水沫 泡。>
「さすがにまだ寒いなぁ」夏になることを未だ待つ水面に、少し気の早い水輪が波立つ。白い裸足を水に遊ばせ、靴を片手に彼はディスコード”クラウド”に話しかけた。最近暑くはなってきたれど水遊びをするにはまだ早かったらしい。プールという巨大なバケツに貯められた水を、クラウドをどこか恨めしそうに見ただろうか。これだけの液体があればきっと能力を存分に扱うことができるんだろう。一体どんな雲を作って、どんな氷を描こうか、想像するだけでも楽しいものだ。「そんなに怒らないで、水遊びはもう少し暖かくなってからにしよう。君も風邪は引きたくないだろう?」傍で頬を膨らませるクラウドに彼はご機嫌取りのための笑顔を向ける。果たしてディスコードが病を患うことなどあるのだろうか、真偽は定かではないがそんな冗談を拗ねる相棒にかけてみる。> Walter (5/11 21:15:04)
Walter=Von=Neumann>
「……哺乳類は陸生動物に進化したにも関わらず何故人間は水棲に退化しようとするのかまるで理解できませんね。」(コツコツとブーツの裏を鳴らしながら彼は君の背後に立つだろう。それからコツン、とプールのタイルに小さな彼サイズの杖を突いてはシルクハットの鍔をぴんっと指ではねて胸を張り、次にこう言葉を続ける。)「初めましてこんにちは、ティータイムにお誂え向きの場所を探して居たのですけれど、此処を借りてもよろしいですか?少年。」(放課後のこの時間にプールの近くにいる生徒はそう多くはない。悲しいかな、この世界のこの学園に在籍する生徒たちはもはやヒーローという活動を甘受した変わり者だらけであり、画して青春を謳う為に水泳部に在籍する様な善良で平凡な少年少女たちがこの学園に今も尚在籍している筈も無く、結果として、放課後のプールサイドはただばかでかい人口水溜り、もしくは小振り過ぎる小さな小さな湖畔も同然である。故に彼の優雅なティータイムにはお誂え向きなのだろう。身長1m、ピンと行儀よく規律した耳も加えれば140cmかそこらだろうか、どちらにしても小振りな黒い毛むくじゃらはおしゃれな背広とハットを身に付けて、風呂敷とティーセットを広げようとしている。)>うたちゃん (5/11 21:48:29)
水沫 泡。>
「あぁ………えっと」いったいどこからツッコミを入れたら良いのだろうか。振り返った彼はその場で足を止めて、クラウドと顔を見合せた。「いいんじゃないかな、今は俺しかいないみたいだし、ここは静かだしね。ティータイムにはもってこいだよ、でもちょっと塩素のにおいが気になるかも。ところで知らなかったんだけどこの学校にはうさぎがいるんだね、あはは、うさぎが喋った……。」一通りペラペラと喋ったあと、やはり受け入れ難い事実に帰結した。許容を愛する彼でさえ受け入れることに戸惑う始末だ。世界はまだまだ広く、こんなにも身近に未知が存在しているのだ。恐ろしいことだ。「ええっと君は、ここの生徒かい?」彼はその場にしゃがむと靴を置いて首をかしげる。能力者にしか見えないディスコードという可能性も考えたが、一人で歩いているのであれば生徒かもしれない。正直それよりもシルクハットを身につけたうさぎが、お茶をするためにプールにやってきて風呂敷を広げている。その光景に興味をひかれてならなかった。> Walter (5/11 22:01:04)
Walter=Von=Neumann>
「如何にも、私は此処の生徒です。元々は諸君らの飼育係なる係員たちに幽閉されていた身ですが、まあ…恨んではいませんよ。人間は自分より弱い物を近くに置く事で安心感を得ようとする弱い生き物ですから。」(そんな言葉を君の疑念に返しながら風呂敷を強いてカチャカチャとテーブルとチェアを組み立ててさらには固形燃料と小さなポットでお湯を沸かし始めている。ぷらんぷらんと組み立て式のガーデンチェアから垂れ下がる足の形は紛う事無きウサギの骨格で在り、本来声帯が無い筈のウサギからやや渋い声が漏れている。ところで、)「……君も如何です?いくら寿命の長い人間とて時間は有限ですから、何もせずにぼんやり過ごすよりも綺麗な物や美味しい物を摂取して思考を巡らせた方が有意義です。あ、耐荷重は75kgですが、君は………大丈夫ですよね。」(実は組み立て式のガーデンチェアはもうひとつある。今は空席だが逆説的にそれは君の席とも言えるだろう。ティーセットも丁度2人分、お湯が沸いたポットから熱湯をティーポットへと移し替え、茶葉の香りが辺りに漂う。塩素の香りはもはや気に成らない程度に此処は優雅な空間へと書き換えられるだろう。) (5/11 22:22:41)
水沫 泡。>
「幽閉って、はは……。じゃあ本当にうさぎなんだ?こう、能力とか……じゃなくて、本当に、うさぎなんだ。」それにしてもよくもまあ、こんなにも皮肉が出てくるものだ。余程人間に恨みがあるのだろうか。「そうだね、俺も紅茶を頂くことにするよ。」彼はうさぎさんの言動に文句は言わない。全てを苦笑いで流すが、中々難しい性格をしている人なのかな、なんて考えるのだ。人ではなくうさぎなのだが。「僕の名前はミナワ ウタだよ。君はなんて名前なんだい?」彼は椅子を用意してもらえるのなら、そっと壊れないように細心の注意を払って腰を下ろすことだろう。彼はもしかして、飼育員につけられた名前をそのまま使っているのだろうか、うちの学校で飼われてたうさぎの名前はなんだったっけか……。正直覚えてないし関心もなかった。そう考えると、籠に幽閉されていたと言っても過言では無いかもしれない。彼は勝手に目の前のうさぎの馴れ初めに心を痛めるのである。> Walter (5/11 22:36:49)
Walter=Von=Neumann>
「ピョンタ。……などと名付けられていましたが、ヴァルター・フォン・ノイマンという名を獲得したのでヴァルター、もしくはノイマンとお呼びください、ヒーロー名はラビ、…まぁ、私の様な身元云々以前のアナウサギにヒーロー名が必要か否かは真偽の余地が有りますが…ウタ、ですか、なるほど。犬はワンと鳴くからわんこ、猫はニャンと鳴くからニャンコ、ウサギは声帯が無いが為にピョンピョン跳ねるからピョンタ、であるにも拘らず人間はギャーギャー鳴くのにギャーコじゃないのは不思議も不思議、摩訶不思議も極まれりですね。」(彼は良く蒸らしてから嗅覚と視覚で紅茶の色と香りを楽しみながら紳士的に丁寧に至極強かにかつ嫋やかに嫌味を吐露してはそれを肴にと云わんばかりにそれをすっと静かに口へと運ぶ。獣臭さを忌み嫌っているせいか彼は自分の身体に振りまいたシトラス系のささやかな香水を少し風に靡かせて君の次の言葉を待つだろう。)「それでぇ……ウタ、ディスコードはあまりに衆目に晒すべきでは無いと私は思いますけれど、その意図は伝わっていますか?」 (5/11 22:58:02)
水沫 泡。>
「普通、ペットの犬や猫が反論してくることなんて無い。それらには人と喋れるだけの知性が備わっていないからね。でもヴァルターさんはそうじゃなかった。君は随分と賢いみたいだ」(言っていることは大概だが、その所作には小さいながらも紳士的なそれを感じる。うさぎがどうして小屋から飛び出してジェントルマンになろうものか、不思議で仕方ながないがそれもまた運命。ということで飲み込むことにしよう。)「……ここは構内だろう?ならここには能力者しかいないし、別にクラウドを外に出してやってもいいんじゃないのかな。それに、理解のない者に彼女の姿は見えないと思うよ。」(理解のない者とは、ディスコードを見るなり警察に通報するような一般人のことを指している。能力者を除けば、彼女の姿は心優しい者にしか見えない。なにか問題があったのだろうか……紅茶を口元まで運び、彼は不思議そうに首を傾げるだろう。彼の言うところのその意図とやらが伝わっていないのだろう。)> Walter (5/11 23:26:54)
Walter=Von=Neumann>
「反論しないからと云って何をしても許されるわけではあるまい。ならば君は氷菓子を齧らないのかと云えばそうではないでしょう。彼らも叫んでいるのだから。」(アイスクリームとI Screamを掛けてふふん、だなんて笑みを零しては君の言葉を聞き届けてからふむ、と鼻を鳴らして紅茶を喉へと流し込み、暫しの沈黙の後に彼は口を開く。)「……人型のディスコード、という事はそれなりに知識があれば攻略性が生まれる。特に点と点を線で繋ぐ事に長けた思考性を有した人種ならきっとそれだけで君というヒーローの対処が思いつくでしょう。タネを自ら明かす手品師はいないでしょう?」(と、まで云って、まだ茶菓子を出して居なかった事に気付いて、懐からアプリコットジャムをビンごとテーブルに置いて、一本の匙でジャムを掬いあげて口に運び、その匙をジャムのビンへと戻して君の方へとビンを押し出す。生憎茶菓子を買い損ねたせいかこれくらいしか紅茶の付け合わせに相応しい物は無かったのだ。スプーンはひとつ、紅茶は2杯、どうしたってこの甘味と酸味のマリアージュを共有する手立てはこれ以外にないだろう。) (5/11 23:44:47)
七竈 八六>
「クッッソあちィ~~~~~~ッッッ!!!!!!!いやもう夏だべこれッ·························ああ、もう、ちょい休憩ッ!!!!」( 雲ひとつ無い、手をかざせば自分まで染まって溶けてしまうんじゃないかという程に、色の濃い青空だった。麗らかな春というには差し込んだ陽光はあまりにも攻撃的で、昼休みに校庭で〝 サッカー 〟をするとなれば すぐに体温が上がり、汗が滲んでくる。彼、七竈 ハチロクも例外ではなく、昼食後、一通り走り回ること数十分。他のプレイヤーにパスを回し、1点決めた所を見送ったところで『選手交代!』と 口にした。休息をとっていた他の男子高校生にハイタッチをしたのならば、校庭の外へと走っていくやいなや、向かう先は備え付けられた水道だ。彼は高く結んだ髪を解いたのならば 屈み、蛇口を捻って頭から 水を被るだろう。)(日に当たっていたからか、出だしは生ぬるかったけれど、それでも暫くすれば冷たくなるそれが心地いい。つぅ、と鼻先や顎先を伝い水が零れる感覚、軽く頭を濡らしたところで顔を上げた彼は、フゥ、と小さくため息をついたところで気付く。)「····················あー···············やべ。タオル忘れた。」 ( ·········· そうは呟いたものの、実のところ対して悩むようなことでもない。学生らしいと言えば学生らしいのか、彼はだらしなくも、腹が見えることなんて気にせずにジャージの腹部分を捲り、口元に持ってきたのならば顎下から滴る水を拭うのだから。そして、そんな姿を見るのは〝 貴方にとっては〟そう珍しいことでもないだろう? もしも足音がしたのならば、彼はそちらに視線を向けるはずだ。) (5/12 20:31:31)
水沫 泡>
「なぁ〜ハチロク。君身体付きいいんだからちょっとは隠したらどうだい?女子が黙っちゃいないよ」コンクリートに落ちた木陰からのんびりとした声が届く。彼は半分ほど減ったスポーツドリンクを貴方へと投げ渡せば、刺すような日差しへと顔を出し目を細めた。ハンガーにかけるように貴方の頭へタオルを放り投げ、使っていいよと付け足して「水も滴るいい男、ってやつ?筋肉つけてでかくなりやがって。……俺もなんか球技やろうかなぁ」昔はそんなに体格差は無かったはずなのに。あっという間に追い越された身長に嫌味をたれつつ、じとりとあなたを見上げた。いくら焼けても黒くはならない肌にあなたと比べて細い肩幅。女子と間違えられることだって度々あるというのに、対して幼馴染はこんなにも男らしい。彼の言葉の中には年相応に誰かしらにモテたいという願望が見え隠れしていた。>ハチロク (5/12 20:47:09)
七竈 八六>
「あれッ?!?!うたじゃん!!!!へェ、めっっっずらしィ~~~~~····················くもねェのか????あんま昼休み校庭とか出てるイメージねェからさ。」(彼は貴方を見るや否や驚き半分、嬉しさを隠せないような笑みを浮かべて上記の言葉を口にした。幼馴染とは家、学年が違うが故に貴方が普段何をしているのか、どこにいるのかなんてのはよく分からないのが正直なところ。言えるのは、貴方は昼食をとったすぐ後に校庭に出て遊び回るような奴ではなさそうだという臆測。タオルを投げられれば、めくれたジャージから彼は手を離す。)「ひひっ。さっっすがウタちゃん、やぁっぱ気が利く。」(調子の良い奴。たまたま持ち合わせているにしてはナイスタイミングなタオルに、彼は屈託もなく歯を見せニヤついたのならば、くしゃくしゃと無遠慮に髪を拭くことだろう。生まれながらに変わらない貴方と、染めた彼の金髪は陽光によく馴染む。)「そりゃあれだけよォーーーーく飯食ってよく寝てりゃあ、でかくもなるだろォ······所謂『兄貴譲り』ってのもあっと思うけど。····へへ、なんだよ羨ましいのかァ~~????············つうか·そういうウタこそ、うちのクラスの女子の間ではちょいちょい噂になってんぜ。『あの先輩運動できるの?!ええ、ギャップすご···············』ってな具合にさァ。俺なんてこの間エレナ先輩に『マスコット』って言われたばっかなのに。」 (ヘラヘラと笑う彼の軽口は相変わらずだった。とはいえ、となりの芝生が青いのはこちらも同じこと。確かに体格には巡られているし、お世辞にも貴方は『がっちりしている』とは言えやしない。·····幼少期はあなたの事を女の子だと思っていたのも、ここだけの話だ。彼はタオルを首にかけたのならば、ヘアゴムを口に咥えて髪を纏めながら口にする。)「······························ああ、そうそうそういや。兄貴が 『またいつでも飯食いに来い』つってた。 ああ見えて意外とお節介で心配症なとこあっからさーー。多分記憶が餓鬼ん頃のとこで止まっちゃってるとこあんじゃねえのかな。 」 (5/12 21:04:01)
水沫 泡>
「俺も少しは運動するんだよ、……って、ちゃん付けするな、まじで勘違いされるだろ。」(無遠慮にタオルを使う彼を見て呆れたように笑った。しかしちょっぴり安心もした気がする。今更遠慮なんて必要のないこの関係が、今も尚崩れていないことが手に取るように分かったからだ。濡れたせいか、太陽の光を受けてキラキラと輝く髪色を見て、あなたの頭へ手を伸ばす。いつの間にか黄金色に染められていた髪色を見た時はひどく驚いた。きっとあなたの耳にピアスまで空いていることを兄貴はまだ知らないんだろう。)「乾いたな、んじゃタオル回収。俺も汗かいてんだよ」(わしゃわしゃと背伸びしながらあなたの頭を撫でた後、タオルを取り上げると自身の肩にかける。貴方と違い、ピアスに興味を持ちつつも未だ開けることのできていない自身の耳を、確かめるように触った。それを誤魔化すようにきゅっと蛇口を捻って水を流す。日差しの下の水道は、ただそれだけで宝石のように輝き絵になるようだった。)(ひんやりとした水を両手で受け止めて、しばらく堪能してからばしゃりと顔にかける。その後思い切って頭から水を被った。頭皮に伝っていく冷たい感覚が心地よい。きっとこのままだと次の授業までには乾かないだろうな、なんて思いながら水を止めて、鬱陶しそうに前髪をかきあげた。)「ハチロクのとこの兄貴には本当にお世話になってるよな、また遊びに行きたいと思ってる。」「……まさか、兄貴も俺の事女だとか思ってないよな?」少し考えてから問いかけた。残念ながら、ハチロクが自身の事を女かもと思っていたことは知っている。あなたには言っていないだろうが、読心は彼の得意分野だ。トイレやら風呂やらでソワソワしていたハチロクを見て、分からない方が不自然だろう。>ハチロク (5/12 21:35:42)
七竈 八六>
「えぇ~~~~~??いーーーじゃんね。俺とお前の仲なんだし。····················つか、そもそも切ればいいじゃん髪。伸ばしてんのか?」(ニヤつきながや口にする彼。確かに貴方は中性的だ。それは同い年になった今でも変わらず、自分はどんどんあなたの背を追い越してしまった。その違いは体格だけじゃなく、その髪色、虚勢を表すようなピアスもまた然り。対する貴方は何も変わりやしなかった。〝置いていってしまっている 〟と言えばき声は寂しいけれど、きっとどこかで枝分かれ。分岐点があったのさ。読心どころか人より鈍い彼は、髪に触れられれば貴方の真意に気づくことなく「 あ? なに、どったの。」と、対して気にする様子でもないくせに、小さく問いかけるんでしょう。 )『乾いたな、んじゃタオル回収。俺も汗かいてんだよ』「あーー、まじ???ふっつーに洗って返そうと思ってたからガッツリ拭いちまった。ごめ。」
( 言葉通りにタオルは没収。彼がそれをしまう間もなく、貴方は蛇口を捻って水を出す。長い髪に溶け込むようにするすると。変わらず長い前髪を上げ、顕になったその顔をみやりながら肩をすくめる彼は、貴方の問いかけに続ける。)「いやァ~~~~~ッッ!!!··········どうだろうなァ~~ッッ???·····あの兄貴のことだしワンチャン気づいてないかも。でも、女でも男でも対して変わんねーべ···············ッて。待って???もしかしてウタ、俺がちっさい頃お前のこと『女』だって思ってたって、もしかしてバレてる??!!!??うぅわーーーーーーッッッッ···············待って、くっそ恥ずかしいわ·························」(調子よく答えていた彼だったが、兄貴〝 も 〟という口振りで、どうやら彼は違和感を覚えていたらしい。そう、あろうことかこの男、『あの時のことはバレていない』と思っていたのである。うぅわまじか、と声を漏らす彼は陽光のせいにするには分かりやすく、健康的な肌をほんのり赤に染めた。)「···············ッッ··········ああつうかとにかくッッ···············そう、まあ近いうちに遊びに来いってこと。チビ達も遊びたそうにしてたしさ。·····ウタ、なにが好きだっけ。」 (彼は話題を切り替えるように、貴方に問いかける。そう言えば、貴方が料理を出されて『これが好き』だとか『あれが嫌い』だとか、幼馴染のくせしてあまり聞いたことはなかった気がする。) (5/12 23:53:26)
水沫 泡>
「あ〜うん、まぁ……切るのがめんどくさいというか、そんな感じ。」タオルでわしゃわしゃと髪を拭きながら首を傾げる。髪を伸ばしている理由はなんとなくだが、何より切るのがめんどくさいのだ。切った時の周りの反応だとか、切り始めたらいちいち整えなければならない所とか。彼は話しながら長く澄んだ髪に指をかけ、柔らかく手ぐしでといた。まさか、母親に似て嬉しいからだなんて重い話はしないだろう。「お前、俺が一緒に風呂ついてった時テンパってたもんな。はっ、もう少しからかえば良かった。」頬を染める貴方を見て、彼はオパールのような瞳を見開いた。しかしすぐに揶揄うように目を細めて笑い飛ばせば、肘で貴方の胸元をトンとこずく。純粋無垢。きっと誰が何を考えてるだとか、そういう面倒なしがらみとか考えないで生きているんだろう。そんな勝手な推測の中で、太陽のようなあなたを羨ましいと思ってしまう。「はいはい、時間できたらお邪魔するよ。…?あ〜、そうだな、好きなものか……。」好きなものを問いかけられると髪を拭いていた手がピタリと止める。タオルを首にかけ直して、苦笑いを浮かべるとしばし沈黙するだろうか。しかしそれも一瞬で、貴方に向き直り答えた。「好き嫌いは特にないかな、お前の食べたいものが俺も食べたい」彼は柔らかく咲いた花のように笑った。これは彼が何かを誤魔化す時によくやる手段だが、それなりに容姿の良い男に笑いかけられてわざわざ何かを追求しようとする人の方が少ないだろう。何より、あなたがくそ真面目な話をしてくるとも思えなかった。>ハチロク (5/13 00:13:34)
七竈 八六>
「··············ふゥん?·························嗚呼、じゃあさ。俺のゴム1本やるよ。予備のやつだけど。切らねえなら切らねえでいいと思うし。」 (彼は貴方の発言に、それ以降言及することは無いだろう。代わりに、彼はポケットに手を入れれば自分が普段使ってるヘアゴムを貴方に差し出す。まるでミサンガのような、少しカラフルなヘアゴムは彼らしいと言えば彼らしい。 これから夏も来るしさ。)『お前、俺が一緒に風呂ついてった時テンパってたもんな。はっ、もう少しからかえば良かった。』「だァッッ···············!!!ッあ゛れッッ····················はッッ!!!しょうがなくねッッ?!?!?!ちっさい頃なんてそんなもんっつうか、前とかはもっとこうッ··············ッッ゛~~~~~~~!!!!あ゛ーーーーッッ!!!もうこの話やめ、やめやめやめッッ!!!」(思い出せば思い出すほど恥ずかしくなる。そうだとも。風呂に入る時についてこられた時2度見したあと追い返そうとしたさ。トイレだって 『こ、ここ男子トイレだぞ?!?!?!』と再度確認だってしちまったさ。そら小さい頃は『かわいい女の子』だとも思いましたとも。·····この話はやめにしようと、彼は小突かれたのならば 『ッッたくさァ·························』なんて小さく呟いて、貴方を小突き返した。)『はいはい、時間できたらお邪魔するよ。…?あ〜、そうだな、好きなものか……。』(会話は一変。彼が振った話題に関して、少しばかり思考を巡らせた後口にしたのは。) 『好き嫌いは特にないかな、お前の食べたいものが俺も食べたい』(·····正しく泡沫のように曖昧で、淡い常套句だった。これが普通の女の子ならばイチコロだろうに。貴方は相当、〝 口が上手い〟。し)(しかし、彼は違う。)「………………なあ、お前、〝いィっつもそう 〟だよなァーーーー…………………」(第一声。なんとなしに呆れたような表情。)「····················俺、ウタの好きなもン聞いてんだケド。····················そういうのちょい困っちまうんだわ。ほら、誕生日の時とかさ。こういう時とか。··········だって聞いた意味ねェじゃんかそれ。」「まあ???好き嫌いねェのはまあ、·························偉いけどさ。」 (あなたも薄々勘づいていただろう。彼はそういうのを〝流さない 〟。なんかいっつもこっちばっかり、とやや拗ねたようにも見える彼は、貴方よりも随分と子供に見えてしまうだろうけど、彼としては貴方にはもう少し積極的に自分の我を出して欲しいものである。) (5/13 00:42:23)
水沫 泡>
「さすがハチロク、派手な色だ。ありがと」(受け取ったヘアゴムはチカチカするみたいに派手で、誰に貰ったのか1発でバレそうな代物だった。彼は早速それを使って髪を緩く結い、まとめた。少しスッキリとした顔で彼を振り返る。) 『………………なあ、お前、〝いィっつもそう 〟だよなァーーーー…………………』(息を吸い込んで何かを返事しようとして、出てきたのは詰まった音だけだった。それから彼は再度笑みを浮かべ誤魔化そうとするが、そのまま目をそらすと困ったように言うのだ)「嫌いなもの、ないんだ。その、分からないというか、好きなものは、全部好きで。兄貴の作ってくれる料理、全部好きだよ。プレゼントとかも全部嬉しい。今のだって」(濡れた髪が冷えきって、ポタリと雫が頬を伝う。それを拭い、タオルをぎゅっと握った。日差しがジリジリと頬に焼き付いて痛い。君じゃなければ誤魔化せただろう。君じゃなければ逃げ切れただろう。ここまで彼が戸惑うのは君くらいのものだ。たった今貰ったこのヘアゴムでさえ嬉しいというのに、これ以上何を望めば良いのかよく分からない。)「ほら、わかるだろ?俺の適性は"許容"だ。許せないものは無いし受け入れられないものは無いんだ。」(それはつまり、何が好きで何が嫌いなのかさっぱり自分でも分からないということだ。彼の背後が蜃気楼のように揺らぐ。クラウドは気体だ、いつだって彼の後ろに控えたそのディスコードは彼にとっての呪いであり祝福だった。)「だから俺は、お前の好きが好きなんだよ。」(それからやっぱり、誤魔化すように崩して笑えば懇願するように貴方の服の裾に手を伸ばすだろう。)>はっちゃん (5/13 01:02:30)
七竈 八六>
『ほら、わかるだろ?俺の適性は"許容"だ。許せないものは無いし受け入れられないものは無』「わかんねェよ。」(彼は食い気味に呟いた。適正だから?そういうものだから?分からない、分かるはずもやいを馬鹿だから言語化が難しいけれどその言葉が昔から『モヤモヤしてしまう』。ここで流せればいい。貴方はそういう人間で、適性が『許容』だから、ただその理由で何もかも許してしまうのだと、それこそ『許容』すべきだ。空気が読めればそれはするべきだが、彼はまだ子供だから。許容できないんだと思う。ガシガシと頭をかいたのならば『あ゛ァ~~~~~………………………』と声を漏らし、言葉を続けた。)「…………………………だってさ。〝 なんでも許しちまう〟ってこたァさ。まあ、ちょい大袈裟に言うけど。理不尽に怒鳴られたっていじめられたって、……………最悪自分が『死んでも』〝別に構わない〟ってことになっちまうんじゃねえの?」(大袈裟に、とは言ったが。事実そのケがあるんじゃないかと思う節は昔からあった。貴方はルクレルク人の血を僅かに引いている。だから理不尽にいじめられたりすることもあったじゃないか。でも貴方はその時、反論するでも怒るでもなく、ただただ『受け入れていた』。自分が居なくちゃきっと貴方はあのまま殴られっぱなしだったんじゃないかって。)「それってさ、ウタのそれは許してるんじゃなくて、〝 諦め 〟てンのと同義じゃねェのかな、とか思っちまったり、『こっちが好きなもんが好き』ってのは、全部じゃねえけどそれは俺も同感で「ウタが喜んでくれんのが嬉しい」っつか………………」「…………………自分のこといっちばん守れんのは自分だけだろ?……………どうすんだよ。俺がアニメに出てくるようなすっげぇ悪いヤツでさ、『人を殺すのが大好きです!』とかなら。『許せないからあいつを消したい』とか思って、とんでもねえことしようとしてたら。」「ウタ、俺の事。·………………………ちゃんと、〝 止めてくれる〟?」( 生徒の声が、自然の音が、この時だけはやけに遠くから聞こえるような錯覚だった。別に怒るでもなく、縋るようにつままれた手をそのまま握り返すでも振り払うこともせず、困ったような、なんとも言えない笑みを浮かべて問いかける。ほんの少し意地悪な質問かもしれない、なんて彼は考えもしないんだろう。) (5/13 01:29:41)
水沫 泡>
「……」「……君の言う通りだよ」(彼は諦めたように笑った。全部君が言った通りだ、分かってるじゃないか。自分が殴られたようが蹴られようが、死のうが"別に構わない"君がそうでないことを願ったそれらは全て彼にとってのあたりまえだった。彼は全部諦めてる。)「君は多分、許せなくて殺したい程を誰かを憎んだことがないんだろ。」(彼が考えることはきっとあなたには伝わらない。彼は長いまつ毛で目を伏せて、そのまま視線を足元へと落とした。)「絵に書いたような悪役はこの世にはいない。彼らにとって正義は悪で、悪が正義だ。彼らの価値観は歪んでるけれど、歪ませたのは他でもない世界だよ。」(掴んだ裾を握る力が強くなる。くしゃりと服に皺がよって、シャツが伸びちゃうな、なんて考えていたらそっと手を離していた。)「だからもし、君が悪いことをするとしたら必ずそれには理由があるんだ。俺は多分、それを理解できるし受け入れられる。何が正しくて何が悪いとか、俺にはあまり…」(関係ないんだ。それがヒーローの代わりとして当てられた学生の言葉だと思うと呆れたものだ。"もしも君にやりたいことがあって、それが悪いことなのだとしたら、その時俺は君の1番の理解者になれるはずなんだ。"その事の何がいけないのか分からない。)(俯いていた彼はケロッと笑い、貴方の顔を見上げ、見つめた。)「あぁ、でも。お前の好意は全部ほしいよ。ひとつもこぼさずにね。それにお前、理由なく人を殺したりできないだろ」>ハチロク (5/13 01:52:03)
七竈 八六>
「…………………………それは、…………」(そう。そうなのだ。彼はまだ、あなたに比べたら何も失っちゃいないのだ。家族は居る。そりゃあお世辞にも裕福とは言えないけれど、月並み態度の幸せで彼は充分だった。しかし彼も、貴方の道理が分からない訳でもない。きっと自分の友達が世界から見て悪役になってしまった時。己はきっと結果ではなく『理由』を求めてしまうから。割り切れなくて、理由を聞いて、『誰も悪役にしたくなくて』、犠牲ゼロで、全力で止めようとしてしまうから。···············でも、失ってないからこそ、『失ったら困るもの』が沢山ある、守りたいものが増えていく中で、『まあ仕方が無いか』と妥協ができるかと言われれば、そらは話が別だ。)『あぁ、でも。お前の好意は全部ほしいよ。ひとつもこぼさずにね。それにお前、理由なく人を殺したりできないだろ』「………………、……、わかんねえだろ、……可能性はゼロじゃない。」「…………言ってることも分かっけど、そういうのが『大人な対応』にすげえ近いってのも分かっけど…………でも、理屈とかそういうのとか、関係ねえし〝 嫌〟なもんは嫌なんだわ。わがまま言うと、もし俺がそうなった時は…………〝殴ってでも止める 〟ぐらいのが、…俺は安心する。」「…………つかそのそも、お前が受け入れてばっかなの、普通に心配するし。…………いやまあ、お節介なんだけど。…なんか、ごめん。」(彼は、目を伏せ首筋に手をやりながらぶっきらぼうに呟いた。理屈上、理論上、倫理的に、効率的に。そんなのいくら説明されたってバカは理解ができない。直情的で一方通行。柄にもなく、真面目な話をしてしまったと調子が狂ったように咳払いをした彼は、貴方の方を見やり気分を転換するようにあっけらかんと笑って見せた。)「………ッッつか俺友達待たせたんだわッ!わり、ウタ。また今度ゆっくり遊ぼ。近いうちに。……家に遊び来るでも、放課後カラオケ行くでもいーしさ。」 「タオルマジ助かった、ありがと。」 (立ち去る手前、目を伏せる彼。貴方と彼は根本的なところでどこか違う。成長するに連れて、それが浮き彫りになっていっているのは、言うまでもない。) (5/13 02:16:26)
水沫 泡>
「あぁ、またね。」(走り去った貴方の背中を見て、彼はヒラヒラとタオルを振った。あんなふうにいつか大喧嘩をする日が来るかもしれない。それも黙って飲み込めばきっともっと怒られる。貴方の言い分はよく分かるのだ。けれどそれを辞められないのは、きっと自分が許容(ディスコード)に侵食されることを望んでいるから。)「うん、そうだね。僕らが悪いことをしたらきっとアイツが殴って止めてくれる。」彼の傍に現れたクラウドは、手をウタの頭に重ねると濡れた髪もあっという間に乾いてしまう。そうして彼の蜃気楼は訳知り顔で笑うのだ。)「俺はヒーローが嫌いだけど、君のことは大好きだよ。"コニー"」(友達の所に戻って笑う君を見て、彼は愛おしくそうに目を細めるかもしれない。君との違いが少しずつ見えてくる。そうやって君とすれ違って手が届かなくなることを、きっとどこかで望んでるんだ。)>ハチロク〆 (5/13 02:38:02)
エレナ・ドラグノフ>
『やられた……』今日の天気は随分むちゃくちゃだった。真夏でもないのに、晴れから雨への乱高下。昼間は暑いくらいに晴れていたというのに、今では土砂降りと雷鳴が降り注いでいる。せがまれて女子テニスの助っ人をさっきまでしていた私がどうなったかは想像にかたくない。ワイシャツはびしょ濡れ、スカートも水を吸って鎧じみている。天気予報もあくまで予想、毎日毎日やっていたら大ハズレもするということを、今後悔と一緒に思い出した。息を切らしながらたどり着いた昇降口。言い出しっぺの筈の女生徒達は、ああいうのを脱兎の如くというのだろう。口々に何やら黄色い悲鳴をあげながら猛スピードで既に戻っていった。なにが「士気が上がるから来い」だろう。逃げ足の速さが本当は上がったのではないだろうか。『……寮まで走れば……。いや、こういうのは早く止むんだったか_____?』シャツを腹の少し上まで捲り、雨水を搾る。下はまだそこまでではないが、上は壊滅的だ。掃除でもしたんじゃないかと疑いたくなるほど景気よく足元に水たまりを作る。そして、濡れた布が張り付くのが嫌で、そのまま縛ってしまった。へそ出しなど普段は着ないが、特例措置だ。さて、これからどうしようと思案する。Q.寮まではもちろんあまり距離はない。しかし、こういうスコールじみた雨はすぐ止むとも言う。ただし、傘はないものとする。『___なんだか疲れた、もういいか。』A.立ち往生。 なんだか全身の力が抜けて、腹の底から勝手に出る変な笑いをへらへらと口から零しながら、壁に背を預けて廊下にそのまま座り込んだ。スカートから伝わるひんやりと冷たい感触と、ざあざあとやかましい雨音。たまに思い出したようになる雷鳴に、粘土を帯びた生ぬるい空気。それを見て、ああ畜生と諦めた笑いを零しながら座り込む女が1人。それが今の風景だ。『誰か道連れでもいればいいんだがな、こんな日は。』 (5/13 13:18:11)
