぺらりと巡って、貴女にも見えるように腕を伸ばした。『 ……折角なら、少し変わったものが食べてみたいんですけど… 』というか、貴女ならあらかたのものは食べ尽くしてそうだし。変わり種の方が楽しめるのでは、なんてのは杞憂だろうか。ちょっとだけ難しいミニマップ、地元らしいものは何かないだろうかと眉を寄せた。) (7/9 13:56:11)
エレナ・ドラグノフ>
『……い、いやあ……まあ、その。私が堅苦しいと、貴様らも肩肘張るだろうと思ってだな……』ぐ。確かにこんな身なりなら明らかにバレる。頬をかきながら、だんだん小さくなる声音で拙い言い訳をして。『なるほど、地図があるならどうにかなる。字は違うとしても漢字なわけだし、あんまり大それた話にはならない、と思うが……。』ふん。と、口元に手を当てながら地図を見渡す。字はぶっちゃけ理解できないが、部分部分は「まぁそういうことだろうな」と解釈できる。『これ……多分ホテルのマークだ。ベッドとか寝床みたいに見える。この辺りで珍しいもの、なんて言ったらカエルやら蛇やら食べさせられそうで怖いし。』 これ。と指を指したのは、ある街中のホテル。立地やら地価やらについては多少なり詳しいからわかるが、随分と高立地だ。都心部も都心部、きっと街並みが綺麗に展望できるように出来ていることだろう。多分下手な場所ではないんだろうなと容易く理解できるし、どうせ珍しいものを食べるなら、ある程度質の面が保証されている方が多分いいと見た。『行こう、ココ。多分他の奴らは学生らしく、遊びに金を回して、食事はまあそこそこのを食べようとするだろうし。私たちは敢えて高級志向、なんて言うのも「珍しい食事」に当たるんじゃあないか。』 (7/9 14:15:26)
蕪木 千歳>
( 貴女でも怖いものはあるのか、とちょっとだけ驚く。いや、カエルやヘビは日本では食べなれないもので、抵抗感は確かにある。けれどなんとなく、怖いものなし、なイメージがあってしまったものだから。怖がる姿を見て楽しむ趣味も、所謂ゲテモノを食べる趣味も、ない。この機会でもないと行かないような場所は素直に心惹かれるもので『 なるほど………じゃあここに、……… 』行きましょっかって、素直に言えたら良かったんだけど。貴女と私の格好を交互に見回して、悩みの種が1つ。『 ……こういう場所って、ドレスコードとか… 』貴女の格好は顔立ちも合間って、サングラスを外せば馴染むような気がした。けれど此方は制服風。せめて制服なら許された気もするけれど、雰囲気を似せているだけで正確には制服ではない。見るからに良いホテル、流石に場違いじゃないだろうか。貴女と比較されることによってちんちくりん度も上がっていそうで、周囲の目が痛くてしょうがない思いをするのとは易々と想像がついた。格好さえどうにかすればまだ…?いやでも、チャイナ服……。貴女の格好を改めてみる。似合う気がせず、きゅ、と食道から胃にかけて握られたような痛みを感じた。) (7/9 14:33:52)
エレナ・ドラグノフ>
『ドレスコードくらいはまあ、あるだろうな。なら簡単な話、一通り揃えてしまえばいいだけだ。近くにまだ洋服屋もやってるし。』ああ、なるほど。この娘の格好では確かに悪目立ちする。私のヒーローとしてのコスチュームを貸したって多分ブカブカになってしまうだろうから、つまり必然的に調達する話になってしまう。『せっかくの機会だ、普段と違う格好だってバチは当たらないだろうし。何より、ほら____この辺りで可愛い服を揃えたら、色んな意味で安く済む。』色んな意味、とはつまり免税のこと。現地のブランド品を買い揃えるようなのは旅行の定番だし、何より日本とは段違いに生産拠点も多い。なら、結構それなりに免税店や直営店も出していそうだ。と見て、どうせなら好き放題に買っちゃおうと意気揚々と提案した。『それに、千歳が普段と違うのを着ているのとか、背伸びした服を着ているのとかも個人的に見たいし。』『何より独り占めなのが実にいい。』手を差し伸べる。12時になっても解けない魔法はご入用かな_______? (7/9 14:44:53)
蕪木 千歳>
んん………いや、あの、( あぁ、やっぱり話がそっちの方面に…!!!ならしょうがない、と諦める方向でも良かった、なんなら、そっちの方向の方が良かった。けれど、とんとん拍子で進む話に甘い誉め言葉。嫌です着ませんとはっきり言い切れないほどには、着てみたい気持ちがなくもないのも質が悪い。ただ、ただぁ……!!!! 『 ……………せ、めて、…せめて、肌の露出とかそういうのは、少ない格好でお願いします… 』ぎゅっ眉間に皺を寄せて葛藤すること実に数分。恐る恐る、ほにゃ、と乗せられた手に力なく、背まで丸まって度胸の小ささが体現される。貴女のことだ、思いっきりはっちゃけた服を進めてきかねない。胸元が大きく空いた服だとか、スリットとか、そういうのは流石の流石に恥ずかしく、そして露出したところで栄えるようなプロポーションはしていない。部は弁えている。小心者ともいう。というかなんなら、着こなせる貴女は何者なんだという疑問も湧く。魔法をかけられたところで、舞踏会入り口でやっぱり無理と逃げてしまいそうな少女なのだった。) (7/9 15:14:19)
エレナ・ドラグノフ>
『なら……寧ろ男装というのはどうだろう。』とかなんとか、きっと彼女は真正面からの善意でもって言い出し、さっさと歩みを進めてしまうことだろう。必ずしもそれは、一理もないわけではない。既製品ならささっと買ってしまえるし、入らないとかなんとかもないし。多少なりちんちくりんに見えても、かえってその方が可愛らしくも見えると来た。ジャケット着用なのでドレスコードも心配ご無用。この場合においては結構悪くない答えであろう。……てなわけで、着いたのはメンズブランドのアパレルショップ。オーダーメイドやら何やらを扱う奥のスペースには用がなく、狙うのは手前にある既製品で良い。『可愛い王子様ができ上がりそうだが、たまには貴様にエスコートもされてみたい所だからな。』『まずは気軽に、好きなのを選んでみるといい。あとは多少の手入れで形は作れるだろうさ。』【容姿端麗】×4 美容を習ってきたのはまさにこの時のため。さあ、調整はこちらがするから好きに選んでくれと述べて。 (7/9 15:26:49)
蕪木 千歳>
