蕪木 千歳>
( 例えば、校舎から聞こえてくる学生達のざわめきとか。例えば、ゴミ捨て場の扉を開けたときの、むあんとしあカビ臭さとか。例えば、この校舎の階段を昇る感触とか。そういうの、全部いつかは刹那の想い出。懐かしくなる大切なものになるらしい。らしい、なんて触れ方なのはまだ学生で、ちっともかんともそんな実感が湧きようにないからで。例えば、掃除を終えて戻ってきた人気の失せた教室と、差し込む夕日と、それに照らされる少年と。そんな一時の情景ですら──────『 ななかまどはちろくくん……だっけ、 』ほんの一時前までは賑わっていた、空気の落ちた教室の中で。自分の席に掛けていた鞄の中身を確かめながら、1つ私はそう呟いた。『 あーゃ、えっとね、よく放課後残ってるなぁって、思って、ですね? 私もね、普段は図書室とかに寄ったりしてて……それで、居残り同士、なんか接点あるなー!……とか、思っちゃったりーしちゃったりーして………、今なら、誰もいないから、声がかけられるなぁって、思っちゃって……。 』声をかけてから、ちょっぴり後悔。同級生 声のかけ方 自然に そんな検索ワードを脳内カタカタかけちゃって。検索結果は勿論0。元気な陽キャ。彼への印象はこれだった。声が大きくて、人懐っこくて、何処でも馴染めちゃいそうな。そんな人だからつい魔が差した。同じクラスになってから、気になっていたことを遂に話題にしてしまった。また声掛けれなかったと後悔するのとどちらがましかと聞かれたら…いい勝負をしているかもしれない。頬にじんわり熱が籠って、繕った笑みが不自然である自覚があった。椅子の背凭れに指を引っ掛けて、ついついしゃがみこんでしまって。ごめんね………と弱々しく、心の中で呟いた。) (5/8 23:20:24)
七竈 八六>
「……、……………………………………」(────────嗚呼、〝 暇 〟だな、なんて。ヒーローとしては100点満点、男子高校生としちゃ低迷仕切った点数を付けざるを得ない、ありふれたことを考えていた所だったんだ。周りの奴等はバスが丁度いい時間に出てるから先帰っちゃってさ。自分の地域は1時間遅れてやってくるの。)(〝 しまった、家にイヤホン忘れた 〟。)(それを思い出したのはついさっき。スマホでろくに音楽も聞けなくて、蛇口を捻って閉め忘れたかのように、無音で動画を垂れ流す。今日という日はバイトも無けりゃあ友達と遊ぶ予定もない。ただ机に突っ伏して、口元を学ランの袖に埋めながら一直線上に伸びた時間を過ごす、いつもが鮮やかだらこそ 時たま訪れる退屈な灰色の放課後。)『 ななかまどはちろくくん……だっけ、 』「……………、……………」(………今日だって、例の〝 時たまやってくる灰色〟と、変わらない筈だった。)「……………………ンァ?」( 微睡みかけた空気を、直射日光と風を柔らかく抱きしめたクリーム色のカーテンと共に弛ませながら、貴方の声が雫を落としたように波紋を広げると、誰が予想していたか。その証拠に彼の間の抜けた返答は、1拍置いてそちらへと届くと同時に、垂れ流していた無音の動画から、そろりと視線をあげる彼。その先にゃ、西日に照らされ柔らかな髪が、やや茶色に映る至って平凡な女子生徒の姿だった。)『あーゃ、えっとね、よく放課後残ってるなぁって、思って、ですね? 私もね、普段は図書室とかに寄ったりしてて……それで、居残り同士、なんか接点あるなー!……とか、思っちゃったりーしちゃったりーして………、今なら、誰もいないから、声がかけられるなぁって、思っちゃって……。』(女子生徒は口にした。)(視線を左へ右へ、そろりそろり。最初こそ、滲んでいた好奇心は徐々に萎れていき、終いにゃ『話しかけたことさえ申し訳がない』と言わんばかりに、目前の女子生徒はほんのりと羞恥心に苛まれ視線を下げる。一見するとその姿は確かに『不自然極まりなかった』かもしれない。だからだろうか。)「………………………えェーーーッッとォ…………………」「…………………確か、えーーーー……………………………」 (なんせ彼は、そちらが話終わる少し前からじぃ、と見つめては悩ましげに目を細めて眉を潜めていたんだから。貴方と彼は同じクラスとは言え、『同じ温度』はそこには無い。趣味だって、絡む人間だって、ベッタリとペンキを塗りたくったような、シャッターへの人工的な落書きと、木漏れ日のような普遍的な女子生徒じゃ『住む世界』が違う。)「……………………か、…………かぁーー…………」(……………………でも。)「……………かぶらぎ、さん?」(彼は女子生徒の名前を呼んだ。)(女子生徒から『貴方』に変わった瞬間だ。貴方が彼の名を呼んだように。) 「………ッッ!!!!思い出したッ!れ!!蕪木さんッしょ?!?!?!!!名前あってっと思うんだけど、……………」「────────うぅわッッ…!!つうかすッッ……………げえ珍しいじゃんねッ????!!!!話しかけてくれて〝超嬉しい 〟ンだけど俺。名前も覚えててくれてるしさァーーーッッ………」( その言葉通りの表情だった。1つはおそらく『名前が当たっているという確信』、2つは持ち前の『人懐っこさ』 。3つ目は、『暇な時間が終わりを迎えてくれそうなこと』エトセトラ。理由は様々だ。何はともあれ。『話しかけてくれてよかった』よ。彼は動画をとめ、雑に机に引っ掛けられたリュックサックの中を漁るように手を入れながら、貴方に問いかける。)「………いやぁ、つか、それがさァーーーー………今日俺バイトもなくてさァーーー………友達も帰っちゃったしバスが来るまで超ォ~~~~暇なのよォーーーー……蕪木さんもそういう感じ?」 (5/9 00:03:13)
蕪木 千歳>
ッッッ!? あッ!?うんそうっ!蕪木で、す、蕪木 千歳……名前はそりゃなんかそのー、変わった名字してるし、よく呼ばれてるから覚えやすくって……へへ、( わっ、覚えてもらえてた!良かったぁ……なんて淡く溢れた喜びは、ジェット飛行機のような突風、貴方の言葉の勢いに流されてぴゃっと引っ張られた背筋が伸びた。背凭れを掴む指の先が、力が籠ってちょっぴり白む。そうでもなければ引っ張られ伸びるのは背筋だけじゃなく、後ろにころりん、脚まで伸びちゃいそうだった。轟音に心臓がドキドキ鳴って、見上げた世界は変わらない。それにそっと息を吐いて。身体を吹き抜けてった言葉にくしゃりと表情が綻んだ。はちろくくん、数字の8と6の男の子。名字にだって7がついていて、6、7、8。そんな覚えやすさの理由は内緒。『 七竈くん、バイトしてるんだ。私もね、うん、そんな感じ。寮に住むほどじゃ無いんだけど、家がちょっとだけ遠くてね、だからバス通。……バスの本数、もうちょっとだけ増えたら良いのにねぇ。それか、あとちょっとだけ遅くに、とか。お掃除してからだと、足も遅いから間に合わないこと結構多くて。 』突風が過ぎてから、膝が痛まないように優しく立ち上がって、横目で貴方の横顔を見た。金色の髪は染めたのだろうか。夕日を受けて反射して、高校生らしい、或いは高校生らしからぬ装飾品がキラリと覗いた。顔立ちはあどけなく、まだ不良っぽく見えないのはだからだろうか。真正面から見詰めるほどの勇気はなくって、貴方が顔を上げたなら、私もぱっと目を背けて。漁る意味もない鞄を弄った。) (5/9 00:38:19)
七竈 八六>
いぃぃぃぃぃぃぃよッッッしゃあ~~~~ッッ!!!当たったァーーーーッ!!!!!!!!!………………………ってェ、喜びたいとこなんだけどォ……………あのさ、マジごめん。そういや蕪木さんの下の名前ってェ………………なんだっけ??」(苗字が当たった、ソレを喜んでいたのも束の間。貴方の『苗字ならよく呼ばれる』の発言に、〝そういえば 〟とふ、と思い出す。先生だとか、他の誰かから貴方の苗字は聞いたことがあるが肝心の下の名前を彼は覚えちゃ居ないらしい。ここで詮索せずに流して〝皆と同じく苗字で〟呼べばいいのに、彼は事もあろうかわざわざ覚えていないことを正直に告げて、デリカシーもなく聞く始末。) ( 下の名前も知らない、遠過ぎずとも近くもない〝 ただのクラスメイト〟との以外な接点は、ありふれたものからだった。例えばほら、〝 本数がやたら少ないバス〟だとか。) 「 うわぁーーー………めぇーーーーッッちゃ分かるわソレ。マジで勘弁して欲しいよなァーー……………しかも今日に限って家にイヤホン忘れちまってマジで暇でさ……………」(彼は心の底から共感するように、椅子に深くもたれ掛かりながら言葉を返す。田舎と言うには栄えちゃいるけれど、ソレを差し引いたって。でも、悪いことばっかじゃあない。彼は貴方の言葉を落とす寸前に拾ったのならば、目を瞬かせて驚いたように言葉を続けるだろう。)「………え???つか掃除?」「うわすっげぇーーーーーマジで?!?!うぅわ朝から『偉い』かよォーーーーッ………!!!!俺ならぜってえそんなことしねえ、………………しなさ過ぎて、多分そろそろ〝 兄貴 〟に怒られる……………………」 ( …正直、整理整頓はあまり得意な方ではない。汚部屋でも気にしない!…という訳でもないが、男子相応と言うべきか。靴下は裏返し、旅行に行けば絶対使わない木刀を買ってきて案の定放置していたり。だからこそ、『朝から掃除』 なんてのは、こちらからしちゃ考えられない事なんだもの。 彼は先程から漁った鞄から空いた長方形の箱を取り出すことだろう。。…まだ、1つ袋が残っている。) 「………………『偉い』ついでに特別賞っつうわけで。」「……………食べる??ポッキー。今日の昼、購買で買っちったァ~~♡」( 小さな小袋を開けたのならば、1本取り出し口に咥えることだろう。そしてもう一本、貴方がつまみやすいようにがさりと箱を揺らし傾けるのさ。顔を上げた彼は、そこでようやく、声を掛けられて以降、2度目。顔を見やった。)「………………………」「……………………、」「………………あはァ、これ??」(貴方が鞄へと視線を落とす前、最後の視線は耳辺り。貴方がなぜ視線を合わせないのかにはきっと気づいちゃいないくせに、こういうところばかりやたらと目敏い。)「……………………似合うだろォ~~……………………蕪木さんすッッ……げえ真面目そうだからさァーー………こういうの付けなさそ。」(髪を耳にかけて、見せつけるようにしながら笑っていた。派手な金髪、耳たぶのピアス。何も荒らされてない貴方とは正反対。 ) (5/9 01:10:49)
蕪木 千歳>
あぁ、えっとね、ちとせだよ。1000歳って書いて千歳、千歳飴の千歳、だね、 ( 当たってたくらいで大喜びしたり、かと思ったら、ニアピン賞だったことを素直に告白したり。高校生らしい感受性?小学生か、なんて子供っぽい?夏の日のような瑞々しさは変わらない。覚えられてなかったことに怒ったり、凹んだりすることもなくって、ただ正直者な君にちょっぴり笑ってしまった。『 わ、最悪だぁ…。イヤホン有るのと無いのとじゃだいぶ変わるよね、心強さというか……。「………え???つか掃除?」……………んぇ、ん、うん、お掃除。 』「うわすっげぇーーーーーマジで?!?!うぅわ朝から『偉い』かよォーーーーッ………!!!!俺ならぜってえそんなことしねえ、………………しなさ過ぎて、多分そろそろ〝 兄貴 〟に怒られる……………………」『 え、ぇ、えぇー…へへ、そう、かなぁ。そうかなぁ、そんなに褒められると照れちゃうっていうか、だってほら、入ったときに汚れてたり、散らかってたりって気にならない……?空気も綺麗になって、美味しい気がするし…………おに、……んん"っ、ごめん、なんでもない。 』ころころ、ころころ話題が動く。走ったときと同じで、ほんの少しだけ息が切れてしまうけれど、身体がポカポカする気がした。こそばゆい。そんな言葉が似合う感覚に、にへらと頬の力が抜けて、何も考えずにお兄さん居るんだ、と言いかけて止めた。…バイトしてるの知ったときも、復唱しちゃったし。人の個人情報を知る度に復唱する女子、どうなんだろう。気にしすぎ?はちろくくんならそんなに気にしなさそうー…だけど、なんか、なんかどうなのって感じがする。ちょっとでも不自然じゃありませんように。それだけ願って、ぷるぷる首を左右に振った。『 う…………気付かれましたか。真面目っていうか……気になるけど、痛そう。ピアっサーだっけ、で、ばちんって、…するんー…でしょ?いっぱい冷やしたら大丈夫って聞くけど……、…ん、私からもこれどーぞ。ニアピン賞、お名前のやつの。 』ピアスに興味のある女子生徒。そんな称号を手にいれて、ほっとした。たははと頬まで引っ掻いて見せて、ほんの一瞬目線を合わせて、今度は本当に鞄の中に探し物。真面目かな、なんて、ほんのり唇の先が尖った。変わる勇気がないだけだったり、そうなるきっかけが分からなかったり、真面目な子なんてきっとそれだけ。鞄の中に意味もなく立ち寄ったゲームセンター、その景品のリンゴ味の飴玉を見付けて。鞄事移動、斜め前の席に一礼して、先の方にだけ腰掛ける。ころんと転がる丸々太った飴玉と、すらっと伸びた細みのポッキーの交換こ。『 えと、……いただきます、有難う。 』チョコレートはちょっぴりビターで、さっくり脆い。想像通りの変わらない味は、高校生っぽいな、そんな感想を抱かせて、部活動の掛け声が、遠くから響いたような気がした。) (5/9 01:56:42)
志賀 幸治>
「 ( 6限目終わりのチャイムが鳴ってから、もうどれ程たったことであろうか。 彼は優等生の見本図が如く、図書室にて授業の復習をしている最中であった。 部屋の中にはざあざあと、ガラス越しに聞こえるの砂嵐宛らの雨音と、ひらりと頁を巡るオノマトペ、ペンと布の擦れる心地良い音が混ざり合い響いている。図書室特有の、無作為に郷愁を誘うあのなつかしく、静けさの香水を一滴ばかり垂らしたみたく匂いが、雨の日は一層強く漂っている。課題範囲であった最後の問題を解き終わった頃、彼は指を組んだままその腕を前にだし、ぐぐと大きく伸びをした。 錆びた身体がポキポキと子気味よく音を立てる。 )「もうこんな時間か、 」( 時計に視線を向ける。短針は五時をやや過ぎた辺りで足踏みしているというのだから驚いた。短い間のようでいて、それより長い程過ぎたような心地がするのも、 雨が窓に打ち付け、ひしひしと時の流れを刻んでいるからに違いない。ふと窓の奥の自分と目が合う。 硝子が幻燈、もしくは鏡みたく反射している。雨雲の奥に浮かぶ自分は随分と辛気臭い顔をしていて、 今日の自主学習に一区切り付けることを決めたのだった。 )(必要でないテキストをロッカーに置いてゆこうと、カウンター席の図書室司書に軽く会釈をし、 教室へと歩みを進める。 いつもと変わらぬように見える廊下は湿度のせいか若干湿っていて、 歩けば上履きのゴムと擦れてきゅうとばかばかしい音がした。雨がもたらすのは愚鈍たり停滞であった。 ここ数時間空の色は変わらず鈍色で、 重苦しく、 肺を犯す息苦しさすらあり、梅雨入りを感じさせる。昔から、雨の日の、その陰気さが何処か好きだった。 、 ぼんやりと歩いていれば図書室から教室までは束の間である。 教科書の背表紙順に並べられた、神経質と生真面目さの伺えるロッカーに教材を戻した。 ふと、 机の中に置き去りにした本のことを思い出す。 大しておもしろい内容でだったわけでもないが、雨の収まるまでの暇潰しにはちょうど良い。 がらりと、比較的新しい建物故に立て付けの良い横開きのドアを開く。 目に飛び込むその場所は、普段とは別の顔を見せていた。 )普段何十人の詰め込まれているその部屋は普段は狭く、閉塞感に動物ケージの中すら思わせるほど窮屈であるのに 、人ひとりおらず、 規則正しく配列された机と椅子だけが凡そを占めている其の空間には、伽藍堂の寂寞と共に、一瞬モラトリアム的、 限定に不在する神聖さすら立ち込めていてる。外も相まって薄暗いのが余計に無駄な抒情を与えていた。 と、描写するのすら、くだらないだろうか。 かれの諦観と侮蔑は、 ぱちりと灯りのスイッチを押すと、チカチカと点滅の後灯る灯り。窓際の後ろから2番目、 自席へと腰掛ける。 鞄を机の横に掛け、ブックカバーの掛けられた文庫本を取り出した。 カチカチと、 時計針の音と息が溶けて、 質量も無くなるほどの静寂が、薄らと世界を包んでいる 。その中に浮かぶ、 清冽な横顔は、 何だか古典主義の絵画めいた、耽美すら感じさせるものだ。 )」 (5/9 20:43:42)
七竈 八六>
「───────あ゛ァ゛~~~~ッッ!!!!クッソマジかよッッ!!!!???」(それはほんの数十分も経たないうちの出来事である。元来よりニュースを見るような柄じゃないのは見て取れる通り、今日の天気予報だってろくに知らなかった彼は、当然のように傘を家に忘れていた。でも、それでも良かった。『馬鹿は風邪をひかない』とはよく言ったもので、家に帰る道中は多少濡れて帰ったって構わないだろうと。それに、何よりもやや身長差のある友人の傘に入れてもらうのはなんとなしに忍びないからと、雨に降られながら校門を出た矢先だったんだ。) 「ッかしいなァァ~~…………ぜぇーーーってえ鞄に入れたと思ったのに………〝 弁当箱〟、教室に置きっぱだわ…………………」「ごめんなんだけどさ、ちょい 先帰っててくんね???あとからちょっぱやで追い付くからッ!!!」
(彼にとっては傘より重要な『忘れ物』。それを学校から出てほんの少し進んだところで思い出したのである。小雨と言うには零れる雨に、もう随分と打たれてしまった。彼は踵を返したのならば、『明日で良くないか』と提案する友人をよそに 逆再生も宜しく、校内に吸い込まれるように戻っていったことだろう。時間も時間、チャイムはとうの昔に鳴っている。忙しなく下駄箱で靴を履き替えてはキュ、と足音を鳴らし、階段を駆け上がる姿は脱兎の如く。〝 せんせーに見つかりませんように 〟と密やかに願いながら廊下を走って、向かう先は自らの教室である。)「ッ………フゥーーーーー…………………」(……この時ばかりは誰も、いないと思ってた。) 「………ッ…………………あー…もう、最悪……………………」
(事実、電気がついている時点で気づくべきだったのだ。なのに彼は、濡れた髪がくねり、張り付くのが気持ち悪いとかきあげるまで、予想もしていなかったそうじゃないか。その証拠が上記の独り言だ。)「…………………、………あれ。」(張り付くワイシャツを軽く伸ばし、顎から雨が伝う前にぐし、と雑に拭う。それでも間に合わないと言わんばかりに、前髪から、服から、ピト、ピト、と滴る水滴はまるで天気雨のよう。お日様のような瞳の先に映るのは灰色の教室に、水彩画のように滲んだ男子生徒の姿だった。まるで窓枠が額縁のようにさえ思えてくるように、その様子は随分と、『完成』されている。)(────────でも。)(……………嗚呼、あれ。〝 どんな子だっけ〟。)(作者は不明。)(貴方を詳しく知らない。答え合わせを混じえて、驚いた様子できっとその『差し色』は、生きる絵画に言葉を紡ぐ。)「…………………志賀、だよな…………?斜め後ろの席の。」 (5/9 21:12:27)
志賀 幸治>
(けったいな、埃被りの静寂を下らないと言わんばかりにビリビリと破いたのは、その、眩いくらいの黄色の彼であった。 駆ける足音の喧しさを引き連れその男が扉を潜ると、 彼は出迎えるよう ゆっくりとした動作で活字から思考を洗い、文庫本に栞を挟む。 …… 一瞥、それから、息を飲んだ。 濡れた金色と雨粒が蛍光灯に乱反射している。 そのとき僕は、生まれて初めて迸る閃光、というものをみた、気が、した。 その仄暗い停滞の中、 水溜まりに一滴ばかり入れれば染め上げてしまう、 コピーインクのイエロー。否、それほどまで無機質な物だったろうか。大輪の向日葵のよく似合うその瞳と、夜の暗闇の良く似合う、清廉さを兼ね備えた黒が交錯する 。黒、が、揺らいだ。のも、束の間。─────── 少しの沈黙の後、 模範品は薄い唇を開いた。口角の上がり、細められた切れ長の瞳に薄らと涙袋が浮き出ている。 柔らかな微笑みは人当たりが良い。そう、 確かに〝良い〟のだけれど、 敏い人は、それでいてマニュアルめいた、人為的なやさしさを感じるのだろう。君の対峙するその態度は、 先程の解釈のゆとりを残した連火の横顔とは相反するように、 量産品のつまらない響きを取っている。 ) 「 ………… 、うん。 そういえば、 新学期からもういくらか立つけれどさ、あんまり話したことは無かったね。 」 ( 距離感を測るみたく、 手探りの会話の糸を手に取り言葉を編んでゆく。 柔らかく頷けば、 こんなに席も近いのに、と小さく笑って付け足した。 思えば新学期が始まってから、 お互いしっかりと会話をしたのは久し振り、否、初めてかもしれなかった。 交友関係も違えば、趣味も、特技も、何もかもが違う。 住む世界とすら言っていいだろう。今目前にいるのは、対角線に立つような人物だ。で、あるからこそ、興味関心が無いわけでは無い。影は光に光は影に、欠落の穴を求めるのが人の性そのものであり、隣の芝は青く見えるとはよく言ったもので、─────── 、 ( そうだな。 羨ましいと、思わなかったことは無いんだよ。) 彼のペルソナの根底には、 自由への渇望も眠っていた。 ) 「 七竈くんは──────…… 忘れ物? ………… 、 随分と大切なものなんだね、 」 ( ちらりと『七竈八六』の席を横目に見れば、 お弁当箱が机のフックに掛けられたままであった。 他愛ない日常会話だ。駆けて戻ってきた其の様子と、先程の独り言が重なり、 それくらいの推理は容易かった。 それから、 普段は意識していなかったのだけれど、斜め前の距離感は、思っていたより随分と近かったみたいだ。 )「これ。 ぜひ使ってよ、 最終下校の辺りには雨も止むみたいでさ、多分僕は使わないと思うから。 」(濡れて風邪など引かれても後味が悪いし、 …… 〝志賀幸治〟という人物は彼のような人に優しくあることを、強いられているような気すらする。 これは誰が定めたわけでも無く、言わば筋書や道理と言ったもので、果ては唯の勘違いや空回りに過ぎないかもしれなかった。人はこれを偽善と言うのだろうが、 そんなことは構わなかった。僕はありのまま、正しい形で〝志賀幸治〟という役を演じればいいのだ。)(彼は今時珍しいブラウンの皮鞄の中から、紺色のハンドタオルを取り出し、 君へと差し出した。 Yの刺繍の入れられた其れは、何処と無く上等さを漂わせている。 (この間にもぽたぽたと、 教室の床に水滴の染みは広がってゆくばかりであった。) (5/9 22:19:30)
七竈 八六>
『………… 、うん。 そういえば、 新学期からもういくらか立つけれどさ、あんまり話したことは無かったね。』「…………あ゛ーーーー………………言われて見りゃそうかもなァ…………………………へへッ、じゃあ今日はちょっとラッキィ。」(彼は、貴方の笑みに対し、にひッ、と歯を見せて、人懐っこい笑みを見せた。作品としての『完成』として、限りなく近い貴方の笑顔はそちらがいうように『目敏い人』なら気付くかもしれない。しかし彼はどうだい。『笑いかけてくれた』。例えそれが愛想笑いだあったとしても、目が合いそうしてくれたほんの些細なことだって、彼はほんのりと嬉しく思ってしまうのだ。ゴムと床の擦れる音を鳴らしながら教室の中へと入れば、差し色はより色濃く映る。貴方の席の近く、必然的に歩み寄る形になるんだろう、ほら。天気雨、狐の嫁入り。雲がないのに降り注ぐ雨を引き連れて、1歩、2歩。進む足取りは対角線上斜め下。)(彼は言葉を続けた。)「いやァ、それがさァーーー……………弁当箱忘れちまって。じめっと蒸し暑くなってきたしさァ……………………なるべく放置もしたくないっていうかァァ………………」「………………まあ、でも大事。うん、大事だわ。」(嗚呼、あったあった、なんて。当たり前のことを呟きながら、彼はフックにかかった〝うさぎさんのマーク 〟が入っているお弁当入れを、じー、とチャックを開けてはリュックサックの中に入れた。貴方ならキチンと閉めるのに、彼は入れたことに満足しているのか、チャックは中身をほんの少し覗かせている。 些細なところでも違いが嫌に滲み出て、その違いにさえ貴方は気づいてしまうんだろう。光が強けりゃ色濃く映る影を自覚しながら笑みをたたえているだなんて、きっとこの男は考えちゃいないのに。 リュックサックを雑に背負い肩にかける彼は、〝もう帰ります 〟という雰囲気を醸し出しながら顔を上げ、貴方の方を再びみやりながら1つ。)「ィよーーーしィッッ!!!無事に弁当箱も腐っとこから救出も出来たしィハチロクちゃんはそろそろ────────……」『これ。 ぜひ使ってよ。』 「………………あ?」(そろそろ、……)『最終下校の辺りには雨も止むみたいでさ、多分僕は使わないと思うから。 』』「えっへェ~~~~~????マジィ………………?????」(立ち去る、その前に。気が利く貴方は、沈んだ夜を引っ張り出してきたような、傍から見れば普遍的なタオルを彼に差し出してくれていた。きょとりの目を瞬かせ、ほんのりと驚きの表情を見せていたのも束の間。)「んんーーーーー………………じゃあさァ~~~~~~~~…………」 「 俺ェ、もうちょいココに居るわ。」(彼は、リュックサックを降ろす。)「そしたら志賀とも話せるし、タオルも濡れねェ。そもそも雨がほんとに止むかどうかなんてわかんねえだろォ~~~~????天気予報士のオニーサンもオネーサンも、すっげえ頭はいいンだやろうけどさァ…………やっぱ完璧じゃねェーって。」(『七竈 八六』)(そう記載された席の椅子と床が擦れる音が教室内に響き渡る。背もたれに肘を乗せるように反対側を向いて、貴方の顔がよく見えるように腰掛けた彼は、腕に顎を預け目を細めて貴方にねだるだろう。)「……………だから雨やむまで付き合って。……………ちょっとぐらい良いっしょ。」(貴方の優しさに漬け込むつもりなんて無いと言ったら嘘になる。意地らしく揺れるピアスと、虚勢の象徴とも言えるヤンチャな金髪。笑みを浮かべれば覗く八重歯。早く大人になりたくて、無理やり背伸びしたかのような子供と。大人にならざるを得なかった、秘密を愛するペシミスト。)(友達は、もう帰っちゃった。) (5/9 23:05:32)
