エレナ・ドラグノフ>
それは噂話だ。飲み会でたまに出るくだらないジョーク、放課後の帰り道にでもする話。けれどそれが本当は噂なんかではなく____質量を持って人を傷つける存在だと私たちは知っている。それはあるオフィスビルの二階、小さな広告代理店で起きたことだった。どうやら「パスタがある」という不振な連絡をSNSに残して以降は消息不明。唐突に現れた、なんじゃそら?もいい所のメッセージは話題を呼び___遂に、この見習いヒーロー達の耳にも届く運びとなった。そのため、私たちが調査を任された、のだが。『中に入る時は、覚悟をしておけよ。投稿されたのが約2時間前。先生達が不振な投稿を見つけたのは30分くらい前。つまり_____』その先は口にしない。1時間半以上、カミサマと一般人が同室していたなら、その結果は明白だからだ。これは多分、誰かを救いに行くようなかっこいいヒーローの仕事なんかじゃない。次以降の犠牲者が出ないための事後処理だ。同行している少女___本名は目尾と言ったか____に、入口へ入る前に改めて忠告する。『行ける決心は着いたか。着いてないなら、しばらくなら待ってやれる。それでも怖いなら……手くらいなら繋いでやれる。』 (5/19 15:13:15)
目尾 瞳乃>
( 簡単な現状報告とこれから先の警告。それを聞き終えると、彼女は不安げにうんと頷く。準備は万端、覚悟は八割。隙間に残る恐れを潰すよう、目を瞑る。───「……」頼りになる手に目を向けた後、逡巡、下手な愛想笑いを見せた。まだ、何も出来てない。そんな最初っから助けを求めてしまうのは惜しく、本当にダメだった時に頼るべきだと自己判断を下し、ぎゅうと握り拳を作った。)「大丈夫、行けます。エレナさん、よろしくお願いします」 (5/19 15:51:18)
エレナ・ドラグノフ>
『そうか』短く答える。手を取らなかった彼女は、自分で歩くと決めたんだろうから____かつ、かつ、と階段を昇っていく。行くな、行くな、と頭の何か普通は使わない箇所が警報(アラーム)を鳴らす。盾になるように先を歩き、金属製の扉に手をかけて_____拙い、と、なんだって私の注意とか恐怖とかは遅いのか、開いたあとにようやく思った。『____ッ』そこは、一言で言うなら地獄だ。足の踏み場がないくらいに撒き散らされた血液や、肉片。壊れかけたぬいぐるみのように、身体の部位を割かれた遺体がいくつも転がっている。多分、銃でもこの部屋にあれば彼らは何百倍もマシだっただろう。アレは即死するが、オフィスにある用品で人間を殺すには何回も、何回も衝撃を加え、力で引きちぎる必要がある。突き刺し、折り、割れながら。ペンやカッターナイフで頸動脈をかききるまでぐちゃぐちゃに肉を抉った痕もあれば、デスクに何度も打ちつけられ、半ば溶けだしたように顔を突っ伏したままで事切れてもいる。『私たちが間に合わないと ""こう"" なる。アリとかカエルをガキの頃に酷い殺し方したこと、一回くらいあるだろ。人間(わたしら)なんて言うのは、カミサマからしたらこんなもんだ。』_____そして、不自然なほど自然に、デスクに置かれたパスタ。逃げよう。逃げろ、と頭の中で声がする。しかし、そんなものより先に____沸騰しそうな怒りが湧く。『行くぞ、アレを倒す。____二人で、な。』 (5/19 16:27:58)
目尾 瞳乃>
( 扉を開けた。まず目に入ったのは薄桃色と、赤色と、黒と。ぐちゃぐちゃに混ざりあったソレは絨毯のように床を隠している。まだ乾いてない液体はてらてらと光を反射し、ワインでも零したみたいだ。人の原型を保った死体を数える余裕が彼女にはあった。否、非現実的すぎて思考が追いついていないのだろう。いち、に、さん……抉り出た眼球と目が合った。潰れた眼球が転がっていた。目だったものがそこにある。無意識に自分の目を隠した。──不意に視界に入った、鮮やかなパスタ。(美味しそう。)漠然と、そう思った。こんな状況で食欲など湧くはずがないのに。──一瞬にして自分の思考を否定するように首を振る。もう一度、空間を見つめた。今度はハッキリと〝恐怖〟を感じた。感じることが出来た。耳から聞こえる鼓動が、これは現実だと言っている。)( 彼女より、比べ物にならないくらいに貴方は勇敢だろう。その強さで、真っ直ぐに『倒す』と言う。その言葉に我に返ったように頷いた。「はい……」言いかけて、貴方の空いた手を見た。「手を、繋いでもいいですか?」貴方が周りの肉片のようになってしまわないか心配で、不安で、怖かった。怖いなら手を繋いでくれる、そう言っていた。ならば、と。勇気を求めるように手を伸ばした。)>エレナさん (5/19 16:50:01)
