サクラダ キョウ>
(それは、とある昼下りのこと。)(昼休みの時間になり、多くの生徒たちは友人らと共に弁当を食べ、話に花を咲かせる。ただ、『多くの生徒』に該当しない、少数派達はどこにだっているのである。)(人付き合いが苦手な人、或いは一人を好む人。或いは.............)「失礼します!」(2ヶ月先に迫った中間考査に向けて、勉強に励むものだとか。)(はっきりとしたよく通る声で図書室中に響いた声は、少し角で反響して彼の元へと帰ってくる。勉強道具のノートと教科書を小脇に抱えた彼は、図書室の扉をみんなの迷惑にならないようにそっと閉めれば、貴方がいる所から少し離れた机に腰を下ろし、教科書を開く。そして、彼はおもむろに教科書の試験範囲を音読し始めた。もちろん授業中のように、ハキハキとした、よく通る声で。クラスメイトが恥ずかしそうに小さな声で読んで、お腹から声を出しなさいと言っていたので、そこを忘れないように。)「まるさん、空中ブランコ乗りのキキ。そのサーカスで一番人気があったのは........」(それは朗読、と言うにはあまりにも棒読みだったろう。それどころか、時たま国語辞典を開いては、分からない単語の意味を調べてはその意味まで音読し始める始末。司書さんはどうやら今は居ないらしい。お昼ののんびりとしたい時間、その図書室はまさに彼の独壇場とかしていた。) (5/11 17:03:07)
Yuri・Annabel>
( 図書室はどんな所?そう問われたなら、夢見る墓場ってきっと答える。息を潜めた樹木の果て、本棚の中に眠る本。開けばそこは別世界。或いは誰が後に遺していった軌跡。別世界に飛び込むのも、誰かの生きた跡をなぞるのも、幼い頃から本に囲まれた彼女は大好きだった。小中高、新しい学校に通う度に図書室の場所は1番に把握した。休みの度に市の図書館に足を運んだ。記憶の中、色褪せた図書館の風景は一瞬たりとも在りはしない。読む以外の理由で本を起こしてはいけない。煩くしてはいけない。ある種、神聖な場所への信仰心じみたその信念。『 ぅ………… 』それが、貴方ったらどうだろう。『 うーるさーーいなーもおーーーー!!? 』〝はっきりとしたよく通る声で図書室中に響いた声〟〝教科書の試験範囲を音読し始めた。もちろん授業中のように、ハキハキとした、よく通る声で。〟ガ タ ン ッ ッ ! 椅子を後ろに引く大きな音が、貴方の声に被さるように初めて響く。ソロステージのマイクをぶっ倒して。逆立ちをしたハの字の眉、むむむと尖ったへの字の唇。読んでいた本を置く動作だけは一切の音を立てず、本を傷付けないように優しく、洗練されていたと言っても良い。顔を見れば分かるように、貴方の大きな大きな音読に彼女の怒りは火にかけられて、ぐつぐつと沸騰までしてみせた。足音もなく、本棚と机とすれ違い『 ────空中ブランコ乗りのキキ、そのサーカスで1番の人気があったのは、なんといっても空中ブランコ乗りのキキでした。三回宙返りをしながらキキが飛ぶと、テントにぎっしりいっばいの観客は、いつも割れるような拍手をするのです。 』貴方の読んでいるであろう本の内容を何も見ずに口にした彼女は、ふんと腕を組んで仁王立ち。『 ……あのねだねー、図書室では静かに、なんだよー。 』 (5/11 17:37:30)
サクラダ キョウ>
(誰かが椅子を立ち上がる音が聞こえた、気がした。正直、自分の声が大きすぎてイマイチ聞こえない。とにかく先生が言うとおりに、ハキハキと読み上げる。それだけに集中していた。)『 ────空中ブランコ乗りのキキ、そのサーカスで1番の人気があったのは、なんといっても空中ブランコ乗りのキキでした。三回宙返りをしながらキキが飛ぶと、テントにぎっしりいっばいの観客は、いつも割れるような拍手をするのです。 』「むっっっっ!?」(ただでさえぱっちりと開いている目を彼はさらにかっぴらき、近づいてきた貴方を見て固まった。)(それから、真顔で一言。)「や、やるな君。この文章を暗記しているとは。さては孔子か?孔子の生まれ変わりか?」(彼は驚きながらも敬意を評し立ち上がり、是非知り合いになろうと話しかけようとしたとき。)『 ……あのねだねー、図書室では静かに、なんだよー。 』(間延びした貴方の声と、その反面何故か今にもぴくぴくと動きだしそうな貴方を見て、彼は思い出した。)「なっっっっっ!」「そ、そうだった!本当にすまない、君の読書の時間を害してしまった.............本当に申し訳ない、謝罪を受け入れては貰えないだろうか........ユーリ・アナベルさん。」(そう、口にした。最初の『なっっっっっ!』こそハキハキとしていたが、そこからは囁き声になっていって。謝罪しながら、彼は貴方の名前を呟いた。そう、貴方の名前を知っているのである。貴方が彼を知っているかは分からないが、少なくとも彼は貴方と話したことがないにもかかわらず、貴方の名前を把握している。)「償いと言ってはなんたが、なにか俺にできることはあるだろうか..........」(彼はしなだれた植物のように、しおしおと顔を悲しみに陰らせている。) (5/11 17:56:53)
Yuri・Annabel>
むー………まあー、分かってくれる人ならいーいけどぉー…………、……………………。( うんうん、と頷いて。どうやら悪気があったわけではなく、うっかり忘れててハキハキと音読を……うっかり忘れててハキハキと音読をしてたってなんだろう。…………。…まあ、兎も角、悪気があったわけではなく、謝罪及び反省はすんなりと。大切なのは間違いを犯したときに謝れること、そしてそれを程度にはよるけれど許せること。ふくふく膨らんでいた頬は途端に萎んで、一件落着。お互い良い読書タイムを。それだけで済む筈だった。…顔も知らない男子生徒から、フルネームを呼ばれるまでは。一瞬のフリーズ。1カメ、2カメ、3カメと切り替わるような間を置いて、──その場から一足飛びで後ずさった。『 きも…………ちわるー…るーー……………るーーー…いねー……? 』両の腕はファイティングポーズ、若干口元寄り。堪えようとはした。流石に初対面で悪い人には思えないのに気持ち悪いと口にするのは気は憚られた。しかし本能的に、つい。同学年なら分からなくもない。かくいう彼女も入学式の栞は読み込む派で、名前は記憶済み。しかしながら他学年ともなると情報を得るのが先ずもって困難だ。それを、顔と名前が一致するほどに記憶されている。『 まあユーリちゃんー、かぁちいですからー?仕方ないーかもだけどー…………じゃあー、君の名前も教えてほしーなー? 』その場でくるんと1回転。きゃあーともちもちほっぺに手を当ててみたり。仕方ないかはやや審議の余地があるけれど。大声を出したことに凹んでいる相手を更に問い詰めるのは気が引けた。) (5/11 18:30:01)
サクラダ キョウ>
「謝罪を受け入れてくれるか..........本当にすまなかった、これからは絶対にこの過ちは犯さないようにすると約束する。ああでも、やはりやむを得ない場合はあってだな、例えば先生にここで大声で読めと命令されれば抗議はするが、しかし先生の命令とあらば受付なければいけなく、でもしかし君との約束を無下にするわけにはいかないな........君の厚意を......先生と君では立場は先生のほうが上だが、かと言ってどんな年齢であろうと俺に教えを説いてくれる方は俺からすればそれは人生の師であり.......」(彼は、生真面目である。尚且、不器用である。自分で答えを決めることに、本当に時間がかかるのである。考えて、考えて、考え抜いた結果に出す答えが自分の正義と信じている。)(よって。)(彼はフリーズした。眉をひそめながら、ああでもないこうでもないを繰り返し何度も行き来し、それ故に貴方の前で固まるのである。)「いやしかしよくよく考えれば校長先生に大声で命令されれば朗読せざるを.........いやしかし立場は...........」『 きも…………ちわるー…るーー……………るーーー…いねー……? 』「..............いやそれでもやはり君との約束を優先しよ、ん?」「き、気持ち悪い........か、そうかすまない...........しかし俺は自分で考え抜いた答えしか信じられなく........いやだが、人生の師である君が辞めろというのなら辞めるが..........」(ようやく自分なりの結論にたどり着いたと言うのに、どうやら貴方は彼のポリシーを気色悪く感じてしまうようだ。少し苦しそうな表情を浮かべる。)「わ、分かった。俺の名前は『サクラダ キョウ』。確認済固有個体のカミサマだ。」(名乗れと言われれば名乗るが礼儀と言うもの。それから貴方にも分かりやすいように、最後に一言だけ付け加える。)「触れたら死ぬ、なんて見に覚えのない噂を流されてはいるが......それなら聞き覚えはあるだろうか。」 (5/11 19:09:09)
Yuri・Annabel>
( すれ違いが起こっていることは薄々察していた。彼女の口調がスローリーなのに対して、貴方は思考がそれなようで、せかせかと次のことを考える彼女と比較すればその速度はウサギと亀。下手すれば自動車と亀にも相応しく、速度の差が3度追い付いてしまう程にある。待ちますか?そう聞かれて待ってられるほど彼女は淑女らしくはなく、急ぎますか?そう聞かれても貴方は答えが出せないだろう。そうしている内に、また追い越してしまいかねない。いつの間にか人生の師と崇められていることにより生じた疑問。それが唯一追い付くための隙といえ____『 ?????…………師であるぞー、わっはっはー。まあー師的にはー?考えることぉ、大事だからねー、良いよー、良いことだよぉー弟子くんー 』……れば、良かったのだが。警戒体制はなんだったのか、脇腹に両手を当て、声は潜めて高笑い。なんだかよく分からないけどまあ良いだろう、と、そんな結論は早々に出た。よく分かっていないのにうんうん頷き、師を気取る彼女の方が学年としては後輩である。『 ほおー…………自我があってー、敵対関係に無いカミサマー、…シキガミってぇーやつー? しかもー、さくらだ弟子くん有名人………有名神だー?聞いたことあるねぇ、噂ー、興味深いなぁ…………。 』本当にファイティングポーズまでとって警戒していたのはなんだったのか。貴方が貴重なカミサマと分かるや否や、瞳に宿る光は強まり、しぱしぱと2回瞬いた。後ずさった距離を駆け足で、先程よりもずっと近くに戻り、ちょこまかちょこまか右往左往動き回りながら貴方の姿を凝視する。好奇心旺盛、怖いもの知らず、触れたら死ぬ、なんて噂を知っていた上でも尚、観察の距離は触れられるほどに近く。あまつさえ、差し出した右手の意味は『 なんでか知られてたけどー、私はユーリ、ユーリアナベルー。…はい、よろしくのあーくしゅ 』 (5/11 19:37:57)
サクラダ キョウ>
「ありがとう、君の厚意に感謝する。もし差し支えなければ、これからは師匠と呼ばせてもらいたいのだが.........」(彼は、楽しそうに笑う貴方を真っ直ぐな瞳で真剣に見つめ、熱い視線を向けて語りだす。)「笑い事ではない。君はアドバイスをくれた。自分が傷つきながらも、無知な俺にアドバイスをくれた。もし君が俺の音読を我慢して図書室を出ていけば、それによって次の被害者が出てしまうところだったんだ。俺は絶対に人を傷つけたくない。絶対に、だ。だから、ほんのちょっとでも勇気を出してアドバイスをくれたのなら、君はもう俺にとって人生の師匠だ。だから、師匠と呼ばせてくれ。是非、師匠の生き方や思想、その心持ちの真髄をご教示いただきたい。」(そうして、貴方に許可を得ようとすれば。)『 ほおー..自我があってー、敵対関係に無いカミサマー、…シキガミってぇーやつー? しかもー、さくらだ弟子くん有名人………有名神だー?聞いたことあるねぇ、噂ー、興味深いなぁ…………。 』「そうか、知っていてくださったのだな、師匠。貴方ほどの人間に認知されているとは光栄.....」(........嫌な予感がする。その、貴方のパチパチと瞬きをする仕草だろうか。なにか、なにかを間違えた音がした。すごい勢いで近づいてきたと思ったら、あちらこちらから覗き込んで。それから、はじめましての自己紹介。そして。)『…はい、よろしくのあーくしゅ 』(差し出された、右手。)(彼は、しばし貴方の小さな右手を見つめた後に。)「心遣い感謝痛み入る、師匠。ありがとう。しかしながら、俺は君には触れられない。やむを得ない事情があるんだ、本当に申し訳ない。いつか君に触れられる日が来たら、そのときは握手をしよう。」(そこまで、言い切った瞬間。予鈴がなり始めた。)「休み時間も残り5分だ、教室に戻ろう師匠。」(本当に、いつもどおりの昼下がり。そこに混じった、ほんの少し特別な出会いの日だった。)【〆】 (5/11 20:15:20)
サクラダ キョウ>
(カチャカチャカチャ、カコン、カコン、ジュゥゥゥゥ...............)(カン、カン、カン..........)「................ふむ。牛乳が0.325ml足りん....」(斜陽が橙色の暖かな焔で校舎を包み込む頃合い。野球部の生徒達がグラウンドで叫ぶ声が、微かに聞こえる。家庭科室では、一人の男........否、一匹のカミサマが、計量カップ......ではなく、ビーカーに、スポイトで牛乳をほんの一滴注ぐ姿があった。)「ふむ。こんなものか。」(彼は先程まで熱していた鍋に計量カップの牛乳を注ぎ、改めてコンロを点火した。)(ふんわりと香り始める、ミルクと砂糖の柔らかな甘い香り。そこに、彼は片栗粉を投入し始めた。ふわわ、ふわわん。淡い粉雪のような白い粉末が、少しずつ鍋に降り注ぐ。そしえ彼は、目を少し細めた。)「0.4gほど入れすぎた。」(そう呟けば、彼は予め用意してあったスプーンを持ち、未だに溶け切っていない、ミルクに浮いた片栗粉をそっとスプーンでほんの少し掬い上げる。)「うむ..............完璧だな..............」(彼は真顔でなんどか頷きながら、火加減を絶妙に調節しながらおたまでかき混ぜていた。) (5/13 19:10:51)
和枕 音子>
「 おーーーーなかが…………空いたぁ…………。」( ぴかぴかに磨かれたコード専門高等学校の廊下を、墓穴から這い出てきたリビングデッドのような動きで彷徨っている女子生徒がいる______と、すれ違った人間は、そう想って肩を強ばらせたかもしれない。右にふらふら、左にふらり。いつも通りの眠気に抗えず、四限目から昼休み終わりのチャイムまでを寝通したせいで昼食を食べ忘れた失態は、たった今ぼくのお腹と背中を接着しようと音を鳴らしていた。ひどい苦痛である。かなしくてかなしくて、結局五限の体育も六限の数学も泣き寝入りしてしまったから、眠気はそこまで身を苛んではいなかったけれど。)「 __________んんん、 」 「 あまぁい、かおり? 」( くんくん、すぅぅと、自分の周りにある空気を肺いっぱいに吸い込む。途端、なんだか幸せを具現化したみたいな甘ったるい香りが広がった。生憎と料理の知識はさらさらないのでこの幸福臭が何から舞い上がった香りであるのかはさっぱりだが、ついつい、足取りはそちらの方へ向かってしまうものである。)
( オレンジ色の光は、まるで道標のように窓から差し込まれて。暮れ始める夕焼けを視界にいれながら、だんだん強くなるいい香りの跡を付けていけば、締め切られた扉の前に着いた。) ( ____家庭科室。本来であれば、中に誰がいるのかを先に確認する、はず。)「 失礼しまぁす。」( がらがらがら。しかして、呆気なく扉は開放された。中にいるのが誰かなんてことに一切の興味はなく、迷いなくその方向へ足を向けて、二、三歩近付き、ようやく人の姿を目に止める。あぁ、人がいる。そりゃそうか、何もいないのに美味しいものが存在するわけはない。数度の瞬きで見知らぬ男子生徒を見上げ、)「 あの、 」( ぐぅぅぅ。) 「 …………なに、つくってるの? 」( 言葉を遮ったお腹の音は、きみの耳に入っただろうか。) > サクラダくん (5/13 19:42:03)
サクラダ キョウ>
(扉をガラガラと開けて入ってきた、ペタペタしたサンダルの音。『失礼しまぁす』、なんて間延びした貴方の声が家庭科室に響いたりしてさ。)「む。こんにちは!」(彼は音がした方を振り向けば、お玉をつけたままお辞儀する。あまりにも勢いよく頭を下げたものだから、ほんの少しエプロンのリボンが風に靡いた。やがてペタペタとこちらに近づいてきた貴方の姿をじっと見つめる。2秒、3秒、停滞した時間がゆっくりと沈んで。)『あの、』(ぐぅぅぅ。)『…………なに、つくってるの?』(ええ、ええ、しっかりと聞き届けましたとも。貴方のその小さな可愛らしい悲痛なお腹の叫びも、貴方のけだるげで、それでいてどこか貪欲なその声も。)「................君は。お腹が背中とくっつきそうなのだな?」(彼は眼鏡の奥の目を、くいいいいぃ、と細めて。)(その、直後。)「なんということだ、君のようなうら若き少女がお腹を空かせているなんて!!!!緊急事態だッッッッッ!!!!!」(彼はそう叫べば、勢いよく左腕を振り上げ、パチンッ!と指を弾いた。)(そして、一言。)「ベル!」(左手にはめられた腕時計の文字盤が輝きだし、そこから薄紫色の光がリボンのようにのび、螺旋状に廻り始める。くるり、くるり、薄紫の光の中から、姿を表したのは。小さな小さな、本当にぬいぐるみのような魔法使いでした。)「ベル、この方に椅子を運んで差し上げてください。俺はこの方に昼下りのスイーツを用意します!」(そう、彼が彼自身のディスコードに頼めば。ベル、本名ティンカーベルは、トテトテと貴方の前を歩いて家庭科室の椅子を取りに行き、よいしょ、よいしょ、なんて声が聞こえてきそうな動作で椅子を持ち上げて、貴方のところにまたトテトテと戻ってきては、トン!と貴方の後ろに椅子を置いた。そしてシャラン!という音ともに手元に長杖を出現させては、少し誇らしげに、『座りなよ!』とばかりに椅子の足をカツン!と叩いちゃったりして。)「座っていてください、俺は今から貴方にふさわしい、とびきりのスイーツを用意しましょう。」(彼は、グツグツと鍋を煮込みながら、貴方にそう勧めた。) (5/13 21:07:38)