な、なるほど、男装…… ( 確かにそれなら露出は少ない。凹凸感はまるで姉弟のようにも見え、ちんちくりんでもそれは微笑ましさに変わる、…気がする。納得して気が緩んでしまったが最後、あれよあれよと連れてこられたのは繁華街の一角にあるアパレルショップだった。『 …華麗にお嬢様をエスコート…とは、いきませんけど……頑張りますね 』あまりにも見慣れない服の量に眩暈がする。エスコートの知識がないのに加えて、アレンジしようという参考元すら見付からない状況は不安しかない。非日常な、修学旅行マジック。そうでもなきゃ理由を付けられない異世界へ、手を引かれどうやら来てしまったらしい。せめて少しでも見劣りしないものを、この中から選ばなければならない、なんて、最初の関門。『 …………、……んー……………んん…………、……え、えれなちゃん…… 』服を漁り、サイズや袖の長さ、細かながら等を確認する。パンクし過ぎて分からなくなってくれば、情けないへろへろ声をあげて貴女に助けを求める有り様。霧の中の迷路探索は、乙女の買い物らしくたっぷりの時間をかけて行われた。その末に____ 『 ど、どう、でしょう……! 』初めは恐る恐る、そうして吹っ切れたのか勢いよく、更衣室のカーテンは開けられた。靴はぺったりとした黒地のパンプス。底は白く、気持ちばかりではあるが5cm程の厚底のもので身長の増加を謀っている。あまりぴっちりしていては身体のラインから女性と分かりやすく、かといってあまりゆったりしていてもみっともなくなる気しかしなかった為、下のパンツには白地の多少はゆったりとしていながらも細身の、チノパンに1番雰囲気の似ているものをチョイス。ジャケットは定番とも言える黒のカンフー服で、サイドを止めるボタンの可愛らしさに気分が上がる。折り返された7分袖には赤い糸で刺繍が施されていた。長い髪はうなじで細く括られて、いつもよりスースーと風が当たる背面や、前髪は横に流してしまって開いたらおでこが落ち着かない。ゆったりはまだ可愛らしく見えるが、だぼだぼは場合によってはだらしなく見える。曖昧なラインが頭を悩ませる要因であり、男性ものを着る際の最大の不安要素だった。くるり、とその場で1周回ってみる。きゅうと弱々しく拳を握り締め、貴女を見上げた。『 ………変じゃ、ないでしょうか… 』 (7/9 16:44:14)
エレナ・ドラグノフ>
『ひとつ。』『ひとつ、文句を言うなら……。こんなに可愛い千歳を、ギャラリーの前に連れて歩くことかな。わざわざ沢山の人の目に付けてしまうんじゃあ、少しくらい拗ねたくもなる。』注目の返答は______Excellent. と、微笑しながらそう返すことだろう。ただ、あんまり色んな人に見られるのはいただけないなあ、なんて少女漫画のようなセリフもついでに言ってのけた。『これなら十分だ。会計は済ませておくから、善は急げ、早速向かうとしよう。』文句なし、手入れくらいはしようかと思ったが、全くの蛇足のようだ。ついつい女の子には甘くなってしまうフシがあるのがいけない。もしかしたら、浮気を疑われてしまうのであんまり甘い言葉を投げすぎるのも控えるべきだろうか____と内心で反省しながら、会計は任せてくれていいよと伝え『ああ、私がアレコレやっていたらダメか。今日は貴様にエスコートしてもらう日だったからな。』……エスコートされる側がこれだと少し問題があるな、と。あまり出しゃばらない方がいいかい?と聞くことだろう。 (7/9 16:58:32)
蕪木 千歳>
………、……はぇ………っ!? そ、そういう、ことは!あまり、…あんまり、言わないでください、 ( 心臓に悪いから。ぶわりと顔に赤色が広がってしまって、更衣室の段差からバランスを崩して落ちそうになる。そのくらいは動揺したし、そういった言葉に耐性はなかった。購入したものをそのまま着ていくのだから、先ほどまで着ていた服は手荷物になる。……こんな個人の事情で使ったなんて知られたら、怒られてしまいそうだけれど。…バレませんように。能力発動、1度上手く繋がらなかったシークレットガーデンへの扉に、学校からの通達事項を思い出して憂鬱な気分になりながら、荷物をぽいっと向こうに投げた。接続を切るための能力は上手く扱うことが出来て、人にバレなかったことを含めてほっとする。それから慌てて、レジに居るだろう貴女の元に駆け寄り、たしっとその手を掴んだ。『 じ、自分の物ですから、…ちゃんと、払わせてください。……えぇ、ええ、そうです。 』このまま着ていきます。そんな言葉を使う機会があるだなんて思っていなかったものだから、多少まごついてしまう。けれど観光客がいるだけあって、そういった対応は慣れているのだろう。レジのお兄さんはにこやかに意図を汲み取ってくれて、エスコートとしてはまごまご具合が不安にはなるが、無事、貴女の手は借りることなく買い物を済ませた。『 ……じゃあ、………行、きましょうか 』エスコート、とは。買い物も終えて、貴女に向けてそっと手を差し出してみる。あってる?あってる?そんな不安は止むことなく、思い返せばここまで不安と戸惑いに満たされるばかり。断るべきだったか、とちらりと思ったが、そうなると貴女にエスコートされるわけで、あまりにも格好がつかない。……ここまで来たなら、腹をくくるしかない。) (7/9 17:49:13)
エレナ・ドラグノフ>
『……あんまり言うなって言われても、可愛くて似合っているからそれをそのまま言っただけだ。まあ、反応が見たいのもあるが。』褒めて怒られるというのも難儀な話だ。ある程度の脚色はあるにしても、私の場合嘘をついている訳では無い。千歳が可愛らしいのも本当なら、似合っているのも本当。まあ……反応が良いのが可愛いので、繰り返し見てみたいという意地悪も本当だが。『うん、なら連れて行ってもらえるか。』軽く手を重ねて君の手を取る。連れて行ってくれと口にして、だんだんと黒に染まり始めた空の下、まさに誂向きなロケーションに変わりつつある異国の街並みを見た。赤く光る提灯、屋台が先の見えないくらいに並んだその先に、摩天楼がそびえ立っている。それも1つ2つではない。巨大な恐竜が群れを生して歩いているかのように商業施設やらテーマパークやらもごった煮にして虹色の光を放つ。眠らない街というのはまさにこれを言うのだろう。『ふふ、随分なところに来てしまったらしいな。』手を繋いだまま、眩いネオンを過ぎていく。雑然として、ぐちゃぐちゃで、いやらしいほどに原色。多分ある程度歩いたら、きっとマップなんて無用になっている事だろう。周りの近代化した街並みなんて私は知らないのだと言わんばかりにそびえる、城をモチーフにした施設。三国志だとかがお好きならより分かるだろう、春秋時代が切り取られてそこにあるのだ______ (7/9 18:31:13)
蕪木 千歳>
( 手を繋いで人と歩くのはいつぶりか。なんて、案外覚えていないだけで、幾らでもあったのかもしれない。けれど、中国の繁華街で手を繋いでホテルに向かう。そんなシチュエーションは後にも先にもこれっきりだろう。時折、同じ修学旅行生の姿を遠くに見付けたような気がしては、異国の空気にかき消される。奥へ進むに連れて、そんな人影も見られなくなった。ただネオン色の灯りが賑やかに出迎え、身体を染めていく。『 ………はぐれないでくださいよ? 』きっとばらけてしまえばまた見付けるのは難しく、異国でケンカ騒ぎに巻き込まれたら堪ったものじゃない。貴女は…まあ…撃退できてしまいそうだけれど。手を繋ぐ力をきゅっと強めて、貴女の1歩前を歩くのは少しでもエスコートのつもりであるから。初めて向かう場所ながら、近づくに連れて何処にあるかが分かりやすく、辿り着くまでに迷うような事はなかった。着いてからはたと、こういう場所って予約が必要なんじゃ、常識ともいえる事実に気が付く。とはいえ此処まで来れば引き返す分けにも行かず、そうして予想外なことに、ホテルのディナー席まではスムーズに案内が進んだ。『 ………………………、 』そうさ我こそ一般人。二人で使うには広い丸いテーブルに、特殊な柄に編まれた椅子。過剰なほどの灯りに照らされ、席に着くなり金縛りにでもあった気分に襲われた。カーペットの質感は靴越しにも伝わるほどに柔らかで、此処までの案内も非常に上品なもの。良いホテル、というものに行ったことなんてあるはずもない。きゅっと捕まれて胃袋が、きりきりと切られてしまいそうな程緊張が激しかった。) (7/9 19:14:25)