志賀 幸治>
(穏やかにわらうのは、 光に目を焼かれたような気がして、細めたかったからだ。 眩しく、 君と僕の間にある境界線に溜息をついで、見ないふりを重ねて。 それら全てを低気圧の、靄の掛かる気だるさの所為にして、 はさりと長い睫毛を動かし瞬き。 それから、 映りこんだ君のまるで喜劇役者見たく大振りの仕草を眺めて、 ははと息を漏らして笑う 。 )(『もうちょいココにいるわ』という言葉を聞いて、 その作品の均衡が、刹那、崩れた。文字通りの一瞬で、小さく目を見開いて、それから先程の微笑みに還元された。 )「 ごめんね、逆に引き止めちゃったかな。 」( リュックを下ろす動作を脇目に、 幾分か申し訳無さそうな声色であった。 大した罪悪感というものを持ち合わせている訳でも無いが(マニュアル通りと言えばそうなのだから当然である)、 適切な素振りがこれであるようなだけであった。 僕は学校、或いは社会の中での志賀幸治であるとき、 志賀幸治というテンプレートをなぞるだけで、他に一切の自我のないように思うのである。 一種、 自己同一性の拡散、或いは、その枠が霧散仕掛けている志賀幸治を繋ぎ止めてるのやも知れなかった。然しながら、 解放を望み枠組みから開放されたとして、その自我とやらは何処へいくのだろう。釣り合ない天秤のその先は? 夜と一緒に溶けて消えて、灰にでもなるのだろうか。 ……………… 詰まるところ、君が羨ましいという話だ。 その楽観性も、明るさも、朗らかさも、心地好い。心地好いのに、息が苦しく、遣る瀬無い。)「……………… 僕なんかで良ければ、 幾らでも。 」(心臓の水面に君の好奇心に晒された指先がちょんとふれる。 それは波紋をもたらし、 ひりひりとした、 渇きによく似た、普遍的な『さみしさ』の奥へと入り込む。 繋がっていたいからと長い髪を靡かせるのに、 人との深い関わりを断つのは臆病さゆえだった。 保守的な彼の繭を破るのなら、君のような人なのだろうか。 頷いて、 穏やかな、抒情と解釈の余地を残した微笑みを湛える。 その意地らしく揺れるピアスに、いくつかの羨望を残して。いくつも似ていない、似ていないからこそ、穏やかなイエスを残したんだろう。 知的好奇心は、未知のものへと湧くというのが通説なのだから。 ああ、それから─────── 天気予報とは裏腹に、 雨はまだ、止む気配を見せなかった。 沈黙の合間に、 雨音が張り込む。やまない雨はないなんて、きっと嘘だ。 止まない雨も、終わらない夜もあればいい、なんて、ばかばかしいかな。 )「明日も、明後日も雨みたいだよ。 梅雨入りなんだって、はやいよね。 」 (5/13 17:50:09)
七竈 八六>
「ひひ、やったね。志賀ちゃんならそう言うと思ってた。」(怒んなそーだから、なんて勝手な決めつけ。にひぃーっ、と歯を見せ笑う彼を、貴方が甘やかしたんだぞ、と責め立てる輩がここには居ないのが不幸中の幸いか。否、きっと教室にたくさんの人間が居たとしたら、貴方と彼の世界が交差することはなかったんだろう。街に描かれた攻撃的なエアロゾルアートと、美術館に整頓された絵画ではまるでタイプが違うように。趣向も違えば目の色だって。)『明日も、明後日も雨みたいだよ。 梅雨入りなんだって、はやいよね。』 「…ああ、そうか。梅雨入りか。……やだなァ、布団はふかふかなのが好きだし。外で遊びにくくなるだろォ?……あーーでも、濡れんのはァ…………正直嫌いじゃないかも。」(他愛のない会話だった。あなたの見解通り、彼は物事を深く考えない。故に貴方が彼にどう思っているのか。どれだかのないものねだりを数えているのか検討すらつかないのだ。雨も『洗濯物が乾きにくいから』、こんな理由であまり好んでいない口振り。貴方が止まない雨を望むなら、彼は青空に手を伸ばしたいと願うだろうに。)(…──────────でも。)「………………この学校に、雨やませる能力、使える奴もいるんかな。天気、自在に操れちまうの。ガッコーサボりたかったら、すげえ雪とか降らせちゃってさ。夏に。」(彼は、ぽつりぽつりと、最初は小雨のように冗談を零すのみだった。視線の先は、貴方の白い腕に巻かれた革製の腕時計。貴方にも『ついてるんだ』なんて、当たり前のことを考えたのはここだけの話。)「……………あんま皆に言ってねえんだけど、実は俺さァ、〝適性が分からない 〟ンだよね。…………みんな見たく腕時計付けてんだけどさ。………なんも見えねえし、なんも能力が出ねえの。はは、ウケるっしょ。……オモチャになっちゃってる。」(冗談の声色は、抜けきらなかった。雨だからか、灰色の窓枠から照らされる彼の顔はどこかほんのりと、霞んだような気がする。それは彼の言葉通りだった。先程、彼は何も考えていないと、あっけらかんだと表記した。でも実際は違う。それはみんなに比べたらきっと、ほんの些細な悩みなのかもしれない。『皆と違って能力が発現していない』だなんて。彼は、『可能性に気づいていない』。一般人と変わらずに、貴方達のディスコードが見えないことだってある。伏せた目、まるで仮面ライダーのようなゴテゴテの、いかにもな装置。今日は雨の日だからかな。彼はそれをそう、となぞりながら睫毛を持ち上げた。)「…………………志賀ちゃんも、みんな見たくさ。あるんでしょ、そういうの。」「…………………………なんでヒーローになりてえって、思ったの?」 (5/13 18:13:49)
志賀 幸治>
「僕も、雨は嫌いじゃない。」(霞んだ街並みに、雨音が雑多な響きをかき消すのが、停滞と感傷を一身に閉じ込められた、スノードームの中みたいだ。 世界にあるのは雨音と僕の心音だけであるような錯覚が、 心地好い微睡みへと突き動かすのが、 その時だけは何も考えなくて良いから、好きだ。すべて、こちたし、と、言わんばかりに世界が仕切られる感覚の好きだ。 ことばを放つのは、きみのひまわりと対照的に、 花瓶に活けられた鈴蘭みたく控えめな微笑みと共にあった。 )(ああでも、何時だっけ。台風とか、大雪とかさ。 どうしようも無い天候で、母さんが迎えに来てくれた時。 あの時からだったかな、好きな物の欄に、雨の一文字が加わったのが。 ) 「 ……それは面白そうだね、 イベントの時にはみんなに頼られるだろうなあ、」( 窓外に広がる雨曇を一瞥して、その声色の違いちふと気がついて、きみへと視線を戻した。君の視線の先を追い掛ける。)
「…………そっか。 そうだね、」(返答に迷ってしまう。 道筋を逃してしまう。 迸る閃光の、揺らぎ。 雨の中の蛍光灯のように、霞んで雨に滲み、 君の輝きも蛍光灯が如く揺らぐことがあるのかと。 想定外に、 沈黙を繕うように、出てきたのは当たり障りない相槌だった。落ち着いた声色は、耳鳴りみたく雨音に溶けゆきそうなほど靜であった。)「七竈君はさ、見えないだけで、きっと僕達には予想もできない能力を持ってるんだろうなって、僕は思うな。 目に見えるものだけが……って、月並みだけどさ、 」( 同情?哀れみ? 否、体裁を取りながらも、裏側を這うのは確固たり同類意識と、親近感と、沸き上がる歓喜であった。 光に、触れる。 ことを、恐れていたはずだったけれど、 触れてみればどうだって無く、質量を持った普通のジュウナナサイであった。 子供の頃通るのが怖かった夜道も、大人になって通り過ぎる様になれば、案外普通だったりするのだ。 きみの、 努比喩でなく血の滲むような、努力の透けて見える豆だらけの手に、洗礼された、その石膏像が如し掌が重なる。雨に濡れたきみの体温は、 ひんやりと冷たく、僕の熱と混ざり会い平均化されていった。 )
「ロマン?って言うのかな、こういうの。 」(僕にはあんまりわかんないけど、と、付け足すのも野暮だから辞めた。 ふと、交錯した視線に、 柔らかく目を細めて。)「僕は…… 僕がこの学校に来たのはさ、みんなみたく崇高な理由じゃないし、きっと聞いてもつまらないよ、 」( 口を開くのには、少しの間があった。 )「此処が今住んでるとこと近いからって言うのも大きい理由かな。 それから、 …… 」( それから、早く死にたかったからだ。碌な死に方で無ければいいと、常々思う。 豪勢な額縁には値打ちの高い絵の入れられ、 安いプラスチック枠には量産品の、たった百円で変える雰囲気だけの、大した哲学も思想もない作品が飾られる、みたいな。 僕なんかには惨めったらしい最期がお似合いだからで、母さんに、母さんへ、してしまったことを、思えば。ぼくは生き永らえている事すら、愁いと違わないのだ。 )(そして、願わくば、僕なんかの命で誰かが助かればいいという、一縷の思い。) (そして、反抗ですらある。 )(ぼくを歪めた、全ての彼らへの。)(はさりと伏せた睫毛に、 幾つもの意味を見い出せた事だろう。 憂う横顔は、皐月いろの愁いに濡れていた。 )
( 君に向けた自嘲じみた笑みが、空の雲行きと重なって輪郭がぼやける。水彩絵の具に、一つ二つ、雨粒の落ちて色が滲むようである 。 その薄墨は、軈て広がりキャンパスを埋め尽くすのだ。母さん譲りの、黒髪と白の、うつくしい色彩。 どのような穢れすら、平気な顔をして啜り飲み込むのが彼であった。 )「だから少し、きみたちが羨ましいよ。 」(僕はどんな顔をしてただろう。自嘲?諦観?羨望?それとも、 ぼくは。 )(ぼくは、ぼくに、質量すら無いのだろうか。言葉だけが、 雨雫みたく、唇から溢れるのだ。)
「ねえ、きみは。 」(ふと、湧き上がる好奇心。)「七竈くんは、どうして? ……どうして、ヒーローになろうと思ったのか、聞いてもいいかな。」 (5/13 19:39:04)
七竈 八六>
「………はは、志賀ちゃんやっっさしぃ~~~ッ……そうだよなァッ…目に見えるもんだけが全てじゃない。お前はお前のいいとこがあるし、俺ににも俺にしかできねえ事がきっとあるよなァッ……!?」(彼は貴方の言葉に、僅かに間を開けたあと ニカッ、と。眩しいぐらいに笑った。そこにはいつもの〝 七竈 八六〟が居た。いつまでもしおらしくしてるのは自分の柄じゃない。あなたの言うとおりそうであると信じ込むぐらい馬鹿である方が前に進みやすい。貴方の言葉を咀嚼して、飲み込むことは造作もないことだった。…でも、羨ましいなんて感情が無くなるかと言われればそれはまた別。だからこそほんの少しだけ、小さく小さくすればいい。)『僕は…… 僕がこの学校に来たのはさ、みんなみたく崇高な理由じゃないし、きっと聞いてもつまらないよ』「………いいよ、聞きてえから。」(彼は、貴方の話に耳を傾けた。雨が地面を軽く弾んで溶ける音を背景に、それに馴染ませるように薄い唇からは、貴方になげかけた質問の答えが返ってくるのを待つのみだ。)『此処が今住んでるとこと近いからって言うのも大きい理由かな。 それから──────────、 ……』(伏せられた瞳が、話している間に合うことはなかった。つらつらと並べられる言葉に対して、急かすわけでもなにか言葉を差し込むでもなかった。雨模様をあなたの時計が反射する。カチ、コチ、カチ、コチ、と心地よく鳴り響く秒針の音は貴方の心臓よりもよっぽど生きているようだ。)『それから、贖罪、みたいなさ……………………大した哲学も、思想も無いんだよ。僕には。』「………………別にいいんじゃねえのかな、それでもさ。俺ら本当は普通の学生じゃん。…でも、実際はこんなことしちゃってんの、ウケるよな。」(そう、自分達は普通の学生だ。やれヒーローだの、悪党を退治するだの。アニメの中から出てきたようなベターな展開を、現実でやるだなんて気が狂っていると言われたっておかしくはない。必ずしも重い過去を持ってヒーローになるとは限らない。死にたくないから生きるだけ、と惰性で人生を送るような人間もいれば、あなたのようなやつだっている。…彼は、知らないけれどね。)『ねえ、きみは。』「…………………………うん?」『七竈くんは、どうして? ……どうして、ヒーローになろうと思ったのか、聞いてもいいかな。』「…あっはァ~~~ッッ………なあそれ、聞いちゃう?へへ、まあいいけど。」(今度は、こちらが質問された。彼は蜂蜜色の瞳を瞬かせ、なんとなしに困ったような笑みを浮かべる。別に、隠してるわけじゃない。言い淀む理由はないけれど、人に話すようなことでもないからと 無意識のうちにしまい込んでいた彼の背景。)「…………………早く、〝 大人 〟になりたいんだ、俺。」「…それこそ、ヒーロー見たいな大人にさ。」「………………………俺ん家、父ちゃん居なくって。兄弟4人ぐらいいんのに、女手一つで育ててくれたの。………だから母ちゃん、すっげぇ手ボロボロでさ、服もほぼ毎日代わり映えしない。でも何かにつけて、決まって言うんだよな。『母さんは良いから』って。」「………兄貴も、……兄ちゃんも〝ヒーロー 〟で、俺もそれをめざしてて、同じはずなのに決まって言うの。『あぶないから』『怪我はないか』『〝俺は大丈夫だから 〟』。」「……………………そうやって、誰かを妥協させて、無理やり大人にさせんのが………すっげぇ申し訳なかった。」「……………誰かが、『もう無理』『しんどい』『死にたい』って零した時、受け止められるような大人になりたい。理不尽なこと、全力で否定できる大人になりたいし、味方になれるオトナになりたい。………………『子供』じゃ誰も、聞いてくんないし頼ってくんないから。」「……………………なんて、『ガキ臭い』理由。」(母親はいつも髪が乱れていた。容姿を気にかける余裕が無いぐらい日々に追われてきたんだろう。手伝えることはなるだけするようにはしている。バイトして、家にお金入れて、早く大人になって、もっと役に立てるように。)
(…幼馴染がルクレルク人だからといじめられたあの日だって思ったさ。『子供だから』と。)(きっと周りを見たら、『大人にならざるを得なかった人間』は大勢居るんだろう。だからそんな人たちが『子供らしくわがままをこぼした時に、受け止めて寄り添える』大人になりたい。)(大人に。)(………大人(ヒーロー)に。)(………──────────不意に彼は、もしかしたら。貴方の頭に手を伸ばそうとするかもしれない。見えない壁は無いのと同じと言わんばかりに。貴方の母親譲りの、かつての自分と同じ柔らかな黒髪をくしゃくしゃと乱すように撫でやろうとする。)「……………志賀ちゃんさっき、…話してた時。………………なんとなく。ちょい〝 泣きそう 〟な顔してるように見えちって。」 「……………………ごめん流せなくて。ごめん、ほっとけなくて。でも、〝 気のせい〟じゃなかった時が嫌だったから。」
「……………………… …気のせいだったら、タオル貸してくれようときた、このお礼だとか。……からかってるとか、好きに受け取ってくんねえかな。 」 ( きっと大人だったら、きっとほかの人だったら。こんなことはしないはずだった。軽く流したって貴方は微笑みをたたえているに違いなかった。でも、いかんせん彼は『ナナカマド ハチロク』なもんだから。) (5/13 20:32:31)
志賀 幸治>
(肯定の言葉のかたちを、彼は穏やかな顔で飲み込む。踏み込まない、軽い口調でいて、励ましの意が籠ったあたたかな言葉に、僕の肚の底に横たわる罪悪の質量が僅かばかり軽くなったような気がしたのは気の所為だったろうか。 これを救い、ととるか、無責任ととるか。 かつての僕なら、きっと無為な言葉と突き放した事だろう。しかし、 古来より影は光に呑まれてゆくもの。 「そうかな、」と、安らかに、飲み込むように、水の流れる見たく。普段の調子で重ねるのだ。君の抱えた愛おしき願いも、ぼくの背に佇むくらやみも、等しく他者から、真の意味で理解はされないだろう。 だからこそ、 これで良かった。すう、と小さく息を吸う呼吸音。 梅雨の運ぶぬるい風は、思考の整理には些か物足りない。 )「大人………………? 」(普段おちゃらけた、溌剌なきみは、時折、とても意志の爛々と輝く横顔を見せるのを、少しだけれどしっていた。 斜め後ろに見ていたその姿が、 今はとても近いものに思える。雲の出て翳りが出れど、 その輝きは、君の心臓に根を張ったみたくそこにあるんだろう。 黒の真珠は君を見詰める。 小さく頷いて、しかし、 余計な言葉一つ挟まずに咀嚼するのだ。 そのあいだ、その青年は、安らかで、教会に置いてある聖母像を掠めるような、 きみの追い求める大人みたいな顔をしていた。 若さへの羨望と応援、慈しみ。 ……………… そして、 自身への諦観。 )( 君と僕は、思えば、真反対の位置に立っているんだろう。 環境や、様々な契機すら異なった。 対角線の交点にいることは、言い表すならば不思議な感覚であった。思考すらばかばかしいほどで、あるはずなのだ 。 比べる地点にすらなかった。 だって、考えたって虚しいだけだろ。
〝お兄ちゃん〟も、〝父さん〟も、〝母さん〟ですら、きっと、ぼくでなくてよかったのだ。きみが聞いた、『あぶないから』『怪我はないか』『〝俺は大丈夫だから 〟』という言葉達と、僕のいつか掛けられた言葉たちの、本質はきっとまるで違うんだろう。 〝子供〟であることを強要されたことなど、生まれてこの方無かったような気すらする。 『大人びてて偉い子だね、』誰かが僕をそう評価すると、 母さんは決まって嬉しそうな顔をした。 ぼくの髪が伸びると、彼奴は決まって喜んだのだ。 …… 喉奥に絡まる不快感を下へ下へと押し遣る。 醜く嫉妬に狂いきみを傷付けようとする言葉を吐きたくなくて、 ぼくは、また〝見ないふり〟を重ねて、 甘やかにミルクを溶かしこんで言葉を発したんだっけ。 (せめて、光へと近付けるように。 )きみと接していると、なんだか僕も、素晴らしいものになれそうな気がする、なんて、同一視も甚だしいだろうか。 きみなら、こんな後ろめたい考えだってさ、普通の顔して、笑い飛ばして許してくれるのかな。 )「上から目線みたいな言葉になってしまうけどさ、 七竈くんは偉いよ。 そう考えてる時点で、周りよりもう何倍も大人だと思う。……僕はね。 尊敬できるな。 」( 本当の子供は守られていること、その事実にすら気付かない。庇護下でぬくぬくとすごしていく普通校の生徒達を見た彼は、きみが『ガキ臭い』と言った何倍も、その考えを尊いものだと思ったはずだ。 )「ふふ、 そっか。 」( その、 無骨で瑞々しい掌が髪をはぜると、彼は今まで見せなかった、とびきりおかしな顔をした。 丸めた目は、 すぐさま細められ、 柔らかな、されど無機質さのない、 自然体の笑みへと様を変えた。 ふふと、笑うのが松風の頬を撫でるような、爽やかな笑いを見せ、この声色は明るく、〝年並の男子高校生〟らしいかった。 生まれてこの方、と言えば嘘になるかもしれないが、 久しく、純粋な温もりなど感じてこなかったからだった。 擽ったく気恥しいのを隠すように、 次に並べた言葉は冗談めいた調子だったろう。 )「じゃあさ。僕も辛くなった時、〝大人〟の 君に頼りに来ようかな。 」 (ちら、と、君のイエローを見遣る。 その原色が痛いくらいであったのに、今では、 何故だか暖かな質感を持ったものに変えた。自分語りのこそばゆさに、係る髪を耳に掛け自身の耳に熱が集まって居ないことを確認したのだった。そのほころんだ笑みは、いつもより幾分か幼く見えたはずだ。 ) (5/13 23:27:37)
七竈 八六>
『上から目線みたいな言葉になってしまうけどさ、 七竈くんは偉いよ。 そう考えてる時点で、周りよりもう何倍も大人だと思う。……僕はね。 尊敬できるな。』(···············彼は、幸せなんだと思う。だってまだ何も失っていないから。かけがえのないものを、譲れないものを妥協で手放したことなんて1度もなかったから。失っていないからこそ、誰よりも上手な『諦め方』を知らないから。対する貴方は大人にならなくちゃいけなかった。貴方が大人になればなるほど、周りが喜んだ。 子供で居させてあげたい愛情と、大人として成長する子への喜び。どちらの感情にも間違いなんてどこにもない。 『子供でいることへの焦燥』と『子供には戻れない諦観』。彼と貴方はどこまで行ったって相対的な存在だった。対角線上の斜め下、貴方は彼の後ろ姿を見ていて、彼はプリントを回す時だけ横顔に目が行くように。)醜く、タールを煮詰めて掛けたような嫉妬心を抱かれているなんて彼が知らないように。貴方もまた、彼が『達観した遠くにいる貴方』をどこかで羨んでいることを、何故自分は、とほんのりと比べてしまうことを分かりやしないんだろう。)(…小雨になってきた。雲の隙間から光が差す。)(互いに無いものねだりだった。今日はほんの少し、雨の中。時間があったから交差した。貴方のあどけなさの残る顔を、彼は忘れやしないだろう。〝 そんな顔が出来たんだ〟って。でも、次日常に溶けた時、またいつもの日々に完全に戻ってしまうのは少しばかり淋しいから。)『じゃあさ。僕も辛くなった時、〝大人〟の 君に頼りに来ようかな。』「………辛くなった時じゃなくてもいいよ。…あ゛ーー、……いやその、なんつうか、さ。暇な時とか、遊びに誘ってくれりゃあ全然行くし。カラオケとか、ゲーセンとか。」「………………これからの季節なら海も良いかも。」(悲しみは半分、喜びは2倍。いいじゃないか、〝 普通の友達〟みたいなことしたって。大人になりたいとはいえ、子供に戻りたいとはいえ。我等はその中間地点の、『男子高校生』だろう。)「……てか、雨もそろそろ上がってくるんじゃねえかな。俺も弁当取りに来ただけなのに、話すの楽しくて長居しちった。」(彼はリュックサックを手に持ったのならば、それを肩に少々雑にかけて、立ち上がる。そして立ち去る手前、きっと彼はあなたに当たり前のように誘いかけるはずだ。)「……一緒に帰ろ、志賀ちゃん。」 (5/13 23:48:45)
小室 耕助>
(夜が私は好きだ。正確には、この季節のこの曜日のこの夜を好んでいる。暑すぎるわけでもなく、寒すぎるわけでもない。平日というのもあり、殆どの生徒はもうそろそろ就寝する頃合いだろう。こういう時こそは私は外に出るのだ。誰もいないのを見計らい、自らのディスコードを呼び出す。大きな親友の隣に座り、噴水の音を聴きながら空を見上げるのだ。カミの声を聞ける私も彼の声を聞いたことはない。私に喋ってくれないだけで、本当な話せるのもしれないしそもそも言語というものを持たないのかもしれない。君はどちらなのだろうと思いながら時を過ごしていた。するとどこからか人が歩いてくる音が聞こえる)「……こんな時間に人が来るのは、眠れなかったのかな?」(もしくは通りすがりなのかもしれないけど。もしこちらに来たら……その時はその時だ。現れた相手が眠くなるまで話でもしよう、なんて誘えばいい。通りすがりだったなら、悪戯でこっそり後ろから忍び寄るのも面白いかもしれないな) (5/10 00:44:44)
七竈 八六>
(──────────ローはいつだって貴方の傍に。)(威圧的なそれとは相対して、夜の帳が降り、星が散りばめられた夜に寄り添うように。水の粼、噴水にコインを投げ入れると願いが叶うだなんて夢物語を綴ったのは一体誰だったか。誰もいないからこそ安堵していたのか、誰かが来ないかと期待していたのか。いずれにせよ伽藍と静まり返った閑静さは、突如白紙にインクを落としたように終わってしまうものさ。)「…………アレッ、小室先輩っ??」(ぺったぺったぺった、とサンダルの音に交わるレジ袋の嵩張る音が、貴方の傍で止まった。次の瞬間。夜に垂らされた黄色の差し色は、貴方が誰だかに確信を得たと同時に、パァァァァッと、知ってる顔を見つけた犬の如く顔を輝かせることだろう。)「えェーーーーッッ!!!!!〝 小室先輩〟じゃねェーーーッすかァ~~~~~!!!!こんなとこで会うとかマジで偶然なんすケドッ!!!!なんすか、ひょっとして今〝ぼっち 〟っすか??」
(ペタペタペタ、と足早に近づいたかと思えば、ニヤニヤと笑いながら『1学年上の先輩』に対してやけに失礼なことを言うのはご愛嬌。無遠慮に隣に腰掛けるのも、「貴方なら許してくれそうだったから」 …だ、なんて。まるで普通。そう、「学生の日常」を切り取ったような会話だった。あまりにも、普通過ぎた。それもそのはず、彼の目には貴方が『独りぼっち』に見えているのだから。その由来はまだ彼が、『己の可能性』〝に気付いていないことに起因していた。きっと見えていたらあなたの隣の怪物に、手のひとつでも振ってやっていた筈なのに。)(彼は、レジ袋を漁りつつ眠れなかったのか〟その問いかけに、こう続けた。)「…………嗚呼、まあ眠れなかったのもあンだけどォ……………………」「…………所謂コンビニ帰りって奴?今日は夜更かししようなーーーッッ!!て言ってたのに、アイツ(友達)寝てやンの。ひでぇと思いません???暇だし腹も減っちゃったから肉まん買ってきちゃった。………………食う?先輩も。アンマンとね、肉まんがあんだケド。」 (〝 外出申請だしてねえから、せんせーにナイショね〟。 だなんてさ。まだ暖かなそれらを、彼は貴方に選ばせようとしてるみたい。) (5/10 01:19:05)
小室 耕助>
「ん、ああハチロク君じゃあないか!こんな所であうとは本当に奇遇だ。勿論"ぼっち"、君が来たことで変わったけどね」(現れた青年を見れば、私は先程までの悪巧みを忘れて笑みを浮かべる。多少失礼な事を言われた気もするが、ああそれは別に許せる事だ。私はこの青年を好んでいるのだから。……勿論それは変な意味ではなく、親愛と"勝手な期待"からだ。君がヒーローになれば、きっと君は誰も見捨てようとしないだろう。君の中ではそれは普通のことかもしれない、だが実際それができる人はそうそういない。君はきっと自分の信じるまま、強い精神性で突き進んでしまえる人である。だが反面……)「ははは、まぁ口約束というのは破られるものだからねえ。そうかそうか……美味しそうだね?仕方ない、あんまん一個で手を打とうじゃないか」(優しすぎる印象もある。もしトロッコ問題に直面したら、どちらも選ばずに身を挺してトロッコを止めようとするんじゃないかというような。勿論これは私の勝手なイメージの押し付けにすぎない。私の中の彼と実際の彼は違うのだ。だがしかし、そう感じてしまうから君にローが見えなくて本当に良かったと、君がこうして普通の高校生でいる事に安堵しているところもある。そう私が感じているのはおかしい話で、自らの価値観との矛盾は理解してはいるのだが……) (5/10 01:43:43)