和枕 音子>
( くぅくぅお腹が自己主張したとしても、変な声をあげて誤魔化したり、慌てて腹部を抱えて音を抑えようとしたり、頬をかいて照れ笑いをしたりはしなかった。そこに羞恥は存在しなかったからである。眠気も空腹感もないオールグリーン、完全完璧な状態であれば、誤魔化すふりをするくらいの余裕はあったかもしれないけれど………………今は、言うまでもなく。) ( 上背が170くらいあるだろう男子生徒と、成長期もぴったり終わって153センチのぼくとじゃあ、頭一つ分の違いがある。部屋中に充満する、香りだけで空腹を満たせそうな空気をいっぱいいっぱい吸い込みたいのを我慢しつつ、きみの元気な挨拶を小さな頷きで聞き流した。) 「 ……くっつきそうと言うか、くっついた末に溶接されそうなんだけど。」 (くるんと丸まった眼鏡の向こう、きゅっっと瞳が眇られるのをぼんやりと見つめ、この香りの正体をきみが口にするまで黙りこくるつもりだった____の、だけれど。)『 なんということだ、君のようなうら若き少女がお腹を空かせているなんて!!!!緊急事態だッッッッッ!!!!! 』( ___________うるさい!!!!! )( きぃんと鼓膜に響く声音が、目の前の男から発された。無意識に耳を塞いでしまったのも、防御反応として間違っちゃいない。ぎゅっと視覚と聴覚を遮断して、それでも大音声は耳を劈くのだから溜まったものじゃなかった。彼がなにかに一声かけたかと思えば、きらきらしゃらんとエフェクトが空中を舞って、ころころころんと、ちいさなちいさなぬいぐるみが姿を見せる。ぬいぐるみ、ではなく、きっと。) ( …………この生徒の持つディスコード、か。)( 薄ら開けた右目だけで、彼女 ( 彼女? ) の動きをちらちら追う。小さな生き物が自らのためにせっせこと椅子を運んでくる様は、こんなぼくにでも胸の奥がきゅぅんとくる光景だ。カツン!なんてすました調子で椅子を叩かれては座らずにいられない。)「 ……………………ありがとう、ちいさな魔法使い、さん。」( かわいらしい少女に、ぺこりと会釈をして。改めて、未だ名も分からぬ元気な生徒へ視線を向ける。)「 えっと。食べ物をつくってくれるのはありがたいんだけど、きみ。ぼくはいま、何にも支払えるものを持っていないんだ。」「 だから、材料費とかは後払いになっちゃうんだけど…………それでもいい? 」> サクラダくん (5/13 21:32:39)
サクラダ キョウ>
(緊急事態だッッッッッ!なんて叫んでから、ああこれはやってしまったと勘付いた。貴方が煩そうに、自らの耳をぎゅっと塞いでしまうのが見えたからだ。だから、彼はベルに椅子を運んでもらったあとに、貴方に届いても耳に差し支えのないくらいの大きさの囁き声でそぉっと喋りかけた。)「先程は大きな声を出してしまい本当に申し訳ない........貴方のような少女がお腹を空かせているなんて、成長期の妨げになるようなことがあってはいけないと考えてしまった.......本当に申し訳ない.........」(彼がしょんもりしながら貴方に囁いて貴方に頭を下げれば、貴方の足元のベルも少しだけ物悲しそうに、腰の前で両手の指先をいじいじとしながら俯いてしまう。)「だが、安心してくれ....!俺は必ずや君のお腹を美味しいスイーツで満たしてみせよう......!なにせ俺はヒーロー、もぎたてピーチだからな........!」(相変わらず囁き声ではあるが、今度は少し元気だ。表情を見ればキラキラと輝いて見えるだろう。)『えっと。食べ物をつくってくれるのはありがたいんだけど、きみ。ぼくはいま、何にも支払えるものを持っていないんだ。』『 だから、材料費とかは後払いになっちゃうんだけど…………それでもいい?』(まさかのお代を払おうとしている貴方に、彼は目を何度かパチパチと瞬きしてから。)「お題など......!俺は君に.....!」(なんて呟きかけて、それから少し右手を顎に当てて考えて。)「ふむ、ならお題はあとでいい。少し待っていてくれ、早急に作り上げる。」(相変わらず囁き声でそう言った彼は、早速続きを作るべく鍋に向かう。その様子をじぃっと眺めていたティンカーベルは、彼が向こうを向くのをずっと待っていたかと思えば、今だ!とばかりに貴方の太ももまで伸びたロングパーカーをちょこ、ちょこと、引っ張り始める。あーそーぼ、あーそーぼ!なんて言わん具合に。)「ところで君は、なんでそんなにお腹を空かせて校舎を歩いていたんだ?」(小さな魔法使いのイタズラに気づかぬ少年は、貴方に囁き声で問いかけた。) (5/13 22:25:22)
和枕 音子>
( 随分と可愛い名前だ、とおもった。漂わせた甘味の空気然り、しょんぼりとしたまほうつかい然り、ギャップには事欠かないよう。下がっていた眉が上がって、ちょっと表情が明るくなっていたから、その名前がヒーローと言うよりかは日曜朝の女児向けアニメのようだ……とは言わないでおく、空気が読めるぼくであった。 )( 少し待っていてくれ。言うが早いか、広い背中がこっちを向いた。リボンがひらりとたなびいた。何を作っているのかと、まじまじその後ろ姿を見つめていても良かったのだけれど。僅かに感じる引力。きゅうきゅうとパーカーを引っ張る少女に気付いて、揺らしていた足を止めた。)「 …………ちょっとだけ、ね。」( しぃぃ、と。指先をそぅっと口元に寄せる。ほんの少しの囁き声は、きっときみには聞こえない。)「 ________『 みんと 』。」( 青年の腕時計からリボンが現れたように。パーカーのポッケに忍ばせた目覚まし時計の文字盤はくるんと一回転したことだろう。すぐ、ぼくの足元に鮮やかな草の幻がちらちらと映る。)( それは、最初からそこにいたかのように。( ______ふくよかな子牛が、ぼくに寄り添っていたのだ。)( 指先で撫でても何の反応もかえしてこないその子は、いつだって微睡んでいる。かわいいかわいい、ぼくのペット。こちらを見上げるベルには反対の指先を伸ばしつつ、) 「 ねこのおともだちだから、仲良くしてあげて……ね。」( と、少女に囁くのであった。 )『 ところで君は、なんでそんなにお腹を空かせて校舎を歩いていたんだ? 』( 青年の疑問は、至極当然のものだ。倒れる寸前までお腹を空かせるなんて、頭上にはてなマークを浮かべる行為だったろう。)「 昼休み中眠ってしまって、ひるごはん食べるのを忘れたんだ。食堂にも誰もいなくて、ぼくはご飯を作れないし…………まぁ、それだけなんだけど。」「 あぁ、」「 『 成長期の妨げ 』なんてきみは言ったけれど、たぶんぼくの成長期は終わってしまっているよ。最大値でこれなんだとおもう。決して校内見学に来た中学生とかじゃあないから、そこだけは訂正してくれる? 」> サクラダくん (5/13 23:03:33)
サクラダ キョウ>
(彼は片栗粉と砂糖、牛乳を寸分違わぬ量入れた鍋を、コンロで熱してかき混ぜながら貴方の話を聞いていた。)("日曜朝の女児向けアニメ"、その表現は言い得て妙だった。『カレ』は根っからの女児向けアニメのファンである。毎週日曜日、テレビの前でティンカーベルと二人で正座しながら、某アイドルヒーローを手に汗握って応援しているのだ。ヒーローネーミングが影響を受けているのは言うまでもない。)(そんなファンシーなものが大好きなティンカーベルは、貴方の仕草をじぃーーーーっ!っと眺めては、貴方がどんな遊びをしてくれるのかを期待してるみたい。)「なるほど、授業中寝ていたら、そのまま起きるのに寝坊してしまったというわけだな。それはお腹が空いただろう、俺の特製スイーツでお腹を満たしてくれれば幸いだ........」(少し囁き声気味に、それでいて彼は真剣に額に汗を垂らしていた。)(─────一方。ティンカーベルはといえば、突如貴方の足元によりかかるように現れた緑色の子牛さんに、驚きのあまり目を見開きながらピィィィン!っと背筋を伸ばす。だけど、貴方が友達だよ、仲良くしてね、なんて言ってくれたから。彼女は恐る恐る、そぉぉぉ〜っと子牛さんの背中に指先を触れさせようと伸ばしてみたりしていた。)「...........ッッッ......................ふぅ、よし。............................これで完璧だな。」(彼はようやく鍋で煮詰めていた甘いとろみのある液体を完成させた。)(..................................ただ。)「これを一時間冷蔵庫でしっかりと冷やしたら、完成だ........!」(彼はお鍋を両手で抱えて、嬉しそうに微笑みながら貴方の方へ振り向き、囁く。)「だが安心してくれ、予め作って冷やしてあるのがこちらだッッッ..........!」(お鍋を冷蔵庫に持っていけば、その中によいしょ、と一番下の段にしまって。そして、全く同じデザインの、銀に少し白がかった、そう。まるで。)(一時間ほど冷やされていたような。そんな鍋を、たった今置いた鍋の隣りから取り出し、貴方の方へと歩んできた。そう、彼はクッキング番組の如く、予め一時間前から冷やしていたものも用意していたのでたる。)(そして彼が来た瞬間、ティンカーベルはといえば。すっかり『みんとさん』に慣れてしまい、一緒に寝そべって、それどころか子牛さんの上でポカポカと微睡んでいた。が、彼が鍋を持って近づいてくる足音に気づけば、勢いよく飛び起き、家庭科室の隅へと走っていった。彼は鍋をとん、と調理台の上に置けば、鍋の前で中腰になって貴方と目線を合わせるように、囁き声で話し始める。)「すまない、成長期云々はデリケートな話題だったな。だが俺は、君のようにお腹が空いている人がいれば、俺自身の力で助けることができる。」(カチャ、カチャ。)「美味しい物を食べたら、元気になれる。」(カン、カン、コン。)「だから、俺は君にこのスイーツ.............ミルクプリンを食べてほしい。」(そう、言い終われば。彼はエプロンを外し、貴方の視界から勢いよく消えた。否、一歩横に移動しただけではあるが。そして、貴方の開けた視界に現れたのは。)(─────たった今プリンの盛り付けを終えたティンカーベルが、誇らしげにお皿の横で、シャラン!と杖を鳴らす所だった。『召し上がれ!』だってさ。)「おかわりはたんまりあるからな。」 (5/14 16:39:43)
和枕 音子>
( 『 みんと 』こと、ミントヴァーベナ。体高はだいたい75センチ程度のまんまる子牛。体重は40キロくらいなので、抱えて運ぶにはちょっと重い。軽くなれないの?などと聞いてみても、彼女__恐らくきっとたぶん雌である__は、ねむたげに目を瞑るばかりだった。黒斑になるべき場所は、それこそミントみたいな緑色。苔が生えてるみたいだなぁなんて思って触れてみれば、何とも不思議なふかふか具合なのである。枕に最適な以外、何にもできないぼくのディスコード。少女は大変驚いた様子で、きらきら煌めく羽なんかぴぃんと伸ばして張っちゃって。びっくりして毛を逆立てる猫みたい。恐る恐る手を伸ばしたり、引っ込めたりする女の子を、子牛の頭あたりを擽りながらこっそり観察する。) 「 そう。酷いんだ、みんな。だぁれも起こしてくれないんだもの。いくらぼくの席が窓際最後尾だからって。ぼくを眠りから覚ましてくれたのは、大音量で響いた昼休み終わりのチャイムだったよ。」( この発言をクラスメイトたちが聞いたのなら、目を剥いて語弊がある!と立ち上がっただろう。和枕音子は目覚まし時計を持参していて、1時間おきに軽快な電子音を鳴り響かせているわけだし。それに、お前が気付かなかっただけで散々肩を揺らしてやったぞと。) ( 生憎とその事実を知るものはこの場にはおらず。知る可能性のある牛さんは、自らの上でくつろぐ小さき生き物を何とも言えない顔で気にしているのだった。) ( と、ようやく青年は料理の完成を告げる。甘い匂いは最高潮を迎え、家庭科室というフロアいっぱいを沸かせていて。ぼくの薄っぺらなお腹はくるんくるんと形容しがたい音をひっきりなしに立てている。ようやく、ようやく何かしらが胃の中に放り込まれる時がきたのだ________と、思ったのだが。 ) ( 1時間。 )( 無情にも、あぁ何とも悲劇的なことに、ぼくの空腹はあと1時間は続くらしかった。絶望を宣言する青年の歓喜に似た表情が憎らしい。正反対に死を覚悟したような色をしたぼくだ。)( いっそ足元で無防備にすやすやし始めた牛をかっさばいた方が速いのでは? ディスコードは食べられるのであろうか。今ならカミサマすら捕食しそうな、空腹で人間性すら失いかけた目を自らのペットに向けようとし________ )『 だが安心してくれ、予め作って冷やしてあるのがこちらだッッッ..........!』「 ________料理番組で見るやつだぁッッッ!!!!! 」( ガタガタガタン!! )( 優等生みたいに起立して、行儀の悪いことに『 一時間ほど冷やされていたようなそんな鍋 』へ指を突きつけて、ぼくはそう叫んだ。瞬間。それまで微睡み中だったベルが、弾かれたようにどこかへ吹っ飛んでいってしまったのは…………ぼくのせいだろうか、反省だ。 )( 青年は鍋をそっと起き、何故か鍋とぼくとを遮る位置に立つ。わざわざ中腰になってくれるあたり、やっぱり優しさあふれる男なのだった。)『 君のようにお腹が空いている人がいれば、俺自身の力で助けることができる。』「 確かに、料理が出来るのは凄いことだね。ぼくはその才能は皆無だったから。」『 美味しい物を食べたら、元気になれる。』「 それも確かに。ぼくは食べることが眠ることの次にすきだ。」( 相槌を打つ隙間に聞こえるカチャカチャカタンには敢えて触れずに、ぼくはきみと目を合わせた。鍋の姿も、ベルの姿も見えず、ぼくに見えるのは可愛いエプロンのきみ。きみのきりりとした面立ちばかり。 )『 だから、俺は君にこのスイーツ.............ミルクプリンを食べてほしい。』( 言って。きみはすい、と視界から消えた。)( 代わりに現れたのは______ちいさなまほうつかいと、可愛らしくお皿に盛られたまほうのプリン。得意げな少女が鳴らした杖の音は、美味しい料理に幸せの魔法をかけたみたい。)「 ____________す 」( すぅっと、息を吸って。 )「 ッッッッッごい、ね。きみ。もしかして、本当に魔法使いだったりするの? 」( 『 おかわり 』って言葉にも目を輝かせて、小さな手をぱちぱち打ち鳴らしてはきみに尊敬の眼差しをおくった。 ) (5/14 17:23:59)
サクラダ キョウ>
(料理番組で見るやつ!を立ち上がって叫んだ貴方を見れば。)「そう、他の分野に関しては俺はほんの少し不器用ではあるが、お菓子作りに関しては誰よりも準備がいいんだ。料理番組とは君、君、俺の褒め方がよく分かっているな..............!」(ふふん、ふふふん!っとちょっとばかり自慢げになって。)(彼はベルが盛り付けお皿を貴方に差し出しながら、貴方のちょっぴり悲しげな文句を聞いていた。)『そう。酷いんだ、みんな。だぁれも起こしてくれないんだもの。いくらぼくの席が窓際最後尾だからって。ぼくを眠りから覚ましてくれたのは、大音量で響いた昼休み終わりのチャイムだったよ。』「ふむ.......それは薄情なクラスメイト達だな...........でも、大丈夫だ.....!俺は忙しい時以外、放課後は毎日ここで午後のスイーツ作りに励んでいる。またお腹と背中がくっつきそうになったらここへ来るといいぞ、俺はいつでも甘くて美味しいスイーツとベルと一緒に、ここで待っている。忙しい時は予めスイーツを作って冷蔵庫に入れておこう。なに、心配することはない。君が食べなかったら次の日にクラスの皆のオヤツだ。」(彼は貴方の座っていた椅子の前の机にそっとミルクプリンを置いた。)『確かに、料理が出来るのは凄いことだね。ぼくはその才能は皆無だったから。』「料理は才能ではない。努力の塊なんだぞ。最初っから料理ができる才能なんてこの世には無いんだ。なんだってそうだ、勉強も、人付き合いも。たしかにスタート地点が違うことはあるかもしれん。たが、努力のスピードは皆一緒だ。頑張って、頑張って、そうして努力し続けた者にしか辿り着けない場所が、そこにはあるんだ。それは他人を元気づけることができる料理かもしれん、それは誰かをいざという時に救うことのできる知識かもしれん、或いはいざ死んだ時に。」(少しだけ、間が開いた。)(ほんの、一拍程度。)(その刹那の沈黙が、無限に沈む前に。)「─────────誰かに心からその死を惜しまれる、そんな人間性かもしれない。」(彼は、言葉を溢した。)「誰だって、何時でも何者にでもなり得るのだから。」(彼はぼそっと、そう呟いてから。彼が喋っている間にテーブルをよじよじと登ってきたティンカーベルが、ぴょん、ぴょん!とプリンの横で飛び跳ね始めた。早く、早く!って急かしてるみたい。)「さて、楽しい楽しいおやつの時間にこんな小言は邪魔だな。魔法使い、もといシキガミ、サクラダキョウの渾身の一品。『濃厚とろけるミルクプリン』、召し上がれ。」(小さな魔法使いが、その場でくるりと回って服のさきっぽを持ち上げた。) (5/14 17:56:40)
和枕 音子>