エレナ・ドラグノフ>
『で、何が何やら訳の分からんまま来てしまったな。ぶっちゃけ何を頼めばいいやらわからん。』悪戯に笑みを向ける。凄いところに来てしまったというワクワクと同時に、実は、行こうなどと言っておきながら注文の仕方も知らないし作法すらあやふやなんだよね?なんて言う始末をはにかむように今更告げた。『メニューくらいはもちろんあるが、はっきり言って読めないんだからあまり意味が無いな。』得られる情報としては、脇に書いてあるとんでもない値段設定のみ。そのため、わかる漢字がどれだけあるのかで注文を選択していく『これは蟹というだけあるし、上海蟹やら天津飯的なものだろう。よし、これで行く、か。』上海蟹らしいものを頼むことはほとんど確定だ。いわゆるこれはコースメニューにあたり、メインが蟹料理というワケで、点心料理的な形で現れてくることもかろうじて理解できた。それにあとは飲み物くらいあればいっぱしの食事_____と考え。ああなんだ、着いてくるのならいいやと慢心した。『貴様は決めたか?ちなみに。』 (7/9 19:42:03)
蕪木 千歳>
……………、……き、緊張し過ぎて、なにが、なにやら… ( どうやら貴女も何が何やら分からないらしく、同じ現状、それを楽しめるか、がちがちに緊張してしまうかの胆力の違いはでたものの、多少安心することが出来た。ひきつった笑みしか浮かべられそうにない頬をうにうにと揉みしだき、頬も掌も冷えきっていたが僅かな熱を共有する。貴女の見ていたメニューを引き継ぎで受け取り、ぎゅっと濃縮された漢字の列に目眩を覚えた。『 ……………。……えれなちゃんは、…緊張して、もうだめだ、動けない………ってなっちゃうこと、ありますか? その、今私がそんななので………っ、そういうときって、どうしたら良いのかなって……。 』なんとなく部分的に読める漢字を読んだところで、これにしよう!と決心を決められるような天恵が降りるものはなく。ぐちゃぐちゃな頭の中、ふと問い掛けてしまったのは普段なら聞かないようなこと。だって、聞いたところでその人との違いを自覚するだけだ。実行できないのなら聞くだけ無駄というもので、藁にもすがる思い、らしくもなく問い掛けたのは相当の限界状態といえる。『 ………えと、取り敢えず、海老のにしようかな…… 』取り敢えずは、蟹と来たらということで。これ、と指差したのは海老の字が入った料理のコース。何が来るのか予想もつかない。それぞれが決まったことを見越したウェイターが注文を聞きに来たものだから、指差し式で注文をしてしまって、後戻りだって出来そうもない。いっそその方が、決意がついて良かったのかも知れないけれど。) (7/9 20:19:05)
エレナ・ドラグノフ>
『動けなくなることまではないが、確かに緊張くらいはするさ。ただ、迷っても仕方ないことには迷ってもどうしようもないからな。何も考えずに、やるだけやってしまう方が楽だ。』ならんだのは、蒸した上海蟹。木の細工で編まれた器に盛られた典型的なくらいにオーソドックスな中華料理。小皿の麻婆豆腐に、ナムルや漬物類、小籠包、スープとその他結構悪くない並び方をした。なんだかんだ、価格帯がある程度高いラインである分下手なものは出てこないのは道理。緊張して縮こまる必要なんてないさ_____なんて会話を添えつつ、地上の銀河を下に見下ろしながら箸を進めていく。場所が場所だから、普段よりかはあまり話さないでゆっくりとした時間を楽しもう。『しかし、修学旅行に来て感じたが、中国校のメンバーは私たちに輪をかけて残っていなかったように見えた。もしかしたら、私たちにはお鉢が回ってくるような事態もないでは無いかも分からん。平和に修学旅行が出来るなら、当然それがいわけだが。』『……貴様も多少は気をつけておくといい。』なんて____順調だったのはこの辺りまで。ドリンクとして供された飲料を、口内に残る塩辛い独特のスパイスを流し込むようにく、と一息に飲み干して______『あ、れ。こりぇ、もしかして…………おしゃけ?』顔が熱い。目が回る。ぐわりぐわりと、体を揺すられているような感触。ノドが焼けて____あれ、なんだろ。なんだか頭がよくまわらない。 (7/9 20:56:43)
蕪木 千歳>
なるほど… ( やるだけ、やってしまう。それは出来る実力も兼ね備えなければ不可能な事ではあるけれど、その為の努力を積み重ねてきたり、それが、咄嗟に身体が動いたということであったりするのかもしれない。届いた料理は何れも見た目から美味しそうということを伝えてくるもので、此処に来てから初めてお腹が鳴るような感覚を覚える。勿論、それ相応の値段ではあるけれど………、その分、緊張する、ではなく、楽しむ、というのだって大切なのかもしれない。食べきれるかどうか心配する間なんてないほどに、それはあっという間の出来事で。食べ進めるに連れて、身体が暖まり力の抜ける心地がした。『 ………当たり前ですけど、中国でもあの7日間は存在したんですよね。…精一杯、頑張ります。 』セブンス・イクリプス。世界から太陽が消えた日。あの7日間から、ヒーローはこの世界から消えてしまった、私達がヒーローにならなければいけない理由が出来た日。……何故、だろう。そんな疑問、誰だって思い浮かべただろう。もしかするとこの疑問だって、考えるのは初めてではないのかもしれない。食後の水には随分と冷たくて、……憂鬱が募る話だった。だからこそ、提供されたドリンクに手を伸ばすのは1拍遅く 『 え、えれなちゃん……? えれなちゃん!? 』貴女の様子がおかしいことに気が付いた私の声が、ホテル内に響き渡った。)( ───────── 『 ………………、……ふぅ…………、 』……大変だった。事件性のある叫び方をしてしまったものだから、細かな言語は分からなかったものの、どうやら倒れたと思われたらしく。他のお客さんのざわめきようや、信頼に関わるホテルサイドの焦った様子はよく覚えている。結局のところ、お酒で酔って眠ってしまっただけだったけれど。……大人びた彼女の見た目なら、出してしまうのもよく分かる。なんとか身ぶり手振りを介して未成年であることを説明し、タクシーを出してもらって、人手も借りて。そうしてなんとか、寮の彼女に割り当てられた部屋に寝かし付けることに成功したのだった。眠るベッドの隅っこに腰を落ち着けて、漸くふぅ……と息を吐き出して落ち着けた。机の上には、念のための水が置いてある。勝手に財布を漁るわけにも行かず、一緒に支払ったため懐が痛い。振り回されてばっかりだなぁと思うけれど、それが楽しいと感じるのだって、大抵変わっている。) (7/9 21:52:16)