水沫 泡>
(今日は運動日和だった。そのはずだった。パルクールの練習をするため人気のない場所にいた彼に傘を貸してくれる友人がいるはずもなければ、そのまま目に付いた屋根の下へ駆け込むしかなかった。) 「だあぁ、もう。晴れるって言ってたじゃん」(ドタドタと慌ただしく駆け込んできたのは君より遥かに小さい少年だ。身長165cm、決して大きいとは言えないそのサイズ感に君は何を感じるんだろう。いいや、君からしてみれば大抵の男も女も小さいのだろうが……。彼のオパールのような色の髪からぽたぽたりと水滴が滴る。それが億劫で、彼は長い前髪を右手でかきあげた。もはや昇降口に雨が降ったんじゃないかと言った具合に床はびっしょりだ。)「なぁクラウド、笑ってないで乾かしてくれないか?」(雨は天のめぐみとも言うが、こうなればただの厄災だ。しかしそれを喜ぶ奴もいる。それが彼のディスコード、クラウドであるわけだが) (彼はクラウドが壁の方を見ながら笑っているのを見て違和感を感じる。そうして振り返り、ようやく"君"の存在に気がついた。座っているから気が付かなかった。いや、土砂降りがうるさすぎたんだ、そう。このビッグイベントに気を取られてしまったんだ。しかし1度目を向けてしまえば目を離せないほどそこにいる女性は美しく、濡れた黒髪のせいでそれは余計際立った。しかし当然、彼は急いで顔を逸らすだろう。少し恥ずかしそうに頬を染めたのは急いで走ったせいからから、年相応の感情のせいか。あなたはシャツを結んでいるだけでは無い。ワイシャツを着た女性が頭からバケツを被ったら"どうなるのか"、想像に難くないはずだ。屋根に叩きつけられる雨音がうるさい。だと言うのに校舎の中はしんと静かで、その静寂に彼は1歩も動けない。拳を握りしめ、勇気をふる絞り、一言。)「雨、すごいね」(そう言ってへらりと笑った)>エレナさん (5/13 13:38:46)
エレナ・ドラグノフ>
駆け込んできた自分と多分同族だろう少年は、自分よりあとから入ってきただけあってより被害が大きいように見えた。一言で例えたら、晴れ間の差す手前の曇天。ガラスのような瞳、透明と言って良いような髪。そして、多分ルクレルク人の血を引いているのだろう。馴染みの少年にも似た、どことない特有の雰囲気。それらどれもがしばらくしたら透き通ってしまいそうで____『ああ、私も情けないが傘すら持っていない。天気予報なら晴れのはずだったんだがな。』話しかけるのも迷惑かな、と思って黙っていたが、単に校舎のしんとした静かさに呑まれていただけらしい。雨がすごいね、と言われ、ああ。と諦めたように苦笑した後、腰を持ち上げずそのまま、晴れのはずだったのにと恨めしく答えて。『私はエレナ・ドラグノフ。君の名前は?』恥ずかしそうにしているのは、ああきっと、多分年下か上か分からないからだろう。知らない人で、先輩か後輩かもわからなかったら緊張する理屈もわかる。こんな日くらい気にすることは無いさと勤めてフランクに。学年やらまどろっこしいものは省略だ。この辺りで既に、そういう話ではないと気づかなかったのは随分間抜けなことなんだが。 (5/13 13:58:40)
水沫 泡>
「えっ、あっ……と」(なるほど、彼女は気がついていないらしい。客観的に自分の状態を認識できていないのは、ひどい雨に頭を打たれたからかもしれない。クラウドにどうにかしてもらう?ああいやでも、……ぐるぐると思考が巡った末に出た答えは)「お、俺はウタ。ミナワ ウタ。エレナって素敵な名前だね、響きが好きだよ」(その場の流れに任せる、だった。能力というのはぽんぽんと使うものでは無い。万が一今から戦いに出てくださいだとか言われたのなら、回数制限がある以上それだけで不利になるからだ。)「あー、その……そうだな。エレナさんも…外で運動を?」(学年、年の差。彼にそんなことは関係ない。だって最高学年なのだから。現状に釣り合わないほどフランクな彼女の言動はもはやこの光景から浮いていて、かと言って今更服装のことに気が付かれたのだとしても面倒で。え?どうすればいいんだ?ああ神様。早く雨よやんでくれ。。)>エレナちゃん (5/13 14:14:09)
エレナ・ドラグノフ>
『……?』何だろう、人を何か変なことでもしているように見るのは。確かに、廊下に座りっぱなしなのはどうかと思うけれど。それでも、今は周りに人がいる訳でもないのだし____『ああ、呼び方は好きにしてくれれば良い。可愛く呼んでくれ。』なんて、名前を褒めてくれた彼に、そんな冗談を零した。だが、一割くらい思うところはあって、自分でも思うが名前が言いやすいために、あだ名がこれまで着いたことがない。絶賛募集中だ。『ああ、まあな。女子の連中に頼まれてテニスをしてきたばかりだ。ゲストに呼ばれておいて……なんとも間抜けだが、とうに見捨てられてしまっているワケだけど。』ぐい、と体を伸ばしてから立ち上がり、壁によりかかりながら髪をかきあげる。シャワーでも浴びたみたいに大粒の雫が胸元に垂れて、それを無意識に目で追う。『……』なんだ、透けているならすけていると言ってくれたらいいのに!『___ッ!?あ、待て!違うぞ。別に見せようとして見せてるわけではない。』とは、ならなかった。『いや、まあ、見せろと言われても抵抗はないが____そういう話ではなく!』実際脱げと言われたら、割と脱いでも構わない。ある意味ボディビルみたいなものだし、見せて恥ずかしいような無様な鍛え方はしていない。しかし、見せたがるようなヤツだと思われたなら心外だ_____慌てて否定して、余計考えと言葉がこんがらがる。『……見たか。』光沢感のあるナイロン製の下着、色は黒。突拍子も無いようなのを着けてこなくてよかったと心底安堵しなが____結論、憮然とそう尋ねた。 (5/13 14:32:11)
水沫 泡>
「え!?みせ……!?」「いやいや!まさか!!……その」「見たというか、見えた、というか……」(髪にホコリついてたよ、とか、落し物したよ、とかそういうレベルの話ではないのだ、まさか女性に下着が透けてるよ、なんて言える無神経な男がいるだろうか。この場合言わない方が無神経なのかもしれないが……いや、もしかして、見たくて言わなかったとか思われただろうか?先に伝えておくべきだったか。ひんやりとした体中の熱が顔に集中していくのがよくわかっる。彼は堪えきれずブンブンと顔の前で両手を振って否定しつつ、否定しきれず。)「くっ、くらうど!」(そして耐えきれなくなったのだろう。彼はついに能力を行使した。その掛け声に合わせて、ぱっと弾けるように2人に付着した大量の水が水蒸気へと変わる。それはもう一瞬で乾燥機にかけられたような効果で、少し蒸し暑くはなるが服が透けるだとかの問題は解決されるはずだ。そう、彼はこの瞬間、世界の命運よりも一人の女性の尊厳と自身の羞恥心を優先したのだ。)「わざとじゃない!わざとじゃないよ?この雨が悪いんだ。いや、世界に天候が存在するというのは素晴らしいことだし、そのおかげで海ができて俺ら生命が誕生したわけだけど。……ご、ごめん」(訳の分からないことをペラペラと口走りながら、彼は乾いたアウターを脱ぎ貴方の方へと被せようとするだろう。サイズ感は絶対的に足りないだろうが、多少緩く着ていたものだからあなたでもかろうじて羽織れるだろうか。彼の能力で水は乾けど、奪われた熱が戻る訳では無い。お腹も出して、風邪をひいては困るだろう。)>エレナっち (5/13 14:48:04)
エレナ・ドラグノフ>
『……わかっている。貴様にまで動揺されたら、余計私が恥ずかしくなるだろうが……馬鹿者。』いたたまれない空気感に耐えられず、彼から借りた上着をきゅ、と握ってそっぽを向いた。ドライヤーを当てたような、というのが比喩としては正しいだろう。体が温かさに包まれる頃には、水気が引いていた。そして充満する湿気。どんな原理かは分からないけれど、この現象は彼のディスコードが何らかの方法で水を蒸発させたのだろう。なんだ、そんなものがあるなら早く使えばいいのに!私に使えとは言わないが、あれでは風邪をひくじゃないか『ディスコードの能力、のようだな。確かに無闇矢鱈にひけらかすものではないにしても、さっきくらいは使っても良かったんじゃないか。私に使え、なんて厚かましく言う気は無いし、感謝もするが____濡れたままなら貴様が風邪をひくだろうに。』 もちろん、一部のディスコードには代償が重いものも存在する。身近な例では、真のスイートハートは寿命を犠牲にして効果を発揮する。従ってなかなか使えない事情があるのもわかる。けれど、今の雰囲気ではそうした様子はない。そんな便利なものがあるなら、自分が風邪をひかないように自分で使えばいいだろ。とやや呆れながら結んだシャツを解いては。『ま、まさか……何か特殊な変態か。濡れている方が好み、とか。濡れた状態が好き、とかか……』まさか使いたくない理由があったのか。と、冷たい視線を向けた。 (5/13 15:02:15)
水沫 泡>
「そう、うん。本当に。君の言う通り。でもこう、凄く紳士的なうさぎに言われたんだ、ディスコードとか能力は見せびらかすものじゃないし、それは欠点になりうるって。」「あ、知ってる?この学校喋る兎がいるんだけど______」『ま、まさか……何か特殊な変態か。濡れている方が好み、とか。濡れた状態が好き、「っっんなわけないだろ!!!」(食い気味に否定。彼の高くも低くもない声が珍しく張り上げられた。誰もいない廊下に音が反響していく。)「…っあ、いや。そんなわけないです。違います。俺がいくら男子高生だからってそんなにませちゃいないよ」(ハッとした彼は声を潜めて、とてもとても申し訳なそうに否定をしただろう。それからバツが悪そうに頭をくしゃりとかいて、いつまでも貴方を見下ろすのもなんだとその場にしゃがんだ。)「君みたいに強そうな"ヒーロー"、いざって時にいなきゃ困るだろう?」「俺は風邪ひかないよ、クラウドがいるし」(別にクラウドがいることと風邪をひかないことに相互関係はなく大した根拠にはならないが、彼はへにゃりと柔らかな笑みをまっすぐと君へ向ければ、それっぽく誤魔化そうとする。さっさと能力を使ってスマートに助けてやれたらかっこいい男子生徒だったのだろうけど、慣れないアクシデントに思考がから回ってしまったのだから、彼も所詮ただの男子高校生くんというわけだ。)>エレナちゃん (5/13 15:13:38)
エレナ・ドラグノフ>
『強いヒーロー、か。ああ、前に出るしか私などは脳がないからな。だが、気遣い、感謝はするが無用だ。私は強いからな、ヤワな女だと思ってもらっては困る。』強いヒーロー。自分はそれに本当になれるんだろうか。そんな風によぎった弱音を打ち消すように、誇らしげに私はヒーローであると述べて勝気に笑んだ。『しゃべる、うさぎ……』兎、うさぎ、Rabbit あれは話すものだったか……?いや、うさぎがこんにちは!とか口を聞いているのは絵本の中だけだ。この世のうさぎの9割9分9厘は話さないし紳士的でもない。『ひとまず分かった、貴様のことは信用しよう。だが、話すうさぎとは何か、説明していただきたい。そして、好きな食べ物や好きな玩具を知っているなら、それも合わせて答えろ。』こくこくと頷いて、その話すうさぎについて教えろと言う。律儀にうさぎ用の玩具や餌まで持っていくつもりであり『……いや、確かうさぎに食べさせたら不味いものとかもあるはずだ。だが、話すうさぎにそれは通用するのか……。』『まあ、ひとまずアレコレ食わせて、ダメだったらダメだろ……』ぼそ、と呟いた内容は____物騒でしかなかった。 (5/13 15:29:58)
水沫 泡>
(そうか、君もやっぱり"ヒーローになりたいんだな"。そんな言葉は飲み込んで、腹に引っ込めさせる。)「そう?じゃあ、次からはそうするよ。」(ヤワな女ではない。あぁ、そうだろうね。筋肉なんてきっと自分よりある。懸命に鍛えた成果がよく分かる。きっと、あなたは本気でヒーローを目指す真っ直ぐな子なんだろうな、なんて思うのだ。)(妙に兎へ食い付きの良い彼女に、思わず笑みが零れた。しかし『まあ、ひとまずアレコレ食わせて、ダメだったらダメだろ……』その言葉に笑顔はすっと引っ込んだ。え?なに、殺す気?咳払いをひとつ、誤魔化すように彼は笑って)「この前会った時は紅茶をご馳走してくれたよ、あとアプリコットジャム。チョコはダメだってよく聞くけど、……あの様子だとあまり人間と変わらないんじゃないかな。」(可愛い1面もあるんだなと思ったがそうでは無いようで。いったい君は何を望んでうさぎさんと接触しようとしているんだ。恐ろしい。)「でも、ちょっとこう……身振りは紳士的なんだけど、言葉がね。はは、少し口の悪い子だったよ。」(可愛さだけをアピールすると君のよく分からないその気持ちを加速させてしまうかもしれない。彼は注釈を付け足した)>エレナちゃん (5/13 15:46:58)
エレナ・ドラグノフ>
『……紅茶を入れるのか、そのうさぎは。』飼いたい。という欲求を隠さないように、南国の海原のような蒼い瞳が輝きを滾らせる。本人からしたら少女漫画的な背景のエフェクトがキラキラ光る反応であっても、傍目どちらかというと肉食獣のするよう捕食準備だが___『しかし、寮で飼うというのも避けるべきだろうな。ヒーローである以上、世話がおざなりになるのは避けるべきだろうし。』飼いたくても、欲しくても。やっぱりいいや辞めようと諦める理由は、多忙であるからなんかではないのだけれど。それは口にしなかったし、飼育するのが当然の理で、前提にあるのも大概だというのは気にもしなかった。『口が悪い。ほう、なら後ほど根性を叩き直してやろう。何、二、三発くれてやればすぐ真人間……いや、真兎になるだろうしな。』紅茶を持ってきてティータイムをすることと、口が悪い=ぶん殴る が同居しているのに救いはない。『ああ、そうだ。兎もいいが、貴様はヒーローを何故やっているんだ。話してみての感じ、これは卑下する目的ではないが、普通の高校生にしか見えんからな。』例えばレフバなら、カミサマ自体の知識がこの学校で学ぶ基礎部分を上回っていると言っていた。例えばジェントルや真なら、アレの度胸や戦いの知識は並のそれではないし、ワケありだとわかりやすい。穂坂は……確かお姉さんに憧れたと言っていた。ハチロクは、あの通りかっこよくなりたいのだろうし、根性と行動力の塊のような人間だ。そうした分かりやすい理由がある例外(イレギュラー)を見回すと___元々私がこの学校の生徒では無いのもあり余計に____彼があまりに普通の少年に見えるのだ『何かワケでもあったりするのか。』 (5/13 16:02:46)
水沫 泡>
「そのうさぎ、学校の生徒だから"飼う"ってのはまずいんじゃないかなぁ……」(すこし控えめの主張を世話とか、多忙とか、そういう問題以前の倫理観の問題なのだが……取って食うのかと言わんばかりの勢いについ彼も怖気付いてしまう。2、3発殴るというのも、君のような人に殴られてはあの人……いや、あの兎も一溜りないだろう。能力を考慮しなければだが……。)『貴様はヒーローを何故やっているんだ。』(さっきまで柔らかい表情と雰囲気で話していた彼の、周囲の空気が一瞬止まる。しかしそれは止まった気がした、程度で、直ぐに君に向き直り首を傾げる。それは"どうしてだろうね"とでも言うかのようだった。確かに、自分の命までかけてヒーローをやるような人間がここには集まっているのだ。普通なんの信念も目標もなく、こんな場所にはやって来ないだろう。)「俺はヒーローが嫌いなんだ。」(誰にも言ったことのなかったその言葉が、すんなりと出てきたのは不思議でどうしてなのか彼にもよく分からなかった。)「あぁ、語弊があるね。世界で1番嫌いな人がヒーローだったんだ。だから、ヒーローになれば何か分かるかなって思って?」(それは嫌いな人の克服のようにも思えるし、そいつを探し出して殺すために"何か手がかりを探している"ようでもあった。死に場所を探すようにしてたどり着いたここは彼にとっては墓場で、酷く居心地の悪い場所なわけだ。それでもここに身を置く程度にはその"ヒーローが嫌い"に含まれる意味というのは彼にとって重要なのだろう。)「なんちゃって、エレナちゃんのことは好きだよ。ヒーローって一括りにするのは良くないよね」(聞く人が聞けば殴られるような内容だったかもしれない。それは君もそうだろうか。そんなこと気にしない様子で、今は雲に隠れた太陽のように柔らかく微笑むのだ。)>エレナちゃん (5/13 16:16:38)
エレナ・ドラグノフ>
『ヒーローが、嫌い……?』思わず、オウムのように同じ言葉を繰り返した。それから続いたのは、一番嫌いな人間がヒーローだからという言葉。だからヒーローを目指すのだという理由(それ)は喜ばしいことのようで、あるいはあまりにも寂しいことであるかのようで。エレナちゃんは好きだよ、なんて言葉は頭に入ってこなかった。『何が』____踏み込むのか。頭に警告音(アラーム)がなる。そうだ、私はこの人のことなんて知らない。長い付き合いでもないし、そんな人間が深いところを聞いたら入ってくるな、なんて不快になるのも道理。空気を読むべきだ。辞めておくべきだ。常識は口を揃えて制止する。___でも。と。私の憧れから。最高のヒーローだった母から受け取った言葉が浮かんでくる。星空の下、傷だらけになった体を押して、あの人は風呂や食事より先に私を呼んだ。 "ヒーローだなんだと言ってるが、誰でも救えるわけじゃない。むしろ、救えない人の方が多い。結果は伴わないし、逆に傷つくなんて馬鹿みたいだ。" "でも僕は思うんだ。____その馬鹿を、それでもやるから。不合理だから、ヒーローなんじゃないかって" 『貴様に、何があった。ヒーローが嫌いだから、だけなんて要領を得ない。』口にした。なぜ?を口に出した。自分には救えないかもしれない。いや、そんなの無用かもしれない。『だってそれじゃあ、一番嫌いなヤツのためにヒーローになっているのと変わらないじゃないか。』でも。自分を好きだと一回でも言ってくれたやつを知ろうとしないでいられるものか____『私は、少なくとも本気でヒーローを目ざしてるからな。こういう、相手が言いにくそうな傷からは逃げられない。』 (5/13 16:54:45)
水沫 泡>
(1度躊躇い、それでもあなたが言葉にしたのを見て。彼は困ったように笑っうだろう。)「エレナちゃんは本当にヒーローみたいだね」(正義、救い、無償の愛。常人には理解できないようなそれらを、さも当然のように差し出してくるのがヒーローだ。それを見てモヤモヤとした気持ちが胸中に渦巻くのを感じる。きっと自分はヒーローには向いてないだろう。どちらかと言えば向いているのはヴィランだ、この世に対する憎悪や嫌悪を懇切丁寧に心の中で育てているのだから。澄んだ空、ガラス色。君の美しい瞳はきっと、その正義感故に輝いて見えるのだろう。そんなあなたを見て、彼は逃げられなさそうだな、なんて諦めたように笑うのだ。)「ヒーローは俺の大切なものを2つ奪った。1つは母親、1つは友達。」「ヒーローは何も間違っちゃいなかったよ。母親は……まぁ、これはいいか。僕の友達は"カミサマ"だったからね。それが暴走したのなら討伐対象だ、殺されて当然だよ。」(すごく簡潔に、彼はヒーローを憎む理由を貴方に伝えた。だからどういう気持ちになっただとか、だからどれくらいヒーローが嫌いだとか。そんなことは話さない。だって)「僕はもうその人のことを許してる。受け入れてる。……」「でも、それでも残った気持ちが僕をこの学校に連れてきた。だからその人のためにヒーローになるんじゃないんだ。俺は俺のためにヒーローになるんだよ」(彼はそうやって誤魔化している。もうあいつを許したんだと。そうやって許容を愛している。殺したいほど何かを憎む感情をひた隠しにして、彼は優しく微笑んだ。これ以上詮索するな、と。)>エレナちゃん (5/13 17:16:22)
エレナ・ドラグノフ>
『許してて受けいれてるなら。___なんでそんなに、諦めたような顔をしているんだ。』考えるより先に。感情が形を持つより先に言葉が出た。『それでも乗り越えた。それでも戦ったって奴は、そんな顔をしない。』それからは、止まらなかった。急な坂を走り降りていくように、風を切って弾丸が進んでいくように。『私になんか話してやるかっていうなら、それでもいい。』悔しいが、自分が救えないというならそれでもいい。誰か他の人が手を伸ばして助かるなら、それで。でも、痛みとか、嫌われるとか、馬鹿にされるとか、嫌がられるとか。誰かを助ける時に必要な苦しさは、彼を救う誰かのために背負ってやりたい。だから、恨まれようじゃないか_____『けど、自分にだけは話してやれ。今何をしたくて。そして、誰かに何をして欲しいのか。』誰かに頼らない人間なんていない___なんて言葉は、無料で誰かに頼りたいやつが考えた大義名分(クーポン)みたいなものだ。誰かに頼りたくない人間や、一人でしか戦えない人間だっている。それは痛いほどに分かっているけど。『踏み込むなって話をしてるフリして____もういいだろって顔をして。聞いてくれって聞こえてくんだヨ。オマエの、もっと深い傷(ところ)からな。』オマエは違うんじゃないか?本当の自分と、本当の気持ちと、本当の痛み。みんな本当だから、余計に苦しいんじゃないのか。『私は、一回コイツはちゃんと話さなきゃなと思ったら、どんな相手にも下がる気は無いぞ。生憎「失敗」は大っ嫌いだからな。』 (5/13 17:56:23)
> 水沫 泡
(彼は貴方の言葉を、驚いたように目を丸くして聞いていただろう。風のように走り抜けていくあなたの言葉は、どれもがヒーローのそれだった。貴方が本気で救いたいと思っていることに少しでも嬉しいと思ってしまった。本当は諦めきれなくて感情をぶちまけてしまいたい自分の気持ちを、あなたには見抜かれてしまったのだ。"失敗"……そう、君は失敗をしたことがあるのだろうか。それをもうしたくないから、失敗が嫌いなんだろうか。)(一通り思考を巡らせた彼は目線を落とした。長い髪がさらりと頬を撫でて、顔をあげる頃には彼は笑ってはいなかった。わざとらしく添えられた暖かな笑みなどそこにはない。)「雨が降ってるね。湿気はもう無理だってくらいいっぱいいっぱいで。……今ここでクラウドの能力を使えば、君を氷漬けにして殺すことが出来ると思うんだ。いくら強い力や筋肉があっても、寒ければ動けないしそのうち壊死してしまうだろう。」「例えば君みたいに正義感の強いヒーローがいて。君は何も間違ったことをしていなくて。そんな人を、俺が殺したいって言ったら君はそれを許すのかい」(彼の言葉は本気だった。その嫌悪の対象は君ではない別の何かだが、今この瞬間だけは君に向けられた。まるで君を試すかのように、君はそれを許すのかと彼は問いかけた。)「普通の立派なヒーローは俺を止めると思うんだ。それらしい心に響く声をかけて説得するだろう。俺はそうやって説得されたよ、だからこうして牢屋に入れられずにここにいる。」「……でも、その時の気持ちが消えたわけじゃない。消せやしない。人を殺すことが悪いことなのは理解してる。…なら……飲み込むしかないだろ。諦めるしかない。諦めて、全部許すしかないだろ?」(自分は間違っていないことを確かめるかのように、何度も貴方へ問いかけた。彼は端から期待していないのだ。君にも、幼馴染であるハチロクにも。ヒーローを志す者たちにも、ヒーローそのものにも、何一つ期待しちゃいないのだ。このめちゃくちゃな感情を理解し受け止めてくれる奴など"ヒーローには"いるわけが無いのだと。なぜなら彼の願望は悪だから。なら、それを受け止められるのはきっと自分だけでいいんだ。……そうして彼は懇願する)「……そうじゃないっていうなら、教えてくれよ。何が正解なんだ」>エレナちゃん(5/13 18:22:44)
> エレナ・ドラグノフ
ヒーローを目指す人間には、様々な理由があるけれど。ヒーローを目指す人間には共通点がある程度存在する。例えば、正義感。例えば、正義。なら、ヒーローには彼にかける言葉など無いのかもしれない。とんでもない悪人の方が、的を射たことを言うのかもしれない。____ただし、例外は存在する。『貴様が自分を許せるなら、それをやればいい。報復される覚悟と償う覚悟があるなら、山落ちやっちゃいけないことなんてもの存在しない。』ぐちゃぐちゃな復讐心と惨めさを引きずったままの場合だ。『殺したくて仕方ないなら、殺したらいい。その後死ぬなり生きるなりしたらいい。どんな責任を負うかは、誰かが勝手に決めればいいだろうし、万が一逃げ切れる時もあるだろう。』やるならやればいいさ、殺し殺される腹を決められるなら。『必要なら、今からそれをやればいい。殺したいほど憎いやつが、でも正義っぽいから殺せねーだと!?馬鹿らしい。』だが、そうだったならなんで。『殺せねーんだよ、説得されようが、何されようがやれる奴じゃあオマエはないんだ。憎しみとか悲しみとか、それを真っ直ぐぶつけて誰かが死んでもいいやつなら、そんなことで悩まないんだよ。』なんで悪いことをしていいかどうかで悩むんだ。『オマエは普通の人間で、しんどいことはずっとしんどいままで、正解なんてそうそう見つからないんだ。』悲しいこと、むちゃくちゃに暴れたいこと。それをでも、ダメだと思って悲しんで、苦しむこと。その気持ちは、他の何より人間みたいな気持ちじゃないのか。『だから、生きてたら答えも見つかって、楽しいことがたしかに見つかるかもしれない___なんて、嘘かもしれなくてもな。』そんなに簡単に割りきれないなら、それでいい。それでもいい。『オマエの人生、復讐心(それ)だけじゃないだろう。友達は居ないか。恋人は?家族は?先生は?私でも構わない。そいつらと居て一瞬も楽しくなかったのか。』けど。『楽しくないわけじゃないなら___。なんで、復讐より楽しいことはあるのに、復讐よりやりたいこととか、折り合いをつけられる答えとかは一生見つからないんだ。』お前には『一日一日、周りの人を大切にして全力で生きてみたら、百にひとつわかるかもしれない。だが、誰にも理解されようともしないで、さっきみたいに期待もしないで跳ね除けていたら____一生わからないだろ。』それしかないから、そう生きていくのかと問いかける___『それでも、もう辛くて仕方なくて、他のことなんて一瞬も好きじゃなかった、やってやるって言うなら____最後まで私が貴様の味方だ。英雄(ヒーロー)をやるというなら、視界に入る人の痛みを肯定する気概くらい、とうに背負っている。』(5/13 19:01:31)
> 水沫 泡
「……」「……」「上着、借りるね」(貴方にかけていた上着を取り返し、彼はそこに顔を押し付けた。声が震えているから、それが泣きそうなのを隠すための行為であると直ぐに分かるだろう。もう雨水は乾いてしまっているから、これは雨だ、なんてベタな言い訳も通用しない。)「優しい人になりたかったんだ。母さんみたいに、優しい人。だから、多分……君の言う通り。やりたいならやればいいことも出来ないでここにいる。」(布で口をもごもごとさせながら君に訴える。支えを失った彼はそのまま貴方に倒れかかる勢いだ。何十にも取り繕った仮面がこんなにも簡単にひっぺがえされてしまって、幼少期より抱え込んでいた感情をむき出しにされてしまった。)「僕に家族はいない。友達も、多くない。……だから、」(ぐすりと鼻を啜って顔を上げた彼の目は、ほんのりと赤みがかっていた)「ほんの少しの大切な友達と、君を支えに、頑張ってみるよ。」「あぁ、いや……本当はまだ心の整理が上手くできてない。本気でそう思えたわけじゃないかも。」でも……「味方だって、こんなに力強く言ってくれたのはエレナちゃんが初めてだよ。」(それが嬉しかった。君の想いで彼の考え方が根本から覆ったわけでも、彼の過去が吹っ切れたわけでもない。ただ、味方だと断言してくれたことが嬉しかった。ほとんど全ての感情を吐露した上で肯定してくれたことが、きっと彼の涙の理由だろう。)(それから彼は立ち上がって外の様子を確認する。いつの間にか雨は上がり、眩しい日差しがさしていた。君を振り返ると、彼は人差し指を口元に添えて)「さっきのことは、恥ずかしいからさ。雨と一緒に流したってことにして欲しいな」(誰にも言わないで、君と俺との内緒話。) 「それと、ありがとう」(それは誤魔化しのための笑顔ではなく。ただ純粋な嬉しさによるものだった。彼の笑顔はいつだって、花が咲くようである。)>エレナちゃん (5/13 19:32:18)
> エレナ・ドラグノフ
『わかった、もう貴様が随分悪いやつなのは分かったから___優しい人になりたいんだったら、その大事な人を、精一杯守ってやればいい。それに____大事な人なんて増えるもんだ。いつか会う友達のために、顔も知らない誰かにも誠実にやればいい。』優しくなりたい。そんな風にあいにく悩んだことは無いから分からないけれど、自分を真剣に悩めるんなら、きっと人に優しく出来る。『貴様のその立派な能力(ディスコード)は、それを愛してくれるさ。きっとな。』____空気が燃える。雨が上がり、暖かい光が差した。空は快晴、ペンキを塗ったくらい厚い真っ青がこれでもかと光っている。『ああ、忘れたな。私たちはただ、雨宿りして酷い目にあっただけだ。』ああ、この人は笑ってくれた。なら、大丈夫だ。そろそろ、帰らなきゃうるさい奴もいる頃だろうし、歩き出さなくちゃ『ただ、少し訂正だ。少しの友達の中には、私も含んでおけ。』小さく手を振って、寮までできる限りの速さで走る。生ぬるい風を切るのは心地よく、清々しい。明日はこの分ならお天気だろう。さて、どこに行こうかな___ (5/13 20:09:26)
Yuri・Annabel>
『 グレイスくんーでしたけー? ユー…………ん、ん"っ、ヒーロー名ヒドラー、時間通りに参上ー、だよー 』 ( そんな装備で大丈夫か?───大丈夫じゃない、問題だ。時間通りに指定された教室に来た少女、もといポニーテールのヒーローは、能天気な口調ながらもそれなりの不安は感じていた。腰に回したベルトにぶら下げられた装備といえば、タバスコ入りの水鉄砲に催涙スプレーといった品揃え。不審者対策としては問題ないだろうが…場合によっては今回の任務、相手はあのカミサマだ。あれらをタバスコや催涙スプレーで倒せるかと問われてyesと答えるやつは、きっと正気じゃない。能力を使うにも限度がある。であるからこそ、それなりの不安をヒーローは抱えていた。見回りは最低でも2人から。火力は十分とはいえず、任務時に連携を組むための訓練の一貫であるから当たり前であるとはいえど、初顔合わせ。この訓練が決まってから、なんとかするっきゃないなと頬をぺちぺちした夜は数知れない。自己紹介もそこそこに、装備品の確認、路地裏に主に出没するカミサマのデータ、離脱時の注意事項等の説明を受けたら、……初めての公式戦、ヒーロー活動の始まりだ。─────《歓楽街の裏通り》その名の通り、様々な娯楽施設が栄える歓楽街の裏通り、もしくは路地裏、その辺りの楽しさの裏側に蔓延る人の負の感情や罪の感情がどっぷりと沈殿した場所である。駆け出しヒーロー達が対処すべきカミサマやガラの悪い人間たちが隠れ住んでいる。絶対に1人きりでは探索しない事だ。【探索1回目、特段なにも起きなかった…もう少しだけ進もう。】 路地裏を生ぬるい風が吹き抜ける。隅っこで泥くずと貸した空き缶がカロンと転がり、それに驚いた小虫がぞろぞろと列を成して移動を始めた。お世辞にも良い匂いがするとも、綺麗な場所とも言い難い。寧ろ相反するのがこの場所だった。『 うへぇ…………、やぁだねぇー…。グレイスくんはー、こういうとこ、平気ー? 』汚れた空気はじわりじわりと肌に染み込もうとしてくるようで気味が悪い。ぞわりと立った鳥肌、両腕で身体をぎゅうと抱えた。奥へと踏み出す度に、身体を蝕もうとする空気の濃度が上がる気がする。きっと、潔癖性の生徒なら発狂ものだろう。) (5/14 01:51:27)
水沫 泡>