( ふふふんと、自信げ自慢げに鼻を鳴らした青年の顔。ちょっとだけ幼げに見えるそれ。机の上へ視点を戻してベルを補足。もう一回彼を見上げて、ふむと頷いた。よく似ている顔付きだ。小さな生き物も、大きな生き物も、どちらも『 可愛い存在 』であるらしかった。)「 歩くレシピブック、1人夕方料理番組…………あぁ、ぼくが語彙力に欠けていることを今理解した! とてもとても、とっっってもすごいとおもう。」「 あんな、だって、あんな、まじかるなことを本当にできるひとがいるなんて思わなかった! 」( 今日一、どころか今月一の大興奮。ぺちぺちしていた手を、次はぎゅうっと握りしめて、僅かながらに頬を染めて。ふたりを見開いた琥珀色でじっっと見つめる。ぱらぱら初心者オススメ!とか謳い文句の付いたレシピ本を捲ってみては、こんな良い感じにできるわけもないと溜息を吐く毎日だったのだ。らしくもなく、純な子供のような声を挙げてしまうのも仕方のないことだろう。)『 俺はいつでも甘くて美味しいスイーツとベルと一緒に、ここで待っている。』『 忙しい時は予めスイーツを作って冷蔵庫に入れておこう。』 ( わなわなわな。握りしめた両手は、予想外の優しさに震えすら浮かべている。なぜ彼はこんなに優しくしてくれるのか? お得意の疑心が鎌首をもたげるけれど、) ( 目の前に置かれる、天界のリンゴみたいな輝きを放つミルクプリン。) ( 可愛い妖精がぴょんぴょこ飛び跳ねて『 食べて食べて! 』と猛アピール。) ( そんな甘美なものたちに、勿論抗えるわけもなく。) 「 ______い、ただきますぅ……! 」 ( ぼくは、その魅惑の甘味を、口に含んだ。) ( しあわせのあじは、きっとこんな風だったろう。 ) ( まずスプーンを差し込んだ瞬間にわかる柔らかさは、口に放り投げた途端に甘さを残して消えてしまう儚さに変わった。ぷるるんと身体を震わせるくせに、いざ食んでみれば美味しさに震わされるのはぼくの方。 ) ( 『 濃厚とろけるミルクプリン 』の名は伊達じゃあなかった。完敗である。)
「 ………………で、えぇっと。」「 『 誰だって、何時でも何者にでもなり得る 』のなら、さ。………………ぼくも、何にでもなれるってことなのかな。」( 先程の言葉を反芻して、ぼくは呟く。口の中に広がる甘さとは裏腹に、告げた言葉はきぃんと冷めていた。)「 誰かの代わりを望まれ続ける人間にも、ただひとつの〝 何者 〟が、あるのかなぁって。」( 心からその死を喜ばれ、祝福されるのが、和枕音子という人間だ。) ( ぼくの死は、ぼくの死だけは、誰かのためになってしまうから。) 「 ほら、例えばさ。ぼくが頑張って頑張って頑張れば、料理が出来るようになったりすると思う? 」( プリンはお皿と胃袋で半分こ。ふとスプーンの動きを止めて、青年を、『 シキガミのサクラダくん 』を見上げてみる。本心ではないけれど、出来ればいいなって思ったりはするから。) 「 なまくらねいこは、きみみたいになれるかなぁ。」 (5/14 18:39:38)
サクラダ キョウ>
『______い、ただきますぅ……! 』(貴方が本当に嬉しそうに褒め称えてくれるので、彼もちょっぴり上機嫌。ふふん、ふんふん、なんて鼻歌を歌い出しそうなくらいのテンションで、貴方がミルクプリンの一口目を食べる様子を観察する。そう、料理において最も重要なのは最初の一口目だ。その一口目が不味ければ、人は二口目を食べる気が大幅に失せてしまうものだ。肝心なのは、一口目。)(そうっと、ゆうっくり、貴方の口に入って...........)(ふるふるっ!と体を震わせて、口にはしないものの、この様子なら満足いただけたようだ。彼はほっとしたように少し深く息を吐きながら、ふんわりと微笑んだ。少しでも、貴方を救うことは出来ただろうか。貴方を元気づけることは、貴方の活力のほんの一部にはなれたろうか。それから、貴方が溢した、小さな星屑のような言葉の種たち。)『ぼくも』『なんにでも』『誰かの代わりを望まれる』『そんなぼくの、"何者か"』『なまくらねいこは』──────────────────『きみみたいになれるかなぁ。』(彼は、貴方が種を吐き終わるのを見届けていた。種は、水をやれば芽になり、茎になり、根を張り、そして。)「誰が君に何を望もうと。」「君が何者になるかを、結局最後に選べるのは君自身だけだ。君が求められる物と君が求める物は、必ずしも一致するわけではない。」「君はまだ、無限の可能性を秘めているんだ。君が望むのなら、肩書なぞ捨てて逃げ出してしまえばいい。それが自分の信じた正義なら、それを信じて突き進め。」(彼は、その昔種だった枯れ木達を目の前にただ呟く。)「俺は。ヒーローになりたかったんだ。」「みんなを救えるヒーローが、かっこよくて、理想で、俺の人生の目標だった。」「だが、今じゃ道を誤ってカミサマだ。」「俺は、もう皆を救えない。その力がない。悪を倒す戦闘能力も、瓦礫の下から子供を救い出す探索能力も、それどころか。」「守りたい人に触れることすら、できやしない。」(彼はカタン、と立ち上がれば扉に向かって歩いていった。そして振り返り、貴方を見つめた。)「俺みたいに、なるんじゃない。」(それは、本当に哀しい瞳をしていた。)「お題はもう受け取った。」「.....................................魔法使いだなんて。素敵な言葉を、ありがとう。」 (5/14 19:13:41)
和枕 音子>
( 甘さは、平和の象徴である。) ( ぬるま湯と、甘いミルク。ほろほろ解ける角砂糖。暖かいお布団。) ( そういう全ては、平和の中でこそ輝くものだ。戦争の真っ只中でも、確かにそれらはきらきらしているかもしれないけど、悲しいかな。銃弾とカミサマが飛び交う中で容易に手に入るものではないのだった。)( 何が言いたいかって? つまりは、今この瞬間の平和万歳。)「 甘いもの、好きなんだよねぇ。」「 空いた心の隙間を埋めてくれるから。」( きみがこちらをにこにこ眺めているから、ぼくはぽつりぽつりと言の葉を落とす。一言落ちるごとに、しあわせの証は胃袋の中へとさようならしていって。残り四分の一。 ) 『 君はまだ、無限の可能性を秘めているんだ。』( ぴたり、とスプーンはぷるぷるを運ぶ行為を止めてしまった。) 「 自分の信じた、正義……? 」( 薄い呟きは、きみの追憶に紛れて消える。)『 俺は。ヒーローになりたかったんだ。』『 だが、今じゃ道を誤ってカミサマだ。』( ぽちゃん、ぽちゃん。静かな水面に、小石を投げれば波紋が広がる。ぼくの放った小石はきみに、きみの身の内に秘めた海に、いったいどんな揺らぎを与えたのだろうか。『 守りたい人に触れることすら 』と綴るきみには、触れたい人が、守りたい人がいたのだろうか。自らをシキガミだと、カミサマだと言うきみは。) ( カタン。) ( 大きな背中は、とても守る力に欠けているようには見えなかった。) 『 俺みたいに、なるんじゃない。』( 今にも雨を降らせてしまいそうな声の響きは、こちらを透かして遠くを見るような眼差しは、ぼくのせいか。 ) ( きみはそのまま扉を抜けて、立ち去ってしまうだろう。部屋に残されるのはぼくと寝入ってしまったころころ子牛だけで、そこに甘さなんて残っちゃいないんだ。からから扉が開いて、かろかろ扉が閉まるその寸前を見計らって。)
「 ____________『 努力 』は、悪だよ、きみ。」
「 頑張ったから、やさしいきみはカミサマになってしまった。」「 頑張ったから、ぼくは望みを持てなくなってしまった。」( 冷たい冷たい視線を、決してきみには向けたくなかったから。扉から無理くり遠ざけて、もう真っ暗になってしまった窓外に貼り付ける。) 「 努力をすれば報われることなんてこの世に何一つない。」「 あるのは、〝 努力をする才能 〟だけだ。」 ( ぼくはそれを持ち合わせてはいなかっただけだ。 ) 「 ________さて、ごちそうさま、でした。」( ぱちり。) ( 季節外れにも凍った空気を掻き消すみたいに両手を合わせて、礼儀正しく挨拶をひとつ。大変美味でした、と伝えるべき相手はもういないのだけれど、一応。) 「 サクラダくんのことは、嫌いじゃない…………みんとも、きっとそうだよね。」( だから、また来よう。また、会いに来よう。) ( 一息を吐いたぼくの前に残るのは、何の変哲もない学校の匂いと、空になった皿一枚だけである。) 〆 (5/14 19:49:18)
サクラダ キョウ>
(ザラ、ザラ、ザラザララララララララララ........................)(外で地面を穿ち続ける、天から振り落とされた雫たち。いつもは地面を優しく包んであげるのだけれど、今日はちょっぴり神様の機嫌が悪いみたい。)(朝日が登って、まだそこまで時間が経っていない頃。学校の時間でいうと、2時間目の途中くらい。なのに、校舎はシン.....と静まり返っていた。家庭科室に備え付けられたテレビには、ニュースで真っ赤に染まった地図が映し出されてる。画面の8割くらいで映像が流れて、残った部分で速報と現在の天気図を流してるの。そんな、いつもとはちょっぴり、何かが違うテレビを見つめる影が一つ。その影は、リモコンが置かれた机の上に体操座りして、時々不思議そうに頭をかしげたりしながら、テレビに見入っていました。時々全校生徒が集まった体育館の方から聞こえてくる、偉い先生の話し声。『本日は少し..............なので..............皆さん、早めに寮に.................』しかし、どうやら"彼"は体育館に居ないみたい。小さな魔法使いは、大切な友達から離れることはない。だけど、家庭科室に"彼"の姿はない。そんな、ちょっぴり不思議で、特別な日のことでした。) (5/15 11:06:30)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
(…天気はどしゃ降り。全国的に強い雨のようで、学校からも帰宅が促されている。)「うお〜〜〜〜〜〜〜!!!!!いっっっっっけね!!は、はやく体育館に行かねぇと…っ!!」(静かな校内を駆け抜ける、この動きと声のみひたすら大きい少年はネヴェルヴァ・シュート・イグリア、通称シュートである。そんな彼は今日__飽き飽きする授業…つまり数学とかそんな所。その時間に懲りもせず居眠りをしていたおかげで全校集合の放送を聞き逃していたのだ。)「…ったく〜〜!!(ど〜〜〜〜してみんな起こしてくれねェ〜んだ!?いつもなら誰かが声掛けてくれるのに〜〜〜〜〜ッ!)」(彼は体育、家庭科などの実技授業以外は起こされるまで大半寝て過ごしており、大半は先生や友達に起こされているのだが__みんないい加減起こすのを諦めたのだろう。)「…ん?アレは…」(漫画の中であればキキーーッ!と急ブレーキを掛けたような効果音が描かれるであろう動きで突然足を止める。電気の消えた家庭科室。そこには。)(…見たことのない『お人形』が天気予報を映すテレビの前に座っているのだ。しかも…ただのお人形ではない、かくん、と『動いて』いる。)(天気は雨。校舎内もほんのり暗い。そのおかげで少々不気味ささえ感じられる。)「う…(…っ、なんだ…?誰かのディスコード、とか…でも周りに誰もいないよなぁ…カミサマ、だったり…?)(もし相手が危険な存在であればこの自慢の足で逃げ切ってやろう。そっと近づき…少しだけ、勇気を出して。)…も、もしもーし…君、名前…は言えないか…あの、宿主さんは…?(そう、何時もよりボリュームを下げた声で、声をかける。」 (5/15 11:44:08)
サクラダ キョウ>
(小さな魔法使いは、テレビを不思議そうに見つめる。内容が分かっているのか、いないのか。日曜朝の女児向け番組よりももう少し難解なニュース番組を、そのディスコードは興味津々、といった感じで見つめていた。だから、気が付かなかったの。)『…も、もしもーし…君、』(そう、いつの間にか家庭科室の扉から現れて、そっと近づいてきていた貴方の存在に。)(彼女はびくうぅぅぅぅぅぅ!と体を震わせながら、背筋がぴーーーーんっ!と伸びて。恐る恐る頭を動かして、そして、隣に大きな大きな貴方という人間がいるのを確認すれば、トテ、トテ!となんとか立ち上がって、机の端っこに移動する。ぎりぎりの崖っぷちに立ちながらも、ぬいぐるみのような魔法使いはぷる、ぷる、と震えながら貴方の方を向いて観察していた。まっかっか頭。キラキラお目め。そう、アニメのお姉さんと一緒みたい。少しだけホッとしたかのように彼女はくぃぃぃ、とお手々を胸に当てて、そこで貴方の言葉を思い出す。)『…あの、宿主さんは…?』(その言葉を、聞けば。彼女は思い出したように立ち上がり、机の足に掴まってするすると地面に降りた。そして、シャラン!と杖を取り出して、貴方に見えるよう、家庭科室の済を杖で指すの。その先にあるのは、ちょっとばかり古びた扉。扉の上の板には、『家庭科準備室』と書いてあるね。彼女はトテトテ、トテテ!と走っていけば、その扉を杖でくいっ!くいくいっ!と、指を指す。ここ!ここ!って必死に主張するかのように。) (5/15 12:15:35)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
「うぉおお!?(…そんな、突然の動きに驚きつつ。)ぇえっぉ、(あ、デケェ声出しちまったな…)びっくりさせちまったか、な…?ごめんよ…あっ!えぇと、と…っ(咄嗟に机のギリギリまで進むちいさなディスコードを受け止めようとして。)…よかったぁあ…落ちちゃうかと思ったぜ…」(そのお人形はどうやらやはり誰かの『ディスコード』であったようだ。)(それは。最初は部屋の暗さも相まってすこ〜しだけ、コワくみえてしまったけれど…よくよく見るとうさぎのような耳に魔法使いのような帽子。メルヘンチックでかわいい姿をしていた。)「…んぇ?どーしたんだ?立ち上がって…(そのディスコードは杖を取り出し、あちらに向ける。)…『家庭科準備室』。(調理実習の時にはそこに行ってボウルやまな板などを取りに行く。…楽しい実習が終わった後の片付けは少し苦手だが。)(示されるがままに、彼女についていく。)ここを…開ければ良い…んだな?(もしもオレを捕えるためのトラップだったらどうしよう、何か危ないカミサマでも潜んでいたらどうしよう。なんて余計な心配ばかりしながら。)「…失礼、しまぁあす…」『ガチャリ。』(__ドアが開く。) (5/15 12:34:06)
サクラダ キョウ>
(ギィィィイイイ、扉が軋む。)(扉を開けた先には、薄闇が広がっている。大きな棚に所狭しと片付けられた実習用の調理器具。壁には本棚にしまわれた大量の教科書、レシピ本、裁縫の指南書。家庭科室の予備として置かれた数台のミシン。天井から吊り下げられたランプは今やその光を失っていた。小さな魔法使い───────ティンカーベルは、トテトテ、トテ、とゆっくりと部屋の奥へと進んでいくんだ。よぉぉく目をこらしてごらん。そこには、古びた木製の机と椅子。そして。椅子に座って、机に突っ伏している大きな影があった。.............ティンカーベルが、トン、トン、と椅子の脚を叩く。お客さんの来訪をお知らせするかのように。影は、ゆっくりと、頭だけ上げて。それから少しティンカーベルの方を向けば、微笑んで。ようやく上半身を起こして、今だ雨粒が踊り続ける天井を見つめる。)「...................体育館とは、逆方向だろう。」「..........................................ここは、家庭科準備室。調理器具達の、休息の場所。」「.............................君も、休んでいくか?"ネヴェルヴァ・シュート・イグリア"君。」(彼は天井から目線を外し、背もたれに体を預けたまま、貴方に視線を移した。彼は、貴方の名前を知っているらしい。もしかしたら、明るく活発な君なら知っているかもしれないね。みんなの間で流れてる、奇妙な噂を。曰く、『雨の日は、ソイツは家庭科室のどこかにいる』。曰く、『ソイツに触れた奴は..............死ぬ』。ティンカーベルが机の脚をよじ登って、心配そうに彼の顔を覗き込んでいた。) (5/15 13:25:43)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
(…家庭科準備室の暗がり。その奥__)「…あ、(あの、人は。)(ふわりと甘く香る、よく家庭科室でお菓子を作っている彼は。)サクラダ、先、輩…?(学年も別であるため、名前はあやふやだ。)(あのディスコードは、先輩の所の子だったんだ…)」(先輩は__いつもキッチリ、挨拶はハキハキ…そんな人だった気がするのだけど。)(なんだか今日は様子が違うようだ。)「…っ!ごめ、いや、あは…すみません……あの、その__なんかジャマしちゃいましたか、えぇ〜〜〜っと、もしアレだったらすぐ向こうに…」(カチコチした動きで少し気まずそうに、精一杯の下手な敬語で話しかける。)(が。)「あっ、は、はい!っ、オレはっ、シュート、です…?(名前が長い為、いつもは単略化されるであろう『フルネーム』で呼ばれる。__真面目なサクラダ先輩らしいな、と思ったり。)えーと、全校集会にすっかり遅れちゃって……あの。先輩は行かないんっすか…?」(なんてそろそろと様子を伺いながら聞くだろう。)彼は真っ直ぐだがどこか抜けたところがある。噂なんて聞いてもその時少し怖がるばかりで、数日過ぎたらすぐ忘れてしまった。…が、今回ばかりは思い出した。)(____しかし。)(怖いもの知らずな彼は。そんな噂も気にせず…いや、『全く気にしていない』と言ったら嘘ではあったが__やはり先輩が気になったのだろう、彼に近づく。)(__未だ雨が止む様子は無い。) (5/15 13:57:00)
サクラダ キョウ>