エレナ・ドラグノフ>
『ん、ん……なんらか、すこし、眠い……。ち、とせ、ぇ……。抱っこで、送ってってぇ』酔っ払ったので、ヤバい。だから家(部屋)に帰らせてくれと述べたつもりだったんだが、あれこれ尾ひれが着いてしまっている。食事自体は済ませており、帰れる状態ではあるから問題があるとしたら___酔っ払ったエレナ・ドラグノフがグダグダと幸せそうにクダを巻いて突っ伏したり、背もたれによりかかったり。まるで大型の獣が眠たそうにするかのように蠢いているのが問題『暑(あ)、つ……。おうち帰り、たい……。』____ヒョウあるいはチーターを彷彿とさせる引き締まった肢体に汗が滲み、不快がるように首筋の雫を拭う_____なんせ格好はチャイナドレス。露出がタダさえ多い上に、頼りないスリットや胸元など、暑いからと身をよじればそれだけで大事故の可能性がある。さあ、彼女を救えるのは蕪木 千歳というヒーローだけだ_____!『ん……』無事帰りついて、呑気にすやすやと寝息を立てながらベッドにくるまる姿は、明らかに無防備極まりなく。それはそれは幸せそうに安眠中という風体で。『あ、れ。寮に……って、あれか。____ッ、頭痛い……な。ごめん。多分アレだ、間違って酒飲んだ。あの、その……なんか変なこと、してないか。』ぱち。と、電源スイッチが入るようにして目を覚まして。それから、むくりと体を起こして水を飲み干した。頭がまだ働いていないでグルグルしていて、話がいちいちしっちゃかめっちゃかだと自分でもわかる。『_____あ、あとあれだ。会計!財布、これあるから使った分だけ持っていってくれないか。』酒だってそんな簡単に抜けるものじゃないから、まだまだ頭はふわついているままで。『あんまり計算とかができないもんで……』あまり計算が出来ないから、財布からとっていってくれと差し出しては_____『ん、と。エスコートついでに……酒が悪いところに入ったのか、少し寂しい。』『添い寝、頼めるか。』 (7/9 22:26:19)
蕪木 千歳>
…………あ、…おはよう、ございます。……えぇ、まあ、…………はい、大丈夫ですよ。( 変なこと、とは。やたら引っ付いたり、服がはだけたり、そういったことを指すのだろうか。指さないのなら……、何も、何も問題はなかった。起きた瞬間また来るかと少々身構えはしたものの、案外意識は形を取り戻したようで、水を飲む姿にほっとする。念のため、飲み終えた水のボトルは受け取って、蓋を閉めて机に置いた。飲むまでは大丈夫だったものの、閉める際に落としてしまったりすることを危惧して。それが身体に掛かるなどすれば、ホテルでの再演となる。酔った人間が何をするか分からないことなんて、先ほど散々学んだ。学んだ上で、…それでも予想外を起こすのが、酔っぱらいだ。財布からお金を受け取って、今日はおさらばとは行かないらしい。…………他に人を呼ぶ。呼びに行く過程で暴れられたら?呼びに行った人間も酔っぱらいの餌食になったら?抵抗する力はない。変な態勢で寝落ちされると明日の身が怖い。現状の犠牲者はホテルの人間を含めなければ自分1人で、増えた場合責任も取れない。故に、快く『 ……はい、良いですよ。夢の中まで、案内させていただきます。 』ああ、快くだとも。そっと手を取り、軽く肩を押して自分も一緒に寝転んだ。) (7/9 23:07:24)
穂坂 茉浩>
ここかぁ…??にしてもいつでも賑やかだよな…ここらへん(修学旅行の始まりは酷いもので、ウキウキしながら飛行機をいの一番に降りて、通りがかりの道に並んでいる出店での食事も我慢をして、中国にあるコードの専門学校の門を叩いた………が、開幕早々に多少過激な鬼ごっこに捕まったし、目が覚めたら終わっているしで多くのびっくりから始まった修学旅行も終盤に差し掛かり、だいぶ風景が見慣れてきたような気がする。まぁ彼自身は深緑色をした半袖シャツにだぼっとしたライトブルーのジーンズという中国特有の空気にあまり馴染んでいない…観光客らしい服装でいるのだが。)(さて、今彼が入るのは繁華街の噴水の前。宿として学校側が借りている寮からここまで徒歩での時間はあまりかからない…けれど出店は沢山あるため今回自分を呼び出した腹ぺこあおむしは若干遅れてやってくるかも知れないけれど、俺は五分前に着いてるもんねーなんて自問自答した末の優越感に浸りながらチラチラとスマートフォンと周囲の人混みを確認して。) (7/13 22:31:45)
エレナ・ドラグノフ>
『你好(Ni hao)』似つかわしくない格好の彼に反して、エレナは反対に馴染みまくっていた。結構海外旅行に同伴することもあったからか、舶来の文化の吸収は早い方だと見込んでいた____が。中国の水は予想外に合っていた。浅い緑を帯びた煌びやかなフルーツティーを手にし、ゆったりしたシルエットの、口にする飲み物と相似するように深い緑色をした鯉の刺繍入りのチャイナ服。ついでに普段癖毛すらほったらかしなのが、髪留めも付けてツインテールまで作っている。西洋かぶれというか中国かぶれ______『穂坂、オマエってやつはなんでそうなんだ。……こう、もっとそれらしい格好をしろ。ほら、中国に居るんだぞ、せっかく。』む。と、隣り合ったらコスプレイヤーと私服の人のような構図である穂坂に、口を尖らせながら指摘する。形から何もかも入れとは言わないが、形くらいちゃんとしなければ失礼というものじゃないか______? (7/13 22:49:14)
穂坂 茉浩>
…うぉ、(チャイナ服を着て、ヘアスタイルを変えている彼女が一瞬、自分の待ち人でないと思ったのか、一拍遅れて微妙な反応を返す。ここで瞬時に「かわいいよ」だとか「似合ってるよ」だとか気の利いた一言を返せれば良いのだが生憎彼にその能力は持っていないようで。「……コスプレ?」なんてほぼ最悪に近いような返答がポロリと口の端からこぼれ落ちる。)い、イヤイヤイヤイヤ、俺はいいよ!(中国にいる上で、似つかわしくそれらしい恰好をしている彼女にむすっとした表情で言われれば全力でぶんぶんと腕と首を振って。実はこの修学旅行の間に一回だけ、魔が差して中国の伝統衣装を借りて着てみたのだが思い返すと死ぬほど恥ずかしい思い出らしく俺は斜に構えてるだのなんだの言われたってかまわない。洋服最高だ。なんて強情になっているらしい。)…んで?、修学旅行中にどうしたの??(そう、元々の目的を忘れてはいけない。それは置いといて、みたいな手振りをして上手く服装の話から逃れようとすれば彼女が自分を呼び出した理由を聞いてみる…ちなみに彼の中の予想だと、中華料理に飽きたから味噌汁を作ってくれ、または、本場の中華料理がうますぎるからたくさん食べて味を覚えて日本でも作ってくれ。のどちらかだろう。なんて答え合わせを待ってみて。) (7/13 23:07:31)
エレナ・ドラグノフ>