(待ち合わせをしていた少女は、いかにも出来たてホヤホヤのヒーローといった様子で待ち構えていた。ポニーテールをくるくると揺らし、慌ただしく装備品の確認をしたり説明を受けたりしている。小動物のようで守りたくなる少女というのはこういった子のことを指すんだろう。しかし、彼女も立派に市民を守る側の人間である。………髪を上げたせいでよく見える尖った耳に目線を向けて、"あぁ、ルクレルク人か"なんて思ったが口には出さなかった。何となく親近感を感じてしまうのは、未だそういった認識が蔓延っているからに違いない。)「はい、ヒーローグレイスです。よろしくね」(自分がそんなふうにヒーローと名乗る日がやってくるとは思っていなかった。今日はただの見回り、大きな任務では無いのだからそう身構えなくても良いだろう。……と思っていたが、ヒドラーはソワソワしている。緊張しているんだろうなぁ。ろくな装備のない彼は、いざという時の為のガスマスクを2つだけ持ってあなたにはついていった。)(______歓楽街の裏通り。陰鬱な空気の停滞したその場所を何分か歩いた。さすが見回り、特に何も起こることなく道を進んでいく。ここを掃除する人なんていないのだから、当然のようにゴミが溢れ返っている。足に当たった缶をカコンッと音を立てて蹴り飛ばせばふと思い出した。"昔はこんな場所に住んでいたな"と。『グレイスくんはー、こういうとこ、平気ー? 』腕をさすり嫌そうにする少女を見て、そりゃ女の子はこんな場所嫌かという風に思う。)「あはは、出来れば来たくないよねぇこんな場所。」「変な人とか出ても、困る……し………?」(彼は蹴り飛ばした缶が壁に当たってコロコロとこちらへ戻てきたのをじっと見ていた。グレープ味の炭酸飲料の見た目をしたそれは、蹴り飛ばした時にほとんど重量がなかったのに。”開いてない''彼はそれを拾い上げると目を細め首を傾げる。)「あかないアキカンだねぇ」探索2回目、あかないアキカンと遭遇…?> Yuriちゃん (5/14 11:21:45)
Yuri・Annabel>
んねぇー……、 ( この場所が嫌だと感じるのは貴方も同じ様で、単純ながらほっとする。それでも嫌そうな気配を露骨に出さずに柔和な笑みを浮かべられるのは流石先輩と言おうか、その胆力が頼もしくあった。尊敬、自分もやってやるぞと気合いを込めて、じとりと手汗の滲んだ手を腕から引き剥がす。深呼吸はあまりしたくないが、気分的には初めよりましになった気がした。綺麗好きではないものの、掃除してしまいたくなる裏通り。そもそもこんな風に汚れているから、悪い人が蔓延る場所になってしまうんじゃないだろうか。上を見上げて見える空も、換気扇の煤けた汚れと混じってしまって、何処かほの暗い。『 変な人が来てもー、腕っぷしに自信があったらー…………ん、なんかあったー? 』てっとっと、無警戒に前進していたヒーローは、着いてきていた筈の貴方の気配が消えてしまって、壁にぶつかってしまったようにびたんっと止まる。振り返れば貴方はしゃがみこんでいて、ゴミ拾い…?そんな疑問は直ぐに解消された。『 だねぇ、…今でもー、だぁれも開けられてないんだっけー…。空かないじゃねぇかーってー、捨てられちゃったのかねー… 』蓋の空いていない、なのに中身の無い空き缶。空かないアキカン。缶蹴り時には凹まないその性質から大人気になったそうで……というのは冗談だけど。何をしても空かない、壊れない性質を持っているのは本当だ。この路地裏においてもそれは変わらず、他の空き缶と比べてアキカンは滑らかなボディを保っている。跳ねるように貴方の元へと戻ってアキカンをつんと突つけば、身に纏っていた藻のような汚れの塊もぼろりと落ち、まるで新品のような様だった。) (5/14 11:49:31)
水沫 泡>
「ここにあるってことは辺りにあかないアキカンが出てくる自販機があるってことだろうなぁ。」(アキカンを放り投げては掴み、これがカミサマか…なんて目線を落とす。カミサマは千差万別。八百万の神だなんて言ってあらゆるものに神様がつくのはそうかもしれないが。空き缶とはなかなかセンスがないように思える。)「持って帰ってレポート書かないとだね」(そう言ってアキカンを懐へしまい笑いかける。先程から少し前を歩くあなたはどこか危なかっしくて、例えるのなら子犬。自分よりも背の低いあなたを後ろから見守りつつ、先へ進むことにしよう。____そんなことを思った矢先)『よぉ嬢ちゃん。こんなのところで何してんだ?』("いかにも"といった様子のガラの悪い大人が正面からフラフラりと歩いてくる。彼は思わず、あなたの服の一端をちょいと掴みこちら側へと引き寄せるだろう。)探索3回目、ガラの悪い大人が声を掛けてきた…!どうやら通り魔の類らしい。戦闘ライセンスを2つ以上持っていなければ1d6を振ること。1ならば君は致命傷を受けて気を失い半日以内に救助されなければロストしてしまう。2か3なら大怪我をして24時間ライセンスを全て使えなくなる。4以上なら軽傷を負い戦闘ライセンスのうちどれか1つ24時間つかえなくなる。 (5/14 12:05:23)
Yuri・Annabel>
う"……………そろそろー、集めたアキカンでお家が建てれちゃいそうーだよねぇー、…レポートで提案したらぁ、採用されちゃったりしませんかなー ( レポート。苦手でもなければ嫌いでもない分野。読むだけならなんなら好きで、読むためには書くことが必須、大切なことだと理解している。その上で、気持ちの面でレポート作成が苦手だった。椅子の上にじっとしているのとか、手の進む速度でしか文字を記せない所とかがあんまりにもまどろっこしくって。現実逃避するように、アキカンからすっと目を反らす。レポートやだな、反らした直前の顔にははっきりとそう書いてあった。新たな研究の題材、言い換えればレポートのネタが直ぐに浮かぶ辺り、本当に分野としては苦手ではないのだけど。「よぉ嬢ちゃん。こんなところで何してんだ?」……噂をすればなんとやら。びしっと決めたスーツ、ゴツい指輪を嵌めた片手には燃えた煙草、染み付いた酒と鉄の匂いが路地裏の中であっても鼻の奥を痛いほどに突く。服を後ろから引っ張られるまま後ろに下がれば、こんなところの空気でも、ちょっと軽くなった気がした。迷子になっちゃってー、…なんていって、素直に案内してくれるだけの相手でもないだろう。此方の顔を見比べて舌舐めずりをしている辺りから程度が知れる。学校では不安であったのに、いざとなると胆が据わるというのだろうか。守らなきゃ、と体がふつふつ湧く気がする。『 水鉄砲で目を潰すのでー……その隙に逃げるかトドメ、どー? 』貴方だけに聞こえるように声音を落とす。指先を引き金に滑らせた。) (5/14 12:38:05)
水沫 泡>
「……ふは、そりゃいいね」("水鉄砲"あぁ、あなたが持ってたのは拳銃ではなく水鉄砲だったのか。まるで子供だましのような提案に彼は吹き出せば、わしゃりとあなたの頭を撫でてその話に乗るだろう。本当はその水鉄砲で人を殺してしまうことだってできるのが彼ら能力者なのだが、通り魔を極刑にするかはヒーローの決めることではない。トントン、とコンクリートをつま先で叩き彼はフラッとあなたの前に出るだろう。)「これはこれは、真昼間から見回りですか?それは随分と、素晴らしい行いですね。」(娯楽が欲しい。悪い自分が大好き。目の前の俺らのことを餌としか思っていない。___コイツの思考はダダ漏れで、きっと隠すつもりも無いんだろう。程度の低い犯罪者だ。その程度の低い通り魔と彼はじっと目を合わせる。)(ダボッとしたアウターに両手を突っ込み、無警戒を装う。ヒーロースーツらしいそれを未だ持ち合わせない彼は、それこそただのランニング中の高校生程度にしか見えないだろう。背も小さく、身体も細身。色も白ければ、連れて歩いているのは可愛らしい少女。おまけにルクレルク人だ、強そうだと想起させる要素が1つだって無い。そんな奴が愚かにも1歩前へ出て、ヘラヘラと笑いながら声をかけてくるのだから、アイツはすかさずマウントを取ってくることだろう。そうやって彼は、目の前の男の注意をこちらへ誘導した。射撃のライセンスを持ち合わせる貴方なら、その隙に拳銃……いや、水鉄砲を構えて相手の目を狙い撃つことなど朝飯前なのでは?) (5/14 12:54:10)
Yuri・Annabel>
っ……へへへ、まーかしてー ( 犬は一芸が出来た後にご褒美を貰うものだけど、今回の褒美は後払い。それは程好いリラックスとやる気に繋がって、自然と頬がふんにゃり緩んだ。たまたま路地裏に迷い混んでしまった兄妹、1歩踏み出す貴方は妹を守ろうとする兄、そんな姿に見えただろうか。想定されるのは美麗な顔立ちが苦痛に歪み、血に濡れる姿……………そんなことばかり考えているから。『 …ごめんねぇ、おじちゃん。 』狩る側から狩られる側に変わるのはどんな気分か。想像は出来ないけれど驚くことはよく分かり、其所が隙だった。男が貴方に手をかけようとしたその時に、ちらつかせるのは黒い拳銃。一瞬の怯えと怯みは撃ち抜く側からすれば充分すぎる程のもの。─銃声は響かなかった。何故ならそれは、タバスコを含ませただけの水鉄砲に過ぎないのだから。それでも拳銃だという思い込み、両目に走った鋭い痛み、溢れた涙が視界を狂わす。『 ─────グレイス! 』 (5/14 13:13:07)
水沫 泡>
「はは、これは傑作。」(赤い水が男の顔にかかり、目に命中する。銃声は鳴らなかったが、男の悲痛な叫びが路地裏に響いた。ほんの少しのタバスコが目元につくだけでも相当痛いのに、きっとタバスコの水鉄砲が男に与えた刺激とは想像を絶するものだろう。男がフラリと後ずさる。その瞬間彼は体を捻り鳩尾に強烈な蹴りをぶち込んだ。ミシ、と変な音が足から伝わる。"やべ、やりすぎた"____これ過剰防衛にならないかなぁなんて不安が一瞬脳裏を過ぎる。道幅は狭く、通り魔は簡単に壁へ激突すればその下にあるゴミだめへと身体を沈めることだろう。彼はポケットから手を出して身体のバランスを取れば、起き上がろうとする男に近場にあったバケツを被せた。ゴンッ、と鈍い音が乗る。いったいどんなバランス感覚なのだろう、その上にひょいと腰かけてはスマホを取り出しタタタと番号を打ち込んだ。)「よっ……と。お手柄だよ、ヒドラー。あとは警察に頼もう。」(事故ですか、事件ですか、という切羽詰まった声がスピーカーから聞こえてくる。彼はどこか気の抜けた声で現状と住所を伝え、通り魔を警察に引き渡すことだろう。) (5/14 13:27:50)
Yuri・Annabel>
なぁいすキックー ( 軸足の通った綺麗な蹴り、顔立ちも相まって演舞のようにも見えるその動作に、掃き溜めに鶴、そんな見たままの言葉が浮かんだ。美しさも蹴りの威力は比例したようで、バケツも被され完全に撃沈した男が起き上がることは暫くないだろう。拳銃の先に残る赤みをぴぴっと振り払って。今なら自分より背の低い貴方の頭を指先で撫でた。『 グレイスくんもー、だよー。助かったー 』相手は通り魔1人とはいっても、人を殴るのにはそれなりの恐怖心がある。躊躇えば、殺られていたのは此方だっただろう。助かったのは、精神的支柱としても。間も無く狭い通路に警察が駆け付け、男は引き渡された。保護され一緒に帰ることを提案されたが、学校名を告げれば納得したようで、返されたのは敬礼だった。『 私もねー、忍びでもなし、前に出すぎるのは危ないなぁってねぇ、学んだよー 』( うんうん、と頷いて、ヒーローは貴方のほんの少しだけ前を、大きく開いた足をもて回しながらゆっくりと歩く。偵察なら兎も角として、今しがたきちんと詰んだ経験。それを忘れる鶏じゃなかった。2度撃った水鉄砲の中身は1/3ほど減り、誤射しては笑えない量でもある。ミ"チ"─────ッ。軋んだ建物からぱらぱらと細かな瓦礫が降り注いだ。【探索4回目、インボルバーと遭遇!】 その音にピタリと足を止め、改めて突っ込まなくて良かったことを実感する。……なにか、来る。『 こ、ぉちー、こっちー、おいでー 』貴方の服をくんと引いて、思わず路地裏の影に隠れた。現れたのは幾つもの頭が連なる肉塊。響き渡るは呻き声。足はないが2本の腕で地面を這いずり動いている。ざっと数えただけでも、頭の数は40個以上あるだろう。路地裏に迷い混んだ人間の成れの果て、そういうことなのだろうか。『 おっき…………、…グレイスくんやー、……いけるかなぁ………? 』 (5/14 14:06:23)
水沫 泡>
「うおっ……」(貴方に服を引かれて、彼はヨロヨロと物陰へと引っ込んで行った。そしてこの振動の正体に目を細める。あぁ、本当にこんな場所にもカミサマいるんだ。しかも、なんか……)「報告書にあるやつより大きくないかな……」(気色の悪い見た目に彼は眉をひそめる。観測されたことのある最大重量には大きく及ばないが、それにしてもでかい。このカミサマは研究が進めば死者蘇生に役立つのではないかと言われているそうだ。動きはのろまでこの2人なら簡単に逃走することも可能だが、彼は討伐一択だ。死者蘇生なんて魅惑的な響に彼が釣られないわけがない。その研究成果や効果には期待していないが、それでも心が動いてしまうのは希望を捨てられないからだろう。)「建物を倒して乗っけるのが手っ取り早いけど、そういう訳にはいかないもんなぁ」彼は辺りを見渡す。狭い路地。汚い空気。もっと広い場所なら躊躇なく臨める戦闘も、ここでは慎重に行かなければ被害が出てしまう。)「ヒドラー、少し下がってて」(恐らく彼女の能力は戦闘向きとはいえない。どうやら少し頑張るしかないらしい。彼はカミサマの方向を見たまま後ろに手をやり、貴方の頭を優しく撫でる。それからトンと物陰から姿を表せば、傍へとクラウドを顕現させた。)「頼めるかな、……うん?う〜ん、そうだな。それじゃあ帰りにアイス買ってあげる。300円のやつ」(フリルや雲を纏った彼女はご褒美でもせがんだのか、彼の言葉にやる気を出してふわふわと上空へと登っていく。気体がどうやってアイスを食べるのかは彼も知らない。________しばらく沈黙が続く。戸惑っているのではない。真っ直ぐとカミサマを見据え、待っている。) 「……ここ…クラウドッ!!!」(彼の声が路地裏に反響する。瞬間、辺りの空気が凍てついたように凍った。そう、彼はカミサマの上空にあった空気、酸素と水素を氷に変換した。水は意外と重いもので、25mプールを満たす水はおよそ500tを超える。では、空気中の気体を氷にしてしまえば500kgなど優に超えるだろう。彼はこの狭い路地裏で、その容積を確保出来るタイミングを待ったのだ。_____指を鳴らして、クラウドに合図を送る。一瞬空気の酸素が薄くなった気もするが、きっと気のせいだ。氷はすぐさま気体へと戻り、そこに残ったのはぺちゃんこのカミサマだったものだけだ。) (5/14 14:35:02)
Yuri・Annabel>
んー……………? ……うん、( 生憎、武術も剣術も極めていない。強い力があるわけでもない。得意分野は法律に阻まれ所持することが出来ず、持てるのは現状水鉄砲程度。能力は……1度使ってからというもの、少しだけ怖くなって距離をおいていた。撤退するという選択肢は貴方には無いようで、どうするのか、疑問を抱きながら大人しくちょっぴり後ろに下がった。ふわふわの雲、泡洗剤が人になったような少女が不意に現れる。少女の声は聞こえない。けれど幼く、貴方と似た髪色の少女は本当の兄妹のようで。………これが、ディスコード。ぽかーん、と口が開いてしまった。まるで見たことがないわけでもない。自分のディスコードと対面したことがないわけでもない。でも、彼は情報の中にしかいないものだから。これ程間近で見るのは、初めてだった。雲の少女がくふくふ可愛らしく笑って、高い空へと昇っていく。『 わ…………、わー…………!! わーーーーッッ!!? 』1つ、昇っていく少女の美しさに見惚れて 2つ、鋭い貴方の声がまるでヒーローのようで 3つ、突然空中から現れた氷がカミサマを一瞬で踏み潰したものだから。キュウリを見た猫みたいに吃驚して、思わずその場から飛び退いた。驚いた自分の声が氷に反響して返ってくる。路地裏から作られた氷のわりに、透明度は高く、潰れたカミサマの姿がほんの一瞬歪んで見えた。けれどそれも気のせいだったかのように消え失せ、残ったのは冷えた空気とぺちゃんこのカミサマだったもの。『 ほあー……………、すごい、すごいねぇ…、ぺっちゃんこだー………。 』貴方に駆け寄り、潰れたカミサマと貴方の姿を交互に見詰める。体液で浅い水溜まりが出来上がり、それに浸かる姿は見るも無惨。少しは、取り込まれた人々の魂も浮かばれたのだろうか。貴方への感謝と、安らかにの想いを乗せて手を合わせた。) (5/14 15:12:07)
水沫 泡>
「あはは、凄いのは俺じゃなくてクラウドだけどね」(彼は与えられた武器を使ったまでで、実際のところ彼が強いのではなくその武器が強いのだ。しかし褒められると彼は照れくさそうに頬をかいて、へにゃりと笑った。)「俺でも倒せる相手でよかった。今日は2つ分のレポートを書かなきゃだね」(彼も君を真似るように手をあわて、カミサマの前にしゃがみその様子を見る。人の怨嗟を推し固めて形にしたようなそれは、カミサマというより化け物だ。これが"あの子"と同じとは思えない。……これがもし、人型で、話しかけてくる神様だったら。きっと彼には倒せやしないだろう。彼にはそんなに大それた決意も決断力もない。醜い化け物でなければ、倒す相手とも思えない。)「さぁ、そろそろ帰ろう。今日の収穫は3つもある。」「あとアイス買わないと、君も一緒に食べるかい」(犯罪者を倒し、アキカンを見つけ、神様を倒した。彼は3本の指をゆらゆらと振って、少し嬉しそうに笑う。今、自分はヒーローだ。だからあの男も倒せた。きっといつもなら、許して見逃したりしたんだろう。) (5/14 15:33:52)
Yuri・Annabel>
それでもー、すごいんだよー ( 謙遜する貴方にちょっぴり唇を尖らせて、このこのーと肘で突っつく。ちゃあんと嬉しそうだから、それが伝わって嬉しくって、突っつく力は殆んど入っていないに等しかっただろう。喜びはつかの間で、レポートの話をされると途端に重しが掛かる。1つでも嫌なのに、2つと来た。はぁいと答える声は分かりやすく沈んでいた。自分ならどうやってこのカミサマを倒すのか。浮かびそうで浮かばないビジョン。
『 !! アイス………!!!はいっ、はぁーいっ、食べるー…! 』思考の迷路はアイスに釣られて、ひょいと抜け出してしまって。切り替えが早いのは良いことというか、考えが浅はかとでも言おうか。……ともあれ、思考に暗んだ瞳は途端に輝きを増し、腕は立派に伸ばされた。じと目寄りの瞳は一見無気力そうであるのに、アイスへの期待に背伸びをするほどエネルギッシュ。貴方が嬉しそうなことも、うきうきの一因で。ヒーロー…というよりも、小さな子供に似た姿。レポートのことも、難解なカミサマのことも今は忘れて。アイスを食べたらまた思い出す…筈、たぶん、おそらく、もしかしたら。『 グレイスくんはー、なんのアイスが好き?わたしはだねー─────……………… 』 (5/14 15:58:41)
水沫 泡>
(ドン、トンッ、キュ。それは靴底と床が擦れる音と、何かを蹴っては着地する音の連続。埃っぽく暗いこの旧体育倉庫には彼一人。言うなればソロの打楽器奏者であった。楽器は体育倉庫そのものと跳び箱に鉄の棒やマットやらだ。彼は複雑に散りばめられたこれらを使い"パルクールの練習"をしていた。細い足に隠された圧倒的な脚力による跳躍。軽やかで慣れた身のこなし。パーカーをはためかせ彼は飛び回る。よく見れば下は制服ズボンのままで、授業後すぐにここへ来たことがうかがえる。部活やら委員会やらに所属していない彼は着替える手間すら惜しいとそのままここへやって来た。いつだってこんな場所に人はいないが、放課後急いでここへ来る生徒こそ殆どいないだろう。例えば1人っきりで何かを練習したい同士の様な生徒でない限り、この場所に用はないはずなのだ。) (5/17 00:33:26)
音戯 華子>
「フフフン、フフフン、フフフーーン。フンフンフン、フンフーン................!」(鼻唄まじりのどことなく上機嫌そうな、そんな声。)(歩く時の足音でリズムをとりつつ、そこに乗せるように鼻歌が混じりながら彼女の世界を彩る。これは、表現なんかじゃない。ただ、誰かが作り出した情景の、後追いに過ぎない。言うなれば、名著作を黙読しているようなもの。それでも、彼女はこの時間が好きだった。一人で歌を練習するスタジオ、もとい旧体育倉庫に向かう途中の、なんとも言えない高揚感。呪文のような言葉を羅列し続ける、あくびを噛み殺す授業が終われば。放課後のその時間は、彼女にとって至福の時なのだから、こうして好きなメロディを口ずさまずにはいられないんだ。)「フンフンフン、フンフンフーーーン!フンフンフン、もういっかーーーーい!」(思わず、なんかノッて来ちゃって。歌詞を口ずさみながら、旧体育倉庫の扉を開けた。)(ドンッ、トンッ、キュッ、トトトトッスタン、ドドッ、タタッ!)「.......................。」(何か、いる。)(そりゃ、毎日ここに来るわけじゃないけれど。普段は音楽室で練習してる、けど。でも、まさか『髪の毛ロング、暑くねの歌』を盗み聞きされるなんて思わなかったから、だから。最近はここに来ていたっていうのに。)(目付きの悪い彼女は、ぐいっと眉に皺を寄せて、貴方を見つめる。誰だろう、この人。なんて、そんな興味本位。そんなつもりはに一切ないのに、まるで、睨みつけてるみたいになっちゃうね。) (5/17 00:58:45)
水沫 泡>
(ガツン、金属が揺れる激しい音が響く。彼は跳び箱の上から1層高く跳び、バスケットゴールに手をかけた。ふわりと身体が浮き、高い位置から体育倉庫を見下ろす。……そしてようやく、君に気がついた。)「なっ………」(こちらをじっと睨みつけた鋭い瞳と視線が交差する。まさか人に見られているとは思わなかった動揺。人がここに来たということへの驚き。睨まれている……もしかして怒ってる?なんていう焦り。そして何より、"着地点に君がいる。"このままぶつかれば怪我をさせてしまうかもしれない。どうにかして避けなければと辺り視線を走らせて、じわりと手に汗が滲む。…ずるり。一度に沢山のことを考え過ぎたんだろう。集中が途切れたんだろう。僅かに彼の体勢が崩れた。_______あぁ、まずい。これは……落ちる。)(彼はそのまま君の元へと降りてくる。いや、君の目の前に落ちてくる。前のめりになった勢いを殺しきれるわけもないく、彼は君にぶつかってしまうことだろう。そうなれば、そのままふたり共々床へと転がる………はずだったのだが、君の背後にあるのはぷにょぷにょとしたなんだかよく分からない水のクッションのようなものだった。そのクッションが全ての衝撃を吸収してくるはずだ。それより気にすべきことは、彼がまるで1人の女子生徒を押し倒すように倒れ込んでしまったことである。誰もいない体育倉庫で異性を押し倒すなどあってはらない無いこと。だめ。アウト。彼の頭の中は今"やばい、終わった"でいっぱいである。知り合いならまだしも、知らない子だし。彼はきっとこの時点で君へ土下座して謝るところまで決めている。)「……いや、違くて。ほんとうに……ごめん」 (5/17 01:17:39)
水沫 泡>
(静寂が歩みを進めるように、時を刻む音が部屋に響いている。柔らかな陽の差す夕方。彼は人気のない図書館で机に向かい合っていた。トン、トンとペンで軽く机を叩き、頭をひねってたまに体勢を変えてはまた頭をひねっている。こうして何分の時間が過ぎたことだろうか、彼がここにやって来たのは30分前。目の前に広がるのは未だ白紙のプリントだった。)(プリントには、改めてヒーローとは如何なるものかを問いただすような文章が書かれていた。彼はそれに向き合いうんうんと唸っていたわけだ。先日、我々は前正式な任務を受け依頼を遂行した。首謀者(被害者)であった彼らがどうなったのかはただの生徒である自分が知るはずもないのだけれど、確かにあの二人を救った。………救ったのだと、そう思いたい。)「〜〜〜……どうしてヒーローを志したのか。ねぇ」(彼は息を止めて、ぐっ……と考える。………しかし、何も思いつかなかったのだろう。その後脱力したように大きく息を吐き出した。たかが一課題、こんなの適当な綺麗事を書いておけばいいのだろうけど彼にはそうは出来なかった。授業中にさらっと書き上げてしまう人もいれば、自分と同じように悩む人もいた。ヒーローに対する想いは人それぞれだ。)(彼にはずっと考えていることがある。いつだってその事をグルグルと考えてしまい、思考がまとまらない事だってある。今だって、)「ねぇ、どう思う?……って、エレナはちゃんと理由あるもんなぁ」(彼はぐでっと身体を前のめりにして正面にいるあなたに話しかけた。"一緒に課題に付き合って欲しい"そう誘ったのは彼だった。こんなこと、ハチロクに聞いても過程をすっとばした答えしか得られなさそうだし、彼にとって頼れそうなのは君くらいだったのだ。) (5/19 19:07:37)
エレナ・ドラグノフ>
何故ヒーローを志したのか。当たり障りのない回答をしてしまった自分には、それを悩む彼がずっと正直者に見えた。課題を手伝うことにはしたものの、実際これは本人が考えるべきことだ。こうやって済ませればいいんじゃないか?なんて野暮な入れ知恵はせずに、質問があるまでロボットのように沈黙する時間が流れていた。……で。『あ、ああ。いきなりだな。』少し寝ていたのは秘密。『ヒーローをめざす理由、で書けないなら、こんなことをするやつは自分にとってヒーローじゃない、と思う要素をまず並べたらどうだ。時に、こうなりたい、よりもこうはなりたくない、と口にする方がずっと具体的なこともある。』ある哲学者は昔こう言ったとさ、死が物事の指標だと。これがなければ死ぬ、このためなら死ねる、という物が人生から様々な欲求や風評という雑音を取り払ってくれると。『ヒーローにも色々ある。金の為だっていいだろうし、スリルが好きだから、でもいい。生き物を殺すのが好きなだけのやつでも、場所や舞台を変えたら英雄になることもあるんだから、清廉潔白が条件かと言うと微妙だ。』ヒーローとして恥じない仕事さえしていたら、そのモチベーションははっきり言ってどうでもいい。そんな風に、ヒーローが居なくてはすぐにも命の危機に瀕する無力な市民は思うのも道理だ。かっこよくなくても良い、戦ってくれる存在がその場には必要なのだから。『そういう、色んな条件がある中で___貴様は、どんなヒーローにはなりたくない?』 (5/19 19:37:03)
水沫 泡>
『こうなりたい、よりもこうはなりたくない、と口にする方がずっと具体的なこともある。』「……なるほど…?」あまり頭の良くない彼にあなたの言葉はよく響いた。一方通行に"ヒーローとは何か"を考えていた彼は、新たな視点を与えられてパチクリと目を見開く。その目でたくさんのことを映し出そうとする。『___貴様は、どんなヒーローにはなりたくない?』「………人の気持ちを、理解しない。ヒーロー。」「例えごまんと人を殺したやつでも、理由も聞かずに殺してしまって、平和を気どるそんな……そんな奴には、なりたくないなぁ」彼はボヤくようにそう言った。それはあなたに与えられた問への解にも思えたし、彼自身に言い聞かせているようにも思えた。へにゃりと机に頬をつけたまま、彼はプリントを裏返しサラサラとメモをしていく。筆圧のない薄く小さい文字が羅列される。「あと。……何も言わずに死んでいくヒーロー。」手が止まる。それはいったい誰のことを指していたのだろう。一瞬、彼自身にもわからず戸惑ったような顔をした。しかし、すぐにメモを取り始めればポツポツと続けた。「俺らには何かを残そうとするくせに、自分の全部を投げ出すヒーロー。残された人の事を考えてないみたいで、なんか。悲しい」(微睡むようなこの時間の中、彼は眠気に襲われているのかそれとも気分が落ち込んでいるのか。声がやや丸く萎れていた。しかし、そんな感情を拭うようにのそりと起き上がれば、硝子の瞳に君の綺麗な青を映し出す。)「エレナは?どんなヒーローに"なりたくない?"」(君はとっくに課題を終えただろう。それはつまり、ヒーローを志した理由も、理想のヒーロー像も、その逆も、しっかりと君の心に根付いているということだ。少し眠そうな目をしているのは、きっと彼にはバレてしまうだろう。彼は優しく微笑みかけて首を傾げた。彼はただ興味があったのだ。忘れもしない土砂降りのあの日に、自分の中にあった強固な心の壁を柔らかく溶かしてくれた君の信念が如何なるものなのか。)>エレナちゃ (5/19 19:57:38)
エレナ・ドラグノフ>
『確かに、そんなやつはダメだ。何も言わないで居なくなるっていうのが、どれだけ大変なのかだって全然考えてない。残してくれたものばっかりあっても、困るって考えつかないんだろうな。』自分の時もそうだったから、それだけは同意できた。けれど、彼が元気なさげに答えたのに対して、私は仕方ない奴だからなあ、と言う意味で答えた。ヒーローというから何やらすごい人に見えるが、中身は人間だ。ちゃらんぽらんで、無茶苦茶で、その癖寂しがり屋で、子供っぽくて、ニュースなんかにヒーローの活躍が映る度に、アレは私の古い友達なんだなんて、毎回毎回騒いでいたのが私の母(ヒーロー)だ。だから、ふらっと居なくなったのだって、そんなわがままの延長線な気がして____『私、は……』流れとしては自然だった。自分にとって、一番の失点はとうに理解している『弱いヒーローにだけはなりたくない。負けるのも嫌だし、傷つくのも嫌だ。負けたら誰も救えないし、自分が傷を負ったら誰かを助けにも行けない。』それは弱さ。『そしてそれ以上に___弱いのを言い訳に諦めたくない。弱いから逃げていいなんて、自分にだけはもう ""二度と""" 言いたくないんだ。』弱いから仕方ないなんて、そんな甘えたような諦めが、正しいなんて思えなかったから____『誰かを助けるだとか、正義だとか。いくら着飾っても、敵がいる以上最後にものを言うのは力だ。』 (5/19 20:16:37)
水沫 泡>
「やっぱりエレナは強いなぁ」(君の回答を聞いて、彼はどこか安心したような顔で笑うのだった。君がいれば大丈夫な気がする。君が来てくれれば助かる気がする。それはヒーローにとって大切な確かな安心感だと思った。きっと君は強さという形でヒーローを追い求め、既にそこへたどり着こうとしている。彼は、お粗末なメモの書かれたプリントに再び視線を落とし落書きを始めた。)「でも、弱さってそんなに悪いことじゃないと思うよ。」「力不足で手が届かない悔しさは、俺も少し分かるんだ。……でも、初めから強かった人ってきっと、弱い人の気持ちが分からないんだよ。」そこに描かれるのは、丸っこくて拙いウサギのイラストだ。それを書き終わると、次は周りに草やら花やらを書き足していく。「弱さっていうのは一種の強さだよ、きっと。」「……後から強くなったところで、昔の嫌な事が消えるわけじゃないけどね」(彼はあなたに同意するよう言葉を続けるが、どこか違うふうにも考えていた。彼は弱さを許容している。自分がそんなに強いわけが無いんだ。昔から傍にいたハチロク程ヒーローが好きな訳でもないし、君みたいに強い力がある訳でもない。あの日逃げることしか出来なかった自分は無力だったし、________。けれど、その無力感で誰かを救えると思っている。弱くても良いんだと、許してくれる人がいれば、きっと救われることもあるだろう。)>エレナちゃん (5/19 20:36:27)
エレナ・ドラグノフ>
『……そんな』____弱くても、いい? 何か冷たい響きが、胸に走った。『そんな悔しさ、そんな気持ち、私は知らなくても良かった。』弱いからこそ誰かを理解できる。弱いからこそ何か分かってあげられる。納得がいかなかった。だって、救っておいて """誰かが救わなくてはいけない人に""" あとから救ってくれなんて言うのはあんまりに_____馬鹿みたいじゃないか。なんて、建前の話は出来るかもしれない。でも、この痛みはそんなものよりずっと深い場所から来る。だから、そんな風な言い訳は口から出なかった。唇を噛んで俯く。可愛らしいウサギの絵が、なんだか自分を馬鹿にして笑っているように見えた。『いや、私の話はいいんだ。今日は課題に付き合うはずだったよな。……終わりそうなのか。』それを振り払うように、こんな話はいいから、大丈夫だからと務めて明るく笑った。それから焦って課題の文面を見る。_____なぜヒーローを志したのか。 1番見やすいところにある文章が、いつも簡単に書いてしまう題名が、今日は酷く重苦しいように見えている。 (5/19 20:54:45)
水沫 泡>