(一秒、一秒が限りなくゆっくりと流れていたんだ。時計の音はカチリ、コチリ、カチリ、コチリ、ゆっくり、ゆっくりと。だけど、扉を開いて貴方が来てから、停滞していた準備室の時間は急速に動き出したんだよ。)「..........................邪魔なんかとんでもない。君が来てくれて、俺は嬉しい。」(彼は目を細めて、優しく微笑む。そろそろとこちらの様子を伺いながら、全校集会に行かないんですか....?なんて聞いてくれる貴方の方を見る。ほんの少しの緊張、あるいは好奇心、あるいは純粋な疑問、といったところだろうか。彼は貴方にポツリと、溢した。)「俺は雨が苦手でな。雨が降るのを見るのも、雨の音を聞くのも、それから.......」(そこから先の言葉は、今は飲みこんで。)「全校集会、本当は行かないと行けないのだが。今も本当に、先生方のありがたいお言葉を聞き賜りに行きたいのは、本当に山々ではあるのだが。.........................今は少し、本の少しだけ。ここにいたいんだ。」(彼はこちらを見つめてくるティンカーベルに視線を落とせば、ギシリ、と音を鳴らして木製の椅子から立ち上がる。)「君は、全校集会に行かなくていいのか。」(彼は準備室の隅に置かれた、家庭科室の新しいものとは違う、古びた冷蔵庫からお皿を取り出した。ラップがかけられたそのさらには、オレンジ色のゼリーがのっていた。)「行くとしてもどうせ遅刻なんだ、少しだけお菓子を食べていくといい。」(彼は食器棚からスプーンを取り出して、皿と一緒に貴方に差し出した。貴方の後ろで、ズズズ、ズズズ、となにかを一生懸命引きずるような音。貴方の後ろには、家庭科室から椅子を運び終えたティンカーベルが、コンコンッ!と貴方の足を叩いて、みてみて!ってしてるみたい。)「初夏の蜜柑ゼリー、召し上がれ。」 (5/15 14:37:06)
ネヴェルヴァ・S・イグリア>
「っあ、えと、それならよかったです!!」(彼は雨を嫌う人外。この学校の生徒であり、先輩であり、なにより__)(カミサマなのである。)「雨、わか…りますっ!イヤっすよね、(__オレだって雨はあまり好きではない。じめっとしてるし、うるさいし、なにより外で思うままに走ることが出来ないし。)」「…っ、でもっ…!ほら、どッこかで見た記憶があるんですけど、『雨がふらなきゃ虹は出ない』…だっけ…?そんなコトバがあって!(まどろみながらも聞いていた、飽き飽きするような英語の時間に確か先生が言っていた。外国のコトワザ?だったような。)(原文___英語の文章は、もう覚えていない。日本語訳だってもうあやふやだけど。)…ほら、ツラい事があったって、その後になんか良いことが起きるんじゃないかな〜って!みたいな…?だから雨も、オレたちが思うよりもそんなに悪いものじゃね〜んじゃ、ないすかね…なんて。」(先輩の雨嫌いにはきっと…いや、確実に何か理由があるんだろう。でも、そこにはもう触れないように。)(……ふと、腕時計の針を見る。)「ッや〜〜〜っべ!?もう集会もおわっちまったかな…いや、もう諦めるか…」(そう、少ししょげた顔を上げると、なにやら先輩は用意を始めている様子。)「?…何持ってきたんですか先輩…ぇ!?コレ、オレに!?い、いいんで、すかこれぇえ!?」(彼の手にはきらり、と光を受けて反射するミカンゼリーが乗っていた。)(そのオレンジ色は__自分の憧れる父親の髪の色のようで。)「え、えへっ、いただきまーー、うぉ、っ!?(足元にはさっきのちっちゃい子。彼のディスコードだ。)こ、こんなに重いモン運んでくれてセンキューな!(と、小さな君に、笑顔を向ける。)」(__ぱくり、と口の中にゼリーの一片を含む、と。)(しゅわりと口の中で、雨の憂鬱さなんて吹き飛ばすほど爽やかに解けるのだ。)「〜〜〜〜ッ先輩!!コレすっげ〜おいしいな!!!ですね!!!」(喜びのあまり抜けてしまった敬語を雑に補完して。)(先輩の方を向き、勿論__何時もより更にキラキラとしたその瞳を向け、笑顔でそう答える。) (5/15 15:10:01)
サクラダ キョウ>
「"No rain, no rainbow."」「雨が振らなきゃ、虹は出ない、そうだな。辛いことがあるからこそ、それを乗り越えた先の幸せはより鮮烈で、綺麗に瞳に写る。そうして、人々は生きていくんだ。」「ありがとう、大切なことを思い出させてもらった。」(机に戻った彼は微笑みながら、頬杖をついていた。椅子を運んできていたティンカーベルも、いつの間にか机に戻っている。)『〜〜〜〜ッ先輩!!コレすっげ〜おいしいな!!!ですね!!!』(そんな、貴方の元気な言葉を聞いて。彼とティンカーベルは見つめ合えば、思わず嬉しくなっちゃって。にっこり笑って、貴方に向き直った。貴方が向けてくれた、キラキラと輝く笑顔。そうだ、そうだ"私"は。)("この笑顔を守るために、シキガミになったんだ"。)「美味しいだろう。なんたって俺が腕によりをかけて作ったスイーツだからな。このベルも材料をかき混ぜるのも手伝ってくれたんだ、美味しくなるのはもはや自明の理だな。」(彼が誇らしげな顔でそう言っている最中、ティンカーベルはうんうん、と自慢げに頷いている。)(雨は嫌いだ。)(雨は、嫌いだけど。)(こんな雨の日に訪れる小さな出会いは、存外嫌ではないのかもしれない。)【〆】 (5/15 15:29:50)
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(──────────夕刻だった。もしかしたら貴方は買い物帰りだったかもしれない。飛ばされた風船を取り戻すようなほんの些細な日常を守ったあとだったかもしれない。街並みは昼間の陽光、青とクリーム色が抱きしめる昼下がりとはまた違う顔を持っていた。焼かれ、まるで影絵のようになった世界。絵に描いたような沈むゆく太陽が無くなっても寂しくないようにと、子供のために薄明かりを用意したかのような月が出るまでそう時間はかからない。今日という日が沈みゆく。…疑いようもな、『平和』であったはずだ。『平和』〝 だった〟と言い切るに事足りていたはずだ。父親に肩車されてはしゃぐ子供。仕事帰りのサラリーマン。買い物をする主婦。車の通る音。ポシュゥ……と言う音と共にバスからはゾロゾロと市民が降り去る。遠くから聞こえるは電車の音、自転車のベルの音、足音、クラクション、それから。) (それから。)(──────────)『──────────タス、けて……………』(──────────)『ュ、る、して………………………………』(──────────)『【⠀たす、けて】………』 (【⠀─────√─────】 )( 生活に、決して溶け込むこともない、【不協和音】が、貴方の耳には届いただろうか。微細なズレに気付いた人間はそう居ない。もしかしたら本当に【貴方】だけだったかもしれない。無視したって構わない。こういう時は見ぬふりをするのが1番賢い。)(しかし貴方は【その選択を取る】とは思えない。声は、路地裏の方からだ。)『たす、けて………………………』(──────────)『だれか………………………』(──────────)『お願い………………………』(──────────)『【⠀許して】』 ((─────√─────)) 「 ………………………………… 」(もしも足を向けることを選択したのならば、不協和音はどんどんと虚像を実像に、ぼやけたそれらが明瞭になる錯覚に陥るかもしれない。)『たす、けて………………………』(──────────)『だれか………………………』(──────────)『お願い………………………』(──────────)『【⠀許して】』 ((─────√─────))『たす、けて………………………』
『【─────√─────許して───────√───】』
( 〝 パキッ、パキュッッ………… 〟)( あどけない子供のような声の、ゴール地点だ。貴方は目にすることだろう。ズロォォォォォ…………………………と小さな女の子を中心に、複雑に絡まり合う【食中植物】のような者達を。排泄物と鉄を織り交ぜたような酷い腐臭を振り撒き、胃袋を裏返しそのまま袋状にしたような者たちが脈打つ様を。)(─────√─────)『【許して】』(─────√─────)(まただ、また声が聞こえた。それは少女からか?……否。それはその袋状の、食中植物から聞こえる。中からじゃない。〝植物植物 〟が呼吸をするようにハクハクと穴をひくつかせ、コポォ……と胃液を漏らしながら、呟いている。)(では、この少女は。)「……………………………………………あはァ………釣れちまいましたか????連れねえなァ、釣れねェなァ、吊れねェなァァァッてェェェェェェェ……………………」「 ほりしぃ………………ずうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッとォォォォォォ………………………思ってたところでええぇぇぇぇぇぇ…………………」(後ろを向いていた少女は、ガクンッッ……………と、マリオネットの糸が切れたように前のめりになった後、グルリと脱力しきった様子でそちらを見やり、瞳孔を収縮させる。ジィィィ………………………………と見やる先は貴方、…の目ではなく耳。そう、耳だ。)「…………………………オマエ、人間ですねェェェェェェ………………………ほりしぃともルクレルクとも違う、人間ですよねェェェェェェッッ………………………………」(足元に広がる血痕と彼女のベルベットの液体。彼女が振り返り影がどいたところで顕になる、『蔦に絡まって負傷している市民』と、倒れ込む男2人。スーツを着込み、柄の悪いネクタイをつけている。)(西日で伸びきった貴方の影は実像よりもずっと大きく見せてくれることだろう。飛ばされた風船を取り返す小さな世界はもうおしまいだ。)( サクラダ キョウ。)(今君は。)(【ヒトの生死の狭間】にいる。ネバーランドに甘んじるのはやめておいた方がいい。) (5/15 21:28:58)
サクラダ キョウ>
『本当に、気の所為であって欲しかった。』(ただ、いつも通りの日常がいつものように流れていく一日の筈だったんだ。そう、それはレシピ本と調味料、それから卵を2パック程買い終えて家路に着くときのことだった。どんなスイーツを作ろうか、みんなはどんなスイーツで笑顔になれるだろうか、そんなことを考えていたんだ。その、掠れた叫びを見つけるまでは。)(そう、それは本当に砂場の中の一部、ほんの一粒だけが赤いことに気付いたぐらいの、本当に偶然の発見だった。気の所為かもしれない、単なる空耳かもしれない、疲れているだけかもしれない。だが、それを拾い上げない訳にはいかなかった。その赤色は、捨てるには余りにも残酷な色をしていたから。)(声を聞き取った瞬間、足がその方向へと勝手に走り出した。理屈が頭の中を遮る前に、本能が体を動かしていた。)
(声が近づく。)
(夢は、現実に。)
(希望は、絶望に。)
(許しや助けをこう少女の声なんて、聞きたくは無かった。だけど、だけど、──────)( 〝 パキッ 〟)(そこで。)( 〝 パキュッッ………… 〟)(辿りついた。)(『あ、貴方は、なにを、。』)『………………………………………あはァ………釣れちまいましたか????連れねえなァ、釣れねェなァ、吊れねェなァァァッてェェェェェェェ……………………』(『ねぇ、何を。』)『ほりしぃ………………ずうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッッとォォォォォォ………………………思ってたところでええぇぇぇぇぇぇ…………………』(『何を、していらっしゃるのですか......?』)(こちらを一瞥する貴方は、なんというか。)(あまりにも。)『…………………………オマエ、人間ですねェェェェェェ………………………ほりしぃともルクレルクとも違う、人間ですよねェェェェェェッッ………………………………』「.............................................俺は。」「......................俺はもう、人間には"戻れない"」「なんだってそうだ。形あるものは、形が変わってしまえば二度と同じ形には"戻らない"。"戻せない。"」「俺は、君のことが誰だが存じあげないが。」(あまりにも。)「傷ついた人の体は治っても、心は二度と同じ形には戻らないんだ。」「少しだけ、そこをどいてくれ。」「傷ついた人の、手当が最優先だ。」(彼はそう言い放つと同時に、勢いよく負傷した男達に向かって走り出した。)(そう、)(君の瞳は、あまりにも綺麗で。それでいて、"残酷な赤色"だったんだ。) (5/15 22:00:14)
ほりしぃ>
『..........................................俺は。』『......................俺はもう、人間には"戻れない"』「……………………………………、…………」(貴方がポツリと零した呟きに、彼女は目を見開いた。縦長の瞳孔がまるで生者のようにひくつく。あどけない顔をした彼女は、貴方から目が離せない。耳は人間、容姿も人間、故に気付くことが出来なかったのか。それとも貴方が【不可解な嘘】や【比喩表現】として用いているのか。なんにせよ、その一言、耳にした時の彼女は、以降の言葉なんでどうでもいいと言うように、その言葉ばかりが脳内をグルグルと巡回していたのは明白だ。その証拠に声色は、先程の敵意も、悪意もなく、残されるのは2つの相対した感情。)「……………オマエ………………………〝 カミサマ〟なのか?」(〝 一抹〟の、期待と、不安である。)『───────少ししだけ、そこをどいてくれ。』『傷ついた人の、手当が最優先だ』「……………………ッッ、…」
(だがしかし。) (勢いよく走ってくる貴方に対し、植物を張り巡らせ 壁作り拒もうとしたのもまた、〝彼女 〟である。張り巡らせることに成功したのならば、貴方はその植物の隙間から彼女の姿が見えるはずだ。)(カツリ、コツリ、カツリ、コツリ。) (彼女は後ずさり、2人の人間を引き渡さんと言わんばかりに両手を広げ、植物越しにとうせんぼうをするだろう。)「…………………………手当……???治すってことですかァ…………??人様の晩飯を逃がそうってェ言うんですかァァ………………………??」「…………あのな、あのなあのな、カミサマは知らないんだ、知らないんでしょ、知らないからですよね?そうに決まってる………………ほりしぃは使える良い子ちゃんだって。あのな、あのな、聞いてカミサマ。ほりしぃ、ほりしぃクソほどめんどくせーケド、ちゃあんと『ガッコー』のルールにも則ってるンです。『悪い奴らはとっちめる』…………………コイツらはッッ… 嫌がるルクレルク人のオンナ、店に無理矢理引き渡して、金をむしり取る人間でした。ほりしぃ、見つけました。見つけちゃいました。偉いので、賢いので…………賢いでしょう…………???カミサマ???」「……………………悪い子だから、没収なんて。……………ぁるわけ、ねェですよね?そんな意地悪、しようとか思って、ませんよね???ほりしぃ、そしたら今日も【⠀ご飯が食べられなくなっちまう 】………………」 (貴方が『カミサマ』かもしれないという期待と不安から、声色が震える。自分はカミサマを愛している。心の底から尊敬している。そんな相手が『自分よりも人間を優先しようとしている事実が恐ろしくて堪らない』。彼女の発言に嘘偽りはない。最近の彼女の食事は悪いヤツを主食とする。………しかしココ最近、世界があまりに平和だからか、彼女が盲目だからか『ここ4日間』何も食べていない、そう。食べていないのだ。このままではこちらもこちらで死に孵ってしまう。)「……………もしかして、【⠀嘘 】ついてる?」 (5/16 01:01:39)
サクラダ キョウ>
『……………オマエ………………………〝 カミサマ〟なのか?』(黒い『何か』が、彼と負傷者達を遮った。)「俺が、カミサマであろうと、なんであろうと。」(燃える。)「俺は、手を差し伸べれば助かる人達を見捨てることは、しない。」(怒りが)「俺はカミサマだが、それ以前に。」(哀しみが)「サクラダ キョウだ。」「人間であろうと、ヒーローであろうと、カミサマであろうと、俺の前で死なせるのはッッッッッッッッッ!!!!!」(どうしようもなく、再燃してしまうんだよ。)「──────────..............」(いつだって冷静に。もう二度と、目の前で失わぬように。)(濁ってくすんだ瞳の色を知るのは。)「───............。」「...............................二度と、ごめんだ。」(自分だけでいい。)「お前は、人を喰うのか。」「.......................何故。」「.........................人は死んじゃえば。」「もう元には戻らないんだ。もう二度と会えなくなるんだ。誰からどれだけ悲しまれようと、その死を悼まれようと、惜しまれようと。」「どう足掻いても、死人とは会えないんだ。」(彼の目元に、影が落ちる。目尻が夕焼けに染まり、ほんの少し燃える。)「俺は皆を死なせない為にヒーローになったんだ。もう二度と誰かを悲しませないために、もう二度と失わぬように。」「それが、俺の"正義"だからだ。」(彼は未だ熱が籠もる眼差しを、貴方に向ける。)「もう一度だけ、聞くぞ。」「お前は何故、人を喰らう。」「アンタの正義は、一体何だ。」(彼は問いかける。貴方の正義を、貴方の過去を、貴方の信念を。斜陽差し込む薄ら寒い裏路地、邂逅した二人の人ならざるものは、それぞれを確かめ合うの。) (5/25 21:55:41)
ほりしぃ>