七竈 八六>
「 へへッ………1+1は2になることぐらい俺にも分かっちまうっつうわけっすよ~~~~ッ……つか先輩も暇なら連絡くれりゃあいいのに。こんなとこで一体何してたんです???」 (ほらな、貴方は怒らなかった。隣に腰掛ける彼は そのまま離れる気配もなく、根本的な疑問符を投げかけることだろう。貴方がどうしてここにいたのか。口振りからして「誰かと待ち合わせ」というのは考えにくい。片手にコインも持っちゃいない。おつむが軟弱な彼じゃあ、貴方から見て取れる情報だけじゃ推理は困難を極めるんだ。その結果。心理戦じゃ叶う訳もなく単純明快、悪く言えば『嘘が付けずに騙されやすい』と、貴方にですら見透かされているのだけれど。それと同時に、…否、だからこそ彼は貴方を尊敬しているのだ。ほんのりとやや頼りないところはあるけれど、隣にあるはずの優しげな横顔が、なぜだかどこか、歳相応以上に時たま、大人に見えてしまうものだから。)「…………………ン゛ァ~~~ッ………まあァーーーー………………ちょい寂しいけど、寝不足で倒れられるよりかはマシだしィ……………そんぐらい気を許して貰ってるっつゥーーことで……」(『口約束は破られる』。そんな貴方の意見は最もだ。でも、それを仮に心得ていたとしても『楽しみしてててだからこそ、ちょっと寂しい』という感情が拭えるかと言われれば話は別じゃないか。彼はまだ、俗世を知らない子供に近しい。)『…美味しそうだね?仕方ない、あんまん一個で手を打とうじゃないか』「 さぁっっすが小室先輩分かってるゥ~~~ッ!!!!はい、こっちが先輩のねェ…………………ンンで、俺のがァーーー……………………こっち!!」 ( あどけなさの抜けきらない黄色が歯を見せ笑う。袋からアンマンを取り出せば、彼は貴方に差し出すだろう。)「……………………、……」「……………──────────ッ………あ゛ーーーーッ……………先輩ちょい待って!!!!」(…………嘘。嘘である。渡した手前、貴方が受け取ってくれていたらちょこっと無言で見つめてちゃった。そしてあろうことか、包装を剥がしてしまうその前に腕を軽く引っ張ろうとしてしまうかもしれない。)「…………それェ、やっぱ半分こしねえ?俺のとさ。」「………………………兄ちゃ……………………兄貴と食べる時はよく半分こしててェーー…………………そしたら色んな味、食えるし。……………とか、言ったらァ………………俺、やっぱがめつい?」 ( ホントはあんまんも食べてみたくなりました、だなんていかにも『子供じみた』理由。さすがのあなたも嫌かな、なんて。わがまま言った手前彼なりに少し気遣ってるのか、伺うような視線は外さずに。拒んだっていい。あんまんは貴方のものだ。) (5/10 02:13:48)
小室 耕助>
「君が起きていると思わなかったからね。それに私も一人の時間を過ごすこともあるさ、特に理由もなくね?」(君を騙すことはできるかもしれないが、わざわざ騙す理由もないしこの言葉に嘘はない。君が起きていると予想できないわけではないが、寝ている可能性も高かった。わざわざ起こすほど自分とて寂しがり屋というわけではない。理由だってそこまであるわけじゃなかった。ただ眠れなくて、特にやりたいことも今やるべきこともない。今日は過ごしやすそうだと感じたから、きっと誰もいないと考えていた。私のこの予想はある意味君が来たことで外れたのだが)「寂しいか。なら私が話し相手になってあげよう、暫く寝る予定はなかったしね。何でも屋としては見捨てておけない事態だ」(寂しいけどなんでこぼす君に揶揄うような口ぶりで語りかける。別にそれを子供っぽいとは思わなかった。からかったのは、いうなればパフォーマンス。ちょっとでも笑って、或いは怒ったその気持ちを忘れられるならば幸いだ)「じゃあもらおうか……ん?くっ、くく……半分こか。ああいや、それで構わないよ……たしかに半分こすれば色んな味を楽しめるな」(先程とは違い今は、多少子供っぽいなと感じてしまった。一才違いの後輩に言うべきではないが、こちらを伺いながら提案する姿は幼い子のように見えて……思わず笑ってしまった。ああこれは良くないな?急いで訂正をして、たら半分こにしておこうと提案を飲んだ) (5/10 02:40:33)
七竈 八六>
君が起きていると思わなかったからね。それに私も一人の時間を過ごすこともあるさ、特に理由もなくね?』「え゛ッ……………?!マジで????それってくっそ暇じゃね?ゲームも無し、話し相手もなし。空っぽの両手に豚さん乗せることになっちまうだろォ~~ッ………………」(〝 信じられない〟、と言わんばかりだった。特に理由もなく1人で時間を過ごすだなんて、正しく『手持ち無沙汰』と言うやつじゃないか。バスが中々来ないからと1人で待つ時間さえも鉛を引きずる様な感覚なのに、それを自分から望むだなんて考えたこともなかった。……それもそのはず、馬鹿ってのは『生きやすい』と同時に、『時間の使い方が下手くそ』なんだもの。)「……………………いやー………………あーー…………でも、そういうとこがやっぱちげえんだろうなァーーーー……………先輩って。………………………あんま上手くいえねえけど、…………〝 色々考えてそう〟だから。」
(だからこそ自分とは違う視点、何でも屋さん基『探偵』を名乗る志。 貴方に何があったかなんてのは知らないけれど、直観的にそう思わずには居られない。きっとかっこいいヒーローは1人で立てる筈だし、『寂しい』なんて思わない。今更ながらにほんのり滲む、なんとなしの羞恥心。半分こにしようか、と優しく応じてくれる貴方に対し、本来ならば『マジで?!?!?!』と喜ぶところだったのだけれど、お礼を述べたあとの彼の表情はどこか少し悩ましげだった。)「………………………なあ、やっぱ先輩ってマジ、余裕っつか、落ち着きっつか。…『大人』だよな。1歳しか違わねえのになァーーーー……………」「………なんかさ、俺。早く〝 大人 〟になりたいんだよね。皆見たくディスコードがある 訳でも、下手すりゃ他人のディスコードが見えない時だってある。だから適性がどうのとか言われても全然実感湧かねえし……………………………」(率直な考えだった。貴方にあって彼には無いもの。それはきっと冷静な判断力と客観視。確かに貴方はどこか抜けているところがあるかもしれない。ほんのりそれでも、それでもだ。聞かずには居られない『余裕』の秘訣。嫌な大人だっているけれど、自分の見てきた大人の中にはかっこいいヒーローだって確かに存在した。)「………………………………あ。」「やべ!………へへ、半分こ下手っぴになっちった。……はい、先輩これ。」 (話しながらやっていたからかもしれない。ふわりと指を軽く沈ませ、割いた肉まんは左手の方が大きくなってしまった。彼は左手の肉まんを差し出しつつ、とっとと残りの肉まんを咥えることだろう。お腹、空いてるもんだから。) (5/10 03:17:25)
小室 耕助>
「確かに暇だよ、何か話すわけでもなくぼんやりするだけだ。でも悪いものではないよ?……色々考えているねえ。どうだろうな、君はー……この世に正常なものがあると思うか?」(途中まで何も考えず笑っていた。でも色々考えていると言われたら、思わずそんな問いが漏れてしまう。正常、変わった所も悪いところもなく普通なこと。でも普通ってなんだ?誰が良い悪いを決める?そんなもの周りの人間がどう捉えるかによる。多数派がそう考えているから、というだけにすぎない。そして多くの人が同じ価値観を持った場合、誰もブレーキをかけず暴走する。それが当たり前の、正常な行いになるから。私は正常というものが嫌いだ……私はやはり君に期待してしまうのかもしれない。自分とは違う答えを、だが今話す事でもない。『今のは忘れてくれ』そう付け足した)「私は大人じゃないよ?悪戯好きだしな。……そういう話ではないか。まぁ余裕っぽく見せる事かな?私自身いつでも余裕ではないよ。まあ私の話は良いじゃないか、それに焦る事もない」(自分だって人の子、弱い部分もあるし怖いものもある。全く戦いを恐れないのか、死が怖くないのかと言われたら即答できないかもしれない。それを表に出してるかどうかの違いだろうと、考えを口にする。要は弱みを見せたくないだけなのだ。私はちょっと大きい半分の肉まんを口に含み、なんとなく雲を見上げた) (5/10 03:52:37)
七竈 八六>
『君はー……この世に正常なものがあると思うか?』「………………『正常』?」「………………あ゛ーーー……………すげえ難しいなァ、それ。………………馬鹿だからさ、あんま良く考えらんなくて………そういうの。………………でも、自分とちげえことしてんのが『異常』…皆と同じことしてるから『正常』だってのは、なんかそれも違うかなって。……あんま答えになってねェけど、………正常になりたいから、浮きたくねえから、皆がそうしてるからって、自分を潰して生きてくの。……………『正常』、『異常』以前に俺がめちゃくちゃ『嫌』なコト。」「…………100人中1人が犠牲になったり、置いてかれたりしてたら……………それはハッピーエンドじゃないっしょ。多分。」(彼は、ふ、と。投げかけられた問いかけに頭を悩ませながら、ぽつりぽつりと呟いた。まるで何も分かっちゃいない希望的観測だ。聞く人によっちゃあ偽善にすら聞こえるだろう。事実、これは彼のエゴで、我儘なんだから。トロッコ問題然り、『100人の中の1人を見捨てれば99人助かるよ』だなんて言われたら、きっと彼は1人を99人に投げ入れて自分が1人の舞台に立つんだろう。)(『忘れてくれ』と口にする横顔、貴方が何を見てきたのか。ルクレルク人の迫害、嗤う大人。『赦せない』という確かなエゴと正義感、『盲目的な正常』に『NO』と中指を立てるよう、貴方にゃ『ロー』が傍にいる。)「………………だから。」「…………………それがわかるようになったり………頑張ってる奴とか、我慢してる奴を〝 子供〟で居させることが出来るぐれえに早く大人になりてーーってのが、あるから………………」「…………………あ゛ーーー…………」「…………なァんかうまくまとまんねーわッ!!!!俺、やっぱこういうのめっちゃ苦手、ビシッとかっこよく答えられたらいいのに。…………………ねえ。先輩はさ、もしも──────────……………」「………………………、…………、…………ぇ、」(彼は、息を止めて居たように途中でぷはっ、と後ろに仰け反り、語彙の無さをほんのりと後悔した。やっぱこういうのって向かない。貴方ならなんて答えるんだろう。きっと自分とはもっと違ったことを、答えるんじゃないのか。彼は困ったような、どこか照れくさそうな笑みを浮かべて、彼の方を見やった。)「……………、………ぇ、……ッ…」(見やって、しまった。)(…………それは、ほんの一瞬。瞬きをするまでの刹那。質問を飲み込むには十分すぎるものが、視えた〟気がした。貴方の〝 不和〟。自分よりずっとずっとデカい、人ならざる者が蜃気楼のように、ぼんやりと。)「……………ッ゛ッ…………小室先輩なんかッそこに!!!!!!!!」(…彼は思わず立ち上がり、貴方の方を指さすことだろう。しかし、しかしだ。表記した通りそれは『瞬き』をするほんの一瞬だけ。そこにいるのは半分こした肉まんを手にもつ貴方が変わらず1人を。)「………………ッあ、あれぇ……………????い、いま……なんかすげえ、でけえのが見えてた気が、すんだけど……………」「…………………ッ……かしいなァ…………………」( 今のはきっと気のせいだった。…と、片付けるのがいいんだろう。〝ごめん先輩、忘れて 〟なんて。貴方のさっきの真似事じゃないけど。彼は貴方の隣に再び腰掛けたのならば、もす、と肉まんを頬張るのだった。)(………まだ彼は、自分の可能性に、気づいちゃいない。)〆 (5/10 13:24:12)
エレナ>
放課後を告げるチャイムが鳴った。これにて授業は終わり、以降はめでたく自由時間となる。普段は世話になっているボクシングジムで、バイトついでに同い年くらいだったり子供たちのコーチをしながら鍛えているのだが、こういうスポーツ系統のは当然だが案外休みも多い。選手も兼ねている自分は、腐っても学生の部でなら連覇中のチャンプだ。つまらないオーバーワークで潰したくないという部分もあるのは、目に見えていた。なんでこんな話をしたかというなら、丁度今日がその休みの日にあたる。挙句今日は、下の学年は何やら学校の都合で、1時間余早く授業は終わっていたりもした。つまり、このチャイムは彼らからしたら随分拍子抜けしたタイミングで鳴ることだろう。『……さ、て。どうするか、穂坂とばかり会うのもなんだしな……』微妙に失礼な言葉が、するりと口から出たのを私は自覚している。今日は誰かと会いたい気分。そして、半ば家族のような穂坂と居る自体は気楽だし楽しいのだが、たまには違うヤツとも遊びたくだってなる___ほら、おばあちゃんの家に毎日行かないだろ?『やっぱりここか。貴様、体力が有り余っているならウチのジムにでも来るか?新規入会者は歓迎らしいからな。』なら、訪ねるのは体育館だ。頃合だろうというタイミング____つまり、彼が友達とスポーツに存分に励んだ頃合だ____に、行く前に立ち寄ったコンビニでスポーツドリンクや菓子類を買って詰め込んだビニールを指先にぶら下げながら。扉を開いて、中にいるだろう七竈を訪ねた。『ほら、差し入れは色々持ってきてやったから。時間があるならたまには付き合え。』ただ、彼には彼の都合や付き合いもあるだろう。そのための秘密兵器がこれ。買ってきた差し入れである。要するに買収というワケだ。 (5/11 22:11:44)
七竈 八六>
(──────────日が充分に伸びきったこの季節の放課後が、彼は大好きだった。1時間早く終わったというのもあってか、体育館の窓から注ぐ陽光は依然として明るく『まだ帰る時間じゃない』と、そんな余裕を抱かせてくれる。御歳17歳。彼は 『あと1時間か……』とうつらうつらしていた中で、チャイムが鳴った時どんな顔をしていただろうか。きっと拍子抜けした表情で周りに『え?!?!?!マジ?!?!もう帰れんのッッッ?!?!?!』だなんて嬉々として確認を取るや否や、リュックサックを乱雑に手に持ち、友人達とジャージに着替えて体育館に駆け込んだに違いないだろう。)「ッッッはァーーーー………………あ゛ァ~~~~~~~~~~ッッッ………ちィ~~~~~~~~…………………」(…とはいえ。)(とはいえ、だ。体力も無限じゃない。全力で運動した後の心地よい疲労感。膝に手をつきながら軽く息を整え、じわりと滲み滴る汗が顎から伝い落ちる前に、ジャージの腹部分、裾を持ち上げては腹が見えることも気にせずに、ぐし、と乱雑に拭う彼。流石に喉も乾いてきた。ここいらで一旦飲み物を買うのもありか、なんて。思考を巡らせていたその時。)(ガラリ、と。)『やっぱりここか。』「………………………あ。」(……そこの、〝扉 〟が、空いた。視界の先には自分よりも背丈がやや高い、女性にしても男性にしても恵まれた体格の持ち主。威圧感は100、おそらく貴方が入ってきたその瞬間。周りの男子生徒諸君は息を飲み、一瞬時が止まったようにシン、と静まり返った後にザワつくのだろう。そして、そんな中で彼だけが。)「〝エレナ 〟先輩じゃあねえっすかァ~~~~~~~~ッッッ!!!!!!!逢いに来てくれたんすねェッ!?!?!?! ……………あっ!!!先輩ごめん。俺今ちょっと汗臭いかも。 」(ぱぁぁぁぁっ、と。それはもうお気に入りの顔見知りを見つけたワンコの如く、人懐っこい笑みを浮かべて貴方に駆け寄るに違いない。)『貴様、体力が有り余っているならウチのジムにでも来るか?新規入会者は歓迎らしいからな。』「いやーーーーッッッ………お手隙なら遊びに行きてェんすけどォ……………俺普段バイト入れちゃってて…………ほら、引越しとか荷物とか運ぶの手伝うやつ………ッッッてェ!!!うぅわ先輩これ俺にッ??!!超嬉しいンすけど!!!!すっげーーーー喉乾いてたし、マジ腹も減っててッ!!!」(そう、貴方の誘いはとても嬉しいのだけれど、上記で口にしたように彼は普段放課後はバイトで忙しい。それに『ジム』となればなんだかお堅いイメージも、お金もかかるだろうし……と密やかに思慮するのはここだけの話。ガサリとレジ袋を鳴らし、差し出された中身はまるで自分が今日の放課後ははしゃぎ騒いでいることを見透かしていましたよ、と言わんばかりのものばかり。困ったような笑みは一変、受け取る彼はガサガサと漁りながら、『俺これ超好きなんすよォ!!!!!』だとかなんだとか。)(『時間があるならたまには付き合え。』 )(…どうやらこの買収作戦は、成功したようだ。なんせ彼はこの後二つ返事をするように、友人達にこういうのだから。)「なァごめんッ!!!!!ちょい試合先やっててーーーッ!!!!まだやってたら途中から混ざっから!!!先帰っててもいいけどッ!!!!!!!!」 (5/11 22:42:58)
エレナ>
『……わかった、わかった。お菓子を買ってやったくらいでそう騒ぐな。ゆくゆくは誘拐とかされそうだぞ。』小学生か、コイツは。と、鯉にパン切れを与えたような効き目に少々心配になる。自分でやっておいてなんだが、放っておいたら大変なことになりそうな気がする。うん、これを真似る悪いヤツが居ないか見張ってやろう。と、呆れと微かな母性が同居した口振りで答えて。『勧誘も半分くらいは冗談だ、バイトを頑張っているらしいのはたまに聞く。大変なところに無理やりやれとは言わん。ただ、そうだな……もう半分。試合、そろそろやるから見に来い。』借りていくぞ、と振り返りながら小さく手を振り、体育館をあとにする。校門を過ぎて、行き先を伝える前に、なんだかんだコイツの場合律儀にあれこれ考えていそうな気がするから、別に気にするなと肩を軽く叩いて『貴様を見つけたら、___86発叩き込んで決めてやるから。まあ、そんなに私のドギツイのを食らえば穴だらけだろうけどな。』試合を見に来いという旨を、本当はこっちを言うつもりだったんだがなと前置きしてから述べた後。86発で決めてやると宣言した。七竈 八六に掛けてだが、乱打の打ち合いに見えて一撃必殺もかなりの頻度あるボクシングでそれだけぶち込んだら、多分えらいことになりそうだ。『……連れ出したのは他でもない。独りだと行きにくい場所があってな。その、つまり……スイーツを、食うぞ。貴様みたいなマスコットが居れば、私も臆面もなく甘いものを食べられる。いいな、他言無用だからな。』女の子のくせに甘いものを食べに行くのが恥ずかしいというのは自分でも悲しくなるが、こんな奴がうろついていたら一々雰囲気が物々しい。調子のいい穂坂だと多分一日からかわれそうだし、真だとアレはなかなか掴みどころがないから、会話が途切れ途切れになりそうだ。なら、適任は彼だろう。顔が僅かに震えて、目が逸れる。悔しいような恥ずかしいような___かなり後者が強いが。そんな気持ちだ。 (5/11 23:08:49)
七竈 八六>
「ぶはっ!!!なぁおい、誰が野郎なんか攫うっていうんすかァッ!!!!いねぇーーーッすよそんな物好き!いたとしてもこのハチロクちゃんがビシッと成敗してやっしさァ…………………お、これ貰い!!!!」(彼は貴方の物言いに、思わず吹き出した。これが可憐で華奢な女の子ならともかく、自分は身長にも恵まれて体格もそう悪くは無い男子高校生、女子とは似ても似つかない。…そりゃ、貴方の隣に居たら多少は小さく見えるかもしれないが。彼は『ないない』とヘラヘラ笑いながら、袋の中に入っていた棒状のスナック菓子を開封し、さく、とそれを口にした。)『勧誘も半分くらいは冗談だ、バイトを頑張っているらしいのはたまに聞く。大変なところに無理やりやれとは言わん。ただ、そうだな……もう半分。試合、そろそろやるから見に来い』「ん、ん゛んーーー???ひふぁい??………ッん゛ん、……え゛っ、マジっすか???それ、ボクシングのッスよねェッ?!!!」(あなたが言うには、この誘いは半分冗談なのだと。残念なような、安堵したような。自分だって興味がなかったわけじゃない。男が何かをする同期なんて、『かっこいい』だけで充分だろう。彼にとってボクシングはその『かっこいい』の分類に入る。サクサク、とスナック菓子を口に入れてしまいモゴモゴとしながら、投げられていたリュックサックを手に取り、肩にかけた彼は、貴方の隣にやってきてから、早くももうひとつスナック菓子の袋を開封しつつ、話に耳を傾けることだろう。)『貴様を見つけたら、___86発叩き込んで決めてやるから。まあ、そんなに私のドギツイのを食らえば穴だらけだろうけどな。』「あはッ!!なんスかそれ。〝ハチロク 〟だけにってやつッスか?でも、かっけェんだろォなァ~~~~~~~………………先輩のそういうヤツ。こう拳を構えてさ、抜群の動体視力活かして避けながら、こう ズババババババァッと!!!!!アレだ!!!ジョジョみてェなッ!!!!」(貴方のそれが冗談だろうがなんだろうが、きっと彼の返答は変わらなかった。86回のラッシュだなんて漫画も宜しく、自分に因んだジョークや攻撃は幼心を捨てきれない彼にとっちゃあまあ嬉しいもので。拳を構える素振りを見せる彼は、にひぃーーーーッと歯を見せ、きっと無邪気に笑って、次の言葉を投げかける。)「いつやるかあらかじめ教えといてくださいよ。俺シフト確認するんで。ぜーーーーーーッてェ見に行きます、先輩の試合。」 (誘われれば行くともさ。なんせ貴方の為だもの。彼は上履きを袋の中に入れ、靴を履き替える。トントン、と雑に足先を靴の中に収めたのならば、行きましょうかと、あなたの隣を歩くに違いない。)(そして。)『……連れ出したのは他でもない。』「……………んァ?」(ここからが、〝 本題〟だ。彼はなにやら言いにくそうに目をそらす貴方に、もう一本目のスナック菓子を頬ばろうとしながら不思議そうに見やる。口を開いた貴方から、出てきた言葉ってのは。)『独りだと行きにくい場所があってな。その、つまり……〝 スイーツ 〟を、食うぞ。貴様みたいなマスコットが居れば、私も臆面もなく甘いものを食べられる。いいな、他言無用だからな。』「………ああ!!スイーツ!えーーーッ、めっちゃいいじゃないっすか!!俺甘いの超好きなんだよねェ~~~~~~……………ッて、なんスかマスコットって!!!あの、先輩!!!!ずっと思ってたんすけど、俺そんなに子供じみてますかねェ???攫われちまうとかなんだとかァ…他のやつも妙になんつうか、……………あーーー…ンやまあ、いいけどさーー…なぁんか腑に落ちねえの。」(彼は一瞬、キョトンとした表情を見せていたがそれもつかの間。『スイーツ』、それは彼も例外なく好きな食べ物…………というより彼は嫌いな食べ物が基本的には存在しないと言ってもいいのだが。目を輝かせる彼の返答は当然『YES』。…しかし、聞き逃せなかった単語がひとつ。それはその『マスコット発言』だ。マスコットってのはいわば愛玩具のようなもの、かっこよさを追い求める男からしたらその発言は『心外』だ。表情は一変、口を尖らせる彼は 染めた金髪を軽く弄りつつ、小さくため息をつく。) 「……………あ、つか先輩。…………まあ、『秘密』はいいんすけど、なんで行きにくいんすか?先輩、ふっつーに女の子っすよね。………確かにちょい、ギャップはあっかもしんねーっすけど。」 (…これはふ、と頭によぎった疑問だった。普通ならば何となく察して微笑ましく思うところを、彼はデリカシーもなくズカズカと。自分からしちゃ分からない。どことなく恥ずかしそうに目を伏せている貴方を、彼は覗き込むように見つめるだろう。) (5/11 23:47:06)
エレナ>
『誰に言っている。当然、最高にかっこいいものを見せてやるさ。』___ジムから推されている理由の一つが、それだった。プロボクサーと違い、学生の1ラウンドは2分。その上でラウンド数もかなり短い。よって定石は粘って判定勝ち___しかし、例外は存在する。その2分でぶちのめせる破壊力と、判定に逃がさずに張り付ける瞬発力があるなら話は違う。ボクサーとして見た技能や練度は、トップ層の選手に半歩劣るが抜群の一発がそれをひっくり返す。つまり、絵になる選手だったからだ____かっこいいと言われるのも、目立つのも構わないし、それは誇らしいことだ。当たり前だろとう微笑すれば。『……悪かったな、少し拗ねただけだ。貴様は十分いい後輩だし、かっこいい男だから安心しろ。』ぞわり、と、背中の辺りを指でなぞられるような気持ちになった。宥めるように、言葉がつかえないように。最新の注意を払いながら、ゆっくりと言葉を並べていく。嘘をつきたい訳ではない。自分を慕ってくれる後輩に、いっそ話してしまうのも本当は、道義的には悪くはないのかも知れない。けれど_____だから、言えないことだってあるじゃないか。僅かな間隙に噛み締めた唇を、慌てて引き剥がして言葉を続けた『子供扱いしている訳でもないさ。だから、機嫌を治してくれないか?』心臓を落ち着けながら、違うからと手を振る。自分じゃない誰かの話しているような気分で、気が気じゃない。『___き、貴様な!?わ、私のような奴が……その、あまり可愛らしい店は似合わんというか。そういうものは、もっと可愛い娘が行くべきというか……つまり、そういう事だ。』だから、跳ね上がった声も随分大きかった。説明すればするだけ、顔が熱い、真っ赤になる。寒い日に入る湯船がより熱いように、さっきまでの緊張と動揺がひっくり返って羞恥とか惨めさに変わって襲いかかってきた。少し進んだ先にある、白を基調としたケーキ屋。モチーフはログハウスや北米の住居なのだろう、壁に塗られた白と、木の明るい茶色が調和している。外からだと割と普通に見えるのは、カフェスペースを備えている都合輪郭がやや大きいからで、実は中は壁も家具もパステルカラーの水色やピンク、或いはそれを更に薄めたような色彩に支配されている。まるで小さい子の使う玩具がそのまま大きくなり、それを詰めたようなポップで可愛らしい空間だ。つまり、私にはすごーく入りにくい。『今更卑下する気は無いが、背も、高いし……それに、随分筋張っているし、な……。』 (5/12 00:18:44)