「うん、おかげさまで」(課題は順調だ。君の一言が彼に沢山の影響を与えてくれたから。彼はペラリとプリントを裏返して、空欄に回答を書いていく。""世界がどうしようも無くなった時にみんなを救うため""と。他にも色々ある。ヒーローを好きになるためとか、世界を好きになるためとか。でも、君を見ていて彼は強くこう思ったのだ。太陽のない7日間、あの絶望の7日間はきっと、世界がどうしようも無くなった時だったのだと思う。そうなってしまった時に、もし君みたいな強く勇敢で気高いヒーローが倒れてしまいそうな時に。次は自分がと何故か足が前に出たから、多分ここに来てしまったんだと思う。)「もし、もしも。君が何かしらの理由で傷つき折れそうになってしまった時に。君のことは誰が救ってくれるの?君より強い人?それとも君自身?」(『こんな気持ち知らなくてよかった。』そう言われると、もしかしたら今自分はとてつもなく酷いことをしているのかもしれないなと思った。どうしてこんなことを君に聞いているのかは分からなかったけど、どうしてもそのままは良くないと思った。これは完全に彼のエゴだ。……それから、君が考えている間に、何かを答える前に彼は言うだろう)「僕は君より弱いけど、君のことも救うよ」(できるか分からないどね、と照れ隠しに付け足してはにかんで。) (5/19 21:12:00)
エレナ・ドラグノフ>
『……私、は。私は……助けられなくていい。一番最後、自分で、助かればいいんだ。』そんな暖かい言葉は自分には有り余るようなもので、泣きそうな顔を作りながらかぶりを振った。君を救う。そんなことを言われたのは、始めて____ではなかった。しかしそこを、頼っちゃいけない、甘えちゃいけない、そうしたストイックさの中で爪を研ぎ牙を磨き上げた。そうして誰よりも強くなれた気がして、そういう訳ではないと知る度により強くなろうとした。この肉体は、言わば呪いの輝石(ホープダイヤモンド)。最強の力を手に入れた者は、誰を救い誰と戦うのか。 強いヒーローでありたいというのは、同時により強い悪を求める矛盾に他ならないのではないか『私は、小学校の頃に友達を死なせた。』____あの時の、話をした。熱を出して学校を休んだ時に、誰もいない家に強盗が入ったこと。子供部屋には用がなかったのか自分は無事だったこと。しかし、宿題を届けに来た自分の友達が鉢合わせになり襲われたこと。その子が死んでいくまでの間、扉のすぐ向こうで動けなかったこと。熱で酩酊した頭で穂坂の家に転がりこんで助けて貰ったこと。そんなことをしている間に……自分の友達が苦しみ抜いて死んだこと。それを理解していながら、報復が怖くて中々通報を頼めなかったから、今も犯人はどこかにいること。それらをみんな話して_______『私は、あの日私の友達を、見捨てたんだ。だから、助けて貰えるような人間じゃない……し。』それを呪うように、自傷行為にも等しいくらい強くなった。『その分は、他の人に分けてやってくれ_____』弱音だった。拒絶しきれなかったのは、タダの私の______ (5/19 21:37:32)
水沫 泡>
「だめだよ」(彼はカタンと立ち上がって、前のめりになった。その顔は至って真面目で、真剣だった。)「あぁ、いや……。ダメなんかじゃない。君は強い、俺の助けがいらないくらい強い。」「でも、その強さの理由は……!君が昔"弱かったから"。」(それから彼は慌てて否定の言葉を訂正した。君が強いのが、弱かったのがダメなんじゃない。)「俺は別に救われなくていいと思ってた。俺がこの無力感で誰かを救えたらいいと思ってた。」(でも君はあの日、踏み込んできた。)「そんなのを救ったのが君なんだ、君は俺のヒーローだよ」(彼は恥ずかしそうに少し頬を染めながら君に訴える。ダメなんだ、絶対に、絶対に_______)「君が救われないなんて"ダメなんだ"。」「俺を救った君が、君以外の誰にも救われないなんて俺が許せない」(いつか自分も、自分で自分を救えばいいと思っていたから。そんなことは無いと手を差し伸べたのは君だったから。)「君がかつての弱さを許し受け入れられないのなら、代わりに僕が受け止める。いつか、君が人の弱さを許せるようになった時に返すから」(俺が君の強さと弱さを許容する。)「君が君を救えるまで、俺がエレナを助けてみせる。」(それは強き英雄バーバ・ヤーガではなく。1人の人間エレナ・ドラグノフを。)(………そうしてようやく、彼はこの静かな図書館で大きな声を出してしまったことに気がついた。幸い周囲に生徒は……居ないことにしよう。そうであって欲しい。頼むから。彼は君から恥ずかしそうに顔を逸らしてそっと着席すれば、終えた課題のプリントをファイルへとしまいこんだ。) (5/19 21:54:56)
エレナ・ドラグノフ>
『……貴様なら、分かってくれると思っていた』ダメだよ、と言われた。助けられることが出来ない人、助けられなくてもいいやという人。という共通項があったからこそ、あの時熱くなったのに。それが共通項なんかじゃなく、全然違う価値観なんだと___思い知るくらいなら、知らなければ良かった。続く言葉が耳に入らない。風や木の葉の揺れ、時計の音、当たり前にありすぎていちいち気にしないものであるかのように通り過ぎていって___君は俺のヒーローだよ 『え____』そこで、音を取り戻した。私は助けられなくてもいいや、なんて思わない。むしろ、助けられたらダメで、助けられなかったからこそ、償うためにたくさんを助けなきゃダメで____頭に浮かぶ反論。それはある種の狂気と言っていい。それは随分にしつこく、随分に面倒かもしれない。けれど______"""もう、いいんじゃないか""" と、言葉と裏腹に語るようだった。ああ、きっと、辛い思いや痛い思いはこのために……。人に頼ることを、許していいんだよと。呪いは呪いのまま、しかし痛みを代わりに引き受けていく。失敗を、過去を呪い強くなるのは間違っていると思えない。けれども____だからって、誰かを救いたい人の気持ちまで見て見ぬふりをしていいのか。『随分、威勢がいいが____私は、そうヤワじゃない。貴様は弱っちいし、抱えて持ち運べるし、私の好みでもない。いい先輩というにはなんか頼りないし、思いっきりパンチしたら壊れそうだ_____』ふ、と笑い。それから、私より弱っちい癖に。なんて、珍しく憎まれ口を叩いた。『だが、言うことは随分といい男みたいだ。そこまで大層なことを言ったからには____責任が、伴うと思うんだが?』それは照れくさくて、そして_______満ち足りたような、はにかんだ笑顔だった (5/19 22:21:46)
水沫 泡>
「んなっ、そりゃ……俺は、君より弱いし、小さいし、運ばれるけど……!?」(彼は白い肌を赤くして言い返そうとして、やめた。全くもってその通りだったからだ。今でも彼はどこかで救われなくていいと思ってる。でも、道はそれだけじゃないのだと、君が手を取るかは分からないけれど、差し伸べることはきっと間違いじゃないと思った。)『____責任が、伴うと思うんだが?』「せきにっ……それは、ちゃんと……」(君の言う責任が、何がどう言う意味のソレなのか分からなくて彼は頭を混乱させた。ちゃんと守れということか、救いきって見せろということか、それとも……???んなわけあるかおばか。なんて頭の中でツッコミを入れてはいたが、きっと彼は""責任を取れない""。なぜならそれは、そう遠くないうちに彼に死の雨が降り注ぐことはもう決まっているからだ。それを何となく感じ取っていて、きっと彼はハッキリとは返事をできない。)(しかし、まるで責任を取ってみせると。肯定するように君の笑顔につられて彼は目を細めて笑った。君の前で、あの日のように誤魔化すみたいに笑うことはもうないだろう。彼は知らず知らずのうちに君に背を預けてしまっているから。だから、花のように笑う君がもし、少しでも寄りかかってくれるのなら、1人のヒーローとしてきっと支えてみせるから。) (5/19 22:40:11)
エレナ・ドラグノフ>
『……ちゃんと!?』自分で言っておいて、顔が熱い。まだ 「ボクにはそういうのは……」と言われた方が____多分その後すぐさまにぶん殴るのだとしても_____自分の精神はかなりマシな事態だった。ちゃんと。ちゃんと私に責任をとる。というのはそれは_____! そういう意味で言ったのではなく、本気?と問い直したつもりだったんだ。だが、今こんな空気の中言ったら……私は誰かに殺されそうな気がしている。オムニア・ピンクサファイアは失敗を呪うはずなのに、私は最近結構恥ずかしい失敗ばかり繰り返してはいないだろうか_____?『え、と_____』間抜けな声が出た。彼はなんで、こんなにも嬉しそうで、そして寂しい笑い顔を作るんだろう。そんなことを思いながら時が停止した。おそらく一秒にも満たない静止の時間。図書館を背景に微笑んだ彼の姿を、きっと私はどんな地獄に落ちても忘れはしないだろう____『その意気はいい。だが、身に余るが私を慕う人間も多く、引く手は数多だからな。』歯が浮くようなことを前段にする。普段は力技のくせに、なんだってこういう時には真っ正直に「それどういう意味?」とか聞けないのだろうか。たまにあの、デリカシーが皆無の八六(ばかもの)が羨ましくもなる『______か、数ある候補の、上の方に加えておいてやろう。』『なんの、かは聞くな馬鹿者……貴様が連想した、ソレだ。』もう、どうにでもなりやがれ_______! 〆 (5/19 22:59:07)
トランス・オーウィ>
「(水泳は全身を鍛えるのに最も最適なスポーツ、と言えよう。ちらちらと夏の陽光を弾き返し、波が水面に模様を作る。今日は珍しい晴天であった。)はっ(体のバランスは格闘技において重要な要素の1つだ。頭の前で揃えた両腕を大きく後ろへと一気にかき顔を上げれば、四方八方から襲いかかる水の重みを感じながらも息を吐く。回す腕に跳ねる水滴が少し顔にかかった。)すぅっ(そして上体が重力に負ける前に息を肺へと一気に送り込みながら、両腕を戻しつつ頭はまた沈む。同じく揃えられた両脚が、水中で彼の体を操るのだ。)はっ(浮き上がる力を利用し顔を上げれば、また同じことを繰り返す。)すぅっ(バタフライ。最も運動量の多い泳ぎ方、それを50m、目標タイムは43秒。何度も何度も、体力と根性が尽きるまで何周もするのが、彼のトレーニングコースだ。あくまで競技のためではないということもありセンスはないが、長年積み重ねてきた泳ぎは、ある意味で洗練されているだろう。鼻から息を吹きながら水中で前転、そしてすぐ半周錐揉み回転をしながら壁を蹴って水中をロケットのように突き進んで。)」「ッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ………そろそろ、休憩かな。(今日は休日。水泳は著しく体力を消耗するために、朝のうちである方が全てを出しやすい。だから、水泳をするのは休日のみ、それも土曜日の朝と決めている。)あぁ…ハァッ…や、ウタくん。フウゥーーーッ………また、1週間ぶり。今の、ハァ、結構いい感じだったでしょ。どう?(変身はしていないが、ベルトに時計は挿さっている。軍手は、ストップウォッチを正確に止めていた。…タイムは、43.11。)でもやっぱり、壁はあるなあ…(十分早い程度ではあるが、目標タイムの更新、には至らず、色々と思案しながら43.11を眺めていた。)」 (5/23 21:46:42)
水沫 泡>
(ジリジリと肌を焼く日差しに反射した煌めきが眩しい。プールサイド、彼は飛び込み台の傍に裸足で腰掛けていた。彼の目線の先にはプールいっぱいに敷き詰められた宝石の中を、激しく飛ぶように泳ぐ人がいる。<バタフライ>文字通り飛翔するようなその泳ぎ方は芸術にすら近いと思えた。両腕をあげる度に弧を描く水飛沫達が、彼に翼を与えたように輝く。トランス・オーウィ、本名は八雲 錐だと教えてくれた。彼が毎週土曜の朝にここへ来る事を知ったのは、それなりに前の事だ。山ほどの水が貯められたプールをどうやらクラウドが気に入ったようで、ディスコードを与えられて以降彼はよくここへ遊びに来ていた。かと言って泳ぐわけでも無ければ少し能力を試すくらいなのだが……。毎日のようにプールサイドへ散歩をしに来ていたせいで君と出会った。バシャバシャと激しい音を立てて泳ぐ君を見て、最初の頃眺めているだけだった。しかし一生懸命に練習する君を見て彼も泳ぎに興味を持つと同時に、声をかけたのだ。その頃はもっと不格好な泳ぎだった気がする。今ではフォームも洗練されタイムも縮まっていた。(目の前でカチリと止められたタイマーを彼は覗き込む。そのタイムに"おぉ"なんて感嘆をもらせば、水の中から顔を出した君に笑いかけた。)「うん、すごく良かった。泳ぎも綺麗で、何だかタイムが安定してきたんじゃない?」(陸と水中ではあるが、タイムを競うという点では彼も共感できる部分があるのだろう。0.1秒の壁がとてつもなく高く、分厚いということを彼らよく知っている。その一瞬のために、こうして鍛錬を積み上げていくことがどれだけ大変かもよく知っている。)「あ、ほら。水分補給して?君ずっと泳ぎっぱなしだから」(そう言って側まで持ってきたスポーツドリンクの容器を君に手渡す。冷たい水に冷やされるせいで汗に気がつけないのは水泳の危ないところだ。練習に熱中する君に、彼は少し休むようにと促すだろう。) (5/23 22:14:45)
トランス・オーウィ>
「(水中から陸に上がれば、そのストイックに計画的に鍛え上げられた肉体が露になる。水に濡れる白い肌と、その下の細く鋭い筋肉だ。プールサイドに両手を突き出して、浮力に支えられる体を勢いのまま持ち上げ、左右ずつ足も上げる。その度、腕の一筋がねじられ膨らみ力量を示した。腹筋あたりも連動するだろう。)別に水泳選手目指してるわけでもないけど、でもやっぱり目標達成できないとちょっとがっかりしちゃうな~。泳ぎ自体は悪くないってことだよね、ウタくんから見ても。(最初と比べれば、本当ずいぶんとマシになったものである。彼はカナヅチだった。泳ごうとしても沈んでいくし、浮けるようになっても呼吸が難しくてなかなかう_まく行かなかった。)いっそ、ちょっと目標の方向性変えてみるかなあ。水の流れを掴む!みたいな。やってるつもりなんだけどね。(君が見に来た頃にははちゃめちゃにひどいということはなかっただろう。⁵そこからの成長は遅くはなくむしろ早かったが、駆け上がりすぎたのだろうか。『43秒』は限界を示していた。)「とりあえず、そうだね。飲まないと。(汗が洗い流され続け、楽しかったと教室に戻ると体は眠くなる。水泳の消耗は侮れないものだ。)ありがと。(ドリンクを受け取って、口に含み、流れた汗の水分と塩分をチャージした。)特に最近はだけど、倒れかけるの結構多くなってきてるし気を付けないとなあ。(夏。侮れないものだ、5月とて湿気にじめじめと暑く、これからまたどんどんと順当に暑さが上がってくるだろう。が何より、ヒーロー活動によるものもある。)やっぱりどこかでリフレッシュの時間とらないといけないのかな…(勉学、ヒーロー鍛練。両立するのはなかなか難しい。立てた3本指を長目に見ながら、未だ思案を続けていた。)」 (5/23 23:05:45)
水沫 泡>
「はは、俺は水泳さっぱり分からないけどね。でもオーウィ君の泳ぎはすごく綺麗だなって思うよ。実際タイムも早いし、筋肉もメキメキついていってるし」(彼は君のことを任務で知った。だからだろう、後から知った名前ではなくついついヒーロー名の方で呼んでしまう。彼は青空にも負けないカラリとした笑顔を浮かべると、君の身体つきを見ていいなぁ、なんて口にした。やっぱり競技によって筋肉の付き方は変わってくる。細身で筋肉の付きにくい自分と比べ、君はそれこそヒーローらしくなってきた。それは体つきだけでなく心構えや鍛錬にも現れ始めていて、なんとなくただの学生から遠ざかっていくような、自分自身との差が開いていくような気もして寂しい。風が吹けばひんやりとした塩素の香りが頬を撫でる。その独特の匂いがどこか心地よくて、彼は飛び回るクラウドを遠目に微笑む。)「ほんとに、大変だよ。みんながヒーロー、ヒーローって待ってる。俺たちは平和のための象徴みたいなもんなんだろうね」(勉強、鍛錬。彼らが背負うのはそれだけじゃない。ヒーローとしての責任感、重圧、プレッシャー。それから人の命だ。一般人にはない特別な力を与えられたのが、どうしてこんなに学生だったんだろうと今でも考えることがある。)「俺はここに来るのがリフレッシュ…?になってるのかな。オーウィ君は何か気分転換になることとか、場所とか……あったりする?」(彼は足先で水を遊ばせる。ひんやりとした感触が心地よい。特にわけもなく君に問いかけるのは、ただの雑談だ。こうやってのんびりお話する時間も、きっとリフレッシュの内だ。) (5/23 23:22:01)
トランス・オーウィ>
「(『オーウィ君』。と呼ばれると、手を振るのは彼ではなく時計を渡した2つの手の、持たない方だ。)二人ならもっと早いよ。その分疲れるのも早いけどね。(君の呼び名に反応するのは二人。笑いながら、『オーウィ』の手振りと同時に。まあ、二人でトランス・オーウィだ。一心同体、そう呼ばれて二人がかりで応じるのも悪くはない。きっとその、呼び名を受け入れるのも、一心同体を受け入れるのも、『生徒』と『ヒーロー』を二分にするものなのだろうが。)まあ、週に一回だとここまで来るのにも結構かかったけどね。(努力は呪いのようなものだ。本人には喜ぶべきことであり、同時に他者から遠ざかることでもある。恐るべき努力が生むものは、大衆からの孤独な強さなのだろう。)他のトレーニングもしてる分ちょっとは早かったのかもしれないけど…(彼はオーウィとの絆を深め、ヒーローである自らを愛し、だからこそ君は哀しむのだろう。)死ぬ気で這い上がってきたかいがあった。(努力とは、呪いのようなものだ。)」「…でも、そうだね。学生の身には厳しいことばかりだ。みんながみんな、ヒーローになる気だった訳じゃない。(しかし、呪いをより顕著にする任務と力に努力は上塗りされている。)かく言う僕も、1日中鍛えるの休んじゃうときがあるくらいだし。(努力するよりも、ある意味より鍛えられることではあるが。)休んでるときは、リフレッシュ…とは、またちょっと違うかもしれないけど、ためといた特撮一気に見てるんだ。(演出を愛す彼は憧れたものになり、そうあり続けるに全てを使っている。特撮自体は元より好んで見ていたが。)最近は、誰かと話すのも楽しいなって思えてきたよ。(彼は孤独だ。だが何かを愛す心がある。…そう、それでも彼は、君と同じ『ヒト』だった。)」 (5/25 17:03:11)
水沫 泡>
「特撮かぁ、俺も小さい頃よく見てたな」(特撮を溜め込んで、空いた時間に一気見する。すごく君らしいなと思えて何故か笑ってしまった。自分と同じ学生なのに、ディスコードとの相性も、ヒーローとしての素質も、こうやって努力を重ねることができるのも。君はとても"ヒーローに向いている"と思った。同じ学生、同じヒト、同じヒーローを目指す者なのに。自分の周りの人はみんなヒーローらしい。ハチロク、エレナ、それからオーウィ君。ヒーローに焦がれ、ヒーローになりたいと望み、なるべくしてここに立っている。そんな人達ばかりが自分の周りにはいる気がする。自分は君たちと肩を並べて歩いているのではなく、その大きな背中を懸命に追いかけているような気分でいる。遠くから眩しい君たちを眺めて、羨ましいと思っている。そんな自分がヒーローには向いていないと、かれはちょっと、いやかなり悩んでいるのかもしれない。)「こんなこと急に聞くのはおかしいと思うんだけどさ、」(彼は君の話を聞いて一息置いてから、改まったように君に問いかけた)「オーウィ君はヒーローとして死んでもいい……みたいな覚悟ってある?」(それはすごくデリケートな質問で、彼は真剣な声でそう聞いた後にヘラりと笑い続ける)「……ほら、特撮とかアニメとかだと、ヒーローって負けちゃう人もいくらかいるわけで。」「もし、自分が主人公みたいにはなれなくて死んでしまうとしたら、」「オーウィ君は、それでもヒーローを続ける?」(例え話だよ、そんな冗談を交えたが_______それは予感だった。自分がヒーローらしい性格や素質を持っていないとか、周りみたいにすごく芯があるだとか、そういう悩みもあるけれど。これは、自分がいつかヒーローになる前に死んでしまうのではないかという予感だった。言いようのない不安が、霞のように目の前を覆っている。それを君なら、どう感じるか。少し気になったんだ) (5/25 17:21:28)
トランス・オーウィ>
「…今見てみても、面白いんじゃないかな。特撮。(君の質問を答えるより先に、彼は語った。)子供の頃は気づけないけどさ。日曜朝にも人は死ぬんだ。(日曜の朝、最後の休日。遊びつくそうとする人もいれば家で転がっていたい人もいるだろう。テレビをつければ、演技で死亡する『キャラクター』の姿や死者を示すニュースが流れ出す。)いつのまにか、いなくなってるんだ。子供の目だとそう映るけど。(両親が『ニュースに取り上げられた』のは日曜朝ではなかったが、ヒーローというものが呆気なく消えてなくなったあの日は、『憧れた人』が、『守りたかった人』が消えた日だ。何もかもがどうでもよくなるくらい、痛んだ。)死んでしまったんだな。悲しいなあって、大人になる度に命が消えることの悲しさがわかってくるから。(『だからヒーローになった。』)ヒーローたちの感情がわかってくるから。(なぜ守るのか?なぜ戦うのか?自分が、誰かが、悲しんでほしくない。それがわかってしまった。)…『強くてかっこいい』。っていうのは変わんないけど、姿よりも心が好きになるんだ。(彼が憧れるのは、多くの死を危険から守るため命を張るヒーローだった。)」「…僕はきっと、結局は死んででも守りたくなっちゃうと思う。(答えた。)もちろん、できる限りのことはするよ。僕が死ぬのを悲しんじゃう、心優しい人だっているだろうし。(17歳、まだまだ若いが、その命を投げ捨てられるほど。否、投げ捨てねば気が済まないほどに彼は、悲しみを嫌う。)僕はするよ。そんなヒーロー。(だが。)…ねえ、君はなんでこんな質問するの?(君がむやみやたらに人を傷つける可能性があってでも、好奇心のままに説明する人じゃないのは知っている。付き合いは短くないもの。)もしも参考にしようって思ってるのなら。君が僕みたいである必要なんてないよ。(彼は君の質問に疑問も嫌悪も抱かず、1つ、彼なりの結論を伝えた。)逃げたっていいんだし。(伝えただけだ。)…僕には別に逃げた人を恨む道理もない。それが当たり前のことだと思えるんだ。(彼はヒーローにならなければいけなかった。ヒーローになりたい、という真っ直ぐな目的ではない。段階を踏み越えてでも、ならなければいけなかったのだ。)」「そのために僕が。僕たちがいるんだから。(その振る舞いを教えてくれる人なんて、今やほとんどいない。それでも死にかけながら戦い続ける、その方がおかしくて、彼は自分がおかしくていいと思いきっている。)…なりたい自分になるのが、本当は一番のはずだ。(君の憧れはどこにある?あっちもこっちもわからないのだからにっちもさっちもいくまい。)君はどうなりたい?今すぐにとは言わないから。ちょっと考えみてよ。(君がどうあるべきかは、君に、ゆっくりと委ねた。)」 (5/25 18:26:27)
水沫 泡>
『日曜朝にも人は死ぬんだ。』(君の言葉になにか気が付かされたように、遠くを見ていた彼は君の方を見た。死は思ったよりも近くて、生きることのそばに居て、楽しいことと隣り合わせで。いつ訪れたっておかしくないそれは、神様のイタズラでその時が決まってしまう。世界のどこかで今も人が死んでいる。それが単に大切な人でなかっと言うだけで。毎日誰かが死んで、いつの間にかいなくなってる。君が言ったことはどれも当たり前だった。だったのに、何故かその言葉は彼を突き刺して離さなかった。君はその一つ一つをすくい上げて、あわよくば救おうとするヒーローの心に惹かれて、そんなヒーローになろうとしている。君ならきっと、赤の他人だって命懸けで守るだろうし、命を犠牲にしても平和を掴もうとするだろう。そんなヒーローになるんだろう。"あの日"の彼らみたいになるんだろう。___じゃあ、……じゃあ、君みたいなヒーローのことを。いったい誰が救ってくれるのだろうか。誰が弔ってくれるのだろう。ヒーローよ、平和をありがとうと、そう称えて。いったい何人の人がその死を悲しんでくれるんだろう。花をたむけるのは、墓の前で泣いてくれるのは。いったい、_____「俺は、逃げて、逃げて、……ここに来た。」「命をかけても誰かを救えてしまう人が理解できなかったんだ……」(ヒーローも。母さんも。みんな命をかけてしまった。彼はきっと、君と同じように、そんな存在に焦がれていた。)「俺の大切な人達は、みんなヒーローみたいにかっこいいんだ。そうやって、命を燃やすみたいに人を救う。」「……なのにみんな、燃えてることに気が付かないんだ。傷ついたり、もしかしたら死んでしまうかもしれない事とか」(ぽつ、ぽつと、まるで小雨が振るように壁は言葉をこぼしていった。天気は快晴。なのに彼の言葉は曇り空。)「俺は……世界か、友達かっていわれたら、多分友達を選んじゃうような弱い人だよ」「でも、だから……俺は、なれるなら。
「ヒーローを救うヒーローになりたい。」
(逃げたって良い、君のその言葉は優しかったが、残酷だった。彼はそれを聞いて、""あぁ、逃げたくないんだな""なんて気がついてしまったから。世界よりも、自分よりも、大切な人を友達を、多分彼は選べてしまう。) (5/25 18:50:36)
トランス・オーウィ>
「(彼は小さな一言で返した。今日は汗ばむ暑い日だ。白く遠く遠くへ、家やらビルやらの地平線に地続いた大きな夏雲が浮かぶ青い空に、太陽も頂点まで登っていて、暗く沈むにはまだまだ早い。君の言葉を迎え入れるにはいい日だった。)そっか。(突然の雨に襲われたかのように彼の姿は水も滴り、けれど柔らかく微笑みを浮かべていた。君は、ゆらゆらと燃やされながら消えて行く魂が恐ろしいと言う。自らを削る者を、救いたいと言う。1つの言葉は黒く染まる。君が『見つけた』ことが嬉しかった逃げなかったことに驚いた。そして強い意思を込めた言葉に、君自身が呑まれないか。心配事は尽きなかった。)…ねえ。お昼、一緒に食べに行かない?(けれどそれでも。たったそれだけでも、君が歩む勇気を見せたから。彼もちょっとだけ、勇気を見せてみた。)」 (5/25 19:54:40)
エレナ・ドラグノフ>
今回学校に寄せられたのは、奇しくも少し前に聞いたような通り魔事件だった。深夜、郊外にある教会の墓地で、刀で切りつけるという凶行。それだけならただの犯罪者・異常者による犯行だったとそれで終わりだが_____そう見なさずに我々が来た理由は一つ。『現場では「マンティス」が日本刀のようなもので真っ二つ、だそうだ。』被害者が、カミサマであること。夜の林道、真っ暗闇を歩きながら犯行現場へと歩きながら、呆れた話だと前起きしてから呟く。こんなことができるとしたら____我が校にも一人か二人。あるいは____ムサシ。文字通りに剣豪という言葉の似合うそのカミサマは、あらゆる能力、異常性に耐性を持つ。逆に言えば、ただそれだけ。しかしその鍛えに鍛えた超絶的な技巧が、その硬さを鋭さへと変える。『だが、まさかこうして貴様に背中を預ける日がくるとはな。』しかし怖くはなかった。今隣には____自分をヒーローだと言う彼がいる。『作戦はあるか?情報によると、向こうは堂々と居座っているままらしいが。』 (5/24 15:49:57)
水沫 泡>
「俺もこんなに早くエレナと任務にあたるとは思わなかったよ。」『作戦はあるか?情報によると、向こうは堂々と居座っているままらしいが。』「能力は効かないし、体術も完璧……正面から打ち勝つのは無理だよなぁ」果たして彼は君の期待に答えられるような男だろうか、そんな不安が募るほどには今の彼は困った顔をしていた。学校から持ち出したカミサマに関する情報を、スマートフォンでスクロールしながら君の隣を歩く。ここ最近、彼が頻繁に図書館へ通ってカミサマについて調べていたのをもしかしたら少しは知っているかもしれない。<探索ライセンス:カミサマ知識>今の彼はほんの少し、カミサマについて知恵を得ていた。「正直、君はうちの学校で1番鍛えてると思う。でも多分正面から勝つのは無理だと思うんだ」彼は集めてきた情報の中の一つ、ムサシと思われる人物の映像を流す。目にも止まらぬ剣術、未来予知でもしているのではないかと思うほどの対応力。これはもはや、人間の形をとった人間ではない化け物に値する。化け物に能力が効かないのだから、困ったものである。ただ……。「ムサシに能力は効かないけど、彼のいる空間自体にその影響が及ぶわけじゃない。僕の能力は"人を対象に取らないからね"」「その特徴を利用しよう。それと、あとは騙し討ちかな……」卑怯な手を使う。それ以外に勝ち筋が見えないのだから仕方が無いが……もしかしたら君は強い相手と競い合いたい、なんて風に思ってるんじゃないかと懸念して彼は君にそれでいいかと確認を取るように顔を見た。 (5/24 16:06:58)
エレナ・ドラグノフ>
『……なるほど。』説明から、やるべき事の理解はできる。真正面からぶつかるべきではないと、当然分かる。だが、それと同じくらい同時に___闘(や)ってみたい。そんな未熟で、バカバカしい気持ちも同時にあった。『納得はいった。確かに、貴様のそれなら勝ち目が私たちにもある。つまるところ_____』口元が無意識に緩む。格闘技は、あくまで人間を人間が殴り倒す競技だ。ということは、怪物を倒すよりも人間を倒す方に向いているのは自明である。ならば___言ってしまえば、始めてでは無いだろうか。人間を、思いっきりぶん殴り、思いっきり締め、思いっきり極め、思いっきり投げ、思いっきり蹴れるのは。『囮は任せろ。とどめを刺す時か、あるいは危なくなれば貴様に任せる。』口にするのは囮役。ボクシングの試合でも、他の学友からも。「お前なら勝てる」と言われ続けての____今、久方ぶりの「挑戦者」。血が湧く。騙し討ち不意打ちは卑怯だなどとくだらない御託は良く、ただ存分に。____それは、一匹の狼を思わせた。彼らは獲物を殺すことを楽しまない。冷徹に研ぎ澄まし、追跡し、惑わせ、引き寄せ、噛み殺す。強いと自分を知って尚の徹底。エレナ・ドラグノフという女は、おそらくこれ以上無い気迫(モチベーション)で事に望んでいる。『……私を、支えてくれるって約束しただろ?』くす。と泡に振り向いて、優しく笑みを作った。それは任せたぞ、という意味以外の何ものでもなく_____ぽっかりと開いた墓場、墓石である十字架の上にその男は座っていた。やじろべえを思わせる奇跡的なバランスの釣り合いを一ミリも崩さずに、くつろいだ雰囲気で佇む姿は間違いなく「怪物」『合図を。私は貴様から_____いや、貴様の頼みで戦いたい。』 (5/24 16:30:22)
水沫 泡>
(狼を前にした彼は、ジリッとなにか胸が焦げるような感覚に襲われた。それは恐怖か、愉悦か、好奇心か、……言葉にできないそれは多分、""楽しみ""だった。君の感情に飲まれてしまったのだろうか。君が存分に暴れるのが楽しみだった、あわよくばそのまま勝ててしまえばいいのにとさえ思った。教科書のように正しい作戦を伝えた彼は、しかし"見てみたい"と思ってしまったのだ。その高まりをぐっと堪えて、彼は落ち着いた声で尋ねる)「それじゃあ、今から君と俺は学校の""友人以上の関係""、背中を任せられるヒーローだと思って欲しい。俺も君のことを絶対に負けないヒーローだと思って信じるよ」君に笑い返して頷く。_____怪物が目を開く。鍛錬を望み戦いを愛するその怪物は、君が挑戦者であることをすぐに理解するだろう。刀を構えるその動きに一瞬の隙もない。糸が張りつめたような緊張感が漂った。喉に緊張の汗が伝い、一歩踏み出すことさえもはばかられる。この最高の舞台へ、彼は君という狼を野に放つ。「エレナ、あいつに"隙を"作ってくれ」その声は試合開始の合図としては静かで落ち着いていた。しかし、感情に満ち溢れ今にも噛み付こうとする君の、かけ出すその足音こそが合図となるはずだ。ゴングは鳴った (5/24 16:51:42)
エレナ・ドラグノフ>
『信じている、か。』刀を握る。いわゆる居合道のような構え。動員する技能(ライセンス)の数も桁違いなら、その得物にも能力は通らない。ならば、この達人を自然殴り倒す他はないという理不尽。だが。『____任せろ。』敵も怪物なら、こちらもまた怪物。紫電のような居合を、重心を下げ、両手を盾にして、スーツに仕込んだ防弾・防刃繊維で受け止める。しかし、刃が通らないというだけのことであり、これでは当然だが鉄柱で殴りつけられるような痛みが残る。されど、刀を打ち込む衝撃を、押し返す膂力と鍛え抜いた筋肉が受け流していた______『侮ったな。技の差で避けれないというのなら、寧ろ近づけばいい。』迎撃のために引き返す白刃。しかし、至近距離の相手を改めて切り殺すくらいに振り上げるタイムラグは、捨て身の突入の速さには敵わない。故に______炸裂する。拳を打ち込んだのは、相手の脇腹へ。嫌な音、何かをヒビ割る感覚が拳に走り、渾身の一発を告げる。『___ッ!?』だが、それも致命傷には至らない。そのまま反撃に腹を蹴りこまれ、僅かに下がる。痛いというよりは、重い。相手を引き剥がすための技術。怪我は浅いが、間合いを外されたことは、この瞬間瞬間の戦いではあまりに_____振り下ろしての追撃。それをいわゆる白刃取り___なんて無理なので、グローブに仕込んだ鋼板の硬さを頼りに手のひらで受けただけだが____のように受け。力の押し合いに持ち込む。ただし、力で勝るとも技が止められた刀を、主人の手から離させない。あと一押し、一要素あれば_____刀を取れる、と。私は情けなくそう思った。 (5/24 17:34:39)