『あ、の、さ、あ。旅先で萎縮してそうな冴えない、弱っちい、ちびっこい少年を気遣う、こんな美人な幼なじみに向かって、何を言っているのかしらぁ~~?』にこ。最高の笑顔の裏側に、お前ぶっ殺すぞという迫力が滲み出ている。~かしらなんて普段全くといっといって言わないぶん不気味かつ意味深である。『本来ならぶち殺しあそばせるところではある、あるが……この寛大なるエレナ・ドラグノフは貴様に選ばせてやろう。』ふふん、と鼻を鳴らす。これは当然、悪いことを思いついた時の顔である。『確かに、今は恋人がいるけれども、私の食料供給(しょくじ)は未だに貴様が担当なわけで。』_____もし彼が居なくなった日、穂坂が居なかったりしたら。あの日のように、彼は逃げ込む先の日常なのだと。寂しい思いはこの際振り切って……『なら、食べ放題でも行って下を肥やして貰わなければ困るな。あ、る、い、は……。』『 私のチャイナドレス、着る ? ? ? 』 (7/13 23:25:46)
穂坂 茉浩>
…大変申し訳ありませんでした…ッッ、、、、!!!!!!(最高の笑顔の裏側の圧が凄い。圧倒されるというか肌を撫でた空気がびりびりとしていて背中から変な汗が噴き出してくる。良かったァ、借り物の服じゃなくて……なんて考えている暇はない。命が惜しければ頭を全力で下げて大きな声で謝るのみだ。そう、頭を下げている彼には悪い事を思いついたときの顔をしているエレナは見れずにいる。もしみれたとしたら全力で逃亡に転じただろう…その選択が幸か不幸かはわからないが。ってかさえないってなんだよ!!弱っちいとちびっこいはわかる。平均ぐらいではあるが、彼女と比べたら月とすっぽんというか差は歴然だろう。だけれど冴えないは撤回してほしいなという発言を後でしよう。エレナの機嫌が良くなったら。)はいはい…ついて行かせていただきます、食べ放題……!!…………え。ッ(予想は後者が正解だったかー…!なんて悦に入りながら、チャイナドレスを着るか、食べ放題だったら確実に食べ放題だろう。頭を下げながら腰の低い口調で返答するが、いや、ちょっとまって??今大事な情報が耳に入ってきた気がしないか?恋人?誰に?え、この??腹ぺこ青虫に…?!困惑と、親目線のそこまで大きくなったのか…という感動が混じってなんともいえない表情が頭を上げて顔面が見えるようになるとに張り付けられているのがわかるだろう。)まって、お前、彼氏できたの?えーーーーッ!!!!初耳!!詳しく聞かせろよおいおいッ(先ほどまでの上下関係はどこヘやら。ギュンッとテンションが上がりにっこにこの笑顔で彼女をうぃうぃ、とつつけば恋バナを聞き出そうとする。日本に帰って一番最初に作るのはケーキかぁ…) (7/13 23:43:02)
エレナ・ドラグノフ>
_____目がクラクラする。頭がずっしりと重く、目に付いたクマはメイクでかなり頑張ったが存在感が消えていない。フラフラな体を無理やりエナジードリンクで呼び覚まして、規定通りの時間に泡に待ち合わせの日時の連絡を済ませた。そう、まさに今日こそは乙女の正念場、修学旅行中にデートしてしまおうという作戦である。発想がありきたりというならありきたりかもしれない。だが『く、そ……一睡も出来なかったぞ、前日。』やる側からしたら一大事である。ここのところ着込んでいるチャイナドレス。黒地にピンクの可憐な花柄が刺繍されたそれを纏い、夕方からもう少し手前の昼下がり、待ち合わせ場所はなんだでもない観光地のど真ん中、繁華街のとある路地にあたる場所。雑踏が絶え間なく行き交う街並みに、もしかしたらふらりと彼を見逃したりしていないか心配になりながら『こういう時は、確かどうするんだったか……えー、と。あんまり私がエスコートしてしまうのもちょっと控えなければ不味い、と。後は……』デートの時に役立つテクニック10選!を命綱として懸命に繰り返し手繰りながら、彼がいつ来るのかと胸を弾ませながら待ちわびて_______ (7/14 15:41:00)
水沫 泡>
賑やかな話し声、華やかな明かり、屋台の香り。期間限定の修学旅行とお祭り。人生のほんの一瞬でしかないこの2週間、遊び盛りの高校生が楽しまないわけがなかった。ヒーローという重圧から一時的に解放されて、昨晩は嬉しい誘いもあり、今なら空を飛べる気がするというのはこういう気分のことなんだろう。多分、彼は今幸せの最高潮にいる。元々誘うつもりだった、そうだったもの。でも実際に連絡をくれたのは彼女で、呼び出してくれたのも彼女だった。男としては情けないことこの上ないが、それ以上に嬉しさと緊張で心臓が破裂しそうだった。街の声よりも心臓の音の方がでかい気がして困る。…………さて、彼は男にしては小柄なため人混みに紛れては探しにくいだろうけれど、君は違う。背は高く、美麗で、逞しい。ヒーローとしてのオーラとでもいうのか、その存在感は祭りの明かりにさえ負けないほどのものだった。つまり、遠目からでも一目で見つけられてしまう。彼は一度立ち止まり、小さく深呼吸をしてから君に声をかけた「おまたせ、エレナ」君がここ最近、チャイナドレスを気に入ったのか、街の雰囲気に合わせた服装をしていたことは彼の耳にも入っていたのだろう。だからか、彼も髪を三つ編みに結い、どこで借りてきたのか男物のチャイナ服を着てみたりもした。「大丈夫……?待たせちゃったかな」それからじっと君の顔を見つめた。交渉術、心理学。人間観察に長けた彼が、君を見て思うことはひとつ。………この子、体調崩してない? (7/14 16:02:58)
エレナ・ドラグノフ>
『いや、私も今来たところだから心配要らない。……このまま祭りに行くのも当然悪くないが、泡の行きたい場所になるだけ合わせたい。』軽く手を上げて自分の所在を示して。それから、くすりと笑みを作り、遅れてないから大丈夫だよと答える。私の場合寝れもしていないし、あれこれ考えすぎた末に、最終的には「行き先など細かい部分は彼に任せる」で脳内エレナ首脳会談が和睦する頃にはもう朝焼けだった。だから、実はよく考えると半日くらい待機しているのと事実上は変わらない気もしなくはない____が、ここで別に待っていないよと答えるのが嗜みである。『つれない話かもしれないが、このためにどうしても欲しかったお土産や、まあ人をつれだつには……みたいな趣味の場所への観光は既に済ませてしまったんだ。』『……その、つまりは。貴様の好きな場所に行きたいなー、と、いう……話だ。たまには誰かに連れ出してもらいたい気分もある、というか。』 (7/14 16:33:47)
水沫 泡>