『俺が、カミサマであろうと、なんであろうと。』『俺は、手を差し伸べれば助かる人達を見捨てることは、しない。』『俺はカミサマだが、それ以前に。』『〝 サクラダ キョウ 〟だ。』「………………………………………」(彼女はあからさまに眉を顰め、訝しげな表情をするだろう。 〝 こいつは何を言っているんだ〟そう言いたげな様子で。夕焼け空に当てられた、身を焦がす怒りを孕んだ貴方の瞳が彼女を捉えて離さない。無論、彼女もその場から逃げることなしないだろう。)『お前は、人を喰うのか。』「………そんなん見たら分かるでしょう。ほりしぃは人を喰います。」『.......................何故。』「…………はァ…………?????〝 何故 〟………???」『.....................人は死んじゃえば。』『もう元には戻らないんだ。もう二度と会えなくなるんだ。誰からどれだけ悲しまれようと、その死を悼まれようと、惜しまれようと。』『どう足掻いても、死人とは会えないんだ。』「……………………オマエ、この期に及んで何を言ってやがるンですか????」(…彼女は貴方を睨み、植物を畝らせていた。嗚呼、漸く分かった。貴方はカミサマはカミサマでも、鵺とはまた違う『元人間』で、その『ニンゲン』を捨て切れない 『敵(ヒーロー)』なんだ。 あの7日間、彼女は貴方に何が起こったかは知らない。大きな背中が貴方を投げた後にペースト状になったこと。何故貴方がヒトじゃなくなってしまったのか、…………どうしてそうも『馬鹿―お人好し―』なのか。知らない、分からない、知りたくもない。 )『──────────もう一度だけ、聞くぞ。』『お前は何故、人を喰らう。』『アンタの正義は、一体何だ。』 「………………ハッ……〝 正義〟ィ…………????」(彼女は思わず嘲笑した 口端にたいた血痕を親指でぐい、と拭い 軽く舐めとる素振りはまるで悪魔か吸血鬼。尖った耳から下がったピアスが、ヌラリと気味悪く光る。 ) 「…………………嗚呼、これだから〝英雄(ヒーロー) 〟は。」「揃いも揃って雁首揃えてやれ正義だの 『守らなければならない』だのなんだのォ……………ちゃんちゃらおかしくて反吐が出ちまいますねェェ~~~ッッ……………そんなもんほりしぃに【あるわけねェ⠀】じゃねェですか。 人を喰うのは『腹が減ったから』。 オマエらだって肉を喰うでしょう?鶏肉、豚肉、牛の肉。飯を食う時に一々ンなこと考えながら生きてるバカはそう居ませんよねェェ………………ほりしぃがやってることはそれと同じですよ。ニンゲンなんてほりしぃにとっては餌に過ぎない。誰が死んで誰が悲しんで、何が二度と戻って来ねェかなんてのはどうでもいいッッ………そう、どォォォでもいいんですよッッ……!!!!!下等なニンゲン共はほりしぃに食われて当たり前じゃあねェですかァッ!!!!!!!!!!!!」「ねェどうです????怒りましたか????ムカつきますか?????ムカつきますよね?????? そうそうそうそう そうですよ、それでいいんですよォッッ…………!!!ヒーロー共は弱っちくて脆い奴の傍に常にいるッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ほりしぃに敵意を向けて【当然】なンですッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」 (彼女は笑っていた。 そうともさ、貴方のその感情は【間違っていない】。貴方がヒーローである限り、彼女に敵意を向けるのは当然だ。そうでなければならないのだ。ヒーローは弱い奴の味方、『可哀想の味方』であるならば、【強くて賢くて、誰の助けも要らない 、 弱者とは程遠い ほりしぃ】に対して、その目を向けるのは至極真っ当な話なのだ。だから彼女は言ってやった。マリーアントワネット宜しく、それが『当たり前』なのだと。)(………『当たり前』のはずなのに。) 「でェ…………?????あはッッ………………どうします?????ここで方を付けますか???カミサマだろォがなんだろォが、オマエもこっちの敵な以上、纏めて喰っちまっても構わねェッッてことですもんねェェエ゛エエェッッッッ!!!!」(……… )「ヒーローなんざァッッ………!!!!!!!!!!皆揃って死んじまえば良いんですッッッッ…!!!!!!!!!!!」 (それは確かな、……………ニンゲンに対する『妬み』だった。 ) (…………彼女のディスコードが、貴方の方へと向けられる。その身体能力ならば避けられないことはあるまい?) (5/25 22:43:19)
サクラダ キョウ>
「............................。」「おま、おまえ。」「...........................、......。」(落ち着け。)「.......、............っっ、 ........」「.......お前はっっ、」(自分で自分の感情をコントロールできない奴に、ヒーローなんて名乗る資格はない。)「────────...........................っ、っ、............」(貴方を見つめる視界が真っ赤に染まる。言いたいことなら、山程あるんだ。『そんな理由で人を殺していいのか。』『悪人なら殺してもいいのなら、この国に法律は要らないだろうが。』『お前は、悪...』脳に沸騰しきった血がめぐり、口を開いて自分の意見を押し付けそうになる寸前。ほんの、すんでのところだった。)(─────────────ポトン。)(鼻先に、ほんの少し、誰かが触れたような。)(ポツリ。)(ポタ、ポト、ポト、ポツン、ポトトトトトトトトトトトト..................)(空が、大泣きし始める。どうやら神様はなにか気に入らないことがあったらしい。)(...........................)(よぉおおおおく似ていた。あの地獄の七日間に。気がつけば降り出していた雨に、目の前で失った瞬間の途方も無いやるせなさ。)(真っ赤な視界が、急激に彩度を取り戻しながら貴方を映し出していく。昼下り、曇り空。呻き続ける瀕死の悪人、そして。)『ねェどうです????怒りましたか????ムカつきますか?????ムカつきますよね?????? そうそうそうそう そうですよ、それでいいんですよォッッ…………!!!ヒーロー共は弱っちくて脆い奴の傍に常にいるッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ほりしぃに敵意を向けて【当然】なンですッッッッ!!!!!!!!!!!!!!』(まるで、自分に言い聞かせているかのような、貴方の発言の違和感。)(彼は鈍感で、不器用で、馬鹿だけれど。でも、考えることを辞めてしまえば、暴力に頼れば、それはきっと本当にカミサマと変わらないから。だから、立ち止まって考えるの。貴方の、その言葉に隠された真意を。)「───────────────────。」「.............、..........。」「ほりしぃ、さん。」(彼は、声にする。)「今から二人で町を歩きつつ、趣深い庭園などに立ち寄りお茶を飲みながら話に花を咲かせませんかっっっ!!!!!」(彼は鈍感で不器用で馬鹿だから、これだけじゃ貴方の本当の心は、その発言の奥底に隠された貴方の本音までは聞き取れない。だからこそ彼は、貴方を知ろうとする。) (5/25 23:22:46)
ほりしぃ>
( あは、怒ってる怒ってる。)( そうだとも。貴方は間違っていない。人を殺すのはいけないことだ。それが『お腹が減ったから』たったそれだけの理由で執行されるなら尚のこと。貴方は止めなくちゃいけないんだ。だって貴方は『ヒーロー』だから。彼女の生やした植物が、今まさに貴方に絡みつかんとする。混繰土をも砕くソレに捕まれば一溜りもないだろう。 )(──────────しかし。)『今から二人で町を歩きつつ、趣深い庭園などに立ち寄りお茶を飲みながら話に花を咲かせませんかっっっ!!!!!』「…………………」「…………………………」「…………………………………」「………………………………………………………はァ?」 ( ピタリ、と。その植物達は、貴方の目の前で猛進を止めた。)(雨が、降っていた。 先程までの朱色が嘘のように。まるで〝曇天返し 〟。 )「…………………………【命乞い】ですか?」(彼女は、かつり、こつり、と足音を鳴らし、貴方に歩み寄った。) 「……………………【⠀時間稼ぎ】ですか?」 (意味が分からなかった。)「…………………………………それとも。」「……………………………………【弱そうだと思いました】?」 (だっておかしいじゃないか。さっきまで貴方は確かにこちらに敵意を向けていた。しかしそれが今、〝切られた 〟のだ。喰われてしまわないように、咄嗟に思いついた策なのか。或いは【もしかしたらなにかしらの事情がある】だなんて、淡い期待と偽善にまみれたそれをこちらに向けて来たのか?彼女は腰に手を当て、貴方を見上げて苛立ち混じりの笑みを浮かべた。)「………………とっとと殺っちまえばいいじゃないですか。御誂え向きの舞台でしょうに。『雨』も降り出してやがるんだから。」「つゥか…………………そもそもオマエ。このほりしぃにパチこいてンじゃねェんですかァ…………????『カミサマ』だのなんだの言ったことですよ。……さっきまで『正義がァ~~』だとか『 守らなければならないぃ~~………』とか偉ッッ………そォに言ってたくせにィ。なァにが『趣深い庭園でェ~~………』ですかこの デカブツ。」 ) 「………………………………言っときますけどねッッ………オマエにお情けかけられるほどほりしぃは弱くないんですよッッ…!!!!!!!!!!!!!!良いですかァッッ…………????オマエなんてその気になれば 一口でごっくん出来ちまうんですからね、ラヴィの消化液でもうドロッドロのぐっちゃぐちゃです!!!!!ホントに喰っちまいますよ??????ほらもっとニンゲンらしくマシな命乞いしたらどうです?????それともカミサマらしく『抵抗』したらどうなんですか????????」(彼女は貴方のモノマネを誇張し、尚も馬鹿にしたような口調で口にしたのならば ジロリと睨み上げるだろう。一体どういう風の吹き回しか。自分が下に見られているのではあるまいか。)(『ヒーローだから弱い者の、可哀想の味方にならなくちゃ』『相手を知らなくちゃ』)(………そんな意志の元で歩み寄ろうとしているのではなかろうか。だったら此処で殺された方がマシだ。だって絶対絶対負けるはずがないもん。) (彼女は目の前のカミサマに、本当はカミサマじゃないんじゃないのと疑いをかけつつ、脅すように自らのディスコードを貴方の頬に這わせようとするだろう。 (5/25 23:53:18)
サクラダ キョウ>
(辺り一面を優しく撫でるような驟雨に、地面はほんの少し淡く輝く。)「【命乞い】、じゃない。俺は自分の命など【惜しくも無い】。俺一人の命で誰かを助けられるなら、それ以上の幸福などない。」(目の前で命が失われる感覚。)(自分の目標が、憧れが、『ヒーロー』が。その命の光が、消えてしまった所を、彼は知っている。何を恐れることがあるだろうか。何を怯えることがあるだろうか、何を惜しむことがあるだろうか。一番怖いのは、自分以外の『正しい人』が、理不尽な力に押しつぶされることだ。救うことだけが、自分の存在理由だ。)(次に。)「【時間稼ぎ】、それも違う。俺は一刻も早く君の後ろで息絶えようとしている方々を助けけなければならん。俺は君の時間を奪いたいなどと、微塵も思っていない。」(最後に。)「【弱そうだ】なんて、思わない。というか君が強いか弱いかなんて俺はまだ知らないし、だからこそ話し合いたい。」(彼は貴方の側で苦しむ人に、『ほんの少しだけ待ってください、直ぐに助けを呼びますから。』とつぶやいて。「『正義』とはなんだと思う。悪を悪と見なし、戦うのが『正義』?───────否。それは相手からすれば自分こそが『正義』であり、敵が『悪』だからだ。なら、弱者の為に、蹂躙する者を倒すのが『正義』か?────────────" 否 "。断じて"""否"""だ。それは盲目で自己中心的な自己満足に過ぎない。」「『正義』は、誰もが持つ【希望】。それぞれが異なる『希望』を、『理想』を持つ。だからこそ皆ぶつかり合うんだ。自分の『正義』を貫き通す為に。」(彼は左腕を高々と掲げて、呟く。)「"ティンカーベル"。」(左腕に装着された腕時計から、光が溢れ出す。紫陽花色のリボンがひらりくるりと回りながら彼の足元で球体を成し、やがてそれは小さな小さな人形となった。)「俺の『正義』は。」「誰もが自分の『希望』を叶えて、なおかつ誰も苦しまなくてもいい世界を目指すこと。その為に、決して諦めぬこと。誰も、傷つけぬこと。」「そして。」「もう誰も、死なせないこと、です。」(彼は眼の前に顕現した小さな魔法使いに、スマホを手渡した。)「今から、俺のディスコードであるこの子に助けを呼んでもらいます。邪魔をするのなら、俺も貴方と戦わざるを得なくなる。だが、その前に。」「貴方と【話し合い】をしたい。【分かり合う努力】をする前に戦うなんて、貴方の嫌いな『人間』と同レベルだ。」「選んでください。」「俺と『今から二人で町を歩きつつ、趣深い庭園などに立ち寄りお茶を飲みながら話に花を咲かせ、【分かり合う努力】をするのか。」「今まさに救急車を呼ぼうとしているベルを倒し、何も考えずに自分の利益だけを考える、『人間』と同じレベルに落ちるのか。」(魔法使いはスマホをあどけない手付きで叩き始めている。彼は貴方を、知ろうとしている。貴方の後ろで、『食材』がうめき声をあげている。)(驟雨は、貴方をも優しく受け入れる。)(【貴方は、どうする。】) (5/26 18:18:54)
ほりしぃ>
『正義』とはなんだと思う。悪を悪と見なし、戦うのが『正義』?───────否。それは相手からすれば自分こそが『正義』であり、敵が『悪』だからだ。なら、弱者の為に、蹂躙する者を倒すのが『正義』か?────────────" 否 "。断じて"""否"""だ。それは盲目で自己中心的な自己満足に過ぎない。』「…………………………………」(『俺の『正義』は。』『誰もが自分の『希望』を叶えて、なおかつ誰も苦しまなくてもいい世界を目指すこと。その為に、決して諦めぬこと。誰も、傷つけぬこと。』『そして。』『もう誰も、死なせないこと、です。』『貴方と【話し合い】をしたい。【分かり合う努力】をする前に戦うなんて、貴方の嫌いな『人間』と同レベルだ。』『俺と『今から二人で町を歩きつつ、趣深い庭園などに立ち寄りお茶を飲みながら話に花を咲かせ、【分かり合う努力】をするのか。』『今まさに救急車を呼ぼうとしているベルを倒し、何も考えずに自分の利益だけを考える、『人間』と同じレベルに落ちるのか。』 「………………──────────チッ………………………【⠀〝 戯れ言 〟⠀】を。」
(………希望論だった。夢物語だった。誰も傷つけたくない、死なせたくない。だから平和的に解決しようだなんて。きっとあなたの言葉の一つ一つは、世間一般的には『正しい行い』に違いはなくて、その子供の可愛い悪戯のようなディスコードで、春風のような煌びやかな魔法を届ければ誰もが笑顔になるんだろう。)(【それが気に食わない】のだ。)( 貴方は気付いちゃいないのだろう。その言葉の一つ一つが、彼女の【全て】を否定していることなのだと。 その綺麗な言葉が、眩しいほどに真っ直ぐな目が、彼女の小さなプライドと、『生きる理由』を削っていく行為なのだと。当然だ。彼女から見れば貴方も同じ。【傷ついた輩(弱い奴)を護るヒーロー】じゃないか。)(彼女は1度ディスコードを降ろし、だらりと力なく同時に腕も降ろした。乾いた唇からあどけない声が小さくこぼれる。)「………………………………分かり合う?」「……………それこそ無駄じゃありませんか。ほりしぃは先に言いましたよねェ……………【お腹が空いたから食べている】のだと。でもオマエはそれでほりしぃに敵意を向けかけた。その時点で【分かり合えっこ】ないのです。」「……………ヒトを食わなきゃ死に戻る………………オマエはほりしぃの【⠀生⠀】を最初から【否定】してるンですよッ……」「………………分からなかった?気付かなかった??傷ついてる人を見ていて放っておけなかった???【たったそれだけの理由】でニンゲンを食おうとしているのは理解が出来なかった?????〝」「…… オマエの夢物語はなァッ……………ほりしぃに〝 生きるな〟と言っているンですよォッ……………」「……………──────────でも、良いよ。ほりしぃ、オマエなんかに分かってもらおうなんて思ってないから。」「オマエに【期待】なんてしてないから。ほりしぃには【⠀ママ達⠀】がいるから。」「オマエに否定されたところでほりしぃ、⠀【死にたい】なんて思わないから。」「……………せいぜい弱っちくて雑魚の味方であればいい。」 「………………………………………〝 ヒーロー 〟なんて、大っ嫌い。 」
(顔を上げた彼女が ヘラァ、と脱力して笑った見せる。 雨で顔が濡れている。 頬から滴り落ちるそれは床に溶けて消えてしまった。彼女は貴方に歩み寄り、小さく握りこぶしを作り殴ろうとするかもしれない。腹いせだった。何度も何度も何度も、拳を貴方の胸板や腹に入れようとするのは。)「………………………オマエも、どうせ口先だけで誰も守れやしないにきまってるんです。オマエがとっとと死ねばいいんだ、死んじゃえ、消えちゃえ、いなくなっちゃえ、嫌われちまえみんなに、世界に。」「オマエなんて、 ほりしぃがいずれカミサマになったら、けちょんけちょんにして、喰っちまって、それで、それで、──────────………………」「……ッ………【ママ達】に、言いつけてやるからッ……………ママ達の言う通り、ヒーローはみんな【⠀最低⠀】だってッ……………………」 ( 何故今、この隙に貴方を喰わないのか。捕まえた餌たちをくわないのか。自分にとって正しい行いが【正義】なら、それとそぐわぬ行為をする輩が居れば【悪】と見なし 潰しに掛かるのがニンゲンだと言うのを【誰より理解している】からだ。【⠀ニンゲンと同じレベルに落ちるのか 】その言葉がどうにも気に食わなかったからだ。お茶なんて飲めない。だってバレたらママ達に怒られる。趣深い庭園なんて行かない。 オマエが嫌いだから。 )(だから話した。貴方が正義を語るように。自分だって『生きたい』のだと。)(でも貴方の事が許せないから、殴らずには居られないのだと。) (5/26 19:27:46)
サクラダ キョウ>