エレナ・ドラグノフ>
『……ああ、いいさ。』確と手を取る。怖くない、と言ったら確かに嘘になる。その向こう側に見えるのは、最初に来た女の子の姿なんかではない。何か巨大な胃袋の中にいるような悪趣味な触感。肉をぐちゃぐちゃと混ぜる音。血の匂いに妙に甘ったるいような香りが組み合わさり、最悪だ。血が流れ落ちる音____それらに、思い出される記憶があった。ぶつかる重い痛み、衝撃。酔っ払いそうになるくらいギラついた照明、もうやめてくれと絶叫する肺腑。"""長引いた""" 試合は、思えばいつもこんなだった。多分勝てない相手に、動かない身体。口の中にしみ渡る血の臭気。最悪な環境の中体を動かす。何やってんだろ私、と何度も思ったし、やめとけばいいのに、と思った。"""…………おっとここでいきなり得意の右フックが炸裂ッ、炸裂したッ!!!!!絶対王者ジニー、まだ食らいつく、まだ食らいつく!!!タックルをかますッ、さあこれだけ食いつけば、向かうところ敵なしといったところでしょうか、連勝記録を塗り替えられる事はやはり無いというのだろうか、ここが蟻地獄の始まりであります。さあ、絶対王者、ジニー・ヘンドリック…………!!!""""暇つぶしに見た古い録画、母が持ってきたDVDが、頭の中にずっと流れている。あんな風にいけねぇかなぁ……いや、無理だよなあ、の繰り返し。『聞こえてるなら、聞いていてくれ。聞こえてないなら、まあこんな恥ずかしいこと無視してくれたっていい。私もなんだかんだ、文句を言わずに戦ってるが……実は、毎回ちょっと怖くてな。負けたら、死んだら、より、"""しんどい"""、の方が怖い。走り続けるのも殴り続けるのも、やめた方がいいんじゃねぇーのといつも思うし、辞めるのが怖い。』ただ。そこを逆転するからチャンピオンなんだと思うと。そして、そこで逆転するためにチャンピオンは頑張るんだと思うと。自分でも笑えるくらい不思議と、勇気が湧いてくる。『ただ_____貴様も含め、一緒に戦う誰かがいる。そして何より……!10年、鍛えてきたんだ。怖い時に踏み出すために、怖い相手をぶん殴るために。弱い自分をぶっ潰すために。貴様も、ヒーローなら____何か誇れる、ことを持っていたりしないか。』だから、ここで踏み出すなにかを、君は持っていないかと問いかける____画面の向こうのヒーローは、いつもそんなことを言っている気がしていたから。 (5/19 17:32:15)
目尾 瞳乃>
「ありがとうございます、」( ホッとした。縋るように手を取る。温かいと僅かに緩む頬は途中で強ばる。匂いが増したのだ。まるで、隣からその異臭がしだした様な。錆びた鉄の匂いから、残飯の匂い、腐敗臭、全てが混ざった不快な匂いは、パスタに近づくにつれ強く増す。加えて視界が眩む程に凄惨な光景がより酷く醜くなる。隣の貴方ですら、ブヨブヨとした肉塊でしかない。報告書から知っていた筈なのに。肌を伝う汗がひどく気持ち悪かった。軋む頭の外側から声がする。途切れ途切れ、『しんどい』だとか『怖い』だとか。だけど、『10年鍛えてきた』そこから続く言葉は貴方だからこそ重い意味を持つのだろう。明確な目標と、前向きさと。その強い光に憧れない子供はいないんじゃないだろうか。(主人公って本当に強いな。)「誇れるかは分かりません。けど、人一倍耐えてきたと思います。苦しくても泣きませんでした。辛くても逃げませんでした。大した努力もなにもしてないし、自慢できる物でもないんでしょうけど……」手に力を込める。じっとりと汗ばんだ手も、今は接着剤の役割を果たしているだけのような気がした。「だから、今回も耐えきれます!」戦う仲間がいるから頑張れる、そんな貴方に返す言葉としてはこれ程心強い言葉は無いだろう。なんて、自惚れすぎだろうか。)>エレナさん (5/19 18:06:27)
エレナ・ドラグノフ>