手を挙げ軽く挨拶をすませ、待っていないという常套句で相手を安心させる。その教科書通りのようなデートの始まりに、彼は思わず吹き出した。間違いない。彼女は絶対疲れてる。彼も人を待たせるほど失礼な人間ではない、集合時間より前にはここに来たはずなのに彼女は既に待っていた。いったいいつからこうして立っていたんだろう?それに、その顔は多分寝不足だ。……寝れなかった?なんで…楽しみで???いや、だとしたら可愛すぎる。「ああ、もちろん。誘ってくれたのはエレナだから、連れ出してくれたのは……今回もエレナだけどね」しばらく笑った後に、彼は君を心配する素振りを見せず手を差し出すだろう。きっと、疲れている様子は見せたくないだろうし、気が付かれるのも嫌だろうと思ったからだ。少なくとも自分だったらそうだ。だから見ないことにした。「そうだなぁ……ぁ、近くに動物園あるんだ。俺、中国のパンダが見たい」一通りの観光は済ませたのだという彼女に、少し首をかしげて悩んだ。それから思いついたようにスマホを取り出して、地図に動物園の位置を示すだろう。パンダが見たいんだと彼ははにかみ、君の手を引くだろう。 (7/14 16:48:18)
エレナ・ドラグノフ>
『うぐ、わ、笑わなくてもいいだろう……。こ、こういうものは改まって誘うとなると不慣れだったし、というか、初めて……だから。』笑わなくてもいいじゃないか。と反駁する。つまるところは、慣れないやり取りや予定の立案にあれこれ四苦八苦しながらいつの間にやら朝でした、という次第。彼の手を取り、それから軽く握る。何というか丸め込まれたような気がして、ずるいような……『むしろ、泡が早くに私を呼んでくれないのが悪いんだ。パンダを見たいなら見たいでも構わないが、まず最初に貴様から誘って欲しかったというのに。』ふい、と顔を逸らしながら、道中そんな事を零した。簡単な話が、私が言うより先に誘って欲しかったといういじらしい話題であり『だが、まあ……ん。これで許す。いいな。』手を繋いで隣合って、それから控えめに寄り添うように腕を軽く抱いた。これで許してやるから嫌がるなよと半ば脅しのように付け加えて (7/14 17:12:42)
水沫 泡>
「あぁ、それは、その……。俺も誰かと付き合ったこととかないし、色々と分からないというか…」握り返された手を、1度軽く離すと指を絡めて握り直す。緊張してたとか忙しそうで誘うタイミングを見失ってたとか、言い訳はいくつかあったけれど。結局誘われるまで待ってしまったのは、やっぱり未だに足を引く不安や別れを惜しみたくないという恐怖があったからに他ならない。「おわっ、」そんな考えも、身を寄せられると吹っ飛んでしまう。彼は戸惑ったように体勢を崩した。近い。あとあたる。色々と。周りからは間違いなくそういう仲だって思われるだろうし、改めて意識して隣に立つと緊張で頭が真っ白になりそうだ。「それだけで許してくれるならありがたいね」口から出てくる言葉はほぼ反射だ。正直何も考えられてない。緊張する。心臓が痛い。世の中のカップルは、こんな経験を乗り越えてきたのか???なんだか見る目が変わりそうだ。それから彼は、羞恥心を隠すみたいに、前にこぼれた髪を長い耳にかけて、見えてきた動物園を指さした。「ほら、見えてきた。……そういえば、エレナって動物は好き?」行きたい場所に行きたい、そう言われたから選んだけれど、そういえば彼女の好きなものを聞いてない。というか、いったいどんなものが好きで普段何をしているのか、彼は何も知らない。 (7/14 17:33:39)
エレナ・ドラグノフ>
『……当たり前だ、私は優しいからな。』こうしてみたら、とても近い距離にいてドキリとする。女の子相手なら大して気にならなかったようなのも、時と場合によっては結構恥ずかしい。でも、それ以上に______『動物、か。パンダにしろゾウにしろキリンにしろ、大きいものはそれなりに好きだ。代わりに犬だとか猫だとかは……あまり好きじゃない。』動物を好きなのかと言われたら、少しドキリとした。私は失敗(よわさ)を最も呪っている。だから、弱くて可愛らしいことが肯定される愛玩動物はどうしようもなく相性が悪いし、一度幼少期に酷いことをしたことだってある。だから、大きいものなら好きだよなんて答えて 『だから、飼わないようには……決めている。私は、弱いままの自分も、弱いままの他人も嫌いだ。可愛いこと、頼りなくて自分に頼りきりなこと。その辺が好まれるような動物は、ダメだ。』『空いた日にはキャンプばかりしている分、そうした生き物に会うこともたくさんあるが、未だに慣れない。』彼に嘘はつくまいと正直に話した。『だが、パンダは好きだぞ。アレは______可愛い。』パンダの飼育舎を指さす。ぬいぐるみが巨大化したような柔らかな塊が二つ。ぬいぐるみそのものと言ってよさそうな、その赤ん坊が何匹か。見に行こう?と手を引いてから、食い入るようにパンダの一挙手一投足に黄色い声を上げながらパンダに手を振って (7/14 17:47:45)
エレナ・ドラグノフ>
_____そこは、灰色の水面が揺れる海岸線。天気は曇天、気温はやや低く波は高い。人気のない埠頭で、波が碎ける音を聞きながらしゃがみこんでいた。何を思っているわけでもなく、誰か助けてくれると思っているわけではない。けど今は、自分より寂しい場所にいたかっただけだ。友達が死に、学友が死んだ。私は何も出来なかったし、誰かに、誰かを助けられない私を助けても貰えなかった。『なあ、私何やってるんだろうな。拗ねたって、頭にきたってしょうがないのに。』誰にものを言っているのか、私自身にものを言っているのか。水平線の遠くに向かって人知れず呟いてから_____『で、貴様もやさぐれに来た、という所か?大方。なんだかんだ、最近は大事件も多かった、余裕があるのも今一度きりかもしれん。』金属に包まれた体を軋ませながら振り返り、君に笑いかけた。当然ながら、酷く自嘲して____ (9/3 23:29:47)
キース・ハリソン>
「エレナ、さん。…………そんなところ、危ない、ですよ。」(僕はただ、貴方がどこかに歩いて行くのが遠目に見えたから。それがなんだか、ほんの少しだけ僕の胸をざわざわと揺らしたから、僕はただ、貴方を追いかけただけなんです。埠頭は案外騒がしくて、賑やかで、それはそっと他のざわめきを覆い隠してしまうほどに煩いものですから。だからきっと此処でなら、ざわめくいろんなたくさんのことが、ひっそり隠せてしまうのでしょう。)「あの、これ、よかったら……」(いつもオーバーサイズ気味に羽織っている黒のアウターを、そっと貴方の肩にかけたいなと思うのです。僕なんかよりも体躯のおおきな貴方にとってはぴったりか、少し窮屈かもしれないけれど、それでも何にも無いよりは、いくらかマシな筈ですから。) 「……エレナさん、あの、へへ。これ、こっそり持ってきたんです。よかったらどうぞ」(貴方の隣にぴたりと寄り添うみたいに腰掛けて、ハンカチに包んだクッキーを手の平に広げて見せ、潮に混じる甘い匂いを、鼻腔の奥で探すのです。貴方の肩の温度を、空気をそっと受け入れて。なんだか、レッドと。しんちゃんと一緒に居るときみたいだなぁ、なんてぼんやりと思うのです。彼みたいに、貴方だって馬鹿みたいにまっすぐで、無鉄砲で、熱くて、優しい。そんな不器用さを、まっすぐさを抱き締めたくて、僕は言葉を探すのです。)「僕は……僕は酷い、人間だから。貴方が生きていて、良かったと思ってる、よ。」(それでも僕はきっとヒーローなんかではないから、こんな言葉にも自信は無くて。海風の声にそっと紛れ込ませるように、そう、小さく零すのです。) (9/3 23:47:03)