水沫 泡>
(呼吸することも忘れ二人の戦いを見守った。ただ、一瞬の隙を探るために1歩も動くことなく見守った。片や刀、片や格闘技。何をもって優劣をつければいのか定かではないが、彼の目には2人が互角に映った。思わず"危ない"なんて叫びたくなるような驚異的な攻撃を受け止めるエレナに何度も驚かされる。風を切るような剣撃の中、重たい蹴りが彼女を襲う。僅かに後退、そこで彼は手を出そうとして……しかし、受け止めたのを見れば止まった。そこで隙が生まれる。あと一押し、そうすればあの怪物から武器を奪える。その隙を、逃さない。)「______""オムニア ピンクサファイア""」(彼は小さく、"君のディスコードの名前"を呟く。君が刀を押さえつけたも同然のこの状況で、敵に近づけない愚かなヒーローがいるだろうか。否だ。彼は『敵の傍に歩いて近寄る事実のみを反映』させ、ムサシの隣へ瞬間移動する。その時既に、彼は足を蹴りあげていた。この戦いにおいて、彼が動いたのはこれが初めてだ。目の前の敵(エレナ)に囚われた愚か者(ムサシ)の不意をつくには十分すぎる舞台設定だ。なにより、このカミサマはこういう卑怯な手に弱い) (君ほどではないが、よく鍛えられた彼の蹴りがムサシの利き手手首を蹴りあげる。僅かに浮く腕、それをすかさず)「クラウド」(拘束する。空気中に突如現れた氷の腕は蹴り上げられたムサシの腕を掴んで離さない。たとえそれが砕かれ、再び刀が君に振り下ろされたのだとしても。それら全てが"君にとっての隙がとなる"この上ない絶好のチャンスに、君がトドメを刺すといい。) (5/24 18:09:01)
エレナ・ドラグノフ>
ここからの振る舞いは、ある種常軌を逸していた。よりにもよって、絶好のタイミングを、ガードを捨てるための予備動作に当てたのだ。氷の腕の戒めが解かれ、減速したとはいえ未だ人1人を殺害するには十分な刺突が眼前に飛ぶ。『いいタイミングでなら……「ダウン」くらいは取れる。だが、KOはムリ……』「やられる」という予兆。彼が作り出したトドメへの最高のタイミング。それは確かに、相手を沈めるためには必要不可欠だろう。しかし____必要不可欠だからこそ、相手は立ち上がってくる。超自然的、非科学的、不合理的、しかしそれでも、普通の戦いの範疇でなら間違いなく切り返されると思わせる、圧倒的なまでの「武」。先刻までの互角は、あくまでも刀に殴り掛かるという「愚」に、理をつきつめた「武」が予想を外されたが故だと。そう見ていたからこそ_____『だから……「こう」すりゃ問題ねぇ。やっと、捕まえた。』グローブの下に血を滲ませ、左手が刺突する刀身を掴______否。"貫かせて" 方向を変え、更に止まらぬ威力を "腹にまともに食らって" 制止した。万全の一発なら、確かに頭を迷わず射抜けただろう。しかし……先程の氷に合わせて捨て身とくれば、埋まりがたい差を、命を懸け(掛け)て0にするにあまりあった_____骨が折れたか、口から血が吹いた。手のひらは一瞬の冷たさと、灼熱が一秒ごとに切り替わっている。完治するまでいつぞやか知らないが、まあともかく、身体中が痛いなんてものではない。『___タイミング、合わせろよ。決める時は「2人で」だ。』当初からの "本命" の彼に、そう呟く。隙ならば、作った。であればやることはもう決まっている。各々の最高火力を叩き込むだけだ______!『食らわせろ……!!』満を持して背後から発現する、我が切り札の名は『オムニア・ピンクサファイアァァァァ______ッ!!』竜巻の如く乱打される蹴り。叩きつけられる【足技】によるラッシュは、あくまでも人間の耐久でしかないムサシの身体を、半ば浮かせるが如き衝撃を打ち込む。打つ、打つ、打つ、打つ、打つ_____機関砲のように打ち込まれ続けるそれは、これこそ決定打であるという説得力だけがひたすらにある。強さ、力強さに信を置くエレナ・ドラグノフのディスコード。ディスコードは感情を基盤に形作られるのなら、それがそもそも殴り合いで弱いはずなど最初からなく_____ (5/24 18:55:08)
水沫 泡>
「ばっ…………」ばかかっ!?その言葉を飲み込むことが出来たのは奇跡的だった。君が刀に刺されたように見えたのだから、彼の焦りようは酷かった。しかし……確かに刀は受け止められていた。その手のひらに刀を突き刺すことで、受け止められていたのだ。致命傷ではないが、その傷は消えることは無いだろうし、痛みだって想像出来ないほどだ。何を君にそうさせるのか、それほどの熱量がなぜ持てるのか。彼には理解できなかった。理解はできなかったが……君の作戦を許容して飲み込んだ。叫んで怒りたい気持ちを奥歯に噛み締め堪える。「ッ………クラウドっっ!!!!!」君のディスコードの強烈な蹴りで浮いたムサシの身体に狙いを定める。………何かが起こるでもなく、ムサシの上に影が現れる。空気が凍てつき、一瞬呼吸が出来なくなるほど酸素が薄れるだろうか。巨大な氷の塊、それは見た目よりもずっと重く、人の力では持ち上げることなど叶わない。それを彼は、ムサシの頭上に生成し________落とした。_____かくして、ムサシの討伐は完了した。やはり純粋な力比べでは勝てそうもなかったが、学生なりの姑息なやり方で勝利を収めた。しかし……彼が君に酷く怒り心配したのは言うまでもない。自分の手を使って刀を受け止めるなど愚の骨頂。大馬鹿者のやることだ。彼は救急箱を取り出し手当をするから腕を出せと半ば強引に君を座らせようとするだろう。「なんであんな馬鹿なことしたんだ!?もっと、なんか、あったろ!!手に穴空いちゃったじゃん!」巨大な氷の残骸に声が反響する。「あーっ、もう〜……」先生に怒られるだとか、女の子に傷つけちゃっただとか、しばらくエレナの拳が使えないんじゃないかだとか、彼は半泣きでぶつくさ言いながら君に不器用ながらに包帯を巻き付けるだろう。 (5/24 19:22:44)
エレナ・ドラグノフ>
『その「なんか」を私がコレしか思い浮かばなかったワケだけどな。』我ながら呆れるというか、刀を自分に突き刺させて止めるなんて言う自体やはり馬鹿馬鹿しくて、意味もなく笑いが漏れた。治療を受けたからと言って、痛みから何から一瞬で引くような道理はない。アドレナリンが今は程々の痛みへと抑えてくれているが、それが切れたりしたら多分最悪な目に遭うのは目に見えている。早いところ病院か、あるいは学校で治療を受けるのがベターな選択だろう。『……なんだか、私より貴様が怪我をしたみたいな格好じゃないか。そう心配しなくていい、致命傷は外してある。』この慌てように、寧ろこちらが気まずくなった。痛いのも怪我をしたのも自分なのに、どちらかと言ったら彼が泣いてしまった。これは____困る。わかった、わかったからと繰り返し宥めるように述べて『後……なんだ。その。私が痛い思いをするのも勿論嫌だが_____貴様が怪我をする方が、もっと嫌だった。こ、これは変な意味ではないからな。ヒーローは博愛と自己犠牲の精神というのをだな……』無茶をした理由も白状した。 (5/24 19:39:41)
水沫 泡>
「ぜんっぜん……わかんないけどなっ!!!?」彼は余計にムッとした顔でそういえば、救急箱をしまい君の手の様子を見る。すぐに血が滲んできて止血が上手くいってないのが分かった。早く帰って手当してもらわないと「その"ヒーロー"の、守って当たり前みたいな考え方、俺にはまだ理解できない。」「これからの任務でも、こんな無茶しないで欲しい。っていうか、しなくていいように俺も頑張る。」「……….でも……ありがとう。かっこよかった」そして萎れていくように感謝を述べた。理解できない、だからこそ彼はそこを目指している。だが、その過程で突きつけられた大切な人の怪我は彼にとっては不快な障害だった。何より、自分よりよっぽどヒーローらしい君に不服だ。「ほら、立てる?早く帰ろ。鎮痛剤貰わなきゃ。……ていうか食事とか風呂とかどうすんの?1人じゃ出来なくない?」とにかく命に関わらなくてよかった、その安心感が大きかった。変に落ち着き始める始末だ。だからだろうか、彼は君にこれからしばらく怪我が治るまでどうやって過ごすんだろうと純粋な心配を投げかけながら帰路に着く。その質問の内容が、女性に対してデリカシーのないそれだと気がつくのは帰った後の話だ。 (5/24 19:50:01)
エレナ・ドラグノフ>
『ぐ、う____いい加減そこは気付け!馬鹿者!ヒーローだからと当たり前に守った訳があるか!!貴様がいるから守ったんだ。』やっぱり、何のために身体を張るのか、誰を守るのか。ヒーローなら選り好みするべきではないと分かっている。けれど、今日に関しては後ろに君がいた。自分が足止めできなかったりしたら。あるいは、自分が倒しきれなかったら。そうしたら、次に傷つくのは君だと。そう思ったからこそ無茶をした。本当は、皆まで言う気はなかったんだが、全部言わせるんだったらはっきり言ってやる____!があーっ!と肉食獣のように怒り、それからふとバツが悪くなってそっぽを向いた。なんだか押し付けがましいとか、そういうんじゃない。ないんだが、口にするとだんだん恥ずかしくなってくる言葉って、世の中あるんじゃないだろうか。『……貴様が世話をしてくれないのか?』妙なことを言うな?と思った。ヒーローとして支えてくれるというのなら、そうしたものを買って出てくれたりとか、そういう協力体制ではないのだろうか。ほら、手当をしたり。食事をしたり。____あ、お風呂はそれは______!?『今のは、今のはなしだ馬鹿者!!帰りまでには必ず忘れておけ!!ご飯や手当は頼む、だがやっぱりお風呂はダメ______!!』 (5/24 20:02:33)
水沫 泡>
(とてもとても純粋な気持ちで、彼は君を誘ったのだ。目的はそう、ヒーロースーツを仕立てるため。いつも動きやすい適当な格好で活動していて、いい加減それらしい服を仕立てるべきだと思っていた。それでどうして君を誘ったのか正直よく分かってないが、ただ……服選びであてになりそうなのが君くらいだったというのはあるかもしれない。いや、本当はもっと仲良くしたいだとかそんな浅はかで愚かな考えが彼にもあったのかもしれないが、少なくとも彼自身はそれを自覚していないだろう。とにかく彼は君を誘った事を後悔している。なぜならこれではただの……)「……デートじゃん…」(思考が口に漏れてることを、彼は気がついていない。前回は任務だった、その前は課題を手伝ってもらって、さらにその前は土砂降りの中仕方なく。どれもやむを得ない理由で君と一緒にいることが多かったものの、改めてお出かけしよう!なんて誘ったのは初めてで、今の彼は数時間前の自分を呪ってやりたい気分でいっぱいだった。入ったお店で何となく服を眺めながらそんなことばかり考えているものだから、まったく服選びに集中出来ていないのは言うまでもない。) (5/26 20:30:45)
エレナ・ドラグノフ>
荷物係。多分今日私はそれで行くのだと思っていた。服は嵩張るし、靴や装飾品まで買うと荷物は莫大な量へと積み重なっていく。そうした場合に力持ちが必要なんだ、と言われることは、穂坂の買い出しをするなどして慣れていた。だから、当のこちらはデートだなんて気はすっかりない状態で『……デート……?』なんの話しだろう?と、朴念仁にも程がある、間抜けな疑問符を頭の上に浮かべた。____なるほど、彼からするならこれはデートなのか。随分変わっているもんだなあ。『別にデートでも荷物持ちでも構わんが、貴様真面目に選んでいる気配がないぞ。』おい、と苦言する。確かこれは、ヒーローコスチュームを選ぶための集まりであったはずだ。従って好きなものを選ぶのが上策だろうが、どうにも選ぶのに覇気がないというか、気が散ったままだ。『なんなら、私が選んでやる方がいいか?……何、安心しろ。ちゃんと可愛いものを選んでやるから。』しばらくの無言の抗議で間を空けてから、じゃあ私が選ぼうかと提案した。たまには誰かのセンスを採り入れるのだって、ファッションには大事だという『ああ。もしその間暇に思うんだったら、私のを貴様が選んできてもいいぞ。』 (5/26 20:42:07)
水沫 泡>
「おあっ……!!」「…き、こえてたのか。」(後ろから声をかけられ飛び上がる。聞かれてた、と言うより口に出ていたことに驚いた。口元をおさえ、持っていた服を元に戻し振り返る)「選んで欲しいのは山々なんだけど……可愛い、よりはかっこいい方が好みなんだ」『ああ。もしその間暇に思うんだったら、私のを貴様が選んできてもいいぞ。』「……」(自分が選んだ服を着てもらえる。それはつまり、自分の好みのものを着てもらえる機会という訳で、彼女のそんな権利を手に入れることのできた生徒は他にいるのだろうか。クラスメイトからのブーイングが目に見える。もしくはからかわれる。彼の頭の中で、願望と理性の対決がほんの一瞬の間に行われる。)「…いやっ、ぁ〜。そうだな、俺は多分服のセンスとかイマイチだから。」(______勝者、理性。)「ヒーロースーツね、やっぱり特注品がいいかなって思うんだ、」(慌ただしい思考を1度落ち着かせ、改めて店内を見渡す。服はどれも素敵だが、自分に合ったものを作るのであればやはりオーダーメイトが1番だろう。いい加減真面目に考えよう、せっかく付き合って貰っているのだから。)「エレナは確か、ヒーロースーツ持ってたよね。見た目とか、性能とか……どうやって考えたの?」 (5/26 21:15:49)
エレナ・ドラグノフ>
『……これは、デートなんだろう。なら、そういうイベントくらい設けてやろうという意味だ、馬鹿者。』本日二回目となる釈然としない表情を作った後、熱くなる顔を務めて見せないようにしながらこう付け加えた。なんだろう、どいつもこいつも皆まで言わせるやつばっかりだ。察しが悪いというのか、直接言わないと分からないのか?とクレームを付けてやりたいくらいだ。『センスの話など、今は別にしていないが。』……う。なんだかいえば言うだけ変な気持ちになるので、一時退却。この話を私が長引かせたら多分ずっとぼろを出し続けるだろうという、自信があった。『私の場合、例外と言っていい。これは私が見繕ったり誂えた訳ではなく、ヒーローだった母さんからの遺品のようなものだからな。就職活動にでも使うだろうから……なんて下手な言い訳で採寸していた記憶はあるから、多分それを使ったんだろう。』私の場合、これは母からの遺品だ。だから自分で選んだ訳でもないし、従って自分のセンスと言い切る自信なんてない。『だが性能如何というなら、貴様は氷をよく使うんだし、防寒着なり体温を保てるものがいいんじゃないか。或いは……オーソドックスに頑丈だとか。』 (5/26 21:25:15)
グレイス>
(何も上手くいかないとはこのことなんだろうか。いつも彼女の真意を汲み取れず、彼女が恥ずかしそうにするのだ。熱が顔に集中するのが分かる。こういう時にスマートに返事ができる男がモテるんだろうが、自分はその真反対というわけだ。ふいっと君から顔を逸らしたあと、目の前にある鏡を見てさらに目線をさ迷わせた。)『ヒーローだった母さんからの遺品のようなものだからな』(しかし、目線の先はやはり彼女の元へ戻るようで。少し落ち着いた熱に安堵のため息を吐き、君の方を見た。)「そっか、お母さんがヒーローだったのか」(そうだった。君の母親は熱く、君を導くほどのヒーローだったのだ。自分の母親も_______。)「防寒防熱……!そうだな、確かにそうだ。最近霜焼けが出来そうだなって思ってたんだ」(盲点だった、と嬉しそうに目を輝かせた。じゃあ手袋もつけた方がいいかな、だとか、色はどうしようだとか、沢山動くから伸縮性は_____。)「俺、みんなの能力が使えるんだ。ハチロク……は能力は、まだ発現してないけど。多分、ハチロクのとか、エレナの能力とか。」「条件は、曖昧だけど。だから、なにか……シンボルみたいな象徴みたいなのが欲しいんだ。君の能力が使えるっていう証みたいな、」(例えばお揃いのブレスレットとか、彼が欲しているのはそういう類のものだろう。少し恥ずかしそうに髪を指でいじりながら、彼は何か良い案はないかな、と問いかけた) (5/27 00:42:11)
エレナ・ドラグノフ>
『……ああ。当時の名前は、ハリィ・バンホーテン。ドラグノフは父方の姓で、程なくしてそう変わるが。』____有名ではないヒーローなどほとんどいないという。しかし、彼女はその例外だろう。カミサマや悪人と戦うよりも、あの人は誰かが安心して暮らせる場所を探した。建築の知識を活かし、元ArKの人、ルクレルク人。シキガミと呼ばれる友好的なカミサマ。そうした人達の住む町や家をほとんど無償で手がけて、戦いの痕をなるだけ早く直すような方向で力を奮った。ジニー・ヘンドリクセンを始めとするかっこいいヒーローというよりは、何をしているかわからない、冴えないヒーローだったことはもうどうしようもない。でも_____こんな話を最後までついしてしまったのは、それがどうしようもなく誇らしいからで。『色というなら……白が似合うんじゃないか。あと必要があるとしたら、水を隠せるように大きなサイズがあるといい。ウエストポーチやらケースは実家にいくらでも余っているだろうから、後ほど持って行ってやる。』収納みたいなものは幸いにもいくらでもある。弾倉やら手榴弾を仕舞うのに使うポーチ類は、それこそあんなに重たいものがはいる訳だし、水を持ち運ぶ気になればそれなりの量を稼げると見た。『みんなの能力が……?』みんなの能力?と聞き直した。つまり、ゲイルのレッドドアやら私のオムニア・ピンクサファイアやらが扱えるというワケだ。とりわけ、高いディスコードの才能を持つ生徒では二つの能力を持つ場合があるというが、いくつもそれを持てるなら破格の条件でしかない。しかし、それは取っかえ引っ変えできるようなものでは無いらしい。『象徴、か。なら___』つまり、揃いのアクセサリーだとかその辺の装飾品を意味するのだろう。同じものを身につけるにしろ、この場合私は少し問題がある。まず指輪やらブレスレットは手首を壊す可能性があるから難しいし、ピアスやイヤリングなども危なっかしい。とすると……『ネックレスはどうだ。特にこれなんか、女性用ではあるんだけどさ、泡にもこのくらいなら女の子らし過ぎないし。よく似合うだろう。』ピンク色の輝石が控えめに埋め込まれた、鳥の翼を象るネックレス。いわゆるペアにする前提のもので、左右まさに比翼連理というわけだ。君なら似合うよと笑んでは、どうかな……なんて顔を近づけ、服の上から彼にあてがいながら悩ましげにして。 (5/27 01:14:38)
水沫 泡>
(君のおかげで、ヒーロースーツの案は思ったよりも早く固まっていく。君の母が、目立たなくとも素敵なヒーローだった話を聞きながら服のパーツや色、素材なんかを店主も呼びながら決めていった。その話を聞いていると、彼は自然と口が軽くなり、綻んでしまった。)「俺も、お母さんがすごく優しい人だったんだ。ヒーローじゃなかったんだけど、自分の命を顧みずに子供を助けちゃうくらいには優しかったんだ。」「誰にも知られない目立たないヒーローみたいで、俺は正直のこされたことが悔しかったけど」「でも、エレナの話を聞いてて。俺もそういう人になりたかったのかなって、思ったよ。」(君の話を聞いていて、ほんの少しだけ似ているかもしれない、なんて思えば彼もなぜか話してしまった。子は否が応でも親に影響を受けてしまうものらしい。彼はこの話に回答を求めないまま、ヒーロースーツ造りを進めていく。)(____ハチロクからは派手すぎる髪ゴムを貰った。似たようなデザインの装飾を服の中に取り入れようと思っている。君からは) 『ネックレスはどうだ。』(差し出されたものに目を向ける。オムニア・ピンクサファイア、宝石を思わせるそのディスコードの名前に相応しいネックレスだった。ピンクの控えめな輝きが優しく主張している。服の上からかざされ、似合うと思うなんて言われながら顔を近づけられて。恥ずかしくない男はいないだろう。)「っ……。嬉しい、ありがとう。こっちはエレナがつけてくれるの?」(距離をとりたくなる程の羞恥心をのみこんで、笑い返す。君の手元に残った方のネックレス、片翼を指さして首を傾げた。君の能力が使える証が欲しい、そういったのは彼だったがまさかお揃いで承諾してもらえるとは思ってもいないものだったから、思わず問いかけてしまう。そういうところが、良くないんだろう。) (5/27 01:34:22)
エレナ・ドラグノフ>
『目立つことだとか、かっこいいことと、その人に何を残せるかは……やっぱり別なんだろうな。自分より何かを優先したり、何かを助けたり、救いたくなったり。そんな人を目指すことは、きっとそれがどんな姿で、どんなにかっこ悪くたって。____間違いなんかじゃないんだから。』身を呈して彼の母親は、彼を助けたのだという。確かに、ただその事実だけを見るなら悲しいことであり、辛いことでもあるだろう。けれど、誰かと結んだ絆が、痛みを乗り越える道を築き上げた時。悲劇が思い出に変わる、遥か遠いいつかのある日。そんな時に、胸に暖かく残るものがあったなら____『ああ、もちろん。せっかく二人で付ける用のものをえらんで買うんだから、それは私と泡がつけなくっちゃ嘘だ。』お金をこそ、と置いていく。意味を察してくれたのか、静かに、しかし手際よく丁度の代金を持って行ってくれた。『よし、ちゃんと似合っている。動かないで、そのままいろ。今、着けてやるから_____』彼の胸元に金具を結んでやる。翼を持つ鳥が羽ばたき飛び立つその現状から「変化」や「出逢い」という意味も持っているんだそうだ。だったら、これを人に贈る意味合いとしては____『良い出会いを。良い旅を。ってところかな。翼のアクセサリーっていうのはそんな意味があるらしい。』 (5/27 01:53:35)
水沫 泡>
(確かにネックレスは慣れなきゃ1人ではつけられないが、君との距離が近くてやはり彼は目をぎゅっと閉じてしまう。君はこの距離感を気にしてないのだろうか。というか、こういうのって男がやるものじゃないのか?確かに君の背に届くような気はしないけれど……そんなことを考えていうちに君との距離は離れた。胸元に残された感覚に指を添えて嬉しそうに笑う。)「良い出会いと旅か……ふふ、」「良い出会いはもう、沢山してるけど。もっと良くなるのかな」(出会い、旅立ち。出会いがあれば別れがあって、旅立つのならば終着点がある。とても朧気で確信のない予感は、こんな時にも彼の心に霞のようなカーテンをかけるのだ。いつか、君のような……母のようなヒーローになる前に、自分はここでは無いどこかへいってしまうという予感。それは、君の能力が使えると確信できたその時と同じような感覚で。タダでみんなの力が使えるだなんて、そんなおかしな事が起こるはずがないのだ。それが君に、伝わらないといいけれど。) (少し前、オーウィ君に"自分が死ぬ事がわかってもヒーローを続けるか"と問いかけた。彼はヒーローであり続けると言っていたけれど。君も、そう答えるんだろうか。例えば俺が、同じように答えた時に。君は許してくれるのだろうか。)「大切にする。選んでくれてありがとう」(ぎゅっと、ネックレスを握りしめる。支えてみせるとか、ヒーローになるとか。笑われたっておかしくない強気なことを言い続けていたけれど、その言葉がこのネックレスで形になっている気がしてとても嬉しかった。彼はすごく嬉しそうに、けれど泣きそうな顔で君に笑う。) (5/27 02:12:16)
エレナ・ドラグノフ>
それは、なんてことない日常の1ページのはずだ。別に明日や明後日があって、その先だってきっとあるはずで。あるのが_____当たり前で。違う。と、そう誰かの声がした。シオンと話した時に、思い直したはずだったじゃないか。今がまかり間違って上手くいっているだけで、これからはどんな血なまぐさいことが起きるのやら分からない。だから、彼が泣きそうな顔をしているように見えたのだって、こんなにも清く笑うのだって。_____今の今更、置いていかれた私が気付かないでいられるもんか______『……ああ。私も、こんな風に貴様と出かけたり、話せたりしているのが嬉しい。変な話をするけど、きっとこれから何があっても。』それは、春が終われば散る、桜のような一時の夢だ。終わりは約束されている。終わりを乗り越えて、歩いていかなくちゃならないこともわかっている。春がすぎ、それでも歩く。次の春に向けて、時に残酷なくらい時間は流れ去っていってしまう。失ったものは帰らない。散った花びらは戻らない。けれども、それに腐らず、それに諦めず、命は全力疾走して、代わりに暖かな思い出を残していく。『貴様と過ごした日、貴様に救われた日は、お互いが仮に死んだとして、ずっと忘れないだろう。』別れの言葉。そんなふうにも聞こえる、永遠を誓う言葉。『……帰ろうか。』私は私を、救っていけるから。君が私を、救ってくれたから。そういう暖かな日の歌。 (5/27 02:32:01)
水沫 泡>
(探索ライセンス:カミサマ知識。情報屋に貰った知識を元に、それを身につけるため最近図書館へ通うことは日課となっていた。今日も本の巣窟へと足を踏み入れる。本の匂い、が何の匂いなのかは分からないけれど。図書館特有のその雰囲気が落ち着くから嫌いじゃない。 彼はいつもの席へと向かう。すると目に入るのは本の塔。彼も数冊、カミサマに関する本を抱えているが目の前のそれは比じゃない。今にも崩れそうなそれの下に、ちんまりとした女の子が座っている。それは耳のとがった女の子。良くも悪くもルクレルク人だ、と思うのが普通だろう。彼はそれを見て疎ましさを感じるどころか少し嬉しい気持ちになる。血は薄くなってしまったけれど、彼も同じく尖った耳をもっているから。__彼にとって、もはや本の塔は見慣れ始めていた。それくらい、君はいつもここにいる。彼はいつも君の斜め前辺りに座っているけれど、今日は君の正面へと腰掛けた。)「たくさん勉強してて凄いなぁ」(最近、思ったことが考えるよりも先に口に出てしまう。彼は声に出ていること慌てて目を泳がすが、誤魔化すように長い髪を耳にかけて、自分も本を開いた。) (5/27 13:44:03)
ほりしぃ>
「……………………、……………………」(【異常性癖︰カミサマ知識×2】)(彼女は妄信的だった。知的探究心と言うには高過ぎる依存心は高く、積み上げられた塔のような書物らがそれを顕著に現している。 それもそのはず。彼女のライセンスは『アポリア』だ。つまり、これ以上の成長性は望めない。【劣等】を呪っている彼女からしたら薄々勘づいている境遇を見て見ぬふりし、キツく蓋をしながら毎日毎日勉強に励むのだった。) (────────しかし、これはココ最近の話。この時間になると よく足を運んでくる奴がいる。)『たくさん勉強してて凄いなぁ』「…………………、……………」( パールを思わせる白髪の髪色。慈悲深そうな青色の瞳。〝 やや尖った耳〟。その呟きは『思わず漏れてしまった』のか、意図してこちらに『話しかけた』のか。話しかけられるや否や、彼女は塔の隙間からジロリと貴方を睨み、古い紙の匂いですぅ、と肺を満たしきった後、ふぅ………………………と深く息を吐く。)「……………………オマエ、ちょっと耳が尖ってるからって馴れ馴れしくありません? 」(そして、貴方が目の前に座ると同時にガタリと立ち上がったのならば 本の塔を抱え……………)「……ッ、ほりしぃ、は…………ッ…………」(………移動し。) 「ッッ…………オマエのことなんて知りません、しッ!!!」(どさッ!!!と少し遠くの机に運んだ。これで貴方が『目の前に座った』という事実は無くなる。手をパンパンと、払い 椅子をひいてちょこん、と腰掛けるだろう。) 「………………………………」「……………………これぐらい普通なので。」(視線はもう既に貴方ではなく、その本の中にあった。なんとも御挨拶な話じゃないか。) (5/27 14:12:28)
水沫 泡>
『……………………オマエ、ちょっと耳が尖ってるからって馴れ馴れしくありません? 』「えっと……?」(想定していた10倍、いや100倍、酷く振り払われた言葉に驚く。ガバッと本を抱えて、移動し、ドサリと落とす。さっきよりも離れた場所に座られて、彼は呆気にとられたようにその様子を見守り)「おぁ………そっ…か……」(あまりにも情けない反応をした。小さな頃良くいじめられていて、だからそれを無視したり許容することは得意なのだが。君のそれはいじめと言うより……嫌われ、てる?なんかしたっけな、いや、声かけたのがまずかった?いつもの彼ならこの状況も飲み込み、目の前の小さな子が良いと思う環境、状態を彼も望む。つまり、遠ざけられたことを嫌がらずもう話しかけることは無い。……のだが。) 「それが普通って、凄いと思うな。」(君の方は見ないで、本に目を向けながらそう言った。このくらい、普通。それが普通になるくらい君はひたむきに勉強し続けてきたのだ。それが褒められるためでなくとも、他の誰かが褒めていたのだとしても。"このくらい"……なんて。自分の努力をもう少し褒めてやってもいいと思った。彼がこんなことを言ったのは、きっと周りのヒーロー達の影響なんだろう。) (5/27 14:24:12)
ほりしぃ>
『それが普通って、凄いと思うな。』「……………………、…………………」(……凄くなんてない。凄くなんてないのだ。これが当たり前であり、決して口にはしないけれど自分にとっては寧ろ『足りない方』なのだ。これ以上の『ライセンス取得』は望めず、体も成長しない。貴方はこれから沢山の人と出会ったり、多くの知識を得たり、努力の数だけ『得られる』かもしれない。だが彼女は違う。だってママ達だって言っていた。『もっと勉強しなさい』と。ひねくれた価値観と歪んだ観点からしか物を見れない彼女は、貴方の言葉を聞いて素直に受け入れることは出来るか?ゾワゾワとした得体の知れない浮遊感、彼女は本で口元を隠し、貴方の方を見ずに言葉にするだろう。)「…………………………さっきからなんなんですか?【⠀〝 ありがとう〟⠀】とでも言われたいんですか?オマエ。」 「…………別にそんな事しなくても良いんですよ?オマエのことをパクッと食っちまおうだとか、そんなこと思ってませんから。あは、良かったですねェ~~~~ッ…????お耳がニンゲンのソレじゃなくてェ……」(彼女は貴方がどんな人なのかを知らない。故にここまで避けても言葉にする貴方の心理が理解できなかった。ここまであからさまな態度をとったら離れるのが普通だろうに。気を使って彼女と目を合わせないところも、まるで『そう思ってます』みたいな態度も。皮肉にまみれた言葉を吐く彼女は、ふい、と顔を背けたのならばペラリとページを捲った。)「………」「……………………」「……………………………………………」「………………………………………、…………」「…………そ、………………」( ……………………????)「……………そ、……、そもそもほりしぃが、………〝凄い 〟ことなんて、…………………全然、…………………知ってますケド。」 (…………………)(………………………恐ろしくちっっっっっさな声だった。蚊の鳴くようなそれだった。口元どころか目深に帽子は被られ、表情すら見えない。) 「…………………………………、…………………………ので、…………………………」 ( 先日、彼女は『サクラダ』という男に言われた。『話し合わずに猛威を振るうのは下等なニンゲン共と同じ』だと。だからつっけんどんにしてシャッターを閉めるのではなく、不器用ながらに噛み砕いて、ちゃんと『聞いてますよ』をアピールしたかった。自分は「下等なニンゲン共と同じでは無い」のだと。だから聞き入れることぐらいは出来ますよと。それに相手はルクレルク人、しかもカミサマに関する本を読んでいる。)(…………………そして、何より。)
(……………『劣等』を呪っているこちらからしたら、卑屈を拗らせている中で褒められると、どうにも〝 悪い気〟はしないのだ。それが本心じゃなかった時、それが見くだされ情をかけられたと同義の薄い言葉でも、「やっぱりな」と思えるように虚勢は張り続けなければならないにせよ、である。)「……………………………、…………媚びを売るならいかにもそういう「馴れ合い」が好きそうなニンゲン共にするべきです。そうでしょう?………そうですよね。」 (5/27 15:06:21)