『____聞こえたぜ。ぐちゃぐちゃのノイズなんかよりうるさくて、熱い声が。』ニィ、と笑みを作った。耐えてきた。泣かなかった。それがどれだけ強くて、すごいことなのか。彼女は理解していないのかもしれず『そうか、努力してきたことだとか、誇れることだとか。すぐ簡単には、自信は持てないだろう。』また、自信だって持てないかもしれない。『……なら、貴様がそう思えるように_____これから、幾つもの楽しい記憶を増やせるように。』であれば、今日の主役は私ではなく、彼女でなくてはならないだろう。『……行け、Great Mischief 耐える時間は終わりだ。道なら_____この私が作ってやる。』クリーピーパスタ。それは五感を操り、虚無感と絶望感を味合わせる。仲間を怪物のように見せて殺し合わせ、その言葉も相手に伝わらないことだってきっとあるだろう。___だがここに例外は存在する。手を引いて走り出したその引力までもを誤魔化すことは、無かったことには出来ない。 標的へ目掛けて、走り込む。頭がぐちゃぐちゃになりそうな、この世のグロテスクなものを掃いて集めてきたような汚物の渦に突っ込む。だが___今の私を止めたいなら、この100倍はもってこい___!!『決めろ、と言った。主役は貴様だ。』 (5/19 18:36:42)
彎蜿 一/わんわん>
─(放課後ももう遅くなって来た頃。校舎に残ってる人達は少なくて、残っている人と言えば教室で勉強をしている生徒だとか、遅くまで活動している部活動の生徒くらいだろう。)(そして、君はそんな残り少ない生徒のひとりだったというわけで。)(【感知】確かに、人の気配を図書室から感じた。)「…あの、すみません。誰か中にいますか?先生ですか?」(それは、静かな図書室に確かに響いた言葉。締め切られた扉の向こう側から聞こえる言葉に、君はどう対応するだろうか。居ないふりをするだろうか。けれども、君の【直感】は告げるのだ。)(─声の主は困っていることを。)>目尾ちゃん (5/21 19:14:33)
目尾 瞳乃>
( 放学のチャイムから何時間も経った頃。気がつけば空は夕闇に染まり、辺りは暗くなっていた。疎らに聞こえていた声も、もう耳をすましても届かないくらいだ。「……(帰ろ。)」立ち上がりかけた、瞬間ハッとして入り口を見る。──誰かが来る! 今この空間に居るのは自分一人だけだった。先程、何やら用があるとかで、担当の教師が席を外したばかり。帰る時は戸締りをしてくれたらいいから──とか何とか。きっと後で確認には来るのだろうけど……。兎も角、一人だけというのに、訪問されるのはとても、とっっても気まずい。電気は点いたままだが──隠れてしまおうか? 無意識に本棚の影に隠れるようにして移動していた。目の良さから捉えた人影はとうとう入室してしまう。静かに響く声。聞いたこともない声だ。知らない人と話すのは、何かそれを覆い隠すような出来事か、もしくは見知った人間が近くに居ない限り相当に勇気が要る行為だ。「………(でも。)」──声の主は、どうやら困っているようだ。先生に用があるのかもしれない。もしくは、誰かの手を借りたいのかもしれない。──────「はいっ!(もう、女は度胸だ!)」居ても立ってもいられず、勢いよく影から飛び出して、呼びかけに応えた。その際、力みすぎて近くの机にぶつかったのはご愛嬌というやつだ。「あ痛ッ…………エット、先生は、居ません……」こんなドジをするようなキャラではないのに。みるみるうちに熱くなった頬を隠すよう、片手で顔を隠しながら言葉を続ける。この男子生徒の目的が司書教諭ならば、これで自分のミッションは完了するのだ。早く終わらせてしまうに限る。) (5/21 19:50:38)
彎蜿 一/わんわん>
「…大丈夫?」(はいっ!ととってもいいお返事。けれど次に聞こえてきたのはどこかにぶつけたような音と痛がるような声。こちらは今、扉の前にいて君がどんな状況であるか分からないから、そう声をかけることしか出来ないけれど。)「えっと、先生に用はないんだ。 手が塞がっていて扉を開けられなかったから開けて欲しくて…君が中にいてくれてよかった。」(─君が勢いよく開けた扉のその先。そこに立っていたのは、全身を黒の服で統一し、仮面を付けた不気味な男だった。けれども声は柔らかい。君に“敵意”はない。むしろ君の直感は告げる。彼は君に“好意的”でさえある。それは今しがた、扉を開けたからだろうか。)(【疑問】そうであるにしろ、少しだけ違和感を感じるけれど。)(【演技】─君の直感は、ほんの少しの違和感しか告げない。)「…それで、もしも君の時間が少し空いてるのなら、この本を戻すのを手伝って欲しいんだ。」(そう言って彼が図書室の机に置いたのは本の山。君は気づくだろう。その本の山を彼が片腕で持っていたことに。そして、彼は片腕しかないことに。)(─だから、扉を開けるのが難しかった。だから、今もなお、君の手伝いを望んでいる。)(彼の動きに合わせて揺れる左袖は、空白を君に告げていた。)>目尾ちゃん (5/21 20:10:16)