エレナ・ドラグノフ>
『……身投げをしに来たでもないさ。』別にやる気になれば、5分後だってしたかもしれない癖に。強がって危ない真似はしないさなんて口にした。寄り添った体温が微かに冷たい潮風に縁取られていくようで、こんな場所だからかなおのこと暖かかった。『随分悪い遊びを覚えてしまったらしいな、貴様も。それに、女の扱いもどうやら上手くなったようだ。』掛けられたアウターをきゅ、と意味もなく握って空いた手ではクッキーを口に運んだ。随分悪い子になったななんて呟きながら、くしゃりと頭に手を伸ばして触れて_____『生きていてよかった、か。』『確かに、そうだよな。死ねなんて言われても腹が立つし、生きてても仕方なかったなんて言えるようなやつも、ここの連中にそうそういないのは知ってるけれども。』『……でも、どうしても思うんだ。ヒーローとして、いや、私が私であるために命を捨ててでも何かやらなきゃいけないことがあったとして_____』言葉を区切る。空白と困ったような目線は、ごめんねの意味だった。『それを果たせないまま、ダラっと生きていたとして何がなにやら。なんて……あまっちょろいかな、そんなことを悩むのは。』 (9/4 00:13:38)
キース・ハリソン>
(僕は、ヒーローにはなれません。誰かを救う力も無ければ、よりそう言葉も吐けません。僕は誰かを心から願うことなんかより先に、僕のこころをあやすことや、僕の気持ちを落ち着けることばかり考えてしまいます。そんな汚い人間なことをひたかくして、出来うるかぎり、誰かに優しくしてみたりするのです。だから、貴方に施してみたりするのも、ただ結局、僕が汚いことを隠したいだけの、結局は自己満足なのです。)「悪い……のは、たぶん本当は、元からだから、ね。」(ただ、ほら。ここは海で、ざわざわと覆うから。僕もクッキーを一枚食んで、君の指先に合わせて弛む柔らかい髪に、そっと思いを馳せてみたりなんてするのです。)「僕はー、ねぇ。僕は……しんちゃんと、よぞくんと、のぞむくんと、ねこさんと、エレナさんと、お父さんと、お母さんと……、それから、それからね。」「学校の先生とか、みんなとか……あんまり、友達は多くないんだけど。」(柔らかくて白くって、あんまり傷のついていない、甘やかされた指を折って、大事な名前を呼ぶのです。僕の手をあらためて見てみれば、やっぱり柔らかくて弱くって、きっときっと、誰のことも守れないような非力さをありありと湛えているけれど。)「それでも、ね、僕ね。……エレナさんとは、きっと僕は違うから、こんなんじゃあ、晴れないかもしれないけれど。」(僕は、こんなちいさな僕の指が、結構好きだったりするんです。)__きたないきたない、内緒の話。__「僕は、それだけの、少ない大事な人たちが、幸せに生きていてくれたら、他のことなんてどうでも良い、とか思っちゃうの。目の前で知らない人が殺されそうになっても、好きな人がそれを庇って殺されるくらいなら、僕はそのまま好きな人と、逃げちゃいたいなぁ、とか…………あの、これ、内緒ね。きっと怒られちゃうから……」「僕は、好きな人だけを守って、好きな人だけを抱えて居られれば、それで良いんだ。…………しんちゃんも、エレナさんも。僕には、ちょっと欲張りに、見える。」「そうやって、たくさんの人を抱え込んで、僕の大事な人がつぶれちゃう……の、は。嫌だよ。」(君が、皆が、ヒーローが、どこかに行ってしまいそうで。)「……ここに、居ようよ。」 (9/4 00:44:27)
エレナ・ドラグノフ>
『_____ここに居よう、か。』大きな世界を守るのも、小さな暮らしを守るのも何が違うだろうか。どちらが良くてどちらが悪いかとかきっとなくて、どちらが正しいかと言われたら……あまりそういうことは、考えちゃいけないように思われた。私はこの子の願いを果たしてふみにじれるのたろうか。私は、この子が泣きそうに呟いた言葉を_____裏切ることが出来るのか。『確かに、私は欲張りかもしれないな。誰も彼も助けようなんていうのは、確かに破綻してる。じゃなくちゃ、今頃誰もがスーパーヒーローにだってなれるし。』血のにじむほどに、何かを殴り、誰かを壊し、鍛えあげた拳を見つめる。誰も彼もを救いたいからと拳を振り回してきたが、取りこぼしたものは無数にある。正義の味方は____それが味方したいものしか救えない。誰かを救わないことの引き換えに、誰かを助けるのが正義の味方の構成要件だ。『私は_____』私は、どうする。『私だけの、私の身の回りだけの正義の味方にはなれない。』『ごめん。』『私も、確かに一緒にいたい。オマエの願ってることも、無駄にしたくない。でも……私がヒーローを志したのも。』『いくらひねくれても、辞められないのも。』『起源(はじまり)は、願いだったんだ。』『誰かにこの状況を変えて欲しい。誰かに助けて欲しい。この地獄を、何もかも壊して欲しい。そんなふうに思ったから_____それが出来るように、ヒーローに憧れた。私の憧れなんてのも、案外ろくでもなくてさ。下手をしたら、何もかも壊したいってやけっぱちもあった。』『でも、なんだかんだ色々酷い目にあったから、だからこそ余計に______』こく、と優しく頷いた。ごめん、なんて何回繰り返しても足らないだろう。悪かった、じゃ済まないだろうけど。『それが、誰かを、誰かの守りたい人を。それが顔の知らない誰かでも、傷つけることを許したくない。』『それを諦めて、まあ私はこんなもんだからって顔をしたくない______』『……だからごめん、私はオマエのヒーローには、なれないかもしれない。』『でもさ。』『オマエの味方では、居てやりたいから。教えてくれよ_____オマエの愛も、呪いも。』 (9/4 01:16:51)
キース・ハリソン>
(__拙い惨めなピーターパンは、大人になるのを拒むのです。稚拙で、幼稚で、手が届かなくたって許されるようなぬるま湯で、大海など望まないのです。もういい加減、大人になり始めなければいけないのに、夢から覚めなければいけないのに。___我儘、なんて言葉を押しつけて、前進を辞めてしまったのは彼の方だ。僕の方だ。手を伸ばすことを諦めたのは、僕、だというに。) 「……、そ、っか。」(辞められない、なんて言われてしまえば、やっぱりもう、僕に言えることも、出来る事も無いのです。何度見てきた背中でしょう、何度追ってきた足跡でしょう。貴方の見据え、手を伸ばす範囲は、どうしようもなく、途方もない程に遠く、広い。 誰かを捨てて、誰かを救う。のならば、必要最低限だけを救えばきっと捨てる数だって少なく出来て。その他なんて、目を瞑ってしまえれば__なんて願えるのも、きっとそれは、僕が恵まれてしまったから、なのでしょう。)(責任転嫁はお手の物です。もし僕が今の環境じゃなくて、もっと世界を呪っていたら、僕も貴方やあの子の様に、もっともっとと、遠くまで手を伸ばせたり出来たのでしょうか。もっと僕が強い人なら、守られてばっかりじゃなくて誰かを沢山救えたりしたのでしょうか。もっと僕が自分に厳しくて、もっと僕が頑張れる人で、もっと、もっと僕が、僕のことを嫌いになっていられたら。こんなふやふやで真っ白な、どうしても愛おしく思えてしまう自分の手を、切り裂きたくなるほどに恨んでしまえたら。いっそのこと、貴方のいう“酷い目”に、ぼくもいくらかあえていたら。僕も、貴方に肩を並べて、頑張って前を見つめられたのかなぁ、なんて。環境ばかり過去ばかり、これだからダメなんだろうな、なんて嫌悪を繰り返しながら、僕はそれでも持ち上がらない抱えた膝を、そうっと下に下ろすのです。)