(雨は、降り続ける。貴方が、声を出す。)『ほりしぃは先に言いましたよねェ……………【お腹が空いたから食べている】のだと。でもオマエはそれでほりしぃに敵意を向けかけた。その時点で【分かり合えっこ】ないのです。』『……………ヒトを食わなきゃ死に戻る………………オマエはほりしぃの【⠀生⠀】を最初から【否定】してるンですよッ……』『…… オマエの夢物語はなァッ……………ほりしぃに〝 生きるな〟と言っているンですよォッ……………』『オマエに否定されたところでほりしぃ、⠀【死にたい】なんて思わないから。』『………………………………………〝 ヒーロー 〟なんて、大っ嫌い』(貴方が彼を殴ろうとすれば、彼はもう避けないだろう。けれど。貴方の拳は、彼に届くことはない。)(貴方の拳は、彼の【映像転写】をすり抜けるだけだ。)(もう、分かったでしょう?)(彼はすでに、ディスコードを使っている。その上での、人ならざる者の歪な力。)(貴方の拳は、空を切る。)(なんども、なんども。)(彼はそんな貴方に、それでも【夢物語】の続きを語ろう。)「確かに俺の『正義』は【夢物語】かもしれない。誰もが理想を叶えるなんて、到底無理な話かもしれない。」「─────────だがな。」「【夢物語】というのは。"誰もが夢を見れる"からこそ【夢物語】なんだ。」「確かに、最初は君を『知らなかった』から、人から命を奪う君に怒りを覚えた」「でも、も、君は【話してくれた】。」「結果として、君はあの輩を殺していないだろう。」「結果として、俺は君と戦っていないだろう。」「俺はカミサマだけど、『神様』じゃない。まだ俺は君と分かり合えてはいないかもしれないけれど、それでも俺は。」(彼は、自らの腕の皮膚の一部を食い千切った。そして、持参していたコップに血液を、一杯分。その腕から、垂らしたんだ。)「君に、幸せになって欲しいんだ。」(コツン、コップは貴方の真横に置かれた。蹴飛ばされたって、今はいいから。分かり合えるって可能性を、捨て切らなければ。)(ぱらぱらぱら、柔らかな雨の音の向こう側で、微かに救急車のサイレンが鳴り響く。二人の邂逅は、そうして幕を閉じた。)【〆】 (5/26 20:25:19)
Sion・Forsyth>
「………よしっ。(私シオン、本日初めてパン作りに挑戦致します。___時刻は昼下がり、今日は休日だ。わざわざ食堂を利用するための許可を取り、どうしてパンを作るかと言うと___、)………〝 爆 発 さ せ な い よ う に 〟頑張らなければ………(___そう、私…自分で言うのもなんですが、〝超〟のつく箱入り娘なのです。料理ができないのです。練習したいのです。…身の回りの事は過保護なくらい、父、兄、母がやってくれていました。母の料理を手伝う事はあれど、野菜の蔕を取るだとか、野菜を子供用の包丁で切らされるだとか、それくらい。自ら手伝いたいと言ってもこの有様です。)」「(ですから、私…兄と父に私が作った美味しいものを食べてもらい、家族離れをしたいのです!)ええと、小麦粉と、お水、イースト、…お塩も?…とりあえず混ぜれば解決でしょう。(本来、塩とイーストは離して混ぜるべきなのですがそんなこともつゆ知らず。とにかく混ぜ、適当に捏ね、今のところはいつもよりは順調。)……バターを入れて捏ねる…?冷たいままではダメです、レンジにかけてしまいましょう。(___そう、ここまでは順調だったのだ。ここまでは。〝室温に戻す〟はずのバターを思い切りレンジにかけた挙句__、)…あれ。…どこまで温めればいいのです?(そうしてタイミングを伺っているうちにバターが焦げ始める。次第に周りに焦げた匂いと、ほんの少しの黒煙が___…………お菓子作りが得意な君は、休日の昼間とあらば食堂にいるだろうか。さあ、もしよければ葬儀屋にお菓子作りとやらを教えてあげてくださいな。)」 (5/24 19:56:51)
サクラダ キョウ>
(正午を過ぎ、幾ばくかの時間が流れた頃。ティータイム、おやつの時間、なんて言われる頃合いに、溶け出した太陽の橙色が、狭苦しい部屋に微笑む。)(ちゅーっ、ちゅーっ、とストローを吸っている彼は、そのゴツゴツとして手で英単語帳を捲っていた。)「door.......どおら......どおり........どおる............どお......れ?」「ハッッッ!!!!」「そうか、どおる、つまりドールッッッッッッッッッ!人形だなぁぁぁあああああ!?!?」(ぺらり。)「ドア!?!?!?!?なんなんだ、もう、もうああああ、もう、何なんだ!?!?!?こんなに非合理的な言語があるか!?!?!?どこに"a"があるんだ!?!?!?なぜ"r"で"アー"なんだ!?!ん!?馬鹿か!?!?!?馬鹿なのか!ん!?!?!?」(狭い狭い教室。そう、そこは自習室。食堂の真横に位置するその教室で、彼は必死に英単語を覚えようとしていた。だが、真面目で実直な彼ですら、限界を迎えようとしていた。英語が、苦手なのである。ドンっっっ!と牛乳パックを置けば、彼は立ち上がった。置かれた牛乳パックには、『いちご・俺。』のパッケージ。)「限界だ!糖分!もっと糖分を取らなければっっ!!!!!」(彼はドアを勢いよく開け放てば、爆速で食堂へと駆け込んだ。)「失礼しまっっっっっ.........!!!!」「──────.............煙?火事!??!?!?」「火事!家事は英語でHousework!!!!!!」「違う、ちがう、あああ言ってる場合ではない大変だ!!!!」「大丈夫ですか!?!?!?今すぐに避難を!!!!」(煙の臭いを嗅ぎつけたが早いか、すぐに目に写った女性.........美しくも怪しい雰囲気の貴方の避難を手助けするべく、食堂に踏み入った。) (5/24 20:28:09)
サクラダ キョウ>
(美容師は、いつも髪を切ってるわけではない。)(ピアニストは、常にピアノを弾いている訳ではない。)(サクラダは、常にお菓子を作っている訳ではない。)(彼女は戯れていた。)(ウサギのぬいぐるみの耳をつけた魔法使いが、くるくると躍る姿を、彼はぼーっと眺める。ひゅるんひゅるん、しゃらんらん。)(図書室の禁書コーナーに入り込んだ彼は、地面に寝そべってティンカーベルが遊ぶ姿を呆けながらみていた。天井窓から刺してくる光が、ホコリを照らし出す。まるでスポットライトみたい。)(くるりくるり、躍る彼女はきらりと光る杖を振っては、昼休みを楽しんでいた。) (5/28 20:15:48)
Yuri・Annabel.>
………………ん、? ( 心の内では鼻歌混じりの図書室探索。お静かに、ですから、実際の音には絶対にしない。けれど図書室に足を踏み入れた途端、内心の鼻歌がぴたり、と止まったのは (彼処ー……普段開いてたぁーけー?) 本の貸し出しカウンターの奥の扉。そこは大抵司書さんの部屋で、ちょっとした机とソファー。それから本につけるテープや貸し出しの書類などが閉まってあるような場所だった。覗かせて貰った中学生の当時は、謎が解けてワクワクしたことを覚えている。けれど、それで1つ生まれた謎が、司書室の中に更にある扉の事だった。聞いても内緒と言われたのは、子供に夢を残すためだったのか、今となっては知りようもない。兎も角として、空いた扉の隙間から見えたそこもまた、司書室であるように感じられた。ちらりと覗き見えるのは机とソファー、歴代の貸し出しや本の注文の資料が眠る古い棚。滅多に見れないものであること。昼休みも早い時刻で図書室に人気がないことが災いした。気になるままにカウンターの内側に入り込み、けれど中には入り込まずにただ室内を覗き込む。その内に、奥にある比較的小さな扉が開いている事に気付いてしまった。目を凝らせば僅かに見える隙間からは、コンクリートの冷えた気配が感じられた。昔から気になっていた扉。図書室には誰もいない。更に扉が開いている。好奇心にそわついた彼女を止める存在は居なかった。強いて言えば彼女のディスコードくらいだろうが、態々止められたり煽ったりしてくる相手を呼び出す通りもない。敢えなくして、その通路は二人目の侵入者を招き入れてしまったのだった。対して秘密の通路は長くもなく、直ぐに出口だろう扉に辿り着いた。ここまで来るとそれが当たり前であるように扉は開いていて、覗き込めば仄暗い其処には随分と古い本が見えた。この間交換会で交換したものよりも、少し古い。そう見えるのは埃を被っているからだろうか。息切れしそうな呼吸を潜めて室内に足を踏み込めば、きぃ…………と微かな音がした。正直端から1つ1つ丁寧に見たい。けれど次来れるのはいつになるか分からない。何せ、今日何故扉が開いていたのかも分からない。なんならこれバレたら図書室出来んも有り得なくない。となると、質より量、どのくらいの何があるかを知るべきでは?いやでも、気になるのは読みたいなあ……。歩みは気になるものがあまりにも多くて亀さんだって勝てちゃうペース。先住人が直ぐに見付かる場所に居たのはある意味幸運だった。初めこそ、誰かと思い驚いたものだけど。それは貴方もお揃いだろうか。『 おやぁー…………?弟子くんとー………可愛らしい子ー……? 』気になる本が多過ぎて、貴方の側までは近寄れずに、けれど目を細めて寝そべっているのが誰なのかを認識した彼女はそう首を傾げ、……さて、これは奇遇だねーで済まされる事態か。) (5/28 21:37:07)
サクラダ キョウ>
『 おやぁー…………?弟子くんとー………可愛らしい子ー……? 』(ゾワリ。彼の皮膚に生える何千、何万、何百万もの毛が逆立つような感覚。)「これは、まずい。」(彼はうめきながら、自分の胸を押さえる。苦しそうに胸を掴んで、耐えながら、なんとか上半身だけ起こすことに成功したようで。)「うぅ、う゛ウウ゛ウウウウ゛ッ!!」(蠢く。彼の皮膚を、真っ黒な影のような靄が侵食し始める。じわりじわり、彼の皮膚に染みのように、墨汁を垂らすかのように、黒色が広がり始める。)(ぞわ、ぞ、ぞ、.........................................)「あ、ああぁ、あああああああああ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!!!!」(彼が叫ぶと同時に、彼のくすんだ薄紫の紫陽花色の瞳ですら、光を飲み込む純黒に塗りつぶされた。皮膚を伝う黒い靄はやがて皮膚から漏れ出し、激しく闇を吹き出しながら彼は禁書コーナーを駆け回る。もはや人の形を成していないそれは、黒い球体に近いナニカ、として小部屋を走り回った後に。)(唐突に、姿を消した。)(それは貴方がほんの一瞬瞬きをした瞬間だったかもしれない、もしかしたら彼だったものが禁書の本棚の死角に入った瞬間だったかも。)(何にせよ、ここにいるのは、貴方と。)(シャラン。)(どこか面倒くさそうに、本棚から出された禁書に座っているティンカーベルだけだった。) (5/28 22:16:34)
Yuri・Annabel.>
ひゃ…………っ!? ……ぇ、…えー……えぇ………… ( 狼男、化け狐、魔女やドラキュラなんかも姿が変わる者、変えられる者の1種に含まれるだろうか。急にそんな変異を目の前で見て、訳の分からぬまま。けれどその駆け抜ける何かの勢いに身体はバランスを崩し、ぺたんと尻餅をついた。Q.何が起こったのか。A.分からない。0から100まで分からない。推測なら建てられる。それから、声をかけられては不味い状態であったのだろうことも。嵐が去った後、目が届く範囲の書物を見渡し一先ず破れたりしてしまっている本がないことに安堵した。…知人が何故かああなってしまっていることよりも、本に気を向けてしまうのは悪い子だろうか。でも、古い本だ。脆く繊細で、日の当たらない場所にひっそりと仕舞われなければならない者達だ。心配してしまうのは性だろう。ほっとして息を吸い込んで、舞い散る埃に咳き込んだ。口の中がじゃりじゃりするようで、ちょっぴり、気持ちが悪い。魅力的な書物の山、謎の弟子、残された謎の生物と彼女。本の心配をし、無事なことに安堵もした。けれど、流石にじゃあ今から本を読もうか!という気にはなれそうにもない。『本の上ー……座っちゃあ駄目なんだよー…? 君が誰なのかもー、分からないけどー………………、お話出来るのかなー…? 』また、きぃ………、と、床の軋む小さな音がした。少しだけ近付き、膝を折って目線を合わせる。小さな小さな魔法使い。『 うさぎ耳、うちのベルと同じだねぇー…、君の方がー、よっぽどー、可愛いけどー 』試しに指を1本、10cmほどの距離を置いて伸ばしてみる。意思の疎通方はなんなのだろう。ベル、ベルベットアワー、ディスコードに聞き出せば全て解決すること。でも、どうしようもない限りは聞き出すのは負けたようで、あまり気分的に良くなかった。) (5/28 22:44:55)
サクラダ キョウ>
(それは、今にも雨粒を溢しかねないような、そんか表面張力の限界くらいの灰に色付いた雲が折り重なって、空を覆っていた日のこと。天気予報が嘘をついたって、一日は始まる。)(─────シャラン。)(朝礼の時間まであと20分、もうそろそろ扉の向こう側の声も賑やかになり始めるかな、なんて頃合いのことでした。)(──────シャラン。)(妖精は、トテトテと巨大なビルの周りをを歩き回ります。こっちには分厚くておっきな本がたくさん、あっちには色とりどりで綺麗な本がたくさん、そっちには薄い本がたくさん。)(シャララン。)(木製のビルからせり出した不思議な建築物には、色とりどりだったり、みたこともない複雑な文字だったり。あっちにはこんなのが、こっちにはこんなのが、普段は宿主に付いて回っているだけの彼女は初めて、自分の意志でこの未知で満ち満ちた世界を探検してまわっている。右へ左へ、トテトテと走り回っているうちに、やがて彼女はちょっと動きが鈍くなっちゃって。はぁ大変、そろそろ休憩しようかしら、なんて様子で、彼女は近場にあった椅子によじ登ろうとして。)(──────────コテン。)(落ちた。) (6/3 18:21:55)
ほりしぃ>
( ──────────嗚呼、あらあら。なんとも悪魔的な出だしだ事ね。)(彼女はロネリー。ロネリー・エスカ。皆はこう呼ぶ〝ほりしぃ 〟と。小さな身体に不釣り合いな本の塔を抱える彼女は、 今から机に運ぶところ。朝礼凡そ20分前。分厚い毛布をかけたような曇り空は、どうしても起きたくない朝を見て見ぬふりするように太陽をひた隠して涙を堪えているようだった。灰色の憂鬱、伽藍堂の図書室。今日は授業に出たくない。でも決してサボるつもりもなくて、ただ教室にいるのが嫌なだけ。休憩が終われば息を吹き返したように皆が笑っている中で、1人だけ切り取られたような世界に取り残されるのも、かと言って話しかけらてなかよしこよしができるわけもない彼女の居場所なんてどこにもない。同じ知識を得るのなら、彼女にとっては文字の羅列に独り、逃避行するが吉だった。)(そんな時。)(───────ガタン。)「…………………、………」(〝誰もいないはず 〟の図書室で、自分以外の音が鳴る。彼女の動きはピタリと止まり、音のなる方へ顔を向けて訝しげに眉を潜めた。以降、シン、………と静まり返る図書室。〝 誰もいない〟という安堵感を覆される予感。抱えていた本を1度机に置いて、そちらに足を向けることにした彼女は、湿気でふわついた髪を少々うっと惜しそうに揺らしながら、歩みを進めた。軋む義足にはそろそろ油を刺さなくちゃ。カツり、こつり、キィ、カツり──────────……)(──────────カツン。)「………………………………、」( 曲がり角を曲がった先だった。椅子が落ちている影に加えて、…………横たわる〝落書きのような何か 〟が1匹。彼女は眉間に皺を寄せる。それはあからさまな〝嫌悪感 〟。彼女は貴方を知っていた。ソレは【路地裏のあの日】。スマホで連絡を取ろうとしていた妖精にそっくり。彷彿とさせられた思い出から一変。彼女は腰に手を当てるや否や、歩み寄り不躾にも見下げて、冷ややかな声で問いかけることでしょう。)「…………………………………オマエ。こんなとこで何してンですか?」「……………〝宿主 〟は?」(言ったでしょ。悪魔的な出だしだと。) (6/3 18:42:49)
サクラダ キョウ>
(言葉に言い表せない、根拠のない嫌な予感。)(誰だって味わったことがあるはずだ、学校の宿題をやっていない時に限って先生に当てられる気がしたり。忘れ物してそうな気がする、なんて何か心の中に違和感を残したまま家を出て、職場についてから腕時計を付け忘れていることに気付く、だとか。)(そういうのってのは大体心の奥底にある無意識が本能的に警鐘を促している、なんてことが多い。)(彼女の場合。)(椅子から落ちて、ああやっちゃったわ、なんて考えているかのようにぼうっと動かずに天井を見上げていたその瞬間。)(カツり、こつり、キィ、カツり──────────……)(──────────カツン。)(どこかで聞き覚えがある。)(その、人間から出されているにしてはあまりにも金属質で、機械から出されているにしてはあまりにも不規則な音は。)(『こちらに近づいている』)(すごおく、すごおく嫌な予感。今日は晴れの筈なのにお天気さんはご機嫌ななめだし、あの子は全然こっちの話を聞いてくれないし。)『............!』(このディスコードは、発言によるコミュニケーションは不可能である。その文字通り【言葉にならない】恐怖心を煽られるんだ、それでもって。)『...............!?!?』『.........?!!!!!?????』(突如視界に現れた黒と赤とピンク、見覚えのある警告色。どこだっね、どこだっけ、なんて考え、)『…………………………………オマエ。こんなとこで何してンですか?』『……………〝宿主 〟は?』(────────貴方の冷ややかな視線。)(覚えている。)(ええ、ええ、勿論。覚えていますとも。あの日のことは忘れない、あの子が血を流したあの日のことは絶対に。よくわからない、むつかしい言葉を使っていたけれど。ただただ、二人が怖かったの。どちらかが死んじゃうんじゃないかって、なにか良くないことになるんじゃないかって、そう、あの日も。【言いようのない嫌な予感】がしていたんですもの。)(とはいえ、彼女の知能は3歳児と変わらない。それくらいの子供が取る行動なんてのは、至極単純。)(とっ、.........................................とっ、......テッ、とてててててててっ!)(保護者や友達のとこに逃げる。)(この前貴方達が何を話していたのかはよく分からなかったけど、貴方のその視線はいざ自分に向けられると怖くて怖くて。だから彼女は、走った。)(─────────〝宿主 〟の元へ。)(幸いそこからそう遠くは離れていない、丁度貴方が立っている場所からもぎりぎり見えるんじゃないか。)(図書室の端っこで、机の上に本を塔のように積み上げて、何本も立った塔の真ん中に、これまた何冊も開きかけの本があって。その真ん中に開かれたノートに、突っ伏し熟睡している【彼】の姿が。)(開かれた本の内容はてんでバラバラだ。『カニバリズムは何故行われるのか』『自分の精神、他人の精神』『衝撃都市伝説』、エトセトラ。)(ただ、彼がたった今突っ伏しているノートの、開かれたそのページにはたった何行も何行も、思考と試行を繰り返した後が残っていて。そして最後にこう書かれているんだ。)『蚕蟲の卵?』 (6/3 19:39:36)