目尾 瞳乃>
「アッ!? ぁ、わ………は、はい……」( 扉を開けたら一面真っ黒! ……なんてことはなく、まず視界に入ったのは怪しそうな仮面だ。その下から聞こえる優しげな声に、簡単に混乱してしまった。言葉の意味を直ぐには理解出来ず、ただ『よかった』の声だけを拾えば、下手な愛想笑いを浮かべるばかり。大丈夫か、の声には首肯と、再びハイの返事を。見るからに不審な人物、であるはずなのだが、どうにも邪気は感じられない。てんでチグハグな印象にぽかんとしていると、彼は本を抱えているのに気づいた。慌てて扉の前から退いては、彼が本をカウンターに置くのを見届け、扉を閉めていた。その後に彼の片腕の存在に気がつけば、動物の鳴き声のような「ア」を一音。「だいじょうぶです、ぜんぜんできます」申し訳なさそうな顔で扉を開けながら、そう答えた。)>わんわん (5/21 20:51:57)
彎蜿 一/わんわん>
「…そんなに気にしないで。」(【感知】君の声から、顔から、申し訳なさそうな雰囲気を感じ取ったから。彼は仮面越しになってはしまうけれど、小さく微笑んで君にそう伝えた。)「もしも高い場所の本があったら放っておいて良いから…うん、できる範囲で大丈夫。此方からお願いしてるし、無理はしないでね。」(【洞察】この短い間で、君のことを見ていた。君の一挙一動を、見つめていた。きっと君は緊張しやすい子なのだろう。それか、人見知りをする子か。もしくはお人好し。だから頼みを断らない、断れない。)(【演技】─君からすれば、小さな違和感。彼は優しい声色で、君に声をかける。そこに違和感はあれど、相変わらず“悪意”や“敵意”はない。)「─君は、可愛い女の子なんだから。」(それは、甘い甘い、まるで君を口説くような言葉。)(漫画や小説ならばここから恋が始まるような、そんな甘美な言葉。)>目尾ちゃん (5/21 21:54:01)
目尾 瞳乃>
( 気にしすぎるのも悪いとはいったい誰の言葉だったか。不意にそれを思い出しては、変わらぬ優しい彼の声にこくんとひとつ頷く。気にしないことは無いが、あからさまな表情は抑え込んだ。)「はい、分かりました」( 相変わらず羞恥に頬は染まっていたが、それを気に止めること無く作業に取り掛かることにした。勿論彼の言った留意も忘れず、張り切り過ぎても迷惑になると経験しているからこその謙虚さで、素直に了承した。のだが、その後に続いた甘く優しい、〝普通の女の子〟であればときめいてしまいそうな台詞に、思わず身構えてしまった。先程から悪意の一欠片も見せない彼は、その仮面の怪しさも相俟って、何を考えているのかさっぱり分からない。(君の【感知】を持ってすれば、瞳に潜む感情が怯え・恐怖の類だと分かるだろう。) 曖昧に微笑んで見せれば、そのまま分類別に分けてしまおうと本の仕分け始める。彼が作業しやすいように、そして、彼と自分の行動範囲が被らないように。それが終わればテキパキと作業を進めていく。最初の鈍臭さが嘘のように、想像より早く本の収納作業は終わるだろう。) (5/21 22:39:09)
彎蜿 一/わんわん>
─(【感知】どうやら怖がらせてしまったらしい。ただ愛しているだけなのに、この感情を伝えるのはいつだって難しい。)(【洞察】それはそうとして、君は随分とテキパキと動く。先程まで机にぶつかっていた人物と…まぁ、正直いって同一人物だとは思えないくらい。)(彼も君ほどではないが、少しずつ本を戻していく。そうしてカウンターに積まれていた本が片付けば、彼はほっと一息ついたように見えただろうか。)「ありがとう、君のおかげで助かったよ。……少し、怖がらせてしまったみたいで、ごめんね。僕は…その、うん。人が好きなんだ。だけど、…この見目だからよく怖がらせてしまって。君にも怖い思いをさせてしまったね。」(【本心】人が好きだ、人間が好きだ、愛している。────【演技】怖がっている表情すら、愛おしいと思う感情は、上手に仮面の裏に隠して。)「…少しづつでも構わないから、この姿にも慣れてくれると嬉しいな。仮面は、僕にとって大切な自衛だから。」>目尾ちゃん (5/21 23:02:08)