(浮いた足先はふらりと揺れ、かすかにあがる水しぶきを受けながら不安定に揺れています。潮のべたついた風が肌を舐め、足下の波はうねり、呑み込まんとばかりに深い海の底を匂わせます。)「えへ、いいんだよう。なんか、ね。ホントはこう言われるの、ちょっと分かってたんだ。」(ふらつく足はブランコの様に。錆びた空は橙なんて差さず、風だって乱暴だ。)「しんちゃん……エレナさんも知ってるかなぁ、レッドって言われてたりする……秋森くん、なんだけどね。……なんか、やっぱり似てる、よね」(ぴょん、と飛び出そうとして、足が竦んで立ち止まって。クッキーののったハンカチを強引に貴方に押しつけて、僕はひょい、と立ちました。)「僕、ぼくはねぇ。友達が大好き。エレナさんも勿論、のぞむくんもしんちゃんもよぞくんも、ねこちゃんも……他にも、たくさん。」「ただ、それだけ。」「たった、それだけ、なんだよ。」 (__泣きそうな海のご機嫌なんて、とろうとなんてしないまま。叫びだしそうな荒れた波の頭なんて撫でないまま、ただそれの都合良さに感謝して。僕はただ、それだけで。)「えれなさんは、何が好き?」 (9/4 14:28:56)
エレナ・ドラグノフ>
『……私が言うのも、本当におかしい話なんだ。これは_____同情とか、そう言う類。自分のことはてんで棚に上げて話してることなんだが。』いいよ。いいんだよ。それは、使い古された言葉に聞こえた。きっとこの子は真紅郎(かれ)とは対義語で、彼らの冒険に置いて行かれたり、行かないでと言えなくって。そんなことを繰り返したんだとそう思えた。『真紅郎(あのばか)には、いいよ、なんて言わなくってもいいと思うぞ。何せ私と違ってバカだし、馬鹿だからな。随分危なっかしい奴だ。帰ってくる保証のないタイプだろう。』だから_____だから。裏切ることを前提に、私は知らないけどねとかぶりを振ることを前提に、約束をする。それは末期(わかれ)の際、遺す言葉にも似ていて。『行って欲しくない奴と……好きなやつが同じなら躊躇うな。口に出さないと後々堪えるぞ。』私はもう戻れないけど、アイツはそろそろ助けてやれと微笑んだ。自分の侵蝕が上がるのも顧みないで人を助けようとした。事件は終わって意味も無いのに話を聞きに行った。そんな行動は_____「馬鹿だから」で見過ごされてきた、ヒーローという名前の自傷行為じゃないだろうか。だから、助けてやるなら今のうちだぞと、クッキーをしまい込んで穏やかに、母が子に口にする言葉にも似せて告げた。『好きな物……人に聞いたくせに、考えたこともなかった。』『はは、何が好きなんだろうな、私は。オマエの言葉一つ叶えられないくせに……私はそれでも、私たちが救ってきた人を、関わってきた人を愛している。』『_____私をヒーローと呼ぶ、ヒーローを私と呼ぶ誰かが居るだけで、それを守るために戦いたいと考えてしまっている。バカみたいだ。オマエの正義 "に" 味方してやりたくても出来ない、不出来なヒーローをどうか許してやってくれ。』 (9/4 14:53:34)
キース・ハリソン>
「んん“、ぅー……ぅ、ん。がんばってみる……」(帰ってきた言葉は柔らかいくせに、どこまでも見透かして居るような。しんみりと冷えつつあった脳裏に刺さった君の言葉に、僕はほんのすこし躓いて、バレないように小さく笑いながら、そんな言葉を返してみます。何度も言いたくて、言えなかったその言葉を、今更言ってもいいのかなぁ、なんて。答えなんてどこにもなくて、探しているふりをして考えないようにしていたことの期限が近づいているらしいことを、今ようやく思い知って。それは、つまり、だって。くしゃりと歪みそうになる心をなんとか胸の内に堪え、僕はそうっと、貴方の後ろに立ちました。)「じゃあ、えっと……、一回、練習。」(貴方の後ろにそっと膝をついて、座っているその肩に、そうっと腕を回すのです。)(__これは、ただの練習だからと言い訳をして、ちいさく願いを零すのです。貴方の正義の始まりが、壊してしまいたいという願いなら。僕の正義の始まりだって、こんな汚い、独善的な願いだって、許されやしませんか。)「えれなさん……、『どこにもいっちゃやだよ、“ヒーロー”。』」 (肩から緩く腕を回し、きゅうと貴方を抱き締めながら、その肩口に額を当てて。そうっとお祈りをするように目を閉じたのなら、どうか、どうか。どうか貴方も、どこにも行ってしまいませんようにと、酷く残忍なお願いを込めて。僕だってダメみたいだ、僕だって貴方の正義に、味方はどうしたってできやしない。)「……、ゆるす、よ。それが、その正義が、エレナさんなんだもんね。」(だから、どうか。どうか僕の醜い正義も許してくれたらいいな、なんて。)「……へへ。風邪引いちゃう前に、かえろ。」(つけた額をぱっと上げ、僕はあらためて立ちました。灰色の空は時刻を映さないけれど、お腹が泣きそうなくらいだから、きっとご飯にはいい時間、だと思うのです。)「いつか、エレナさんの好きな物を探すお散歩、いっしょにしよ。ステキな道、沢山教えてあげるから。」 (9/4 15:15:04)
エレナ・ドラグノフ>
『ああ。』短く答えた。どこにも行って欲しくはないと、背中の辺りから声がする。それは、練習だなんて口にしてはいるがきっと本物で。本当は私だって、私の正義なんて大それたものは、まだまだカタチにできていなくて。誰かにするお別れの練習でもするはずが、それが本物になってしまうのが怖くって。泣いても立ち止まっても訴えてもいいのに____それをやるのも怖いだけの偽物なのかもしれない。『きっと、行こう。』『別に死にたいって訳でもないし、明日死ぬって訳でもないんだ_____約束は、いっぱいあるに越したことはない。』『そうだな、オマエの知ってる場所、気に入ってる場所なら楽しそうだし。』けれど、この偽物を張り続けると決めたからには。いや、逆だ。こんな偽物でも、張り続けたからには。私の傷も、過去も、現在も、未来も。きっと何か意味があるんじゃないかと______亡くしたものは帰らないし、喪ったものは戻ってこないけれど______そう願うことくらいは、きっと許されてもいいんじゃないかって思う。『_____本当に、楽しみにしてる。』明日の約束を取り付けたように、昨日の予定を思い出したように、私はそう答えた。漣は少しづつ遠ざかり、歩みを進めていく。ああ、その日が来るのなら、今日みたいな曇り空じゃなく、天気だったらいいななんて________ (9/4 15:42:07)