水沫 泡>
「はは、君はありがとうって言われたくてこの学校に来たの?」(<読心×2>彼女は何かを求めて勉強している。彼女はなにかにそう望まれてる、もしくは自分で望んで。何かをめざし、努力をしている。しなければならないと思っている。それは強いヒーローか?……否。彼が見てきた"純粋なヒーロー"と性質のそれが全く違う。彼らはとって食うだとか、そんなことが可能だとしても口にしたりしない。つまり君は、どちらかというと。"こちら側"。無償の愛や救いを与えるためにここに来たのではなく、何かを得るため、自分の探す何かを求めてここにいる。純粋なヒーローであれば【ありがとうなんて求めてない】って言い切るかもしれないし、寧ろそれだけのためにここにいることだってあるかもしれない。でも多分、これは推測でしかないけれど君は違う。そして、それは彼も同じだ)「そっか、ちゃんと凄いって分かってるならいいんだ。」(彼は安心したように君を見て笑った。口元を本で覆い隠すその素振りは愛らしくて、不器用ながらに回答してくれるからきっといい子なんだろうと。そんなことを呑気にも考える。そもそもこんなにも努力出来る子が悪い子なわけないのだけれど)『…………………………、…………媚びを売るならいかにもそういう「馴れ合い」が好きそうなニンゲン共にするべきです。そうでしょう?………そうですよね。』「僕のことを快く受け入れてくれる人は、多分世界にはまだとても少ないよ。」(君なら分かるでしょ、と。そう言って軽く自身の耳に触れた。差別はやめようと言ったところで差別が無くなるわけではないのだ。この学校の人達はとても優しい。いじめは起こらないし迫害もされない。でも、これまでいた学校ではそんなことは無かった。彼は今でこそ人と関わることに躊躇はしないが、寧ろ馴れ合うのは好きではなかったはずなのだ。)「それに、君とは耳がお揃いだから。少し嬉しかったんだよ」(嬉しいって言うのは、変かな。そんなふうに笑って、彼は気がつけば本ではなく君のことばかりを見ているだろう。そんな彼は、君からすればどこまでも鬱陶しく映るんだろうか。) (5/27 15:38:47)
ほりしぃ>
「…………ほりしぃが???……………………馬鹿言わないでください。」(思わず鼻で笑ってしまった。感謝の言葉なんてなんの腹の足しにもならない。目に見えないもの、触れられないものに果たして価値はあるのだろうか。『ありがとう』と言われると嬉しそうにする、だなんていうニンゲン同士のやり取りを遠目から見てきた彼女は、貴方もそれに該当すると決めつけていたに過ぎない。質問を質問で返す貴方の意図を読み取ることは、彼女には出来やしないから、 本のページを捲る彼女は、密やかに貴方の話を聞く他なかった。)『僕のことを快く受け入れてくれる人は、多分世界にはまだとても少ないよ。』「………………………、……………………」 (…………しかし、何かを読み取る心理学がなくったって、その言葉の意味を理解できないほど彼女は馬鹿じゃない。【迫害】【差別】 嫌な2文字が脳裏を過ぎる。 …気にしていないと言えば嘘だった。それは貴方も同じであるのは明白だ。でなければわざわざそんなことを口にする必要は皆無じゃないか。あなたに何があったかは知らない、知る由もない。……しかしこの憶測が正しければ。) 『それに、君とは耳がお揃いだから。少し嬉しかったんだよ』(………この言葉は至極真っ当であるはずだった。普通ならば絆されたっておかしくなかった。事実、彼女も『耳が尖っている貴方だから』食べやしないし、図書室から出ていかずにまだここに座っている。 もしかしたら貴方の開口一番の言葉は、『貴方の本心だったかもしれない』なんて 淡く期待することだって出来た。優しく、ややはにかむように微笑みかける様子。 彼女もここで笑みのひとつでも浮かべてやれば円満に終わっていたはずだ。 )(しかし。) 「……………… ほりしぃとオマエは違います。」 (………………彼女は、本を強く握り締めながら、ポツリと呟いた。彼女があなたを受け入れず、ずっと引っかかっている言葉。それは。)(─────『僕のことを快く受け入れてくれる人は、多分この世界には〝まだ 〟少ないよ。』────)「……………受け入れてくれるやつが【まだ】少ないって。………………それってつまりは受け入れてくれているやつは既に何人か、『存在する』ってことですよね。」「………………迫害や差別を見て、『可哀想』だと思ったやつがオマエの傍に居る。〝 ヒーロー〟はオマエの味方もちゃぁんとしてるじゃありませんか。オマエが雑魚に見えるから、『守ってあげなくちゃ』ってちゃんと考えてもらってるんじゃないですか。」「………でもほりしぃはちがう。ほりしぃはオマエ達とは違って強いから、そんなこと思われません。絶対に〝 思わせません〟。」 「………………耳がお揃いだからって、『こっち側』な訳じゃない。」( 耳がとがっていても、差別を受けていても、貴方と彼女じゃ違うのだ。人じゃない2人組。でも貴方は『仲間はずれ』で、彼女は『人でなし』なのだ。 酷い言い様だとは思う。でも言わずには居られないのだ。チリン、とタグのようなピアスが揺れる。 『ニンゲン(餌)の中にも優しいやつは居る』と割り切ることは彼女にはできない。貴方だって彼女のやっている『日常』を知れば、『お揃い』だなんていえなくなるに決まってる。)「………………オマエの方こそ。………この学校に入ったのは、馬鹿なニンゲン共と同じで。『ヒーロー』とやらになりたいからじゃあないのですか?」 (5/27 16:29:44)
水沫 泡>
(言葉を受け入れず、弾き返す。その様子はまるで、ほんの少し前までの自分みたいだった。彼女と彼は全く違うし、過去だって違うだろう。でも何故か、似てるな、なんて思えてしまうのは彼のエゴだろうか。)「俺はヒーローになりたかったわけじゃないよ。……今は、みんなと話してそうなりたいって思ってるけど。ヒーローが嫌いだったんだ」(彼は変わった。彼は変えられた。ヒーローなんて大嫌いだったのに、目指してみようかなんて手を伸ばしてしまっている。その変わり身の速さに思わず笑ってしまうほどだ。手首に付けられた、彼には似合わない派手な髪ゴムを指でなぞった。"守ってやりたいなんて思わせたくない。守りたいと思われるということは、弱いと思われるということだから。"きっとそんな風に考えているんだろうと推測する。その考え方にも同意できた。彼は生憎君のように強くなくて、ハチロクに守られてばかりで、エレナにも守ってやると言われてばかりだ。だからいつだってヒーローが傍にいた事は否定できない。100に嫌われても1に愛されていれば、幸せなのかもしれないから。だから、君とは違うのかもしれない。でも)「弱ければ守ってくれるし、強ければ守らないといけないかもしれない。俺は確かに弱いよ、とても」(彼はよく知っている。どんなに強くたって、誰かに救われても良いことを。どんなに強くたって、人は死んでしまうということを)「でもね、俺みたいに弱くなき救われちゃいけないなんて決まり事はないんだ。強いヒーローだって、人を殺した悪役だって、みんな……救われていいし、助けられてもいいんだ。それはどんな人だってそう、世界で一番強い人がいたとしても。人を何百と殺した極悪人と呼ばれる人がいたとしても、その人に手を差し伸べる人が1人くらいいたって……いいと思わない?」(彼はそうして欲しかった。彼はそうなりたかった。だから、"そうすることに決めたのだ"。君が誰の手を取ってもいいし、とらなくてもいい。ただ、どうしようもなくなった時に掴める糸を、彼は君に伸ばし続ける。だから、君が救われたいともし感じることがあれば手を掴めばそれで良いんだ。) (5/27 16:57:17)
ほりしぃ>
『俺はヒーローになりたかったわけじゃないよ。……今は、みんなと話してそうなりたいって思ってるけど。ヒーローが嫌いだったんだ』「………………………………、………………」 (彼女はその言葉に、ようやく顔を上げた。驚いたような表情だった。そんなこと、あるはずないと思っていた。誰しもヒーローは「憧れ」で、嫌う奴は『悪役』なんだと思っていた。でも貴方は見たところ悪役どころか、『皆が求める絵に書いたような善人』じゃないか。)『弱ければ守ってくれるし、強ければ守らないといけないかもしれない。俺は確かに弱いよ、とても』 『でもね、俺みたいに弱くなきゃ救われちゃいけないなんて決まり事はないんだ。強いヒーローだって、人を殺した悪役だって、みんな……救われていいし、助けられてもいいんだ。』 (『強い奴は救われる必要も誰かと群れる必要も無い』。貴方は彼女のその考えとはまるで真逆な事を言っていた。自分の生を否定され、化け物だと、敵意を向けられることは己が強いからこそなのだと。……それと同時に、放課後の、雑貨屋も、占いも、カラオケも、パンケーキも。そして『ヒーロー』も。邪魔で煩わしくて、何となく眩しくて、『妬ましい』 と感じるのはまだ己が『未熟』だからなのだと。)(…──────────彼女の根源は、『ママ達』の為。『ママ達』が受け入れてくれれば、自分を認めてさえくれればそれで良かったんだ。『ママ達』はこの世界が不幸だから『カミサマ』を創って理想郷にすると言っていた。自身はそれの要となり、糧となる器だと。しかし未だに【認めて貰えない】。こんなにもママ達を、愛しているのに。ママ達に認めてもらえるためにやっていることは、『ニンゲン達が受け入れ難い事』であることは分かっている。) (そのうえでママ達に認められない己は本当の意味での『世界に認めて貰えない ひとりぼっち』。何者にもなりきれない、除け者、………だから鵺が輝いて見えた、だから人を殺すことを良しとする惨いカミサマが彼女にとってのいわば、……〝 孤独(ロネリー)にとってのヒーロー〟だった。理想に置き換えていた。…………それなのに。)『それはどんな人だってそう、世界で一番強い人がいたとしても。人を何百と殺した極悪人と呼ばれる人がいたとしても、その人に手を差し伸べる人が1人くらいいたって……いいと思わない?』 「………………………………………」 「………………………………」 (『こうでなくてはならない』『ああしなければならない』〝レール 〟から外れた、『決まり事はない』なんて自由な言葉が突き刺さって離れない。だから彼女は立ち上がって言った。………………言ってやった。)「…………………………………………馬鹿みたい。そんなの、【許されるわけない】じゃないですか。」(貴方の目を、しっかりと見ていた。)「…………………………、………………だってそんな世界になったら、……………………『誰もがヒーロー』になっちゃうじゃないですか。そしてそんなの、『誰もヒーローじゃない』じゃないですか。」「…………………………………ヒーローは強い奴が『敵』で、弱いやつの『味方』じゃないと、ダメじゃないですか。」「……………じゃないと、……………じゃあ、じゃあなんでほりしぃは、……………………ッ………ほりしぃは【ずっと独り】なんですか。」 「どうしてほりしぃは、〝 ママ達〟に認めて貰えないんですか。ぶたれるんですか。」「なんで、ほりしぃは沢山の〝ヒーロー 〟に嫌われてるんですか。」「………………それはほりしぃが、ママ達にとって『まだ強さが足りなくて』……………アイツらにとってほりしぃが『強いから』じゃないと、おかしいじゃないですかッ゛ッ…………………」(………貴方の考えは、【あってはならない】ことなのだ。じゃないと、彼等が自分を嫌う理由も、ママ達が認めてくれない理由も納得ができなくなってしまうから。 世界が自分を【⠀生まれた時点で間違えている 】と罵っているなんて、思いたくないのだ。路地裏で出会ったアイツも、『誰も傷つけたくない』とか言っておいて、『自分を傷つけて』分けてくれた血液は『可哀想だったから』なんだ。きっと誰かを悪役に仕立てて、自分がヒーローになったり、可哀想なやつに手を差し伸べて良い様に見られたかっただけなんだ。科学者だって、友達になろうと誘ったのは、可哀想だったから、恩を着せたかったから。そう決まってなくちゃおかしい。おかしいのだ。) (………………人間の行動原理の全てに【下心】があるから、彼女は安心して今日を生きて、人を食うことができるのに。)「………………、…………」「……………ッッ…オマエの言ってること、全ッッ然………意味わかんない。」 (………………………貴方が〝 ヒーロー 〟だったらどうしよう。貴方のようなヒトが。もしもこの世界のヒーローと呼ばれる存在だったら。『正しかった』と納得しちゃったら。彼女は──────……………)「………………今に見ててくださいよ。ママ達のためにも、ほりしぃが正しくて、…………オマエが『間違ってる』って、証明してやります。」「所詮ニンゲンなんて、『救う価値もない雑魚』ばっか。皆汚いんです。………………救われても誰も文句言わねえのは『弱い奴ら』だけですから。」 (自分の弱さを認めることは『強さ』である。彼女は貴方と違ってそれが出来ない。認めることが出来ない。脆すぎる足場に高すぎるプライド。触ればすぐに崩れてしまいそう。)(だから彼女は崩れないように、虚勢で貴方にそんなことを伝えた。本を閉じて、塔を抱えた。証明のためには、もっと良く。…人を知らなくちゃならないのかもって。) (5/27 18:08:57)
水沫 泡>
(崩れてしまう。目の前の本の塔みたいに、君の心が崩れてしまう。脆い足場を強く踏み締めて、立ち上がったあなたを見て、彼はそう思った。どうして認めて貰えないのか。どうしてぶたれるのか。どうして友達ができなくて、どうして仲間外れで、ただ、……ただ、ルクレルク人だからって。……それは周りが馬鹿だから、愚かだから、矮小で、阿呆で、僕よりも強いから。じゃないと、……じゃないと"おかしい"。_______小さい頃、周りの子はみんな幸せそうなのに、自分だけがそうでないように感じた時に、彼も同じことを思った。理不尽な運命や物事を納得して受け止めるためには、"そうでなくてはおかしい"何かが必要なのだ。例えば彼なら、自分が弱くて悪い事をしたから、だから酷い目にあってしまうんだ。そうでないと"おかしいから"。そう思っていた。だって、もし、僕がいい子で、優しくて、そんな子だったのなら。どうしてあんな、痛くて、辛くて、酷い思いを___________。……君もそうなんじゃないかって気がした。自分が救われないのは、報われないのは、自分が強くて、人間が愚かだからだと。そうだとわかった時に、今の彼はあなたを放っておける程優しくは在れなかった。)(誰もがヒーローで、誰もヒーローじゃない。だって、彼の友達は、カミサマは、ヒーローに殺されたから。その日から彼にとってヒーローは"悪"でしかなかった。君にとって今の彼は悪なのかもしれない。いつか彼女が、誰かと交わした言葉で、世界が思うよりも酷くないことに気がついた時に。もしかしたら、今までの人生はなんだったんだろうって泣いてしまう日が来るかもしれない。やっぱり人なんてクズばかりだと、人を殺す日が来るかもしれない。なんにしろ、そうなった時に。ひとりぼっちになった時に。要らないと言われてもそばに居る人がいなければ、君は簡単に壊れて崩れてしまう気がした。)「君の言う通り。僕の言うことは間違ってるかもしれないし、救う価値も救われる価値もないかもしれないね」「…………ただ……」(君には必要ないかもしれないけれど。君の友達になりたかったんだ。)「君の努力が、誰にも見過ごされて。それが当たり前だと思えてしまうほどの環境にいて……なら、少しくらい……褒めさせて欲しいなと、思ったんだ」(本を抱えて、どこかへ行こうとする君へ。努力が報われなくとも、ママのために頑張っているのだとしても、少しくらい頑張ってよかったと思えるような、そんな力になれたならと。そう思う。) (5/27 18:40:08)
ほりしぃ>
「………………………馬ッ鹿みたい。」 (彼女は一言だけだった。長い長いツインテールをフルリと揺らし、あなたから顔を背けて出ていった。 『たったそれだけの理由で虐げられてなるものか』『認められない自分がいてなるものか』。 かつての貴方が『どうしてこんなことをされるのか』模索した理由か『自分が弱かったから』であるならば、彼女は『自分が強いから』。弱い自分はそれを受け入れるしかないし、許すしかない。そうやってやり過ごさなくちゃ自分が壊れてしまうんだろう。彼女はその逆だった。 受け入れない、許容しない。『強い』からこそ抵抗するし、強いからこそママ達の言うことならなんでも聞ける。 自分は間違っていない。だって自分は『良い子』だから。)(そうでなくちゃ、自分が壊れてしまうから。)(足音が遠ざかる。彼女は貴方が優しく伸ばした手を受け入れることはなかった。彼女の両腕は自分自身を抱えるので精一杯。塔のように抱えた本達から手を離したら崩れてしまうように、抱き抱えた自分の臓腑がまろびでてしまいそうで嫌だから。 何を躍起になって貴方が間違えていると訴えているのかは分からない。でも、きっと彼女はこれから 『ヒトとなるべく話してみる』ことを覚えるんだろう。理解しようとするんだろう。 本当の意味で『納得出来る理由』が欲しいんだろう。)(………コレは、【嘗ての諦めなかったキミ】。)(─────────ホーリーシットは【劣等】を呪っている。)〆 (5/27 18:55:47)
Gaill Monochoria>
(雑踏、喧噪、喧囂......etc。兎角此の街のざわめきは、愉快な笑い声は、まだ小さなヒーロー達が護り抜いた物だろう。通り魔の脅威は去り、火事騒動が収まり、樹のカミサマも去った。そんな此の街の時刻は夕暮れ。“あの日”立ち寄った例の商店街は平常通りに大盛況。歩きスマホだって3秒もすれば人にぶつかるかどうかのダイス判定だ。今日の学校はおやすみ。緊急出勤こそあれ週末二日の休暇は許されるアットホームな職場です。)「..........。」「おやァ........?」(小腹の減った6時頃。パソコンと資料との睨めっこで水以外の一切を接種していない男は、例の如くたい焼きを買いに街へ繰り出した訳だが。瘦躯の歩けば揺れる金髪。国の隔たりなんて大した意味を為さない今日日、男の髪も珍しい物ではない。然し。然し君の“ソレ”は。)「 H E Y . 」(放たれたるは短めの“アイサツ”。妙に愉しげな声であるのは何故か。理由は兎角、此処はごった返しの商店街。客呼びにお喋りマダムに青春真っ盛り高校ボーイ&ガールにハートフルなカップルまでなんでもござれ。宛先も示されぬ其の言葉に君は気付くだろうか。分からない。)(分からない、が。)「HeyHeyhHeyHey〝 キ ュ ア グ レ イ ス 〟ゥ.........」(其の言葉は、いや名前は。確かに紡がれた。其のパツ金科学者はニヤニヤ笑う。)(そりゃもう楽しげに、愉しげに。) (5/28 11:06:07)
水沫 泡>
今日は休日。学校からの呼び出しも今のところないし、彼は最近学校で流行っているそいやきのたい焼きとやらを試しに来ていた。安価で種類も豊富。これは確かに買いたくなる。彼は1口、こしあんの詰まったたい焼きにかぶりついた。『 H E Y . 』うん、美味しい。生地とあんこが程よい塩梅だ。______まさか、それが自分を呼び止めための超えとは思わず。彼はたい焼きをくわえては呑気にスマートフォンを見ていた。しかし、声は徐々に近づいてくる。この辺りでおかしいとは思っていた。『〝 キ ュ ア グ レ イ ス 〟』「ふぉまえ(おまえ)…………っ!!!!」その名前を呼ばれた途端、勢いよく顔をあげる。しかしその口にはたい焼き。驚き。そして彼の顔にはこう書いてあった""おいやめろ""と………。名前も姿も、それが誰なのかも確認する前に彼は咄嗟にそう言った。それくらい、あれは、恥ずかしかった。たい焼きを口から外して、彼は嫌そうにじとりと君を見た。「っっ〜……ぁー、こんな所で、何してるの……ゲイル君」そりゃたい焼きを買いに来たんだろう。自身の質問に自身の回答がすぐさまやってくる。「なぁ、やめない?その、きゅあぷあだか何だか。あれは、!!子供をあやすための手段だろ!?」俺間違ってないから!仕方なかったんだから!、必死の主張。1口欠けたたい焼きがブンブンと振り回されている。きっと今頃目を回しているんだろう。 (5/28 11:22:58)
Gaill Monochoria>
『なぁ、やめない?その、きゅあぷあだか何だか。あれは、!!子供をあやすための手段だろ!?』(期待通りを通り越した反応を見れば男は其の場で爆笑するだろう。畜生。圧倒的畜生。洋画に出て来るおしゃべりエンジニアみたいなこのばかたれは慈悲を持たない。一通り笑えば“ふ~~~~.............”なんて息を吐いて。)「あァ、そうだな。」「......確かに。子供あやす為に....必要な、ックク.......正当な行動だっ、クソ待ってくれダメだwwwwwwwwwwwwwwww」(真剣な目付きで途中迄良い感じの返答を送って居たがモチのロンの演技。無論、やり抜けないならば演技と呼ぶことすら失礼なレベルではあるが。)(思い出されたる“あの日”の記憶。純粋無垢な瞳の中に映し出される〝きゅあぷあ〟。葬儀屋お姉さんが放つはキュアグレイス爆誕を迫る言葉。.......近距離パワー型皆の姐さんが踊る姿、はまぁ............。此の場合はそっと仕舞っておこう。)(兎にも角にも。今目の前に居る端正な顔立ちの男の子が日曜朝にご家庭に一台はあるであろう液晶の中返信して市民を護る美少女ヒーローアニメのパロディを担当した事実はどうしようもない。ヒーロー目指そう学校所属悪趣味科学者の暴走-ライオット-は留まる所を知らない。ニヤニヤ笑いはそのままに。君の視線を誘導するように、ちらりと目を近くの店に遣った。)「所でェ.....アレ。」「〝お誂え向き〟じゃあないかにィ~?」(ちょっと小馬鹿にしたみたいな高めの嗄れ声をわざと出して。指し示す店先の商品は『きゅあぷあコスプレセット』、それもまさかの『-猫耳Edition.-』である。ちなみに本編に猫耳の姿なんてのは登場していない。ニッチな趣味もあるモンだ、と内心笑うが恐らく其の商品を開発した人間が狙う層よりよっぽどヘンテコな使い方を狙ってるなんてのは言わないお約束。) (5/28 11:49:46)
水沫 泡>
「もおぉ……」ケタケタと愉快に笑う君を、たい焼きをもしゃもしゃと食べながら眺める。息を吐いて落ち着いたかと思えば、堪えきれずまた笑い出す。それを見て呆れたように、勘弁してくれとでも言うかのように、彼は駄々をこねる牛みたいに"も〜"なんて言うことしか出来なかった。……だって、グレーブさんが説得してくるし。子供たちからの眼差しが熱かったし。そうするのが1番だって思ったんだし……。『所でェ.....アレ。』『〝お誂え向き〟じゃあないかにィ~?』「……ん?」君がわざとらしそうに、隣の店へと目線を送るものだから、彼はきょとんとしてそれを追った。きゅあぷあコスプレセット。-猫耳Edition.-………絶妙にオシャレなようでダサい筆記体が腹立つ。彼はきっとこう思った。チリも残さず破壊してやる(クラウドを使って気体化させてやる)…と。自分より少し背の高い君を、見上げるようにじーっと睨む。「げーいーるーくん……っ!!」いい加減にしろぉ!!とでもいうように、彼は君に飛びかかった。君が彼の手に落ちれば、読心×2によるくすぐりの刑に合うことだろう。自分が女装して、猫耳つけて、"グレイスだにゃん"とか言って、いったいどの層に需要があるというのだ。 (5/28 12:04:07)
Gaill Monochoria>
『げーいーるーくん……っ!!』「なんだねなんだねェ?まさか“買って欲しいにゃん♡”なんて____________(【ライセンス:動体視力】.........だが。此のほぼゼロ距離。油断し切った状態で運動能力の化身たる君の不意打ちを避けれよう筈も無い。何処まで行っても彼はただのヒッキーである。詰まる所起きる事象はただ一つ。)______どァはははははは!!!!!!!!ちょっ、オイやめッ....!!!!ぐッ、ぶはははははははは!!!!!!!!」(会心の。筆舌に尽くし難く会心の一撃である。君が擽れば擽っただけ男は其の痩身を捩って爆笑し、時折抵抗もしようともするだろうがちょっとした身長差ではどうにもならぬ、超えられない壁が其処には在った。)「悪かったッ!!!!!!悪かったからもうやめぅわあははははははははは!!!!!!!!!!!」(蹂躙とは正に此の事である。)(皆のヒーローキュアグレイス、其の正体見破ったり水沫 泡。だが然し。知らぬ方が良い事もあるのだ。お茶の間で熱狂する小さなお友達の夢を壊してはならない。悪の芽は何時だって摘まれるモノなのだ。貧弱ならば尚一層。........此の場合に関しちゃ、ありのままのキュアグレイスたる淡麗の学生が子供達の前に出たとて人気は変わらない所か幼少期よりオフショット需要なんてのを解してしまうおこちゃまを輩出しまくりそうではあるのだが。)(音の鳴るおもちゃみたいに笑い続く男は、許しを乞うて言葉を紡ごうとするのだが。其れすら爆笑と不足気味の酸素を求める呼吸に呑まれて途切れ途切れだ。) (5/28 12:51:58)
水沫 泡>
「ふふ、観念したかぁ?ゲイルくん」うにょうにょと動かしていた手を止めて、ちらりと顔をのぞき込む。涙が出るほど笑ったであろう君の顔をじーっと見て、まだ懲りてなさそうであれば彼の手が伸びてくることだろう。「俺はあんなの着ません〜、着せたきゃ力ずくでやるんだな」ふんっと拗ねたように鼻を鳴らして、いい加減君もたい焼き買いなよ店を指さした。全力の追いかけっこをしたとなれば、君のレッドドアの勝利だろうが……そんなくだらないことに能力は使うなと、きっと学校の授業で習っているはずなのだ。もしかしたら君が、それを最重要事項として能力を行使するかもしれないが……そんなことをすれば、くだらんことに容量を消費した生徒というレッテルが貼られるのは言うまでもない。_____、たい焼きのしっぽを口にくわえ、残った包み紙をくしゃりと丸める。ゴミ箱にぽいと投げ捨てればもう一度店のメニューを見て「もいっこ食べようかな」そいやき屋のたい焼きは、思ったより美味しかったらしい (5/28 13:10:36)
Gaill Monochoria>
「しましたしましたッ!!!!!!!」(聞くや否や即答。擽りの破壊力は絶大である。ぷあきゅ.....ではなくヒーロー:グレイスの猛攻が終わって尚、少しの間男は息切れをしているだろう。)『俺はあんなの着ません〜、着せたきゃ力ずくでやるんだな』「ほォ..........?」(割と真面目に一回観念はしていた、のだが人の歴史は繰り返すモノだ。彼は小さな砂時計のネックレスへ手を伸ばす。レッドドア、其は唯一人彼を除いて、結果のみを世界へ齎す切り札。彼を時計盤の央に立たせ其の探求を邁進させる不動のターボ。けれど。)『もいっこ食べようかな』(ふざけ合いの煽り、ではあった。し己がディスコードを使用して行おうとしていた事も其の一環だった。擽りや挑発気味の言葉に腹を立てる様な男では無いし、なんせ何処ぞのツインテールでツンツンな女の子との激戦にディスコードを使いまくった大莫迦が此の際レッテルを気にする事も無いのだが。)「.....そうだなァ。」「僕ァクリームにするがァ.......キミはどうするかね?」(男は些か、君の真っ直ぐさを蔑ろにするのは気が引けたから。また軽薄な笑みを浮かべて。)「奢っちゃるぜィ、ヒーロー」(休日、商店街。そいやき屋五代目店主の腕前、変わらず研ぎ澄まされて。)(同い年の学生二人。屹度、“うまいな”なんて笑い合うんだろう。)〆 (5/28 13:28:41)
水沫 泡>
(梅雨前のじんめりとした風が頬を撫でる。雨上がりにからりと晴れた晴天が心地よい。吹かれた風に長い髪が揺れて、青いイヤホンがチラリと見えた。)「ふん、……ふんふん___」(彼は歌を口ずさむ。それは昨日、あの子がみんなのために歌っていた曲。子気味よくピアノの音が弾んで、宙にぶら下がった足が自然と踊る。今日あの子が歌っていた歌詞を頑張って思い出して、それが"水流のロック"という名前の曲だと知った。いつもあの子が与えてくれる歌の力は絶大で、それがたとえディスコードの能力だとしてもそうじゃない所になにか大きな力がある気がして……。なんて、音楽のことはほとんど分からないし、普段あまりたくさんの曲を聞いているわけでもないのだけれど。……どこでだったか忘れたが、その子がたまに屋上でライブをやるのだと噂で聞いた事がある。それから気が向いた時にここへ来るようになったわけだけれど、今のところ遭遇できる予感はない。そもそも屋上でお弁当食べたり授業サボったり、ましてやライブを開くなんて話は漫画の中だけでのイベントだと思っていた。)「今日もこない……かなぁ」(スマートフォンから流れていた音楽が止まる。画面に表示された再生ボタンを押さずに、そのままイヤホンを外して給水タンクの上から飛び降りた。訓練してない人がそんなことすれば足が痺れて仕方がないのだろうが、彼はヒョイとそのまま地面にたどり着けばドアを振り返った。もしかしたらそこから、大量の荷物を抱えた君が来るかもしれないとは考えないで。) (6/6 20:13:08)
音戯華子>
「ン〜〜ン〜〜〜〜!..........フフフフーーフフフーンフフ〜フフーーーンフフフフフフーーーーン!!!フフフーンフフン!」(歌声が響く。)(否。)(この妙に間延びしていて、それでいてどこか平和ボケしたかのような。こんな経験ないだろうか。鼻歌を一人で奏でていたけれど、よくよく考えればこれは鼻歌である必要なんてないって。思わず嬉しくなっちゃって、)『とぉぉぉってお.......ッッッッッッッッッ!』(歌いだしちゃったりして。)(大方貴方の期待通り、になってしまったかもしれない。ギターケースとマイクとスピーカーを携えた彼女が階段の扉を開けて。)「............................................、.................」(貴方と、目があって。)「........................。」(頬が、ちょおおおおっとずつ熱くなって。)「..................は。」「はははは、はじめまひて〜〜〜........」(もう何色になってるのか想像もしたくないほっぺ。かみっかみになりながらも挨拶だけして、)(バタン。)(扉を閉じて、何事もなかったかのように帰ることにした。)「いやいやいやいやいや人いるなんて聞いてないよぅーーーーっっっ!きかれた!?聞かれたよねぜったい、なんのら鼻歌から聞かれてたよね.....?うわああああもうああああ..........」(小声でブツブツつぶやきながら、いそいそと階段を降りて。さぁどうしましょう。このままだと、貴方の探し人は何週間かはここに来ないでしょうけれど。) (6/6 21:07:03)
水沫 泡>
(階段を登る足音よりも先に、聞こえてきたのは間延びした鼻歌。それは次第に実体を持つように、輪郭を帯びて歌になった。ご機嫌な音符はそのまま勢いよく扉を開き_____) 『........................』『..................は。』『はははは、はじめまひて〜〜〜........』「みつけたっ!!!」(君の恥ずかしそうな上擦った声と、彼の嬉しそうなキラキラとした声が重なる。勢いよく引き返し扉を閉めた君を追いかけて、扉を引っ張り出すように開けばその腕を掴もうとする。)「君でしょ!?いつも俺たちに歌ってくれて、ここでライブやってる子!」(貴方の腕を目指した彼の手首の、そこにぶら下がった派手な髪ゴムが揺れる。彼は宝物を見つけたような声音で君に問いかけた。あんなにご機嫌な歌を歌えるのだ。昨日も、その前も、ヒーローに歌を届けていたのは君だって、そんな気がした。) 「探してたんだ、この前の歌も凄く良くて。あれから同じ歌をずっと聞いてるんだ、忘れられなくってさ、君の声を聞いてると力が湧いてくるというか……」(そこまで早口まくし立てて、それから勢いで伸ばしてしまった手を慌てて引っ込める。その様はさながら、推しを前にしたファンのそれだ。) (6/6 21:21:07)
音戯華子>