七竈 八六>
『……悪かったな、少し拗ねただけだ。貴様は十分いい後輩だし、かっこいい男だから安心しろ。』「えへぇ~~~~~、そっすか??そんならまあいいんスけどォ~~……」(彼は案外ちょろい男だ。故に少し褒められただけですぐに調子に乗る一面があるのは言うまでもない。にへぇ~~…と頬を緩ませる彼は、〝 それならいいよ 〟と流してしまうのが証拠だ。故に、彼は鈍い。貴方がどんな気持ちで言葉を零しているのかに気付きもしない。運動から一水もせずにスナック菓子に手をつけたからか、喉が渇く。貴方から貰ったスポーツドリンクのキャップをきり、と開ければ歩きながらそれに喉をゴクリと通すだろう。)『___き、貴様な!?わ、私のような奴が……その、あまり可愛らしい店は似合わんというか。そういうものは、もっと可愛い娘が行くべきというか……つまり、そういう事だ。』「………………ん~~~~………」( 飲み物を喉に通しているさなかだったからか、この時の返答はやら悩ましげに、曖昧な返答をするのみだった。3分の1程一気に減った辺りで口を離し、きゅ、とキャップを閉める。こうしてだべっている間に辿り着いたのは『いかにも』なパステルピンクの、『メルヘン屋さん』と言うに相応しい外観のお店。入った瞬間立ち込める洋菓子屋特有の匂いに引けを取ることも無い『ユニコーン』や『虹の橋』が良く似合う 。 正しく貴方の言葉を借りるなら『女の子のおもちゃ箱をそのまま大きくしたか、あるいは自ら達が小さくなりその中に迷い込んだ』かのような内装だ。)『今更卑下する気は無いが、背も、高いし……それに、随分筋張っているし、な……。』「まあ確かに、〝かっこいい 〟っすよねェ、先輩。」(…そんな中で彼に零したのは運の尽きだったかもしれない。飛び出てきたのは率直に思った感想だった。このタイミンクじゃややデリカシーにかけることを本人は気づいてないんだろう。ショーケースに入った愛らしいケーキを見やる彼に、溜息のひとつでもつきたいんじゃないか。)「…じゃあ今度『これは自分に似合わないからで選んでる』じゃなくて、『これがしたい、これが着たい、これがやりたい先輩』で1日出掛けよーよ、俺と。だって先輩曰く俺ってほら、『かっこいい後輩』なんでしょう??」「………やっぱ俺、先輩がケーキ屋行くの渋る理由、わかんねえし。」 (ショーケースを見やっていた彼は、不意に後ろを振り返り 提案をした。揺れるピアスと人工的な金髪が、早く大人になりたいといきがる子供らしさとヤンチャさを更に醸し出すキーアイテムになっていることにすら気付かない彼が、女性特有の悩みを理解できるはずもない。確かにあなたはかっこいい。背も高くて『小動物のような』という形容詞は似合わないだろう。しかし彼の目からはきっと貴方も『そこらの女性』と変わりやしないのもまた事実。いい意味でも悪い意味でも、馬鹿なもんで。)「……… ……まあ、なんだかんだ言って俺が普通に先輩と遊びてえだけなんだけどさァーーー???…………へへ。あのな、正直さ、今日先輩が誘ってくれてめぇーーーーーっっちゃ嬉しかったッ。ありがと。」(続く言葉はやや子供じみた本音だ。〝嬉しかった 〟ってのも言葉通り、冒頭貴方に出会った時。手土産を見る前から尻尾を振り貴方の名前を呼ぶぐらいだ。照れくさそうにはにかむ様子と、また遊びたいと伝える趣旨。『つうかケーキなんにしますッ????俺も兄貴達に買っていきてえからめっちゃ頼みましょッ!!!!!!!』だなんてはしゃぐ様子は、確かに貴方の言う通り『マスコットじみてる』 かもしれない。 ) (5/12 01:22:18)
エレナ>
『……敵わんな。世話のかかる後輩だと思っていたが、いつから歯が浮くようなセリフを言えるようになったんだか。』コホン、と咳払いをする。あの、七竈くん。ここはケーキ屋の中で、普通に人が結構いるんだが____と慌てて制止。もとい説教でもしようとしたが、多分この男にそんなことを言ったところで意味をなさないだろう。それに、止めなかったのはそう。正直なところ満更でもないのは、否定できなかったからである。『……折を見て連絡する。ちゃんと予定は空けておけ。』自分には似合わないからな、と思っていたことなんて言うのは、何も可愛いものばかりではない。あまりかっこいい方向に振り切っても怖く見えてしまわないかとか。自分は強いと言う自信はあっても、泣き言なんて言わない腹は括っていても。やっぱり、誰かの目は多少は気になる。せっかく強くなっても、それで誰かから気味悪がられたり怖がられたら。手を伸ばしても繋いでくれないかもしれないと思ったりすることもあった。けれど、ちっぽけな悩みなんだろう……最初から。『ああ、好きなだけ頼むといい。だが、貴様のお兄さんの分も持ち帰るなら、包装はちゃんと分ける。友達の分はある程度統一してだな……。我々の分は、好きに食べて帰ればいいから気にしなくてもいいだろうが。』くす、と笑みが漏れた。この調子なら、これもいいあれもいいで決めてしまいそうな気がして。さっきまでは随分かっこいいことを言っていたくせに、また落ち着きのない……。よし。今日の会計は、持ってやることにしよう。そして、いつか……そうだな、私を連れて出かけると言ってくれた日にでも。ちゃんと打ち明けよう。〆 (5/12 07:07:18)
七竈 八六>
「クッッソあちィ~~~~~~ッッッ!!!!!!!いやもう夏だべこれッ·························ああ、もう、ちょい休憩ッ!!!!」( 雲ひとつ無い、手をかざせば自分まで染まって溶けてしまうんじゃないかという程に、色の濃い青空だった。麗らかな春というには差し込んだ陽光はあまりにも攻撃的で、昼休みに校庭で〝 サッカー 〟をするとなれば すぐに体温が上がり、汗が滲んでくる。彼、七竈 ハチロクも例外ではなく、昼食後、一通り走り回ること数十分。他のプレイヤーにパスを回し、1点決めた所を見送ったところで『選手交代!』と 口にした。休息をとっていた他の男子高校生にハイタッチをしたのならば、校庭の外へと走っていくやいなや、向かう先は備え付けられた水道だ。彼は高く結んだ髪を解いたのならば 屈み、蛇口を捻って頭から 水を被るだろう。)(日に当たっていたからか、出だしは生ぬるかったけれど、それでも暫くすれば冷たくなるそれが心地いい。つぅ、と鼻先や顎先を伝い水が零れる感覚、軽く頭を濡らしたところで顔を上げた彼は、フゥ、と小さくため息をついたところで気付く。)「····················あー···············やべ。タオル忘れた。」 ( ·········· そうは呟いたものの、実のところ対して悩むようなことでもない。学生らしいと言えば学生らしいのか、彼はだらしなくも、腹が見えることなんて気にせずにジャージの腹部分を捲り、口元に持ってきたのならば顎下から滴る水を拭うのだから。そして、そんな姿を見るのは〝 貴方にとっては〟そう珍しいことでもないだろう? もしも足音がしたのならば、彼はそちらに視線を向けるはずだ。) (5/12 20:31:31)
水沫 泡>
「なぁ〜ハチロク。君身体付きいいんだからちょっとは隠したらどうだい?女子が黙っちゃいないよ」コンクリートに落ちた木陰からのんびりとした声が届く。彼は半分ほど減ったスポーツドリンクを貴方へと投げ渡せば、刺すような日差しへと顔を出し目を細めた。ハンガーにかけるように貴方の頭へタオルを放り投げ、使っていいよと付け足して「水も滴るいい男、ってやつ?筋肉つけてでかくなりやがって。……俺もなんか球技やろうかなぁ」昔はそんなに体格差は無かったはずなのに。あっという間に追い越された身長に嫌味をたれつつ、じとりとあなたを見上げた。いくら焼けても黒くはならない肌にあなたと比べて細い肩幅。女子と間違えられることだって度々あるというのに、対して幼馴染はこんなにも男らしい。彼の言葉の中には年相応に誰かしらにモテたいという願望が見え隠れしていた。>ハチロク (5/12 20:47:09)
七竈 八六>
「あれッ?!?!うたじゃん!!!!へェ、めっっっずらしィ~~~~~····················くもねェのか????あんま昼休み校庭とか出てるイメージねェからさ。」(彼は貴方を見るや否や驚き半分、嬉しさを隠せないような笑みを浮かべて上記の言葉を口にした。幼馴染とは家、学年が違うが故に貴方が普段何をしているのか、どこにいるのかなんてのはよく分からないのが正直なところ。言えるのは、貴方は昼食をとったすぐ後に校庭に出て遊び回るような奴ではなさそうだという臆測。タオルを投げられれば、めくれたジャージから彼は手を離す。)「ひひっ。さっっすがウタちゃん、やぁっぱ気が利く。」(調子の良い奴。たまたま持ち合わせているにしてはナイスタイミングなタオルに、彼は屈託もなく歯を見せニヤついたのならば、くしゃくしゃと無遠慮に髪を拭くことだろう。生まれながらに変わらない貴方と、染めた彼の金髪は陽光によく馴染む。)「そりゃあれだけよォーーーーく飯食ってよく寝てりゃあ、でかくもなるだろォ······所謂『兄貴譲り』ってのもあっと思うけど。····へへ、なんだよ羨ましいのかァ~~????············つうか·そういうウタこそ、うちのクラスの女子の間ではちょいちょい噂になってんぜ。『あの先輩運動できるの?!ええ、ギャップすご···············』ってな具合にさァ。俺なんてこの間エレナ先輩に『マスコット』って言われたばっかなのに。」 (ヘラヘラと笑う彼の軽口は相変わらずだった。とはいえ、となりの芝生が青いのはこちらも同じこと。確かに体格には巡られているし、お世辞にも貴方は『がっちりしている』とは言えやしない。·····幼少期はあなたの事を女の子だと思っていたのも、ここだけの話だ。彼はタオルを首にかけたのならば、ヘアゴムを口に咥えて髪を纏めながら口にする。)「······························ああ、そうそうそういや。兄貴が 『またいつでも飯食いに来い』つってた。 ああ見えて意外とお節介で心配症なとこあっからさーー。多分記憶が餓鬼ん頃のとこで止まっちゃってるとこあんじゃねえのかな。 」 (5/12 21:04:01)
水沫 泡>
「俺も少しは運動するんだよ、……って、ちゃん付けするな、まじで勘違いされるだろ。」(無遠慮にタオルを使う彼を見て呆れたように笑った。しかしちょっぴり安心もした気がする。今更遠慮なんて必要のないこの関係が、今も尚崩れていないことが手に取るように分かったからだ。濡れたせいか、太陽の光を受けてキラキラと輝く髪色を見て、あなたの頭へ手を伸ばす。いつの間にか黄金色に染められていた髪色を見た時はひどく驚いた。きっとあなたの耳にピアスまで空いていることを兄貴はまだ知らないんだろう。)「乾いたな、んじゃタオル回収。俺も汗かいてんだよ」(わしゃわしゃと背伸びしながらあなたの頭を撫でた後、タオルを取り上げると自身の肩にかける。貴方と違い、ピアスに興味を持ちつつも未だ開けることのできていない自身の耳を、確かめるように触った。それを誤魔化すようにきゅっと蛇口を捻って水を流す。日差しの下の水道は、ただそれだけで宝石のように輝き絵になるようだった。)(ひんやりとした水を両手で受け止めて、しばらく堪能してからばしゃりと顔にかける。その後思い切って頭から水を被った。頭皮に伝っていく冷たい感覚が心地よい。きっとこのままだと次の授業までには乾かないだろうな、なんて思いながら水を止めて、鬱陶しそうに前髪をかきあげた。)「ハチロクのとこの兄貴には本当にお世話になってるよな、また遊びに行きたいと思ってる。」「……まさか、兄貴も俺の事女だとか思ってないよな?」少し考えてから問いかけた。残念ながら、ハチロクが自身の事を女かもと思っていたことは知っている。あなたには言っていないだろうが、読心は彼の得意分野だ。トイレやら風呂やらでソワソワしていたハチロクを見て、分からない方が不自然だろう。>ハチロク (5/12 21:35:42)
七竈 八六>
「えぇ~~~~~??いーーーじゃんね。俺とお前の仲なんだし。····················つか、そもそも切ればいいじゃん髪。伸ばしてんのか?」(ニヤつきながや口にする彼。確かに貴方は中性的だ。それは同い年になった今でも変わらず、自分はどんどんあなたの背を追い越してしまった。その違いは体格だけじゃなく、その髪色、虚勢を表すようなピアスもまた然り。対する貴方は何も変わりやしなかった。〝置いていってしまっている 〟と言えばき声は寂しいけれど、きっとどこかで枝分かれ。分岐点があったのさ。読心どころか人より鈍い彼は、髪に触れられれば貴方の真意に気づくことなく「 あ? なに、どったの。」と、対して気にする様子でもないくせに、小さく問いかけるんでしょう。 )『乾いたな、んじゃタオル回収。俺も汗かいてんだよ』「あーー、まじ???ふっつーに洗って返そうと思ってたからガッツリ拭いちまった。ごめ。」
( 言葉通りにタオルは没収。彼がそれをしまう間もなく、貴方は蛇口を捻って水を出す。長い髪に溶け込むようにするすると。変わらず長い前髪を上げ、顕になったその顔をみやりながら肩をすくめる彼は、貴方の問いかけに続ける。)「いやァ~~~~~ッッ!!!··········どうだろうなァ~~ッッ???·····あの兄貴のことだしワンチャン気づいてないかも。でも、女でも男でも対して変わんねーべ···············ッて。待って???もしかしてウタ、俺がちっさい頃お前のこと『女』だって思ってたって、もしかしてバレてる??!!!??うぅわーーーーーーッッッッ···············待って、くっそ恥ずかしいわ·························」(調子よく答えていた彼だったが、兄貴〝 も 〟という口振りで、どうやら彼は違和感を覚えていたらしい。そう、あろうことかこの男、『あの時のことはバレていない』と思っていたのである。うぅわまじか、と声を漏らす彼は陽光のせいにするには分かりやすく、健康的な肌をほんのり赤に染めた。)「···············ッッ··········ああつうかとにかくッッ···············そう、まあ近いうちに遊びに来いってこと。チビ達も遊びたそうにしてたしさ。·····ウタ、なにが好きだっけ。」 (彼は話題を切り替えるように、貴方に問いかける。そう言えば、貴方が料理を出されて『これが好き』だとか『あれが嫌い』だとか、幼馴染のくせしてあまり聞いたことはなかった気がする。) (5/12 23:53:26)
水沫 泡>
「あ〜うん、まぁ……切るのがめんどくさいというか、そんな感じ。」タオルでわしゃわしゃと髪を拭きながら首を傾げる。髪を伸ばしている理由はなんとなくだが、何より切るのがめんどくさいのだ。切った時の周りの反応だとか、切り始めたらいちいち整えなければならない所とか。彼は話しながら長く澄んだ髪に指をかけ、柔らかく手ぐしでといた。まさか、母親に似て嬉しいからだなんて重い話はしないだろう。「お前、俺が一緒に風呂ついてった時テンパってたもんな。はっ、もう少しからかえば良かった。」頬を染める貴方を見て、彼はオパールのような瞳を見開いた。しかしすぐに揶揄うように目を細めて笑い飛ばせば、肘で貴方の胸元をトンとこずく。純粋無垢。きっと誰が何を考えてるだとか、そういう面倒なしがらみとか考えないで生きているんだろう。そんな勝手な推測の中で、太陽のようなあなたを羨ましいと思ってしまう。「はいはい、時間できたらお邪魔するよ。…?あ〜、そうだな、好きなものか……。」好きなものを問いかけられると髪を拭いていた手がピタリと止める。タオルを首にかけ直して、苦笑いを浮かべるとしばし沈黙するだろうか。しかしそれも一瞬で、貴方に向き直り答えた。「好き嫌いは特にないかな、お前の食べたいものが俺も食べたい」彼は柔らかく咲いた花のように笑った。これは彼が何かを誤魔化す時によくやる手段だが、それなりに容姿の良い男に笑いかけられてわざわざ何かを追求しようとする人の方が少ないだろう。何より、あなたがくそ真面目な話をしてくるとも思えなかった。>ハチロク (5/13 00:13:34)
七竈 八六>
「··············ふゥん?·························嗚呼、じゃあさ。俺のゴム1本やるよ。予備のやつだけど。切らねえなら切らねえでいいと思うし。」 (彼は貴方の発言に、それ以降言及することは無いだろう。代わりに、彼はポケットに手を入れれば自分が普段使ってるヘアゴムを貴方に差し出す。まるでミサンガのような、少しカラフルなヘアゴムは彼らしいと言えば彼らしい。 これから夏も来るしさ。)『お前、俺が一緒に風呂ついてった時テンパってたもんな。はっ、もう少しからかえば良かった。』「だァッッ···············!!!ッあ゛れッッ····················はッッ!!!しょうがなくねッッ?!?!?!ちっさい頃なんてそんなもんっつうか、前とかはもっとこうッ··············ッッ゛~~~~~~~!!!!あ゛ーーーーッッ!!!もうこの話やめ、やめやめやめッッ!!!」(思い出せば思い出すほど恥ずかしくなる。そうだとも。風呂に入る時についてこられた時2度見したあと追い返そうとしたさ。トイレだって 『こ、ここ男子トイレだぞ?!?!?!』と再度確認だってしちまったさ。そら小さい頃は『かわいい女の子』だとも思いましたとも。·····この話はやめにしようと、彼は小突かれたのならば 『ッッたくさァ·························』なんて小さく呟いて、貴方を小突き返した。)『はいはい、時間できたらお邪魔するよ。…?あ〜、そうだな、好きなものか……。』(会話は一変。彼が振った話題に関して、少しばかり思考を巡らせた後口にしたのは。) 『好き嫌いは特にないかな、お前の食べたいものが俺も食べたい』(·····正しく泡沫のように曖昧で、淡い常套句だった。これが普通の女の子ならばイチコロだろうに。貴方は相当、〝 口が上手い〟。し)(しかし、彼は違う。)「………………なあ、お前、〝いィっつもそう 〟だよなァーーーー…………………」(第一声。なんとなしに呆れたような表情。)「····················俺、ウタの好きなもン聞いてんだケド。····················そういうのちょい困っちまうんだわ。ほら、誕生日の時とかさ。こういう時とか。··········だって聞いた意味ねェじゃんかそれ。」「まあ???好き嫌いねェのはまあ、·························偉いけどさ。」 (あなたも薄々勘づいていただろう。彼はそういうのを〝流さない 〟。なんかいっつもこっちばっかり、とやや拗ねたようにも見える彼は、貴方よりも随分と子供に見えてしまうだろうけど、彼としては貴方にはもう少し積極的に自分の我を出して欲しいものである。) (5/13 00:42:23)
水沫 泡>
「さすがハチロク、派手な色だ。ありがと」(受け取ったヘアゴムはチカチカするみたいに派手で、誰に貰ったのか1発でバレそうな代物だった。彼は早速それを使って髪を緩く結い、まとめた。少しスッキリとした顔で彼を振り返る。) 『………………なあ、お前、〝いィっつもそう 〟だよなァーーーー…………………』(息を吸い込んで何かを返事しようとして、出てきたのは詰まった音だけだった。それから彼は再度笑みを浮かべ誤魔化そうとするが、そのまま目をそらすと困ったように言うのだ)「嫌いなもの、ないんだ。その、分からないというか、好きなものは、全部好きで。兄貴の作ってくれる料理、全部好きだよ。プレゼントとかも全部嬉しい。今のだって」(濡れた髪が冷えきって、ポタリと雫が頬を伝う。それを拭い、タオルをぎゅっと握った。日差しがジリジリと頬に焼き付いて痛い。君じゃなければ誤魔化せただろう。君じゃなければ逃げ切れただろう。ここまで彼が戸惑うのは君くらいのものだ。たった今貰ったこのヘアゴムでさえ嬉しいというのに、これ以上何を望めば良いのかよく分からない。)「ほら、わかるだろ?俺の適性は"許容"だ。許せないものは無いし受け入れられないものは無いんだ。」(それはつまり、何が好きで何が嫌いなのかさっぱり自分でも分からないということだ。彼の背後が蜃気楼のように揺らぐ。クラウドは気体だ、いつだって彼の後ろに控えたそのディスコードは彼にとっての呪いであり祝福だった。)「だから俺は、お前の好きが好きなんだよ。」(それからやっぱり、誤魔化すように崩して笑えば懇願するように貴方の服の裾に手を伸ばすだろう。)>はっちゃん (5/13 01:02:30)
七竈 八六>
『ほら、わかるだろ?俺の適性は"許容"だ。許せないものは無いし受け入れられないものは無』「わかんねェよ。」(彼は食い気味に呟いた。適正だから?そういうものだから?分からない、分かるはずもやいを馬鹿だから言語化が難しいけれどその言葉が昔から『モヤモヤしてしまう』。ここで流せればいい。貴方はそういう人間で、適性が『許容』だから、ただその理由で何もかも許してしまうのだと、それこそ『許容』すべきだ。空気が読めればそれはするべきだが、彼はまだ子供だから。許容できないんだと思う。ガシガシと頭をかいたのならば『あ゛ァ~~~~~………………………』と声を漏らし、言葉を続けた。)「…………………………だってさ。〝 なんでも許しちまう〟ってこたァさ。まあ、ちょい大袈裟に言うけど。理不尽に怒鳴られたっていじめられたって、……………最悪自分が『死んでも』〝別に構わない〟ってことになっちまうんじゃねえの?」(大袈裟に、とは言ったが。事実そのケがあるんじゃないかと思う節は昔からあった。貴方はルクレルク人の血を僅かに引いている。だから理不尽にいじめられたりすることもあったじゃないか。でも貴方はその時、反論するでも怒るでもなく、ただただ『受け入れていた』。自分が居なくちゃきっと貴方はあのまま殴られっぱなしだったんじゃないかって。)「それってさ、ウタのそれは許してるんじゃなくて、〝 諦め 〟てンのと同義じゃねェのかな、とか思っちまったり、『こっちが好きなもんが好き』ってのは、全部じゃねえけどそれは俺も同感で「ウタが喜んでくれんのが嬉しい」っつか………………」「…………………自分のこといっちばん守れんのは自分だけだろ?……………どうすんだよ。俺がアニメに出てくるようなすっげぇ悪いヤツでさ、『人を殺すのが大好きです!』とかなら。『許せないからあいつを消したい』とか思って、とんでもねえことしようとしてたら。」「ウタ、俺の事。·………………………ちゃんと、〝 止めてくれる〟?」( 生徒の声が、自然の音が、この時だけはやけに遠くから聞こえるような錯覚だった。別に怒るでもなく、縋るようにつままれた手をそのまま握り返すでも振り払うこともせず、困ったような、なんとも言えない笑みを浮かべて問いかける。ほんの少し意地悪な質問かもしれない、なんて彼は考えもしないんだろう。) (5/13 01:29:41)
水沫 泡>
「……」「……君の言う通りだよ」(彼は諦めたように笑った。全部君が言った通りだ、分かってるじゃないか。自分が殴られたようが蹴られようが、死のうが"別に構わない"君がそうでないことを願ったそれらは全て彼にとってのあたりまえだった。彼は全部諦めてる。)「君は多分、許せなくて殺したい程を誰かを憎んだことがないんだろ。」(彼が考えることはきっとあなたには伝わらない。彼は長いまつ毛で目を伏せて、そのまま視線を足元へと落とした。)「絵に書いたような悪役はこの世にはいない。彼らにとって正義は悪で、悪が正義だ。彼らの価値観は歪んでるけれど、歪ませたのは他でもない世界だよ。」(掴んだ裾を握る力が強くなる。くしゃりと服に皺がよって、シャツが伸びちゃうな、なんて考えていたらそっと手を離していた。)「だからもし、君が悪いことをするとしたら必ずそれには理由があるんだ。俺は多分、それを理解できるし受け入れられる。何が正しくて何が悪いとか、俺にはあまり…」(関係ないんだ。それがヒーローの代わりとして当てられた学生の言葉だと思うと呆れたものだ。"もしも君にやりたいことがあって、それが悪いことなのだとしたら、その時俺は君の1番の理解者になれるはずなんだ。"その事の何がいけないのか分からない。)(俯いていた彼はケロッと笑い、貴方の顔を見上げ、見つめた。)「あぁ、でも。お前の好意は全部ほしいよ。ひとつもこぼさずにね。それにお前、理由なく人を殺したりできないだろ」>ハチロク (5/13 01:52:03)
七竈 八六>
「…………………………それは、…………」(そう。そうなのだ。彼はまだ、あなたに比べたら何も失っちゃいないのだ。家族は居る。そりゃあお世辞にも裕福とは言えないけれど、月並み態度の幸せで彼は充分だった。しかし彼も、貴方の道理が分からない訳でもない。きっと自分の友達が世界から見て悪役になってしまった時。己はきっと結果ではなく『理由』を求めてしまうから。割り切れなくて、理由を聞いて、『誰も悪役にしたくなくて』、犠牲ゼロで、全力で止めようとしてしまうから。···············でも、失ってないからこそ、『失ったら困るもの』が沢山ある、守りたいものが増えていく中で、『まあ仕方が無いか』と妥協ができるかと言われれば、そらは話が別だ。)『あぁ、でも。お前の好意は全部ほしいよ。ひとつもこぼさずにね。それにお前、理由なく人を殺したりできないだろ』「………………、……、わかんねえだろ、……可能性はゼロじゃない。」「…………言ってることも分かっけど、そういうのが『大人な対応』にすげえ近いってのも分かっけど…………でも、理屈とかそういうのとか、関係ねえし〝 嫌〟なもんは嫌なんだわ。わがまま言うと、もし俺がそうなった時は…………〝殴ってでも止める 〟ぐらいのが、…俺は安心する。」「…………つかそのそも、お前が受け入れてばっかなの、普通に心配するし。…………いやまあ、お節介なんだけど。…なんか、ごめん。」(彼は、目を伏せ首筋に手をやりながらぶっきらぼうに呟いた。理屈上、理論上、倫理的に、効率的に。そんなのいくら説明されたってバカは理解ができない。直情的で一方通行。柄にもなく、真面目な話をしてしまったと調子が狂ったように咳払いをした彼は、貴方の方を見やり気分を転換するようにあっけらかんと笑って見せた。)「………ッッつか俺友達待たせたんだわッ!わり、ウタ。また今度ゆっくり遊ぼ。近いうちに。……家に遊び来るでも、放課後カラオケ行くでもいーしさ。」 「タオルマジ助かった、ありがと。」 (立ち去る手前、目を伏せる彼。貴方と彼は根本的なところでどこか違う。成長するに連れて、それが浮き彫りになっていっているのは、言うまでもない。) (5/13 02:16:26)