ほりしぃ>
(ピーターパンに出てくる妖精は、〝 子供の笑い声〟から産まれてくる。風に乗って、ピクシーホロウへと向かうなんて噂は、ベットの上でまことしやかに囁かれる御伽噺だ。その御噺によれば妖精達の声はまるで皆、〝鈴の音 〟にそっくりだそうな。〝 ティンカーベル〟。貴方の第一声は──────…………)『...............!?!?』『.........?!!!!!?????』「…………………………………」「…………………、……………………はァ……………???』( 〝 届かない〟。それもそのはず、貴方に口はどこにもない。チリ、チリリ、チリリリリン……………ただ貴方の中では本能的な警鐘が鳴り響くのみである。彼女はあからさまにこちらに怯え、尚も質問を返さず飛び起きては とてとてとてとてッッッッ………!!と逃げの一手を選ぶ後ろ姿に不機嫌さを隠さず声を漏らした。そりゃあ貴方も逃げ出したくなるだろう。なんせあの日、貴方の宿主は愚か、複数人が『喰われかけた』のだから。フラッシュバックする赤色と腐臭は、3歳児には刺激が強すぎる。しかしそれは彼女にとっては普通で無ければならなくて、貴方のトラウマなんて知る由もない。今彼女にあるのはただ、『質問をしたのにそれに返さず踵を返した不躾な餓鬼』に対する苛立ち。目を細めた彼女は髪を揺らし、カツリコツリと足早に貴方の後を追いかける事だろう。それは『ウェンディがピーターを探しティンクを追いかける』と言うにはメルヘンさの欠けらも無い。赤の女王が白うさぎの首を跳ねるか、或いは軍服を来た女が小さな子を仕置きするかのような構図である。貴方の足の速さならばこちらがわざわざ走る必要もあるまい。悠々と、しかし淡々と。足早に。彼女は曲がり角を曲がったところで──────────…)「………………………おいオマエ………このほりしぃがわざわざ話しかけてやってンのに無言で逃げ出すたァどういう了見で──────────……………………………」(……すか。)(いい切る前に、彼女は目を見開く。大きな赤目に映るのは、あの日と何ら変わらない男の姿だ。『宿主はどこ』その答えがこうも簡単に得られるだなんて。…決して逢いたかったわけじゃない。ただなんで貴方が一人でいるのか気になっただけなのだ。というかそもそも、【貴方も同じ学校】だったなんて。)「…………………………」(………眠っている貴方から目を逸らす。そして次に目につくのは、その『本の塔』だった。勤勉な貴方なら授業中に遅れないようにもう教室に向かいそうな気もするが、どうしてこんな時間から、こんな量の本を?失礼な話だが、貴方がこんなにも愛読家であるとは思わなかった。貴方は未だ寝ている。起こさないようにゆっくりと近づいた彼女は、貴方が何を読んでいたのか。好奇心の赴くままに、覗きみようとするんだろう。だって自身も本を良く、読むものだから気になっちゃうなんてのはおかしな話じゃないはずだ。)(……………でも。)「……………………………………、」(………【それが、いけなかった】)「…………、……………」 (【自分の精神、他人の精神】)(【衝撃都市伝説】)(【【カニバリズム】】)(………脈打つはずのない心臓が、主張を始めたような錯覚。) (………………〝 なんでこいつがこんなの調べてるんだ〟。)(ソロリと彼女は視線を横に逸らす。最後に目に付いたのは、貴方の下に伏せられたノートだった。整った文字の羅列、メモ、見てわかる通りの試行錯誤の形跡。)(そして、最後に。)(蚕蟲(ワタシ)の──────────……)「………………ッ、………………………」(彼女は思わず息を飲み、後退った。瞳孔が揺れ動く。後ろに棚があることに気づかなかったのか、まんまと本達はその衝撃で落ちてきてしまった。)「しまッ…………………………」(…しまった、と思った時にはもう遅い。図書室内には派手に本が落ちる音が響き渡る。………………嗚呼、あなたが。〝 起きちゃう〟 。) (6/3 20:15:28)
サクラダ キョウ>
(夢を、見ていた。)『どうしたんだ、大丈夫か。...............なに?みんなとかけっこしてドベで、挙句の果てにこけちゃった?』『気にするな!かけっこしてこけたって、■■は俺の自慢の家族だ!!!!元気を出すんだ!!』(ぼんやりふんわり、影が形をなして、なにかの映像を形作る。)『見てくれ■■!!』『すごいかっこいいだろう!!!この人たち、ヒーローって言うらしいんだ!!!俺も、俺もこんな風になれれば......!』『【皆の幸せを守れる】、そんなヒーローに..........!!!』(ああ、これ。)『......................ごめんな。■■。』(夢か。)(ドサドサドサドサッッッッッッ!!!!!)(そこで、目が覚めた。)「......................。」(影が。)「...............、...................。」(少しずつ。)「..................んん......んん?」(形をなした。)(【黒と赤とピンクの、色鮮やかな警告色】。)(目を見開く、見覚えのある少女。)(そうだ、彼はこの人物について調べていたんだ。あまりにも異質で、それでいてなにか大きな矛盾を抱えているような。なにか違和感を感じさせる言動をする、貴方のことを。決して簡単なことではなかった。個人情報なんて、自らが名乗っていた謎の名前と、顔くらいのもの。たかが学生が貴方の置かれた環境を細かく調べ上げられるはずもない。そう。そんなはず、なかったんだ。)(『貴方が問答無用で彼を食ってさえいれば。』)(貴方はいくつもいくつも、貴方自身を探す手がかりを残してくれていた。意識的にやったことなのか、それとも無意識にしていたことなのか。どちらにせよ、彼は覚えていた。)『………………………オマエ、人間ですねェェェェェェ………………………』『……………オマエ………………………〝 カミサマ〟なのか?』『人様の晩飯を逃がそうってェ言うんですかァァ………………………??』『人を喰うのは『腹が減ったから』。 オマエらだって肉を喰うでしょう?鶏肉、豚肉、牛の肉。飯を食う時に一々ンなこと考えながら生きてるバカはそう居ませんよねェェ………………ほりしぃがやってることはそれと同じですよ。ニンゲンなんてほりしぃにとっては餌に過ぎない。』『……………ヒトを食わなきゃ死に戻る………………オマエはほりしぃの【⠀生⠀】を最初から【否定】してるンですよッ……』『オマエに【期待】なんてしてないから。ほりしぃには【⠀ママ達⠀】がいるから。』(貴方が溢した言葉の、一つ一つ。【どれ一つだって忘れちゃいない。】ネットを調べれば、本を調べれば、どれもが同じ答えに行き着いた。そして、あれだけヒーローに固執していた貴方を見て。)「................───────おはようございます。」(もう、この学校の名簿をしらみつぶしに確認済みだ。)「ロネリー・エスカさん。」「...........怪我はないか、大丈夫か?」 (6/3 21:01:03)
ほりしぃ>
『................───────おはようございます。』「……………………………………、………」『...........怪我はないか、大丈夫か?』(………嗚呼、やっぱり起きちゃった。彼女は思わず内心で舌打ちをついた。貴方がどんな夢を見ていたかは知らない。貴方のことをほとんど知らない。しかし貴方は確かに此方の名前を呼んだ。〝ロネリー・エスカ 〟と。彼女は腕を組み、大きな目をぐ、と細め貴方を見下し睨みながら、小さく口を開き呟くだろう。)「………………………………、………」「………………………………………〝 余計なこと 〟を。」(それは怪我を心配する貴方に対してだろうか。それとも〝 書物やノートの数々に記載された事柄〟についてだろうか。恐らくはその〝 両方〟。彼女は手を伸ばし、貴方の反応なんて関係ないと言った具合に勝手にノートを手に取ろうとするだろう。そしてもしもそれが出来たのならば、文字の羅列に目を通しながら言葉を零すのだ。)「……………………そこの〝 餓鬼〟が椅子から落っこちて仰向けに寝っ転がってました。………宿主なら宿主らしくちゃんと管理し、躾けるべきでしょう。」「………………………それから。」(『蚕蟲の卵』『蠱毒(孤独)の少女達』『それは1つの噂に過ぎない』。一つ一つ丁寧に、有り合わせの情報を繋ぎ合わせて自分なりに解釈を。彼女は貴方から貰った血液をあの日、蹴り飛ばしたというのに。あなたはあの日からずっと彼女を気にかけていたと言うのか。)「…………………なんでこんなことしてンです?オマエ。」「…………………わざわざ〝 ロネリー〟の名前まで調べあげて………………………………さてはオマエ、変態ですか?暇なんですか?オマエが大好きなヒーローごっこは?今も困っている輩はいるんじゃねェんですか、ほら例えば〝 重い荷物をもった老婆〟とか。……ベターですよねェ…………???ベターで最も救いやすい小さな世界です。」「……………ま。…………兎にも角にも、金輪際はこのようなことをせず…………………こっちの紙屑は捨てておいてください。……………つうか、こっちで捨てていいですよね?………………………嗚呼、…………………あと、それから。」 (相変わらず御挨拶な態度だった。お世辞にも愛想がいいとは言えないし、〝 嫌われてる〟と捉えられても不思議じゃない。皮肉ばかりのニヒリスト。事実、彼女は「ニンゲンは嫌い」「オマエも嫌い」と明言していた。彼女は貴方がどんな人で、貴方がどうしてそういう事をやっていて、何故神様になってしまったのか、なれてしまったのか検討も付かない。きっと彼女はノートを返すことはなく、小馬鹿にするような表情でこれは捨てると言い張るだろう。それから………………) ………………それから………………」(………それから……………)「…………………………………………」(………………………………)「………………………………、…………………」(…………………─────────ジィ、と腕を見やる様子。まるで何かを言いたげに、そして確かめるよう。しかしそれを口にするのはどうしてもはばかられる理由が彼女の中にあった。ひとつはきっと、ほんの小さなプライドだ。………貴方と出会わない空白の数週間、数日間。今まで色んな人と出会って来た。だがそれを踏まえても、問いかけようとしていた内容を貴方に投げ掛けるにはまだ勇気が足りなかった。閉ざされた口から結局出たのは一つだけ。)「……………………………………別に、……………………なんでもねェですけど。」 (6/3 21:40:42)
サクラダ キョウ>
『………………………………………〝 余計なこと 〟を。』(ぐぃ、と目を細めてこちらを睨み付ける貴方。当然の反応。というか、少し予想外ですらある。多分、もしかしたら、数日前の彼と出会ったばかりの貴方のままだったなら、本気で怒るんじゃないか。こんなノートを見られたら、またあのおどろおどろしいディスコードを突きつけながら『ヒーローはほりしぃに立ち向かって死んどけばいいのに勝手なことをするな』みたいな事を言っていたのではないか。けれどなぜか貴方は、【舌打ちをしない。】)『……………………そこの〝 餓鬼〟が椅子から落っこちて仰向けに寝っ転がってました。………宿主なら宿主らしくちゃんと管理し、躾けるべきでしょう。』(ふと足元を見ると、そこには怯えたようにズボンの裾に隠れながらも、貴方を見ようとひょこひょこと顔を出すベルの姿。今日は喧嘩はしないかな、大丈夫かなって心配するかのように。だけど、そんなことより。「ほりしぃさん...........................君は...............」(彼は貴方を見つめて、貴方とは対象的に目をまんまるに見開いているの。だって、今までの貴方の発言。どこか言葉や行動の節々に、違和感が現れていたから。例えば、何故わざわざ悪人を襲って食べようとした?学校のルールを守る為にといえば聞こえはいいが、そもそもの貴方の言う【ママ達】は、きっと貴方をカミサマにしたがっている。人を食いつづければ生き延びる条件ならば、貴方がカミサマになる条件はなんだ?わざわざ大嫌いなヒーローを育てる学校のルールに則ってまで、人を食って生き延びて、学校に何がある?そして極めつけは、ティンカーベルが転んでいたことの報告だ。転んでいること自体はそこまで珍しくない、子供くらいの知能なのだからそこかしこ冒険してときたま失敗する、よくあるいつもの風景。だけどそこに紛れ込む非日常。)「.........................教えてくれて、ありがとう。気をつけてベルを見るように心がける。」(貴方が、まるで人間のように優しいことをしたから。それが、前との変化だろうか。前のように棘があるようで、今はちゃんとこちらを見ているかのような。確証は、ないけれど。)『…………………なんでこんなことしてンです?オマエ。』『今も困っている輩はいるんじゃねェんですか、ほら例えば〝 重い荷物をもった老婆〟とか。……ベターですよねェ…………???ベターで最も救いやすい小さな世界です。』(彼は貴方が話し終わっても、少しだけ沈黙を守っていた。彼の中での迷いが、すこしだけ揺れる。)「君の事を調べる中で、よく分からなくなったことがある。」「善であるということが、どういうことなのか。確かに重い荷物を持った老婆が眼の前にいれば、俺は迷わずに助けるだろう。だけど、それが自己満足であると言われれば折れは全く否定できないことに気づいてしまったんだ。」「だって俺は、『たった今世界中で苦しんでいる俺の目の届かない人達』に思いを馳せてその苦しみを想像できない。『眼の前で苦しむ人達』しか守れない。」「大団円を描くには、俺の視野はあまりにも狭い。」(彼はほんの少しだけ、目線を伏せる。)「『性悪説』を知っているだろうか。」(もしかしたら、人間やヒーローの本質を否定する貴方なら、調べたことがあるかもしれない。)「大昔の偉い人が言ったらしい。人間の本質とは『悪』だと。」(積み上げられた本の塔、それだけの知識が今彼の中でぐるぐると回転している。)「戦争は無くならない。犯罪は無くならない。人を殺して喜ぶ奴はそういう環境に身をおいて生きてきたからしょうがないとすれば、蟻の行列を踏み潰して遊ぶ純粋な子供達は何故そんなことをする。」「.............................それでも尚正義を貫き善であるには、努力が必要らしい。」(彼は椅子に腰掛けて膝の上で両手を絡め、本の塔の真ん中で天井を見上げる。)「正しくありたい。今の俺は恐らく、かなり自己中心的だ。視野に入る人間のみを助けてヒーローになった気になって、それで満足している。」「ヒーローごっこという君の言葉は、正しい。俺は視野が狭いくせにヒーローになった気でいる。だから。もっと今の俺の目には届かないような、沢山のヒーローが気づかないような人達の苦しみに気づきたい。」(誰よりも無謀で夢のような正義を掲げる彼はせめて誰よりも。)「正しく、ありたい。」(そして彼は、天井から君に視線を戻す。)「だから俺は、この前初めて知った君のことを知りたい。君の視点に立つことができれば、きっと俺では気づけない沢山の人の苦しみや救いの手を求める人々に気付くことができる。」「それと後、単に。」「君をもっと、知りたい。」(じぃっと貴方がこちらを見つめる様子。なにか言いたげのよう。ただ彼は、人一倍勘が。)「............どうかしただろうか?」「───────.........。」「................、.....?」「.......あ!」「そうか!これだな?これに気づいたのだな??」(悪い。)(彼はポケットから嬉しそうに小包を取り出せば、貴方の前に置いてみる。)(それは、ピンクのリボンで包装された、可愛らしいうさぎさんの見た目の、一枚のクッキー。)「お菓子は幸せを作る、お菓子はみんなの心を和ませる!ならきっと、これも一つの平和への近道なんじゃないだろうか!」「これ、試作品にはなるが食べてみてはくれないか!?とっても甘くて美味しいんだ!!!!」(前提として。彼は貴方の秘密に、すでに多く辿り着いている。) (6/4 20:48:51)
ほりしぃ>