『みつけたっ!!!』(遠くで響く声。どうやら探しものが見つかったらしい、あわよくばその喜びのあまりさっきのあの恥ずかしい鼻歌まで忘れ去ってはくれないかなぁ、なんて考えていた。)(足音が、こちらに向かいながら大きくなるまでは。)(音が大きくなるにつれて、何が貴方をそこまで追い立てるんだなんて考えて、とにかく何もなかったかのように真顔を作って階段を降りていれば。)『君でしょ!?いつも俺たちに歌ってくれて、ここでライブやってる子!』「なん..............!?!!?!?」(──────普通に身バレした。)「うう、う、うぁぁあああのほんとにごめんなさいいや全然校則違反ってことは知らなくて嘘です知ってましたごめんなさいでもあのあのあのやっぱりみんなにこの声届けて幸せにできたら全然こちらも本望というかええあの焼くなりにくなり好きに断罪してくださっても構わないというかああああでも最後に一枚夢だったアルバムを出すのはしたくてですねぇぇ.......」(何度もいろんな場所でゲリラライブをやっては、教師に追いかけ回されて。紙切れ一枚。で保たれていた匿名性も、流石に限界があったらしい。というかあんだけ任務のときに歌ってたらそりゃバレる。というか多分先生にもバレてる。彼女はふにゃふにゃぁと目を細めながら言い訳とも命乞いともつかない何かを並べ立てて、とりあえず腹パンあたりに備えておこうと腹に力を入れようと気張っている。)『探してたんだ、この前の歌も凄く良くて。あれから同じ歌をずっと聞いてるんだ、忘れられなくってさ、君の声を聞いてると力が湧いてくるというか……』「......................。」「..........おお、お、えお、え??」(あまり経験のないその褒め言葉たちに、少しだけ頭がパンクして。彼女はオトギハナシとしてなら、貴方達と対等に接することができる。でも、いざ紙切れをとっぱらってしまえばそこにいるのは、少し人より歌が上手いだけの女の子。ヒーロー達が集まるこの学校に、ポツリと浮いた空白のようで。だから彼女は、貴方達みたいなヒーローに褒められるなんてのに、すこぶる慣れてない。)「お、おおはははい.........歌ったのははい歌いました...........でもすごいのは私じゃなくて作曲者と本家様なので........私なんてミドリムシ........いや光合成できるなんてそんな社会に貢献できてない.....ミジンコ........いやケンミジンコ程度の存在として...........生きていきたい限りで....。」(言い終わってから、これだとケンミジンコさんに失礼だったかな、なんて後悔する。これじゃあ一生懸命生きてるケンミジンコさんを馬鹿にしてるみたい。) (6/6 21:43:07)
水沫 泡>
『私なんてミドリムシ........いや光合成できるなんてそんな社会に貢献できてない.....ミジンコ........いやケンミジンコ程度の存在として...........生きていきたい限りで....。』君から早送りのように伝えられた自虐もしくは謙遜の言葉に、彼はしばらくぽかんと口を開けていた。彼には作詞作曲者が凄いことはもちろん、それを歌い上げてしまう人の力も同じくらいに凄いと思っている。……それを上手く伝えられないか、彼はなにかいい例えはないかとグルグルと考えていた。そして、ピコンと頭の上に電球でも現れそうな顔をした。「歌が音なら君はスピーカーだ!!みんなにそれを伝えて、感動させる張本人だよ。たとえどんなに素晴らしい音があっても、それがみんなに伝わらなきゃ勿体ないんじゃない??」これはうまく例えられたんじゃない?なんて少し得意げな顔をしてから、君の持つ荷物の1部をひょいと下から持ち上げようとするだろう。「校則なんてどうでも良くない?って……君の歌を前にしたらそう思うよ。」彼は基本真面目だけれど、たまには悪いことをしたっていいんじゃないかなと思ってしまう。人生を楽しむための誰にも迷惑をかけないルールなら、破ったっていいじゃないか。「君のライブが聞きたくて待ってたんだ、準備手伝わせてよ……このスピーカー重いな」 (6/6 22:05:34)
音戯華子>
(キラキラと輝きだしそうなほど純粋な瞳でこちらを見つめてくる貴方に、どこか気後れするかのように彼女は少しだけ身を引いている。)(どうしよう、どうやって逃れようか、なんて考えていたときだった。)『歌が音なら君はスピーカーだ!!みんなにそれを伝えて、感動させる張本人だよ。たとえどんなに素晴らしい音があっても、それがみんなに伝わらなきゃ勿体ないんじゃない??』(【それは。】)「っっっ、ぁ。」(【よくない。】)「ゎ........わたし、はっっっ!」(彼女は唇を噛み、自分の履いたスニーカーの先っぽを睨みつける。)「みんな、に。」「つ、伝えたい、ことがけっこうあります。ホントは、自分自身の歌詞に載せて、みんなに届けたい、です。」(表面張力でずうっと耐えていた言葉が、心から零れ落ちる。)「ほんとはもっと、自分だけの言葉をみんなにとどけ、たい。」(とくり、とくり、溢れ出す。)(彼女は貴方の言う、『音』になりたかった人間でなんだよ。)「でも、わたしはあんまり作詞のセンスはないみたいで。伝えたい感情をどれだけ詰め込んでも、ぐっちゃぐちゃになっちゃった、り、」「けっこー、尖らせようとしすぎてダサくなっちゃったり、シンプルにしても、どこかで聞いたことのあるような歌詞になっちゃって。」「私がしてることは。」(本当に、本当に悔しいけれど。)「二次創作なんです。」「貴方達(一次創作者)みたいに、自分の思いをぶつけることができなくて。だから、だから。」「前の任務で本当に褒められるべきは、スピーカーなんかじゃないです。歌、作った人のほう。」(彼女は、苦悩し続ける。自分の才能の無さに、それでも創作を続けたいという自分の心から溢れ出す欲望に。原作者ありきで成り立つ二次創作、貴方達一次創作者はいつだって輝いて見えて仕方がない。それなのに、貴方達と同じ土俵に立つのは少々。)「スピーカー。持って帰ります。 .......................感謝の気持ち、うまく受け取れなくてごめんなさい。」(酷な話だ。) (6/6 22:48:47)
水沫 泡>
(彼は少しずつ沈んでいく君を見て、表面張力のようになって張り詰めていた気持ちが耐えきれなくて零れていくのをみて、どうしても君の手を、もう一度掴もうとしてしまった。取り返そうとされるスピーカーに力をいれて奪い返させない。スピーカーを持つ手を後ろに引いて、何も持たない手で君の腕を掴めたのなら、強く引き寄せるだろう。)「ごめん」「ごめん、無神経だった。」(君の気持ちを理解していなかったことを、理解する。彼は少しずつ共感する。君の絡まった心を解く手伝いをするために)「……聞いてみたい」「嫌ならいいんだ、悪い気分にさせちゃったし、」(きっと他のヒーロー。君の言う一次創作者達なら、もっともっとうまい言葉をかけて、こんな自分みたいに失敗なんてしなかっただろう。けれど彼の目は真剣だった。笑ってなかった。)「はじめはみんな上手くいかないんだと思う…俺だって……まだヒーローなんて名乗れない。みんなの隣に立つ資格があるのか分からないし、必死でしがみついてるだけで。たくさん、苦しくて…」(慰めの言葉が拙い。そもそも君は慰めて欲しいのか?誰に頼まれた。これはただのエゴだ、でも)「君の歌に助けられたのは本当だ、君の声に助けられた、それがたとえ君の作った曲じゃなくても。その歌を歌う君の心に助けられたのは本当なんだよ」(だって僕ら、みんな。2番目のヒーロー"二次創作"だ)「だっ、だから!……君の伝えたい言葉を聞いてみたい、まだ音符を与えられてなくてもいいんだ。俺は確かに君の歌が聞きたいって言ったけど……芸術とか、疎くて。うまい言葉、見つからないけど…」(2番目だってきっと、誰かの中でなら1番になれる。) (6/6 23:06:29)
彎蜿 一>
─(この学校の1番高い場所。全てを見渡せる、といったら少し過言だけれど、この学校を見渡せる屋上は隠れ人気スポットだ。そもそも屋上を解放している学校自体が珍しいから、皆憧れて1度は踏み入れたことはあるだろう。)(そして気づくのだ。漫画のように屋上で1人で、或いは恋人や親友と2人でサボったり。昼休みにお弁当を広げて食べたり。そんなことは所詮漫画や小説の中の空想のものだということに。)(それでも数人は屋上にいたりして、少し騒がしかったりするのだけれど、今日は“偶然”、扉の向こうは静かだった。)(ガチャリと扉を開けば、ほら、君と仮面越しに目が合った。)「…こんにちは。…君は────、」(ふわりと風に揺られる、シャボン玉のような長い髪。ぱちりと瞬く、ガラスのような瞳。強風が吹けば、パチンと不意に弾けて消えてしまいそうな君のことを、彼は知っている。)(けれど。)「…よく、八六やエレナと一緒にいる人、だよね?」「こうやって、2人で会うのは、初めてだね。」(【演技】仮面越しで表情は見えない。仮面と、空虚な左腕を除けば彼は普通の人であった。)「─…“初めまして”。僕はの名前は、はじめ。君の名前は?」(【洞察】君を赤い瞳が捉えている。見つめている。君の一挙一動を見逃さないように、───じっ……と。)>うたくん (6/26 19:11:39)
水沫 泡>
じっとりとした空気。真夏の前の挨拶みたいな豪雨。梅雨時のこの生ぬるい感じが得意ではないけれど、嫌いでもない。快晴でもないが、天気が悪いわけでもないみたいな、曖昧な空模様を彼はじっと見上げていた。それはまるで空から落ちてくる何かを見つめているかのようだった。キィ、扉が開く音がする。彼の視線は、落ちてくるそれを追うようにして………君とパチリと目が合った。……。正しくは、君のその仮面と目が合った。ドキリとする。人の表情が見えないことに。それから、君の片腕がないことに。隻腕の生徒がいるというのは聞いたことがあった。任務で何度かその名前を見たこともある。だからひっくり返るほど驚きやしないが、今後慣れることもないんだろう。『…よく、八六やエレナと一緒にいる人、だよね?』予想外な言葉。彼は2人と仲が良いんだろうか?普段から2人のことをよく見ているような口ぶりに、彼は少し疑問を抱く。少し首を傾げながら、それでも曖昧に笑って応えた「はじめまして、俺はウタだよ。水沫 泡。」「君…はじめ君も、休憩?」君の視線が身体を這うようにしているのが分かって、彼は少し笑顔を崩した。困ったように笑い、けれど、こっちにおいでよと君を手招く。_______1つ。その腕につけられた髪ゴムはいやに派手で、その彩度が彼から浮いて目立っていた。それが普段、ハチロクが身につけているものと同じであることを君なら気がつくかもれない。________2つ。彼の首からはチェーンが下がっているのか伺える。その正体は服に隠れてしまっているが、それがエレナが身につけているものと同様であることを、きっと君が見逃すはずもない。君の言う通り、彼は君のよく知る2人の、親しい友人である。 (6/26 19:35:34)
彎蜿 一>
─(曖昧に笑って応える姿も、此方においでよと手招く姿も。)(ずっとずっと、彼と彼女越しに見ていた風景だ。)(君の表情は2人に向けるものとは違うけれど、それでも、それでも…だ。)(【恍惚】ようやく、お話出来るね。)(ゆっくり、ゆっくりと。1歩1歩、君に近づいて、ある程度の距離でぱたりと止まる。)「僕?ぼくは、」(君の質問に答えようとした。)(けれども、彼の言葉は止まる。)(仮面越しの視線は、髪ゴムと首からぶら下がったチェーン。) (────………………………あぁ。)(知っている、知っている知っている知っている知っている。)(─ソレを、知っている。)(【─望】、【──】、…………【─望】)(僕は、俺は、あぁ、)(【思考停止】)(──息を吸う。)(───…【リセット】)「…ごめんごめん。泡の、付けている髪ゴムとチェーンに見覚えがあって。…思わず、驚いて黙り込んじゃった。」(【演技】上手に笑えてる?──あぁ、仮面越しだから関係ないや。)「うん、僕も休憩しに。外の空気が吸いたいな、って思って。」(【心音】うるさい、うるさい、うるさい。)「…初めて屋上に来たけど、意外と風が強いね。」(うるさい、黙れ。)「でも、涼しくて、ちょうどいい。」(煩わしいな。)「…泡は、ここによく来るの?」(─────────…あぁ、もう。)(××しろって、ばかだなぁ。)>うたくん (6/26 19:52:21)
水沫 泡>
「……?」「…あぁ、これ、ね」見覚えがあって。そう言われると手首を見て、それを大切そうに。もう片手の指を滑らせ、撫でる。____見覚えがあって、黙り込む。それが余程君にとって重要なものだったか、それとも。2人が君にとって重要なのか。彼は近づいた君をチラリと見上げて、思考を巡らせた。「高い場所にあるからね、遮るものもないし。……ちょっと髪が邪魔かな」吹く風に引っ張られるみたいになびく髪を、煩わしそうにまとめあげると結んだ。【読心】……………………………………。……………。……。やっぱり。分からない。……。目の前の彼は自分の気持ちを隠している。仮面をつけているからとかでは無い。声色、所作、仕草、会話の間、呼吸。それら全てが描かれた通りに、台本通りに進んでいるようだった。それは日常を、演技をしているかのようだった。……視線。彼は嫌な視線に敏感だ。人を疑う目、馬鹿にする目、のけ者を見る目。よく、とてもよく知っている。……でも、「うん、よく来るよ。考え事をするのにちょうどいいんだ。空もよく見えるしね」君のそれは違った。そのどれとも違って、なのに。…。このじっとりとした空気はきっと、梅雨のせいだけじゃない。君が何を考えているのか分からない。自分に何を思っているのか分からない。その不安はじわじわと心を犯していって、その焦りは自然と表情に出てしまうもので。…生憎、彼は繕うのが苦手だから。その瞳に不安を滲ませてしまうのだ。 (6/26 20:04:01)
彎蜿 一>
「─…、」(【洞察】じわりと君の瞳に不安が滲むのを、彼は見逃さなかった。)「…怖い?」(【演技】そう言って彼は、仮面に少しだけ触れて、左腕に不意に視線を少しだけ。)「仮面は僕の大事なもので…左腕は、」(【演技】少しだけ言葉に詰まらせて。)「…うん、まぁ。昔、色々あって。」(【演技】【演技】【演技】【演技】)「…怖がらせて、ごめんね。」(恐怖と不安は、少しだけ似ているけれど、別物だ。)(でも彼は“恐怖”を選んだ。)(君に悟られたくなかったから?)(─…わからない。)(けど、こう言った方が効果的なのは、いつだって経験がそうだと言っていた。)「出来れば慣れてくれると嬉しいな、って、思うんだけど…」(──君は聡いから、彼の全ての言動が、違和感の塊に思えるのだろう。)(でも彼は、それを当たり前のようにこなすから。)(──【真実?】“ソレ(演技)”は彼にとって、きっと“日常”だったのだ。)(……たぶん、ね。)>うたくん (6/26 20:17:42)
水沫 泡>
「怖くはないよ」「腕がない事とか、仮面をつけている事とか。驚きはするけど、でも……それに恐怖も不安もないよ。」許容。それは彼にとって1番大きな感情。全てを抱きしめて、抱えて、歩き続けることができる。君が上手に話をすり替えようとも、彼はそれに引っかかることは無いだろう。なぜなら、彼がこれまでも、今後一切も、君を拒むことはないからだ。_____深呼吸。彼は諦めたように笑って、遠くの街を見据えた。「はじめ君は嘘をつくのが上手だ。」「誤魔化すのも、演技も、……得意でしょ」フェンスに指を絡ませて。彼は振り返り、からかうように笑うだろう。それは悪いことを指摘している風でも、責める様子でもなかった。ただ、ひとつの話題として。「だから、何考えてるか全然分からないんだ。……他の人は、大抵分かるんだけどね。」「だからちょっと不安になった。ごめんね。」彼は申し訳なさそうに、それでも笑う。この不安が君に伝播したのかもしれない。そうじゃなくても、君に演技させたのはきっと自分だろう。「もしかして、俺に用事があった?」偶然。きっとこの出会いは偶然だろうと、彼も思っていたけれど。もしかすれば君は、何か伝えに来たのかもしれないなんで風に思えて。聞いてしまう。 (6/26 20:29:44)
彎蜿 一>
「─────、」(まさか、君が諦めてそのまま話すとは思っていなかったから。)(彼は驚いたように、ほんの少しだけ固まった。)(そして、またゆるりと動き出す。)(君が例えた通り─そう、台本通りに。)「演技も誤魔化すのも、……まぁ、慣れてはいるけれど。」「嘘は、どうだろうな。」(…だって、だってさ、考えてみてよ。…いや、言わないけれども。)(──空っぽな人間が、人間らしく居ようとするには、演じるしかないんだって、さ。)「用事らしい用事はない、けど、」(…少しだけ悩んで、間をおいて。)(【本音】君が正直に言ってくれたから、少しだけ。)「八六とエレナが、泡のことを話すから。…前からずっと、気になっていんだ。知りたいなって、話したいなって。」「─────…【愛せるかな】、って、」(────…………。)「……なんて、ね。最後のは、“ウソ”」(【嘘】。)>うたくん (6/26 20:42:27)
水沫 泡>
「えっ……」2人が自分のことを話していた。その事に少し驚く。胸元のネックレスを握りしめるようにして考える。……2人の中に自分を残せている。その事に嬉しくなってしまって、彼の頬は緩むだろう。それと同時に、色々なことを考えた。2人の能力が自分にも使える理由だとか、雨のことだとか。「そっか、それで俺の事知ってたんだもんね。」『─────…【愛せるかな】、って、』…………。気になっていた人と話したかった。それはどんな人でも起こりうる感情だろうけれど、最後のそれはどうだろう。きっとそれが、"君の特性"。ディスコードとの適性が見出された俺ら生徒は、多かれ少なかれ一般的では無い部分がある。それは基本的に感情だとか、性格だとか、過去だとかと結びつく。何かしらの特性を認められて、俺らは今ここにいる。君もきっとそうだ。だから、少しくらい歪んでいようと何かに突出していようと、感じるのは違和感ではなく納得だった。その嘘、という言葉が嘘なのか真実なのかは、彼はきっと考えることをやめるだろう。「俺は君のことまだなんにも知らない、だからもっと色々教えて欲しいな。」「……って思うんだけど、それが簡単に出来たら俺らはきっと"こう"はなってないよな」自分も君も歪んでる。演技して、隠して、それを読み解こうとして。普通なら、こんな特技はお互い身につかなかっただろうから。「俺は君のこと、多分嫌いになったりしないよ。出来ないと思う。……だから沢山お話ししよう。」ありのままでも、受け入れられるから。 (6/26 20:54:09)
彎蜿 一>
「…、」(───……あ。)(…あぁ、うん、たぶん、そうだ。)「────────そう、だね。」「僕も、泡のこと、知りたいし、知って欲しいな。」「たくさん、受け入れて欲しい。」「だから、たくさん話そう。」(──…あぁ、ああ、嗚呼!!!!!!)「……。…これからも、よろしくね。」(───────────────、)(─────────ごめんね。)「…泡。」(────……きっと、君に全てを話す日は来ない。)(ありのままを受け入れくれる君の隣はきっと居心地はいい。僕も隣にいたい。それを望んでいた。)(───望んで、“いた”んだ。)(もうこれ以上はいいだろう。考えたくもない。君もこれ以上は深く追求してこないだろう。)(例え彼が、最初にあった頃の恍惚が無くなって、違和感の塊でしかなくなったとしても。)(本性の鱗片すら見えなくなったとしても。)(だって君は、“そのまま”を【許容】してくれるんだろう?)(だったら、)(─────それなら。)(…関わらないでくれ、話しかけないでくれ、触れないでくれ。)(─【受け入れないでくれ】。)(八六やエレナとは違う【許容】を、彼は受け入れられなかった。)(違う、君のことは嫌いじゃない。好きだ、好きなんだ。愛している。)(君を知った時から、ずっと、ずっと。今でも深い愛情で君を包み込める。)(だけど違うんだ。────あぁ、だけど、だけどだけどだけど!!!!!!!!!)(…………。)(……、…【許容】、されたかったわけじゃ、ないんだ。)(─なんて。)(全部全部、【演技】で蓋を、して。)(【愛情】僕も、泡のことを嫌うことは無いよ。愛している。…でも。)(【演技】君に、全てをさらけ出す日は来ない。)>うたくん (6/26 21:27:43)
水沫 泡>
君の様子を見て、彼は確信する。きっと、自分は。……。「エレナと、ハチロクとはどんなことを話したんだい。」ヒーローに向いてない。「俺のこと、色々知ってたみたいだけど。それを聞いて君は、俺の事どんな風だと思ってた」ヒーロー。それは救い手。無償の愛と救いを差し伸べる誰かにとっての味方。君は俺に何を期待していた。何を見ていた。……これまでの任務でも、いつも任務で歌を歌う子と話した時もそうだった。俺は何かを救えたか?なにかの期待通りでいられたか?それは全部自己満足なんじゃないか?俺は、ヒーローになりたい、ヒーローを理解したいなんて気持ちに引っ張られているだけのただの。…………。君の演技に隠れた声音を聞いた。その裏に隠れた本音は分からないけれど、予感がこう言っている。""この人の力になることは出来ない""と。自分の許容の性質を。……彼は、これまで。1度だって、""許容されたことがない""。ハチロクには、もし自分が悪いことをしたら止めてくれるのか問い詰められたことがある。けれど、できないかもしれないとそう言えば、彼は悲しそうにしていた。エレナには確か、全てされるがままに落ちていくことは無いと引き上げられたか。……確かにそれで彼は変わっただろう。ヒーローを憎むことは無くなっただろう。……そして君だ。彼はたった今、君にとっての特別にはなれないのだと、確信した。……任務ではただ与えられた目標をこなせば良い。最適解を出せば良い。きっと誰かを救うその役目は他の誰かがやってくれるだろうから。きっとこの許容が必要とされるその時は、来ないだろうから。「君は、俺に何を期待してた」 (6/26 21:45:29)
彎蜿 一>
「どんな人?そうだね、」(彼は、君にゆっくりと語り出す。それはまるで、大切な話をするかように。宝物を君に見せびらかすように。)(例えば八六は、いつでも冷静でいてくれる人だと、そばに居てくれる人だと言っていた。)(エレナは、……エレナも、君はそばにいてくれる人だと、話していた。)「あぁ、それから、」(彼は思い出したように、くすりと。)(それはそれは、懐かしむように、微笑した。)(───仮面に隠れてしまっているけれど、でも確かに、その雰囲気は感じ取れるだろう。)「よく一緒にいるものだから、恋人なの?って聞いたら、顔を赤くしてわたわたとしていたよ。」(可愛らしいね、と。)(そう言って、仮面の隙間から赤い瞳が覗いた。)─(僕は君に、何を期待していた?)「なぁんにも。」(初めから、初めて会う人に期待している人などいるのだろうか。)(…いや、いるのだろう。きっと。)(そしてそれは、わりと“当たり前”なのだろう。)「なにも、してなかったから、」「……なにも、知らなかったから、」「────なぁんにも、“期待”は、してなかったよ。」(これは落胆ではない。期待して、落ち込んだのではない。)(こんな人だと聞いていたから、きっとこうしてくれるはずだと、そう思っていた訳でもない。)(ただただ、ひどく、単純に。明瞭に。)「──僕の【愛情】と君の【許容】は、ほんの少しだけ。」(そう、それは、本当に、ほんの少しのズレ。)(そのズレが、彼の君の間に、演じるしかないという壁を作ってしまった。)(…ただ、それだけなんだ。)「…合わなかっただけ、だよ。」(それでも僕は、君を【愛している】。)(それは無条件の【愛情】だ。)(君が無条件で【許容】するように。)(─彼もまた、君を【愛している】のだ。)>うたくん (6/26 21:56:37)
水沫 泡>
「そっか、合わない……か。」それじゃあ仕方ないな、なんて。君の話を一通り聞いた彼は、全て飲み込むことにした。なに、いつも通りだ。今までもそうやって生きてきた。これからもそうやって生きていく。彼は不意に、胸元からネックレスを取り出す。翼の形をしたそれを空にかざして、握りしめた。「ハチロクは、良い奴だろ。俺あいつのこと大好きなんだ。………たまに真っ直ぐ過ぎて置いていかれるけどな」呆れたように笑う。君との共通点があるとすれば、どんな形でも2人のことが"好き"ということだろう。その1点においてのみ、同じでいられるはずだと思うから。「エレナは強くて優しくて、可愛いよね」俺もそう思う。なんて、ほんの少し恥ずかしそうにはにかむ。けど。………けど。「恋人ではないよ。……ないし、これからそうなることも無い。」なぜなら、そうはできないから。そんなことをして、彼女を傷つけたくはないから。いつかそこが空席になると分かっているのに、その特等席を予約するだなんて。馬鹿げた話だから。……彼はそこだけは強く、否定しただろう。 「合わないパズルのピースをはめても、壊しちゃうだけだね」彼は君を、仮面の奥を見据えて笑う。期待されていなかった。なぜだかそれが悲しいような、でも心が楽になったような気がした。君のその愛情の性質はさっぱり分からないし、君もこの許容の性質はさっぱり分からないんだろう。「これからも2人のことを頼むよ。ついでに、俺の事も。」冗談だ、と言って彼は笑う。愛と許容の狭間で、友達でいよう。 (6/26 22:13:31)
彎蜿 一>
「……仕方のないことだと思うけどね。」(【人間を愛すること】と【全てを許容すること】)(似ているようで、違うそのふたつ。きっと、そのズレは本人たちにも何となくしか分からないものだから、第三者からすればきっと、首を傾げられるような問題だ。)(──ほんの、ほんの少しだけ。)(似ているようで、似ていない君になら、話してもいいかもしれない。)(だって君なら、【受け入れて】くれるんだろう?)(だから問いかけよう。)「──…泡は、例えば僕の全てを受け入れたとして、」(空虚で、空っぽで、何も無い彼のこと。)「……その先に、何がある?」(──────君の【許容】の先にあるものは、なんだ?)(【許容】の先には何もない。…そんな、予感がした。)(君は確かに全てを許してくれる。受け入れてくれる。(でも、それから?それから、どうしてくれるんだい?)(愛を返してくれる?愛を否定してくれる?)(愛を受け入れるだけ受け入れ、何もない、なんて。)(そんなもの、─────【空虚】のまま、じゃないか。)(現に君は、エレナの“特別”を強く否定した。)(…もしも彼女が告白をしたら、君は【許容】するだろうに。)(…いや、それだけは少し分からないのも確かだけど。)「……今でもいいし、今じゃなくてもいいよ。」(コツ、と足音が響く。)「──────いつか、この問の答えを、」「泡が、迷いなく答えられる日を、」(深呼吸。)「僕の【愛情】に“答え”をくれる日を、」(仮面の隙間から、赤い瞳が、)(────髪ゴムと、チェーンを。)(2人から君に向けられている感情を。)(いつの日か夢に見た、【泡沫】を捉えた。)「────────待っているよ。」>うたくん (6/26 22:28:24)
水沫 泡>
暑い。あつい、あつい。………。あつい。それは語彙力までも溶かしてしまうような熱気だった。まだ6月?そんなわけあるか。なんでこんなに暑いんだ。クラウド、お前は気楽そうでいいな。「アイスとか、買えばよかったかな」プールサイド。悩み事とか考え事とかする時に、彼はよくここを訪れる。人はほとんど来ないし、来たとしてもみんな泳ぐから話しかけられることもない。水は好きだし……主にクラウドが。つまり彼にとってととっておきがこの場所だった。水にはしゃいで飛び回るクラウドをよそ目に、彼は日陰で書類に目を通していた。それはこれまでの任務の事とか、神様の事とか。自分なりにまとめたレポートの束だった。そうやってみんなの力に慣れたらいいと思った。みんなみたいに感情で訴えることとか、誰かを救済できるような言葉なんて俺にはないから。そう出来たら、いいと思ってた。でも。_______。キラキラと反射する水が眩しい。ここに来る時はいつだって、水面の輝きに反して心は重く苦しい。「ヒーローって、なんだろうな、クラウド」誰にも届かないような小さな声で問いかける。ヒーローを救うヒーローになりたい。そうは思ったものの、実際のところ彼にできることなんてたかが知れていた。意気込みに反した間抜けなレポートを感情と一緒にぐしゃぐしゃに丸めてはポイと後ろに放り投げた。 (6/29 18:06:28)
エレナ>
酷暑。熱波というより、もうこの辺りは熱帯だ。南の島の方が日本より実は体感的に涼しかったりするのだと、放浪癖のあった母が夏になるとよく口にしていたが、それが身に染みてわかる。サウナにお湯をぎっちり詰めたような暑さは、悲しいかな北国の血が強い私には割増で打撃を与えているような気もしてきた。そんな日は_____プール!なんて考えて、早朝に水着を引っ張り出してきたわけだ。いわゆるスクール水着やビキニはサイズ的に少し危ないので、真っ黒い競泳用なのが少しモヤモヤとするところではあるのだが、ともあれ今日は泳ぐ、泳ぐのだ。と、人気のまだ少ない貸し切りのプールに、水着を下に着ているものだから軽快に服など放り投げるように脱いだところで_____『あれ』顔見知りの姿を見咎めた。錆びる素材ではないから付けたままのネックレス、翼に輝石が仕込まれたそれは、何を隠そう彼とお揃いで買った物『なんだ……。この暑い中、泳ぎもしないでいたら熱中症になるぞ。ほら、何を抱えているかは私には分からんが。』『……行こう?』誰かの秘密基地、隠したい秘密の泉に踏み込んだ気がした。だから、土足でそのまま踏み込んだ。この暑い中悩み事なんかつまらないぜと、向日葵の咲くように笑って行こうぜと手を引く。このまま行けば_____一緒に水面にダイブだ。 (6/29 18:26:47)
水沫 泡>
『なんだ……。この暑い中、泳ぎもしないでいたら熱中症になるぞ。ほら、何を抱えているかは私には分からんが。』………「へ?」聞きなれた声に顔を上げる。視界に飛び込んでくるのは水着姿の君。そういうあれではないが、友人の普段見ない姿には誰しも驚くものだろう。水着となっては尚更だ。放り投げられた紙くずが虚しく転がる。目のやり場に困り、オロオロと目線が泳ぐ。長いラグの後、彼はようやく二言目を発しようと口を開き『……行こう?』咲いた笑顔と、身を任せたくなるような声に、抗えなかった。君に引っ張りあげられて、そのまま影の外へ出る。照りつける日差しが白い肌と髪を焼いた。…………。深い水を近くにすると思い出す。彼は、海で溺れたことがある。その時に助けてもらって、その人は代わりに亡くなった。母だ。君にこのことをちゃんと説明した記憶はない。だから。 君が水面に飛び込んで、足が空を切る。まずいな、水着を着てない。泳ぐつもりなんてなかったから、シャツがダメになっちゃう。あぁ、そんなことよりも、「まっ、エレナ」______彼は泳げない。それを伝え損ねたまま、ドプン。音を立てて2人とも青い水に沈んだ。足はつく、立てば息ができる。なのに身体に力が入らなくて、どうやって立てばいいのか忘れたみたいに身体が重い。___きっと、1人だったら多分このまま沈んでた。けど、幸い君の手を握ったままだ。その手を強く握り返して、自分の身体を引き上げようとする。彼はそのまま水面に浮上して___「ぷはっ……!!ゲホッおぇ……」呼吸した「何考えてるんだよ!ゲホッ……めちゃくちゃだな君は」びっしょりと濡れた長い髪をかきあげた彼は、本気で焦った顔をしているだろう。きっとその姿は間抜けだ。 (6/29 18:51:57)
エレナ>
『……シラケた顔しているよりも、そっちの方が可愛かったからだが。』あはは、と声を出して笑った。塞ぎ込んだ顔なんてしているよりも、今の困りきった小動物のような顔の方が私は何倍も好きだ。多分泳ぎが得意には見えない___大概上手い人は水を吸い込まないから_____のは意外だし失策だったから、握った手は離さないまま。『気づいたか。お互いびしょ濡れなんて、最初あった時とそっくりだ。』炎天下と土砂降りの雨は似ても似つかないし、プールと雨宿りはてんで結びつかないけれど、こんな風に二人とも頭から濡れている風景は最初と同じだと思えた。『まあ、いつも困った顔を私にするのは恒例行事だから、もう見慣れてしまったものだが。』 貴様には困らせてばかりだなと苦笑した。確かに私が迷惑をかけたり心配をかけてばかりいる気が段々してきているのは心外『……その時、確かこう言った。本当にどうしようもない時は、私だけでも最後まで貴様の味方だと。だから、話してみろ。』だから、その時口にしたもう一つ。泡の味方も同時に張り続けられる。『……二人だけのヒミツ、だ。』___飛び込んだ波間が緩やかに消えていく。時期より早い炎帝も翳りが見えて、涼やかな水中が心地よく体を包み込んだ。髪を払い、水滴が散る。この夏のように、それはいつか終わるような予感を帯びた淡い色の想い。二人だけの秘密を持ちたいのだと口にしたのは_____少しだけそれが、寂しかったからかもしれなかった。真っ青に透き通る瞳が緩やかに滲んだのは、何も水に飛び込んだからばかりではない。 (6/29 19:11:04)