水沫 泡>
「あぁ、またね。」(走り去った貴方の背中を見て、彼はヒラヒラとタオルを振った。あんなふうにいつか大喧嘩をする日が来るかもしれない。それも黙って飲み込めばきっともっと怒られる。貴方の言い分はよく分かるのだ。けれどそれを辞められないのは、きっと自分が許容(ディスコード)に侵食されることを望んでいるから。)「うん、そうだね。僕らが悪いことをしたらきっとアイツが殴って止めてくれる。」彼の傍に現れたクラウドは、手をウタの頭に重ねると濡れた髪もあっという間に乾いてしまう。そうして彼の蜃気楼は訳知り顔で笑うのだ。)「俺はヒーローが嫌いだけど、君のことは大好きだよ。"コニー"」(友達の所に戻って笑う君を見て、彼は愛おしくそうに目を細めるかもしれない。君との違いが少しずつ見えてくる。そうやって君とすれ違って手が届かなくなることを、きっとどこかで望んでるんだ。)>ハチロク〆 (5/13 02:38:02)
七竈 八六>
「………──────────」(それは放課後の話だった。これからバイト。そういう日は友人とは遊べない。でも、バスが来る時間までまだ間がある、なんて場合。大抵は暇を持て余してしまうものだ。1人で学校探検だなんて稚拙なことを高校2年生でやるだなんて、些か呆れたものだろうが当の本人は図書室に行って本を読み耽り、時間を潰すだなんて学は備わっちゃいない。つまらない文字の羅列を見るか、用事があるとき以外は立ち入らない他学年の校舎へと足を向けるかならば後者の方が彼にとっては充実していると言えるんでしょう。人気の少なくなった校舎、タン、タン、タンと自分の足音のみが校舎内に響き渡るからこそ、今ここには『一人しかいないんじゃないか』と錯覚さえ覚える。朱色の背景、窓に死角に切り取られた絵画のような西日。窓は全て閉まっている。そう。〝 閉まっているはず〟なのだ。)「……………?」(風が、頬を撫でた。彼は思わずそちらに視線を向けるだろう。その先、階段の向こうに扉。半開き。それだけならば何ら不思議なことは無いのだが、如何せんここは『屋上』だ。屋上は鍵がかかっていて、普段入れやしないはず。無論彼も例外なく行ったことは無い。好奇心は猫をも殺す。行ったことがない、普段は行けないそこに『学校探検』という名目で歩いていた彼が、興味をそそられない筈もない。踵は既に扉の方へ。階段を登り、僅かに口の空いた扉に手を掛ければ。)「…………あ。……なんだ。人、居たのか。」(…影絵のように色濃く映る街並みをバックに、そこには先客が立っていた。少しばかり驚いたような顔。見たことも無い生徒。)「……、もしかして、転校生?」(自分より幾分か小柄なあなたは、同級生か1学年したか。どちらにせよ、彼は口元に笑みを浮かべるやいなや、上記の言葉を開口一番に呟くはずだ。不躾だろうということに、彼はまだ気づいちゃいない。) (5/13 14:32:52)
真>
「うーーーん──────……ん」(少年は少し変わったところがある。風の弱い日を見計らって人のいない時間に命綱をきちんと身に巻きながら排水管などを伝ってよじ登り屋上を踏破したのみならず鍵を外から開け放ち、後日使えるようにしていた。そして、今日はこの屋上を自らの秘密基地にして自由気ままに誰にも見られないよう武術の訓練なりをして過ごすつもりだった。……だった、と言うのも興奮とは得てしてなかなか冷めやらぬものでまるでこの学校を征服したかのような密かな優越感と秘密基地を確保した高揚に胸を躍らせて街を一望してお気楽に伸びでもしていたものだから、半端になっていた扉が風にあおられて『さあいらっしゃい』と言わんばかりに人の好奇をこれでもかと情熱的に煽る演出をしていた事など気が付かなかった。)(ので、)「へ?!……あっ、あー、ソウダヨ」(煩雑に流されたふんわりとした銀髪を、びゅうと風が一吹きにしてくしゃくしゃに撫であげる。凛とした面構えでもしていれば様になるのだが、覗く蒼眼は驚かされた猫さながらのまん丸で素っ頓狂な間抜けな第一声を忘れる者はまあいない。一度見ればまず忘れない特徴と年内で三本指には入るくらいの間抜けを晒して百点満点の第一印象を焼き付けたのも束の間、どう誤魔化そうかと頭を回転させながらほとんど自白してるのと変わらないような様子で、バツが悪そうに頭を掻くカタコト外国人擬きが其処にはいた。)「知り合いの紹介でね、色々人出も要りようだったし入学できたんだ。」(気を取り直してもう適当な会話をこなして逃げちまおうと算段を立てて、会話を続ける。少なくとも見かけたことがあまりないとくれば学年が上であると相場は決まっているのだが、一年生ならば安定の敬語すら今は置き去りだ。) (5/13 14:57:58)
七竈 八六>
「えーーーッッ!!!!マジでッッ?!?!?!転校生とか超嬉しいンだけどッ!!!いいなァッ、俺の学年にも来て欲しかった。」「あ!!!俺、ナナカマド ハチロクッ!!!よろしくッッ!!!!!!!」(彼は、貴方の返答に ぱぁぁぁぁッ、と花の咲くような期待の籠った笑みを浮かべ、上記の言葉を告げた。『転校生』その響きってなんとなしにワクワクするじゃないか。同じクラスに転校生が来たら、どんな子が来るんだろう、なんてソワソワと落ち着いては居られないものだ。まん丸く見開かれた青色の瞳、欧米的な顔立ちからして外国人であることは容易に想像できるだろうが、彼は恐らく貴方がルクレルク人であることはどうにも気づいていないのか、知能指数は貴方より格下であることは見て取れるかもしれない。『よろしくッッ!!!!!』だなんて能天気に口にするのがその証拠だとも。初対面だと言うのに、グイグイこられちゃあなたも困ってしまうだろうに、彼は思ったことを留めておけるキャパシティはなく考えついたことは全て例に及んだこの口からまろびでる。屋上の扉をパタリと閉めれば、図々しくも屋上へと足を踏み入れるに違いはない。)「つうかさ、屋上って来ていいのかよ??普段はさァ~~、確か危ねぇから行っちゃダメ、ってなってっし。……………先生に見つかったら怒られっかもしんねェ──────────…」 (〝ああそういえば 〟と、今更ながらに気になったことを1つ。こんな時間に屋上に1人でいる、そもそも屋上をわざわざ選ぶってのも不思議な話だとは思わないか。そもそも入っちゃいけない場所、彼はそこまで口にしたところで、次の瞬間〝 ハッ〟と息を呑み、深刻そうに尋ねるはずだ。)「……え゛ッッ……、ま、まさか〝 飛び降りる 〟気じゃなかったよなッッ………?!?!!!!!!!」 (5/13 15:16:36)
真>
(純正日本人の敗北だ。然し元よりルクレルク人の顔立ちというのは固有的なもの、欧米人らしさやアジア人らしさのくくりではなかなか形容し難い。少なくともルクレルク人であると気が付かない限りそう思うのも無理はない。主に焦りすぎて出たカタコトのせいだ。)「俺は真、よろしく先輩!!!」(凄まじい展開もといテンションにやや置いてきぼりにされつつあるが、合わせるように自己紹介する事で一先ず逃げ切る事にした。失礼な話だが七竈という男がどんな人物かは今の会話で何となく解ったつもりになれば、このまま押し切ってそれらしく会話を切り上げられる。なんて、そう思ったのも束の間またも叫ばれれば、今度はその声に驚いて肩をビクッと震わせた。)「わっ…ち、違う違う違う!あの、あれ、自主トレーニング的な!偶然扉空いてたし、一人の方が集中できるから使ってもいいかなぁーって……ね、ウン。もしかしなくても、やっぱ普通は空いてないんだね。」(迫真の稚拙な嘘、ここはなぜ鍵が開いていたので使いましたとシラを切り通すつもりなのだ。少なくとも、いい人そうだし、細かいことなど気に留めなさそうな彼相手なら何となく押し通せそうな気がするのだ。)「まあ、ともあれ、心配させてすいませんー。でも、俺大丈夫だから!……あ、そういえば俺は一年生なんすけど……七竈先輩って何年生?2年生に知り合いいるんですよー、エレナ・ドラグノフって人で、あのボクシングの。」(ふと、問うてみる。彼には顔の広い知り合いが2年生に在籍している。ここに来たのだって、彼女の勧めあっての事だ。いつだって豪快な乙女である彼女はきっと人気者だし、普段からあまり話す気のない自分自身の話よりも、みんなの人気者の話の方が場は盛り上がるのだ。) (5/13 15:41:37)
七竈 八六>
(────────昼休みの話だ。陽光は1番高い位置で辺りを照らし、仄暗い夜がこれから来るだなんて忘れてしまいそうなほど。真っ青なキャンパスに水分量少なめの白色の絵の具を、ちょこちょこちょこ、と足したような空は『5月半ば』にしては夏場に差し掛かっている言っても良いほどに 日が照っていた。蝉の声の代わりに、授業から開放された生徒たちの喧騒、笑い声、ざわめきを背景に溶け込むには攻撃的で、黒髪を無理やり金髪に染めた『ヤンチャそうな男』が1人。外に続いている廊下を友人達と歩き、〝 次の時間は体育だから早めに体育館に行ってバスケしよう〟だとか、ジャージ袋を抱え他愛もない雑談をしては小突きあって笑っている『絵に書いたような日常』の断片の中。ふ、と。風が頬を撫でる窓の外を見やった時のことである。)「あッッ………………!!!」「リシュウせんぱァァァァァァァァァァァァァァァ~~~~~~~~~~~~~~~~~いィッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」 (見つけてしまった。『貴方』のことを。見慣れないチャイナ服、長い髪。人目見てわかる通りの『先輩』である。彼は貴方を少し離れたところで見かけた数秒後、友人に『ちょいごめんこれ持って先行っててッッ!!!!』ジャージの入った袋を押し付けた。呆れる友人なんてお構い無し。『先輩先輩先輩先輩先輩ッッ!!!!!!!』だなんて、貴方の元へと走り駆け寄ったのならば、ぶつかるギリギリのところで立ち止まり、顔を上げる。)「うぅわ先輩マジ奇遇~~~~~~~~~~ッッ!!!!!逢えて超嬉しいんすけどッッ!!!!!!なァお昼食ったッッ?!?!?!?!つかなんで居んの?!?!?」 (見えないしっぽが取れると言わんばかりにブンブンと振られてるのは雰囲気でわかる通りである。面倒事を嫌うあなたは、もしかしたら彼をうっとおしいとさえ思うかもしれないね。) (5/14 00:36:56)
李洲>
暑ぃ〜〜〜〜〜(彼の額にいつもはふわっと乗っかるようにいながら皮膚との間に空気の厚みを感じさせる筈の前髪は仲間同士でその暑さについて共有しているかのように汗を糊に二、三本で束になっている。もう四捨五入すれば夏だ。夏。学生という身分の人間が一番はっちゃっけ狂う季節。だから彼は嫌いだった。ご存知の通り彼の友達の数なんて鼻で笑ってやれば飛んでいってしまうようなそんな数であったし、態々外に出てやれスポーツだ、海だ、川だと話し出す生徒たちを心から軽蔑していた。廊下の窓から覗くと、空は上から群青から淡い紫、白みがかった青に変化している事を知覚できる。ふと風が吹いた。心地よい風だ。束になっていた髪たちは風を浴びてやる気を取り戻したかのようにその隊列を崩した。髪が揺れる。顔の表面では飛ばされまいと皮膚に地を這った体毛が皆同じ方向に体を倒す。彼の黒目は白眼の中の上の方にぷかぷかと浮かんでいる。)早くもっとでっけぇ風吹かねえもんかねぇ…(暑さにおかしく仕舞えなくなったのか口腔という大きな暗闇の中から舌を出して口で呼吸をする。願いというのは案外簡単に叶うものだろうか。窓から強風と形容しても変わらない強い風が吹いた。その風は彼の持っていたプリント達に命を吹き込み多くを舞い上げていた。)アァ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!俺の頑張って作ったプリントがぁ……まてまてまて…(床に散らばったプリントは誰も見向きはしない。別になんとも思ってないけど。別になんとも思ってないけど友達がいた方が便利なのかなと思ってみたりもした。)あぁ…今日は最悪だ…………………(全て拾い終わり教室に戻ろうとすれば何か嫌な予感が彼の体を走り回った。_____奴だ。やっぱり今日は最悪だ。)ハイハイ〜、もう少し離れてもらっていいですか〜、すいませんね〜ハイハイ、僕も会えてうれちいでちゅよ〜、、てばか。敬語を使え!敬語を〜。なぁ、ご飯食った〜?じゃないのよ。飯は食ってねぇよ。仕方ねえな、食う?(適当に八六の視線を指差した屋上への階段へと誘い込む。 (5/14 01:12:50)
七竈 八六>
「えへへぇ~~~~~ッッ……さぁせェ~~~~ん。だってだって先輩急がなきゃすぐどっか行っちゃうじゃねっすか、レアっすよレア~~ッッ!!!!つか先輩も俺に逢えて嬉しいってッッ!!!!なんすか先輩、今日はヤケに素直じゃねェの~~ッッ!!!!!!俺も逢えてすっげえ嬉しい──────────………って、これさっきも言ったっけ???」( 〝離れろ 〟。その単語に彼は へなへなと笑いながら素直に1歩下がりつつ、上記の言葉を発した。貴方の先程の不運なんてお構い無し、友達が少なく蛇のようにどこか弄れた貴方に対し、ここまで懐いている男も珍しいだろう。それに加えてこの馬鹿さ加減。彼は貴方の真に受けなていないような、窘めるような皮肉を真っ向からそのままの意味で汲み取ってしまう節がある。単純で扱いやすいと言えば扱いやすいが、精神年齢がこうも低いと、まるで子供を。相手しているような錯覚に陥っても無理はない。)『飯は食ってねぇよ。仕方ねえな、食う?』「え゛ッッ?!?!?!?!マジでいいんすかッッ!!!!!やァァァ~~ッッたァァァ~~~~ッッ!!!!!!!!!!……ッつっても!!!!!俺さっき昼飯食ったんすけどォ…………でも大丈夫!!!!全然入る!!!マジで任せてッッ!!!!」(そしてもう1つ。彼は食事が大好きだ。食べ盛りなのか、発言通り『先程自分は食べたのに』、ルンルンと貴方の誘いに乗ろうとしている。隣に来た彼は貴方について行きながら、こう問いかけるだろう。)「ね、先輩?やっぱ昼飯って先輩の手作りだったりすんの???肉まんとか、………小籠包………???」(…嗚呼、もう敬語が取れてるよ。しまいにゃ『中国と言えば』という安直かつ思慮の浅い、思いつく限りのイメージを述べる始末だ。) (5/14 01:29:06)
李洲>
屋上へと昇れば先までの速さを競い合っていた風達も急にそよそよと散歩をし始めていた。彼は徐に竹製のしなやかな弁当箱を取り出す。授業中ずっと日の当たるところに置いていた為心なしか熱を吸収しているような気もする。弁当を前に細く白い掌を擦り合わせて)八六にしては冴えてんナァ...そうだよ、これだよ、、、(にやにやと尖った犬歯が日光に反射してその白さを際立たせる。弁当箱を開ければ、そこから認識できるのは白く煌めく6つの物体__)にーはお しょう ろん ぽー!!!!!!!!!!!めいどばいみー、だ。(片言に口からつたない中国の言霊を漂わせる。箸で其れを掴めば、空に浮かぶ最早真っ白い球体に被せる。)太陽しょうろんぽー、、、(鼻の下までそれを持っていくと、彼の咽喉はごくりという音を生み出し唾液を誘発させた。我慢できず、大きなブラックホールに小籠包は吸い込まれていく。舌の味蕾はその香ばしさと包み込むような弾力感、中からあふれ出てくる肉の汁を否応なしに、暴力的に知覚させられていた。ちら、と横を見れば、彼は思いついたように、)お、どうせ胃ぶっ壊れの八六君のことですしこれ、欲しいでしょ、欲しいよね~~~、欲しいね~~~~~食べたいね~~~~~~、はい、お口開けて~~~~~~、はーい、あ~~~~~~~~ん(、、、無論その小籠包は八六の口で味わられることはなく、ただ隣で中華服を着た男がおいしそうに、見せつけるかのように美味しく食べるだけであった。男は満足そうである。それはもう幸せそうだ。残りの小籠包も一つ一つ味わいながら彼は会話にも時間を割くことにしようとした。)八六はその、、、あの、、、友達、、とやらがやけに多いよな、、??そんなんで毎日疲れないか??というかこれはあくまで、あくまでな、ちょっと気になっただけなんだけど、どうやって友達って作ってるんだ、、??いや、その、いらないとは思うんだが、一応な。な。 (5/14 02:00:36)
七竈 八六>
『八六にしては冴えてんナァ...そうだよ、これだ』「ま、まさかァッッ…………????」『にーはお しょう ろん ぽー!!!!!!!!!!!めいどばいみー、だ。』「うわやァァァァァァッッ……………ばァッッ!!!!?????!めぇぇぇぇぇぇッッ………ちゃうまそォ~~~~ッッ……先輩マジで料理上手いよな、わざわざ作ってんだろこれ…………」(かぽ、と蓋を開けて真っ先に感じるのはその匂いだ。まるで『出来たて』。文句なしの本場宛ら。非の打ち所もなく綺麗に包まれた、『お店で見るようなソレ』である。さすがチャイニーズリスペクト。当然彼が興味を持たないはずもなく、目を輝かせれば前のめり気味に 率直な感想を。匂いだけでもわかる良質な出汁と、詰まった肉汁は口に入れたら果たしてどんな味なのか。想像するだけで、…先程食べたばかりだと言うのにお腹が空いてくるじゃないか。)『、どうせ胃ぶっ壊れの八六君のことですしこれ、欲しいでしょ、欲しいよね~~~、』「欲しいッッ…!!!!!」『欲しいね~~~』「めっちゃ欲しいッッ!!!!!」『食べたいね~~~』「食いたいッッ!!!!!」『はい、お口開けて~~~~~~、』「あーーーーーーーん…………………」 (ぴこり、と。見えない耳を立たせ、お利口さんに貴方の目の前で彼は一つ一つ呼応するように繰り返す。そりゃあ食べたいさ、食べたいともさ。誘われた手前、期待しないわけはない。彼は、〝お口開けて〟と言われれば素直に口をくぁ、と開けて見せる。…………しかし。)「……………………?」(待てど待てど自分の口に運ばれることは無い。もう一個、もう一個と吸い込まれる小籠包がカウントダウンのように、彼の焦燥を煽る。「…えっ、」「…ちょっ、」と声を情けなく漏らしていた彼だが、とうとう痺れを切らしたのか ────────── )「なあーーーーッッ!!!!もーーーーッッ………なんでそんな意地悪すんだよ~~~~うゥ…………先輩『食べる?』つったじゃんかァ~~~ッッ…………俺すううぅっっげェ~~~楽しみにしてたのにッ………………」(拗ね半分悲しみ半分と言ったところか。そりゃ貴方のお昼なんだから彼がこうして残念がる通りも、貴方が分け与える通りもない訳だが、目の前でそんなことされちゃあさすがに来るものがあるだろう。でも『1個ぐらいくれてもいいじゃん!』…彼がそう思わずにはいられないことを、貴方がしているのもまた事実である。)『八六はその………』「……………………………」「………………………なんスカ。」(…開口一番、貴方から名前を呼ばれた彼は無論、目に見えて不貞腐れたような返事を1つ。)『八『あの、、、友達、、とやらがやけに多いよな、、??そんなんで毎日疲れないか??というかこれはあくまで、あくまでな、ちょっと気になっただけなんだけど、どうやって友達って作ってるんだ、、??いや、その、いらないとは思うんだが、一応な。な。』「…………………………先輩、お友達作りてえんですか?」(文字通りバカにでも分かるぐらい、貴方は『分かりやすかった』。そもそも気にならないならそんなこと聞かないだろう?一匹狼を貫けばいいさ。しかし貴方の念押しは、その言葉の信憑性をより軽くすることになっていると、気づいちゃ居ないんだろう。彼は気だるげに言葉を続けた。)「……………………素直に言やァ良いのに。………それに、そんな意地悪してたら『絶対友達作れない』ッスよ。実際問題、俺今の先輩【⠀嫌い⠀】だし。」「…………」「……………………」「……………………………」「……………………………………………………嘘。嫌いは嘘。先輩のこと、めっちゃ好き。めぇーーーッッちゃ好きだけどォ……でも手作り小籠包はァ…………食べたかった。」(…言い直した。そう、本当は嫌いじゃない。ちょっと言い過ぎちゃった。口にしたあと、なんかこっちが寂しくなっちゃった。依然としてなんとなしに機嫌が治ってなさそうな彼だったが、最後の台詞を言う時は、小さな声でしょも、とた呟くのみである。) (5/14 02:34:09)
李洲>
(何か物事を自分の背後に隠して相手に虚を喋り続けるといつかはバレる。だが、一番大事なのはその後の対応だ。此処で己の自尊心の為にまだ虚を吐き続けても良いことはない。今までの彼の人生経験がそれを裏付けていた。)________ッくぅ………バレるよな〜、いや単純に友達がいる人生ってどんな感じなんだろうな、と思ってね。ずっとそんな生活送ってないから。妬みとか憧れとかではなく普通に疑問なんだよな。(「だからお前がいつも散ってくれると、ちと、まあ、嬉しいな。」という言葉を飲み込み照れ臭さを隠そうと彼のいない左上を向き、表情こそ変わっていないが朱色に染まりかかった頬を小指でかりかりと掻く。頬の弾力に細く固い指が沈み込む。すると後輩はおともだち作りの極意と、瞬間で切り替わった掌返しを見せた。それを彼は瞼を閉じながら口を横に結びつけながら右に流した。彼が何を考えたかは分からないが、少しすれば彼は頬を紅く染め後輩と真逆の方を向きながら素晴らしい箸使いで小籠包を掴み、其の柔らかく健康的な唇に当てる。「ほら、早う食うて、」そう言ってはほかほかの小籠包を口に押し込む。ゆっくり彼の方を向けば目を細めにっと白い歯を見せて笑えば「ナ?、うまかろう (5/14 20:07:52)
七竈 八六>
「あれれェ~~~~~~?????せェんぱァァァいィ………………もしかして〝 照れてる〟ンすかァ~~~~??????なんだよ可愛いとこあるじゃ~~~~ん。ひひっ、いつでも呼びゃあいいんすよ。俺で良けりゃあ飛んでくから。」(ほんのりと頬を染める瞬間を、彼は見逃さなかった。そうじゃなくても不自然に顔を逸らすのは馬鹿でも、…否、馬鹿だからこそこうしてからかいにかかるのだろう。お返しと言わんばかりである。ニヤニヤと笑いながら〝 このこのォ~~~~~~ッッ!〟だなんて貴方に寄り添い肘で小突く姿は〝 うざったい 〟の一言に尽きるだろうけれど。)『ほら、早う食うて、』「えっ。」(それは、不意だった。綺麗な箸使い、口元にむにりと持ってこられた小籠包。てっきり食べさせて貰えないかと思っていた。)「くれんの……………??」(だからこそ、ついつい彼は確認を取ってしまう。無論、貴方が『早く食え』と言っている手前だ。『やっぱりいらないです』なんて答える道理はなく、彼はそのままパクッ、と小籠包を頬張ることだろう。)「ッッ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!ンンッッッッッッッッッッま!!!!!!!!先輩これ超上手いんすけど?!?!?!?!?!マジで手作りなんすよねッッ?!?!?!?!?!俺、100個はいけるッッ!!!!!!」(歯を立てれば皮からじゅわりと滲み出る出汁、そして肉。見た目こそ肉まんに似ているが、言うなれば「汁ダクの餃子」「贅沢な肉まん」とでも言うべきなのだろうか……後者は好みの問題だろうけれど。目を輝かせる彼は、もぐもぐと隣で咀嚼した後、ゴクリとそれを喉に通した。)「ッッつうか!!!こんなに料理が上手いんなら皆に振る舞えば友達できるんじゃないすかッッ?!?男で料理できっとかぜェェェェェェッッ…………………てェ~~~~~~~モテるっしょッッ!!!!!!!!」「…──────なのにやっぱそういうことしねェッてのはァ………………元々1人が好きだったりするんすか?いやぁね、あんまり人と話してるとこは想像出来ねえもんで、………だから正直、意外だった。先輩から、〝友達 〟についてこうやって聞かれっとこ。」「………………それとも、お昼に1人は堪えます?…………ああ見えて、意外と『寂しがり屋』だったりして。」(おちょくり半分、疑問視半分。貴方って面倒事が嫌いなタイプかと思っていたんだ。でも、興味を持つってことはもしかしたら……なんて。きっと貴方は、否定するかもしれないけれど。) (5/14 20:49:16)
李洲>