目尾 瞳乃>
( 終わった。実際の時間を見れば短いのだが、この空間に置いてはとても長く感じた。やっと、終わった。「ふぅ、」一息ついたところで、彼からのお礼の言葉。『君のおかげで助かった』なんて、嬉しい言葉を言ってくれる。悪意の無い言葉だから、きっとこれはそのままの意味で捉えて間違いないだろう。そこまで思考して、自分の卑屈さ加減に飽き飽きすると共に、誤魔化すように笑顔になった。嬉しいのは本心だ。他人からの感謝というのは自己満足にしても心地が良いものだった。それに続き、彼はしおらしく謝ってくる。まるで純粋な気持ちでそう言っているといわんばかりに。きっと、そうなのかもしれない。けれど悪意や敵意に晒されてきた身としては、簡単に信じるなんてことは出来なかった。……ただ、一部勘違いしている所は否定させてもらおう。「大丈夫です。怖くありませんから」──怖くないというのは、嘘。「その仮面、素敵だと思います」──これは、本当。貴方の妖しい雰囲気と相俟って、よく似合ってる。「あたしが、悪いんです。……あなたは一度も、あたしのことを〝嫌わなかった〟から、それが慣れなくて」──だから、自分が悪い。)「……少しでも、力になれたら良かったです。あたしにはこんなことしかできないから……また何かあったら言ってください。この時間帯だったら、きっとここに居ますから。」>わんわん (5/21 23:17:52)
彎蜿 一/わんわん>
「─嫌わなかった…?」(彼は、君の言葉の一部に反応すれば首を小さく傾げた。そして、それを深く触れずに言葉を続ける君を見て、ほんの少しの間。)(それから。)「…嫌わないよ、大丈夫。」(【演技】君を怖がらせないように、愛情は上手に隠して。)「“嫌われる悲しさ”はよく、知っているから。」(─これは、本当のこと。左腕も、仮面も、雰囲気も。全部が気味が悪いと避けられてきた。その度に此方の愛は伝わっていないんだと、悲しくなった。)「だから、嫌わない。」(少しでも君に安心してもらえるように、優しく。)>目尾ちゃん (5/26 18:42:49)
目尾 瞳乃>
( 〝嫌わない〟──優しく、そして脆い言葉だ。「っ、…………やめてください」つい、拒んでしまった。先の口説き文句よりも甘いその言葉は、否定に囲まれた自分にとっては、とても。「……っごめんなさい、あたし──」「…………今日は帰ります。変なこと言いました。さっきのは気にしないでください」貴方から一歩、距離をとる。出入口の方へと足を向けた。「……えっと、嫌わないって言ってくれて、嬉しかったです。ありがとう。」せっかく良い雰囲気で話せていたのに、自分のせいで台無しだ。せめて、悪い気分になって欲しくないと、その思いで言葉を置いていく。声は如何にも作ったような上擦った声だったろう。取り繕えない感情を隠すように、図書室から出て行った。もちろん扉は開けっ放しで。)>わんわん (5/26 19:21:02)
彎蜿 一/わんわん>
「…どういたしまして。」(君に、聞こえてなくとも彼はそう返す。)(開けっ放しの扉に、もう見えない君の姿。君は今頃、罪悪感に襲われているのだろうか?それとも彼のことを怖いと、もう近づきたくないと思っているのだろうか?)(──どちらにせよ、だ。)「───あの子は、もう死んでも問題ないかな。」(怯える表情も困惑した表情も、罪悪感に濡れる表情も見た。笑顔は観察していればそのうちきっと見れる、し。)(なによりも。)「“優しさ”はさっき、拒まれてしまったからね。」(パチン。図書室の電気を消して、彼はそこを後にする。次は誰に会いに行こうか。初めましての人か、それとも。)(───どちらに、せよ。)「───サティ、あの子は守らなくてもいいからね。」(【愛情】彼は、“人間(キミ)”を、愛している。)(愛しているからこそ。)(─────“人間(キミ)”の最期まで、見届けたいと、願っている。)〆 (5/26 19:34:24)