水沫 泡>
「俺泳げないし!エレナいなかったら溺れてたからな!?」笑い事じゃない!!そう言って声を張り上げる彼も、どこか楽しそうだった。喉に詰まった水を吐き出して、少し落ち着く。照りつけられた肌が冷えて心地よい。まだ君と手を離すのは怖いけど、あんなに避けてたはずの水が好きだと思えた。夏の日差しに頭がおかしくなってしまったのだろうか。『気づいたか。お互いびしょ濡れなんて、最初あった時とそっくりだ。』「ほんとだ、俺たち濡れてばっかだな」自然と零れた笑い声が、2人しかいない水面に反響する。これから先、こんなことが何回あってもいい。何回でもあって欲しい。でも『まあ、いつも困った顔を私にするのは恒例行事だから、もう見慣れてしまったものだが。』「エレナは頼れるから。色々話しやすいんだ」出会いがあれだったのだ、今更何を話したって変わりはしないだろう。だから君に話したいことが沢山あるんだ。それなのに、スラスラと出てきた言葉はそこで詰まる。それ以上言うなと首を締められる。きっと、首を絞めているのは自分自身だ。『……二人だけのヒミツ、だ。』そうだ、二人の秘密だ。あの時もそうだった。流れた涙を雨のせいにして、全部流してしまえば良かった。だから多分、今もあの時と変わりはしないだろう。夏の青空みたいな君の瞳をじっと見て、空色が滲んだのはきっと見間違いじゃない。「俺、ずっと前に死神を見たことがあるんだ」ぽつり、降るはずのない雨に言葉をこぼした「その人は俺に、このままじゃ死ぬって言ってるみたいだった。その時はまぁそれでもいいかなとか思ってた」いや、本当は今だって雨は降っていて。それに誰も気がつけないだけで、無かったことにしてるだけなのかもしれない。そういうカミサマが居るってこと、たくさん図書館で調べたから彼は知っているんだろう。彼は君と、君たちと話す中で変わってしまった。死にたくないと思ってしまった。「みんなみたいにかっこいいヒーローになりたい。」それは羨望「みんなと、…エレナと、もっとずっと一緒に居たい」それは願望。「でも俺には時間制限があるんだ、……確信はないけど、多分……多分、」「おれ、さ……」……………その先は怖く言えなかった。無邪気な顔は次第に歪んで、君に見せられなくなって俯いて、広い水面に1つ、雫が落ちた。 (6/29 19:32:40)
エレナ>
『……ああ。』これまでの何により、これからの誰に向けるより、穏やかな表情で彼を抱きしめた。振り絞るような言葉を、最後まで聞いた。彼はそれまでより幸福なんだろう。彼はこれからの幸福を予測してしまったのだろう。そしてそれが、届かない星だと観測してしまったのだろう。『怖いよな、辛いよな……。もっと、最初に知っていたら、もっと一緒に泣けたのにな。』涙が流れた。冷ややかな水面を焦がすくらい、熱い涙だった。この人を救える手立ては無いのだろう。きっとそれは、何か寿命じみたもので。多分だけど、私も知らないだけで、私は彼よりか長いだけで、私にだって設けられた終わりなんだと思った。でも。きっと腕の中にいる彼の方が泣きたいだろうから____強い私は、歯を食いしばった。『泣き止んでくれなんて言わない。いっぱい泣いて、いっぱい悔しがっていいし、いっぱい怖がって、八つ当たりだってしたっていい。』言葉が掠れた。『その時、どうしようもないお別れをする時に_____貴様が、胸を張って笑えるように。 幸せにおなり、と、誰かに言えるように』言葉が詰まった。何よりも残酷なことを言うような気持ちで。『私が、精一杯楽しかったって思わせてあげるからさ。』何より優しい言葉を吐いた。 『普通の恋人やら、普通の結婚やらは……死がふたりを分かつまで、だったっけか。』 『なら_____一生やら、永遠やら。』 『そんな言葉より……もっと長く、一緒に居よう。一緒には死ねないけど、それより永く。その向こうまでも、貴様が寂しくなった時には……たかだか生き死にの一つや二つ、踏み越えて現れてやる。』ディスコードは思いの力、思いが奇跡を起こすなら。『ん。_____愛していると、そう言った。』死の絶望や恐怖には、未来永劫を超える愛(きせき)を与えようと。_____涙より切なく笑うのだ。 (6/29 19:54:02)
水沫 泡>
彼はその後泣いただろう。青い空を突き抜けるほど大きな声で泣いたと思う。これまでに無いくらい、これから先もないくらい泣いて、泣いて、。前に進もうと決めただろう。決して届くことの無い星に向かって手を伸ばし続けると決めた。傍に君が、ヒーローが居てくれるのなら、それも悪くないと思えるように。_______幸せになる。幸せにする。楽しかったと笑って終われるために。…なに、終わりがわかっている分贅沢なものじゃないか。人はいつだって急に死んでしまうものだろうから。「ところでエレナ、」「俺とずっと一緒に居てくれるって言ってたよな」しばらくして落ち着いた彼は、目を腫らしたままプールで泳ぐ君を見て言うだろう。いつか消えてなくなるとわかっているのに、君の特等席を予約するのはずるいだろうか。愚か者がすることだろうか。それなら俺は、…………愚か者で良い。「俺が向こうに行くまで、」「付き合って欲しい」〆 (6/29 20:08:38)
Yuri・Annabel.>
( 溶けた雪を掻き分けて、小さな新芽がゆったりと顔を覗かせた。重たくなった地面からは雨の後の香りがして、晴れ模様をお伝えする。存在しない水溜まりをぱしゃんと踏んで、世界はちょっとずつ、なんてことない日常に戻っていく。街だってすっかりこの通り。休日なだけあって、商店街の人通りは多くあった。待ち合わせの少年少女、デート中のカップル、食べ歩きする趣味人だってなんでもござれ。人波を掻き分け、小さな子供が駆けていく。漸く晴れた、一時的に危険が去った反動が其所にはあった。かく言う少女も、その内の1人の様なもの。晴れた後の世界を見に、それから、その世界で暮らす人の姿を見に来た、基本的には読書を愛する引きこもり。気になったものにふらふら引かれて、それが物品ならじぃと眺め、それが食品ならもぐもぐ頬を蕩かせて、活発な様は全然そうは見えないけれど。そんな、引きこもりからお肉屋さんのコロッケもぐもぐ客にジョブチェンジした少女は、コロッケの最後の一口を食べ終えて、御馳走様と手を合わせた先に1人の知り合いの姿を見掛けた。『 水沫くん、だー。任務以外でー、初めてお会いしましたなー? …水沫くんもー、お出掛けー、お散歩ー? 』アイスを買ってくれたヒーローグレイスこと、水沫 泡くん。それ以降二人任務ということは無かったし、学年も違うものだから校内でもあまり会わない。けれど大型任務では度々ご一緒していて、アイスの思い出が褪せるようなことはなかった。駆け寄りほにゃほにゃと声を掛けた少女は、喜びにぴょんっと、両手を広げて上にジャンピング。今日はあの女の子、クラウドの姿はあるのかしらと周囲をきょろきょろ見回した。) (7/2 13:15:19)
水沫 泡>
「じゃあ……この大福を1つ。はい、持ち帰りで。」今日は団子屋。その前はそいやき。彼はこの街のおやつが気に入っていた。久しぶりに晴れた街を見れば外に出たくなるのも当然で、その勢いのまま団子屋へ来たわけだ。せっかくの真夏日だし次はカフェにでも行こうか、そんなふうに思案して居ると背後からコロッケの香りを引連れた君が声をかけてくる。「ゆーりちゃん!なんだか久しぶりな気がするな。…俺は……お散歩?買い物もしちゃったけどね」今しがた受け取った紙袋を持ち上げて、彼は食欲に負けてしまったのだと白状する。へにゃりと笑うその姿は、普段任務に集中している彼とはまた違ったものだろう。君の間延びした声も、いくらか普段の任務の時よりのーんびりしている気がする。……根本が解決したわけじゃない。分からないことはまだ沢山ある。悲しいことも沢山あった。俺たちは実際には、あの子を救えなかった。でもそんな暗闇にいつまでも浸っていても、前には進めないだろうから。ほんのひと時の晴れ間だとしても、この雨上がりの街を楽しむのはきっと悪いことじゃない。キョロキョロとクラウドを探す君を見て、彼はクスリと笑う。クラウドはこっそーり彼の背後から顔をのぞかせ、君を見つけるとくぷくぷと笑えば、また泡のように消えていくだろう。わずかとはいえ一般人に見えてしまうから、普段は隠れてもらっているわけだ。「あ、そうだ。俺、これからカフェ行こうかなって思ってたんだけど……一緒にどう?」急なお誘い。君は受け取ってくれるだろうか。君との思い出は、カミサマ調査とアイスを一緒に食べたことくらい。……どうせ残された時間は長くないんだ。もう少しくらい増やしても、きっと神様は怒らないと思う。 (7/2 13:35:24)
Yuri・Annabel.>
良いんだよー、良い天気だしー、お散歩に罰則はないからねー。 ( 見せられた紙袋にはうるめのロゴが入っていて、一目で分かるその正体、つまりは、美味しいもの…!食べ歩きで領土を広げつつあるお腹がきゅうと鳴り、それとはまた別に聞こえた泡の様な笑い声にばっと音の発信源を見てみれば、しゅわりとクラウドの姿が消えた。ギリギリタイムオーバーで、かくれんぼは彼方の勝ちなようだった。少しだけ悔しい。『 わー、行こうー。……あそこー?あのー、なんだっけー、…………クリームソーダが美味しいーとこ? 』カフェのお誘いは勿論ok。断る理由なんて無かったし、小さな物ではそろそろ物足りねぇぜな暴れん坊なお腹なものだから、確り腹拵えもしたかった。嬉しさにくるりと1回転。スカートの裾が広がるように腕も広がって、回り終えたなら歩き出す。てってこてーと歩き出してから、てこてってーと戻ってくる少女。その心は、カフェといったら、な場所、喫茶マリーンは知っていても、目的地がそうとは限らないことに気が付いたから。それから、一緒にお散歩において、置いてきぼりにするのは良くないと気が付いたから。散歩中の元気なワンコはリードがなければ駆け出してしまう。けれど少女はワンコよりちょっぴり賢いので、ちゃあんと戻ってこれました。ふう、危ない、危ない。余った活力、歩いている間腕をずっと人にぶつけない程度にゆらゆら揺らしていた。) (7/2 13:58:03)
水沫 泡>
くるりと一回転。意気揚々と歩き出したかと思えばひょいと戻ってくる。彼はその様子にぱちぱちと瞬きを繰り返して、「あぁ、うん。そうだよ。喫茶マリーン、クリームソーダが美味しいところ。」なるほど、行き先が分からないまま歩き出したのか。堪えきれず、けたけたと軽い笑い声が2人の空間に響く。例えるなら……お散歩が楽しみで待ちきれないわんこ?でものんびりした雰囲気は猫?小さくて可愛らしいあなたはまるで小動物見たいで。それはつまり妹みたいで。可愛らしいな、なんて背中を見て微笑んだ。この子が任務の最中、いつも情報戦に飛び交っているのを知っている。この小さな背中にどれだけの事を背負っているんだろう。彼女の能力は……わかるようで分からない。まだ自分も使えるわけじゃないから、きっともっと仲良くなれば君のことも沢山知っていけるだろうか。ゆらゆらと揺れる手の傍に並んでしばらく歩く。喫茶店が見えて来ると「あれかな?」なんて指を指した。じりじりと肌を焼く日差しは攻撃的で、汗が今にもこぼれそうだ。はやく屋内に避難をしたい。そんな気持ちで喫茶店の扉を開く。___チリリン、軽やかなベルの音が来店を祝福した。全身を冷気が包み込み、それから甘い香りが鼻孔をくすぐる。追うように"いらっしゃいませ"と柔らかい挨拶が店内に飛び交うことだろう。なるほど、ここが天国という訳だ。「2人で、お願いします。」店員に2人であることを伝えて、それから案内されるままに席へと腰を下ろす。瞬間、彼は液体になってしまったかのようにデロりと溶けだす。「すっっ……ずしぃ……はぁ〜、天国だね。」 (7/2 14:12:51)
Yuri・Annabel.>
りょーうかいー、……学校でねー、よぅくー聞く場所だからー、興味あったんだー ( 突然堪えきれずに笑い出す姿に、頭の上に?が3つ。けど、一緒にお散歩出来るのが楽しいからなら良いなと思う。なんなら、楽しいからに違いない。そう思うと気分は良いもので、目的地にだって気分は上々。了解でありますの敬礼の指先はぴしっと揃い、鋭くあった。わくわくが止まらない。鼻歌を歌ってスキップで歩きたいまである。けれど確実に置いていってしまうし、他の通行人の妨げになることなんて分かっていて、我慢、我慢………。喫茶店の発見はそんな我慢を解除する号令。指されたお店の看板には、確かに喫茶マリーンの文字。『 あっれだー…! 』暑さと活発性、理由は違えど店に向かって急ぐ気持ちは同じもの。ぱっと解放の狼煙、両腕を上げて開かれたお店の中へと駆け込んだ。チリリンのベルの音が来訪の証。解放された店内はひんやりと涼しい風が身体を包み込み、おまけにその風からは甘やかで美味しそうな香りが乗っている。カウンターの奥には厨房、雰囲気的にはキッチンスペースがちらりと覗き見し、好奇心が煽られる。すんすんと匂いを嗅ぎながら、店内を縦横無尽に駆け巡る目線はまさしく落ち着きがない。手際よく案内されるまま、貴方の反対の席に着けば途端にでろんと溶けてしまって、驚きながらも同じ様に背凭れに背を預け蕩けてみた。とろーと指先から力が抜けて、甘い香りが骨抜きにする。なるほど、これは良いものだ。『 ……っふふ、外ねー、暑かったーもんねー。………私はー…メロンクリームソーダー………にぃしようーかなー…? 』にしたって、貴方が溶ける速度といったら世界が取れてしまうんじゃないだろうか。そう思うとなんだか可笑しくて、くふくふと小さな笑みが空気を揺らす。パンケーキ、美味しそう、サンドイッチ、美味しそう、夕焼け色のクリームソーダ、綺麗。のそのそと手を伸ばしたメニュー表は宝の山で、気になるものが盛り沢山。けどここはやはり、王道から行くべきじゃないだろうか。店員のお姉さんの雰囲気に似たメロンクリームソーダ、それを指差し、水泡くんは?と問い掛けるように目を向けた。) (7/2 14:39:58)
水沫 泡>
小さく笑う貴方を見て、彼は『なにさ』とつられて笑うだろう。メニューが開かれると、形を取り戻すようにうんしょと起き上がり、数秒じっくりと首をかしげた。「俺は〜…夏色空のクリームソーダ。……あと、パンケーキ」晴れた夏の日にピッタリのソーダと、注文するつもりはなかったけどパンケーキを。だって、背中に隠れるクラウドがこっそり出てきてメニューを見ていたから。まぁ……3人で一緒に食べれば夜ご飯もちゃんと入るだろう。店員さんが注文を聞き届けると厨房へと戻り、メニューを片付ける。料理が来るまでの間。わくわくとして待ちきれないこの時間がなんだか特別みたいで好きだ。…彼の癖なんだろう、首元にかけられたネックレスを指先で転がしながら不意に問いを投げかけた。「ずっと気になってたんだけど、ユーリちゃんのディスコードってどんなの?ベル……?だっけ」いつも呼ばれている名前は知ってる。突然情報が送られてきたりするのが、能力だろうっていうことも知ってる。でもそれ以外は何も知らない。姿を見たこともなければ、その詳細を聞いたこともない。「……っあ、ちょっとデリケートな質問だったよね。」彼はぼんやりとしていたが、ディスコードに関わること、すなわち自分の本質に関わることなのだから、こう容易く聞いていいものでは無い。それを思い出したのか、無理に話すことないからね、と申し訳なさそうに顔の前で手を振った。 (7/2 14:54:59)
Yuri・Annabel.>
( 甘い香りに涼しい店内、木製の床や机は優しい印象を感じさせ、窓越しに見る商店街はまるで別世界のようにも見える。店内を流れるBGMに、時折、来客を知らせるベルが合いの手を入れていた。居心地が良く、この目で実物を見るのが待ち遠しいが、それもまた心地の良い焦燥感。そんな中での問い掛けは、自身の相棒、ディスコードに関すること、で………、少女は露骨に瞳を細めた。元よりじと目寄りの瞳が、じとぉ……と重たく影を落とす。なにも、デリケートなさすぎとか怒ったわけではない。ただ単に少女は『 ……あー…………アイツはー……… 』あのディスコードの事を、あまり好んで居なかったものだから。『 性格悪い、ひねくれてる、自分の方が頭良いし、知ってることが多いからって私のこと下に見てる…んー………だよぉ…。能力使う度にねー、オレは知ってるけどなってひけらかしてーくるからー……ほんとはー、ほんとはほんとはー、あんまりー頼りたくないーやつー………。 』むきーと尖った唇は不満の現れ。ぶつぶつと普段より早口で紡がれる言葉はただの愚痴で、ぱたぱたと指先が音は立てずに机を連打する。『 …………水沫くんの子はー、可愛いよねー、可愛くてー、優しい子ー……爪の垢を煎じてー飲ませてやりたいよー。 』先程からちらりとしか姿を見れてはいないものの、この間のアイスを食べたときから、クラウドの優しさや可愛らしさは垣間見えていた。羨ましい、非常に。いいよいいよと緩やかに首を振りながらも、今だってどうせどこかで見てるのだろう己のディスコードが恨めしくあった。) (7/2 15:19:12)
水沫 泡>
""お待たせしました〜""運ばれてきた2色のソーダがことりと机に置かれる。「おわ〜…!美味しそ」氷がカラカラと音を奏でて、グラスを雫が伝っていく。夏空色のクリームソーダ。夏の空を掴んで、閉じ込めたみたいな綺麗な青色。上に乗ったアイスクリームは入道雲みたいで、見ているだけで幸せになれてしまう。いただきます。小さくそう呟いてから、添えられたストローでつっと空を吸い込んだ。……爽やかな香り、弾けるような炭酸の感覚。夏だ。夏の美味しくて甘いところだけを詰め込んだみたいだ。その味に彼は幸せそうに笑う。……一方。僕も飲む!!!と言わんばかりに机の前にはい出てきたクラウドに、前が見えないからと体勢を変えつつ能力をかけてやるだろう。普段から気体のディスコード故、ちゃんと飲めるように半個体にしてあげなければならない。こんな使い方したってバレたら、多分怒られるんだろうなぁ。 (7/2 15:36:40)
Yuri・Annabel.>
( 不満を微かに塗り替えていったのは1つの疑問。性格が悪く憎らしいベルベットアワー、比較対象がそんなだからだろうか、クラウドに対して、不満や憎らしさを覚える理由は見当たらなくって。ただ親しみだけが滲んでいる訳ではない、クラウドに向けられた複雑な笑みが強く印象の中に残った。……お兄ちゃん心理のようなもの、だろうか。クラウドを甘やかして自分をおざなりにしてしまう、そんな感じの_""お待たせしました〜"" 『 わ、わ、わ~…!!! 』ぴっかーんとその目が輝く。待ちきれないとばかりの途端に姿勢を正してそわそわしだした少女の前に置かれたのは、色彩鮮やかなエメラルドグリーンのクリームソーダ。真ん丸いバニラアイスの浮島の植えには真っ赤なサクランボが乗っていて、それがまたいいアクセント。アイスクリームとメロンソーダの境界に、細かな泡が浮かんでいる。どこから、どこから食べれば良いんだろう。ストローでまずはメロンソーダを飲むもよし、長いスプーンでアイスを掬ってみるもよし、変わり種ならサクランボから、アイスとメロンソーダが混じりあった泡はふわふわしていて美味しいことを視覚から伝える。ど、どうしたら……。見ているだけで、運動もなにもしていないのに息切れを起こしてしまいそう。ふと目線を上向きにすれば、貴方は先ず夏空から、ストローを使って楽しんでいる。迷っていても、決まらない。後は兎も角として初見は真似て、メロンソーダから行くぞ、と少女は覚悟を決めた。いただきます、と慌てて手を合わせて、そっとストローを口に咥える。……後の事は言うまでもない。にっこにこ顔の少女は続いて、アイスをぱくり。ストローの上で微かに蕩けるのが恨めしく、甘さ美味しさに頬も蕩ける。『 ……美味しいねぇー、水沫くん、クラウドー 』…もしかすると、ベルも美味しいものが食べたかったのかもしれない。食べたくて意地悪を言っていたのかもしれない。そう思うと可愛いやつにも思えて、仕方無いなと取り出したスマートフォン。画面を開いてその中にベルベットアワーを呼び出してみれば、夏空の下、悠々とクリームソーダを飲む姿が其所に映った。スマホに映る情報を、あれこれ弄り倒したのだろう。お一人様で満喫する姿は気遣い無用、なんなら、べろべろばあと普段の馬鹿にする姿も浮かぶようで。……やや勢い良く、ブツンッとスマホの画面を消した。) (7/2 16:09:52)
水沫 泡>
ぶつりとスマホの電源を落とす君を、彼は不思議そうに見ていたことだろう。それを言及する暇もなく、続いてやってきたホットケーキ。あまぁい香りと、焼きたての香ばしさが周囲を埋め尽くす。彼はそっと立ち上がれば、ホットケーキを3等分するだろう。添えられたシロップをトロリとかけて、溶けかけの柔らかなバターをそれぞれに添える。そうやって和やかに過ぎていく時間を満喫する。夏の日照りから隔離された穏やかなこの空間で、アイスとソーダをかわりばんこに食べながら。時折ホットケーキを口に運んでは落ちそうになるほっぺたをきゅむっと抑える。こうやって見れば、2人ともただの高校生だ。爽やかな青い春を過ごすはずだった彼らは突然にその日常を奪われたが、これまでの頑張りが幸をそうしたのか。楽しいひと時を許されているのかもしれない。「ずっとこのままだといいのにね」不意に呟いてしまう。思ったことをすぐ口にしてしまうものだから、これを彼自身が気がついているかは定かではない。夏はあっという間に過ぎ去ってしまうもので、陽炎だけ残してすぐに秋になる。そしたら冬になって、春が来て。___いつか季節に置いていかれる日が来るんだろうか。そんなこと考えたってどうにもならないのに。寂しさを誤魔化すように、つーーっと、一際長くソーダを喉に流し込む。それからおもむろにスマホを取り出しては、ぱしゃり。食べかけだけれど、今日の風景を画面の中に残すだろう。「そーだ!!そういえば、ゆーりちゃんのヒーロー名?って、ヒドラ、なんだよね?俺ずーっとヒドラーだと思ってた。」だから名簿見た時にあれ?って思ってさぁ、なんて。思いついた話題をポイと放り投げる。そうしてないと、やっぱり悲しくなりそうだったから。 (7/2 16:32:13)
Yuri・Annabel.>
( クラウドの可愛らしさに絆されたものの、やはりクラウドが可愛らしいのはクラウドだから、なだけで。ベルベットアワーが憎らしいことに代わりはないのだ。気持ち強めにメロンソーダをぢゅうぅ………と吸い込めば、1cm程沈む浮島。不機嫌少女の心を引っ張る甘い香り。そう、お届け物はクリームソーダだけではなかった。机の上に現れるはお日様色の真ん丸パンケーキ、思わずごくりと喉がなる。切り分けられたパンケーキは3つに増えていて、貴方の分と、クラウドの分、それからそれから、もしかして? 自分の分と分かった少女は大喜びで、それに吹き飛ばされてしまいそうなお礼を慌てて掴まえて。まろやかでしょっぱいバターの染み込んだ甘いパンケーキに舌鼓を打つことだろう。じゅわじゅわと味の染み込んだパンケーキは美味の権化。メロンソーダのさっぱりとした甘さに引き戻してもらわないと、甘さの海に沈みかねない。『 ………それを守るのがー、私達ヒーロー、なんだよー 』美味しくって、幸せで。これが守りたいもので、共有したい幸せだ。メロンソーダのアイスをちょっとだけ掬って、パンケーキの上に乗せてみる。暖かいパンケーキにアイスが溶けきってしまう前に口に運べば、甘さが更にアップして、温と寒の温度差が楽しい。これは天才。ぱしゃり、のカメラの音にはっと気付いて、撮り終えたあと、1拍遅れてピースした。『 んむっ、………ん、そーだよー、ヒドラー。水沫くんはー、グレイスー、だよねー? 』急な比較的大きな声にちょっとビックリ、それから、どうしてそんな誤解をときょとり。どう考えても、間延びした口調のせいなのだけど。ヒーロー名のきっかけとか、由来とか、ある? そう問い掛けてみたくて、でもそれは野暮だったり、答えるのが恥ずかしかったりするかしらなんてちょっとの迷い。でもやっぱり、気になりはして、ぱった、ぱた、と足先が揺れた。) (7/2 17:05:05)
エレナ・ドラグノフ>
_____目がクラクラする。頭がずっしりと重く、目に付いたクマはメイクでかなり頑張ったが存在感が消えていない。フラフラな体を無理やりエナジードリンクで呼び覚まして、規定通りの時間に泡に待ち合わせの日時の連絡を済ませた。そう、まさに今日こそは乙女の正念場、修学旅行中にデートしてしまおうという作戦である。発想がありきたりというならありきたりかもしれない。だが『く、そ……一睡も出来なかったぞ、前日。』やる側からしたら一大事である。ここのところ着込んでいるチャイナドレス。黒地にピンクの可憐な花柄が刺繍されたそれを纏い、夕方からもう少し手前の昼下がり、待ち合わせ場所はなんだでもない観光地のど真ん中、繁華街のとある路地にあたる場所。雑踏が絶え間なく行き交う街並みに、もしかしたらふらりと彼を見逃したりしていないか心配になりながら『こういう時は、確かどうするんだったか……えー、と。あんまり私がエスコートしてしまうのもちょっと控えなければ不味い、と。後は……』デートの時に役立つテクニック10選!を命綱として懸命に繰り返し手繰りながら、彼がいつ来るのかと胸を弾ませながら待ちわびて_______ (7/14 15:41:00)
水沫 泡>
賑やかな話し声、華やかな明かり、屋台の香り。期間限定の修学旅行とお祭り。人生のほんの一瞬でしかないこの2週間、遊び盛りの高校生が楽しまないわけがなかった。ヒーローという重圧から一時的に解放されて、昨晩は嬉しい誘いもあり、今なら空を飛べる気がするというのはこういう気分のことなんだろう。多分、彼は今幸せの最高潮にいる。元々誘うつもりだった、そうだったもの。でも実際に連絡をくれたのは彼女で、呼び出してくれたのも彼女だった。男としては情けないことこの上ないが、それ以上に嬉しさと緊張で心臓が破裂しそうだった。街の声よりも心臓の音の方がでかい気がして困る。…………さて、彼は男にしては小柄なため人混みに紛れては探しにくいだろうけれど、君は違う。背は高く、美麗で、逞しい。ヒーローとしてのオーラとでもいうのか、その存在感は祭りの明かりにさえ負けないほどのものだった。つまり、遠目からでも一目で見つけられてしまう。彼は一度立ち止まり、小さく深呼吸をしてから君に声をかけた「おまたせ、エレナ」君がここ最近、チャイナドレスを気に入ったのか、街の雰囲気に合わせた服装をしていたことは彼の耳にも入っていたのだろう。だからか、彼も髪を三つ編みに結い、どこで借りてきたのか男物のチャイナ服を着てみたりもした。「大丈夫……?待たせちゃったかな」それからじっと君の顔を見つめた。交渉術、心理学。人間観察に長けた彼が、君を見て思うことはひとつ。………この子、体調崩してない? (7/14 16:02:58)
エレナ・ドラグノフ>
『いや、私も今来たところだから心配要らない。……このまま祭りに行くのも当然悪くないが、泡の行きたい場所になるだけ合わせたい。』軽く手を上げて自分の所在を示して。それから、くすりと笑みを作り、遅れてないから大丈夫だよと答える。私の場合寝れもしていないし、あれこれ考えすぎた末に、最終的には「行き先など細かい部分は彼に任せる」で脳内エレナ首脳会談が和睦する頃にはもう朝焼けだった。だから、実はよく考えると半日くらい待機しているのと事実上は変わらない気もしなくはない____が、ここで別に待っていないよと答えるのが嗜みである。『つれない話かもしれないが、このためにどうしても欲しかったお土産や、まあ人をつれだつには……みたいな趣味の場所への観光は既に済ませてしまったんだ。』『……その、つまりは。貴様の好きな場所に行きたいなー、と、いう……話だ。たまには誰かに連れ出してもらいたい気分もある、というか。』 (7/14 16:33:47)
水沫 泡>
手を挙げ軽く挨拶をすませ、待っていないという常套句で相手を安心させる。その教科書通りのようなデートの始まりに、彼は思わず吹き出した。間違いない。彼女は絶対疲れてる。彼も人を待たせるほど失礼な人間ではない、集合時間より前にはここに来たはずなのに彼女は既に待っていた。いったいいつからこうして立っていたんだろう?それに、その顔は多分寝不足だ。……寝れなかった?なんで…楽しみで???いや、だとしたら可愛すぎる。「ああ、もちろん。誘ってくれたのはエレナだから、連れ出してくれたのは……今回もエレナだけどね」しばらく笑った後に、彼は君を心配する素振りを見せず手を差し出すだろう。きっと、疲れている様子は見せたくないだろうし、気が付かれるのも嫌だろうと思ったからだ。少なくとも自分だったらそうだ。だから見ないことにした。「そうだなぁ……ぁ、近くに動物園あるんだ。俺、中国のパンダが見たい」一通りの観光は済ませたのだという彼女に、少し首をかしげて悩んだ。それから思いついたようにスマホを取り出して、地図に動物園の位置を示すだろう。パンダが見たいんだと彼ははにかみ、君の手を引くだろう。 (7/14 16:48:18)
エレナ・ドラグノフ>
『うぐ、わ、笑わなくてもいいだろう……。こ、こういうものは改まって誘うとなると不慣れだったし、というか、初めて……だから。』笑わなくてもいいじゃないか。と反駁する。つまるところは、慣れないやり取りや予定の立案にあれこれ四苦八苦しながらいつの間にやら朝でした、という次第。彼の手を取り、それから軽く握る。何というか丸め込まれたような気がして、ずるいような……『むしろ、泡が早くに私を呼んでくれないのが悪いんだ。パンダを見たいなら見たいでも構わないが、まず最初に貴様から誘って欲しかったというのに。』ふい、と顔を逸らしながら、道中そんな事を零した。簡単な話が、私が言うより先に誘って欲しかったといういじらしい話題であり『だが、まあ……ん。これで許す。いいな。』手を繋いで隣合って、それから控えめに寄り添うように腕を軽く抱いた。これで許してやるから嫌がるなよと半ば脅しのように付け加えて (7/14 17:12:42)
水沫 泡>
「あぁ、それは、その……。俺も誰かと付き合ったこととかないし、色々と分からないというか…」握り返された手を、1度軽く離すと指を絡めて握り直す。緊張してたとか忙しそうで誘うタイミングを見失ってたとか、言い訳はいくつかあったけれど。結局誘われるまで待ってしまったのは、やっぱり未だに足を引く不安や別れを惜しみたくないという恐怖があったからに他ならない。「おわっ、」そんな考えも、身を寄せられると吹っ飛んでしまう。彼は戸惑ったように体勢を崩した。近い。あとあたる。色々と。周りからは間違いなくそういう仲だって思われるだろうし、改めて意識して隣に立つと緊張で頭が真っ白になりそうだ。「それだけで許してくれるならありがたいね」口から出てくる言葉はほぼ反射だ。正直何も考えられてない。緊張する。心臓が痛い。世の中のカップルは、こんな経験を乗り越えてきたのか???なんだか見る目が変わりそうだ。それから彼は、羞恥心を隠すみたいに、前にこぼれた髪を長い耳にかけて、見えてきた動物園を指さした。「ほら、見えてきた。……そういえば、エレナって動物は好き?」行きたい場所に行きたい、そう言われたから選んだけれど、そういえば彼女の好きなものを聞いてない。というか、いったいどんなものが好きで普段何をしているのか、彼は何も知らない。 (7/14 17:33:39)
エレナ・ドラグノフ>
『……当たり前だ、私は優しいからな。』こうしてみたら、とても近い距離にいてドキリとする。女の子相手なら大して気にならなかったようなのも、時と場合によっては結構恥ずかしい。でも、それ以上に______『動物、か。パンダにしろゾウにしろキリンにしろ、大きいものはそれなりに好きだ。代わりに犬だとか猫だとかは……あまり好きじゃない。』動物を好きなのかと言われたら、少しドキリとした。私は失敗(よわさ)を最も呪っている。だから、弱くて可愛らしいことが肯定される愛玩動物はどうしようもなく相性が悪いし、一度幼少期に酷いことをしたことだってある。だから、大きいものなら好きだよなんて答えて 『だから、飼わないようには……決めている。私は、弱いままの自分も、弱いままの他人も嫌いだ。可愛いこと、頼りなくて自分に頼りきりなこと。その辺が好まれるような動物は、ダメだ。』『空いた日にはキャンプばかりしている分、そうした生き物に会うこともたくさんあるが、未だに慣れない。』彼に嘘はつくまいと正直に話した。『だが、パンダは好きだぞ。アレは______可愛い。』パンダの飼育舎を指さす。ぬいぐるみが巨大化したような柔らかな塊が二つ。ぬいぐるみそのものと言ってよさそうな、その赤ん坊が何匹か。見に行こう?と手を引いてから、食い入るようにパンダの一挙手一投足に黄色い声を上げながらパンダに手を振って (7/14 17:47:45)