ッッ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!ンンッッッッッッッッッッま!!!!!!!!先輩これ超上手いんすけど?!?!?!?!?!マジで手作りなんすよねッッ?!?!?!?!?!俺、100個はいけるッッ!!!!!!』「フフン、旨いだろう、、、フフン。ま、天下の李・洲様が作ってるからな~~~~~フフン。」(腕を組み、瞼を下げ肯きながらそんなことを言う。『元々1人が好きだったりするんすか?いやぁね、あんまり人と話してるとこは想像出来ねえもんで、………だから正直、意外だった。先輩から、〝友達 〟についてこうやって聞かれっとこ。………………それとも、お昼に1人は堪えます?…………ああ見えて、意外と『寂しがり屋』だったりして。』(後輩の話を静かに聞けば、湿っぽい話は嫌いだという彼が少しずつ言霊を残し始める。)「んー堪えるってこたぁそりゃぁないけれど、さっきもさお前は友達と一緒に歩いてたじゃん、ああいうの見ると、あぁいいなぁ、とふと思うんだよな。ほら、俺ってばこぉいう性格の持ち主だから、最初はみんなニッコニッコニッコニッコくるんだけど、気づけば居なくなってんだよなァ....マァ根本的に俺が悪くはあるけどね。」(ちょっと前から頭の奥隅っこの方に存在はしていたがなるべく考えないようにいた考えが後輩を通じて、ぽつりぽつりとフィルターを通し言語化されていった。昔から、そうだった。人と馴染むということが苦手であった。)_____ッッッッッッカー----!!!!!!やめだやめ!!!!こんな話!!!!よし、八六!!!まだとっておきのが残ってんだよ、、、、、てめぇのその胃が崩れるほどうまいもんがな、、、(そうやって言えばバックの中から、袋を取り出す。そこには擦れた字で〈__中華店〉の文字。話題になることこそないが、知る人ぞ知る伝説の中華店。そのくしゃくしゃと皺がついてしまった袋から姿を現したのは白いものが詰まったガラスの壺状をした瓶。口元は布で覆ってから糸で結ばれ蓋の役割をなしている。其れを持って顔の真横に持ってくれば悪い顔をしてこう言葉を放つ。)____うぉーあいにぃ、、、、あん にん どう ふ、、、朝一から三時間も並んでやったゼ(糸を解き布をとると、その杏仁豆腐の上に黄色い魅惑の果物__芒果が姿を覗かせる。そのかほりを鼻に嗅がせればふわりと体が軽くなったような気がし、気づけばスプーンで掬っている自分の姿があった。口の中にすっと入れると、それは驚くほど滑らかに舌の上を滑っていき、杏仁豆腐の案外淡白な味のなかに仄かな甘みがあるのを下地に芒果が甘ったるくない程度に適度な甘さを見せてくれる。然しそれも刹那の出来事であり、芒果も杏仁豆腐も気づけば溶けて食道を流れていくのだった。かすかに口腔に残った芒果の甘さは唾液まで甘く染め、唾液を飲み込むごとに甘く感じる。震えながら口を押えてだけ動かして、隣に回す。)おいおいおい、こりゃぁ、、、、 (5/14 21:51:15)
七竈 八六>
『んー堪えるってこたぁそりゃぁないけれど、さっきもさお前は友達と一緒に歩いてたじゃん、ああいうの見ると、あぁいいなぁ、とふと思うんだよな。ほら、俺ってばこぉいう性格の持ち主だから、最初はみんなニッコニッコニッコニッコくるんだけど、気づけば居なくなってんだよなァ....マァ根本的に俺が悪くはあるけどね。』「………まあ、そっすねェーー………………なんてったって先輩、〝ひねくれてそうに見える 〟もんなァ………そんでもって〝 不器用〟だから…………手先じゃなくて、もっと根本的なとこがさ。…思った事は言う癖に肝心なトコ、言い淀んだり言わんかったり。素直なくせに、なぁんか素直じゃねェーーーんすよ。まったく可愛いンだから。」(まるで、普通の。否、普通よりも少し不器用な男子高校生の悩みだった。確かに貴方は不器用で意地悪だ。ヤマアラシのようにその言葉はたまに誰かを刺してしまうし、距離感は測り兼ねる人間もいるだろう。効率主義のリアリスト。) 『革命』には『孤独』はいつだって付き物だ。盲目的に、鰯のように集団で群れることの無いあなたは、良くも悪くもその『ディスコード』の宿主に相応しい。彼はそれを理解している上で、デリカシーもなく答えていたことだろう。とはいえ。)『_____ッッッッッッカー----!!!!!!やめだやめ!!!!こんな話!!!!よし、八六!!!まだとっておきのが残ってんだよ、、、、、てめぇのその胃が崩れるほどうまいもんがな、、、』(こうして貴方が流してしまえば。)「えっ?????まさか、まだなんかあんすかッッ……????」( まるでクリスマスプレゼントを貰う高揚感と共に、彼の思考は上塗りされてしまうわけだが。) 『____うぉーあいにぃ、、、、あん にん どう ふ、、、朝一から三時間も並んでやったゼ』「さ、ささささ、3時間もッッ……?!!!!!!???すげえレアじゃねっすか……………つか先輩、うぉーあいにー、てなんすか………………杏仁豆腐の正式名称っすか?」(…まあとにかく、その杏仁豆腐が特別だということが特別だということが分かれば及第点だろう。掠れた中国語と、紐をとけば白い、もんな美人にも引けを取らない柔肌を持つそれとのご対面。陽光で照らされたそれは何より眩しく映っている。貴方は堪らないと言わんばかりに、スプーンでぷるりとすくい上げ、口の中へと沈みこませるだろう。ふるりと震える身体、まるで天女の羽衣でも羽織ったかのような反応に、ゴクリと彼は生唾を飲む。次に渡ってきた杏仁豆腐を、彼はあなたと同じようにすくったのならば、1呼吸置いて1口。)『おいおいおい、こりゃぁ、、、、』「…………ッッ……〝 絶品〟っすね……」(〝 筆舌に尽くし難い〟。己の語彙では多くを語らない方が真の意味を発揮するだろう。トロリととろけるような舌触りと優しい甘さ、3時間待ったと言うだけある。) (5/14 22:16:21)
李洲>
(舌触りの良い”甘さ”が舌の上で踊るのを感じながら杏仁豆腐を味わう。『さ、ささささ、3時間もッッ……?!!!!!!???すげえレアじゃねっすか……………つか先輩、うぉーあいにー、てなんすか………………杏仁豆腐の正式名称っすか?』)「_____うめぇ、、、、、、、、、あー??あぁ、そうそう、うぉーあいにーはそういうことだよー、、、、、、、うめぇ、、、、」(もう今彼に何を言っても鸚鵡返しであろう。何故なら今彼は甘さの快楽に自身の身を溺れさせ、彼の意識ははるか遠く、天国と形容しても差し支えない至福の海で一人ゆったりと漂っているからである。まあそのすぐ後にその快楽の海に溺れるのは彼だけではなく隣にいた男も沈んでいくようだが。至福の概念を味わい終わり、日にずっと当たっていると、不思議な感覚になってくる。学生生活。今まで感じたことはなかった。友と美味しいものを食べ、屋上でゆっくりする___もう三年間ここにはいるがこんな経験久しぶりである。そんなことを考えているうちに、あたまがぽわぽわと温かくなってきて、瞼も下がってきた。)あぁ、、、ハハハ、、これだよ、、これで十分だ、、(幸せって案外こんなもんでいいのかもしれない。別にわざわざ青春する必要なんてなく、自分が幸せだと感じれば十二分だな、彼はそんなことを考えてるうちに完全に彼の耳にあるバランスを均一にとるはずの機関も機能しなくなってきた。瞼は完全閉じたし、これ以上考えることはできない。気づけば、初夏の日差しを浴びながら、幸せで一杯になった頭の重みを隣の人間の方に預けてしまっていた。でも幸せを感じるために必要な人間はというと___「んー、、、、八六~、、、、、」口をパクパクと動かしながら笑っている彼の寝顔は___ (5/14 23:06:57)
彎蜿 一>
─(もう殆どの生徒が帰ったであろう放課後。シン…と静まり返った校舎はどこか不気味さを感じられて、そんな雰囲気の中ぐるりと校舎巡りをするのが、彼は好きだった。…。けれど。)(─ドンッッ!ガラガラガッシャーーーーン!!!)「………。」(そんな静けさを壊すような、まるで爆発音のような何かが何かにぶつかった音。そして続く転げ落ちるような、激しい音。普段ならば聞かないその音に、思わず顔を顰めてしまった。一体誰が、なにをして、そんな音を発したのか。彼は謎を解明するためにアマゾンの奥地へ───とは行かないが、君のいる教室の扉をガラリと開いただろう。そして、転がっている君を見れば、ただ一言。)「……何してるの…?」>ハチロク (5/17 21:32:54)
七竈 八六>
「……………………──────────ッッてぇ゛~~~~~~~………………」(あなたが来た時には彼はもう既にそこに倒れていたことだろう。机はある程度散らばり、椅子は横たわり、彼の身体は仰向けになっていた。普通に過ごしていればまず教室でこんな盛大に転ぶことは無く、ましてや放課後たった1人で〝 こうなる理由〟を探す方が難しい。貴方が顔を顰めるのもよォく頷ける。)『……何してるの…?』「………………あァ………?……何ってお前…………見りゃわかンだろォ~~?????…………さっきさーー、教室でバス待ってたらよォ、…てんとーむしがな?????ふわふわーーーつって入ってきて、ずぅーーーっと天井止まってっからァ、逃がそォとしてさァ……………………」(……そして彼も彼で転ぶのは誤算だったらしい。〝 見りゃわかる〟と言われても分からないのは無理もない。だが改めて見ると彼の左手には丸まった教科書、そして向こうは僅かに空いた窓がある始末、通りで風通しがいい訳だ。彼は上半身をむくりと起こして先程強めに打った頭を かしかし、と手でかくように撫でやる彼は、貴方にふ、と問いかける。)「………………ところでェ…もしかして、いいやもしかしなくとも先輩っすか???俺、高二の学部で見たことねンだけど…………………」(カーテンに西日が抱き締められクリーム色が混ざり合う西日に照らされた、白い髪を持つ青年…なんて肩書き。特徴的なのは腕がないこと、見慣れぬツギハギだらけであることだろうか。彼は貴方の顔を見やったのならば、首を小さく傾げて〝誰であるか 〟を疑問視する。けれど、きっと貴方はコイツを知っている。なんせ、彼は。この男は──────)「あっ!!!俺、高校2年の〝 ナナカマド ハチロク 〟っす、へへッ、よろしゃーーーすゥ。」 (『ナナカマド ハチロク』。半年前の雨の降る7日間、学園に戻らず 『無謀』に挑んだ学生の1人。当時は髪は短く、黒色だった為か 今現在の彼の容姿はだいぶ変わってはいるけれど。彼は人好きのするような笑みをにひぃーッ、と浮かべて見せたのならば、ゴツゴツと骨ばった手を貴方に差し出した。 もう片方手はあるんだろう?ほら、握手だよ。縫い目がほつれるかもしれないなんて、彼は疑ってすらいないように。)(5/17 21:58:18)
彎蜿 一>
「…、」(転んでいる時は分からなかった。気づかなかった。だけれど君を真正面から見た時、それは昨日のことのように蘇る。覚えている、知っている。君のことを、僕はよく知っている。──君が死にかけたその瞬間を、知っている。)「八六、ね。…僕は3年のハジメ。堅苦しいのは苦手だから呼び捨てでも大丈夫、こちらこそ宜しくね。」(そう言って彼は手を差し出した。君に比べれば随分と華奢なその手は、つなぎ目からぼろぼろと壊れる─なんてことはなく、ひんやりとしながらも君の手をぎゅっと握ってくれることだろう。)(【演技】彼はほんの少しだけ悩む素振りを見せて、そして、うん?、と首を傾げてみせた。)「……これを…聞いていいのかちょっと悩むんだけれど…八六、君はもしかして─────半年前、“ナックルバスター”に救われた1人かい…?」(─この、ナックルバスターがジファニー先生でないことは、君はよく知っているだろう。)>ハチロク (5/17 22:12:37)
七竈 八六>
『八六、ね。…僕は3年のハジメ。堅苦しいのは苦手だから呼び捨てでも大丈夫、こちらこそ宜しくね。』「そっか…………へへッ、ンじゃあ〝 ハジメ〟でッ!!!!!!」(彼は貴方の名前を聞いたのならば、お言葉に甘えるようにと先輩後輩の壁をいとも容易く崩した。1と8、6。数字のよしみ。貴方とここで出会ったのも何かの縁かもしれない。)(……が、しかし。)『……………これを…聞いていいのかちょっと悩むんだけれど…八六、君はもしかして─────半年前、“ナックルバスター”に救われた1人かい…?』( 少しの間。貴方が悩ましげに首を傾げた後、触れてきた話題は 濡れない雨の、7日間。恐らく彼は。)「………………………、…」(……彼は。)「…………、………あーーーー……まあ、…………あは、………………………そんな、とこ。つか、知ってんだ。……ああいや、そりゃあ、そっか。」 (〝直ぐに返事をすることは、叶わなかった 〟だろう。握っていた手に軽く力が籠ったかと思えば、ゆっくりと手を離し、立ち上がるべく地面につく。彼が貴方の演技を見破れる術はなかった。否、わかったとしていてもその質問を投げ掛けられれば、同じ反応をしていたはずだ。覚えているさ、鮮明に。あんなにもかっこよかったおっさんが、瞬きをした次の瞬間には地面と変わらない、ペースト状になっていただなんて。ただの学生にはかなりこたえる出来事で、流石の彼も暫く引き摺っていた。ナックルバスターを名乗る先生、〝 彼の娘〟 に顔向けができなかった。 ぎこちなく笑みを浮かべる彼の口から、掠れて呟かれる無意識下の言葉は、1つ。)「……〝 ごめん 〟。」( 貴方に謝る通りはなかった。でも〝救われた1人〟その一言は、彼の罪悪を鮮明に思い出させるには充分だ。) (5/17 22:28:55)
彎蜿 一>
「……どうして、謝るの?」(“ごめん”─その言葉を聞けば、彼は静かに問いかけた。)(【演技】まるで、君を慰めるかのように、そっと寄り添うように。君の味方であるように。)「…“ヒーロー”、って、テレビや絵本で見るような…そんなロマンチックで、素敵な─最強なものではないってことは、きっとここにいる誰もが分かっている。それくらい、あの7日間は…ひどいものだった。」(だから、と。彼は君をじっと見つめてながら、君に言うのだ。)「───謝って戻ってくるなら、いくらでも謝ればいいと思う。けど、そうじゃないだろう?それに、“ナックルバスター”は八六に謝って欲しくて助けたの?彼は…そんな“ヒーロー”だった?」(違うだろう?彼はそんな言葉が聞きたくて君を助けたんじゃないだろう?そうだろう?)(───そうだと言え。)>ハチロク (5/17 22:39:01)
七竈 八六>
『……どうして、謝るの?』「………………………………」『…“ヒーロー”、って、テレビや絵本で見るような…そんなロマンチックで、素敵な─最強なものではないってことは、きっとここにいる誰もが分かっている。それくらい、あの7日間は…ひどいものだった。』「…………─────────嗚呼、そォだよ……多分。おっさんは………………多分〝 ナックルバスター〟は、そんなこと思っちゃいない。1番近くで見てたから……………おっさんがどれだけ強かったかも知ってるし、どんだけ男前だったかも分かってる。………でも、でもさァ。考えちまうンだよ。あン時『もっと強かったら』って。……兄貴でも無く、ヒーローでもなく、国でも、他の誰かじゃなくて、その場にいる俺が『もしもヒーローだったら』って。」(貴方の声は優しかった。こちらを見つめる瞳だってまた同じだ。だからこそ、彼は貴方と目を合わせることが出来なかったのだろう。後悔は影のように付き纏う。『自分が他の誰かであるのならば』なんて願ったって、その誰かになれる魔法を彼は持ち合わせちゃいない。当時の自分を『まだ子供だったから』と呑み込み流せるほど、彼は大人になり切れないのだ。)「……………………………ハジメは〝優しい 〟ンだな。でも、……俺、俺やっぱ普通に叱って欲しいのかも。ひぎゃくしこう?じゃ、ねえけど………おっさんとか、周りとか。センセーとか…『お前のせいで死んだ』って言われた方が、すげえマシだとか思っちゃって。」「…………………………………だから、いいよ。今の謝罪はなんつーかそのォーーー…………言葉の綾っつー奴??俺が〝 強くなれば〟それでいい話だし、ハジメちゃんはなぁーーーんも気にしなくてい・い・のッ!!!」(思わず吐露してしまった感情を『やっぱ今のなし』と引き戻すことは出来ない。時間とは相対的なものだ。しかしそんなしみったれた空気は似合わない。貴方に気を遣わせるのも申し訳ないと、演技を見破れやしない彼は顔を上げ、今度ばかりは貴方と目を合わせた。)「………………なんかさ、別の話にしよ。」「…俺バスが来るまでまだ時間あるし、……まだここにいんなら、の話だけど、さ……へへ………………」 (5/17 22:58:30)
彎蜿 一>
「…。」(強かったら。強くなれば。そんな“もしも”の話をする君はとても──“可能性”を信じているように思えた。あるかもしれない未来を思って、過去の悔しさを、罪を、全て自分が強くなるという未来に賭けているように、思えた。)(【思案】でもそれじゃあ、ダメだ。もしも万が一、そんな可能性の未来に辿り着かれてしまっては困るのだ。あの鵺にはいつまでも最強でいてもらわなければ困るし、頂点に君臨し、気ままに人間を殺してもらわなければならない。そしていつまでも、この学園の、人間の─人類の“トラウマ”でいてもらわなくては、大変困るのだ。)「…本当に責めてほしいなら、何時でも。その時は心を鬼にして言ってあげる。ただ、なかなかに厳しいと思うから、本当にそう言われたいと思った時だけね。」(今日は、今、この時は。これ以上掘り下げない方が良いだろう。だってまだ、君と僕は“初めまして”だから。簡単に縁を切られてしまっては困るのだ。─あぁ、困ることが多い。けれど、その困難の先に待ち望んだ風景が見れるのならば。)「別の話…うーん、僕、あんまりお喋り上手じゃないんだよね。そうだなぁ、えぇっと……その、八六、はさ…」(【演技】君の庇護欲を、護りたいという気持ちを誘うように。)「───…片腕がない人間を、気味が悪いって…いつか、避けたり、しない?」>ハチロク (5/17 23:11:37)
七竈 八六>
『……本当に責めてほしいなら、何時でも。その時は心を鬼にして言ってあげる。ただ、なかなかに厳しいと思うから、本当にそう言われたいと思った時だけね。』「おうッ!!!!!!!頼むわ〝はじめん 〟ッ………つってもォ……………なんつうか〝 叱られたい〟わけじゃねえから、…なぁんかそれもちげー気がするっつうか、………あーーーまあ………ありがとう?」(彼は景気よく貴方の言葉に返事をしていたが、後に困ったような笑みを浮かべ腕を組む。そう、別に叱られたい訳じゃあないのだ。ただ、自分で自分を許せていないウチに『あの時は仕方がなかった』と、甘やかされるのがどうしようもなく嫌だ、なんていうわがままだ。けれどそれを口にするには上手く言葉が纏まらない。故に彼は曖昧な感謝の言葉を述べて、この話を一旦閉じることにする。)(……さァ、今度はあなたの番。〝 話すのが苦手〟だと呟く貴方の薄い唇から、こぼれた言葉は生暖かい雨のように。ポツリ、と。)『───…片腕がない人間を、気味が悪いって…いつか、避けたり、しない?』(……あまりにも寂しく、雫が落ちるように波紋を広げた。教室は、シン、と静まり返っている。今度、瞳を伏せているのはこちらではなく貴方の方。だがしかし、彼は。)「……………あ?なんで〝 俺〟が。」 (〝分からなかった 〟。何故それが『気味悪い』と避ける要因になるのかを。加護欲云々の前に、自分が貴方を忌み嫌い、避ける未来を全く考えちゃいなかったのだ。視野が狭いから、自分の価値観が自立して彼を引っ張っているから、醜い世界に配慮が及ばない。急にこぼされた内容に、少し間を明けた後、確認するように腕の方を見やったのはここだけの話。蜂蜜色の瞳は依然伏せられたままの赤目を覗き込むだろう。)「…………………なァに。誰かに気持ちわりぃーーーッて、言われたの。その腕。」(……推察だった。 手を伸ばした彼はもしかしたら、貴方の縛られた裾に、不躾にも触れるかもしれない。そこには布の質感しかなくて、中はペシャンコ。あるはずのものはそこにはない。)「……………〝んなことしねーし言わねーよ! 〟って………そんな改めていうの、わざとらしくてやァなんだけど。」(·····きっと『理想のヒーロー』ならば、言い切るのがセオリーだ。貴方だってそれを望んでいた事だろう。)「……………でも、俺、けっこーはじめんのこと好きだから昼飯誘われたり遊ぶ約束されたりしたら、ソッコー飛んでくし、超嬉しいよ。」 ( でも、彼はまだ子供だった。鵺は最強だし彼はまだヒーローになりきれていない。 貴方の演技すら見破れない。そして【誰も見捨てられない】。だから屈託なく微笑んで、貴方の様子を伺うんだ。 )「……………今日みたいにすげえでっかい物音とか立てなくても、…………………誘ってくれる?」 (5/17 23:54:32)
彎蜿 一>
─(シン、と静まり返った教室。寂しさを感じる、そんな静けさは嫌い、ではないけれど。)(【本音?】ほんの少しだけ、息が詰まる。)(ぱち、と気がつけば視界に蜂蜜色が映っていた。君の推察は間違っていない。綺麗ではなく、不健康に見える白い肌に気味の悪い縫い跡。本来ならばあるはずの左腕はいつ触れようとその温度を主張することはない。そこにあるのはいつだって空白だった。皆と違う“異物”を子供は無邪気に恐れ、嫌い、迫害した。そこにきっと、悪意はなかった。けれども彼の価値観が形成されていく中、それは彼の価値観のひとつになってしまった。周りと違うものは淘汰される。その先にあるのはいつだって孤独で、いつしか彼は周りを見るだけの人間になっていた。その輪に加わることは、一切。)(【価値観】そんな人間の歪を“ウツクシイ”と思った。)「…八六が、僕を避けたりしないなら。…見捨てないなら、───、」(【呪縛】─────君に、枷を。)「──僕を、“ひとりぼっち”にしないなら、いつだって。」(【演技】お願い、捨てないで。彼は、君よりも歳上のはずなのに、この瞬間だけ、まるで捨てられた子供のように見えただろうか。)(【約束】お昼ご飯も、放課後遊びに行くのだって、誘うから、どうか、どうか。)(─────────────────、)(─────どうか、いつの日か、あの日見れなかった、物語の続きを。)>ハチロク (5/18 00:10:56)
七竈 八六>
「……………じゃあ、今日一緒に帰ろ。」 ( 縋るような声色、まるで暗闇で迷子にでもなかったかのよう。『もちろんだよ』『大丈夫だよ』そんな言葉をわざわざ投げかける必要はないだろう。彼はようやく立ち上がったのならば、ひひ、と笑ってリュックサックを肩にかける。そのバックが半開きなことにすら気付けない彼が、貴方の演技に最後まで気づくことは無かった。言葉を言葉のまま、そのままの意味で受け止めて居た。だって『あなたがそう言うならばそうだから』。それを嘘だと何故言える。嘘でも何でも、貴方が寂しいと零したのならば、『一緒にいるのがヒーロー』だなんて理想像と。ただ、〝友達 〟になりたいだけ、なんて幼心。)「…………つうか 見捨てるだとか、 そんな寂しいこと言うなよなァーーーー……内緒話をするときゃあ、みんなが入れるようにおっきい声でって言葉があるぐらいだ。兄貴も言ってた。 」「つか腹減らねェ????俺めぇーーーーっちゃ腹減っててさ─────…」(それじゃあ内緒話の意味が無い。彼には隠すような秘密はない。作ってもその秘密は外に出たかって仕方がないのである。もしも2人で教室を出たのならば、窓枠通りに四角に切り取られた西日に影は大きく伸ばされることだろう。2人ぼっちの校舎内、他愛のない名無し。貴方の知らない青春を。貴方の知らない物語を。)(彼は、一緒に紡ぐ気でいるのだろう。)(【ライセンス︰不屈の精神】)(──────────【正義の糧 】)(今は、まだ。) (5/18 00:33:00)
Gaill Monochoria>
(夕暮れ。壁面(コンクリート)と瀝青(アスファルト)。無機の街並みを照らす陽光。眩い橙が散りばめられて、視線を変えず歩くには少し目が痛い。帳が落ちる迄もう少し。)「.............。」「 hey. 」(雑踏の外れ。君の背中へ静かに告げる。)「ナナカマド ハチロク君で合っているかい」(もし君が振り向いたなら、其処に君と同じ金髪が揺らめくのを目にするだろう。先天か人工かの違い、似て非なるモノではあれど、当人等がそれを知る由は無いだろう。なんてったって彼と君は初対面。彼も生徒表から其の名前を知ったに過ぎない。)「急で悪いね。僕ァ三年のゲイルだ。よろしく。」(或いは、普段の彼なら握手でも求めていただろう。然し、ジェスチャーの大きな科学者の四肢は、身体は、動かない。)「少し話が訊きたくてね。」「なァ少年。」「校外学習のあの日。............キミは何を見た?」(彼と君は初対面だ。)(だから。其の問いはあまりに唐突で、或いはデリカシーを伴わないモノだろう。)(彼は、『探求』を愛している。) (5/21 20:43:37)
七竈 八六>
「 ────────── あはッ、何それ。超ウケんだけど。」 ( 伸びた影 ) ( 雨上がりの水溜まり )( 朱色に照らされた 見慣れた街並み。 )( 軽く解けかけたスニーカーなんて気にもとめず、彼は携帯端末を耳に当てながら ヘラヘラと楽しそうに笑っていた。ジャラジャラとキーホルダーが揺れるリュックサックのボロボロ具合でわかるガサツな性格と、バチバチと耳に飾った虚勢達。そして極めつけは、お壁にスプレー缶を振ったような、グラフィティ宜しく目に痛い黄色。これでもかという主張に埋もれた、まだ大人になりきれないあどけない顔立ちをした彼はまさしく『男子高校生』そのものである。)『 hey 』「……………………?」( その『男子高校生』が、足を止めたのは。貴方の声掛け一つで充分だった。)『ナナカマド ハチロク君で合っているかい』「……ええ、まァそォーーーーッすけど……」『急で悪いね。僕ァ三年のゲイルだ。よろしく。』「 いッッやァ~~~~~!!!!マジで急ッスね???まあ、俺そういうの好きだけどさ。ゲイル先輩、ね…………へへッ!よろしゃあァーーーッす!!!」(振り返り際の半身から、貴方の方へと身体を向ける。 無論、彼は貴方の事を知らなかった。故に『道を尋ねられる』程度の、些細なことを聞かれるもんだと考えていたんだ。欧米さながら鼻筋の通った顔立ちと、自身とは相対的にも見える瞳の色。彼は四肢をピクリとも動かさずにこちらを見据える科学者に、にひぃーッ、と人好きのするような笑みを浮かべて見せるだろう。 )(しかし。)(どうやら、その淡く平和ボケしたような予想は、検討はずれだったようだ。)『なァ少年。』『校外学習のあの日。............【⠀キミは何を見た? ⠀】 』 「…………、…………」「…………………ぁ、もしもしやっちゃん?……ゴメンなんだけどさァーーー……後で掛け直してい??ああいやほんと、ありがとね。ほんじゃまた夜に。」(…僅かに目を細めた後だった。未だに繋いである端末に再び耳を当てたのならば、彼は電話越しの相手にそう断りを入れて通話を切るだろう。)「……………………………………」「ふゥ────────……」(深い深い息。 するりと耳から滑る端末はポケットの中へ。長い前髪で目元が一瞬隠れたがそれも束の間。顔を上げた彼は、 困ったような ヘラヘラと明るい笑みを依然として浮かべたままあなたに言葉を告げるだろう。)「…………………ね、先輩。」 「……………公園行かね?……俺喉乾いちゃった。自販機、あるっしょ。……先輩にもなんか奢ったげる。」( ─────彼は、『何を愛している』?) (5/21 21:16:42)