『............教えてくれて、ありがとう。気をつけてベルを見るように心がける』「…………………」(〝ありがとう 〟)(………彼女はその単語に鼻で笑ってしまった。言われる筋合いなんてなかった。ただ寝転がってたら邪魔だし、子供とはいえ不躾なその態度が気に食わなかったから教えただけ。腕を組んだまま、彼女はティンカーベルに目を向けたのならば、軽く睨み呆れたように目を逸らした。)『君の事を調べる中で、よく分からなくなったことがある。』『善であるということが、どういうことなのか。確かに重い荷物を持った老婆が眼の前にいれば、俺は迷わずに助けるだろう。だけど、それが自己満足であると言われれば俺は全く否定できないことに気づいてしまったんだ。』 「……………………………………で?」(【冷えきった声色】だった。氷を削り、鋭利に尖らせたような。その一言には底冷えするように霜がくっついている。貴方は天井を見やり、言葉を続けた。)『だって俺は、『たった今世界中で苦しんでいる俺の目の届かない人達』に思いを馳せてその苦しみを想像できない。『眼の前で苦しむ人達』しか守れない。』『大団円を描くには、俺の視野はあまりにも狭い。』( それは正しく希望的観測だった。ティースプーン1杯、それをミルクに溶かしたような理想論だと言わざるを得ない。自分がなるべく正しくあるため、己の正義の為。それは絵に書いたような『ヒーロー像』と言ってもいい。)『..........................正しくありたい。』 (この言葉のとおり、貴方はどこまでも愚直で、曲がることを知らなかった。その勤勉さはこの学校に置いて〝 必要不可欠〟となっていくに違いない。)(しかし。)『.......あ!』「…………………はァ?」『そうか!これだな?これに気づいたのだな??』『お菓子は幸せを作る、お菓子はみんなの心を和ませる!ならきっと、これも一つの平和への近道なんじゃないだろうか!』『これ、試作品にはなるが食べてみてはくれないか!?とっても甘くて美味しいんだ!!!!』(……愚直が故の鈍感だ。彼女は眉を顰め、貴方の動向を見やっていることだろう。一方的に進んで行く情景、可愛らしい少女のようなラッピングを目の前で差し出された彼女は、腕を組んだままそれを受け取ろうとはしなかった。そして、1拍おいた後、最後まで話を聞いた彼女が、漸く口を開き、言葉を紡ぐ。)「…………………………つまり。オマエを【 理想のヒーロー⠀】に仕立てあげるための礎(踏み台)の1つとして、ほりしぃを調べあげていたと。ひとつの手段として、【⠀利用⠀】したいと考えていると。」「………………オマエの価値基準ではほりしぃのやっていることは【正しくない典型的な例】で、【悪】だから、…………だからその視点に立って、【⠀理解⠀】しようとしているということで、合ってますか。」「………………ホント、オマエは【傲慢】ですね。相も変わらず。」「………………偉い人が〝言ったらしい 〟?………努力が必要〝らしい 〟?」 「………オマエ、ヒトから影響されて貰った言葉ばっかりじゃねェですか。オマエの平和はたかだか〝 お菓子を作ることしか脳がない〟んです。甘いものが苦手な人間は?そもそも【宗教上の関係でそういうのが食えなかったら】?………………〝正しくありたい〟……結局のところオマエのそれは【皆が首を縦に振りやすい、最も万人受けする意見】に寄り添うことが正義なんです。…………〝 可哀想〟に、弱き者の傍に居るのとまるで何も変わらない。「……………………………………」「……………………………………ま、……………どうでもいいですケド。」 (ひねくれていた。彼女の偏見と、歪み切った価値観にまみれた言葉だった。それは違うと否定してもいい。ヒーロー嫌いの台詞なんて所詮はこんなものなのだ。彼女からしてみれば、〝黙って聞いてりゃ勝手なことばかり 〟その言葉に尽きてしまうのだから。)「…………………………………………」「……………………………………………もう。」「…………良いんです、無闇矢鱈と誰彼構わず寄り添おうとしなくって。……………………ヒーローは悪役が居なくちゃ成り立たない。」「………………いいんです。クッキーの味なんて知らなくっても。」「………………………………誰も傷つかない最も効率的な方法は、〝 誰とも関わらないコト 〟でしょ。………オマエはそんなことも分からない馬鹿なんです」「…………………馬鹿で、………………どうしようもないヤツ。」「…………………………」「………………………………」「……………………………………………馬鹿でどうしようもないから、特別に教えてあげましょう。」「…………………………………ほりしぃは、〝 助けて〟って言葉が嫌いなんです。」「……………………、……………………………………〝 助けて〟って言っちゃったら………………それを言わせたなにかが、〝 誰か〟が、…………………すぐに悪者扱いになっちゃうから。」「…………………ずるくて、弱い言葉だから、…………………………嫌いです。言われるのも嫌いです。………応えればその人のヒーローになっちゃうから。」「………………………オマエに誰かを【悪】として切り捨てる覚悟がない限り、誰の【⠀助けて 】も、……………………〝本当の意味 〟で抱き抱えられないんじゃないですか。」「救ってるようで、救ってない。それがオマエなんじゃないですか。」(………彼女は生まれてから1度も「助けて」と言ったことがなかった。それを言ったら自分がママ達に意地悪されていると、愛されていないと公言しているみたいだったから。大好きなママ達を悪者にしてしまいそうだったから。)(誰も寄せつけなかった。最初から嫌われる孤独と、愛された後に捨てられる孤独に彼女はきっと、耐えられないから。)( 自分が間違えていれば、ママ達が正しくあれるなら。)(それで良かった。)「………………」「……………………………………」「………、………もしも。」 「……………………………………ホントにほりしぃのためを思うなら。」「………………………………そのクッキー、………………………………〝 羨ましくなっちゃうから 〟………………早くしまって下さいよ。……………… 〝(ヒーローの)見習い 〟。」 ( 良かった、はずなのに。)(どれもこれも、皆のせい。愚かしいニンゲン達との会話のせい。)(……………どうやら世間一般では、クッキーの似合わない女の子は可愛くない〝 らしい〟。私はロネリー。ロネリー・エスカ。ママ達が怖くて、食べられない。貴方はヒーローの見習い。私はカミサマの見習い。見習いのよしみで教えたげる。)(私は当たり前に差し出されるクッキーさえもがほんの少し、羨ましいのと。)(……………私が最近思う、君たち(ヒーロー)へのちょっとした、考え方を。) (6/4 22:11:23)
サクラダ キョウ>
『…………………………つまり。オマエを【 理想のヒーロー⠀】に仕立てあげるための礎(踏み台)の1つとして、ほりしぃを調べあげていたと。ひとつの手段として、【⠀利用⠀】したいと考えていると。』「.....................。」『………………オマエの価値基準ではほりしぃのやっていることは【正しくない典型的な例】で、【悪】だから、…………だからその視点に立って、【⠀理解⠀】しようとしているということで、合ってますか。』「.................................、............................................................。」『………………ホント、オマエは【傲慢】ですね。相も変わらず。』(彼は、答えない。少しだけ俯いて、貴方が落とした本を、貴方が吐き捨てた言葉を、見つめる。幾重にも折り重なった分厚い雲、その向こう側。貴方の本質、核心はまだ顔を出さない。)『………………いいんです。クッキーの味なんて知らなくっても。』(────────彼が。)(貴方を傷つけると分かっていることを、わざわざしたのは何故でしょう。)(彼は、立ち上がった。ゆっくり、立ち上がって。おぼつかない手先で、クッキーを包装から取り出して。)(それから、貴方を見つめる。散々貴方が吐き散らかして、最後にようやく漏れ出た優しい言葉。)【要するに本物のヒーローっていうのは。】(彼は勘が鈍いけれど、ここまで話して君の本音に気づけないほど阿呆じゃない。)(これは『助けて』を言えない貴方へ送る、彼なりの『助けは必要でしょうか?』なんてメッセージ。プライドが高い貴方に、これだったら届くでしょうか。)(彼は貴方の口元に向けて、クッキーを弾いた。)(もしも貴方の口の中に入ったのなら、広がるはずだ。サクッとした食感に、香ばしくてほんのり甘い革命の香りが、ふんわりと。だけど、『それだけじゃない。』)(貴方なら気付くはずだ。この風味は、『いつも食べている肉で味わったことがある。』)(加工されている、あまりにも多くの工程を踏んでいる、だけど消しきれない香りが、微かに。)(貴方がこのあとどうするつもりだったかは知らないが。先程貴方が取り上げた彼のノート、その次のページからも、びっしりと書き込まれている。材料に【人肉】を含みなおかつ甘くて美味しくなるように考え抜かれた、数々の禁断のレシピが。)(彼は不自然なほどにゆっくり、ゆっくり、貴方へと歩み寄る。そして、たった一言。)【本物のヒーローっていうのは。】「お味は、いかがでしょうか。」【こういう努力をし続ける人間では、なれないだろうか。】(本当の意味で貴方を救うための、第一歩を。) (6/4 22:54:55)
ほりしぃ>
「……、…」「………」( 貴方は話を聞いているのか聞いていないのか。あれだけズケズケと好き勝手ものを言ったものだから、さすがの貴方も応えたか。或いは導火線に火をつけてしまったのか。偏見にまみれたそれを吐きかけ、これでもかと言うほどに踏みつけることは今に始まったことじゃないが、その沈黙はあまりにも長く、鉛を引きずるような時間だったと思う。後に貴方がゆっくりゆっくりと歩み寄ってきた。警戒の色。無言で寄ってくるもんだから、彼女はそれに合わせるように後ずさって、〝何か言いたいことがあるならはっきり言え 〟と、口を開こうとした瞬間に。)「…………──────ッ、」(口の中に〝 なにか〟入ってきた。彼女は大きな目を見開く。)(反射的にそれを口の中に含んでしまった彼女。それは初めての甘味。 牙がサクリとそれを砕いた後だった。気づいた時にはもう遅かった。鼻腔を擽るはバターとそれから、…【⠀慣れ親しんだあの味】 で。これがきっと〝 クッキー〟で。この原材料は自分にしか食べられない〝 禁忌(タブー)〟で。それで、それで。メモ帳の数々。試行錯誤。エトセトラ、エトセトラ。あなたは、わざわざ。わざわざ─────────…) 『お味は、いかがでしょうか。』「……………………」「…………………………」 (彼女は貴方を冷たく睨んだ。吐き出すこともしなかったが、味の感想なんて言わなかった。ただ、逃げるように〝またくだらないことをしてくれた 〟と言わんばかりに義足を鳴らして、踵を返してはその場を後にする。教室には貴方独りぼっち。 ティンカーベルが、チリンと鳴る頃にカーテンだって風に撫でられて揺れるんでしょう。)(──────────)(──────────)(────────── ) (──────────鳴るんでしょう。)( 冷たく。) (〝 警鐘 〟が。) 「……………ッ゛………ふ、ぅ゛…………ッ…………」「………………ッッ゛…………………」 「…………ッ゛ッ、………………………」(嗚呼。) (食べちゃった。)(食べちゃった。食べちゃった食べちゃった。)(食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった食べちゃった……………)(〝食べちゃった 〟。)(彼女はあの後、貴方の知らないところで、見えないところでトイレに行き、勢いよく個室に入った。口元を抑え、瞳孔を揺らす。まだ大丈夫飲み込んでない、今吐き出せばチャラになる。食べるつもりなんてなかったの、あいつが勝手にやったの。)(【人肉が入ってたからセーフ?】)(【あいつがニンゲンではないなら大丈夫?】)(どうでしょう、どうでしょう。)(口の中でドロドロと溶けていくクッキー。初めての甘み。初めて誰かから貰って口にした 〝お菓子 〟。)(〝 羨ましい〟なんて言うんじゃなかった。)(認めるんじゃなかった。)(似たもの同士だと思ったバカは自分だった。)(なんであんなこと言っちゃったんだろう。) (後悔したってもう遅い。………さっさと吐き出さないと。でも、でも、でも…………………)(何を惜しんで居たのか。何を悩んでいたのか。結局口の中でドロドロになった、クッキーだったものは。震える口をゆっくりゆっくり開けた後、とろぉ……………とトイレに吐き出されてしまった。勢いなんてなかった。【少しでも怒られる可能性があることはしない】。彼女はママをあいしていたいから。これで元通り。これで大丈夫。)(………──────────ただひとつ。彼女はママ達に、今日初めて秘密を作ったことを除いては。それは【甘いが何かを知ったこと】)(【吐き出すかどうかを、迷う必要も無いのに迷ってしまったこと】)(…………………………………アイツの名前はなんだっけ。)(冷や汗で張り付いた髪が、気持ち悪い。目眩がする。罪悪感と背徳感。しばらく彼女はトイレから出れやしないだろう。) (──────────あれ、誰の肉、使ってんだろうな。)〆 (6/4 23:33:39)
サクラダ キョウ>
(ぱた、とてててててて。)(とんとんとん、と、と、とんとん。)(『..........だな.......とうを........とは少し........とう。』)(とてとて、とてて。かたかたかた、こんこんこんこん。)(耳を、澄ませば。)(廊下に響き渡るのは、まるで足元が覚束ない少女が走り回るかのような音。渋く嗄れた声が、誰かに指示するような声。そう、まるで───────初老の男性のような。渋みがありつつも、その奥に知性を感じさせるような声が微かに廊下に響く。ただ、相変わらず少女の足音のようなものはあっちへいったりこっちへいったり。もしその廊下を通りがかる者が居たならば、もしかしたら嗅ぎ取ってしまうかもしれない。)(とてとてとて、ぴょんっ!)(あまぁいあまぁい、まるで夢の国にでも出てくるような香りを。もし探そうと思えば香りの出処はすぐに分かるだろうね。不思議な音が響く方向に足を進めれば、香りは強まっていくんだもの。進んだつきあたりには、一つの部屋が待ち構えていることでしょう。表札を見ると、『食堂』と書かれた札の下に『すごい、おいしい』と下手くそな字で書かれた紙が、セロテープで雑にはっつけられている。)(とてとて、とて!)『ふむ.....こんなところ.....あとは.......』(香る、ふんわりと貴方の体を包み込むような甘い香り。)(足を、踏み入れるかい?) (7/27 15:45:07)
シオン>
「(近くのコンビニに寄って、学園に帰ってきた頃。ご飯を食べようとラフな格好で食堂に向かっていました。…本当は、お部屋で食べてもよかったのですけれど…少し離れた所から甘い甘い香りがするものですから、何か素敵な出会いがあるかも、なんて。強くなる甘い香り。それを、まるで深呼吸するかの様に堪能します。)___『すごい、おいしい』…?(ええ、ええ…きっと美味しいのでしょうけれど、これは一体…、食べにおいで、のニュアンスでいいのでしょうか。扉を恐る恐る開けると、吹き抜ける風の様に溢れる甘い香り。___足を踏み入れたその先は。)」「あっ、こん…にちは。(最初に目にしたのは、奇しくも貴方の顔でした。___そして私は、貴方から申し訳なさそうに、なにか負い目を感じている様に瞳を逸らしてしまいました。どうしてか、ですって?___…………私は、〝あの時の校外学習〟でカミサマに立ち向かう貴方を置いて…我先にと逃げ出してしまったからです。)」 (7/27 16:03:51)
サクラダ キョウ>
(ガララララ。)(扉を開いた先に広がっている光景は、まるで不思議な遊園地のよう。一際甘い香りが貴方の鼻腔を満たす頃には、きっと部屋の中が見渡せている筈。そこには部屋着姿で厨房のど真ん中に居座り、カラカラと紅茶をティースプーンでかき混ぜている彼────サクラダの姿。だけど、それだけではないの。とてとて、ぴょん、とて。突然の予期せぬ来訪者である貴方の存在を認知した彼女は、彼の足元にひょこ!と隠れてしまう。ただ、隠しきれていない帽子と縫い目のあるまんまるの瞳がほんの少しだけ彼の足からはみ出して。)「こんにちは!!!」(貴方がそうっと目を逸らしたことに気づきはしたものの、特に面識のない彼からすればその理由はわかるはずもなく。ともかく、彼は少しばかり。挨拶の声がデカい。)「どうかされたか?ここは調理室なので教科書とかの置き忘れとかはないかもしれない。.........ああ、調理実習か?申し訳ない、今すぐここを開けよう、ほんの少しだけ待ってくれれば用事もすむ。..............いや、まて。もしかして。」(ここまで並べるように頭の中の思考をそのまま口から言葉にして喋ってから、彼はある可能性に辿り着く。)「もしかして.........食べに来てくれたのか!?張り紙を見てくれたのか!?」(彼は今度は目を見開きながら、心の底から嬉しそうな笑顔を浮かべて貴方の返答を待つみたい。その間に、彼の足元では小さな魔法使いが『ひょこ.....ひょこ....!』とばかりに顔をのぞかせ、貴方のお顔を見つめようとしているみたいだね。) (7/27 16:30:33)
シオン>
『こんにちは!!!』「(貴方の明るい声にほんの少し驚いて、また貴方の顔を見ます。元気な人だこと、と一人でくすくす笑えば、視界の隅でてちてちと走り回る小さな…人形、でしょうか。どうやら驚かれてしまったみたいで、警戒されたい様にそっと手を振って見ます。貴方の能力か、ディスコードそのものなのかはまだわかりませんが、怖がるに値はしません。かわいいお人形さんでしたから。『どうかされたか?ここは調理室なので教科書とかの置き忘れとかは___』)ああいえ、その、食事を__……『もしかして.........食べに来てくれたのか!?張り紙を見てくれたのか!?』………はい!食事をしにまいりました!」「(嘘をついてはいません。それに、食べに来てくれたのかと聞くということは、あの張り紙はきっとお茶会のお誘いか何かだったのでしょう。)私、シオンと申します。差し支えなければ、貴方様のお名前と…そちらの、小さな魔法使いさんのお名前も、教えていただけますか?」 (7/27 16:44:15)