Gaill Monochoria>
(もしかすると。)(もしかすると、彼と君は似ている、のかもしれない。明るい笑みを湛える君と、ニヤニヤ笑いを浮かべる彼。ジョークが好きで、軽口を叩いたり、けらけら笑ったり。“脳筋”と“科学者”だったり、君の其の髪は染められたものだったりって、それこそ“似て非なる”だけど。けど屹度、金と黄は優しく混ざる事だって出来た筈で。然し。然し刻まれた結果は暖かい水に垂らされた冷水の様相を呈していた。明るく、優しく男を迎えた君へ、何時ものジョーク好きは顔を覗かせなかったから。)『ふゥ────────……』(君は息を吐いた。彼は口を開かない。街はずれの住宅街。二人の間を静寂が満たして。)『…………………ね、先輩。』『……………公園行かね?……俺喉乾いちゃった。自販機、あるっしょ。……先輩にもなんか奢ったげる。』(そう言って。其処に困り気味の色が垂らされた事を除いては、君は、変わらず笑っていた。)「....いや、ボクが奢ろう。」(それだけ言って、彼は君と歩を進めるだろう。)(公園。斜陽の角度はより鋭く。滑り台とブランコ、それとジャングルジムの影はやけに伸びて。)「僕ァそうだな、コーラで良いか。」「..........キミはどうする?」(有無を言わさないつもりか、奢る前提でそう問った。)(自販機のLEDは、夕焼けに呑まれた其の場所で、異質たる潔白を放っていた。笑顔の君と、表情を変えない彼みたいな。ちょっぴり、寂しい景色でしょうか。) (5/21 21:38:30)
七竈 八六>
『....いや、ボクが奢ろう。』「えっ、うっそ。マジで????えっへへッ、あざァーーーーッす。じゃあねェーーー………じゃあ、先輩と同じのがいーなァァーー……俺もさ、コーラ。…結構好きなんだよね。」(日本人なら今どき珍しい、悪く言えば『図々しい奴』。彼は貴方の言葉に甘えるように、〝 ラッキー〟と言わんばかりにまた、笑った。夕暮れ時だった。寂れた公園に子供なんて居なくって、風に撫でられたブランコが キィ、キィ、と小さく鳴るだけ。もしかしたら、自分に見えないカミサマが まだ遊び足りないからと 揺らしているのかもしれないのだけれど。 ぽつりぽつりと辺りを照らす街頭と くねる道。そしてそこに不釣り合いの 異様なまでに明るい自販機には、お目当てのコーラが確かにある。遠くの方から鴉の鳴く音。彼はポケットに手を入れながら、貴方の後ろに立っていた。その後ろ姿よりもずっと大きく伸びた影と、貴方の陽だまりのような柔らかな髪。 探求を愛する科学者と、無謀な高校生。鼻腔を擽る懐かしいような、泣きたくなるような匂いをめいいっぱい肺に溜め込む行為は、煙草を吸うより芯に染み渡るようで。)(それから。)(……………………それから。)
「 ──────────弱かったんだァ、俺。」
「……………………訳わかんなくてさ、……人混みが押し寄せてくんの。濡れない雨が降っててさ、そんで目の前には 馬鹿でかい化け物。」 「 ……… 〝 鵺 〟って言うんだって。ガッコー帰ってセンセーが言ってた。あん時先輩が食われそうになってたから、俺ら囮になって逃げてやろーとか突っ走ったんだよ、アホでしょ。でもね、なんかさ、行けると思ったんだよ。……………というより〝そうしなくちゃなんなかった 〟の、俺は。…多分、〝 サクラダ〟ってやつも。…………………そんで、やっぱ上手く行きっ子なくって、…マジで食われそうになった時に。おっさんが……〝 ヒーロー〟が守ってくれた。」 「………………すげえ、かっこよかった。」「…………………………………〝 死んじゃった〟。」( ぽつり、ぽつり。生暖かい雨のように、彼はまるで日常会話に織り交ぜるように語っていた。 男子高校生が口にするには、縁もゆかりもあっちゃいけないものがたりの冒頭だった。 西に傾いた陽の光が 夜の帳を降ろしていく。ほんのりと赤紫に照らされる貴方の横顔に、前髪の隙間から目を覗かせ見やる彼は、困ったようにくしゃりと笑って呟く。)「………………正直。め゛ェーーーーーーッッッッッ………ちゃ〝 悔しい〟。」「…………つか、先輩。なんでまた、そんな急に聞いてきたのよ。 」「………………………先輩も大体見たのは似たようなもんじゃねェの?でっかい化け物と クソみたいな雨……………………それから ──────────………」(人の、死。彼はそこで言い淀んだ。何故急に聞いてきたのだろう。何故自分だったのだろう。回らない腕時計をそ、と撫でる。 貴方にも同じ時計はついていた。半年経った今も、『未だに自らのディスコードが見えない』彼と違って、貴方は。) 「………………………」(………………貴方は。) 「…………………先輩って、〝 憧れのヒーロー 〟って居たりした? 」(彼はふ、と。貴方に問いかけた。これは、単なる好奇心に、近かったのかもしれない。) (5/21 22:17:05)
Gaill Monochoria>
(“先輩と同じのがいい”だなんて人懐っこい声がする。電子音が鳴って、缶が排出される。或いは、今日を終える前にお釣りをとったかを思い出そうとしたり。それくらいには、慣れを超えた無意識の行動。“ガサツ”に小銭をポケットに突っ込みながら、片手でカシュ、と缶を開けた。小さな発泡を孕んだ甘味を流し込んで。)「通話、邪魔しちまった詫びさ。礼は要らんよ。」(鴉が鳴いている。君には、不安を煽る音に聴こえるだろうか。)(不吉、だなんて言葉。過半の学者は迷信と一蹴するだろう。現を抜かすなと罵るだろう。信じる者を学者と認めないだろう。彼は、どうだろうか。)(最低限の言葉を放ったなら、男は唯静かに不健康の塊の様なソレを飲み進める。“キミの答えを待っている”とでも、言うかの様に。)(...........どれくらい、経っただろうか。夕暮れの公園。稼働を止めない自販機。佇む二人を包む其れは静かで、静かで。寂しいくらい静かで、哀しいくらい不思議な空気だ。そんな空間をリミナルスペース、と呼称するなら、もしかするとソレはヒトには見えず、ヒトを触れずのカミサマ、かもしれないと。そんな、ちっぽけな可能性。兎角、時間の経過が早くもあり遅くもある様な、そんな空気に包まれ静寂。君は。)(.......君は。)『──────────弱かったんだァ、俺。』「........。」(其れを、皮切りに。言葉は少しずつ。少しずつ零れて行った。会ってすぐの男に此処迄話せてしまうのは屹度君の人懐こさであり、同時に人々を護るヒーローとしては少し突かれてしまいそうな隙ではあるけれど。けれど、君が気付いた時には。その時には、彼は優しく笑って、話を聞いているだろう。)(人の死に就いて、口にするを憚った君の問い。彼はもう一度だけ飲料を口にして。それから、答えるだろう。) 「そうだなァ........」「粗方、キミの想像通りだよ。」(粗方、と云う言葉を使ったのは。彼は、その雨を見て居なかったから。)(優しい笑みを君に向けるのは。その雨の意味を、学長の資料で識ったから。)「ああ、そうだ。」「訊いたからにゃ理由を教えなきゃな。」「単刀直入に言うぞ。僕ァな。」「僕は、鵺を。あの神(カミ)を。」_______________「弑(ころ)そうと思ってる。」(結局の所、似た者同士だった。溶岩のカミサマは死んだけれど。彼も襲われた一人で、救われた一人で、そして悔しがった一人だ。)「確かに、アホだな。キミは。」(だから。)「だから声を掛けた。」「だから訊いた。」「だから、頼ませてくれ。」(無機的で在れば科学者だろうか。私情を棄てるが科学者だろうか。浪漫を忘れるが科学者だろうか。)( 否 。 )(どれだって、科学者だ。科学を愛しているのなら。)「リベンジマッチじゃあ無いが...............一緒に戦ってくれないか?」(それは切実で、悲痛だった。)『…………………先輩って、〝 憧れのヒーロー 〟って居たりした? 』「...............、いや。」「悪いが.....先に訊いてもいいか?」「もし、居るのなら。キミの憧れは誰だい?」 (5/21 23:05:47)
七竈 八六>
『そうだなァ........』『粗方、キミの想像通りだよ。』「………………………………」(貴方の返答は案の定だった。やっぱりあなたも見てきたんだ。きっと貴方の視界の先には大きな背中があったんだ。そしてその背中が呆気なく、〝 潰えた〟んだ。 じゃあなぜそんなにも飄々としていられる?だなんてのは自分が一番よく知っていて、でも、〝 平気なわけが無いから傷の舐め合いをするように安易な言葉をかける 〟なんてのも、それはそれで浅はかな気がしたから。 だから、 彼は〝 そっか〟とひとつ呟いて、奢ってもらったコーラの蓋をカシュッ、と開け、「ありがと先輩」と呟くのだった。 まだ学生だからお酒は飲めないけど、確かあのおっさんはお酒が好きで、目の前に立ちはだかった時にさえワインの入った瓶を下げていたっけ。)春と言うには遠の昔に過ぎ去ったような季節。なんとなく、じとりと空気が張り付いた。その癖景色は異様に淡く、水彩画のように滲んでいる。そんな中で彼はコーラに喉を通すだろう。)『……………ああ、そうだ。』『訊いたからにゃ理由を教えなきゃな。』『単刀直入に言うぞ。僕ァな。』『僕は、鵺を。あの神(カミ)を。』
『_______________「弑(ころ)そうと思ってる』
「……………………、…マジで?」
(彼は、 僅かに目を見開いた。殴られたような、不意打ちだった。下ろしたペットボトルの蓋を閉めることも忘れているかのようだった。 カチリ、と聞こえるはずのない時計の針が、揺れ動く錯覚。 思わず声を漏らすのも無理もないだろう。〝 貴方は何を言っているのか自覚があるのか〟。一人で行くにはあまりにも無謀、貴方がどんな能力を使うかは知らないが恐らく勝機が薄いことぐらい、彼にも分かっていた。だから思わず聞き返したのだ。)『───────だから声を掛けた。』 (だが、…どうやらその言葉には〝 先〟がまだあるようだ。貴方はこちらに視線を合わせ、淡々と、しかし普段の剽軽さとは裏腹に地に足を付け、告げる。)『だから訊いた。』『だから、頼ませてくれ。』『────リベンジマッチじゃあ無いが...............一緒に戦ってくれないか?』「……………………………………………」(仮にも科学者であるならば、その天文学的な可能性に掛けて討伐を狙うならばもっと適性が居たはずだ。それこそ周りの生徒は『ディスコード』が使える。神殺しに相応しい、『最高のディスコード』が。対する己は?否、彼には。【固有のディスコード】は存在しないに等しい。) (彼自身がその可能性に気づいちゃいないことは愚か、 半年経った今でさえ腕時計があれど、俗な言い方をするならばハンドアウトは『一般生徒』という枠組みだろうか。…貴方は、彼が返事をする前に自身の先程の質問に、質問で返すんだろう。)『悪いが.....先に訊いてもいいか?』「…………いいよ、先輩。」『もし、居るのなら。キミの憧れは誰だい?』「…………」「……………『兄貴』だよ。〝 七竈 素直 〟ッていう、ヒーロー。名前に通り愚直で頑固。…………………で、その弟『七竈 八六』はいつまでたっても『兄貴が守ってやらなくちゃいけない子供』。」 「…………良いか。兄貴は越す。アンタは俺が死なせない所か、……………〝まだ居ない憧れのヒーロー枠 〟をあわよくばかっさらいィ?…………鵺はぜッッッッッッッッッ………てェ~~~~~~~~~~どォーーーーにかする。ぜッてェに、だ。」「………先輩馬鹿だけど見る目あるよ。マジでさ。俺、こういうのを待ってたんだ。 勝算は、あ゛~~~~~~~~、まァ、………世間一般的に見積もって鵺9︰1ィってェとこだろォォ??????へへッッ…………………上等ォォォォ~~~~~~~~~………」(『このカミサマは特殊ハンドアウト『最終兵器』を使用しない限り討伐は不可能である。』)(『このカミサマは特殊ハンドアウト『最終兵器』を使用しない限り討伐は不可能である。』)(『このカミサマは特殊ハンドアウト『最終兵器』を使用しない限り討伐は不可能である。』)(『このカミサマは特殊ハンドアウト『最終兵器』を使用しない限り討伐は【⠀〝 不可能〟⠀】である。』) (しかし、そんな【不可能】を『可能』にしたい。)(彼は本気でそれを考える『馬鹿』だった。だからこそ貴方は頼んだのだろう。 彼はニヤリと 挑戦的な笑みを浮かべる。勝機は9︰1どころか 10︰0 まで行ってもおかしくはない。でも、彼がここで『乗らない理由』はどこにもないのだ。だって自分はヒーローになるためにここにいるから。貴方のように大層な理由じゃなく、もっと稚拙で、守られてばかりじゃ嫌だ、なんて子供みたいな理由で、彼は前に立ててしまうのだ。彼は貴方に拳を近付ける。 )「……………………俺達ならどうにかなる。なァ、そう思わねェ?ゲイルせェんぱい♡ 」」 (A、─────『彼は、『可能性』を愛している』)(…それは彼自身も、知ったことではないけれど。) (5/22 00:08:30)
Gaill Monochoria>
『……………………、…マジで?』「ああマジだとも。大マジだ。」(発砲。其れを思わせる言葉を吐いたなら男は不敵に笑う。)(安い感傷は要らない。)(軽い後悔は要らない。)(浅い悲しみは要らない。)(在るのはただ引鉄だけだ。)(だから。)(だから!!!!!!!!)『……………『兄貴』だよ。〝 七竈 素直 〟ッていう、ヒーロー。名前に通り愚直で頑固。…………………で、その弟『七竈 八六』はいつまでたっても『兄貴が守ってやらなくちゃいけない子供』。』『…………良いか。兄貴は越す。アンタは俺が死なせない所か、……………〝まだ居ない憧れのヒーロー枠 〟をあわよくばかっさらいィ?…………鵺はぜッッッッッッッッッ………てェ~~~~~~~~~~どォーーーーにかする。ぜッてェに、だ。』(君と云う、〝七竈 八六〟と云う灯を彼は見落としゃしなかった。)『………先輩馬鹿だけど見る目あるよ。マジでさ。俺、こういうのを待ってたんだ。 勝算は、あ゛~~~~~~~~、まァ、………世間一般的に見積もって鵺9︰俺達1ィってェとこだろォォ??????へへッッ…………………上等ォォォォ~~~~~~~~~………』(大火を成す火花を!!!)『……………………俺達ならどうにかなる。なァ、そう思わねェ?ゲイルせェんぱい♡ 』(理を穿つ、その閃光を。)「クックック.............」「カカカカッッ!!!!!!」(男は笑った。)(漸くだ。漸く金と黄が交わる時が来た。)(帳が降りた。自販機が眩しい。街灯が眩しい。だが其れ以上に。否、其れ等一切を夜の暗闇と同一だと薙ぎ払うように。)「.............オイ。」( 輝 き を 灯 す 何 か が 其 処 に は 在 っ た 。 )「なァオイ最高だぜコーハイィ!!!!!!」「キミを選んで良かった。キミに頼んで良かった。」(やっと顔を覗かせたのは陽気でニヒルな科学者だった。試す、と言っては些か上から目線だが。或いは君が沈み、失意の底に在ったなら。もしそうなら、頼む事など何もなかったから。頼めるものなど何もなかったから。だから、縋ると言うのが正しいか。)(噂程度だが。あの日、真っ先に突っ走って行った莫迦が居る事を知っていた。ナックルバスターと、今は亡き英雄と言葉を交わした者が居る事を知っていた。彼は。科学者-ロマンチスト-は。)(君の英雄性を信じていた。)「僕ァね。」「僕ァ、キミよりずっと弱いよ。」(其れは。先刻の、君の言葉に沿った様な。そんな、告解だった。)(才が無かった。)(能が無かった。)(彼は科学を愛している。ならば科学はどうか。愚直に探究を身を捧げる其の男を愛しただろうか。)(答えは________。)「僕ァ科学を愛してる。」「探究を愛してる。」(理-ルール-の中に在りながら新たな法則-ルール-を模索するのが探究ならば。ヨクトメートルの綻びすら究め続け何かを見つけ出すのが研究ならば。彼は。)「なァ、ハチロクチャンや。」「僕は〝可能性〟を愛してるぜ。」「だからさ、鵺ェブッ飛ばして掻ッ攫ってくれよ。〝憧れの座〟ってのを、さ」「ま、一緒に戦うんじゃァ勝った暁にゃ僕ァ僕自身にも憧れる事になりそうだがね」(軽口を交ぜる彼は。君の前に立つ今の彼は、屹度いつもの姿。ニヒルな笑みを浮かべてジョークを幾つか。大きなジェスチャーがせめてもの運動。理科室に籠りっきりの痩躯の英雄擬き。何も為せちゃ居ない男。“まだ”、何も。)(告解の続きは、また何時か。)(話せるだけの、ヒーローが現れたら。)「改めて急で悪かったね。」「そんで頼りにしてるぜ、ヒーロー」(突き出された拳に応えよう。健康的な君の手と、大きさで誤魔化せども骨ばった彼の手。似て、非なる。)(遼遠のネオン。クラクションのリバーブが小さく響く。そんな雑踏外れの小さな公園に上がった狼煙。炎は、弱く。)(然れど。然れど侮るなかれ。愚者二人、一つの線-This cord/Discord-を足したなら。其れは此の世界の異分子-ジョーカー-さえ喰らうスペードの3だ。)(上がる狼煙を凱歌に変えろ。)「よろしく頼むぜ?Bro.」(或いは、既に少し憧れちまってるなんて事実は、言葉は、呑み込もうか。) (5/22 01:11:18)
彎蜿 一/わんわん>
─(誰もいない静かな教室で、彼はどこか落ち着かない様子で君を待っていた。 )(君とのLINEでの最後の会話は彼からの“着いたよ”というメッセージで終わっていることだろう。既読は付いているから、君は今頃慌てて走って来ているところだろうか?)「…ふふ、楽しみだなぁ」(その言葉だけ聞けば、純粋に君と帰るのを楽しみにしている、少し変わった格好の1生徒だ。)(─ココ最近この格好もこの学園では割りと普通に馴染んでいることを知ったけれど。ヒーローは個性的な人が多いものだ。)(ドキドキ。高鳴る心臓を抑えて、教室の扉の向こうからバタバタと慌ただしい足音を聞けば、スマホから顔を上げて。)「───待ってたよ、八六。」(【演技】まるで、冗談を言うかのように、君をからかうように。)「放課後デート、しよっか」>ハチロク (5/24 21:19:44)
七竈 八六>
(バタバタと忙しない足音が聞こえる。それはあと5m、4m、3、2、1────── )「悪ィ遅くなったッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!はじめちゃんッッ!!!!!!!!!!!!待ったッッッッッッ!!!!!!!??????」(ガラッッッッッッッッ…………!!!!!!!!!!!!!!と勢いよく開いた扉。錆びれた赤の教室に 黄色い頭が入ってきた。肩で息をする様子から、〝 走ってここまでやってきた〟なんてのは容易に想像ができる。ふゥ、と1呼吸置いて前を向く彼は顔を上げ、貴方の方へと視線を向けることだろう。琥珀色の瞳の中には、夕焼けをバックにその影がより一層濃く焼けた、仮面姿の男子生徒。…そんな男子生徒が。)『───待ってたよ、八六。』(…ほら、こんなことを言うものだから、なんとなァく〝 悪役っぽいなァー… 〟だなんて阿呆みたいなことを考えたのは、ここだけの話。彼は小さく苦笑いをしながら、頭をかきつつ遅刻した理由を説明することだろう。)「いやァーーーーーッッ……それがさ、途中でセンセーに捕まっちまってッ…………〝 課題出せ〟ってさァーー……もォ………ああいや、…出さなかった俺が悪いんだけどさァ…………………」(〝 いかにも〟な理由だった。彼は学校こそ皆勤賞ではあるものの勉学はそう得意ではない。単純思考の脳筋馬鹿。それは出会った当初からあなたも分かっていたはずだろう。 故に。)『放課後デート、しよっか』「………へ、ぇ?…デートォ……………????」(故に、貴方が軽く吐いた冗談に対し、彼は思わず聞き返してしまったのだ。だって。)「ッ……ぷふッ……あははッ!!!!アホなこと言ってねェで準備しろよなァッ……!!つうかどこ行くよ??マジでぜんっぜん決めてなかったわァ………………」(…男同士で〝 デート〟だなんて。彼は吹き出してしまった。勿論同性愛だとかなんだとか、世間には色んな人が居るけれど 己に限ってそれは無い。随分とロマンチックなことをいうものだと、彼は 笑ったのならば どこへ行くかと問いかけるだろう。会ってから一緒に決めればいいや、なんて考えてたもんだから。) (5/24 21:52:39)
彎蜿 一/わんわん>
「まぁ、何となく予想はついてたし…急いで来てくれたんでしょ?だからいいよ。」(課題が終わってない、なんてあまりにも君らしい理由に、彼は少しだけ笑ってから、立ち上がった。)(机の上に置いていた肩掛けの鞄を取れば、右肩に掛ける。服もズボンも、鞄さえも黒色で統一されたそれは彼の白髪と肌と、そして仮面の白色を一層際立たせていた。)「何処に行こっか。八六と一緒ならどこに行っても楽しいと思うけど。……あ、でも歓楽街に行ってみたいな。」(いつも賑やかで、けれどもただの通り道の1部であったその場所。)(君と一緒に行ったのなら、みんなが楽しそうに騒ぎている理由も理解できる─気がした。)(そう提案して、楽しそうに笑っている君に右手を差し出した。)「ほら、行くよ。……“デート”、でしょ?」(【演技】まるで普通の男子高校生の、青春のほんの1ページの、悪ふざけのように。)>ハチロク (5/24 22:20:51)
七竈 八六>
「………歓楽街ってェ…………あーーーーーッッ…!!!あそこか!!!あのいつもお祭りやってるみてェなッ!!!!!うわァーーーーーーッッ………めェーーーーッちゃ行きたいッ………!!!!」(彼は歓楽街と聞いた彼は ふ、と思い出したように目を輝かせる。歓楽街といえば和のものネオン、まるでサイバーパンクな近未来。1度中にはあればまるで別世界を思わせるあの場所は、彼にとっては1種のアトラクションと言ってもいい。立ち上がり鞄を持つ貴方、こちらへと歩み寄る様子。それから………)『ほら、行くよ。……“デート”、でしょ?』「………え、へへ…??えぇ………??いやァ、デート…………ああまあ、そう、………かなァ~~ッッッッッッ………?????」(手を差し伸べてくる貴方。冗談だと思っていた。事実冗談であるだろうけれど。〝手ェまで繋ぐのかよォ? 〟と、曖昧な笑みを浮かべる彼は、何となくこの歳で誰かと手を繋ぐのは照れくさいのだろう。彼は手を伸ばしたのならば、貴方の細い手を子供体温で包むように、ぎゅ、と握るに違いない。 )(それから………)「まあなんだって良いけどよォ………嗚呼、つうか、…はじめちゃんさァ。ずゥーーーーーッッと気になってたンだけど。【⠀仮面 】は やっぱしはずさねェの?彼処で飯とか食うんだろ?…………飯食う時に外しゃあいいけど、ちょい不便じゃね?」 (それからもう1つ。それは西日に照らされた『仮面』の話。彼は 貴方に顔を近づけ、無機質なそれをこつ、と指先でつつこうとするかもしれない。 歓楽街に行くとなれば、その姿は良くも悪くも目立つだろう。ご飯を食べる時は?そもそも一緒食べやしないのだろうか。………というか、なんで「仮面」つけてるの、なんて。ふつふつと湧く疑問は初歩的な好奇心とも言える。)「…まあ、外したくねえなら良いんだけどさ。」 (5/24 22:37:48)
彎蜿 一/わんわん>
「ふ、ははっ、それで、本当に繋いでくれる八六が好きだよ」(別に、断っても良かったのに。)(君は優しいから、照れながらもぎゅっと繋いでくれて、その温もりを教えてくれる。だから、ぎゅっと握り返して、冷たい温もりを返そう。)(少しだけ照れくさくて、でも嫌悪感はない。そんな雰囲気だったから。)(───こつ。)(仮面に触れられたのは、彼からすれば“予想外”のことだった。)「……仮面は、自衛の為、だから。見ると気味が悪いって、避けられることが多くて。」(【演技】言葉選びに迷っているような、そんなふうに。)「──でも、」(ぎゅっと握った手を仮面に近づけて、その無機質な温度に触れさせた。)「八六が見たいならいいよ。僕自らの手で取ることはないけれど、」(【愛情】彼は人間を愛している。)「八六の手で取って、自ら見たいと望んでくれるなら。」(【愛情】彼は“人間(キミ)”を愛している。)「─────────────その手で、決断して?」(【愛情】───彼の愛情を受け取る勇気は?)>ハチロク (5/24 22:52:54)
七竈 八六>
『……仮面は、自衛の為、だから。見ると気味が悪いって、避けられることが多くて。』「………………………え。」( 貴方はやたらと、隠し事が多い気がした。否、もしかしたら気のせいかもしれないのだけれど。彼はあなたの事を知らない。貴方の事を悟れない。気味悪いってなんだろう。彼かわかることはその容姿からの情報のみだ。糸を引っ張れば解けてしまいそうな脆い縫い目。綿の抜けた人形のような左袖。 そして、………顔を隠すためのお面。 『左腕がないから』 『気味が悪いって避けられてしまうから』。ふ、と頭をよぎったのは、自分のコンプレックスと、世間体に寄って潰されたかのような卑屈さを兼ね揃えた貴方との過去の会話だった。)「……………、…」(…彼は、瞳を揺らす。)『八六が見たいならいいよ。僕自らの手で取ることはないけれど、』「…………はじめちゃん…………?」(軽い好奇心のつもりだった。ひんやりと冷たい手が、自身を巻き込み仮面にそう、と触れさせる。)『八六の手で取って、自ら見たいと望んでくれるなら。』(しかし今や、目の前にいる貴方は自分の見知った友達なんかじゃなく、まるで………そう、まるで。)『─────────────その手で、決断して?』「………………ッッ~~~~…………!!!!」「………ッ待ってはじめちゃんッッ…………!!!」 (……彼は、仮面を引っ張ることは無かった。)「あ゛ーーーーーーッッ……………ごめん、……………その、なんつうか………………ここで『やっぱいいや』っつうと、…………なんか、はじめちゃんのこと拒んでるみてえで、…………でも俺はじめちゃんのこと大好きだしさ、………で、でも…………こんな日常会話でさ、はじめちゃんが気にしてる素顔かるぅい気持ちで見ようとしてたのも無責任で嫌っつうか………………」「………………ごめん上手くまとまんねェわ………あのな?要するに、はじめちゃんが嫌なこと、したくねェってこと。………………仮面の中にどんな顔があっかはしらねェけど、見せてくれたとこで俺にとってはじめちゃんが友達なのはぜッッッッッッッッてェ~~に変わんねぇし!!!……………見ないなら見ないで、……それでも変わんねェから……………」「…………………〝俺が言ったから 〟とかじゃなくて、嫌なら嫌でマジで良いから………」 (決められなかった。 )(どうしたらいいか分からなかった。『気味悪がられる』と臆してる相手に『じゃあいいよ』と手を離すのはまるで突き放しているようで、気が引けた。かと言ってそのまま仮面を外すのも、無責任で嫌だった。 仮面越しに貴方を見つめる視線は戸惑いの色。『望んでくれるなら』………それはまるで……………) 「……………はじめちゃんは、俺に素顔、……………見せてェわけじゃねェでしょ?」 (5/24 23:19:11)
彎蜿 一/わんわん>
─(『見せてェわけじゃねェでしょ?』)(その問いかけに、彼の動きは止まる。数秒の沈黙。そして、迷ったように息を吸って、それから。)「……分からないや。」(【本音?】首を、ゆるりと傾げた。)「僕は、正直どっちでもいいんだよね。…見たことで、例え避けられても、少し悲しいだけでいずれ日常になるから。」(彼は君から手をするりと解いて、自分で仮面にそっと触れた。)「分からないから、いつも“見たい”とかそういう感じの人には、選択を委ねてる。見せたいのか、見せたくないのか、で、問われたら僕はその問いかけに答えられない。」「…見られたくないわけじゃない、けど見せびらかしたい訳でもない。…良くわかんないや。」(それはまるで、左腕のような。)(何も得ない回答だった。空っぽだった。)(───彼は、《自分のない、空っぽな人間》だった。)「だから、八六がこのままやっぱいいって言っても、僕は少しだけ残念に思うだけだし……仮面を剥がしても、別にその責任を問いかけたりしないよ。」(仮面に触れていた手がするりと重力に従うように落ちた。)「…でも、八六は人の気持ちに人一倍敏感で、人一倍考える人だから、どうすればいいか分からなくなりそうだね。こんな回答。」(───────【演技】)「困らせてごめんね、八六。なんか、初めてそう言われて気づいたよ。…僕、仮面に関しては自衛だとか言いつつ、あんまり感情が湧かないみたい。……今言ったことは、気にしないでおいてよ。…って言っても、八六は気にしちゃうんだろうけどさ。」(彼の唯一の手が、今度は君の頬に触れた。)「──────だから、さ。」(その代わり。君の罪悪感を、消してあげる代わりの案をあげる。)(【洞察】彼は君を見つめていた。その一挙一動を見逃さないようにと。)「───僕が助けを求めた時に、仮面を剥がしに来てよ。そ」(─【呪縛】また、ひとつ。)「怖いんだ。いつか、僕が僕でなくなる日が。その時はきっと、コレを付けまま、皆を───僕が愛した“人”たちを殺してしまうんじゃないかって、時々思う。」(【演技】ねぇ、だから、どうか。縋るように。)「───────、」(【演技】重たいおもいはひた隠して。)「───僕が、誰かを殺しそうになった時は。」(─その時は、僕が【愛情】を【注ぎ込む】時だけれど。)「 仮 面 を 剥 が し て ?(─ 助 け に 来 て よ 、ヒーロー。」>ハチロク (5/24 23:49:24)
七竈 八六>
『…分からないや。』「……………………分からない?」(思わず、聞き返してしまった。)『僕は、正直どっちでもいいんだよね。…見たことで、例え避けられても、少し悲しいだけでいずれ日常になるから。』『分からないから、いつも“見たい”とかそういう感じの人には、選択を委ねてる。見せたいのか、見せたくないのか、で、問われたら僕はその問いかけに答えられない。』『だから、八六がこのままやっぱいいって言っても、僕は少しだけ残念に思うだけだし……仮面を剥がしても、別にその責任を問いかけたりしないよ。』(言葉数の割に、その内容はまるで伽藍堂。空気のように軽くて、虚空に触れるようだった。瞬いたら溶けてしまうような。明確な自分の意思はなく、かと言って民衆に溶け込むかと言われれば答えは否だ。 そう、と黄色の髪を撫で、頬に手を添える貴方。まるで陶器、その冷たさも縫い目も相まって。…………黒い感情が溶けださないように見繕われた『器』のようだ。)『──────だから、さ。』『───僕が助けを求めた時に、仮面を剥がしに来てよ。』「………………はじめちゃんが、助けを俺に?」(馬鹿みたく繰り返すことしか出来なかった。 触れられた手を拒むことは無い。だが、彼の表情は依然として戸惑いの色が拭えないままだ。)『──僕が、誰かを殺しそうになった時は。』『仮 面 を 剥 が し て ?』「……………………、……………」(貴方が人を、殺すかどうか。実感が湧かなかった。さっきまで歓楽街に行こうかなんて、デートだなんて冗談を言い合っていた学生同士だ。なのに今になって、『いつか人を殺してしまいそうで怖い』なんて。普通ならば距離をとる。自衛のために、あるいは自分じゃ責任が取れないから。もしかしたら誰かに相談してしまうかもしれない。)(…………………でも。) (………〝彼 〟は愚直だった。)「………………分かったよ。どんな理由であっても、人を殺すのはいけねェことだから、…………そんときはぜっってェ止めるわ。」「だからさ、ンな心配すんなよ。…………………大丈夫だって。」 (演技を見破る術がない。だから貴方の表情を、言葉を、鵜呑みにするしかないのだ。彼は小さく笑いかける。)「……………歓楽街行こ。腹減ったし、………はじめちゃんの仮面、今日はいいわ。クソイケメンだったらどうしようかと思ったけどさ。」 ( 冗談、切り替わるチャンネル。彼は本来の目的であるデートを提示する。 もしも貴方が人を殺しそうになったら、その時彼は自分自身を顧みず真っ先にあなたの所へ飛んでいくのだろう。)(だって彼は、『ヒーロー』だから。) (5/25 00:16:49)
彎蜿 一/わんわん>
「……、うん。」(君の真っ直ぐな言葉に、彼は素直に頷いた。)「…ありがとう。」(その声は、少しだけ震えていたように思えただろうか。)「……八六が居てくれて良かった。」(そう言って、先程のように照れたように君の手をぎゅっと握ってみた。ひんやりとした彼の体温は、少しだけ震えていた。)「八六が、友達のままでいてくれて、よかった。」(そう言って。)(彼は君の手を引いて、まるで子供のように少しだけ駆け足で歩き出す。それは手を繋いでいることによる照れ隠しなのかは、彼だけが知っていることだけれど。)(───歓楽街に着く頃には、彼の声の震えも、身体の震えも、収まっていた。)【 】(彼の声は震えていた。─君に捨てられるかもしれないという恐怖から?)(─否。君が約束してくれた歓喜から。)(彼の身体は震えていた。─その恐怖で、泣きそうになっていたから?)(─否。君が約束してくれた歓喜から。)(嬉しい、嬉しい嬉しい!!だって八六は見捨てないと約束してくれた、救いに来てくれると約束してくれた。それは即ち僕からの愛情を受け取ってくれると同意義だ。好きだ、好きだ、大好きだ。愛している。愛してる。愛している!!!)(仮面があって良かった、表情を取り繕うのを忘れるほどの歓喜だった。あぁ、こんなにも、八六は真っ直ぐで、簡単に騙されて、なんて可愛らしい。もっと色んな表情が見たい。そう、例えば────あの日の続き、だとか。)(笑顔は見た、少しだけ悲しそうな顔も見た。後悔している顔も見たけれど、絶望はまだだ。)(早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く。……もっと、君を深くまで知りたい。)(─────【演技】全部ぜんぶ、君に悟られないように、蓋をして。)>ハチロク (5/25 00:44:36)
七竈 八六>
「────────俺ね。中学ン時はね。クラスのやつとよく公園でこうして花火、やってたんすよ。エレナ先輩。」(ツツツツツツツツツツツツツ──────────……)(チリーン、チリ──────────ン。)(ジジッ、…………ジィ──────────…………………)( 7月の始まり。夕暮れ時。日暮、風鈴、風なんて。夏色の音が混じる時間帯。 食べかけのスイカを窓付近の地面に置く。鼻腔を擽る蚊取り線香と、土の匂いと、それからなんとも言えぬ火薬の香り。頬を照らすそれは、彼が1番に火をつけた手持ち花火である。)(事の顛末はいつだって突然だ。それはついこの間、片手で数える程しか空いちゃいない日のこと。『あっちィーーーーーッ………………………もう夏っすねェ、先輩。』なんて。パピコを咥えながら小さく呟いて、ワイシャツをパタパタと仰ぎながら彼は話を2、3転。(『…ねえ、そういや。夏といや花火じゃねっすか。』って。もしかしたら彼が提案したのかもしれないし、貴方から話を持ち出してくれたのかもしれない。何はともあれ、貴方の寮に花火とスイカ、それからアイスをレジ袋に入れて、にひぃーーーッ………!と人懐っこい笑みを浮かべながら自ら此処にやってきたのは事実だ。緩いワイシャツが風に靡く。 朱色から緑へ変わる瞬間、目を輝かせる彼は ヘラヘラとひとりでに笑っている事だろう。そりゃもう、楽しそうに。)「いッッやァーーーーーッ!!!!!!〝 ウタ〟の奴も呼べば良かったッすねェ、アイツ意外と花火好きなんすよ。餓鬼ン頃はよく庭の前でやったりしてさァ~~~ッ…………………………………」「………………………先輩も、そう思いません?」 (しゃがみこんでいる彼は、貴方の方をちらりと見やって、その赤目を様子を伺うようにして小首を傾げた。パラりと落ちた長い髪で隠れていた虚勢(ピアス)は、花火の光に照らされる。…彼は気づいているのか居ないのか。よりにもよって幼なじみの名を出しては、ほんのりと残念そうに眉を下げるかもしれない。) (7/4 20:34:36)
エレナ>
『……確かに、好きそうだものな、花火。』バカとカラスはなんとやら、とか失礼なことを思い浮かべたわけでは断じてない。花火、例えるなら彼に似ている遊びだと私は思った。明るく、華やかで、それでいて火の熱さを帯びていて。だのに何故か、夏の終わりにはふ、と居なくなってしまいそうな_____そんな寂しさが見える。ぱち、ぱち、と硝煙の匂いがして、しゅうしゅうと火花が散る。せっかくだからと、死蔵品だった手毬柄の浴衣に袖を通して。赤緑金と色が変わる手持ち花火を、軽く手首で弄びながらアイスのパッケージを歯で行儀悪く破って。それから柄を片手に器用に回して口に運ぶ。しゃく、と柔らかなものが解れたような触感と、パチリ弾けるような酸味が____『い、い、い、いや、ま、まあ、あ!?確かに呼べたら良かったなー、あはははーー……熱(あ)っっつ"つ"!!!!!!』全部吹き飛ぶくらい、それは唐突な問いだった。口に含んだアイスが思いっきり食道に向かいダイブし、激しく噎せた拍子に花火の火花が足元に降りかかった。なんかのコントでも綺麗にこうはならないというくらい、愉快極まりない漫才を1人でこなして『き、貴様その…… え、と、知ってて 言ってる、のか?』顔が熱い。口元が羞恥で痙攣する。花火の風流を楽しむ_____ついで、あくまについでとして色々情報収集出来たならラッキーなんて目論見はパー。HQ(本部)、作戦失敗であります。 (7/4 20:49:31)
七竈 八六>
「うん。すッッッッッッッッッげえ好きィ~~………………花火がねェとさァーーーーー……………なんつうか?こう、ほら…〝 夏が始まんねェ 〟って感じ。…………今年も夏祭り、やってくれりゃいいけど」(彼は貴方の返答に、子供らしく歯を見せて笑いながら、緩やかに言葉を返していた。貴方の浴衣は初手、見た時は珍しくって思わず『エレナ先輩そういうのも着るんすね?!』なんて、失礼ながらに口走ったものだ。勿論、〝良い意味〟で、ではあるのだけれど。 ヂヂ、と蝉の終わりのよう、花火が切れたのならば『…………あーぁ』なんて小さく声を漏らして、用意してあったバケツに ジュ、と入れる。 あれだけ煌びやかに辺りを照らしていた花火はものの数秒で消沈なんて、まるで彼にとっては授業の間の10分休憩とさして変わりはなかった。彼は袋からもう一本、今度は違う色の花火を取り出して、チャッカマンをカチリカチリと鳴らしながら火を付けようとしてその時───────…) 『い、い、い、いや、ま、まあ、あ!?確かに呼べたら良かったなー、あはははーー……』『………………??エレナ先輩?」( 他愛のない、極々自然的な日常の断片に過ぎなかった質問だ。しかしどうやら、貴方にとっては違うらしい。文字通り、〝 馬鹿でもわかるぐらい動揺の色〟が滲む貴方に、彼は間抜けた声を漏らして名前を呼ぶだろう。)『熱(あ)っっつ"つ"!!!!!!』「エ、エレナ先輩ッッッッ……………?!?!?!うぉ゛ッッッッッ!!!!!熱゛(あ゛)ァ゛ッッッッッッづッッッッッ!!!!!?????」( 嗚呼、もう〝 滅茶苦茶〟である。 ひょんなタイミングでバチりとつき始める花火。油断していた彼は、まんまとサンダルの上に落ちた火の粉が皮膚に着地したことによって、貴方の後に続くように跳ねて、尻もちをついた。傍から見れば『コント』も『コント』。昭和のドリフスターを思わせる喜劇である。彼は『ッ゛ッ~~…………………』と声にならない声を漏らしながら、火の粉が落ちた皮膚を上からさすりつつ、貴方の質問に耳を傾けるだろう。)『き、貴様その…… え、と、知ってて 言ってる、のか?』「……………………………あァ?……〝知ってる 〟って、なにがっすか。」 (漸く顔をあげられるようになった彼は、貴方に視線を今一度向け、問い返す。)「……………………まさか、エレナ先輩とウタが、…………………………〝 付き合ってますぅーーーーッ!〟……………………とかなんとか言うんじゃあないでしょうねェ…………ええ?」( 俺、馬鹿だから分かんねぇけどよ。は常套句である。この男、〝 馬鹿〟であるには間違いないが、変なところで勘が働く。ニンマリとからかうように吐いたそれ、彼は貴方の言葉を待っていたんだ。『馬鹿者』と。) (7/4 21:14:12)
エレナ>
『う、う、う、うるさい馬鹿者!!!あんまり大きな声で堂々と言うな!』それはつまり、転じること意味合いは肯定である。そこら中にゴミやら花火やらをぶちまけながらむちゃくちゃにひっくり返ったり喚いたりした後。浴衣の袂にぶら下げた制汗剤と、花火をつけるのに使っていたライターを手に取り。『……い、いいか。制汗剤っていうのは燃えるんだからな。あ、あ、あ、あんまり、こう……。なんだ!言いふらしたりするようならこれに火をつけて______』【⚠︎︎ ガスやスプレー状のものに火をつけるのはやめましょう。 】子を連れた獣がおそろしいように、恋する乙女というのも同時に恐ろしく盲目だ。誰かに言うなら分かっているよなと、自分から口を開く分にはそこそこ答えてしまう癖に激怒と羞恥とその他もろもろでぐちゃぐちゃになりながら。焦りに焦っているのが目に見えている呂律の回らないつっかえつっかえの訴えで。『ぼん!だからな、ぼん!大変なことになるぞ。た、確かに私は泡と……その、付き合ってはいるが、これはなんだ!?あれ、なんというかこう……清純なお付き合いをだな!!』 (7/4 21:28:03)
七竈 八六>
『う、う、う、うるさい馬鹿者!!!あんまり大きな声で堂々と言うな!』「 えっ 」『……い、いいか。制汗剤っていうのは燃えるんだからな。あ、あ、あ、あんまり、こう……。なんだ!言いふらしたりするようならこれに火をつけて______』「い、いやいやいやいやッ!!!!先輩ま、まままままままってくださいよッッッ!落ち着いてくださいって、マジでッッッッ!!!!!!!!!」『ぼん!だからな、ぼん!大変なことになるぞ。た、確かに私は泡と……その、付き合ってはいるが、これはなんだ!?あれ、なんというかこう……清純なお付き合いをだな!!』「だァ゛ーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!分かりました、分かりましたってェッッッッッ!!!!!!!!!!!もォーーーーーッ、アンタ〝恋する乙女 〟かよッ、ッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ( 【⚠︎︎ ガスやスプレー状のものに火をつけるのはやめましょう。 】 )( とはよく言ったものの。彼はあなたの発言、及び行動に慌てたように花火を消して、ワタワタと両手を振りながら 貴方に落ち着くように訴えることだろう。確かに『馬鹿者』という言葉が来るとは思っていたが、まさか『図星』だなんて誰が予想するだろうか。……………恐らく彼以外は薄々勘づいていたことかもしれないが。ぼんやりとアイスの袋を開けながら、彼はゆっくりと棒アイスを引き抜き、口に運ぼうとするだろう。)「………………………いや、何つうか。まさか『マジ』でその、そうなってるとは思ってなかったっつうか………………………………えぇ?マジっすか。………………………へェーーーーーーー……………………」「………………………えっ、なんか、めっちゃ嬉しいンだけど。……………………え?!?!?おめでたくないっすか?!?俺と花火、やってる場合じゃないっすよそれッッ!!!!!!!!」 (…時間差で来たのか、彼の口角がみるみるうちに緩んでいく。口に運んだアイスが溶ける時間が、何となく早いような錯覚。徐々に徐々に溶けだす純粋な多幸感と、『あいつなんで教えねえんだよ』なんて、子供ながらの僅かな拗ね。ハッ、と気づいたように貴方に顔を向けた彼は、『こんなとこで2人で花火してる場合じゃなくね?!』なんて、貴方に伝えるのだった。) 「えっ。つかデートとか、しないんすか??〝 修学旅行〟、近いみてェだけど。」 (7/4 21:56:35)
エレナ>
『そうだ悪いか馬鹿者!!』アンタ恋する乙女かよと言われ、そうだ悪いかと口にした。馬鹿者め。制汗剤を下ろし、それからはあ……と体力を何もかも失ったようにため息をついた。『……む。まあ、喜んでくれる自体は嬉しいんだが、その辺については少しこみいった話がある。』頬を膨らませたまま、無言で線香花火の先端に火をつける。ぱちぱちと光が弾ける。それは咲く花のように広がって、散る時を忘れさせるかのように燃え上がった。暗がりに、私は消え去ったりしないと、消えるとしても全力で走り抜けるのだと主張するそれは、なるほど私たちのようで______『貴様にだからこそ口外するが______泡は、ぺトリコールを既に見ている。』苦虫をかみ潰したような顔。きっと今は、そんな顔をしているのだろう。それはつまり、そう遠くない未来の死。仮に死を回避することそれ自体は出来るのかもしれない、しかし、それを引き寄せるには余りにか細い可能性で。『だから、あの人の最期を楽しかった思い出にするために。当たり前のように終わるんじゃなく、十分にやりきったゴールだったんだと思えるように。一緒に居るって決めた。』『……だがまあ、彼と仲が良い人や、一緒に居たいと思う人は私だけじゃない。デートの1つもしないなんて無欲じゃあないが……。』『うん、正直なところ弱音を吐きたかった。』 (7/4 22:14:34)
七竈 八六
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貴様にだからこそ口外するが______泡は、ぺトリコールを既に見ている。』「………………………………」(パチリ、パチリ。)(貴方の線香花火が、瞬きをしてはゆっくりと目を閉じて、アスファルトへと染み付いた。 夏色の匂いがする。先程の雰囲気とは一変した、ほの暗い夕暮れ。彼はその発言に目を見開いた後、細め、線香花火を袋から1本取り出すだろう。…煙草は吸わない。きっと将来もすえやしないんだろう。それでもこの時ばかりは妙に大人びた横顔が、ライターで煙草に火を着けるようにカチリ、カチリと辺りに響く。)「………………………、」「……………………そっかァ。」(パチ、パチパチパチ──────────……)(…線香花火が目を開く。 ) (彼は、それ以上でも以下でもなく、ただ一言呟いているだけだった。)『だから、あの人の最期を楽しかった思い出にするために。当たり前のように終わるんじゃなく、十分にやりきったゴールだったんだと思えるように。一緒に居るって決めた。』「…………………………………うん。」『……だがまあ、彼と仲が良い人や、一緒に居たいと思う人は私だけじゃない。デートの1つもしないなんて無欲じゃあないが……。』 (7/4 23:13:21)
七竈 八六>
「…………………………………………」『うん、正直なところ弱音を吐きたかった。』 ( ぽつりぽつりと、勢いが失せていく線香花火に合わせるよう、彼は相槌をうっている。 ………………そんなこと予想しちゃいなかった。自分の幼なじみがまさか、『死の前兆』を目前にしていただなんて。本来ならばここで彼は、目に見えて狼狽えて、どうやったらその死を『回避できるか』を思考するべきなのだ。どんな無謀にも顔を上げ、今すぐにでもウタに『説明しろ』と胸ぐらを掴むべきなのだ。)(でも。)「……………、………………」(やらなかった。)(…初めて聞いた筈なのに、悲しいのに。不思議とすんなり、〝 飲み込めた〟。まるで前から知っていたかのように、幼なじみの縁と言うやつだろうか。 そして、その〝飲み込めてしまった自分 〟がどうにもやるせなくて。) 「………………………」「………………………アイツさ。」「…………………………怒んねェの、ほっとんど。何でもかんでも理由見つけて〝 だから仕方がないんだ〟って、妥協すんの。」「………昔から、そういうとこ。あんま好きじゃなくってさ。…………でも、『妥協せざるを得ない』…アイツをそうした周りがもっと嫌い。」「…………………………………………嫌いだった。」「………………………………………………そういうとこ分かってて、先輩はウタと付き合ったんですよね。多分。」 (パチリ。)(…………………──────────線香花火が落ち切った。) 「………………………………………俺が言うのも難だけど。」「……………………………………『これが最期の思い出かもしんない』っての、片隅で考えながら一緒に居んのって。」「………………………寂しいでしょ、先輩。…………アンタさ、意外と寂しがりなとこあるから。」(やるせないからこそ、貴方にほんの少し当たるように呟いてしまった。弱音を吐くなら、受け止めるが吉なのだ。それが出来る『男』ってのも分かってるし、抗って、抗って抗って抗って、その先『失敗』しました、あいつが死にました。そんな未来を、あなたがどう思うかなんてのも分かってる。)(半年前、ヒーローが目の前がペースト状になった時と同じ無力感を、また味わうと思うと自分だって怖い。)(しかしあなたは知ってるか。男が愛している不和を。その兆しがたとえ天文学的な数値だったとしたって、彼は。)「……………………………………俺、ぜってえやだよ。先輩が〝 泣くとこの〟見んの。」「墓参りとかで、花束片手に持ってんの。」「……………………………アンタらの結婚式、並びてえもん俺。」 (──────────『可能性』を、愛していた。) (7/4 23:13:44)
エレナ>
『私は……結構寂しがりなくせに出来ないことは出来ないで手を引いちゃうタチでな。その場その場は本気でやるくせに、悔しがったりウジウジしたりなんてする気は無い。』彼の顔を見れなくて、代わりに消えた花火の「タネ」を見下ろした。それが黒い塊に変わっていくのを改めて見て、あまりに寂しくなったから次を点けた。『でも、ずっと「最後に」って着くのも、死にたくないって、自分もみんなみたいになりたいって言った声が頭から離れないのだって。正直怖いし悲しい。』ゆっくりと、呟くように言葉を吐いた。浴衣の柔らかな生地がとても頼りなく思えて、俯いた表情に反して花火の光が鬱陶しいくらい輝いていた。『本当に……本当に、出来ることが私には無いのかもしれなくても。もう、ダメかもしれなくても。それでも、さ……。』ぐずりながら、彼に振り返る。勤めて優しい笑みをつくりあげながら、泣きつくようにそう言った。それは肯定が欲しいわけでも、慰めて欲しい訳でもない。ただ弱音を吐いたんだ、ごめんな。なんてくらいのニュアンスを作ろうとして……それでもきっとこれは____一番悲しい顔なんだろうと思う。『嫌だ、って。許せない、って。そう言っても……いい、んだ。』少女は失敗を呪っている。故に、無意味な諦めは嫌う反面、仕方ない諦めは従容とする。だから、あと一歩踏み出す言葉が欲しくて___『失くしたものは帰らないし、喪ったものは戻らない。けど代わりに、悲しいのだって楽しかったのだって、輝かしい思い出を残してくれる。そんな風に、私は亡くしてきた人達を_____「失敗」にしないためだけに「諦めてきた」。』『そんな私には、さ。本当にめんどくさいんだけど……。誰かに、これをぶっ壊して貰わないといけない。』【オムニア・ピンクサファイアは、その本人が成し遂げられる願いを叶える。】なら、ならば。君になら叶えられるはずだ______「運命に立ち向かうように」と、背中を押すことが。『ほら、最後に一発、打ち上げ花火が余ってる。』『……なあ、ヒーロー。私に、諦めるなと言ってくれ。私は仲間(きさま)の言葉で戦いたい。』 (7/4 23:46:09)